(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181469
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】配膳車
(51)【国際特許分類】
A47B 31/00 20060101AFI20170807BHJP
A47B 31/02 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
A47B31/00 H
A47B31/02 A
A47B31/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-175667(P2013-175667)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-43822(P2015-43822A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】510294874
【氏名又は名称】株式会社Fujitaka
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 佳隆
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−072738(JP,A)
【文献】
特開平10−174621(JP,A)
【文献】
米国特許第05159973(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00−31/02
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に、食品を載せる複数のトレーを収納するための収納庫を備えた配膳車において、
前記トレーは、
前記トレーの周辺を囲うように外側に広がって傾斜する傾斜部を備え、
前記収納庫は、
少なくとも2枚の前記トレーを前記車体の左右方向に並べて収納できるように構成され、
複数の前記トレーを前記車体の上下方向に並べるための複数段の受台と、
前記収納庫を前記車体の前後方向に保温室と保冷室とに仕切るための仕切り装置と、を備え、
前記仕切り装置は、
前記少なくとも2枚のトレーのそれぞれの上面を仕切るために、前記車体の左右方向に並べられた少なくとも2個の仕切り本体と、
前記各仕切り本体を前記車体の前後方向にスライド移動可能にするためのスライド手段と、
前記各仕切り本体の間に設けられ、前記少なくとも2枚のトレーの前記傾斜部の間の下に形成される隙間を仕切るための中間仕切り部と、を備え、
前記中間仕切り部は、
出没可能に構成され、
通常時では、前記隙間を仕切るために上に突出し、
前記トレーで押されることで下がるように構成されていることを特徴とする配膳車。
【請求項2】
前記中間仕切り部は、
前記車体の前後方向に延設された回転軸と、
前記回転軸に沿って等間隔を置いて設けられた複数の中間仕切り片と、
前記中間仕切り片が上に突出するように前記回転軸を付勢する付勢手段と、を備え、
前記回転軸の回転によって前記中間仕切り片を回転することで、前記中間仕切り片を出没することを特徴とする請求項1に記載の配膳車。
【請求項3】
前記各仕切り本体は、
前記各仕切り本体が互いに対向する部分に断面U字部を備え、
前記各断面U字部は、
前記断面U字部の開口が、前記車体の上下方向に延設すると共に、互いに対向するように配置され、前記中間仕切り片が前記開口部を通じて回転するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の配膳車。
【請求項4】
前記断面U字部の開口は、前記中間仕切り片の回転の軌跡に沿うように、円弧状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の配膳車。
【請求項5】
前記断面U字部は、その両側に長さ調整壁を備えており、
前記長さ調整壁は、前記車体の上下方向に延設されており、前記各中間仕切り片の間を遮蔽するように、前記車体の前後方向に所定の長さの幅を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の配膳車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や老人ホームなどで使用するための配膳車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院や老人ホームなどにおいて、各部屋の患者などに食品を配膳するとき、食品をトレーの上に並べて、このトレーを配膳車の収納庫に収納して、配膳車を走行させて各部屋を回りながら、配膳車からトレーを取り出して患者などに配達する。複数の部屋に食品を効率よく配膳するために、配膳車の収納庫は、多数のトレーを収納できるように、複数のトレーを上下方向に複数段に積むようになっている。
