(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2つの導光部は、前記入射面および前記全反射面から離れるにつれて断面積が小さくなる断面積変化部がそれぞれ形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光束制御部材。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の照明装置の代表例として、蛍光管に代えて使用されうる照明装置について説明する。
【0013】
[実施の形態1]
(照明装置の構成)
図1および
図2は、本発明の実施の形態1の照明装置100の構成を示す図である。
図1Aは、照明装置100の平面図であり、
図1Bは、照明装置100の正面図であり、
図1Cは、照明装置100の側面図である。
図2Aは、
図1Aに示されるA−A線の断面図であり、
図2Bは、
図2Aに示されるB−B線の断面図であり、
図2Cは、
図2Aにおいて破線で囲まれた領域の部分拡大断面図である。
【0014】
図1および
図2に示されるように、照明装置100は、フレーム(筐体)110、基板120、複数の発光素子130、複数の光束制御部材200およびカバー140を有する。一組の発光素子130および光束制御部材200は、発光装置として機能する。
図1および
図2に示される例では、照明装置100は、3つの発光装置を有している。
【0015】
複数の発光素子130は、照明装置100の光源であり、フレーム110に取り付けられた基板120上に一列に配置されている(
図2C参照)。
図2Aに示される例では、3つの発光素子130が基板120上に一列に配置されている。各発光素子130は、光束制御部材200の入射面210(後述)と対向する位置に配置されている。発光素子130は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。フレーム110および基板120は、例えば、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い金属からなる。基板120に高い熱伝導性を要しない場合は、基板120として、ガラス不織布にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂製基板を用いてもよい。
【0016】
複数の光束制御部材200は、それぞれ発光素子130と対になるように基板120上に一列に配置されている(
図2A参照)。光束制御部材200は、発光素子130から出射された光の配光を制御する。光束制御部材200は、一体成形により形成されている。光束制御部材200の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。光束制御部材200の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂や、光透過性のガラスなどが含まれる。また、光束制御部材200の内部にビーズなどの光散乱子を分散させてもよい。
【0017】
本発明の照明装置100は、光束制御部材200の形状に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材200の形状については、別途詳細に説明する。
【0018】
カバー140は、光束制御部材200から出射された光を拡散させつつ外部に透過させる。カバー140は、すべての発光装置(発光素子130および光束制御部材200)を覆うように、発光装置に対して空気層を介して配置されている。カバー140の外面は、有効発光領域となる。
【0019】
カバー140の形状は、空気層を介して発光装置を覆うことができれば、特に限定されない。
図2Bに示される例では、カバー140は、円筒の一部を切り欠いた形状であるが、カバー140は、円筒形状などであってもよい。
【0020】
カバー140の材料は、光透過性を有するものであれば、特に限定されない。カバー140の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂や、光透過性のガラスなどが含まれる。また、カバー140に光拡散能を付与する手段も、特に限定されない。たとえば、カバー140の内面または外面に光拡散処理(例えば、粗面化処理)を行ってもよいし、光透過性樹脂中にビーズなどの散乱子を分散させてもよい。
【0021】
(光束制御部材の形状)
図3は、本発明の実施の形態1の光束制御部材200の構成を示す図である。
図3Aは、光束制御部材200の正面図であり、
図3Bは、光束制御部材200の平面図であり、
図3Cは、光束制御部材200の底面図であり、
図3Dは、光束制御部材200の側面図であり、
図3Eは、
図3Bに示されるC−C線の断面図であり、
図3Fは、
図3Bに示されるD−D線の断面図であり、
図3Gは、
図3Bに示されるE−E線の断面図である。
【0022】
図3に示されるように、光束制御部材200は、発光素子130から出射された光を入射する入射面210と、入射面210から入射した光の一部を所定の方向に反射させる全反射面220と、入射面210から入射した光の一部および全反射面220で反射した光を導光する2つの導光部230と、導光部230内を伝播する光のうち臨界角以下の角度で内部入射する光を外部に出射する2つの出射面240とを有する。
【0023】
入射面210は、LEDなどの点状光源である発光素子130から出射された光を入射する。入射面210は、光束制御部材200の底面(発光素子130側の面)の中央部に形成されている凹部250の内面である。
図3に示される例では、凹部250の形状は半球状または半楕円体状であり、入射面210はエッジを含まない曲面で構成されている。入射面210の形状は、特に限定されないが、この後
図5および
図6を用いて説明するように、エッジを含まない曲面であることが好ましい。
【0024】
全反射面220は、入射面210を挟んで発光素子130と対向する位置に形成されており、かつ発光素子の光軸LA(
図2C参照)を含む、基板120に垂直な仮想平面に対して面対称に形成されている。全反射面220は、入射面210から入射した光の一部を、発光素子の光軸LAおよび前記仮想平面と略垂直であり、かつ互いに反対向きである2つの方向(2つの導光部230の方向)に反射させる。すなわち、全反射面220は、到達した光を2つの導光部230に向けて反射させる。なお、本明細書において、「発光素子の光軸」とは、発光素子からの立体的な光束の中心における光の進行方向をいう。また、全反射面220は、発光素子130の発光面の中央部分から出射される光を対象にして設計される。
【0025】
図4を用いて、全反射面220の形状について説明する。
図4Aおよび
図4Bは、発光素子を光源とするスポットライトに用いられる光束制御部材10の構成を示す図である。
図4Aは、光束制御部材10の斜視図であり、
図4Bは、光束制御部材10の断面図である。
図4Aおよび
