【実施例】
【0023】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。下記の実施例は、本発明の最良な実施形態の一例であるものの、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0024】
[実施例1〜8]
出発原料NH
4H
2PO
4(純度99.0%、関東化学製)、SrCO
3(純度99.9%、レアメタリック製)、Y
2O
3(純度99.99%、昭和化学製)、CeO
2(純度99.9%、レアメタリック製)、Tb
4O
7(純度99.9%、添川理化学製)、Nd
2O
3(純度99.99%、フルウチ化学製)およびLu
2O
3(純度99.9%、高純度化学製)は、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2O(純度99.0%、添川理化学製)、La
2O
3(純度99.99%、信越化学製またはアルドリッチ製)、Pr
6O
11(純度99.99%、レアメタリック製)およびGd
2O
3(純度99.99%、レアメタリック製)は硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度、La濃度、Pr濃度およびGd濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。ここで、出発原料であるLa
2O
3、Pr
6O
11およびGd
2O
3は、不定比性あるいは吸湿性および炭酸ガスを吸着しやすい性質があることから、EDTA滴定による検定をした後、用いた。
【0025】
こうして得られた各原料は、所定の量を秤量した後、エタノールを用いて、メノウ乳鉢中で湿式混合した。湿式混合したスラリーを乾燥させて得られた混合粉末試料は、混合粉末試料に含まれるエタノールを除去するために、乾燥機内で所定の温度および時間で十分乾燥させた。乾燥後の混合粉末試料は、直径15mm、厚さ約10mmのペレット状に加圧成形し、その後、電気炉内で空気中1000℃、10時間の条件で仮焼した。仮焼したペレットは、粉砕して、粉末にした。粉砕した仮焼粉は、直径10mm、厚さ約5mmのペレット状に再成形し、その後、電気炉内で空気中1000℃または1200℃、10時間の条件で焼成した。焼成して得られた焼結体を粉砕し、組成がSr
3(PO
4)
2:Ln
3+1mol%,Ag
+2mol%(Ln
3+=Lu
3+、Nd
3+、Gd
3+、Tb
3+、Pr
3+、Ce
3+、La
3+、Y
3+)で表される蛍光体1〜8(実施例1〜8)を製造した。蛍光体1〜8の組成、賦活剤の種類および賦活剤の量を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
<評価>
製造した蛍光体1〜8について、以下の評価を行った。
【0028】
〔蛍光体に含まれる結晶相の同定〕
製造した蛍光体に含まれる結晶相の同定の測定は、X線回折装置(RINT−2100、Regaku社製)を用いて、粉末X線回折法により行った。X線源はCu管球を用い、加速電圧および電流は40kV、40mAとした。グラファイトモノクロメーターによりKβ線(λ=0.13922nm)を除去し、Kα線(λ=0.15406nm)を用いた。結晶相の同定は、走査範囲2θ=10°〜80°、走査速度4°/min、ステップ幅0.02°の条件で行った。その結果、蛍光体1〜8は、主にSr
3(PO
4)
2相で構成されることを同定した。
【0029】
〔発光特性〕
蛍光体の発光スペクトルは以下の方法で測定した。発光スペクトルは、Xeエキシマランプと分光蛍光光度計(FP−6500、日本分光社製)とを組み合わせた装置系を用いて、Xeエキシマランプ光を励起源として、測定した。約0.01gの蛍光体と100μl(「l」はリットル)のエタノールとを混合したスラリーをマイクロピペットで石英ガラス基板上に滴下し、ガラス基板上のスラリーを自然乾燥させた測定試料を作製した。測定試料は、蛍光体を担持させた表面をXeエキシマランプと相対するように、Xeエキシマランプと分光蛍光光度計との間に設置した。XeエキシマランプからXeエキシマ光を測定試料に照射し、石英ガラス基板を透過した蛍光体からの発光光を、耐紫外線光ファイバー(STVH230/250、三菱電線社製)で分光蛍光光度計に導入することで、発光スペクトルを測定した。
【0030】
Xeエキシマランプ(極大波長λ
ex=172nm)を励起源として、蛍光体1〜8の発光スペクトルを測定した結果を
図1に示す。挿入図に、蛍光体5の発光強度を1として規格化した蛍光体1〜8の紫外発光の相対積分強度を示す。蛍光体1〜8の発光スペクトルは、波長240〜320nmの領域に現われ、Ag
+起因の波長276nmのピークを示した。
【0031】
蛍光体1〜8について、4f5d状態を持つPr
3+を添加した蛍光体5、および4f5d状態を持たないLa
3+を添加した蛍光体7における、Ag
