特許第6181388号(P6181388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181388
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/00 20060101AFI20170807BHJP
   G01C 7/06 20060101ALI20170807BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20170807BHJP
   G01C 11/06 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G01C7/00
   G01C7/06
   G01C15/00 103A
   G01C11/06
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-46640(P2013-46640)
(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公開番号】特開2014-173990(P2014-173990A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 薫
(72)【発明者】
【氏名】大谷 仁志
(72)【発明者】
【氏名】加曽利 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽
(72)【発明者】
【氏名】笹川 潤
(72)【発明者】
【氏名】深谷 暢之
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−151682(JP,A)
【文献】 特開2000−028332(JP,A)
【文献】 特開2002−005658(JP,A)
【文献】 特開2004−212142(JP,A)
【文献】 特開2005−017036(JP,A)
【文献】 特開2010−128799(JP,A)
【文献】 国際公開第1998/012504(WO,A1)
【文献】 BIBER, Peter, et al.,3D Modeling of Indoor Environments by a Mobile Robot with a Lasar Scanner and Panoramic Camera,Proceedings of 2004 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems,米国,IEEE,2004年 9月28日,pp. 3430-3435,DOI: 10.1109/IROS.2004.1389947, ISBN: 0-7803-8463-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01C 1/00− 1/14
G01C 5/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全周の画像データを取得する全方位カメラと、該全方位カメラと一体に設けられ、周囲の点群データを取得するレーザスキャナと、前記全方位カメラと前記レーザスキャナのデータ取得を制御する同期制御装置と、前記画像データ、前記点群データを記録する記憶装置と、制御演算装置と、
少なくとも前記全方位カメラと、前記レーザスキャナと、前記同期制御装置と、前記記憶装置が搭載された移動装置と、
該移動装置が移動しつつ前記全方位カメラで撮像した時の、前記全方位カメラの移動量の実寸法を得る為の絶対スケールを取得する絶対スケール取得手段とを具備し、
前記制御演算装置は、前記全方位カメラで2地点で撮像した画像の相互標定により、前記全方位カメラの位置を演算し、前記絶対スケール取得手段により取得した実寸法に基づき前記全方位カメラの位置を絶対位置に変換し、
前記画像データ、前記点群データ及び前記絶対位置に基づき3Dモデルを演算することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記絶対スケール取得手段は、前記全方位カメラが取得した画像から既知の長さを示す絶対スケール対象物を抽出し、該絶対スケール対象物から画像中の実寸法を求め、更に前記移動量の絶対長を求める請求項1の計測装置。
