(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記断面において、前記第2出射光のうち、前記光軸に対して前記出射領域の最も外側から出射した第2外側出射光の前記光軸に対する角度は、前記第1出射光のうち、前記光軸に対して前記出射領域の最も外側から出射した第1外側出射光の前記光軸に対する角度より小さい、請求項3に記載の光束制御部材。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[実施の形態1]
(光束制御部材および発光装置の構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る発光装置100の断面図である。
図2に示されるように、発光装置100は、発光素子120および光束制御部材140を有する。発光素子120は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。光束制御部材140は、発光素子120から出射された光の配光を制御する。光束制御部材140は、その中心軸CAが発光素子120の光軸LAに合致するように配置される。
【0017】
光束制御部材140は、射出成形により形成されうる。光束制御部材140の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。たとえば、光束制御部材140の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0018】
図3および
図4は、本実施の形態に係る光束制御部材140の構成を示す図である。
図3Aは、光束制御部材140の平面図であり、
図3Bは、側面図であり、
図3Cは、底面図であり、
図3Dは、屈折部144およびフレネルレンズ部145を省略した底面図である。
図4Aは、
図3Cに示されるA−A線の断面図であり、
図4Bは、B−B線の断面図であり、
図4Cは、
図4Bに示される破線部分の拡大図である。
【0019】
図3および
図4に示されるように、光束制御部材140は、発光素子120から出射された光を入射させる入射領域141と、入射領域141の反対側に位置し、入射領域141から入射した光を出射させる出射領域142とを有する。入射領域141と出射領域142との間には、フランジ143が設けられていてもよい。
【0020】
光束制御部材140の平面視形状は、特に限定されない。本実施の形態の光束制御部材140の平面視形状は、長方形(より具体的には正方形)である。
【0021】
入射領域141は、発光素子120から出射された光を入射させる。入射領域141は、入射領域141の中央部分に位置する屈折部144と、屈折部144の外側に位置するフレネルレンズ部145とを有する。
【0022】
屈折部144は、発光素子120から出射された光の一部(光軸LAに対して小さな角度で出射された光)を光束制御部材140内に入射させるとともに、入射した光を出射領域142に向かって屈折させる。屈折部144は、発光素子120と対向する位置に、光束制御部材140の中心軸CA(発光素子120の光軸LA)と交わるように配置されている(
図2参照)。なお、屈折部144の形状は、上記の機能を発揮することができれば、特に限定されない。たとえば、屈折部144の形状は、球面または非球面であってもよいし、屈折型フレネルレンズであってもよい。本実施の形態における屈折部144の形状は、四角錐状である。
【0023】
フレネルレンズ部145は、発光素子120から出射された光の一部を入射させる入射面と、入射面と対に形成され、入射した光を前記出射領域に向けて反射させる反射面とを有する凸条を複数含む。これらの凸条は、平面視において互いに相似し、同心かつ各辺が平行となるように配置された複数の仮想四角形の各辺上に配置されている。
【0024】
より具体的には、フレネルレンズ部145は、屈折部144側に位置する第1フレネルレンズ部145aと、第1フレネルレンズ部145aの外側に位置する第2フレネルレンズ部145bとを有する。この後説明するように、屈折部144および第2フレネルレンズ部145bから入射した光は、主として四角形状の被照射領域の中央部分を照らす。一方、第1フレネルレンズ部145aから入射した光は、主として四角形状の被照射領域の外周部分を照らす。
【0025】
第1フレネルレンズ部145aは、発光素子120から出射された光の一部(光軸LAに対してやや大きな角度で出射された光)を光束制御部材140内に入射させるとともに、入射した光を出射領域142に向けて反射させる(
図8A参照)。第1フレネルレンズ部145aは、平面視において互いに相似し、同心かつ各辺が平行となるように配置された複数の第1仮想四角形S1(
図3D参照)を想定し、これら第1仮想四角形S1の各辺上に配置された複数の第1凸条147を有する。第1仮想四角形S1は、前述の仮想四角形に該当し、第1凸条147は、前述の凸条に該当する。第1仮想四角形S1の形状は、特に限定されない。本実施の形態の第1仮想四角形S1の形状は、長方形(より具体的には正方形)である。
【0026】