図4Bに示されるように、光束制御部材10は、発光素子から出射された光を入射する入射面12と、入射面12から入射した光の一部を全反射する全反射面14と、入射面12から入射した光の一部および全反射面14で反射した光を出射する出射面16とを有する。入射面12は、光束制御部材10の底部に形成された円錐台状の凹部の内面である。全反射面14は、光束制御部材10の底部の外縁から出射面16の外縁に延びる面であり、光束制御部材10の中心軸を取り囲むように形成された回転対称面である。全反射面14の直径は、入射面12側(底部側)から出射面16側に向けて漸増している。全反射面14を構成する母線は、外側に凸の円弧状曲線である。出射面16は、光束制御部材10において入射面12(底部)の反対側に位置する平面である。
【0026】
図4Cは、光束制御部材10を使用したときの光路を示す図である。
図4Cに示されるように、所定の位置に配置された点光源から出射された光は、入射面12から光束制御部材10内に入射する。光束制御部材10内に入射した光の一部は、そのまま出射面16から外部に向けて出射される。光束制御部材10内に入射した光の残部は、全反射面14で出射面16方向に反射され、出射面16から外部に向けて出射される。このように、点光源から出射された光は、配光を制御されて出射面16から出射される。
【0027】
この光束制御部材10を、
図4Bに示されるF−F線で2分割し、2つの分割片の底部同士を接合させると、
図4Dに示される光束制御部材10’となる。
図4Eに示されるように、このような光束制御部材10’では、点光源から出射された光は、2つの全反射面14で反射されて、互いに反対向きである2つの方向に進む光となる。本実施の形態の光束制御部材200の全反射面220の形状は、基本的には、
図4Dに示される光束制御部材10’の全反射面14の形状と同じである。なお、以後の説明では、
図4Dおよび
図4Eにおいて符番「18」で示される、2つの全反射面14の境界線近傍の部位を「全反射面の接続部」と称することがある。
【0028】
2つの導光部230は、入射面210および全反射面220を挟んで相対する位置(発光素子の光軸LAを含み、かつ基板120に垂直な仮想平面に対して面対称)に形成されたロッド状の部材である。2つの導光部230は、
図4Dに示される光束制御部材10’の出射面16にそれぞれ接続されている。導光部230は、入射面210から入射した光の一部および全反射面220で反射した光を、少しずつ外部に出射させながら、入射面210および全反射面220から離れる方向に導光する。したがって、導光部230の外面は、導光部230により導光された光を外部に出射する出射面240として機能する。
【0029】
導光部230は、入射した光を導光部230の表面で全反射させることで、入射した光を入射面210および全反射面220から離れる方向に導く。一方で、導光部230は、入射した光を導光部230の表面(出射面240)から出射させる。これらの導光と出射とを両立するため、導光部230は、入射面210および全反射面220から離れるにつれて断面積が小さくなるように形成されている。
図3に示される例では、厚みおよび幅の両方を調整することで、導光部230の断面積を制御しているが、厚みおよび幅のいずれか一方のみを調整することで、断面積を制御してもよい。導光部230の短軸方向の断面形状は、特に限定されず、必要とする配光特性に応じて適宜選択される。
図3に示される例では、導光部230の短軸方向の断面形状は、半円状である。実施の形態1の光束制御部材200においては、導光部230全体が断面積変化部として形成されている。
【0030】
出射面240から出射される光量を均一にする観点から、導光部230内にはビーズなどの散乱子が分散していることが好ましい。また、出射面240に光拡散処理(例えば、粗面化処理)が施されていてもよい。
【0031】
図5および
図6は、
図2Cに示される領域における、光束制御部材200内の光路を示す模式図である。
図5は、入射面210がエッジを含む場合(凹部250が2つの半円錐台を接合させた形状の場合;
図4D参照)の光路図であり、
図6は、入射面210がエッジを含まない場合(凹部250が略半球状の場合)の光路図である。また、
図5に示される光束制御部材200では、全反射面の接続部222が面取りされていないが、
図6に示される光束制御部材200では、全反射面の接続部222が丸み面取りされている。なお、
図5Aおよび
図6Aは、正面図であり、
図5Bおよび
図6Bは、底面図である。これらの図では、散乱子を含まない光透過性樹脂を用いて光束制御部材200を作製したものとしてシミュレーションしている。
【0032】
図5および
図6に示されるように、発光素子130から出射された光は、入射面210から光束制御部材200内に入射する。光束制御部材200内に入射した光の一部(発光素子130の光軸LAに対して大きな角度で出射された光)は、そのまま導光部230に到達する。一方で、光束制御部材200内に入射した光の一部(発光素子130の光軸LAに対して小さな角度で出射された光)は、全反射面220において導光部230に向けて反射される。結果として、発光素子130から出射された上方方向(発光素子130の光軸LA方向)に向かう光は、側方方向(発光素子130の光軸LAに対して略垂直方向)へ向かう光となり、2つの導光部230のいずれかに入射する。導光部230に入射した光は、少しずつ出射面240から外部に出射されながら、導光部230の端部に向けて導光される。結果として、導光部230の外面全体(出射面240全体)から略均一に光が出射される。光束制御部材200の出射面240から出射された光は、空気層を透過してカバー140の内面に到達する。カバー140の内面に到達した光は、拡散されつつカバー140を透過する。結果として、カバー140の外表面全面から略均一に光が出射される。このようにして、点状光源である発光素子130からの出射光を光束制御部材200によって線状の光に変換することができる。
【0033】
図5に示されるように、入射面210がエッジを含み、かつ全反射面の接続部222が面取りされていない場合は、入射面210から入射し、全反射面220に到達した光は、その大部分が導光部230に向けて反射される。したがって、
図5に示される光束制御部材200を使用した場合、全反射面220の近傍が暗くなるおそれがある。一方、
図6に示されるように、入射面210がエッジを含まず、かつ全反射面の接続部222が面取りされている場合は、入射面210から入射し、全反射面220に到達した光の一部は、全反射面220で反射することなく、全反射面220から外部に出射される。したがって、全反射面220の近傍が暗くなることを回避するためには、入射面210の形状をエッジを含まない形状としたり、全反射面の接続部222を面取りしたりすることが好ましい。
【0034】
(照明装置の照度分布のシミュレーション)
図1および
図2に示される実施の形態1の照明装置100の照度分布をシミュレーションした。
【0035】
基板120上に3つの発光素子130(白色LED)を中心間距離が100mmとなるように一列に配置し、各発光素子130の上に長さ100mmの光束制御部材200を配置した。3つの光束制御部材200は、それぞれの長軸が1つの直線上に並ぶように配置されている。照明装置100の全長は330mmであり、カバー140の外径は26mmである。
【0036】