【請求項3】
所定の位置に設けられるトータルステーション、前記全方位カメラと一体に設けられるプリズムとを更に有し、前記絶対スケール取得手段は、前記トータルステーション及び前記計測装置に設けられる前記プリズムを有し、前記トータルステーションが前記プリズムを追尾しつつ前記プリズムの位置を測定することで前記絶対スケールを取得する請求項1の計測装置。
【請求項4】
記同期制御装置は前記移動装置が移動中、所定時間間隔で前記全方位カメラによる前記画像データの取得、前記レーザスキャナによる前記点群データの取得を同期制御し、前記画像データ及び前記点群データを取得した時刻をタイムスタンプとして前記画像データ及び前記点群データに付し、前記タイムスタンプに基づき前記画像データと前記点群データとを関連付ける請求項1の計測装置。
【請求項5】
前記制御演算装置は、隣接した画像に基づき写真測量を行うと共に、前記絶対スケール取得手段で得られる前記絶対スケールに基づき各画像を取得した位置を絶対位置に変換し、該絶対位置に基づき前記点群データを取得した位置を演算し、該点群データを前記画像に合成し、局所3Dモデルを作成し、更に前記制御演算装置は隣接した3Dモデルを順次合成し、測定範囲全体の広域3Dモデルを作成する請求項4の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内或はトンネル等、GPSによる位置測定ができない環境での3次元測定を可能とした計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内やトンネル等の計測の場合、1次元(ライン)のレーザースキャナーを移動させてスキャンし、移動しながら全体の3次元点群モデルを作成するシステムが注目されている。
【0003】
3次元点群モデルを作成するには、測定を行っている位置(自己位置)を特定する必要がある。又、自己位置を特定する測定装置としてGPSが広く普及しているが、通常、測定場所が室内或はトンネル等の場合には、自己位置を特定する為のGPSは使えない環境となっている。
【0004】
GPSが使えない場合の、自己位置を特定する手段として、一般的には高精度なIMUとスキャナーが用いられる。然し、IMUは高価であり、更にドリフトに伴う精度劣化やキャリブレーションが煩雑であるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−10376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み、安価な構成で、而も簡便に自己位置が特定でき、更に3次元点群モデルの作成が可能な計測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、全周の画像データを取得する全方位カメラと、該全方位カメラと一体に設けられ、周囲の点群データを取得するレーザスキャナと、前記全方位カメラと前記レーザスキャナのデータ取得を制御する同期制御装置と、前記画像データ、前記点群データを記録する記憶装置と、前記全方位カメラで撮像した時の絶対位置を求める為の絶対スケールを取得する絶対スケール取得手段と、制御演算装置とを具備し、該制御演算装置は前記画像データ、前記点群データ及び前記絶対位置に基づき3Dモデルを演算する計測装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記絶対スケール取得手段は、前記全方位カメラが取得した画像から既知の長さを示す絶対スケール対象物を抽出し、該絶対スケール対象物から画像中の実寸法を求める計測装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、所定の位置に設けられるトータルステーション、前記全方位カメラと一体に設けられるプリズムとを更に有し、前記絶対スケール取得手段は、前記トータルステーション及び前記計測装置に設けられる前記プリズムを有し、前記トータルステーションが前記プリズムの位置を測定することで前記絶対スケールを取得する計測装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、少なくとも前記全方位カメラと、前記レーザスキャナと、前記同期制御装置と、前記記憶装置とは、移動装置に設けられ、前記同期