【0003】
図1の通り、配膳車は、車体10を備えており、車体10の下部に駆動装置で駆動される複数の車輪(図示略)を備える。車体10は、内部に複数のトレーを収納するための収納庫19(
図2)を備える。車体10は、車体の前後方向10aの側面に、操作パネル22を備える。
【0004】
操作パネル22は、車輪を駆動する駆動装置を操作したり、収納庫19の温度を調整したりするためのスイッチ25、配膳車の走行方向を操作するためのハンドル26などを備える。車体10は、操作パネル22の下方に、作業台28を備える。
【0005】
車体10は、車体の左右方向10bの両側面に、複数の扉30を備える。扉30は、
図1の矢印のように開くことができる(
図2の点線参照)。扉30を開閉することで、収納庫19にトレーを出し入れするようになっている。
【0006】
オペレータが患者などに配膳するとき、配膳車を車体の前後方向10aに走行させて、各部屋で停止して、車体の左右方向10bに設けられた扉30を開閉して、トレーを出し入れするようになっている。
【0007】
図2の通り、収納庫19は、複数のトレー29を収納できるようになっている。収納庫19は、車体の前後方向10aに2枚のトレー29を並べることができると共に、車体の左右方向10bにも2枚のトレー29を並べることができるようになっている。
【0008】
そして、収納庫19に対して、車体の左右方向10bの一方側から、車体の左右方向10bに2枚のトレー29を出し入れできるようになっており、例えば、1枚目のトレー29を収納した後、2枚目のトレー29で1枚目のトレー29を押して奥側にスライド移動させて、2枚のトレー29を収納する。このように、オペレータは、車体の左右方向10bの一方側から、2枚のトレー29を出し入れできる。
【0009】
トレー29には、保温を必要とする食品と保冷を必要とする食品とが並べられる。そこで、近年では、収納庫19は、トレー29の上に並べられた食品を同時に保温及び保冷できるように、保温室36と保冷室37とに仕切るための仕切り装置11を備える(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
仕切り装置11は、車体の左右方向10bに延設されており、車体の前後方向10aに間隔を置いて配置される。収納庫19は、車体の前後方向10aの両側に、保温するための加熱装置360を備え、車体の前後方向10aの中央に、保冷するための冷却装置370を備える。収納庫19は、各仕切り装置11によって、車体の前後方向10aの両側を保温室36にし、車体の前後方向10aの中央を保冷室37にする。
【0011】
また、保温を必要とする食品の量と保冷を必要とする食品の量との比率は、食事によって異なるので、仕切り装置11を移動して、保温室36と保冷室37との容積の比率を変更できるようになっている。収納庫19は、車体の前後方向10aに延設されたスライドバー13を備えており、スライドバー13に沿って仕切り装置11を車体の前後方向10aにスライド移動可能になっている。
【0012】
上記の通り、仕切り装置11は、車体の左右方向10bに延設されているので、車体の左右方向10bに並べられた2枚のトレー29に対しては、それぞれ同じ比率で仕切るようになっている。そのため、車体の左右方向10bに並べられた2枚のトレー29に対して、それぞれ異なる比率で仕切ることができなかった。
【0013】
ところで、各患者の病気などの状況に応じて、トレー29に載せる食品を変更する必要があるが、上記の仕切り装置11は、並べられた2枚のトレーに対して、それぞれ異なる比率で仕切ることができないので、収納庫19にトレー29を収納できる余分なスペースがあったとしても、適切な保温及び保冷ができないという理由で、別の配膳車で搬送しなければならないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第2967226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、収納庫に並べられた少なくとも2枚のトレーに対して、それぞれ異なる比率で仕切ることができる仕切り装置を備えた配膳車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明に係る配膳車は、
車体に、食品を載せる複数のトレーを収納するための収納庫を備えた配膳車において、
トレーは、
トレーの周辺を囲うように外側に広がって傾斜する傾斜部を備え、
収納庫は、
少なくとも2枚のトレーを車体の左右方向に並べて収納できるように構成され、
複数のトレーを車体の上下方向に並べるための複数段の受台と、
収納庫を車体の前後方向に保温室と保冷室とに仕切るための仕切り装置と、を備え、
仕切り装置は、
少なくとも2枚のトレーのそれぞれの上面を仕切るために、車体の左右方向に並べられた少なくとも2個の仕切り本体と、