各第1仮想四角形S1の一辺上に配置された第1凸条147は、それぞれが属する第1仮想四角形S1の隣接する他の一辺上に配置された第1凸条147と、接していてもよいし、離間していてもよい。通常、第1仮想四角形S1の任意の一辺上に配置された第1凸条147は、一端から他端まで同一形状に形成される。さらに、第1仮想四角形S1の四辺上に配置された4つの第1凸条147の形状も同じである。ある第1仮想四角形S1における第1凸条147と、他の第1仮想四角形S1における第1凸条147との大きさは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
第1凸条147は、発光素子120から出射された光を入射させる入射面である第1傾斜面148と、第1傾斜面148から入射した光を出射領域142に向けて反射させる反射面である第2傾斜面149とを有する。各第1凸条147において、第1傾斜面148は内側(中心軸CA側)に位置し、第2傾斜面149は外側に位置する。また、各第1凸条147において、第1傾斜面148と第2傾斜面149とは、連続していてもよいし、不連続であってもよい。前者の場合、第1傾斜面148と第2傾斜面149との間に稜線が形成される。後者の場合、第1傾斜面148と第2傾斜面149との間に別の面が形成される。第1傾斜面148と第2傾斜面149との間に別の面を設けた場合、鋭角部分(稜線部分)を無くすことで、製造性を向上させることができる。
【0028】
中心軸CAを含む断面において、第1傾斜面148は、直線であってもよいし、曲線であってもよい。発光素子120の光軸LAに対する第1傾斜面148の角度は、第1傾斜面148から入射した光を第2傾斜面149側に屈折させることができれば特に限定されず、発光素子120の大きさや位置などに応じて適宜設定されうる。なお、中心軸CAを含む断面において、第1傾斜面148が曲線の場合、「第1傾斜面148の角度」とは、光の入射点における第1傾斜面148の接線の角度をいう。
【0029】
中心軸CAを含む断面において、第2傾斜面149は、直線であってもよいし、曲線であってもよい。発光素子120の光軸LAに対する第2傾斜面149の角度は、出射領域142から出射した光が被照射領域の外周部分に向かうように、第1傾斜面148から入射した光を出射領域142側に反射させることができれば特に限定されない。なお、中心軸CAを含む断面において、第2傾斜面149が曲線の場合、「第2傾斜面149の角度」とは、光の入射点における第2傾斜面149の接線の角度をいう。
【0030】
第2フレネルレンズ部145bは、発光素子120から出射された光の一部(光軸LAに対して大きな角度で出射された光)を光束制御部材140内に入射させるとともに、入射した光を出射領域142に向けて反射させる(
図8D参照)。第2フレネルレンズ部145bは、平面視において第1仮想四角形S1と相似し、第1仮想四角形S1と同心かつ各辺が平行となるように配置された1または2以上の第2仮想四角形S2を想定し、その四辺上に配置された複数の第2凸条150を有する。第2仮想四角形S2は、前述の仮想四角形に該当し、第2凸条150は、前述の凸条に該当する。本実施の形態では、1つの第2仮想四角形S2の四辺上に配置された4つの第2凸条150を有する場合を示している。
【0031】
第2仮想四角形S2の一辺上に配置された第2凸条150は、第2仮想四角形S2の隣接する他の一辺上に配置された第2凸条150と、接していてもよいし、離間していてもよい。通常、第2仮想四角形S2の任意の一辺上に配置された第2凸条150は、一端から他端まで同一形状に形成される。さらに、第2仮想四角形S2の四辺上に配置された4つの第2凸条150の形状も同じである。ある第2仮想四角形S2における第2凸条150と、他の第2仮想四角形S2における第2凸条150との大きさは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第2凸条150は、屈折部144および第1フレネルレンズ部145aから入射しなかった側方方向の光を入射させる観点から、屈折部144および第1フレネルレンズ部145aより大きく形成されていることが好ましい。
【0032】
第2凸条150は、発光素子120から出射された光を入射させる入射面である第3傾斜面151と、第3傾斜面151から入射した光を出射領域142に向けて反射させる反射面である第4傾斜面152とを有する。第3傾斜面151は内側(中心軸CA側)に位置し、第4傾斜面152は外側に位置する。また、第3傾斜面151と第4傾斜面152とは、連続していてもよいし、不連続であってもよい。前者の場合、第3傾斜面151と第4傾斜面152との間に稜線が形成される。後者の場合、第3傾斜面151と第4傾斜面152との間に別の面が形成される。第3傾斜面151と第4傾斜面152との間に別の面を設けた場合、鋭角部分(稜線部分)を無くすことで、製造性を向上させることができる。
【0033】
