(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
−第1の実施の形態−
(車載情報システムの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態による車載情報システムの構成を示す図である。
図1に示す車載情報システムは、車両に搭載されて使用されるものであり、車載装置1と携帯端末2が近距離無線通信および通信ケーブル3を介した有線通信で互いに接続されることによって実現される。車載装置1は、車両内に固定されており、たとえば車両のインストルメントパネル内などに設置されている。携帯端末2は、ユーザが持ち運び可能な携帯型の情報端末であり、たとえば携帯電話やスマートフォンなどである。車載装置1と携帯端末2の間で行われる近距離無線通信には、たとえばBluetooth(登録商標)などを用いることができる。また、通信ケーブル3には、たとえばUSBケーブル、HDMI(登録商標)ケーブルなどを用いることができる。
【0011】
車載装置1には、表示部11が設けられている。表示部11は、各種の画像や映像を表示可能なタッチパネル式の表示モニタであり、たとえばタッチ位置を検出するタッチセンサと液晶ディスプレイとを組み合わせて構成される。ユーザは、表示部11に表示される画像や映像の内容に応じて、表示部11上で任意の位置を指等でタッチすることで、所望の機能を車載装置1に実行させることができる。なお、ここでは表示部11をタッチパネル式の表示モニタとした例を説明したが、タッチパネル式ではない通常の表示モニタとしてもよい。その場合、車載装置1が実行する処理の内容に応じた各種の操作スイッチを車載装置1に設けることが好ましい。あるいは、表示部11をタッチパネル式の表示モニタとし、さらに所定の操作に対応する操作スイッチを車載装置1に設けてもよい。
【0012】
携帯端末2には、表示部21が設けられている。表示部21は、各種の画像や映像を表示可能なタッチパネル式の表示モニタであり、たとえばタッチ位置を検出するタッチセンサと液晶ディスプレイとを組み合わせて構成される。ユーザは、表示部21に表示される画像や映像の内容に応じて、表示部21上で任意の位置を指等でタッチすることで、所望の機能を携帯端末2に実行させることができる。なお、ここでは表示部21をタッチパネル式の表示モニタとした例を説明したが、タッチパネル式ではない通常の表示モニタとしてもよい。その場合、携帯端末2が実行する処理の内容に応じた各種の操作スイッチを携帯端末2に設けることが好ましい。あるいは、表示部21をタッチパネル式の表示モニタとし、さらに所定の操作に対応する操作スイッチを携帯端末2に設けてもよい。
【0013】
図2は、第1の実施の形態による車載情報システムに備わる車載装置1および携帯端末2の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車載装置1は、制御部10と表示部11と操作部12と音声出力部13とメモリ部14と画面入力インタフェース(I/F)部15と通信インタフェース(I/F)部16を有する。一方、携帯端末2は、制御部20と表示部21と操作部22と音声出力部23とメモリ部24と画面出力インタフェース(I/F)部25と通信インタフェース(I/F)部26と無線通信部27とGPS(Global Positioning System)受信部28と撮影部29を有する。
【0014】
車載装置1において、制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、メモリ部14に記録されている制御プログラムやアプリケーションプログラム(以下、単にアプリケーションと称する)に基づいて各種の処理を実行する。この制御部10が行う処理により、各種の画像表示処理や音声出力処理などが実行される。
【0015】
さらに制御部10は、車両から出力される車速情報を取得する。制御部10は、この車速情報が零か否かにより、車両が走行中であるか否かを判断することができる。なお、車速情報は、たとえば車両に搭載された車速センサから出力された車速パルスであって、車両内に設けられた通信ネットワークである不図示のCAN(Controller Area Network)を経由して制御部10へ出力される。
【0016】
表示部11は、前述したようなタッチパネル式の表示モニタである。操作部12は、ユーザの入力操作を検出するための部分である。なお、
図2では表示部11と操作部12を別々の構成として示しているが、実際には操作部12はタッチパネル式の表示部11と一体化された構造を有している。あるいは、前述のように操作スイッチを車載装置1に設けた場合、その操作スイッチは操作部12に対応する。操作部12に対して行われたユーザの入力操作内容は制御部10へ出力され、制御部10が行う処理に反映される。
【0017】
