特許第6181423号(P6181423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181423
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】多用途クッション
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20170807BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A47C27/00 K
   A47C27/00 Q
   A47C27/00 C
   A61G5/10 705
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-106816(P2013-106816)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-226232(P2014-226232A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】513127412
【氏名又は名称】鳥取医療生活協同組合
(74)【代理人】
【識別番号】100129104
【弁理士】
【氏名又は名称】舩曵 崇章
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘子
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−084122(JP,A)
【文献】 特開2010−172516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00−27/22
A61G 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の弾性片が詰め込まれた概ね二等辺三角形状の四個の略三角クッション部が、隣り合う略三角クッション部と底辺同士が平行になるように等辺同士が沿い合った状態で互い違いに連続しており、沿い合った等辺部分を仕切り部としてこの仕切り部で折り曲げ自在に構成されており、
略三角クッション部の底角が40〜50度である、
多用途クッション。
【請求項2】
四個の略三角クッション部のうち内側の二個の略三角クッション部が、他の略三角クッション部よりも、弾性片が多く詰め込まれており厚みが大きい、
請求項1記載の多用途クッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多用途クッション、およびカバー付きの多用途クッションに関する。特に、介護分野に用いるのに好適な多用途クッション、およびカバー付きの多用途クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
多用途クッションとして種々のものが知られている。これら多用途クッションは、例えば、形を変形させることなどによって枕や座布団などとしての用途に用いることができる。
【0003】
例えば、下記特許文献1には「縫製により6箇所以上の仕切りを並列に設け、各仕切り間の空間にクッション材を挿入することによって、6個以上のクッション部を設け、これらのクッション部とシート部が一体の生地で構成され、おすホック1対をシート部の端に、めすホック3対をクッション部につけているものであり、マット状に展開しているクッション部間の仕切り線上で折り曲げ、おすホックとめすホックをとめることにより、互いに平行状態を保ちながら、3種類以上の塊状に集結することを特徴とする多用途クッション。」が記載されている。本特許文献によると、この多用途クッションは、いすの座布団、横臥時の頭部や脚部をなどの支え、いすの背もたれや腰当てに利用できるとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−312878(請求項1、段落0012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新たな構成の多用途クッションなどを提供することを目的とする。特に、介護分野に用いるのに好適な多用途クッションなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、多数の弾性片が詰め込まれた概ね二等辺三角形状の複数個の略三角クッション部が、隣り合う略三角クッション部と底辺同士が概ね平行になるように等辺同士が沿い合った状態で互い違いに連続しており、沿い合った等辺部分を仕切り部としてこの仕切り部で折り曲げ自在に構成されている、多用途クッションとした。
【0007】
この多用途クッションは、仕切り部で折り曲げ自在であるため、各仕切り部を折り返すことによって座布団状になり、例えば、車椅子用の座布団として用いることができる。