各仕切り本体を車体の前後方向にスライド移動可能にするためのスライド手段と、
各仕切り本体の間に設けられ、少なくとも2枚のトレーの傾斜部の間の下に形成される隙間を仕切るための中間仕切り部と、を備え、
中間仕切り部は、
出没可能に構成され、
通常時では、隙間を仕切るために上に突出し、
トレーで押されることで下がるように構成されている。
【0017】
好ましくは、
中間仕切り部は、
車体の前後方向に延設された回転軸と、
回転軸に沿って等間隔を置いて設けられた複数の中間仕切り片と、
中間仕切り片が上に突出するように回転軸を付勢する付勢手段と、を備え、
回転軸の回転によって中間仕切り片を回転することで、中間仕切り片を出没する。
【0018】
好ましくは、
各仕切り本体は、
各仕切り本体が互いに対向する部分に断面U字部を備え、
各断面U字部は、
断面U字部の開口が、車体の上下方向に延設すると共に、互いに対向するように配置され、中間仕切り片が開口部を通じて回転するように構成されている。
【0019】
好ましくは、
断面U字部の開口は、中間仕切り片の回転の軌跡に沿うように、円弧状に形成されている。
【0020】
好ましくは、
断面U字部は、その両側に長さ調整壁を備えており、
長さ調整壁は、車体の上下方向に延設されており、各中間仕切り片の間を遮蔽するように、車体の前後方向に所定の長さの幅を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る配膳車では、仕切り装置は、収納庫に車体の左右方向に並べて収納された少なくとも2枚のトレーに対して、各トレーの上をそれぞれ仕切るための少なくとも2個の仕切り本体を備える。そして、仕切り装置は、各仕切り本体を車体の前後方向にスライド移動可能にするためのスライド手段を備える。
【0022】
これによって、車体の左右方向に並べられた少なくとも2枚のトレーに対して、それぞれ異なる比率で仕切ることができる。その結果、本発明の配膳車は、様々な食品を載せたトレーに対して、適切に保温及び保冷できるので、一度に多数のトレーを搬送できる。
【0023】
さらに、仕切り装置は、各仕切り本体の間に設けられ、少なくとも2枚のトレーの傾斜部の間の下に形成される隙間を仕切るための中間仕切り部を備える。そして、中間仕切り部は、出没可能に構成され、通常時では隙間を仕切るために上に突出し、少なくとも2枚のトレーを車体の左右方向にスライドして収納するとき、トレーで押されることで下がるようになっている。
【0024】
これによって、オペレータは、車体の左右方向の一方側から、少なくとも2枚のトレーを出し入れできるので、利便性に優れる。さらに、中間仕切り部によって、各トレーの傾斜部の間の下に形成される隙間を仕切ることができるので、保温室と保冷室とを確実に仕切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】2個の仕切り本体を一直線に配置した仕切り装置を示す斜視図。
【
図4】(A)は
図3の平面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
【
図5】(A)は2個の仕切り本体をずらして配置した仕切り装置を示す斜視図、(B)は(A)の一点鎖線部の拡大図。
【
図6】(A)は
図5の平面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
【
図7】(A)はトレーをスライドした状態を示す斜視図、(B)は(A)の一点鎖線部の拡大図。
【
図8】(A)は
図7の平面図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(B)の一点鎖線部の拡大図。
【
図10】(A)は
図9の平面図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(B)の一点鎖線部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明に係る配膳車について説明する。
【0027】
図1の通り、配膳車は、車体10を備えており、車体10の下部に駆動装置で駆動される複数の車輪(図示略)を備える。車体10は、内部に複数のトレーを収納するための収納庫19(
図2)を備える。車体10は、車体の前後方向10aの側面に、操作パネル22を備える。
【0028】
操作パネル22は、車輪を駆動するための駆動装置を操作したり、収納庫19の温度を調整したりするためのスイッチ25、配膳車の走行方向を操作するためのハンドル26などを備える。車体10は、操作パネル22の下方に、トレーや食品などを置くことができる作業台28を備える。
【0029】
車体10は、車体の左右方向10bの両側面に、複数の扉30を備える。扉30は、
図1の矢印のように開くことができる(