図7は、照明装置100を正面から観察した場合(
図1Bのように観察した場合)の照度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。横軸は、照明装置100の長軸方向の位置を示しており、真ん中の発光素子130が配置されている点を「0」としている。縦軸は、カバー140の外面(外表面)における各位置の照度を示している。すなわち、
図7は、照明装置100自体の明るさの分布を示している。矢印は、発光素子130に対応する位置を示している。
【0037】
図7に示されるように、実施の形態1の照明装置100では、発光素子130を3つしか有していないにも関わらず、輝度ムラが小さかった。このことから、実施の形態1の光束制御部材200は、発光素子130から出射された光の配光を適切に制御できていることがわかる。
【0038】
(効果)
実施の形態1の照明装置100は、少数の発光素子130でカバー140にほぼ均一に光を照射することができるため、エネルギー効率がよく、かつ輝度ムラが小さい。
【0039】
[実施の形態2]
(照明装置の構成)
図8は、本発明の実施の形態2の照明装置300の構成を示す部分断面図である。
図8Aは、カバー140の一部を除去した照明装置300の平面図であり、
図8Bは、カバー140の一部を除去し、内部を観察可能にした照明装置300の正面図であり、
図8Cは、
図8Bにおいて破線で囲まれた領域の拡大図である。
【0040】
図8に示されるように、照明装置300は、フレーム110、基板120、複数の発光素子130、複数の光束制御部材400およびカバー140を有する。一組の発光素子130および光束制御部材400は、発光装置として機能する。実施の形態2の照明装置300は、光束制御部材400の形状が実施の形態1の照明装置100と異なる。そこで、実施の形態1の照明装置100と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
(光束制御部材の形状)
図9は、本発明の実施の形態2の光束制御部材400の構成を示す図である。
図9Aは、光束制御部材400の正面図であり、
図9Bは、光束制御部材400の平面図であり、
図9Cは、光束制御部材400の底面図であり、
図9Dは、光束制御部材400の側面図であり、
図9Eは、
図9Bに示されるG−G線の断面図であり、
図9Fは、
図9Bに示されるH−H線の断面図であり、
図9Gは、
図9Bに示されるI−I線の断面図である。
【0042】
実施の形態2の光束制御部材400は、実施の形態1の光束制御部材200の中央部近傍の側面の一部を切り欠いた形状をしている。このため、実施の形態2の光束制御部材400は、中央部近傍の側面に新たな出射面410を有している。また、実施の形態2の光束制御部材400は、中央部の側面下部に、略シリンドリカル形状の新たな出射面420も有している。したがって、実施の形態2の光束制御部材400では、実施の形態1の光束制御部材200に比べて、全反射面220の面積が小さくなっている。
【0043】
これらの新たな出射面410,420は、入射面210から入射した光の一部を全反射面220近傍から外部に出射させる。したがって、実施の形態2の光束制御部材400では、実施の形態1の光束制御部材200に比べて、全反射面220近傍から出射される光量が増大する。
【0044】
また、実施の形態2の光束制御部材400は、光束制御部材400を基板120に固定するための2つの脚430と、光束制御部材400の強度を向上させる2枚の補強板440も有している。
【0045】
図10は、
図8Cに示される領域における、光束制御部材400内の光路を示す模式図である。
図10Aは正面図であり、
図10Bは底面図である。
【0046】
図10に示されるように、発光素子130から出射された光は、入射面210から光束制御部材400内に入射する。光束制御部材400内に入射した光の一部(発光素子130の光軸LAに対して大きな角度で出射された光)は、そのまま導光部230に到達するか、またはそのまま出射面410,420から外部に出射される。一方で、光束制御部材400内に入射した光の一部(発光素子130の光軸LAに対して小さな角度で出射された光)は、全反射面220において導光部230に向けて反射される。導光部230に入射した光は、そのまま出射面410から外部に出射されるか、または少しずつ出射面240から外部に出射されながら、導光部230の端部に向けて導光される。結果として、導光部230の外面全体(出射面240,410)から略均一に光が出射される。光束制御部材400から出射された光は、空気層を透過してカバー140の内面に到達する。カバー140の内面に到達した光は、拡散されつつカバー140を透過する。結果として、カバー140の外表面全面から略均一に光が出射される。
【0047】
図10に示されるように、実施の形態2の光束制御部材400では、入射面210から入射した光の一部は、全反射面220に到達することなく、また導光部230内を導光されることもなく、全反射面220の近傍に位置する出射面410,420から外部に出射される。したがって、実施の形態2の光束制御部材400では、実施の形態1の光束制御部材200に比べて、全反射面220の周辺から出射される光量が増大する。
【0048】
(照明装置の照度分布のシミュレーション)
図8に示される実施の形態2の照明装置300の照度分布をシミュレーションした。
図11は、照明装置300を正面から観察した場合(
図8Bのように観察した場合)の照度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0049】
図7において矢印で示されるように、実施の形態1の照明装置100では、発光素子130に対応する部位においてわずかに照度の低下が生じていた。これは、全反射面220の周辺から出射される光がほとんどないためである。これに対し、実施の形態2の照明装置300では、全反射面220の周辺からも光が出射されるため、
図11に示されるように、発光素子130に対応する部位においても照度の低下はほとんど生じなかった。
【0050】
(効果)
実施の形態2の照明装置300は、実施の形態1の照明装置100の効果に加えて、全反射面220の周辺から出射される光量が増大するため、有効発光量域内の輝度ムラをより小さくできるという効果を有する。
【0051】
[実施の形態3]
(照明装置の構成)
図12および
図13は、実施の形態3の照明装置500および光束制御部材600の構成を示す図である。
図12Aは、カバー140の一部を除去し、内部を観察可能にした照明装置500の正面図であり、
図12Bは、光束制御部材600の正面図であり、
図12Cは、光束制御部材600の平面図であり、
図12Dは、光束制御部材600の底面図であり、
図12Eは、
図12Cに示されるJ−J線の断面図である。
図13Aは、光束制御部材600の左側面図であり、
図13Bは、光束制御部材600の右側面図であり、
図13Cは、
図12Cに示されるK−K線の断面図であり、
図13Dは、
図12Cに示されるL−L線の断面図であり、
図13Eは、
図12Cに示されるM−M線の断面図である。
【0052】