中心軸CAを含む断面において、第3傾斜面151は、直線であってもよいし、曲線であってもよい。発光素子120の光軸LAに対する第3傾斜面151の角度は、第3傾斜面151から入射した光を第4傾斜面152側に屈折させることができれば特に限定されず、発光素子120の大きさや位置などに応じて適宜設定されうる。なお、中心軸CAを含む断面において、第3傾斜面151が曲線の場合、「第3傾斜面151の角度」とは、光の入射点における第3傾斜面151の接線の角度をいう。
【0034】
中心軸CAを含む断面において、第4傾斜面152は、直線であってもよいし、曲線であってもよい。発光素子120の光軸LAに対する第4傾斜面152の角度は、出射領域142から出射した光が被照射領域の中央部分に向かうように、第1傾斜面148から入射した光を出射領域142側に反射させることができれば特に限定されない。なお、中心軸CAを含む断面において、第4傾斜面152が曲線の場合、「第4傾斜面152の角度」とは、光の入射点における第4傾斜面152の接線の角度をいう。
【0035】
[光路シミュレーションおよび照度シミュレーション]
図3および
図4に示される本実施の形態に係る光束制御部材140を有する発光装置100について、発光素子120から出射された光の光路のシミュレーションおよび照度分布のシミュレーションを行った。また、比較のため、
図5に示される光束制御部材50を有する発光装置についても、発光素子から出射された光の光路のシミュレーションおよび照度分布のシミュレーションをした。
【0036】
図5Aは、比較例の光束制御部材50の平面図であり、
図5Bは、
図5Aに示されるC−C線の断面図であり、
図5Cは、底面図である。
図5に示されるように、比較例の光束制御部材50は、平面視形状が円形である点、同心円状に配置された円環状の凸部60を複数有する点などで本実施の形態に係る光束制御部材140と異なる。
【0037】
図6は、比較例の発光装置を用いた照度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図6Aは、発光素子の発光面から100mm離れた被照射領域を想定した場合の照度分布のシミュレーション結果であり、
図6Bは、発光素子の発光面から500mm離れた被照射領域を想定した場合の照度分布のシミュレーション結果であり、
図6Cは、発光素子の発光面から1000mm離れた被照射領域を想定した場合の照度分布のシミュレーション結果であり、
図6Dは、発光素子の発光面から1500mm離れた被照射領域を想定した場合の照度分布のシミュレーション結果である。
図6A〜
図6Dの左図における縦軸および横軸は、発光素子の光軸LA(光束制御部材50の中心軸CA)からの距離(mm)を示している。また、右図における縦軸は、照度(lux)を示している。
【0038】
図6A〜Dに示されるように、比較例の光束制御部材50を有する発光装置では、発光素子の発光面からの距離に関わらず、被照射領域における照度分布の外形は円形であった。
【0039】
図7〜
図10は、本実施の形態に係る発光装置100の平面図および光路図である。
図7Aは、発光装置100の平面図であり、
図7B、
図8Aおよび
図8Bは、
図7Aに示される第1仮想四角形S1および第2仮想四角形S2の一辺に平行なD−D線の断面図である。
図7Bは、その断面における屈折部144、第1フレネルレンズ部145aおよび第2フレネルレンズ部145bから入射する光の光路図である。
図7Aでは、想定される第1仮想四角形S1および第2仮想四角形S2の一部(それぞれ1つずつ)を破線で示している。
図8Aは、
図7Aに示されるD−D断面における第1フレネルレンズ部145aから入射する光の光路図であり、
図8Bは、
図7Aに示されるD−D断面における第2フレネルレンズ部145bから入射する光の光路図である。
図9Aは、発光装置100の平面図であり、
図9B、
図10Aおよび
図10Bは、
図9Aに示される第1仮想四角形S1および第2仮想四角形S2の対角E−E線の断面図である。
図9Bは、その断面における屈折部144、第1フレネルレンズ部145aおよび第2フレネルレンズ部145bから入射する光の光路図である。
図10Aは、
図9Aに示されるE−E断面における第1フレネルレンズ部145aから入射する光の光路図であり、
図10Bは、
図9Aに示されるE−E断面における第2フレネルレンズ部145bから入射する光の光路図である。なお、
図7B、
図8、
図9Bおよび
図10では、発光面の半面から出射された光のみ示している。
【0040】
以下の説明では、光軸LAを通り、かつ第1仮想四角形S1(第2仮想四角形S2)の一辺と平行な断面において、出射領域142から出射し、出射領域142から離れるにつれて光軸LAから離れる光の光軸LAに対する角度を「正」とし、出射領域142から出射し、出射領域142から離れるにつれて光軸LAに近づく光の光軸LAに対する角度を「負」とする。この場合、
図8Aに示されるように、第1フレネルレンズ部145aで反射して出射領域142から出射した第1出射光L1の光軸LAに対する角度は、「正」である(光束制御条件:0°<θ1a,θ1b)。すなわち、第1フレネルレンズ部145aで反射して出射領域142から出射した第1出射光L1は、被照射領域の外周部分に向かうように制御される。また、第1出射光L1のうち、最も光軸LA側から出射した第1内側出射光L1aの出射角(θ1a)は、最も外側から出射した第1外側出射光L1bの出射角(θ1b)より小さくなるように制御されている。これにより、第1フレネルレンズ部145aから入射した光は、被照射領域の外周部分に向かうように制御される。
