特許第6181471号(P6181471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181471
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20170807BHJP
   A61K 8/897 20060101ALI20170807BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20170807BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170807BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20170807BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20170807BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20170807BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20170807BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/897
   A61K8/27
   A61Q19/00
   A61K8/29
   A61K8/19
   A61K8/89
   A61K8/25
   A61Q1/00
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-175847(P2013-175847)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-44759(P2015-44759A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】秋山 恵里
(72)【発明者】
【氏名】矢後 祐子
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−143820(JP,A)
【文献】 特開平07−277914(JP,A)
【文献】 特開2007−238690(JP,A)
【文献】 特開2010−095501(JP,A)
【文献】 特開2009−234977(JP,A)
【文献】 特開2001−048726(JP,A)
【文献】 特開平06−184312(JP,A)
【文献】 特開2011−173977(JP,A)
【文献】 特開平09−263512(JP,A)
【文献】 欧州特許第02505183(EP,B1)
【文献】 特開2009−209056(JP,A)
【文献】 特開2009−235017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)水溶性多糖誘導体 0.01〜5質量%、
(B)下記一般式(3)
【化1】
(式中、pは3〜50の数を示し、sは1〜5の数を示し、p及びsの割合が、0.66≦p/(p+s)≦0.9である。qは5の数を示す)
で表されるフッ素変性シリコーン 0.01〜40質量%、
(C)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで処理した粉体、
(D)シリコーン又はアルキルシランで表面処理した比表面積10〜100m2/gの微粒子酸化亜鉛
を含有し、成分(A)及び(B)の質量割合(B)/(A)が、3〜200である、粉体化粧料を重ね付けして使用する水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)が、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、(a)炭素数8〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基及びアルキルアリール基から選ばれる疎水部を有する置換基、及び(b)メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチレン基、ポリグリセリン基及びヒドロキシル基が置換していてもよいスルホアルキル基から選ばれる置換基で置換されており、置換基(a)と置換基(b)の数の比率が1:1000〜100:1である水溶性多糖誘導体である請求項1記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(C)を0.01〜30質量%含有する請求項1又は2記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(D)を0.01〜20質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(C)及び(D)の合計含有量が、全粉体中70質量%以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
成分(C)及び(D)の質量割合(C)/(D)が、0.5〜10である請求項1〜5のいずれか1項記載の水中油型乳化粧料
【請求項7】
成分(A)及び(C)の質量割合(C)/(A)が、3〜100である請求項1〜6のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項8】
成分(B)及び(D)の質量割合(B)/(D)が、0.5〜10である請求項1〜7のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧持ちや使用感を改善するため、フッ素変性シリコーンが用いられている。例えば、特許文献1には、特定のフッ素変性シリコーン誘導体を含有する化粧料が、化粧持ちが良好で、使用感に優れることが記載され、特許文献2には、フッ素変性シリコーンと微粒子酸化亜鉛を含有する化粧料が、耐水性、耐皮脂性及び耐油性に優れ、化粧持ちが良いことが記載されている。
また、特許文献3には、フッ素系油剤とフッ素処理粉体、水溶性多糖類を含有する水中油型乳化化粧料が、さっぱりとして良好な感触で、耐水性、耐油性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−184312号公報
【特許文献2】特開平7−277914号公報
【特許文献3】特開2001−48726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、パーフルオロアルキル基(C8)を有するフッ素変性シリコーンを使用した水中油型乳化化粧料では、肌に塗布した後に、仕上がり肌のかさつき感を生じ、その上からパウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料をスポンジで重ね付けしたときの塗り始めに、ひっかかり感やごわつき感を生じるという課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定のフッ素変性シリコーンと、水溶性多糖誘導体、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体、微粒子酸化亜鉛を組み合わせて用いれば、耐水性、耐皮脂性を維持しつつ、仕上がり肌のかさつき感を抑制し、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の重ね付け塗布初期のひっかかり感や肌のごわつき感を抑制し、仕上がった肌がしっとりする水中油型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)水溶性多糖誘導体 0.01〜5質量%、