図12Aに示されるように、照明装置500は、フレーム110、基板120、複数の発光素子130、複数の光束制御部材600およびカバー140を有する。一組の発光素子130および光束制御部材600は、発光装置として機能する。実施の形態3の照明装置500は、光束制御部材600の形状が実施の形態1の照明装置100と異なる。そこで、実施の形態1の照明装置100と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
(光束制御部材の形状)
図12B〜Eおよび
図13に示されるように、実施の形態3の光束制御部材600の導光部630は、発光素子130(入射面210)から離れた部位に形成された断面積が変化しない領域と、発光素子130(入射面210)に近い側に形成された断面積が変化する断面積変化部とを有している。発光素子130側の導光部630の基板120からの高さと、発光素子から離れた部位の導光部130の基板からの高さとは、同じである。また、光束制御部材600は、一対の位置決め突起620と、一対の補強部材640とを有する。
【0054】
位置決め突起620は、基板120に対して光束制御部材600を位置決めする。位置決め突起620は、略円柱形状に形成されている。位置決め突起620は、導光部630の裏面に配置されている。
【0055】
補強部材640は、光束制御部材600の強度を向上させる。補強部材640の配置位置および形状は、光束制御部材600の全反射面220の機能を大きく阻害せず、かつ光束制御部材600の強度を向上させることができれば、特に限定されない。本実施の形態では、補強部材640は、光束制御部材600の底面(発光素子130側の面)側に配置されており、導光部630の端面同士を連接している。
【0056】
また、特に図示しないが、実施の形態3の光束制御部材600においても、発光素子130から出射された光は、実施の形態1の光束制御部材200を用いた場合と同じように制御される。なお、全反射面220で全反射せずに出射する光成分は、発光素子130の発光面が大きくなるほど増加する。このような場合には、光束制御部材600のように入射面210全体を曲面で形成せず、入射面210がエッジを有する状態であっても、全反射面220から出射する光が生成する。したがって、全反射する光と、出射する光とのバランスを考慮し、照明装置500のカバー140上に発光品位を悪化させる強いコントラストの明暗部が生じないようにエッジの有無を調整すればよい。
【0057】
(効果)
実施の形態3の照明装置500は、実施の形態1の照明装置100と同じ効果を有する。
【0058】
[実施の形態4]
(照明装置の構成)
図14および
図15は、実施の形態4の照明装置700、光束制御部材800および散乱部材820の構成を示す図である。
図14Aは、カバー140の一部を除去し、内部を観察可能にした照明装置700の正面図であり、
図14Bは、光束制御部材800の正面図であり、
図14Cは、光束制御部材800の平面図であり、
図14Dは、
図14Cに示されるN−N線の断面図である。
図15Aは、散乱部材820の正面図であり、
図15Bは、散乱部材820の平面図であり、
図15Cは、散乱部材820の底面図であり、
図15Dは、散乱部材820の側面図である。
【0059】
図14Aに示されるように、照明装置700は、フレーム110、基板120、複数の発光素子130、複数の光束制御部材800およびカバー140を有する。一組の発光素子130および光束制御部材800は、発光装置として機能する。実施の形態4の照明装置700は、光束制御部材800の構成が実施の形態3の照明装置700と異なる。そこで、実施の形態3の照明装置700と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
(光束制御部材の形状)
図14B〜Dおよび
図15に示されるように、実施の形態4の光束制御部材800は、実施の形態3の光束制御部材600(光束制御部材本体)に加え、散乱部材820をさらに有する。
【0061】
前述したように、全反射面220は、入射面210から入射した光の一部を、2つの導光部630が延在する方向に反射させる。また、全反射面220は、発光素子130の発光面の中央部分から出射される光を対象にして設計される。よって、発光素子130の発光面の中央部分でない部分(例えば、発光面の外周部)から出射された光の一部は、全反射面220で反射せずに全反射面220から外部に出射してしまう場合がある。この全反射面220から出射した光は、全反射面220(発光素子130)の直上領域に明部を発生させる。これにより、照明装置700に輝度ムラができてしまうおそれがある。散乱部材820は、このような全反射面220から出射してしまった光を散乱(反射または屈折透過)させて全反射面220の直上部分に明部が生じることを抑制する。
【0062】
図15に示されるように、散乱部材820は、略半円筒形状に形成されており、複数のプリズム列822を有する。本明細書において、略半円筒形状とは、半円筒の形状を含み、半円筒の側縁に連結する側壁をさらに有していてもよい形状である。すなわち、散乱部材820の軸方向に直交する断面の形状は、釣り鐘様形状(逆U字型)である。散乱部材820の軸とは、例えば半円筒の部分の軸線である。散乱部材820の形状は、例えば半円筒形状であってもよい。散乱部材820は、全反射面220の直上近傍に配置されている。なお、散乱部材820の配置位置については、後で改めて説明する。
【0063】
複数のプリズム列822は、散乱部材820の内面に、かつ散乱部材820の軸方向に直交する方向に配置されている。すなわち、プリズム列822は、半円筒部分の内面に半円環状に配置されるとともに、側壁の内面に直線状に配置されている。複数のプリズム列822の断面形状は、三角形である。複数のプリズム列822は、それぞれ第1平面824および第2平面826を有する。第1平面824と第2平面826とは、交互に連続して配置されている。
【0064】
各プリズム列822は、同一の形状であってもよいし、異なった形状であってもよい。
図15に示される散乱部材820では、各プリズム列822は、同一形状に形成されている。第1傾斜面824および第2傾斜面826の光軸LAに対する傾斜角度は、全反射面220(発光素子130)の直上領域に明部が生じないようにすることができれば、特に限定されない。
【0065】
図16は、散乱部材820の配置位置を説明するための図である。
図16Aは、光軸を含む光束制御部材の長軸方向の断面において、発光素子130の発光面の一方の端部から出射し、全反射面220を透過する光の出射範囲(θ1)を示した図であり、
図16Bは、全反射面220から出射した光の出射範囲(θ2)を示した図であり、
図16Cは、散乱部材820で制御された光の出射範囲(θ3)を示した図である。
図17は、光束制御部材800を用いた場合の光路を示す断面図である。
【0066】