【0041】
また、
図8Bに示されるように、第2フレネルレンズ部145bで反射して出射領域142から出射した第2出射光L2は、光軸LA(LA’)に対する角度が「正」、「0(平行)」および「負」の出射光を有する(光束制御条件:θ2a≦0°≦θ2b)。また、第2出射光L2のうち、最も外側から出射した第2外側出射光L2bの出射角(θ2b)は、第1外側出射光L1bの出射角(θ1b)より小さくなるように制御されている(光束制御条件:θ2b<θ1b)。これらにより、第2フレネルレンズ部145bから入射した光は、被照射領域の中央部分に向かうように制御される。なお、「θ2a」は、第2出射光L2のうち、最も内側から出射した第2内側出射光L2aの出射角を示している。ここでいう出射角とは、出射光の光軸LAに対する角度を意味する。
【0042】
このように、光軸LAを通り、かつ第1仮想四角形S1(第2仮想四角形S2)の一辺に平行な断面において、前述の光束制御条件(0°<θ1a,θ1b、θ2a≦0°≦θ2b、θ2b<θ1b)を満たし、一端から他端まで同一形状の第1凸条147(第2凸条150)を第1仮想四角形S1(第2仮想四角形S2)の各辺に沿って形成すると、
図10に示される第1仮想四角形S1(第2仮想四角形S2)の対角線を含む断面では、被照射領域の外周方向に向かうように制御されており、四角形状の被照射領域におけるコーナー方向に向かう光が生成されていることがわかる。すなわち、光軸LAを通り、かつ第1仮想四角形S1(第2仮想四角形S2)の一辺に平行な断面において、第1凸条147(第2凸条150)が、前述の光束制御条件を満たさない場合には、均一性の高い四角形状の被照射領域が得られない。なお、第1凸条147および第2凸条150の設計には、発光素子120の発光面上の光軸LAとの交点から出射する光を用いる。
【0043】
図11〜
図14は、本実施の形態に係る発光装置100を用いた照度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図11は、発光素子120の発光面から100mm離れた被照射領域を想定した場合の照度分布のシミュレーション結果である。
図11Aは、屈折部144および第1フレネルレンズ部145aから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果であり、
図11Bは、第2フレネルレンズ部145bから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果であり、
図11Cは、
図11Bの照度スケールを
図11Aに合わせたものであり、
図11Dは、屈折部144、第1フレネルレンズ部145aおよび第2フレネルレンズ部145bから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果である。
【0044】
図12は、発光素子120の発光面から500mm離れた被照射領域を想定した場合の照度分布のシミュレーション結果である。
図12Aは、屈折部144および第1フレネルレンズ部145aから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果であり、
図12Bは、第2フレネルレンズ部145bから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果であり、
図12Cは、
図12Bの照度スケールを
図12Aに合わせたものであり、
図12Dは、屈折部144、第1フレネルレンズ部145aおよび第2フレネルレンズ部145bから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果である。
【0045】
図13は、発光素子120の発光面から1000mm離れた被照射領域を想定した場合の照度分布のシミュレーション結果である。
図13Aは、屈折部144および第1フレネルレンズ部145aから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果であり、
図13Bは、第2フレネルレンズ部145bから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果であり、
図13Cは、
図13Bの照度スケールを
図13Aに合わせたものであり、
図13Dは、屈折部144、第1フレネルレンズ部145aおよび第2フレネルレンズ部145bから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果である。
【0046】
図14は、発光素子120の発光面から1500mm離れた被照射領域を想定した場合の照度分布のシミュレーション結果である。
図14Aは、屈折部144および第1フレネルレンズ部145aから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果であり、