音声出力部13は、アンプ、スピーカ等を有しており、制御部10の制御によって各種の音声を出力することができる。たとえば、携帯端末2または不図示の記録媒体から読み出されたコンテンツの音声データや、車両を目的地まで誘導するための誘導音声データなどが音声出力部13から音声出力される。
【0018】
メモリ部14は、不揮発性のデータ格納装置であり、たとえばHDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリ等によって実現される。メモリ部14には、たとえば制御部10において用いられる前述の制御プログラムや規制用アプリケーション14a(詳細は後述する)など、各種のデータが記憶されている。メモリ部14におけるデータの読み出しおよび書き込みは、制御部10の制御により必要に応じて行われる。
【0019】
画面入力インタフェース部15は、制御部10の制御により通信ケーブル3や近距離無線通信を介した通信を行うためのインタフェース処理を行って、携帯端末2から送信される画面情報を受信する。画面入力インタフェース部15を介して受信した画面情報は、制御部10へ出力されて、表示部11に画面を表示することに用いられる。なお、画面情報には、音声データが含まれることがあり、音声データは前述したとおり音声出力部13に出力される。
【0020】
通信インタフェース部16は、制御部10の制御により通信ケーブル3や近距離無線通信を介した通信を行うためのインタフェース処理を行う。制御部10は、通信インタフェース部16を介して、ユーザが表示部11のタッチパネルをタッチした位置に関する座標情報などを送信すると共に、携帯端末2から各種情報を受信する。
【0021】
携帯端末2の制御部20は、車載装置1の制御部10と同様にマイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、メモリ部24に記録されている制御プログラムに基づいて各種の処理を実行する。
【0022】
表示部21は、前述したようなタッチパネル式の表示モニタである。操作部22は、ユーザの入力操作を検出するための部分である。なお、
図2では表示部21と操作部22を別々の構成として示しているが、実際には、操作部22はタッチパネル式の表示部21と一体化された構造を有している。あるいは、前述のように操作スイッチを携帯端末2に設けた場合は、その操作スイッチが操作部22に対応する。操作部22に対して行われたユーザの入力操作内容は制御部20へ出力され、制御部20が行う処理に反映される。
【0023】
音声出力部23は、アンプ、スピーカ等を有しており、制御部20の制御によって各種の音声を出力することができる。たとえば、携帯端末2を用いて通話を行ったときには、通話相手の音声が音声出力部23から出力される。
【0024】
メモリ部24は、車載装置1のメモリ部14と同様の不揮発性のデータ格納装置であり、制御部20の処理において利用するための各種データが記憶されている。このメモリ部24には、詳細を後述するドライバディストラクションマネージャ24a(Driver Distraction Manager)と呼ばれるアプリケーションプログラムが予め記憶されている。また、メモリ部24には、ユーザが予め入手した様々なアプリケーションプログラムが記憶されている。たとえば、メモリ部24には、ユーザに対して経路案内を行うナビゲーション用のアプリケーション、音声や動画などのコンテンツ再生に用いるメディアプレイヤのアプリケーション、写真画像を利用した時刻表示アプリケーションなどが記憶されている。また、メモリ部24には、メディアプレイヤのアプリケーションにより再生される動画像データなどのコンテンツデータも記憶されている。
【0025】
画面出力インタフェース部25は、制御部20の制御により通信ケーブル3や近距離無線通信を介した通信を行うためのインタフェース処理を行って、携帯端末2の表示部21に表示している画面に関する画面情報を車載装置1へ出力する。画面情報には、音声データが含まれることがある。画面出力インタフェース部25が出力した画面情報は、車載装置1の画面入力インタフェース部15を介して車載装置1の制御部10に入力される。
【0026】
通信インタフェース部26は、制御部20により通信ケーブル3や近距離無線通信を介した通信を行うためのインタフェース処理を行う。制御部20は、通信インタフェース部26を用いて、車載装置1の通信インタフェース部16との間で情報の授受を行う。すなわち、制御部20は、通信インタフェース部26を用いて、車載装置1へ各種情報の送信を行うと共に、ユーザが表示部11のタッチパネルをタッチした位置に関する座標情報などを車載装置1から受信する。
【0027】