(B)下記一般式(1)及び(2)
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、Rfは炭素数6の直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキル基を示し、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、mは2〜6の数を示し、nは1〜6の数を示し、pは3〜50の数を示し、sは1〜5の数を示し、p及びsの割合が、0.66≦p/(p+s)≦0.9である)
で表されるポリシロキサン単位を有するフッ素変性シリコーン 0.01〜40質量%、
(C)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで処理した粉体、
(D)シリコーン又はアルキルシランで表面処理した比表面積10〜100m2/gの微粒子酸化亜鉛
を含有し、成分(A)及び(B)の質量割合(B)/(A)が、3〜200である水中油型乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水中油型乳化化粧料は、耐水性、耐皮脂性を維持しつつ、仕上がり肌のかさつき感を抑制し、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の塗布初期のひっかかり感や肌のごわつき感を抑制し、仕上がった肌に、滑らかさやしっとり感が得られるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いられる成分(A)の水溶性多糖誘導体としては、水溶性アルキル置換多糖誘導体が好ましく、常温で水溶性であり、例えば多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、次の基(a)及び(b);
(a)炭素数8〜40の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基及びこれらの混合物から選ばれる疎水部を有する置換基、
(b)ヒドロキシル基が置換していてもよいイオン性又は非イオン性の親水部を有する置換基、
で置換されており、置換基(a)と置換基(b)の数の比率が1:1000〜100:1であるものが挙げられる。
【0011】
ここで、置換基(a)としては、例えば炭素数8〜40の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アリールアルキルエーテル基、又はアルキルアリールエーテル基、炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル基、炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルケニル基を有するアルケニルグリセリルエーテル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル基、炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルケニル基を有するアルケニルグリセリルエーテル基が好ましい。具体的には、2−ヒドロキシ−3−アルコキシプロピル基、2−アルコキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基、2−ヒドロキシ−3−アルケニルオキシプロピル基、2−アルケニルオキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基が挙げられ、多糖分子に結合しているヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基の水素原子と置換してもよい。これらのグリセリルエーテル基に置換している炭素数10〜40のアルキル基又はアルケニル基としては、炭素数12〜36、更に、炭素数16〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル及びアルケニル基が好ましく、安定性の点からアルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。なお、置換基(a)がヒドロキシル基を有する場合には、当該ヒドロキシル基は更に他の置換基(a)又は(b)で置換されていてもよい。
【0012】
また、置換基(b)としては、例えばメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチレン基、ポリグリセリン基、スルホアルキル基等が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩が好ましい。具体的には、2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基等が挙げられ、その全てあるいは一部がNa、K等のアルカリ金属、Ca、Mg等のアルカリ土類金属類、アミン類等の有機カチオン基、アンモニウムイオンなどとの塩となっていてもよい。なお、置換基(b)がヒドロキシル基を有する場合には、当該ヒドロキシル基は更に他の置換基(a)又は(b)で置換されていてもよい。
【0013】
置換基(a)の置換度は、構成単糖残基当たり0.001〜1であるのが好ましく、0.002〜0.5がより好ましく、0.003〜0.1であるのが更に好ましく、置換基(b)の置換度は、構成単糖残基当たり0.01〜2.5であるのが好ましく、0.02〜2がより好ましく、0.1〜1.5であるのが更に好ましい。また、置換基(a)と置換基(b)の数の比率は1:1000〜100:1であるのが好ましく、1:500〜10:1がより好ましく、1:300〜10:1であるのが更に好ましい。なお、水溶性アルキル置換多糖誘導体においては、多糖類又はその誘導体の同一の繰り返し単位中に必ず置換基(a)及び(b)が存在していなくても良く、一分子全体として見たときに、置換基(a)及び(b)が導入されていれば良い。その置換度が平均して前記範囲内にあるのが好ましい。
【0014】
また、成分(A)の水溶性アルキル置換多糖誘導体の基本骨格となる多糖類又はその誘導体としては、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられ、なかでもセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。また、これらの多糖類のメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等の置換基は、単一の置換基で置換されたものでもよいし、複数の置換基で置換されたものでもよく、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜10であるのが好ましく、0.5〜5がより好ましい。また、これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万であるのが好ましく、10万〜500万がより好ましく、30万〜200万の範囲が更に好ましい。
【0015】