図14Bは、第2フレネルレンズ部145bから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果であり、
図14Cは、
図14Bの照度スケールを
図14Aに合わせたものであり、
図14Dは、屈折部144、第1フレネルレンズ部145aおよび第2フレネルレンズ部145bから入射した光に基づく照度分布のシミュレーション結果である。
【0047】
なお、
図11〜
図14の左図における縦軸および横軸は、発光素子の光軸LA(光束制御部材140の中心軸CA)からの距離(mm)を示している。また、右図における縦軸は、照度(lux)を示している。
【0048】
図11A、
図12A、
図13Aおよび
図14Aに示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材140を有する発光装置100では、発光素子120の発光面からの距離に関わらず、第1フレネルレンズ部145aから入射した光は、被照射領域の外周部分を照らす。また、
図11C、
図12C、
図13Cおよび
図14Cに示されるように、第2フレネルレンズ部145bから入射した光は、被照射領域の中央部分を照らす。さらに、
図11D、
図12D、
図13Dおよび
図14Dに示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材140を有する発光装置100では、発光素子120の発光面からの距離に関わらず、被照射領域が四角形状であった。
【0049】
このように、第1仮想四角形S1および第2仮想四角形S2が正方形ならば、本実施の形態のように、正方形状の被照射領域を照らすことができる。すなわち、第1仮想四角形S1および第2仮想四角形S2の形状と、被照射領域の形状は、相似形状である。よって、長方形状の被照射領域を照らす場合には、第1仮想四角形S1および第2仮想四角形S2を長方形にすればよい。
【0050】
図6、
図11D、
図12D、
図13Dおよび
図14Dの矢印は、被照射領域の四隅(最も暗い部分)における照度のヒストグラムを指している。これは、本実施の形態に係る光束制御部材140を用いた場合の被照射領域の四隅は、比較例の光束制御部材50を用いた場合の被照射領域の四隅より明るいことを示している。すなわち、本実施の形態に係る発光装置100は、前述した光束制御条件を満たす凸条を四角形の各辺上に配置されるように形成することで、比較例の発光装置よりも、中央部分から外周部分に至るまでの四角形状の被照射領域を均一かつ効率的に照らしていることがわかる。
【0051】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る光束制御部材140は、第1フレネルレンズ部145aおよび第2フレネルレンズ部145bから入射し、出射領域142から出射する光の配光をそれぞれ前述の光束制御条件にしたがって制御することで、四角形状の被照射領域を均一かつ効率的に照らすことができる。
【0052】
なお、発光素子120の平面形状は、特に限定されない。発光素子120の平面形状の例には、円形状、四角形状などの多角形状が含まれる。たとえば、四角形状の発光素子120の場合、発光素子120の一辺と、光束制御部材140の第1仮想四角形S1(第2仮想四角形S2)の一辺との位置関係も特に限定されず、45°ずらして配置した場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0053】
[照明装置の構成]
次に、本実施の形態に係る発光装置100を有する照明装置400について説明する。
【0054】
図15は、本実施の形態に係る照明装置400の構成を示す図である。
図15に示されるように、照明装置400は、複数の発光装置100およびカバー420を有していてもよい。前述したように、発光装置100は、光束制御部材140および発光素子120を含む。発光素子120は、基板440に固定されている。
【0055】
カバー420は、発光装置100からの出射光を拡散させつつ透過させるとともに、発光装置100を保護する。カバー420は、発光装置100から出射される光の光路上に配置されている。カバー420の材料は、上記の機能を発揮することができれば特に限定されない。カバー420の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0056】
[効果]
本実施の形態に係る照明装置400は、本実施の形態に係る光束制御部材140および発光装置100と同様の効果を有する。
【0057】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る発光装置および照明装置は、光束制御部材240の形状が実施の形態1に係る発光装置100および照明装置400とそれぞれ異なる。そこで、実施の形態1に係る発光装置100および照明装置400と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略し、光束制御部材240の新しい構成要素を中心に説明する。実施の形態2に係る光束制御部材240は、第1仮想四角形S1の対角線上に、隣り合う凸条を離間する壁部260をさらに有する点で実施の形態1に係る光束制御部材140と異なる。