制御装置は前記移動装置が移動中、所定時間間隔で前記全方位カメラによる前記画像データの取得、前記レーザスキャナによる前記点群データの取得を同期制御し、前記画像データ及び前記点群データを取得した時刻をタイムスタンプとして前記画像データ及び前記点群データに付し、前記タイムスタンプに基づき前記画像データと前記点群データとを関連付ける計測装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記制御演算装置は、隣接した画像に基づき写真測量を行うと共に、前記絶対スケール取得手段で得られる前記絶対スケールに基づき各画像を取得した位置を絶対スケールに変換し、該絶対スケールに基づき前記点群データを取得した位置を演算し、該点群データを前記画像に合成し、局所3Dモデルを作成し、更に前記制御演算装置は隣接した3Dモデルを順次合成し、測定範囲全体の広域3Dモデルを作成する計測装置に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、全周の画像データを取得する全方位カメラと、該全方位カメラと一体に設けられ、周囲の点群データを取得するレーザスキャナと、前記全方位カメラと前記レーザスキャナのデータ取得を制御する同期制御装置と、前記画像データ、前記点群データを記録する記憶装置と、前記全方位カメラで撮像した時の絶対位置を求める為の絶対スケールを取得する絶対スケール取得手段と、制御演算装置とを具備し、該制御演算装置は前記画像データ、前記点群データ及び前記絶対位置に基づき3Dモデルを演算するので、安価な構成で、而も簡便に自己位置が特定でき、更に3次元点群モデルの作成が可能である。
【0013】
又本発明によれば、前記絶対スケール取得手段は、前記全方位カメラが取得した画像から既知の長さを示す絶対スケール対象物を抽出し、該絶対スケール対象物から画像中の実寸法を求めるので、絶対スケール取得手段の絶対スケール対象物は、予め測定して既知の長さを有するものとしておけば、特別な測定機は必要なく、安価な構成で、而も簡便な装置とすることができる。
【0014】
又本発明によれば、所定の位置に設けられるトータルステーション、前記全方位カメラと一体に設けられるプリズムとを更に有し、前記絶対スケール取得手段は、前記トータルステーション及び前記計測装置に設けられる前記プリズムを有し、前記トータルステーションが前記プリズムの位置を測定することで前記絶対スケールを取得するので、汎用性のあるトータルステーションにより、撮影位置の測定が可能であると共に屋内、トンネル等GPSが利用できない環境でも3Dモデルの作成が可能である。
【0015】
又本発明によれば、少なくとも前記全方位カメラと、前記レーザスキャナと、前記同期制御装置と、前記記憶装置とは、移動装置に設けられ、前記同期制御装置は前記移動装置が移動中、所定時間間隔で前記全方位カメラによる前記画像データの取得、前記レーザスキャナによる前記点群データの取得を同期制御し、前記画像データ及び前記点群データを取得した時刻をタイムスタンプとして前記画像データ及び前記点群データに付し、前記タイムスタンプに基づき前記画像データと前記点群データとを関連付けるので、先ず画像データ、点群データを取得し、3Dモデルの作成を実行できる。
【0016】
更に又本発明によれば、前記制御演算装置は、隣接した画像に基づき写真測量を行うと共に、前記絶対スケール取得手段で得られる前記絶対スケールに基づき各画像を取得した位置を絶対スケールに変換し、該絶対スケールに基づき前記点群データを取得した位置を演算し、該点群データを前記画像に合成し、局所3Dモデルを作成し、更に前記制御演算装置は隣接した3Dモデルを順次合成し、測定範囲全体の広域3Dモデルを作成するので、広範囲に亘る全体の3Dモデルを取得することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る実施例の斜視図である。
図2】該実施例の概略構成を示すブロック図である。
図3】該実施例の絶対スケール取得手段に用いられる絶対スケールの一例を示す斜視図である。
図4】写真測量の原理を示す説明図である。
図5】本実施例の作用を示すフローチャートである。
図6】点群データに座標を与える場合の説明図である。
図7】点群データに座標を与える場合の説明図である。