無線通信部27は、不図示の無線通信回線網を介して携帯端末2を他の携帯端末やサーバに接続するための無線通信を行う。携帯端末2は、無線通信部27が行う無線通信により、他の携帯端末との間で通話を行ったり、サーバから任意のアプリケーションをダウンロードしたりすることができる。なお、無線通信部27が行う無線通信では、たとえば携帯電話回線網や、無線LANを介したインターネット回線網などを無線通信回線網として利用することができる。
【0028】
GPS受信部28は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部20へ出力する。GPS信号には、携帯端末2の現在位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて現在位置と現在時刻を制御部20において算出することができる。携帯端末2の制御部20は、通信インタフェース部26を介して、現在位置に関する情報を車載装置1へ出力することができる。車載装置1は、この現在位置に関する情報の変化により、車両の走行を検出することにしてもよい。
【0029】
撮影部29は、カメラモジュールなどであって、撮影光学系とイメージセンサとを備え、撮影光学系を通過した被写体像を撮影する。撮影画像の画像データは、メモリ部24に記憶される。
【0030】
なお、
図2に示された車載装置1と携帯端末2との構成はあくまで一例である。たとえば車載装置1は、制御部10が車両から車速情報を取得しなくてもよい。また、携帯端末2は、GPS受信部28や撮影部29などを備えていなくてもよい。
【0031】
(車載装置1と携帯端末2との連携)
図1に示すような車載情報システムでは、車載装置1と携帯端末2とが連携してターミナルモードや連携機能などと呼称される機能を実現させる。連携機能を実現しているとき、車載装置1と携帯端末2は、通信ケーブル3または近距離無線通信を介して接続されている。
【0032】
携帯端末2が車載装置1と連携しているときにアプリケーションを実行すると、表示部21や音声出力部23により当該アプリケーションに応じた画像の出力表示や音声出力が行われる。このとき表示部21や音声出力部23に出力された画像や音声は、画面出力インタフェース部25を介して車載装置1へ送信されて、車載装置1の表示部11や音声出力部13においても出力される。
【0033】
ユーザは、当該アプリケーションの操作を、携帯端末2の操作部22だけでなく車載装置1の操作部12によっても行うことができる。ユーザが車載装置1の操作部12を用いて行った入力操作は、通信インタフェース部16を介して携帯端末2へ送信されて、携帯端末2が実行中のアプリケーションの動作に反映される。
【0034】
図3〜
図6を具体例として用いて、連携機能が利用されているときの車載装置1と携帯端末2の動作について説明する。
図3(a)および(b)には、携帯端末2がナビゲーション用のアプリケーションを実行しているときに、携帯端末2が作成する画像の一例が示されている。
図3(a)に例示された画像は、ナビゲーション用のアプリケーションが経路案内する経路の出発地、経由地、目的地等を設定するための経路設定画面100である。経路設定画面100には、地名に関する文字入力操作を受け付ける文字入力領域101と、文字入力操作により入力された出発地と経由地と目的地の地名がそれぞれ表示される地名表示領域102a〜102cと、メニュー領域103とが含まれる。
【0035】
図3(a)の経路設定画面100は、画面出力インタフェース部25によりその画面情報が車載装置1へ送信される。車載装置1の画面入力インタフェース部15は、その画面情報を受信して、制御部10へ出力する。制御部10は、その画面情報に基づいて車載装置1の表示部11に経路設定画面100を表示する。
【0036】
文字入力領域101には、英数字等の文字や記号が割り当てられた複数のボタン領域104がキーボードのように配列されている。ボタン領域104には、割り当てられた英数字等の文字や記号がユーザに見えるように表示されている。ユーザが表示部11に表示されているボタン領域104に対してタッチ操作を行うと、そのタッチ操作で指定された位置(座標)に関する座標情報が通信インタフェース部16を介して携帯端末2へ送信される。携帯端末2は、通信インタフェース部26によりその座標情報を受信すると、その座標情報に基づいてユーザがタッチしたボタン領域104を判断する。そして、制御部20は、ユーザが行った入力操作を反映した新たな画面を作成する。そして、制御部20は、その新たな画面に応じた画面情報を、画面出力インタフェース部25を介して車載装置1へ送信する。
【0037】
図3(b)は、
図3(a)の状態において、ユーザが車載装置1の表示部11に表示されている“K”のボタン領域104をタッチ操作した際に携帯端末2が新たに作成した経路設定画面110を図示したものである。経路設定画面110では、ユーザが行った“K”のボタン領域104のタッチ操作が反映されて、地名表示領域102cに“K”の文字が追加されている。この経路設定画面110は、携帯端末2の表示部21だけでなく車載装置1の表示部11にも表示される。