【0059】
図16〜
図18に示されるように、実施の形態2に係る光束制御部材240は、入射領域241および出射領域142を有する。入射領域241と出射領域142との間には、フランジ243が設けられている。また、入射領域241は、屈折部144と、第1フレネルレンズ部245aおよび第2フレネルレンズ部145bを含むフレネルレンズ部245と、を有する。
【0060】
第1フレネルレンズ部245aは、平面視において互いに相似し、同心かつ各辺が平行となるように配置された複数の第1仮想四角形S1を想定し、その四辺上に配置された4つの第1凸条247を有する。
【0061】
第1仮想四角形S1の各対角線上には、壁部260が配置されている。壁部260は、所定の厚みを有しており、第1仮想四角形S1において互いに隣接する2つの第1凸条247,247を離間する。壁部260は、第1凸条247の谷部から第1凸条247の頂部までと同じ高さ、またはそれ以上の高さに設計される。第1仮想四角形S1の対角線に直交する方向における壁部260の断面形状は、縦長の長方形である。また、壁部260は、平面視において最も内側にある第1仮想四角形S1の第1凸条247から、最も外側にある第1仮想四角形S1の第1凸条247まで連続して配置されている。なお、壁部260の内側端部は、屈折部144まで延在されていてもよい。
【0062】
また、壁部260は、第1仮想四角形S1の対角線の方向における一方の端部が屈折部144に達しており、他方の端部が第2フレネルレンズ部145bに達していれば、第1凸条247の頂部までの高さよりも低くてもよい(段落0074参照)。
【0063】
なお、特に図示しないが、実施の形態2に係る光束制御部材240を有する発光装置を用いた照度分布のシミュレーション結果は、実施の形態1に係る光束制御部材140を有する発光装置100を用いた照度分布のシミュレーション結果と同じであった。
【0064】
(成形型の構成)
次に、実施の形態2に係る光束制御部材240を成形するための成形型270について説明する。
図19〜
図21は、実施の形態2に係る光束制御部材240の成形に用いられる成形型270の構成を示す図である。
図19Aは、成形型270の第1金型272を下から見た斜視図であり、
図19Bは、
図19Aにおいて破線で示される円C1の部分の拡大図であり、
図19Cは、破線で示される円C2の部分の拡大図である。
図20Aは、第1金型272の底面図であり、
図20Bは、屈折部成形領域およびフレネルレンズ部成形領域274を省略した底面図であり、
図20Cは、
図20Aに示されるK−K線の断面図であり、
図20Dは、
図20Aにおいて破線で示される部分の拡大図である。
図21Aは、
図21Aに示されるL−L線の断面図であり、
図21Bは、
図21Aにおいて破線で示される部分の拡大図であり、
図21Cは、M−M線の断面図であり、
図21Dは、
図21Cにおいて破線で示される部分の拡大図であり、
図21Eは、N−N線の断面図であり、
図21Fは、
図21Eにおいて破線で示される部分の拡大図であり、
図21Gは、O−O線の断面図であり、
図21Hは、
図21Gにおいて破線で示される部分の拡大図である。
【0065】
一般的に、フレネルレンズの成形に使用される成形型は、円形の金型を旋盤加工して同心円状の溝(凹部)を複数形成することで製造されうる。しかしながら、前述したように、本発明に係る光束制御部材240は、直線状の第1凸条247を含むフレネルレンズ部245を有する。よって、本発明に係る成形型270は、第1凸条247に対応する凹条を旋盤加工により形成することができない。また、互いに隣接する2つの凹条が接続している場合、凹条による角を機械加工により形成することは困難である。仮に第1凸条247に対応する凹条を形成することができたとしても、射出成形時に凹条と隣接する凹条との境界部分に気泡が残ってしまうおそれがある。
【0066】
このような問題を解決すべく、本実施の形態に係る光束制御部材240を成形する成形型270では、隣接する第1凹条277の境界部分に溝部280が配置されている。
【0067】
図19〜
図21に示されるように、成形型270は、光束制御部材240の入射領域241側の部分を成形するための第1金型272と、出射領域142側の部分を成形するための第2金型(図示省略)と、を有する。
【0068】
第1金型272は、光束制御部材240の入射領域241側の形状に対応した形状を有する。第1金型272は、屈折部144を成形するための屈折部成形領域273と、フレネルレンズ部245を成形するためのフレネルレンズ部成形領域274と、を有している。フレネルレンズ部成形領域274は、平面視において互いに相似し、同心かつ各辺が平行となるように配置された複数の仮想四角形の各辺上に配置された複数の凹条を有する。仮想四角形の各対角線上には、仮想四角形の一辺上に配置されている凹条と、当該仮想四角形において一辺に隣接する他の一辺上に配置されている凹条とを離間する溝部が配置されている。より具体的には、フレネルレンズ部成形領域274は、第1フレネルレンズ部145aを成形するための第1フレネルレンズ部成形領域275と、前記第1フレネルレンズ部成形領域の外側に位置し、第2フレネルレンズ部145bを成形するための第2フレネルレンズ部成形領域276と、を有している。