図8】本実施例で得られた3Dモデルの表示例であり、ビルの異なる階で取得した各階の3Dモデルを基準点に基づき上下に合成した図である。
図9】絶対スケール取得手段としてホイールエンコーダを用いた場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0019】
図1中、1は計測装置、2は計測装置1が搭載される移動装置2を示している。尚、図中、前記移動装置2として搬送台車を示しているが、前記計測装置1が搭載可能で、且つ移動可能であればよい。更に、自走式、或は遠隔操作可能であってもよく、前記移動装置2は特に限定されない。
【0020】
前記計測装置1について説明する。
【0021】
該計測装置1は、主にレーザスキャナ6,7、全方位カメラ8、同期制御装置9、制御演算装置(PC)10、絶対スケール取得手段11、記憶装置12を具備している。前記レーザスキャナ6,7と前記全方位カメラ8とは一体の状態、即ち前記レーザスキャナ6,7と前記全方位カメラ8とが物理的に固定された状態となっており、更に予めキャリブレーションが行われ、両者の位置関係が確定されている。更に、説明する。
【0022】
装置ベース13の前部に支持手段としての支持柱14が立設され、該支持柱14の上端に、装着手段としてのマウントフレーム15が設けられ、該マウントフレーム15に進行方向に対して左右対称に前記2組のレーザスキャナ6,7が設置される。
【0023】
該レーザスキャナ6,7は、パルスビームを鉛直方向に走査し、点群データを取得する1次元レーザスキャナである。又、前記レーザスキャナ6,7の基準光軸は、水平であり、且つ前記移動装置2の進行方向に対し、斜め前方に向き、或は進行方向に対して直交する方向となっている。
【0024】
前記マウントフレーム15の上面には、前記全方位カメラ8が設けられる。該全方位カメラ8は、全周(360゜)及び上方の画像を取得する様に構成され、例えば進行方向に対して、前後、左右に向けられた4のカメラ16、上方に向けられたカメラ17を具備している。尚、カメラの数は、カメラの画角を基準に設定される。
【0025】
前記カメラ16、前記カメラ17はデジタルカメラ等、撮像素子としてCCD、CMOSセンサを具備し、取得した画像データがデジタル信号として出力でき、又撮像素子中の画素の座標が特定可能であり、動画像(所定時間間隔でフレーム画像が取得されたもの)、静止画像が取得可能である。
【0026】
前記マウントフレーム15の所要位置、例えば、前記レーザスキャナ6,7のビーム照射範囲と干渉しない位置(図示では前記マウントフレーム15の後面)に、前記同期制御装置9が設けられる。該同期制御装置9は、前記全方位カメラ8による画像取得時期、前記レーザスキャナ6,7による点群データ取得時期の同期制御を行い、又、前記全方位カメラ8による画像取得の時間間隔、前記レーザスキャナ6,7による点群データ取得の時間間隔を制御する。
【0027】
前記レーザスキャナ6,7で取得した点群データ、前記全方位カメラ8で取得した画像データは取得した時間に基づき相互に関連付けられ、前記記憶装置12に格納され、或は前記制御演算装置10を介して前記記憶装置12に格納される。
【0028】
又、前記装置ベース13、或は前記マウントフレーム15等の所要位置に傾斜計18が設けられる。該傾斜計18は、少なくとも進行方向の傾斜(下り傾斜、或は上り傾斜)を検出可能であり、該傾斜計18が検出した傾斜角、傾斜方向は、前記同期制御装置9に入力され、更に、前記制御演算装置10を介して前記記憶装置12に格納される。更に、進行方向に対して直交する傾斜を検出する傾斜計を搭載すれば尚よい。尚、前記計測装置1が水平面で測定される場合は、前記傾斜計18を省略することができる。
【0029】
前記記憶装置12には、前記全方位カメラ8で取得した画像データ、前記レーザスキャナ6,7で取得した点群データ等が格納されると共に、各種プログラムが格納されている。
【0030】
プログラムとしては、例えば前記全方位カメラ8で取得した画像について、特徴点抽出等の画像処理を行う画像処理プログラム、動画像データ中の特徴点を用いてトラッキングを行う画像トラッキングプログラム、写真測量を行う為のプログラム、画像中から既知の長さを抽出して画像補正の絶対スケールとする絶対スケール取得プログラム、取得された絶対スケールに基づき画像中の相対長さを実寸に変換する変換プログラム、取得した画像データ、取得した点群データに基づき3Dモデルを演算するプログラム等である。