+起因の発光ピークの強度は大きく増大した。こうした発光強度増大の要因は、4f5d状態には依存せずに、蛍光体内の置換サイトに存在するイオンのイオン半径が賦活剤Ln
3+のイオン半径に近いことによるものである。以上から、2価のイオン2個に対し、1価と3価のイオンの電荷補償を担うこと(2Sr
2+⇔Ln
3++Ag
+)で、上記金属イオンが固溶しやすくなり、その結果、Agが1価で賦活されかつAg
+が発光に関与していることが示唆された。
【0032】
[比較例1〜3]
出発原料NH
4H
2PO
4、SrCO
3およびCuO(純度99.99%、レアメタリック製)は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料La
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のLa濃度が約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がSr
3(PO
4)
2:(La
3+,Cu
+)xmol%(x=1〜5)で表される蛍光体C1〜C3(比較例1〜3)を製造した。蛍光体C1〜C3の組成、賦活剤の種類および賦活剤の量を表1に示す。なお、蛍光体C1〜C3は、Ag
+を含まない。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体1と同様に、蛍光体C1〜C3は、主にSr
3(PO
4)
2相で構成されることを同定した。
【0035】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体C1〜C3の発光スペクトルを測定した結果、蛍光体C1〜C3は、波長240〜320nmの領域に、蛍光体1〜8のような発光スペクトルを示さなかった。
【0036】
[実施例9〜15および比較例4]
出発原料NH
4H
2PO
4およびSrCO
3は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2OおよびLa
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度およびLa濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がSr
3(PO
4)
2:Ag
+0.5mol%で表される蛍光体9(実施例9)、Sr
3(PO
4)
2:(La
3+,Ag
+)xmol%(x=0.5〜15)で表される蛍光体10〜14(実施例10〜14)、およびSr
3(PO
4)
2で表される蛍光体C4(比較例4)を製造した。蛍光体9〜15および蛍光体C4の組成、賦活剤の種類および賦活剤の量を表3に示す。なお、蛍光体C4は、Ag
+を含まない。
【0037】
【表3】
【0038】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体1と同様に、蛍光体9〜15および蛍光体C4は、主にSr
3(PO
4)
2相で構成されることを同定した。
【0039】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体9〜15の発光スペクトルを測定した結果、および蛍光体9〜15のそれぞれのピーク強度を1として規格化した蛍光体9〜15の発光スペクトルを、
図2および3に示す。なお、蛍光体C4は、蛍光体9〜15の発光スペクトルのような、波長280nm付近をピークとする発光スペクトルを示さなかった。
【0040】
また、蛍光体10〜15の励起および発光スペクトルは以下の方法で測定した。波長領域140〜750nmの励起および発光スペクトルは、分光蛍光光度計(FP−6500、日本分光社製)とVUV分光光度計(リツー応用光学社製)とを組み合わせた装置系を用いて測定した。分光室および試料室は、ターボ分子ポンプ(TSH071E、Pfeiffer Vacuum社製)で、10
−5Torrの圧力まで排気した。重水素ランプ(L10355−10型、浜松ホトニクス社製)を励起源とし、回折格子で単一波長にした光を蛍光体に照射し、蛍光体から放出された発光光を、耐紫外線光ファイバー(STVH230/250、三菱電線社製)で光度計に導入することで、発光スペクトルを測定した。また、励起スペクトルは、励起波長を変化させながら、発光光の強度の時間変化を観測することで、測定した。励起光の強度の波長依存性は、励起光をシリコンフォトダイオード(AXUV−100、IRD社製)で観測することで、測定した。重水素ランプを用いて測定した蛍光体10〜15の励起スペクトルを
図4に示す。
【0041】
蛍光体10〜15の励起スペクトルは、波長173nm、195nm、210nmにピークを示した。また、蛍光体10〜15の発光スペクトルは、波長280nm付近にピークを示した。また、発光スペクトルのピークは、賦活剤の量が増加するにつれて、長波長側にシフトし、ブロードになった。蛍光体10〜15の励起波長173nm、195nm、210nmに基づく発光ピークの相対発光強度を