【0069】
第1フレネルレンズ部成形領域275は、複数の第1仮想四角形S1に対応した、平面視において互いに相似し、同心かつ各辺が平行となるように配置された複数の第1仮想四角形S1’の各辺上に配置された複数の第1凹条277を有している。第1仮想四角形S1’は前述の仮想四角形に該当し、第1凹条277は、前述の凹条に該当する。第1仮想四角形S1’の各対角線上には、溝部280が配置されている。
【0070】
第2フレネルレンズ部成形領域276は、1または2以上の前記第1仮想四角形S1’に対応した、平面視において前記第1仮想四角形S1’と相似し、前記第1仮想四角形S1’と同心かつ各辺が平行となるように配置された1または2以上の第2仮想四角形S2’の各辺上に配置された複数の第2凹条278を有している。第2仮想四角形S2’は、前述の仮想四角形に該当し、第2凹条278は、前述の凹条に該当する。
【0071】
溝部280は、後述する射出成形時において、キャビティーのガス抜け用の通路として機能する。溝部280は、所定の深さを有しており、第1仮想四角形S1’において互いに隣接する2つの第1凹条277,277を離間する。溝部280は、第1凹条277の頂部から第1凹条277の谷部までと同じ深さ、またはそれよりも深く形成される。また、溝部280は、平面視において最も内側にある第1仮想四角形S1’の第1凹条277から、最も外側にある第1仮想四角形S1’の第1凹条277まで連続して配置されている。すなわち、溝部280は、少なくとも第1フレネルレンズ部成形領域275に配置されていればよい。なお、溝部280の内側端部は、屈折部成形領域273まで延在されていてもよい。
【0072】
第2金型(図示省略)は、光束制御部材240の出射領域142側の形状に対応した形状を有する。第2金型は、第1金型272と型締めされることで、光束制御部材240の形状をしたキャビティーを形成する。
【0073】
前述したように光束制御部材240は、射出成形により製造されうる。射出成形は、成形型270(第1金型272および第2金型)を型締めする型締め工程と、成形型270の内部(キャビティー)に溶融した樹脂を充填する充填工程と、成形型270内に溶融樹脂を充填させた状態で保圧しながら自然冷却する保圧工程と、型締めされた成形型270を型開きする型開き工程と、を有する。
【0074】
前述したように、溝部280は、射出成形時の充填工程において、ガス抜き用の通路として機能すればよいため、溝部280の深さは、必ずしも第1凹条277の頂部から谷部までの深さと一致させる必要はない。したがって、光束制御部材240において、壁部260は、屈折部144と第2フレネルレンズ部145bを繋ぐように連続して成形されていればよい。また、充填工程において溶融樹脂が完全に流れ込む必要もない。また、溝部280の形状は、充填工程においてキャビティー内のガスが抜ければ特に限定されない。
【0075】
さらに、溝部280は、ガス抜き用の通路として機能すればよいので、溝部280の数は、1つであってもよいし、2〜4つであってもよい。溝部280が1つの場合、当該溝部280は、溶融樹脂が充填されるゲートに対して、反対側に形成されていてもよく、反対側に形成されていなくてもよい。
【0076】
(効果)
本実施の形態に係る光束制御部材240は、実施の形態1に係る光束制御部材140と同様の効果を有する。また、本実施の形態に係る発光装置および照明装置は、実施の形態1に係る発光装置100および照明装置400と同様の効果を有する。
【0077】
本実施の形態に係る成形型270は、ガス抜き用の溝部280を有しているため、気泡による成形不良の発生を抑制し、製造歩留りを向上させることができる。また、本実施の形態に係る成形型270では、隣接する直線状の第1凹条277,277が互いに離間しており、第1凹条277を矩形状に繋げる必要がなく、矩形の角が形成されていないため、機械加工によりフレネルレンズ部成形領域274を容易に形成することができる。
【0078】
なお、第1成形型272は、第1仮想四角形S1’の対角線および中心軸CAを含む平面で4つに分割されていてもよい。この場合、第1成形型272の組み立て作業時において、溝部280により第1凹条277の端面同士が衝突することを防ぐことができるため、組み立て作業を容易にすることができる。
【0079】
[実施の形態3]
(光束制御部材の構成)
実施の形態3の発光装置および照明装置は、光束制御部材340の形状が実施の形態2の発光装置および照明装置とそれぞれ異なる。そこで、実施の形態2に係る発光装置100および照明装置400と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略し、光束制御部材340の新しい構成要素を中心に説明する。実施の形態3に係る光束制御部材340は、壁部の断面形状が実施の形態2に係る光束制御部材240と異なる。