【0031】
前記絶対スケール取得手段11は、絶対値を表すデータ(絶対スケール)を取得するものである。該絶対スケールを取得することで、前記移動装置2の移動量の実測値を求めることができ、写真測量に必要な基線長の絶対値が得られる。
【0032】
前記制御演算装置10は、上記したプログラムにより、得られた画像データ、点群データに対して所要の処理を行い、或は演算して3Dモデルの作成等を行う。
【0033】
先ず、前記絶対スケール取得手段11の一例として、前記全方位カメラ8で取得した画像中に含まれる既知の長さを利用するものが挙げられる。例えば、建屋の柱の間隔、出入口の幅、高さ、或は複数の目標物を設定し、目標物の間隔を予め測定し、既知とする。或は、撮影範囲の所定位置、例えば撮影開始の始点、中間点、終点等適宜な箇所に絶対スケール対象物21を設置しておく(図3参照)。該絶対スケール対象物21には、既知の長さを示す目盛が設けられている。ここで、建屋の特定部位を利用する場合には、扉、柱等が絶対スケール対象物となる。
【0034】
以下、建屋の屋内、或は室内について測定を行う場合を説明する。又、既知の長さを示すものとして、前記絶対スケール対象物21が用いられたとする。尚、用いられる前記絶対スケール対象物21は、画像認識可能な様にバーコードで構成されることが好ましい。バーコードが用いられることで、前記全方位カメラ8で撮影した画像から周波数解析により自動的に認識される。
【0035】
前記移動装置2を移動させながら、前記レーザスキャナ6,7により前方斜め方向を鉛直に走査し、点群データを取得する。又、前記全方位カメラ8により、所定時間間隔で画像(1フレーム分の画像)を取得する。又、所要間隔で画像中に前記絶対スケール対象物21が含まれる様にする。
【0036】
尚、各フレーム画像中に前記絶対スケール対象物21が含まれる様にすると、各フレーム画像間で写真測量を行う場合、各写真測量毎に実測し、補正できるので、誤差が累積せず測定精度が向上する。
【0037】
前記全方位カメラ8のフレーム撮影時刻(シャッタ時刻)と前記レーザスキャナ6,7の点群データはタイムスタンプを付して出力させ、測定対象物である室内の全方位画像と点群データを取得する。各フレーム画像と点群データとは、タイムスタンプを用いて時刻の関連付けが可能となる。
【0038】
図4は、写真測量の原理を示している。
【0039】
2つの光軸が平行な状態で既知の位置O1,O2で画像20−1,20−2を取得する。測定点P(X,Y,Z)は、前記画像20−1中、p1(x1,y1)として現れ、前記画像20−2中、p2(x2,y2)として現れる。
【0040】
尚、図中、fは焦点距離であり、Bは前記位置O1,O2間の距離(基線長)を示す。
【0041】
前記位置O1,O2の3次元座標(3D座標)が分れば、幾何学的関係から測定点P(X,Y,Z)が求められる。
【0042】
本実施例では前記カメラ16が前記移動装置2に搭載されている。2地点の座標は、前記絶対スケール取得手段11によって取得され、又基線長Bは取得した2地点の座標から求められる。前記画像20−1,20−2については相互標定を行い、いずれかの画像について他方の座標系に座標変換し、図4に示される状態を実現する。
【0043】
相互標定については、前記画像20−1から画像処理により、特徴点(パスポイント)を抽出し、抽出した特徴点を画像トラッキングにより前記画像20−2中に特定し、両画像20−1,20−2を特徴点に基づき画像マッチングする。尚、相互標定、画像トラッキングについては特許文献1に記載されている。
【0044】
又、時間的に隣接する画像と点群データを用いて各撮影点で得られた3次元モデル(3Dモデル)を順次合成していくことで、測定範囲全体の広域3Dモデルを作成することができる。
【0045】
又、傾斜面を前記移動装置2が移動する場合は、該移動装置2の傾斜が前記傾斜計18によって検出され、傾斜角と移動距離に基づき上下方向の変位が演算される。
【0046】
図5を参照して、本実施例の作用について説明する。
【0047】