図5に示す。なお、励起波長173nmの発光強度を1として規格化している。賦活剤の濃度が増加すると、励起波長173nmに基づく発光ピークに対する、励起波長195nmおよび210nmに基づく発光ピークの強度は増加した。蛍光体10〜15および蛍光体C4の励起波長280nmに基づく発光ピークの相対発光強度を
図6に示す。なお、蛍光体13の紫外発光の積分強度を1として規格化している。賦活剤の濃度が増加するにつれて、発光強度が増加し、蛍光体13における発光強度が最大となった。これは、賦活剤の量が5mol%付近のときである。さらに賦活剤の濃度が増加すると、つまり蛍光体13の賦活剤濃度よりも高くなると、発光強度は低下した。
【0042】
[実施例16〜18]
実施例10〜15と同様の方法で、組成がSr
3(PO
4)
2:(La
3+,Ag
+)xmol%(x=20〜40)で表される蛍光体16〜18(実施例16〜18)を製造した。蛍光体10〜15に比べて、蛍光体16〜18の賦活剤の量は多い。蛍光体16〜18の組成、賦活剤の種類および賦活剤の量を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体16〜18は、蛍光体10〜15と同様の相で構成されることを同定した。また、実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体16〜18の発光スペクトルを測定した結果、発光スペクトルは、蛍光体10〜15の発光スペクトルと同様に、波長280nm付近にピークを示した。
【0045】
[実施例19〜25]
出発原料NH
4H
2PO
4、SrCO
3およびBaCO
3(純度99.9%、高純度化学製)は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2OおよびLa
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度およびLa濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がSr
3−xBa
x(PO
4)
2:(La
3+,Ag
+)5mol%(x=0、0.25、0.5、1、1.5、2、3)で表される蛍光体19〜25(実施例19〜25)を製造した。蛍光体19〜25の組成、賦活剤の種類および賦活剤の量を表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体19〜25は、空間群R3−mで指数付けできる相で構成されることを同定した。このとき、xが増加するにつれて回折ピークは低角度側にシフトしていることから、Baは蛍光体中に固溶している。
【0048】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体19〜25の発光スペクトルを測定した結果を
図7に示す。また、実施例9と同様に、重水素ランプを用いて測定した蛍光体19〜25の励起スペクトルを
図8に示す。蛍光体19〜25の励起スペクトルは、波長175nm、200nm、220nm付近の3つのピークを示した。また、蛍光体19〜25の発光スペクトルは、波長280nm付近に1つのピークを示した。蛍光体19の発光強度を1として規格化した蛍光体19〜25の紫外発光の相対積分強度と、このときのピーク波長のBa濃度依存性を
図9に示す。Ba濃度に比例してピーク位置が長波長側にシフトし、このピークは結晶構造によって変化することが示唆された。また、ピーク波長のシフト量はBa濃度に対して対数関数的な挙動を示し、BaがSrと置換することで、結晶体の発光特性が大きく変化した。
【0049】
[実施例26]
出発原料NH
4H
2PO
4およびMgO(純度99.9%、和光純薬製)は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2OおよびLa
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度およびLa濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がMg
3(PO
4)
2:(La
3+,Ag
+)5molで表される蛍光体26(実施例26)を製造した。蛍光体26における賦活剤はLa
3+およびAg
+であり、賦活剤の量は共に5mol%である。
【0050】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体26は、目的物質で構成されることを同定した。
【0051】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体26の発光スペクトルを測定した結果を
図10に示す。蛍光体26の発光スペクトルは、Ag
+起因の波長300nmのピークを示した。
【0052】
[実施例27〜31および比較例5]
出発原料NH
4H
2PO
4、SrCO
3およびCaCO