成分(A)の多糖誘導体としては、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、(a)炭素数8〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基及びアルキルアリール基から選ばれる疎水部を有する置換基、及び(b)メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチレン基、ポリグリセリン基及びヒドロキシル基が置換していてもよいスルホアルキル基から選ばれる置換基で置換されており、置換基(a)と置換基(b)の数の比率が1:1000〜100:1であるものが好ましい。
【0016】
また、成分(A)としては、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、次の基(a′)及び(b′):
(a′)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル基及び/又は炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルケニル基を有するアルケニルグリセリルエーテル基、
(b′)ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩で置換された水溶性アルキル置換多糖誘導体がより好ましい。
ここで、置換基(a′)、(b′)がヒドロキシル基を有する場合には、当該ヒドロキシル基は更に他の置換基(a′)又は(b′)で置換されていてもよい。
【0017】
このような水溶性アルキル置換多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体の水酸基の水素原子を部分的に疎水化(置換基(a′)の導入)又はスルホン化(スルホン酸基を有する置換基(b′)の導入)した後、残りの水酸基の全ての又は一部の水素原子をスルホン化又は疎水化することにより、又は同時に疎水化及びスルホン化を行うことにより製造することができる。
【0018】
以下、疎水化反応とスルホン化反応に分けて説明する。なお、前述のように、疎水化反応とスルホン化反応はいずれを先に行ってもよく、また同時に行ってもよいが、疎水化させた後、スルホン化するのがより好ましい。
【0019】
〈疎水化反応〉
多糖類又はスルホン化多糖類の疎水化反応は、多糖類又はスルホン化多糖類を適当な溶媒に溶解又は分散させ、C10〜C40アルキルグリシジルエーテル及び/又はC10〜C40アルケニルグリシジルエーテルから選ばれる疎水化剤と反応させることにより行われる。
【0020】
疎水化反応に用いられるC10〜C40アルキルグリシジルエーテル及びC10〜C40アルケニルグリシジルエーテルのアルキル基及びアルケニル基は、直鎖及び分岐のいずれでもよく、分岐の場合の分岐位置、アルケニル基中の不飽和結合の数及び位置は限定されない。アルキル基の具体例としては、直鎖アルキル基として、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基、n−トリアコンチル基、n−ヘントリアコンチル基、n−ドトリアコンチル基、n−トリトリアコンチル基、n−テトラトリアコンチル基、n−ペンタトリアコンチル基、n−ヘキサトリアコンチル基、n−ヘプタトリアコンチル基、n−オクタトリアコンチル基、n−ノナトリアコンチル基及びn−テトラコンチル基が、分岐アルキル基として、メチルウンデシル基、メチルヘプタデシル基、エチルヘキサデシル基、メチルオクタデシル基、プロピルペンタデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル、2−ヘプチルウンデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−テトラデシルベヘニル基等が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。
【0021】
これらのうち、炭素数12〜36、更に16〜24のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、また、安定性の点から、アルキル基、更に直鎖アルキル基が好ましい。これらアルキルグリシジルエーテル及びアルケニルグリシジルエーテルは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルキルグリシジルエーテル及び/又はアルケニルグリシジルエーテルの使用量は、多糖類又はその誘導体への疎水性置換基の所望する導入量によって適宜調整することができるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0.001〜10当量、更に0.003〜1当量の範囲が好ましい。
【0022】
疎水化反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては、限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いるアルキルグリシジルエーテル又はアルケニルグリシジルエーテルに対して0.01〜10モル倍量が好ましく、0.1〜5モル倍量が良好な結果を与え、より好ましい。
【0023】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。多糖類又はスルホン化多糖類を膨潤させて疎水化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、1〜50重量%、更に好ましくは2〜30重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0024】
反応温度は0〜200℃、更に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、酸を用いてアルカリを中和する。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また、途中で中和することなく次の反応を行うこともできる。
【0025】
このようにして得られた疎水化多糖類を続いてスルホン化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じてろ過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応の疎水化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既に疎水化反応の前にスルホン化反応を行っている場合は、ろ過などによる分別後、必要に応じて洗浄、中和等を行った後、乾燥して成分(A)の多糖誘導体を得ることができる。
【0026】
〈スルホン化反応〉
多糖類又は疎水化多糖類のスルホン化反応は、多糖類又は疎水化多糖類を適当な溶媒に溶解又は分散させ、ビニルスルホン酸、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤と反応させることにより行われる。
【0027】
スルホン化反応に用いられるスルホン化剤のうち、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸としては、3−ハロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ハロ−2−(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸、3−ハロプロパンスルホン酸、2−ハロエタンスルホン酸等が挙げられ、置換ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。またこれらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。これらスルホン化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