【0038】
ユーザが文字入力領域101を用いて入力操作を行うとき、ボタン領域104に表示されている文字や記号を長時間注視して操作を行うことが多い
。
【0039】
そこで、車載装置1は、車両が走行している間は、規制用アプリケーション14aを用いて、表示部11に表示される文字入力用の入力操作領域が視認不能となるように規制する。このとき、メニュー領域103のように運転手の注意を引かないような領域には規制を行わない。
【0040】
図4に例示する経路設定画面120では、
図3(a)において文字入力領域101が表示されている画像領域の上にマスク画像105が重ねて表示されており、文字入力領域101が視認不能となっている。なお、
図4ではマスク画像105は一様にハッチングした画像であるが、マスク画像105の表示態様は
図4のものだけに限定しない。また、規制用アプリケーション14aが文字入力用の入力操作領域を視認不能にする方法は、マスク画像を重ねて表示する方法だけに限定しない。たとえば、文字入力用の入力操作領域を表示しないことにしてもよい。
【0041】
マスク画像105が表示されている画像領域のように、表示部11の表示画面上においてユーザが視認不能となるように規制された画像領域に対してユーザがタッチ操作を行った場合、制御部10はそのタッチ操作を受け付けない。
【0042】
車載装置1は、助手席に座ったユーザも利用することがある。車両の走行中に表示部11に表示された画面全体が視認不能となると、助手席に座ったユーザまでもが車載装置1を用いた操作を行えなくなる。助手席に座ったユーザまでもが車載装置1を用いて如何なる操作も行えない状況では、車載装置1と携帯端末2との連携機能の価値が損なわれる。本発明では、文字入力用の入力操作領域のように、運転手の注意を引く領域だけを視認不能とすることで、運転手による安全運転と、連携機能の価値との両方を適切に維持する。
【0043】
図5(a)には、携帯端末2がメディアプレイヤのアプリケーションを実行しているときに、携帯端末2が作成する画像の一例が示されている。
図5(a)に例示された操作画面200は、再生中のコンテンツに含まれる動画像を表示する動画再生領域201と、再生中のコンテンツに付加されていたタイトル情報やアーティスト情報を表示する付加情報表示領域202と、操作ボタン領域203〜209とが含まれる。
【0044】
操作ボタン領域203は、再生中のコンテンツをユーザが巻き戻したいときに操作される。操作ボタン領域204は、コンテンツの再生をユーザが停止したいときに操作される。操作ボタン領域205は、コンテンツの再生をユーザが開始したいときに操作される。操作ボタン領域206は、コンテンツの再生をユーザが早送りしたいときに操作される。操作ボタン207および208は、それぞれコンテンツに含まれる音声の再生音量をユーザが調整したいときに操作される。操作ボタン209は、再生中のコンテンツをユーザが繰り返し再生したいときに操作される。
【0045】
動画再生領域201や付加情報表示領域202に表示する画像は、時々刻々と変化する動的な画像情報である。たとえば動画再生領域201に表示される動画像は、毎フレームごとに表示内容が変化する。また、付加情報表示領域202に表示される内容は、再生中のコンテンツが変わるたびに変化する。携帯端末2は、毎フレームごとに操作画面200を作成し、操作画面200に応じた画面情報を、画面出力インタフェース部25から車載装置1へ送信する。車載装置1の画面入力インタフェース部15は、その画面情報を受信して、制御部10へ出力する。制御部10は、その画面情報に基づいて車載装置1の表示部11に操作画面200を表示する。
【0046】
動画再生領域201や付加情報表示領域202に表示されるような時々刻々と動的に変化する画像は、運転者の注意を引くことが多く、わき見運転を誘発し交通事故を招く虞がある。そこで、車載装置1と携帯端末2とは、車両が走行している間、
図5(b)に示す操作画面210のように、動画再生領域201や付加情報表示領域202が視認不能となるように規制を行う。
【0047】
図5(b)では、動画再生領域201や付加情報表示領域202の上にマスク画像211およびマスク画像212を重ねて表示している。一方で、操作ボタン領域203〜209のように、運転手の注意を引かないような領域の上には、マスク画像は表示されていない。これにより助手席に座っているユーザはメディアプレイヤのアプリケーションを操作することができる。
【0048】
図6(a)には、携帯端末2が写真画像を利用した時刻表示アプリケーションを実行しているときに、携帯端末2が作成する表示画面の一例が示されている。