図2の点線参照)。扉30を開閉することで、収納庫19にトレーを出し入れするようになっている。
【0030】
オペレータが患者などに配膳するとき、配膳車を車体の前後方向10aに走行させて、各部屋で停止して、車体の左右方向10bに設けられた扉30を開閉して、トレーを出し入れするようになっている。
【0031】
図2の通り、収納庫19は、複数のトレー29を収納できるようになっている。収納庫19は、車体の前後方向10aに2枚のトレー29を並べることができると共に、車体の左右方向10bにも2枚のトレー29を並べることができるようになっている。
【0032】
そして、収納庫19に対して、車体の左右方向10bの一方側から、車体の左右方向10bに2枚のトレー29を出し入れできるようになっており、例えば、1枚目のトレー29を収納した後、2枚目のトレー29で1枚目のトレー29を押して奥側に移動させて、2枚のトレー29を収納する。このように、オペレータは、車体の左右方向10bの一方側から、2枚のトレー29を出し入れできる。
【0033】
トレー29には、保温を必要とする食品と保冷を必要とする食品とが並べられる。そこで、収納庫19は、トレー29の上に並べられた食品を同時に保温及び保冷できるように、保温室36と保冷室37とに仕切るための仕切り装置11を備える。
【0034】
仕切り装置11は、車体の左右方向10bに延設されており、車体の前後方向10aに間隔を置いて配置される。収納庫19は、車体の前後方向10aの両側に、保温するための加熱装置360を備え、車体の前後方向10aの中央に、保冷するための冷却装置370を備える。収納庫19は、各仕切り装置11によって、車体の前後方向10aの両側を保温室36にし、車体の前後方向10aの中央を保冷室37にする。
【0035】
図3及び
図4(A)の通り、収納庫19には、車体の上下方向10cに複数のトレー29を並べるための複数段の受台23が設けられる。
図3では、理解しやすいように、2段の受台23が表されている。一対の受台23が、車体の前後方向10aに間隔を置いて配置されている。この間隔は、トレー29の長辺の長さと略一致する。また、各受台23は、車体の左右方向10bに延設されており、その長さは、トレー29の短辺の長さの略2倍になっている。これにより、一対の受台23に、2枚のトレー29を載置できるようになっている。
【0036】
仕切り装置11は、各段の受台23ごとに設けられている。各仕切り装置11は、車体の左右方向10bに延設された2個の仕切り本体12を備える。2個の仕切り本体12は、車体の左右方向10bに並べられる。2個の仕切り本体12は、互いに近接して配置されている。
【0037】
仕切り装置11は、車体の前後方向10aに延設された複数のスライドバー(スライド手段)13を備える。各スライドバー13は、一対の受台23に取り付けられる。各仕切り本体12に対して、一対のスライドバー13が設けられる。各仕切り本体12は、一対のスライドバー13に貫通しており、スライドバー13に沿って車体の前後方向10aにスライド移動可能になっている。スライドバー13又は仕切り装置11は、仕切り装置11をスライドバー13の所定位置に規制するための位置規制手段(図示略)を備えている。位置規制手段は、例えば、スライドバー13に着脱可能なピン部材からなり、ピン部材の取り付け位置を変更することで、スライドバー13を所定位置に規制する。
【0038】
トレー29は、その周辺を囲うように外側に広がって傾斜する傾斜部29aを備える。各段に2枚のトレー29を並べるとき、2枚のトレー29の傾斜部29aの間の下に隙間が形成される。そこで、仕切り装置11は、2個の仕切り本体12の間に中間仕切り部14を備える。中間仕切り部14は、2枚のトレー29の傾斜部29aの間の下に形成される隙間を仕切る。
【0039】
図4(B)の通り、仕切り本体12は、その下部に、車体の左右方向10bに延設された本体仕切り片120を備える。本体仕切り片120は、上下に移動可能になっている。また、仕切り本体12は、その端部に、シャッター片121を備える。シャッター片121は、回動可能になっている。
【0040】
本体仕切り片120は、トレー29の上面を仕切るようになっている。シャッター片121は、トレー29の端部を仕切るようになっている。従って、本体仕切り片120の下辺の形状は、トレー29の上面の形状に略一致している。また、シャッター片121の内側の形状は、トレー29の端部の形状に略一致している。
【0041】
トレー29を収納していないとき、本体仕切り片120は、下方向に付勢されたバネ部材(図示略)によって、下の段の仕切り本体12の上端に当接することで、保温室36と保冷室37とを仕切るようになっている。トレー29を収納するとき、トレー29でシャッター片121を下方に回動すると共に、本体仕切り片120を上方へ移動して、トレー29を収納する。
【0042】