スルホン化剤の使用量は、多糖類へのスルホン酸基の導入量によって適宜調整できるが、通常、多糖類又は疎水化多糖類の構成単糖残基当たり、0.1〜10当量が好ましく、0.2〜5当量の範囲がより好ましい。
【0028】
本反応においては、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては制限されないが、疎水化反応に用いられるものと同様のもの、すなわち、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。
アルカリの使用量は、用いるスルホン化剤に対して1.0〜3.0モル倍量が好ましく、1.05〜1.5モル倍量が良好な結果を与え、より好ましい。
【0029】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又は疎水化多糖類とスルホン化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100質量%が好ましく、1〜50質量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0030】
反応温度は0〜150℃、更に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、酸を用いてアルカリを中和する。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。途中で中和することなく次の反応を行うこともできる。
【0031】
このようにして得られたスルホン化多糖類を続いて疎水化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じてろ過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応のアルキル化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既にスルホン化反応の前に疎水化反応を行っている場合は、ろ過などによる分別後、必要に応じて洗浄、中和等を行った後、乾燥して成分(A)の多糖誘導体を得ることができる。
【0032】
前述したように、以上のようにして得られる多糖誘導体における置換基(a)及び(b)は、原料として用いた多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基のみならず、他の置換基(a)や置換基(b)が有するヒドロキシル基に置換する場合もあり、更にかかる置換は重畳的に起こる場合もある。すなわち、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子のみが置換基(a)及び(b)で置換された化合物のほか、疎水化後にスルホン化した場合には、置換基(a)に更に置換基(a)又は(b)が置換し、また置換基(b)に更に置換基(b)が置換したものが含まれることがあり、スルホン化後に疎水化した場合には、置換基(a)に更に置換基(a)が置換し、また置換基(b)に更に置換基(b)又は(a)が置換したものが含まれることがあり、疎水化とスルホン化を同時に行った場合には、置換基(a)に更に置換基(a)又は(b)が置換し、置換基(b)に更に置換基(a)又は(b)が置換したものが含まれることがあり、更にかかる他の置換基への置換が重畳的に起こったものが含まれることもある。本発明においては、このような多糖誘導体のいずれをも使用することができる。
【0033】
また、成分(A)の水溶性アルキル置換多糖誘導体としては、特開平3-12401号公報の実施例1〜3に記載されている変性セルロースエーテルや、米国特許第4228277号に記載されている非イオン長鎖アルキル化セルロースエーテル;市販品としてはナトロゾル・プラス(NATROSOL PLUS)330やナトロゾル・プラスCS(NATROSOL PLUS)D−67(アクアロン・カンパニー社製)等のアルキル変性ヒドロキシエチルセルロースや、疎水化変性スルホン化多糖誘導体などを好適に使用することができる。
【0034】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、安定な水中油型の乳化物を形成する点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上であり、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。そして、みずみずしい使用感、パウダーファンデーション塗布時のひっかかり感のなさに優れ、安定性良好な乳化物を形成する点から、5質量%以下であり、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.01〜5質量%であり、0.05〜2質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
【0035】
本発明で用いる成分(B)のフッ素変性シリコーンは、前記一般式(1)及び(2)で表されるポリシロキサン単位を有するものである。
式中、R1 、R2 及びR3 で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基等の分岐鎖アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル基などが挙げられる。
【0036】
また、mは2〜6の数を示し、好ましくは2〜5、より好ましくは3である。nは1〜6の数を示し、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
pは3〜50の数を示し、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6である。sは1〜5の数を示し、好ましくは1〜3、より好ましくは1である。
【0037】
また、p及びsの割合、すなわち、一般式(2)で表されるポリシロキサン単位pの、一般式(2)及び(3)で表されるポリシロキサン単位の合計p+sに対する変性率は、使用感や化粧持ちに優れ、外観のムラが起こりにくく、化粧料を塗布した後の塗布ムラを起こりにくくする点から、0.66≦p/(p+s)≦0.9であり、0.75≦p/(p+s)≦0.83が好ましい。
【0038】
成分(B)のフッ素変性シリコーンは、例えば、特開平6−184312号公報に記載の方法に従って、製造することができる。
成分(B)としては、次の一般式(3)で表されるものが好ましい。
【0039】
【化2】
【0040】
(式中、p及びsは、前記と同じ意味を示し、qは5の数を示す)
【0041】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、耐水性、耐皮脂性、化粧持ちに優れる点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましい。そして、使用感や耐皮脂性、化粧持ち、パウダーファンデーション塗布時のひっかかり感のなさの点から、40質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、0.01〜40質量%であり、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、4〜15質量%がさらに好ましい。