【0081】
図22〜
図24に示されるように、実施の形態3に係る光束制御部材340は、入射領域341および出射領域142を有する。入射領域341と出射領域142との間には、フランジ243が設けられている。また、入射領域341は、屈折部144と、第1フレネルレンズ部345aおよび第2フレネルレンズ部145bを含むフレネルレンズ部345と、を有する。
【0082】
第1フレネルレンズ部345aは、平面視において互いに相似し、同心かつ各辺が平行となるように配置された複数の第1仮想四角形S1を想定し、その四辺上に配置された4つの第1凸条347を有する。
【0083】
第1仮想四角形S1の各対角線上には、壁部360が配置されている。壁部360は、所定の厚みを有しており、第1仮想四角形S1において互いに隣接する2つの第1凸条347,347を離間する。壁部360は、第1凸条347の谷部から第1凸条347の頂部までと同じ高さ、またはそれ以上の高さとなるように設計される。第1仮想四角形S1の対角線に直交する方向における壁部360の断面形状は、縦長の二等辺三角形である。また、壁部360は、平面視において最も内側にある第1仮想四角形S1の第1凸条347から、最も外側にある第1仮想四角形S1の第1凸条347まで連続して配置されている。なお、壁部360の内側端部は、屈折部144まで延在されていてもよい。実施の形態3の光束制御部材340における壁部360の高さも、第1凸条347の谷部から頂部までの同じ高さでなくてもよい。
【0084】
また、特に図示しないが、実施の形態3に係る光束制御部材340を有する発光装置を用いた照度分布のシミュレーション結果は、実施の形態1に係る光束制御部材140を有する発光装置100を用いた照度分布のシミュレーション結果と同じであった。
【0085】
(成形型の構成)
次に、実施の形態3に係る光束制御部材340を成形するための成形型370について説明する。
図25〜
図27は、実施の形態3に係る光束制御部材340の成形に用いられる成形型370の構成を示す図である。
図25Aは、成形型370の第1金型372を下から見た斜視図であり、
図25Bは、
図25Aにおいて破線で示される円C3の部分の拡大図であり、
図25Cは、破線出示される円C4の部分の拡大図である。
図26Aは、第1金型372の底面図であり、
図26Bは、屈折部成形領域およびフレネルレンズ部成形領域274を省略した底面図であり、
図26Cは、
図26Aに示されるU−U線の断面図であり、
図26Dは、
図26Aにおいて破線で示される部分の拡大図である。
図27Aは、
図26Aに示されるV−V線の断面図であり、
図27Bは、
図27Aにおいて破線で示される部分の拡大図であり、
図27Cは、W−W線の断面図であり、
図27Dは、
図27Cにおいて破線で示される部分の拡大図であり、
図27Eは、X−X線の断面図であり、
図27Fは、
図27Eにおいて破線で示される部分の拡大図であり、
図27Gは、Y−Y線の断面図であり、
図27Hは、
図27Gにおいて破線で示される部分の拡大図である。
【0086】
図25〜
図27に示されるように、成形型370は、入射領域341側を成形する第1金型372と、出射領域142側を成形する第2金型(図示省略)と、を有する。
【0087】
第1金型372は、入射領域341側の形状に対応した形状を有する。第1金型372は、屈折部144を成形する屈折部成形領域273と、フレネルレンズ部345を成形するフレネルレンズ部成形領域374と、を有している。フレネルレンズ部成形領域374は、第1フレネルレンズ部345aを成形するための第1フレネルレンズ部成形領域375と、第1フレネルレンズ部成形領域375の外側に位置し、第2フレネルレンズ部145bを成形するための第2フレネルレンズ部成形領域276と、を有している。複数の第1仮想四角形S1に対応した、平面視において互いに相似し、同心かつ各辺が平行となるように配置された複数の第1仮想四角形S1’の各辺上に配置された複数の第1凹条377を有している。第1仮想四角形S1’の各対角線上には、溝部380が配置されている。
【0088】
溝部380は、第1仮想四角形S1’において互いに隣接する2つの第1凹条377,377を離間する。第1仮想四角形S1’の対角線に直交する方向における溝部380の断面形状は、縦長の二等辺三角形である。溝部380の最深部までの深さは、第1凹条377の頂部から谷部までの深さと同じ、またはそれより深く形成される。また、溝部780は、平面視において最も内側にある第1仮想四角形S1’の第1凹条377から、最も外側にある第1仮想四角形S1’の第1凹条377まで連続して配置されている。すなわち、溝部380は、少なくとも第1フレネルレンズ部成形領域375に配置されていればよい。なお、溝部380の内側端部は、屈折部成形領域273まで延在されていてもよい。
【0089】
(効果)
本実施の形態に係る光束制御部材340は、実施の形態2に係る光束制御部材240と同様の効果を有する。また、本実施の形態に係る発光装置および照明装置は、実施の形態2に係る発光装置および照明装置と同様の効果を有する。