前述したように、光束制御部材800の全反射面220は、発光素子130の発光面の中央部分から出射される光を対象にして設計されているため、発光素子130の発光面の中央部分から出射される光は、ほぼ全て全反射面220により導光部630に向かって反射される。一方、発光面の中央部分以外の領域から出射される光は、全反射面220で反射されずに、透過する場合もあり得る。そこで、光軸LAを含み、かつ光束制御部材800の長軸方向の断面において、発光素子130の発光面の端部から出射される光の光路についてシミュレーションした。その結果、
図16Aに示されるように、発光素子130の発光面の端部から出射される光のうち、ある角度範囲の光が全反射面220を透過することがわかった。
【0067】
図16Aおよび
図17に示されるように、光軸を含む光束制御部材800の長軸方向の断面において、発光素子130の発光面の端部から出射した光のうち、発光面の端部を通り、光軸LAと平行な直線LA’に対して、発光面の中心側に5〜15°の角度(θ1)で出射した光は、全反射面220で反射せずに透過することがわかった。発光面の中央部分以外であって、かつ端部以外の発光点からの出射光にも、全反射面220で反射せずに透過する光の角度範囲が存在する。
【0068】
発光素子130の発光面全体からの出射光を光束制御部材800へ入射させ、全反射面220で反射せずに透過する光によって、全反射面220からどのような配光で光が出射するかシミュレーションした。その際、光束制御部材800の出射面240を遮光し、全反射面220からの出射光のみを対象とした。
【0069】
その結果、
図16Bおよび
図17に示されるように、光軸を含む光束制御部材800の長軸方向の断面において、全反射面220から出射したL1光は、光軸LAを0°とした場合、左右にそれぞれ約35°の角度方向に明るさのピークを形成することがわかった。
【0070】
そこで、前述した散乱部材820は、発光素子130の直上領域であって、少なくとも光軸LAに対して35°までの範囲の光を覆うように配置されれば、最も高光度で出射する35°方向の出射光の進行方向を乱すことができ、全反射面220の直上領域に明部が生じる可能性を低くすることができる。なお、このピーク角度は、発光素子130の大きさ、配光特性、および光束制御部材800の入射面210と全反射面220の形状によって異なる。したがって、シミュレーションまたは実測によってピーク角度を確認し、その方向の光が散乱部材820を介して出射されるように、散乱部材820による被覆範囲を決定すればよい。
【0071】
次に、全反射面220の直上領域であって、少なくとも光軸LAに対して35°までの範囲を覆うように散乱部材820を配置した場合の光の光路についてシミュレーションした。なお、導光部630に伝播する光を遮断しているため、導光部630から出射される光は、考慮していない。
【0072】
図16Cおよび
図17に示されるように、光軸を含む光束制御部材800の長軸方向の断面において、全反射面220の直上領域であって、少なくとも光軸LAに対して約35°までの範囲を覆うように散乱部材820を配置した場合、散乱部材820の出射面から出射した光は、光軸LAを0°とした場合、左右にそれぞれ約60°の角度方向に明るさのピークを形成することがわかった。
【0073】
すなわち、光軸を含む光束制御部材800の長軸方向の断面において、全反射面220から出射した光のピーク角度は、散乱部材820によって光軸LAを0°とした場合に、35°から60°に広げられていることがわかった。また、光のピーク角度が大きくなることで、散乱部材820を透過した光のカバー140までの距離が長くなる。このため、カバー140上に明部が生じにくくなる。
【0074】
このように、散乱部材820は、全反射面220から出射した光を散乱させることで、発光素子130の直上領域に生じるおそれのある明部を解消する。しかし、入射面210、全反射面220、2つの導光部630および2つの出射面240を有する光束制御部材本体(実施の形態3の光束制御部材600)から出射される光の波長と、散乱部材820から出射される光の波長とが異なると、光束制御部材800内で色ムラが生じてしまう。よって、散乱部材820は、可視光領域については、光束制御部材本体と同程度の波長特性の光を出射することが好ましい。このためには、光束制御部材本体の材料と、散乱部材820の材料とは、いずれも以下の方法で求められる400〜800nmの波長の光についての透過率差(ΔT)が15%以内であることが好ましい。
【0075】
(透過率差(ΔT)の求め方)
板厚1mmの平板状に形成した各材料に、可視光領域である400〜800nmの波長の光を照射して、各波長における光の透過率を求める。各材料について、透過率の最大値(T
max)から透過率の最小値(T
min)を差し引いて透過率差(ΔT)とする。
【0076】
光束制御部材本体の材料と、散乱部材820の材料とは、前述の要件を満たせば、同じであってもよいし、異なっていてもよい。このような透過率差(ΔT)の条件を満たす材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂や、光透過性のガラスなどが含まれる。このように、光束制御部材本体の材料および散乱部材820の材料の透過率差を15%以内とすることで、光束制御部材本体および散乱部材820から出射される光の色味を同様にすることができる。
【0077】
(効果)
以上のように、実施の形態4の照明装置700は、光束制御部材800が散乱部材820を有しているため、発光素子130の直上領域に明部が生じることを防止することができる。すなわち、照明装置700の発光領域全体から均一に光を出射することができるため、エネルギー効率がよく、かつ輝度ムラが小さい。また、光束制御部材800を構成する材料の透過率差を15%以内にすることで、色ムラの発生も抑制することができる。
【0078】
(第1変形例)
図18は、実施の形態4の第1変形例の散乱部材820aの構成を示す図である。
図18Aは、散乱部材820aの正面図であり、
図18Bは、散乱部材820aの平面図であり、
図18Cは、散乱部材820aの底面図であり、
図18Dは、散乱部材820aの側面図である。
【0079】
図18に示されるように、実施の形態4の第1変形例の光束制御部材は、散乱部材820aの形状が実施の形態4の光束制御部材800と異なる。そこで、実施の形態4の光束制御部材800と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
(拡散部材の形状)
実施の形態4の第1変形例の散乱部材820aは、複数のプリズム列822aを有する。複数のプリズム列822aは、散乱部材820a(略半円筒部分)の内面にのみ配置されており、第1傾斜面824および第2傾斜面826を有する。複数のプリズム列822aは、散乱部材820aの軸と平行に配置されている。なお、複数のプリズム列822aは、成形時のアンダーカットを考慮して、側壁の内面には配置されていない。また、複数のプリズム列822aは、アンダーカットを考慮して、それぞれ同一形状でない。
【0081】
(第2変形例)
図19は、実施の形態4の第2変形例の散乱部材820bの構成を示す図である。
図19Aは、散乱部材820bの正面図であり、
図19Bは、散乱部材820bの平面図であり、
図19Cは、散乱部材820bの底面図であり、
図19Dは、散乱部材820bの側面図である。
【0082】