図6の時刻表示画面300では、一部に現在時刻が含まれる写真画像が表示部11の表示画面全体に表示されている。時刻表示画面300は、現在時刻が含まれる写真画像が1分ごとに変化する。携帯端末2は、1分ごとに時刻表示画面300を作成し、時刻表示画面300に応じた画面情報を、画面出力インタフェース部25から車載装置1へ送信する。車載装置1の画面入力インタフェース部15は、その画面情報を受信して、制御部10へ出力する。制御部10は、その画面情報に基づいて車載装置1の表示部11に時刻表示画面300を表示する。
【0049】
写真画像や撮影部29により撮影された撮影画像は、車載装置1の表示部11に表示されていると、運転者の注意を引くことが多く、交通事故を招く虞がある。そこで、車載装置1と携帯端末2とは、車両が走行している間は、時刻表示アプリケーションやフォトフレームアプリケーションなどにより表示された写真画像を視認不能となるように規制を行う。たとえば、
図6(b)では、
図6(a)に表示された写真画像の上にマスク画像301が重ねて表示されて、視認不能な状態となっている。
【0050】
携帯端末2では、メモリ部24に記憶されているアプリケーションのうち、ユーザに選択されたアプリケーションを実行する。ユーザは、携帯端末2の表示部21にメニュー画面が表示されているときに、操作部22を操作して所望のアプリケーションを選択することができる。このメニュー画面の画面情報は、画面出力インタフェース部25から車載装置1へ送信される。そして、車載装置1の表示部11にもアプリケーションを選択するためのメニュー画面が表示される。ユーザは、操作部12を操作することによっても携帯端末2が実行する所望のアプリケーションを選択することができる。
【0051】
ドライバディストラクションマネージャ24aは、連携機能を利用するときに実行されるアプリケーションであって、制御部20において他のアプリケーションが実行されていないときにはフォアグランドで実行される。一方、制御部20において他のアプリケーションが実行されているときには、ドライバディストラクションマネージャ24aがバックグランドで実行される。なお、ここでいう他のアプリケーションには、携帯端末2のオペレーティングシステムなどの制御プログラムは含まれない。
【0052】
ドライバディストラクションマネージャ24aがフォアグランドで実行されている場合に、ユーザが操作部12または操作部22を用いてアプリケーションを選択したとき、座標情報に基づいて選択されたアプリケーションを判断する。たとえば、ナビゲーション用のアプリケーションが選択された場合は、ナビゲーション用のアプリケーションがドライバディストラクションマネージャ24aによりメモリ部24から読み出される。その後、ナビゲーション用のアプリケーションがフォアグランドで実行され、ドライバディストラクションマネージャ24aがバックグランドで実行される。
【0053】
ドライバディストラクションマネージャ24aは、フォアグランドで実行を開始したアプリケーションに関して、車両の走行中に視認不能に規制する画像領域を決定する。たとえば、ドライバディストラクションマネージャ24aは、マスク画像105(
図4参照)や、マスク画像211および212(
図5(b)参照)、マスク画像301(
図6(b)参照)などのようなマスク画像を表示させる画像領域を決定する。
【0054】
メモリ部24には、各アプリケーションに対して、車両の走行中に視認不能に規制する画像領域に関する情報(以降、規制情報と称する)が記憶されている。たとえば、
図3(a)に示したナビゲーション用のアプリケーションの例では、
図4のマスク画像105を表示する画像領域に関する規制情報がメモリ部24に記憶されている。規制情報は、
図7に示すように長方形のマスク画像105の互いに向かう合う一対の頂点1051および頂点1052の座標(50,200)(700,430)を、規制情報として記憶している。
【0055】
ドライバディストラクションマネージャ24aは、フォアグランドで実行するアプリケーションを読み出すとき、メモリ部24から規制情報を読み出す。そして、ドライバディストラクションマネージャ24aは、その規制情報を、通信インタフェース部26を介して車載装置1へ送信する。
【0056】
車載装置1の制御部10は、連携機能を利用している間、規制用アプリケーション14a(
図2参照)を実行している。規制用アプリケーション14aは、携帯端末2から送信される規制情報を、通信インタフェース部16を介して受信する。規制用アプリケーション14aは、車両の走行中に、その規制情報に基づいて表示画像の規制を行う。たとえば、規制用アプリケーション14aは、座標(50,200)(700,430)を用いて、各座標を角とする長方形状のマスク画像105を表示する。
【0057】
規制用アプリケーション14aは、視認不能に規制している画像領域をユーザがタッチしたとき、そのタッチ操作で指定された位置(座標)に関する座標情報を携帯端末2へ送信しない。
【0058】
図8は、以上説明した本発明の第1の実施の形態による車両走行中のアプリケーション操作制限を実現するために、車載装置1と携帯端末2とでそれぞれ行われる処理の流れを示す図である。