3(純度99.9%、フルウチ化学製)は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2OおよびLa
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度およびLa濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がSr
3−xCa
x(PO
4)
2:(La
3+,Ag
+)5mol%(x=0.01〜0.2)で表される蛍光体27〜30(実施例27〜30)、Ca
3(PO
4)
2:(La
3+,Ag
+)5mol%で表される蛍光体31(実施例31)、およびCa
3(PO
4)
2で表される蛍光体C5(比較例5)を製造した。蛍光体27〜31および蛍光体C5の組成、賦活剤の種類および賦活剤の量を表6に示す。なお、蛍光体C5は、Ag
+を含まない。
【0053】
【表6】
【0054】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体27〜31および蛍光体C5は、空間群R3−mで指数付けできる相で構成されることを同定した。
【0055】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体27〜31および蛍光体C5の発光スペクトルを測定した結果を
図11に示す。蛍光体27〜31の発光スペクトルは、波長280nmにピークを示した。なお、蛍光体C5は、蛍光体27〜31の発光スペクトルのような、波長280nm付近をピークとする発光スペクトルを示さなかった。
【0056】
[実施例32]
出発原料NH
4H
2PO
4およびCaCO
3は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2OおよびLa
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度およびLa濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がCa
2P
2O
7:(La
3+,Ag
+)1mol%で表される蛍光体32(実施例32)を製造した。蛍光体32における賦活剤はLa
3+およびAg
+であり、賦活剤の量は共に1mol%である。
【0057】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体32は、目的物質で構成されることを同定した。
【0058】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体32の発光スペクトルを測定した結果、および、実施例9と同様に、重水素ランプを用いて測定した蛍光体32の励起スペクトルを
図12に示す。蛍光体32の励起スペクトルは、波長160nm、174nm、190nmにピークを示した。また、蛍光体32の発光スペクトルは、波長233nm、350nmにピークを示した。
【0059】
[実施例33]
出発原料NH
4H
2PO
4およびSrCO
3は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2OおよびLa
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度およびLa濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がSr
2P
2O
7:(La
3+,Ag
+)1mol%で表される蛍光体33(実施例33)を製造した。蛍光体33における賦活剤はLa
3+およびAg
+であり、賦活剤の量は共に1mol%である。
【0060】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体33は、目的物質で構成されることを同定した。
【0061】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体33の発光スペクトルを測定した結果、および、実施例9と同様に、重水素ランプを用いて測定した蛍光体33の励起スペクトルを
図13に示す。蛍光体33の励起スペクトルは、波長165nm、174nm、185nm、210nmにピークを示した。また、蛍光体33の発光スペクトルは、波長240nm、290nmにピークを示した。
【0062】
[実施例34〜35]
出発原料NH
4H
2PO
4、SrCO
3およびNa
2CO
3(純度99.9%、レアメタリック)は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2OおよびLa
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度およびLa濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がNaSrLa(PO
4)
2:(La
3+,Ag