また、複数個の略三角クッション部が連続しており仕切り部で折り曲げ自在であるため、人体関節部分に沿わせやすく、褥創を予防したり安楽な体位を維持したりするための、いわゆる体交枕として用いるのに好適である。仕切り部は、多用途クッションの長手方向に対して斜めに形成されている。
【0008】
ここで、四個の略三角クッション部が、隣り合う略三角クッション部と底辺同士が平行になるように等辺同士が沿い合った状態で互い違いに連続しており、沿い合った等辺部分を仕切り部としてこの仕切り部で折り曲げ自在に構成されており、略三角クッション部の底角が40〜50度である、多用途クッションとすることができる。
【0009】
この多用途クッションは、底角が40〜50度の略三角クッション部が四個連続しているため、各仕切り部を折り返すことによって丁度一周して、両端部が重なり合い、座布団状になる。こうすると、座布団として用いるのに好適である。
【0010】
このとき、四個の略三角クッション部のうち内側の二個の略三角クッション部が、他の略三角クッション部よりも、弾性片が多く詰め込まれており厚みが大きい、多用途クッションとすることができる。
【0011】
この多用途クッションは、車椅子用の座布団として用いる際に、重なり合った両端部が後方側になるように車椅子に載せれば、厚みが大きい略三角クッション部の重なった部分が前方側に位置することになる。これによって、車椅子利用者が車椅子から前方に転落しにくくなり安全性が向上する。
【0012】
弾性片が粒状の弾性体からなる多用途クッションとすることもできる。
【0013】
この多用途クッションは、略三角クッション部において弾性片(粒状の弾性体)が流動しやすくなり、これによって、より一層、仕切り部で折り曲げやすくなる。また、仕切り部で折り曲げた際に、粒状の弾性体が流動し、折り曲げた形状が保持されやすくなる。
【0014】
弾性片が円筒状弾性体である多用途クッションとすることもできる。
【0015】
この多用途クッションは、安価で軽量なものとなる。円筒状弾性体とは、例えば、ストローを長手方向に細かく切断したような形状である。
【0016】
前記課題は、上記何れかの多用途クッションと、この多用途クッションが入った袋状のカバーを備えた、カバー付きの多用途クッションであって、前記袋状のカバーは、底部が斜めに切り取られたような形状であり、表側と裏側とで色彩が異なる、カバー付きの多用途クッションとすることでも解決される。
【0017】
このカバー付きの多用途クッションは、袋状のカバーの底部が斜めに切り取られたような形状であるため、多用途クッションがフィットしやすい。また、袋状のカバーが表側と裏側とで色彩が異なるため、各仕切り部を折り返して座布団状にした場合に、表側と裏側の色が交互に表れることになり、デザイン的にも優れたものになる。
【0018】
このとき、袋状のカバーの左右それぞれに、上下一対の連結紐が設けてある、カバー付きの多用途クッションとすることが好ましい。
【0019】
このカバー付きの多用途クッションは、座布団状にした場合に、両端の連結紐を結ぶことで形状を維持させやすくなる。また、体交枕として用いる場合に、連結紐を足や腕などに巻き付けるなどして使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、新たな構成の多用途クッションなどを提供することができる。特に、介護分野に用いるのに好適な多用途クッションなどを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】多用途クッションを例示する平面写真である。
図2】多用途クッションの各仕切り部を折り返すことによって座布団状にする様子を例示する平面写真である。
図3】多用途クッションの各仕切り部を折り返すことによって座布団状にした状態を例示する平面写真である。
図4】袋状のカバーを例示する写真である。
図5】カバー付きの多用途クッションを例示する写真である。
図6】カバー付きの多用途クッションの各仕切り部を折り返すことによって座布団状にした状態を例示する平面写真である。
図7】カバー付きの多用途クッションを車椅子に載置した状態を例示する写真である。
図8】カバー付きの多用途クッションを体交枕として用いた様子を例示する写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図を用いて多用途クッション1、及びカバー付きの多用途クッション2を例示説明する。本発明およびその構成要素は、以下の説明に限定されるものではない。なお、図1において、四個の略三角クッション部3a,3b,3c,3dのうち、図中左から二番目の略三角クッション部3bにのみ、底辺31や等辺33などの符号を付してあり、その他の略三角クッション部3a,3c,3dには、これらの符号を省略してある。
【0023】
[多用途クッション]