図8に示す処理の開始時点において、車載装置1と携帯端末2とは接続されて
図1のような車載情報システムを構成している。
【0059】
車載装置1の表示部11および携帯端末2の表示部21に表示されるメニュー画面を介してユーザがアプリケーションを選択したとき、制御部20により実行されるドライバディストラクションマネージャ24aは、当該アプリケーションに対して起動指令を出力する(ステップS40)。ユーザが選択したアプリケーションは、この起動指令に基づいて起動されて、フォアグランドでの実行が開始される(ステップS41)。このときドライバディストラクションマネージャ24aは、バックグランドに移行する(ステップS42)。
【0060】
フォアグランドでの実行を開始したアプリケーションは、ドライバディストラクションマネージャ24aに対して起動通知を出力する(ステップS43)。ドライバディストラクションマネージャ24aは、この起動通知を受けて、フォアグランドで実行されているアプリケーションを判断する(ステップS44)。たとえば、ステップS43で受けた起動通知の内容に基づいて、フォアグランドで実行されているアプリケーションを判断する。あるいは、オペレーティングシステムに対して、フォアグランドで実行されているアプリケーションを判断するための情報を要求して、オペレーティングシステムからの応答に基づいてフォアグランドで実行されているアプリケーションを判断する。
【0061】
ドライバディストラクションマネージャ24aは、ステップS44で判断したフォアグランドで実行されているアプリケーションに関して、規制情報をメモリ部24から取得する(ステップS45)。そして、ドライバディストラクションマネージャ24aは、通信インタフェース部26を介して、ステップS45で取得した規制情報を車載装置1へ送信する(ステップS46)。
【0062】
車載装置1では、制御部10により規制用アプリケーション14aが起動されている。規制用アプリケーション14aは、通信インタフェース部16を介して、規制情報を受信する(ステップS46)。規制用アプリケーション14aは、ステップS46で受信した規制情報を制御部10のRAMに一時記憶する(ステップS47)。
【0063】
図9は、規制用アプリケーション14aの処理に関するフローチャートである。
図9に示す処理は、
図8のステップS47により規制情報がRAMに一時記憶された制御部10により実行される。
【0064】
ステップS501では、制御部10は、車両が走行しているか否かを判定する。たとえば、制御部10は、車速情報に基づいて車両の速度が零か否かを判定する。制御部10は、車両の速度が零のときは車両が走行していないと判断してステップS501を否定判定し、車両の速度が零でないときは車両が走行していると判断してステップS501を肯定判定する。規制用アプリケーション14aの処理は、ステップS501の判定が肯定判定された場合はステップS502に進み、否定判定された場合はステップS501に留まる。
【0065】
ステップS502では、制御部10は、RAMに一時記憶された規制情報を参照する。そしてステップS503では、制御部10は、ステップS502で参照した規制情報に基づいて、表示部11にマスク画像を表示する。
【0066】
図8のステップS41においてアプリケーションが起動されるたびに、
図8のステップS47においてそのアプリケーションに応じた規制情報が制御部10のRAMに一時記憶される。そして、その更新された規制情報が
図9のステップS502で参照されて、
図9のステップS503でのマスク画像の表示などに用いられる。
【0067】
−第2の実施の形態−
本発明の第2の実施の形態による車載情報システムについて説明する。
図10は、本発明の第2の実施の形態による車載情報システムに備わる車載装置1および携帯端末4の構成を示すブロック図である。携帯端末4は、メモリ部24に記憶されているアプリケーションが携帯端末2と異なる。第1の実施の形態と同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
携帯端末4のメモリ部24には、ドライバディストラクションマネージャ24aの代わりにアプリケーションマネージャ24bが記憶されている。アプリケーションマネージャ24bは、連携機能を利用するときに実行されるアプリケーションであって、制御部20において他のアプリケーションが実行されていないときにはフォアグランドで実行される。一方、制御部20において他のアプリケーションが実行されているときには、アプリケーションマネージャ24bがバックグランドで実行される。なお、ここでいう他のアプリケーションには、携帯端末2のオペレーティングシステムなどの制御プログラムは含まれない。
【0069】