【0042】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合(B)/(A)は、安定性良好な乳化物形成、耐水性、耐皮脂性を維持し、仕上がり肌のかさつき感を抑制しつつ、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の塗布初期のひっかかり感や肌のごわつき感を抑制し、仕上がった肌に、滑らかさやしっとり感が得られる点から、3以上であり、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、200以下であり、150以下が好ましく、100以下がより好ましい。また、成分(A)及び(B)の質量割合(B)/(A)は、3〜200であり、5〜150が好ましく、10〜100がより好ましい。
【0043】
本発明で用いる成分(C)の粉体は、下記式で示されるトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理されたものである。
3C−(CF2)5−(CH2)2−Si−(OCH2CH3)3
粉体を表面処理するフッ素化合物のうちでも、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体を用いることにより、肌のむらづきを抑制し、自然な仕上がりを得ることができる。トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランとしては、大東化成工業株式会社より販売されているFHSが好適である。
【0044】
処理される粉体としては、通常の化粧料に用いられる体質顔料、着色顔料であれば制限されず、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びカーボンブラック、これらの複合体等の無機粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等の有機粉体;さらに、上記無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。
【0045】
粉体をトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理する方法としては、例えば、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランをミキサー内で滴下または添加して粉体と混合した後、熱処理を行い、必要に応じて解砕する方法や、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを溶解又は分散させた有機溶剤液と粉体とを混合した後、有機溶剤を除去し、乾燥後解砕する方法などが挙げられる。
中でも、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを有機溶剤に溶解又は分散させ、粉体とミキサー内で混合しながら、ミキサーを減圧下で加温して有機溶剤を除去した後、必要に応じて熱処理及び解砕する製造方法が好ましい。ここで用いる有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルムに代表される極性有機溶剤や、ノルマルヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素系有機溶剤が適当である。
【0046】
トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランの処理量は粉体によって異なるが、成分(C)の粉体質量に対して、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。また、0.05〜50質量%であるのが好ましく、0.1〜20質量%処理されるのがより好ましい。この処理量であれば、撥水性及び撥油性が十分に発現し、感触や流動性も良好であるので好ましい。
【0047】
成分(C)は、塗布時の粉っぽさと仕上がりの点から、平均粒径が0.01〜20μmであるのが好ましく、0.01〜10μmであるのがより好ましい。
なお、本発明において、成分(C)の粒径は、電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定される。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA−920)で測定する。
【0048】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、耐水性、耐皮脂性、化粧持ちに優れ、仕上がりと安定性の点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましいく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、12質量%以下がより更に好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.01〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましく、3〜12質量%がより更に好ましい。
【0049】
本発明において、成分(A)及び(C)の質量割合(C)/(A)は、耐水性、耐皮脂性を維持し、仕上がり肌のかさつき感を抑制しつつ、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の塗布初期のひっかかり感や肌のごわつき感を抑制し、仕上がった肌に、滑らかさやしっとり感が得られる点から、3以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、100以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。また、成分(A)及び(C)の質量割合(C)/(A)は、3〜100が好ましく、8〜80がより好ましく、10〜70が更に好ましい。
【0050】
本発明で用いる成分(D)の微粒子酸化亜鉛は、比表面積10〜100m2/g、好ましくは、15〜95m2/gのものである。このような比表面積の微粒子酸化亜鉛を用いることにより、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得ることができる。
また、成分(D)の微粒子酸化亜鉛は、シリコーン又はアルキルシランで表面処理されたものである。このような表面処理されたものを用いることにより、耐皮脂持続性、仕上がり肌のかさつき感を抑制し、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の塗布初期のひっかかり感や肌のごわつき感を抑制し、仕上がった肌に、滑らかさやしっとり感が得られる。
【0051】
微粒子酸化亜鉛を処理するためのシリコーンとしては、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のSi−H基を含むシリコーンオイル、Si−OH基を含むシリコーンオイル、環状ジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーン等が挙げられる。これらのうち、使用感、配合性、化粧持ちの点から、ジメチルポリシロキサン又はメチルハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