+)5mol%で表される蛍光体34(実施例34)、およびNa
3La(PO
4)
2:Ag
+5mol%で表される蛍光体35(実施例35)を製造した。蛍光体34における賦活剤はLa
3+およびAg
+であり、賦活剤の量は共に5mol%である。また、蛍光体35における賦活剤はAg
+であり、賦活剤の量は5mol%である。
【0063】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体34および35は、目的物質で構成されることを同定した。
【0064】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体34および35の発光スペクトルを測定した結果を
図14に示す。蛍光体34および35の発光スペクトルは、Ag
+起因の波長280nmのピークを示した。
【0065】
[実施例36〜37]
出発原料SrCO
3、Al
2O
3およびSiO
2は、実施例1と同様に、当該出発原料に含まれる水分を除去するために、乾燥機内で所定の時間および温度で十分に乾燥させた。また、出発原料Ag
2OおよびLa
2O
3は、実施例1と同様に、硝酸に加熱溶解させて、硝酸溶液中のAg濃度およびLa濃度がそれぞれ約10000ppmとなるように調製した。こうして得られた各原料を所定の量だけ用いた以外は、実施例1と同様の方法で、組成がSrAl
2O
4:(La
3+,Ag
+)5mol%で表される蛍光体36(実施例36)、およびSrSiO
3:(La
3+,Ag
+)5mol%で表される蛍光体37(実施例37)を製造した(Sr
2SiO
4が不純物として含まれていた)。蛍光体36および37における賦活剤はLa
3+およびAg
+であり、賦活剤の量は共に5mol%である。
【0066】
実施例1と同様に粉末X線回折法による結晶相の同定を行った結果、蛍光体36および37は、目的物質で構成されることを同定した。
【0067】
実施例1と同様に、Xeエキシマランプを励起源として、蛍光体36および37の発光スペクトルを測定した結果を
図15に示す。蛍光体36の発光スペクトルは、波長310nmにピークを示した。蛍光体37の発光スペクトルは、波長276nmにピークを示した。
【0068】
以上から、Sr
3(PO
4)
2以外にも、2価イオンを含むリン酸塩にAg
+とLa
3+を共添加することで、真空紫外励起および紫外発光を示す蛍光体を製造できることを見出した。さらに、アルミン酸塩やケイ酸塩の化合物にLa
3+やAg
+を添加することで、上記リン酸塩の場合と類似する発光特性を示す蛍光体を製造できることを見出した。
【0069】
最も発光強度の高い蛍光体13と市販の紫外発光蛍光体に用いられているLaPO
4:Pr
3+の発光強度を比較した。実施例9と同様に、重水素ランプを用いて測定した蛍光体13とLaPO
4:Pr
3+の発光スペクトルを
図16に示す。蛍光体13はLaPO
4:Pr
3+と同等の発光強度を示した。また、蛍光体13はLaPO
4:Pr
3+と異なる発光ピークを示した。以上から、蛍光体13は新規の紫外発光蛍光体として非常に有望であることが示唆された。
【0070】
〔量子効率測定〕
蛍光体13の量子効率は、以下の方法で測定した。量子効率は、分光蛍光光度計(FP−6500、日本分光社製)に積分球を取り付けて測定した。白板スペクトル、試料スペクトル、間接励起スペクトルを以下に示す測定条件で測定し、外部量子効率ε
exと内部量子効率ε
inをそれぞれ式(1)、(2)より求めた。なお、Eは励起スペクトルのピーク面積、Lは発光スペクトルのピーク面積を表す。添え字は、1が白板スペクトル、2が試料スペクトル、3が間接励起スペクトルを表す。
【0071】
【数1】
【数2】
【0072】
開始波長 :220nm
終了波長 :350nm
励起バンド幅 :5nm
発光バンド幅 :5nm
レスポンス :0.1sec
感度(光電子増倍管) :550V
速度 :100nm/min
データ取込間隔 :0.1nm
【0073】
蛍光体13の白板スペクトル、試料スペクトル、間接励起スペクトルおよびそれらの積分強度(任意単位)を表7および
図17に示す。表7の値ならびに式(1)、(2)から量子効率を算出した結果、外部量子効率は16%、内部量子効率は54.1%となり、蛍光体13は非常に高効率の発光を示した。なお、本発明で使用した装置の都合上、励起波長は230nmを採用した理由から、発光強度が最大となる励起波長で量子効率を測定することが不可能であったため、実際の発光効率はより高いと予想される。
【0074】
【表1】
【0075】
以上から、水銀を含有せずに、真空紫外領域に励起波長を有し、かつ、紫外領域に発光波長を有する、蛍光体を製造することができた。本発明の蛍光体は、殺菌効果の高い波長領域の紫外光を発光した。さらには、本発明の蛍光体と市販の蛍光体とを比較した結果、本発明の蛍光体は市販の蛍光体と同等の発光強度を示した。このときの蛍光体の外部量子効率および内部量子効率は、励起波長230nmの場合、16%および54.1%であった。