また、携帯端末4のメモリ部24には、その他のアプリケーション24cが図示されている。アプリケーション24cは、たとえば、ナビゲーション用のアプリケーション、メディアプレイヤのアプリケーション、写真画像を利用した時刻表示アプリケーションなどである。アプリケーション24cは、
図11に図示するように、ドライバディストラクション関数601と規制情報602とを有する。
【0070】
図12は、本発明の第2の実施の形態による車両走行中のアプリケーション操作制限を実現するために、車載装置1と携帯端末4とでそれぞれ行われる処理の流れを示す図である。
図12に示す処理の開始時点において、車載装置1と携帯端末4とは接続されて
図1と実質的に同等な車載情報システムを構成している。また、車載装置1の表示部11および携帯端末4の表示部21には起動するアプリケーションをユーザが選択するためのメニュー画面が表示されている。
【0071】
携帯端末4の制御部20は、アプリケーションマネージャ24bを実行する。ユーザがアプリケーション24cを選択したとき、アプリケーションマネージャ24bは、アプリケーション24cに対して起動指令を出力する(ステップS70)。ユーザが選択したアプリケーション24cは、この起動指令に基づいて起動されて、フォアグランドでの実行が開始される(ステップS71)。このときアプリケーションマネージャ24bは、バックグランドに移行する(ステップS72)。
【0072】
フォアグランドでの実行を開始したアプリケーション24cは、アプリケーションマネージャ24bに対して起動通知を出力する(ステップS73)。その後、アプリケーション24cは、ドライバディストラクション関数601を実行して、規制情報602を取得して(ステップS74)、その規制情報602を、通信インタフェース部26を介して車載装置1へ送信する(ステップS75)。
【0073】
車載装置1では、制御部10により規制用アプリケーション14aが起動されている。規制用アプリケーション14aは、通信インタフェース部16を介して、規制情報を受信する(ステップS76)。規制用アプリケーション14aは、ステップS76で受信した規制情報を制御部10のRAMに一時記憶する。
【0074】
図12で明らかのように、第2の実施の形態では、第1の実施の形態におけるドライバディストラクションマネージャ24aの機能を、アプリケーションの起動制御を行うアプリケーションマネージャ24bと、規制情報602を車載装置1へ送信するドライバディストラクション関数601とを用いて実施する。
【0075】
−第3の実施の形態−
本発明の第3の実施の形態による車載情報システムについて説明する。本発明の第3の実施の形態による車載情報システムは、規制情報の内容が第1および第2の実施の形態と異なる。第3の実施の形態では、視認不能に規制する画像領域を隠すための規制用基準画像を、車載装置1のメモリ部14に記憶している。
【0076】
図13(a)は、車載装置1のメモリ部14に記憶されている規制用基準画像の一例を示す。
図13(a)に示す規制用基準画像800は、表示画面の下半分を隠すマスク画像801を含んでいる。車載装置1のメモリ部14には、これ以外にも、表示画面全体を隠す規制用基準画像、表示画面の左半分、右半分、上半分をそれぞれ隠す規制用基準画像、
図14に示すような特殊な規制用基準画像など、複数の規制用基準画像が記憶されている。携帯端末2のドライバディストラクションマネージャ24aは、規制情報として、表示部11に表示させる規制用基準画像を指定する情報を、通信インタフェース部26を介して車載装置1に送信する。たとえば、{規制用基準画像:下半分の規制用基準画像の画像ID}という情報を、車載装置1へ送信する。車載装置1の制御部10は、携帯端末2の制御部20から送信される規制情報により指定された規制用基準画像を、アプリケーションの画像の上に重ねて表示する。
【0077】
図13(b)は、車載装置1の表示部11に表示される
図3(a)の経路設定画面100の上に、
図13(a)の規制用基準画像800を重ねて表示した状態を示す。規制用基準画像800のマスク画像801は、
図3(a)の経路設定画面100において運転手の注意を引く画像である文字入力領域101を隠している。マスク画像801が重ねて表示されて、隠された領域は、ユーザによるタッチ操作を受け付けない。たとえば
図13(b)の例では、
図3(a)において経路設定画面100が表示されている画面領域をユーザがタッチしても、その座標情報を携帯端末2へ送信しない。
【0078】
図14は、車載装置1のメモリ部14に記憶されている規制用基準画像の一例である。
図14には、メディアプレイヤのアプリケーションを実行しているときに利用する規制用基準画像が示されている。
図14の規制用基準画像900は、表示画面全体を隠すためのマスク画像とともに、操作ボタン領域901〜907が含まれる。
【0079】
操作ボタン領域901〜907は、規制用基準画像に含まれる画像でありながら、それぞれ