STEP:01 前記移動装置2を移動させつつ、前記全方位カメラ8により画像を取得する。取得する画像は、動画像或は所定時間間隔で取得する静止画像(写真測量に用いられる画像)である。前記レーザスキャナ6,7による点群データを取得する。又、前記静止画像、前記点群データにはそれぞれタイムスタンプが付され、タイムスタンプに基づき両データ間で関連付けが可能となっている。
【0048】
STEP:02 最初の画像から特徴点を抽出し、次に取得する画像中に対応する特徴点を特定する。特徴点の次画像への特定は、画像トラッキングによるマッチングによって行う。
【0049】
STEP:03 得られた特徴点に基づき相互標定を行い、各フレームでの前記全方位カメラ8の相対的な位置、傾き(姿勢)を計算する。
【0050】
STEP:04 画像中から前記絶対スケール対象物21を抽出し、該絶対スケール対象物21から実寸を求め、画像中の相対的な長さと前記絶対スケール対象物21が示す実寸とに基づき、各画像に対応するカメラの位置を絶対スケール変換する。各カメラの位置が絶対スケール変換されることで、隣接する画像を取得したカメラの2つ位置の距離(基線長)が実測される。
【0051】
前記相互標定で得られる相対座標を絶対スケール変換(絶対標定)することで、絶対座標が得られる。
【0052】
STEP:05 絶対標定された画像に対応する点群データが、前記タイムスタンプに基づき読込まれ、絶対標定された画像を取得した時の前記全方位カメラ8の位置、姿勢に基づき点群データに座標が与えられる。
【0053】
STEP:06 画像に点群データを重合することで、所定の撮影地点に於ける座標データを有する画像(局所3Dモデル画像)が作成できる。尚、点群データの座標位置と対応する画像の座標位置の色を取得し、点群データの色付けが行える。色付けられた点群データは、点群データの3Dモデルとして出力される。
【0054】
図6図7を参照し、点群データに座標を与える為の計算方法を以下に示す。
【0055】
以下の変数を定義する。
T_s->c:スキャナ座標系→カメラ座標系の並進ベクトル
【数1】
【0056】
R_s->c:スキャナ座標系→カメラ座標系の回転行列
【数2】
【0057】
これら変数はキャリブレーションによって決定済みとする(図6参照)。
尚、ここではT_**は3行1列の並進ベクトル、R_**は3行3列の回転行列、P_**は三次元座標を表すものとする。
【0058】
まずスキャンデータ(測定距離・測定角度)によりスキャナ座標系での計測座標値P_sを求める(図7参照)。
【数3】
ここで、distを測定距離、θを測定角度とする。
【0059】
又、スキャンが行われた時刻(タイムスタンプ)Tsより、時間的にその前後で撮影された静止画像の位置・姿勢・撮影時刻より、時刻Tsに於けるカメラの位置・姿勢を内挿によって算出する。その内挿されたカメラの位置・姿勢をそれぞれT_ts_c->w、R_ts_c->wとする。
【0060】
スキャナ座標系の計測座標値P_sをカメラ座標系の計測座標値P_cに変換する。
【数4】
【0061】
次に、カメラ座標系の計測座標値P_cを世界座標系の計測座標値P_wに変換する。
ここで、世界座標系とはカメラの位置・姿勢を表現している座標系を意味する。
【数5】
【0062】
以上の計算により、点群データに座標が与えられる。これを全スキャン点で繰り返す。
【0063】
次に点群に画像データより色付けを行う場合の、点群色付け計算を説明する。
【0064】
ある計測点座標値P_wと、スキャンが行われた時刻Tsの直後に来る撮影画像に於けるカメラセンサ中心の位置P_ccより、カメラセンサ中心から計測点へのベクトルT_cc->wを求める。
【数6】
【0065】
次に、T_cc->w の20m先での座標値P_20を求める。
【数7】
尚、この20mという値はカメラの仕様によって異なる。
【0066】
P_20を世界座標系からカメラセンサ座標系の座標値P_cameraに変換する。
【数8】
ここでR_w->cameraは世界座標系からカメラセンサ座標系への回転行列とする。又、
【数9】
とする。
【0067】
カメラセンサ中心P_ccから計測点座標値P_wを見たときのパノラマ画像上の画素座標(row_p, col_p)は
【数10】
より求まる。
【0068】
ここで、対象画像のサイズを縦row_maxピクセル、横col_maxピクセルとし、θ_c, φ_cは以下の式より求めるものとする。
【数11】
尚、この20という値はカメラの仕様によって異なる。
【0069】