多用途クッション1は、平面視が概ね二等辺三角形状の複数個の略三角クッション部で構成される。図1などに示す例では、四個の略三角クッション部3a,3b,3c,3dで構成されており、略三角クッション部3a,3b,3c,3dは、上下互い違いではあるものの、平面視で概ね同一形状である。本実施形態では、略三角クッション部3a,3b,3c,3dの底角32θは概ね45度である。
【0024】
そして、略三角クッション部3a,3b,3c,3dには、多数の弾性片が詰め込まれている(図示せず)。弾性片としては粒状の弾性体を用いることができる。粒状の弾性体の材料としては、例えば、スチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム、シリコンゴム、天然ゴム、ポリウレタン、ポリプロピレンと架橋ゴムとの複合材料などを用いることができる。また、粒状の弾性体の形状としては、例えば、球状、円錐状、円柱状、円筒状、直方体状などとすることができる。粒状の弾性体としては、軽量で弾性率も選択しやすい発泡成形品を用いることができる。
【0025】
略三角クッション部3a,3b,3c,3dには、外力に応じて内部の弾性片が流動する程度に、弾性片を詰め込むことが好ましい。弾性片の流動性を考慮すると、粒状の弾性体の形状としては、例えば、球状、円錐状、円柱状、円筒状などが好ましい。粒状の弾性体の大きさは、1〜10mmが好ましい。
【0026】
そして、多用途クッション部3a,3b,3c,3dは、隣り合う略三角クッション部と底辺31同士が平行(概ね平行)になるように等辺33同士が沿い合ったような状態で互い違いに連続しており、沿い合った等辺33部分を仕切り部34としてこの仕切り部34で折り曲げ自在に構成されている。仕切り部34には弾性片が存在しないか、存在しているとしても微量である。
【0027】
本実施形態では、横長平行四辺形状の袋体に弾性片を入れ、概ね等しい形状の四個の略三角クッション部が形成されるように、横長平行四辺形状の袋体をジグザグ状に縫製して仕切り部34(仕切り線)を形成してある。
【0028】
そして、四個の略三角クッション部3a,3b,3c,3dのうち内側の二個の略三角クッション部3b,3cには、他の略三角クッション部(左右両端に位置する略三角クッション部)3a,3dよりも弾性片を多く詰め込んであり、内側の二個の略三角クッション部3b,3cの厚みを大きくしてある(図示せず)。
【0029】
この多用途クッション1は、図2及び図3に示すように、各仕切り部34を順次同一方向に折り返すことによって丁度一周して、両端部が重なり合い、座布団状になるのである。ここで、図3の例では、略三角クッション部3dの先端側を、略三角クッション部3aの下に潜り込ませてある。そして、車椅子用の座布団として使う場合などには、四個の略三角クッション部3a,3b,3c,3dのうち、厚みが大きい略三角クッション部3b,3cの重なった部分が前方側にくるように車椅子に載せるとよい。
【0030】
[カバー付きの多用途クッション]
多用途クッション1には、図5に示すように、袋状のカバー4を被せてもよい。
【0031】
袋状のカバー4は、図4に示すように、底部42(開口部45とは反対側)が斜めに切り取られたような形状としてある。具体的には、多用途クッション1にフィットするように底部42の先端部の角度が略三角クッション部の底角32θとほぼ同じ角度になるように構成してある。本実施形態では、袋状のカバー4の開口部45側は、長手方向に対して概ね直角な、直線状としてある。
【0032】
また、袋状のカバー4は、表側と裏側とで異なる色彩としてある。本実施形態では、表側をオレンジ、裏側をホワイトとしてある。
【0033】
また、袋状のカバー4の左右(長手方向の両端部)それぞれには、上下一対の連結紐41が設けてある。
【0034】
このカバー付きの多用途クッション2は、図6に示すように、多用途クッション1単体の場合と同様、多用途クッション1の各仕切り部34を袋状のカバー4ごと折り返すことによって座布団状にすることができる。このとき、袋状のカバー4の左右の連結紐41を結ぶことが好ましい。そして、図7に示すように、例えば車椅子に載置することができる。
【0035】
また、図8に示すように、カバー付きの多用途クッション2を体交枕として用いることができる。このとき、連結紐41を足や腕などに巻き付けるなどして使用することができる(図示せず)。カバー付きの多用途クッション2は長手方向に対して斜めに折り曲げ自在であり、体交枕として用いるのにはフィット感が高く好適である。多用途クッション1単体でも同様である。
【0036】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 多用途クッション

2 カバー付きの多用途クッション

3a,3b,3c,3d 略三角クッション部
31 底辺
32θ 底角
33 等辺
34 仕切り部

4 袋状のカバー
41 連結紐
42 底部
45 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8