図5(a)の操作ボタン領域203〜209と同様の機能を有している。ユーザが操作ボタン領域901〜907をタッチすると、その座標情報が携帯端末2へ送信される。携帯端末2は、規制用基準画像において、操作ボタン領域901〜907が表示される画像領域を、メモリ部24に記憶している。携帯端末2の制御部20は、この座標情報に基づいて、操作ボタン領域901〜907に対応した操作を実行する。規制用基準画像にこのような操作ボタン領域を有することにより、アプリケーションとしての最低限の機能を保証することができる。
【0080】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を奏する。
本発明の第1、第2、第3の実施の形態による車載情報システムは、
図1に示されるように情報端末の一つである携帯端末2と、車両に備わる車載装置1とを有する。車載装置1の制御部10は、
図2または
図10に示されるように、車両から車速情報を取得して、その車速情報に基づいて車両が走行中か否かを判定する。車載装置1は、制御部10と表示部11を備え、制御部10は、車両の走行中に表示部11にマスク画像を表示することにより表示画面の一部または全体を視認不能に規制する。携帯端末2は、ナビゲーション用のアプリケーションやメディアプレイヤのアプリケーションなどのアプリケーションと、規制情報とをメモリ部24に記憶している。携帯端末2は、画面出力インタフェース部25を用いてアプリケーションに応じた画像を車載装置1へ出力する。また、携帯端末2は、通信インタフェース部26を用いて規制情報を車載装置1へ出力する。車載装置1の制御部10は、この規制情報を用いてマスク画像を表示部11に表示する。このようにしたので、車両の走行中に、携帯端末2を車載装置1に接続し、携帯端末2においてインストールされたアプリケーションを実行して画像を車載装置1に出力する場合に、運転の安全性を確保することができる。
【0081】
以上で説明した実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
(変形例1)上記の実施の形態では、マスク画像の形状は長方形としたが、その他の多角形や円形などのような他の形状であってもよい。多角形の場合における規制情報は、すべての形状の角となる頂点の座標を多角形の外周に沿った順番で指定することにすればよい。また、円形の場合における規制情報は、円の中心座標と、円の半径を指定するための座標として指定することにすればよい。
【0082】
(変形例2)第1および第2の実施の形態では、規制情報にはマスク画像を表示するための座標を含むこととしたが、この規制情報には、マスク画像の色情報(色相、彩度、輝度)、マスク画像の模様(無地、ハッチングなど)、表示タイミングなどをさらに含むことにしてもよい。
【0083】
(変形例3)上記の実施の形態では、ユーザがアプリケーションを選択するたびに規制情報を出力することとしたが、表示画面が切り替わるたびに出力することにしてもよい。
【0084】
(変形例4)メモリ部24は、ドライバディストラクションマネージャ24aとアプリケーションマネージャ24bとの両方を記憶することにしてもよい。この場合、アプリケーションマネージャ24bがアプリケーションの起動制御機能を行い、ドライバディストラクションマネージャ24aが規制情報を車載装置1へ出力することにすればよい。
【0085】
(変形例5)規制用アプリケーション14aは、携帯端末2との連携を行っていないときにも、車両の走行中に所定の規制を行ってもよい。車載装置1のメモリ部14に車載装置1用のアプリケーションが記憶されており、そのアプリケーションを実行しているときに所定の画像領域を視認不能とするような規制を行ってもよい。
【0086】
(変形例6)通信ケーブル3は、コンポジットAVケーブルなどのような画像信号を送信するためのケーブルを含んでもよい。ただし、コンポジットAVケーブル等に対しては、通信インタフェース部16はインタフェース処理を行わない。
【0087】
(変形例7)表示部11は、運転席側から見た場合と、助手席側から見た場合とで異なる画像が見えるように画像表示できるものであってもよい。このとき、車両の走行中は、運転席側から見える画像表示だけを規制することにすればよい。
【0088】
(変形例8)
図9のステップS501における車両が走行中か否かの判定は、制御部10が取得した車速情報に基づいて判定してもよいし、携帯端末2のGPS受信部28が受信したGPS信号に基づいて検出することにしてもよい。また、車両が走行中か否かの判定は、携帯端末2の制御部20が行ってもよく、その判定結果を通信インタフェース部26を介して車載装置1へ出力することにしてもよい。
【0089】
以上説明した実施の形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記実施の形態と変形例とを任意に組み合わせて用いてもよい。