以上より、row_p及びcol_pよりパノラマ画像から色情報(RGB)を取得し、点群への色付けとする。これを全スキャン点で繰り返す。
【0070】
3Dモデル画像に於いて、画像中の任意の点の3D座標は、該任意の点に対応する点群データの座標から3D座標を取得できる。又、指定した点が、点群データの点から外れていた場合は、指定した点の周囲の点群データを用いて、局所的にTINを演算し、得られたTINに指定点を内挿し、周囲の点群データの座標から指定点の3D座標が演算できる。又、点群データだけでなく、指定した点に隣接する複数の画像(フレーム画像)から写真測量に基づきステレオ計測を行って指定点の3D座標を演算することもできる。
【0071】
移動しつつ、所定時間間隔で取得した、即ち所定間隔の地点で撮影した画像データ、点群データに基づき得られた各撮影地点の局所3Dモデルが作成でき、更に隣接する撮影地点で得られた局所3Dモデルを順次合成していくことで、測定範囲全体の広域3Dモデルが作成できる。
【0072】
点群データと画像データとを重合して出力した例(広域3Dモデル)を、図8に示す。
【0073】
図8に示す例では、ビルの異なる階、例えばn階と(n+1)階の3Dモデル21a,21bをそれぞれ上記計測装置で取得し、2つの広域3Dモデルを上下に重ねて立体的に表示している。尚、n階と(n+1)階の広域3Dモデルの位置合せの基準としては、上下で共通するものとして、例えばエレベータの位置等が基準点22a,23a,24a、基準点22b,23b,24bとして用いられる。上下で共通する最低3点を計測することで、上下の点群モデルを合成することができる。
【0074】
尚、上記実施例では、前記絶対スケール取得手段11として前記絶対スケール対象物21を用い、画像処理で実寸法を取得したが、画像を取得する位置をトータルステーションで実際に測定してもよい。例えば、前記計測装置1の所定位置にプリズムを設置し、前記トータルステーションを所定の位置(既知の位置)に設置する。前記プリズムは、前記全方位カメラ8に対して物理的に固定した位置にあり(一体化され)、更に前記全方位カメラ8と前記プリズムとは既知の関係となっている。前記トータルステーションで前記プリズムを追尾しつつ、測距を行い、実測結果より絶対スケール又は絶対位置を取得してもよい。又、測距結果にはタイムスタンプが付され、画像取得地点の移動量を得ることができる。
【0075】
更に、他の絶対スケール取得手段11として、ホイールエンコーダを用いてもよい。図9は計測装置1を搭載した移動装置2にホイールエンコーダ23が設けられた場合を示している。
【0076】
該ホイールエンコーダ23は前記移動装置2のフレーム24等の固定部に設けられ、走行車輪25の回転軸に連結され、回転軸の回転角(回転数)を検出する様になっている。前記走行車輪25の直径を測定し、既知としておくことで、前記ホイールエンコーダ23が検出した前記走行車輪25の回転数に基づき前記移動装置2の移動距離が測定できる。
【0077】
更に、進行方向に対して左右の前記走行車輪25にそれぞれ前記ホイールエンコーダ23を設けることで、左右の前記走行車輪25の回転差が検出でき、前記移動装置2が方向変換した場合も、移動方向、移動距離が測定できる。尚、この場合も、所定時間間隔で前記ホイールエンコーダ23からの出力にタイムスタンプを付すことで、画像取得地点の位置を測定できる。
【0078】
又、3Dモデル作成は、前記全方位カメラ8による画像データ取得後、前記レーザスキャナ6,7による測距データ取得後、前記制御演算装置10により演算してもよく、或はデータの取得と並行して3Dモデルを演算してもよい。
【0079】
如上の如く、本実施例では、GPSから位置情報が取得できない様な環境で、又高価なIMUを用いることなく、簡便に自己位置が特定でき、安価な構成で3次元点群モデルの作成が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 計測装置
2 移動装置
6,7 レーザスキャナ
8 全方位カメラ
9 同期制御装置
10 制御演算装置
12 記憶装置
13 装置ベース
15 マウントフレーム
16 カメラ
17 カメラ
18 傾斜計
21 絶対スケール対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9