図19に示されるように、実施の形態4の第2変形例の光束制御部材は、散乱部材820bの形状が実施の形態4の光束制御部材800と異なる。そこで、実施の形態4の光束制御部材800と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
(拡散部材の形状)
実施の形態4の第2変形例の散乱部材820bは、複数のプリズム列822bを有する。複数のプリズム列822bは、散乱部材820b(略半円筒部分)の外周面に配置されており、第1傾斜面824および第2傾斜面826を有する。複数のプリズム列822bは、散乱部材820bの軸と平行に配置されている。
【0084】
(効果)
実施の形態4の第1変形例および第2変形例の光束制御部材を有する照明装置も、実施の形態4の照明装置700と同じ効果を有する。なお、特に図示しないが、複数のプリズム列は、散乱部材の(略円筒部分)の外面であって、散乱部材の軸に直交する方向に配置されていてもよい。
【0085】
なお、実施の形態4およびその変形例では、複数のプリズム列822,822a,822bを有する散乱部材を示したが、複数のプリズム列822,822a,822bに代えて、複数の四角錐を配置してもよい。この場合、複数の四角錐は、散乱部材の(略円筒部分)の外面または内面に配置される。複数の四角錐の配置態様は、特に限定されない。たとえば、四角錐の底面の一辺が散乱部材の軸と平行になるように四角錐を配置してもよいし、四角錐の底面の一辺が散乱部材の軸に対して傾くように(例えば、45°)配置してもよい。
【0086】
[実施の形態5]
(照明装置の構成)
図20および
図21は、実施の形態5の照明装置900および光束制御部材1000の構成を示す図である。
図20Aは、照明装置900の断面図であり、
図20Bは、光束制御部材1000の正面図であり、
図20Cは、光束制御部材1000の平面図であり、
図20Dは、光束制御部材1000の底面図であり、
図20Eは、
図20Cに示されるO−O線の断面図である。
図21Aは、光束制御部材1000の左側面図であり、
図21Bは、光束制御部材1000の右側面図であり、
図21Cは、
図20Cに示されるP−P線の断面図であり、
図21Dは、
図20Cに示されるQ−Q線の断面図であり、
図21Eは、
図20Cに示されるR−R線の断面図である。なお、
図20B〜E、
図21A〜Eでは、散乱部材820を省略している。
【0087】
図20Aに示されるように、照明装置900は、フレーム110、基板120、複数の発光素子130、複数の光束制御部材1000およびカバー140を有する。一組の発光素子130および光束制御部材1000は、発光装置として機能する。実施の形態5の照明装置900は、光束制御部材1000の形状が実施の形態4の照明装置700と異なる。そこで、実施の形態4の照明装置700と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0088】
(光束制御部材の形状)
図20B〜Eおよび
図21に示されるように、実施の形態5の光束制御部材1000は、散乱部材820を取り付ける段部がない。これにより、全反射面220および導光部1030を滑らかに繋いでいる。
【0089】
補強部材1040の光軸LAを含む光束制御部材1000の短軸方向の断面形状は、L字型である。光軸LAを含む光束制御部材1000の長軸方向における補強部材1040は、入射面210を挟んで形成される一対の断面積変化部の両側面まで延長されており、導光部630を連接している。
【0090】
実施の形態5の光束制御部材1000も、実施の形態4の散乱部材820および実施の形態4の変形例1,2の散乱部材820a,820bのいずれを有していてもよい。また、散乱部材820,820a,820bによる被覆範囲も前述したとおりである。
【0091】
(効果)
以上のように、実施の形態5の照明装置900は、全反射面220および導光部1030(出射面240)を滑らかに繋いでいるため、全反射面220を大きくすることができるとともに、段部による明るさの不連続性を解消することができる。また、補強部材1040を導光部1030の側面まで延長しているため、更なる強度の向上を図ることができる。
【0092】
なお、導光部230,630,1030は、全反射面の接続部222を含む平面で分割されていてもよい。この場合、導光部230,630,1030同士が補強部材などにより接合されることが好ましい。
【0093】
[実施の形態6]
(照明装置の構成)
図22〜
図26は、実施の形態6の照明装置1100、光束制御部材1200および散乱部材1220の構成を示す図である。
図22Aは、照明装置1100を正面から見た断面図であり、
図22Bは、
図22Aに示されるS−S線の断面図であり、
図22Cは、
図22Aに示されるT−T線の断面図である。
図23Aは、光束制御部材1200の正面図であり、
図23Bは、光束制御部材1200の平面図であり、
図23Cは、光束制御部材1200の底面図であり、
図23Dは、
図23Bに示されるU−U線の断面図である。
図24Aは、光束制御部材1200の側面図であり、
図24Bは、
図23Dに示されるV−V線の断面図であり、
図24Cは、
図23Dに示されるW−W線の断面図である。なお、
図23および
図24では、散乱部材1220と、後述の補助突起1227と係合する係合穴とを省略している。
図25Aは、散乱部材1220の平面図であり、
図25Bは、散乱部材1220の正面図であり、
図25Cは、散乱部材1220の底面図であり、
図25Dは、
図25Aに示されるX−X線の断面図であり、
図25Eは、散乱部材1220の側面図であり、
図25Fは、
図25Cに示されるY−Y線の断面図であり、
図25Gは、
図25Cに示されるZ−Z線の断面図であり、
図25Hは、
図25Cに示されるAA−AA線の断面図である。
図26は、光束制御部材1200の中央部分の拡大断面図である。
【0094】
図22に示されるように、照明装置1100は、フレーム110、基板120、複数の発光素子130、複数の光束制御部材1200およびカバー140を有する。一組の発光素子130および光束制御部材1200は、発光装置として機能する。実施の形態6の照明装置1100は、光束制御部材1200の形状が実施の形態5の照明装置1000と異なる。そこで、実施の形態5の照明装置1000と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0095】
(光束制御部材の形状)
図22〜
図26に示されるように、実施の形態6の光束制御部材1200は、光束制御部材本体および散乱部材1220を有する。
【0096】
光束制御部材本体は、入射面210、全反射面220、2つの導光部1230および2つの出射面240を有する。
【0097】
導光部1230の底面(発光素子の光軸LA方向についての発光素子130側の面)には、第2凹部1270がそれぞれ形成されている。2つの第2凹部1270は、いずれも光束制御部材1200の中央部近傍に形成されているが、凹部250とは連通していない。
【0098】