図5(A)の通り、各仕切り本体12を車体の前後方向10aにスライド移動することで、2個の仕切り本体12を車体の左右方向10bに一直線にならずに、車体の前後方向10aにずらすことができる。
【0043】
図5(B)の通り、中間仕切り部14は、車体の前後方向10aに延設された回転軸141と、回転軸141に沿って等間隔を置いて設けられた3個の中間仕切り片140とを備える。中間仕切り片140は、回転軸141の直径と同じ幅を有する基部140bと、この基部140bに接続された略三角形状の端部140aとからなる。中間仕切り片140は、基部140bが回転軸141に固定されている。
【0044】
中間仕切り部14は、回転軸141を付勢するための付勢手段(図示略)を備える。付勢手段は、例えば、捻りバネ、ゴム又は磁石などからなる。付勢手段によって、中間仕切り片140の端部140aの先端は、通常、上に突出するようになっている。
【0045】
各仕切り本体12は、それぞれの仕切り本体12が対向する部分に、断面U字部122を備える。各断面U字部122は、その開口122aが、車体の上下方向10cに延設すると共に、互いに対向するように配置されている。断面U字部122の開口122aは、保温室36と保冷室37との間をできるだけ遮蔽できるように、中間仕切り片140が回転できる円弧状の軌跡の部分だけが切り欠かれて形成されている(
図8(C))。
【0046】
図5(B)の通り、断面U字部122は、その両側に長さ調整壁122bを備える。長さ調整壁122bは、車体の上下方向10cに延設されており、車体の前後方向10aに所定の長さの幅を有する。この長さ調整壁122bの幅を設定することで、各中間仕切り片140の間を断面U字部122で遮蔽できるようになっている。従って、各中間仕切り片140の間の距離W(
図6(A))を長く設定する場合は、長さ調整壁122bの幅を長くすることで、各中間仕切り片140の間を遮蔽できる。
【0047】
図7及び
図8の通り、トレー29を車体の左右方向10bにスライドすることで、トレー29が中間仕切り片140を押す。これにより、中間仕切り片140が回転軸141を中心に回動する。このとき、3個の中間仕切り片140のうちの1個が、断面U字部122の開口122aを通過して回動する。また、別の2個の中間仕切り片140は、断面U字部122の外側を回動する。中間仕切り片140が回動して下がることにより、トレー29を車体の左右方向10bにスライドできる。
【0048】
図8(C)の通り、断面U字部122の開口122aは、中間仕切り片140が回動できる円弧軌跡の部分だけが切り欠かれて形成されている。このように、断面U字部122の開口122aをできるだけ小さくすることで、保温室36と保冷室37との間をできるだけ遮蔽できる。
【0049】
本実施形態の中間仕切り部14では、トレー29を中間仕切り片140に当てると、中間仕切り片140が回転軸141を中心に回動するので、トレー29を滑らかにスライド移動できるようになっている。
【0050】
図9及び
図10の通り、1枚目のトレー29を収納した後、2枚目のトレー29で1枚目のトレー29を押してスライドすることで、一対の受台23に対して、2枚のトレー29を車体の左右方向10bに並べることができる。
【0051】
図10(B)の通り、2枚のトレー29の外側の端部は、2個の仕切り本体12のシャッター片121によって仕切られる。また、
図10(C)の通り、2枚のトレー29の間の下の隙間は、中間仕切り片140の端部140aによって仕切られる。そのため、中間仕切り片140の端部140aの形状は、2枚のトレー29の間の下の隙間の形状に略一致している。
【0052】
[変形例]
上記の実施形態では、車体の左右方向10bに2枚のトレー29を並べるようになっているが、3枚以上のトレー29を並べても良い。その場合、トレー29ごとに仕切り本体12が設けられており、各仕切り本体12の間に中間仕切り部14が設けられている。従って、例えば、3枚のトレー29を並べるようになっている場合、3個の仕切り本体12と2個の中間仕切り部14が設けられる。
【0053】
上記の実施形態では、3個の中間仕切り片140が設けられているが、2個又は4個以上の中間仕切り片140を設けても良い。
【0054】
上記の実施形態では、中間仕切り片140が回転することで、出没可能になっているが、中間仕切り片140が車体の上下方向10cに出没するようにしても良い。その場合、例えば、車体の上下方向10cの圧縮バネからなる付勢手段で、中間仕切り片140を上方向に付勢しても良い。
【符号の説明】
【0055】
10 車体
10b 車体の左右方向
10c 車体の上下方向
29 トレー
29a トレーの傾斜部
19 収納庫
23 受台
36 保温室
37 保冷室
11 仕切り装置
12 仕切り本体
13 スライド手段
14 中間仕切り部
141 回転軸
140 中間仕切り片
122 断面U字部
122a 断面U字部の開口