第2凹部1270の大きさおよび形状は、所望の配光特性(本発明の効果を損ねない配光特性)が得られ、かつ光束制御部材1200に要求される強度を確保することができれば、特に限定されない。本実施の形態において、第2凹部1270の平面視形状は、底辺が発光素子130側に位置する二等辺三角形である(
図23C参照)。第2凹部1270の深さは、発光素子130側では一定であるが、発光素子130から離れるにつれて徐々に浅くなっている(
図23D参照)。たとえば、第2凹部1270の最大深さは、0.5〜1.5mm程度である。光束制御部材本体の短軸方向における第2凹部1270の断面形状は、底部が直線であり、側部が曲線である(
図24C参照)。すなわち、第2凹部1270内面の形状は、底部が平面であり、側部が曲面である。なお、光束制御部材1200を射出成形により成形する場合、第2凹部1270は、ヒケが発生するおそれがある部位に形成することが好ましい。これにより、射出成形時におけるヒケの発生を抑制することができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0099】
図25および
図26に示されるように、散乱部材1220は、複数のプリズム列1222と、複数の補助突起1227と、複数の固定爪1228と、を有する。本実施の形態の散乱部材1220は、実施の形態4および各変形例の散乱部材820,820a,820bと比較して、散乱部材1220の軸方向(光束制御部材本体の長軸方向)に延在している。散乱部材1220の長軸方向の両端部には、複数の補助突起1227および複数の固定爪1228が配置されている。
【0100】
複数のプリズム列1222は、散乱部材1220の内面の一部に、かつ散乱部材1220の軸方向に直交する方向に配置されている。光束制御部材本体に対する複数のプリズム列1222の配置位置は、実施の形態4および各変形例の複数のプリズム列822,822a,822bと同じである。複数のプリズム列1222は、それぞれ第1曲面1223および第2曲面1224を有する。散乱部材1220の軸方向における第1曲面1223および第2曲面1224の断面形状は、それぞれ略四分円である(
図26参照)。第1曲面1223および第2曲面1224は、交互に連続して配置されている。
【0101】
補助突起1227は、導光部1230の上部の発光素子130側に配置された図外の係合穴に係合することで、光束制御部材本体における強度不足の箇所を散乱部材1220で補強するための突起である。補助突起1227は、光束制御部材本体側に配置されている。補助突起1227は、散乱部材1220の短軸方向の中央部分であって、かつ散乱部材1220の長軸方向の発光素子130から離れた部位に配置されている(
図25C参照)。
【0102】
固定爪1228は、光束制御部材本体とともに、散乱部材1220を基板120に固定する。固定爪1228は、散乱部材1220を平面視した場合、四隅に形成されている(
図25A〜D参照)。
【0103】
図27は、光束制御部材本体の中央部分における光路を示す図である。
図27に示されるように、発光素子130の光軸LAに対して小さい角度で出射された光は、入射面210から光束制御部材本体に入射する。光軸LAに対して小さい角度で出射された光は、高光度であるため、全反射面220が機能せずに、そのまま出射されてしまうと、発光素子130の直上部分に明部を生じさせてしまう。本実施の形態の発明では、光束制御部材本体に入射した光の一部を、全反射面220で導光部1230に向かって反射しているため、発光素子130の近傍部分に明部が発生するのを抑制している(発光素子130の近傍部分が暗部となりやすい)。一方、光軸LAに対して大きい角度で出射された光も、入射面210から光束制御部材本体に入射する。そして、光束制御部材本体に入射した光の一部は、一旦、第2凹部1270内を経由して(光束制御部材本体から出射して)、再度、光束制御部材本体に入射する。この光は、導光部1230の出射面240からカバー140に向かって出射される。このように、光軸LAに対して大きい角度で出射された光であって、第2凹部1270を経由して屈折されて出射面240から出射される光(
図27において実線で示す)は、第2凹部1270が形成されていない光束制御部材本体を導光する光(
図27において破線で示す)よりも、光軸LA側で出射される。これにより、発光素子130の近傍部分に生じやすい暗部の発生が抑制される。
【0104】
(効果)
以上のように、実施の形態6の照明装置1100は、実施の形態5の照明装置900と同様の効果を有する。また、実施の形態6の光束制御部材1200は、導光部1230に第2凹部1270が形成されているため、実施の形態5の光束制御部材1000と比較して軽量化することができるとともに、材料コストを削減することができる。また、プリズム列1222の入射面の断面形状に丸みを付けることで、カバー140に向かって出射される光の出射方向を調整することができる。
【0105】
(第1変形例)
図28および
図29は、実施の形態6の第1変形例の光束制御部材1400の構成を示す図である。
図28Aは、光束制御部材1400の正面図であり、
図28Bは、光束制御部材1400の平面図であり、
図28Cは、光束制御部材1400の底面図であり、
図28Dは、
図28Bに示されるAB−AB線の断面図である。
図29Aは、光束制御部材1400の側面図であり、
図29Bは、
図28Dに示されるAC−AC線の断面図であり、
図29Cは、
図28Dに示されるAD−AD線の断面図であり、
図29Dは、
図28Dに示されるAD−AD線の断面図である。なお、
図28および
図29では、散乱部材1220を省略している。
【0106】
図28および
図29に示されるように、実施の形態6の第1変形例の光束制御部材1400は、光束制御部材本体の第2凹部1470の形状が実施の形態6の光束制御部材1200と異なる。そこで、実施の形態6の光束制御部材1200と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0107】
(光束制御部材の形状)
実施の形態6の第1変形例の光束制御部材1400において、第2凹部1470は、一方の端部が発光素子130側に位置し、他方の端部が光束制御部材1400の長軸方向の側面に達している(
図28Cおよび
図28D参照)。第2凹部1470の深さは、発光素子130側(光束制御部材1400の中央側)では浅く、光束制御部材1400の側面側(光束制御部材1400の端部側)では深く形成されている。また、導光部1230の中央部分における第2凹部1470の深さは、発光素子130から離れるにつれて徐々に深くなるように形成されている。また、発光素子130側の部位における第2凹部1470の短軸方向の断面形状は半円状であり(
図29C参照)、光束制御部材1400の側面側の部位における第2凹部1470の短軸方向の断面形状は釣り鐘型である(
図29D参照)。
【0108】
以上のように、実施の形態6の第1変形例の光束制御部材1400を有する照明装置は、実施の形態6の光束制御部材1200を有する照明装置1100と同様の効果を有する。また、第2凹部1470の大きさが、実施の形態6の第2凹部1270より大きいため、さらに軽量化することができる。
【0109】
(第2変形例)
図30および
図31は、実施の形態6の第2変形例の光束制御部材1600の構成を示す図である。
図30Aは、光束制御部材1600の正面図であり、
図30Bは、光束制御部材1600の平面図であり、
図30Cは、光束制御部材1600の底面図であり、
図30Dは、
図30Bに示されるAF−AF線の断面図である。
図31Aは、光束制御部材1600の側面図であり、
図31Bは、
図30Dに示されるAG−AG線の断面図であり、
図31Cは、
図30Dに示されるAH−AH線の断面図である。なお、
図30および
図31では、散乱部材1220を省略している。
【0110】
図30および
図31に示されるように、実施の形態6の第2変形例の光束制御部材1600は、第2凹部1670の形状が実施の形態6の光束制御部材1200と異なる。そこで、実施の形態6の光束制御部材1200と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0111】
(光束制御部材の形状)
実施の形態6の第2変形例の一方の第2凹部1670は、発光素子130側の端部で他方の第2凹部1670と連通している(
図30Cおよび
図30D参照)。このため、本変形例では、入射面210の発光素子130側の一部は、第2凹部1670によって切り取られている。
【0112】
第2凹部1670の深さは、発光素子130側では一定であるが、発光素子130から離れるにつれて徐々に浅くなっている。光束制御部材本体の短軸方向における第2凹部1670の断面形状は、円の一部を切り欠いた形状である(
図31Bおよび
図31C参照)。
【0113】
第2凹部1670の内面は、発光素子130から出射された光の一部を入射する第2入射面1614を有する。すなわち、第2凹部1670の内面の一部は、第2入射面1614として機能する。第2入射面1614は、光軸LAに対して大きい角度で出射された光を入射する。第2入射面1614は、第2凹部1670の内面の発光素子130側に配置されている。また、第2入射面1614は、入射面210を取り囲むように配置されており、入射面210の開口縁部に繋がっている。
【0114】
図32Aは、第2凹部1670の最大深さが1.0mmの光束制御部材1600の中央部分における光路を示す図である。
図32Bは、第2凹部の最大深さが2.0mmの光束制御部材1600’の中央部分における光路を示す図である。
【0115】
図32Aに示されるように、第2凹部1670の最大深さが1.0mmの光束制御部材1600において、光軸LAに対して小さい角度で出射された光は、入射面210から光束制御部材1600に入射する。光軸LAに対して小さい角度で出射された光は、高光度であるため、全反射面220が機能せずに、そのまま出射されてしまうと、発光素子130の直上部分に明部を生じさせてしまう。本実施の形態では、光束制御部材1600に入射した光の一部を、全反射面220で導光部1230に向かって反射しているため、発光素子130の直上部分における明部の発生が抑制される(逆に発光素子130の直上部分が暗部となるおそれがある)。一方、光軸LAに対して大きい角度で出射された光は、第2入射面1614から光束制御部材1600に入射する。この光の一部は、入射面210から入射した光よりも、光軸LA側で出射される。これにより、発光素子130の直上部分に生じやすい暗部の発生が抑制される。一方、
図32Bに示されるように、第2凹部1670’の最大深さが2.0mmの光束制御部材1600’では、最大深さが1.0mmの第2凹部1670を有する光束制御部材1600よりも、第2入射面1614’から入射する光が多くなる。このため、発光素子130の直上部分に出射される光が多くなり、発光素子130の直上部分に明部が生じてしまうおそれがある。よって、第2凹部1670の最大深さは、輝度ムラを生じさせないために、発光素子130の近傍で出射する光と導光部1230を伝播する光とのバランスを考慮し、適宜調整されることが好ましい。
【0116】
以上のように、実施の形態6の第2変形例の光束制御部材1600は、実施の形態6の光束制御部材1200と同様の効果を有する。
【0117】
(照明装置の照度分布のシミュレーション)
第2凹部を有する光束制御部材本体を含む照明装置の照度分布をシミュレーションした。光束制御部材本体として、第2凹部1270が連通していない実施の形態6の光束制御部材本体、第2凹部1670が連通しており、第2凹部1670の最大深さが0.5,1.0,1.5,2.0mmの各光束制御部材本体を使用した。また、比較するために、第2凹部を有さない実施の形態5の光束制御部材1000を含む照明装置についてもシミュレーションした。
【0118】
基板120上に1つの発光素子130(白色LED)を配置し、発光素子130の上に長さ100mmの光束制御部材本体を配置した。カバー140の外径は、26mmである。なお、これらの照明装置において、散乱部材1220は、配置していない。
【0119】
図33Aは、照明装置の上側の照度分布のシミュレーション結果を示すグラフであり、
図33Bは、照明装置の手前側(正面側)の照度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。横軸は、照明装置の長軸方向の位置を示しており、発光素子130が配置されている点を「0」としている。縦軸は、カバー140の外面(外表面)を被照射面と仮定した場合における各位置の照度を示している。
図33において、実線Aは、凹部を有さない光束制御部材1000を有する照明装置の輝度分布を示しており、破線Bは、凹部の最大深さが0.5mmの光束制御部材本体を有する照明装置の輝度分布を示しており、一点鎖線Cは、第2凹部の最大深さが1.0mmの光束制御部材本体を有する照明装置の輝度分布を示しており、破線Dは、第2凹部の最大深さが1.5mmの光束制御部材本体を有する照明装置の輝度分布を示しており、実線Eは、第2凹部の最大深さが2.0mmの光束制御部材本体を有する照明装置の輝度分布を示しており、実線Fは、第2凹部が連通していない光束制御部材本体を有する照明装置の輝度分布を示している。なお、照明装置の長軸方向の位置として、+60mm、−60mm付近のピークは、光束制御部材の側面から出射された光によるものである。
【0120】
図33Aおよび
図33Bに示されるように、第2凹部の最大深さが0.0、0.5、1.0、1.5mmの光束制御部材本体(実施の形態6の第2変形例の光束制御部材1600)、および第2凹部1270が凹部250に連通していない光束制御部材本体(実施の形態6の光束制御部材1200)では、導光部の端部から出射される光によるカバー140の外面における照度と、中央部近傍から出射される光によるカバー140の外面における照度がほぼ同じであり、輝度ムラが小さかった。一方、第2凹部1670’の最大深さが2.0mmの光束制御部材本体1600’では、導光部1230の端部から出射される光によるカバー140の外面における照度より、中央部近傍から出射される光によるカバー140の外面における照度が著しく大きかったため、大きな輝度ムラが生じてしまった。よって、今回使用した光束制御部材本体においては、第2凹部の最大深さは、0.0〜1.5mmの範囲内であることが好ましい。