【0052】
微粒子酸化亜鉛をシリコーンで処理する方法としては、通常の方法により行うことができる。
シリコーンの処理量は、微粒子酸化亜鉛に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
【0053】
一方、微粒子酸化亜鉛を処理するためのアルキルシランは、次式で表される化合物である。
4 5 n−SiX(3-n)
(式中、R4 は炭素数1〜18、好ましくは炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、R5 は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基又はハロゲン原子(塩素原子等)を示し、nは0〜2の整数を示す)
【0054】
かかるアルキルシランとしては、例えばイソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ジメチルブチルクロロシラン等が挙げられる。これらのうち、オクチル基を有するものが好ましく、オクチルトリエトキシシランが、製造が容易であり、しかも処理後の粉体が十分な撥水性を示すのでより好ましい。
【0055】
微粒子酸化亜鉛をアルキルシランで処理する方法としては、通常行われている気相による反応や有機スラリーによる表面処理方法を用いることができる。
一例としては、まず微粒子酸化亜鉛を混合機に投入・撹拌しているところに、あらかじめアルコキシアルキルシラン化合物を有機溶媒単独又は有機溶媒と水との混合液で溶かしたシラン溶液を添加し、十分に混合・混練する。次に、得られた微粒子酸化亜鉛混合液を80〜90℃で乾燥し、更に110〜160℃で加熱処理することで、アルコキシアルキルシラン化合物で処理したアルキルシラン処理粉体が得られる。
アルキルシランの処理量は、微粒子酸化亜鉛に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
【0056】
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、化粧持ちの点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜8質量%が更に好ましい。
【0057】
本発明において、成分(B)及び(D)の質量割合(B)/(D)は、耐水性、耐皮脂性を維持しつつ、仕上がり肌のかさつき感を抑制し、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の塗布初期のひっかかり感や肌のごわつき感を抑制し、仕上がった肌に、滑らかさやしっとり感が得られる点から、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、1.2以上が更に好ましく、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下が更に好ましい。また、成分(B)及び(D)の質量割合(B)/(D)は、0.5〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1.2〜7が更に好ましい。
【0058】
また、本発明において、成分(C)及び(D)の質量割合(C)/(D)は、耐水性、耐皮脂性、耐皮脂持続性を維持しつつ、仕上がり肌のかさつき感を抑制し、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の塗布初期のひっかかり感や肌のごわつき感を抑制し、仕上がった肌に、滑らかさやしっとり感が得られる点から、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。また、成分(C)及び(D)の質量割合(C)/(D)は、0.5〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
【0059】
さらに、本発明において、成分(C)及び(D)の合計含有量は、耐水性、耐皮脂性、耐皮脂持続性を維持しつつ、仕上がり肌のかさつき感を抑制し、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の塗布初期のひっかかり感や肌のごわつき感を抑制し、仕上がった肌に、滑らかさやしっとり感が得られる点から、全粉体中70質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上がより好ましい。
また、成分(C)及び(D)の合計含有量は、化粧持ちの点から、全組成中に1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
【0060】
本発明に用いられる水の含有量は、使用感、保存安定性の点から、全組成中に、10質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。また、水は全組成中に、10〜90質量%含有されるのが好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
【0061】
また、本発明に用いられる油剤は、成分(B)を除く、20℃で液状のものが挙げられ、固体状、ペースト状の油剤を用いる場合には、一度別の油剤や溶媒に溶解してから用いることが好ましい。
本発明で用いる油剤としては、シリコーン油、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油(油脂を含む)、エーテル油、鉱油等が挙げられ、使用感の観点から、シリコーン油、炭化水素油、エステル油がより好ましく、シリコーン油がさらに好ましい。なかでも、ジメチルポリシロキサン、シクロポリシロキサンがよりさらに好ましい。
これら油剤は、1種又は2種以上用いることができる。
また、本発明に用いられる油剤の含有量は、全組成中に、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、油剤は、全組成中に、5〜50質量%含有するのが好ましく、7〜30質量%がより好ましい。
【0062】
また、本発明に用いられる界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。中でも、非イオン界面活性剤が好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましい。成分(A)、(B)、(C)を安定に乳化させる観点から、HLB値が8以下であるのが好ましく、HLB値6以下がより好ましく、HLB値4以下がさらに好ましい。
非イオン界面活性剤の含有量は、全組成中に0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、界面活性剤は、全組成中に0.001〜3質量%含有するのが好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0063】
ここで、HLB(親水性−親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
【0064】
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの重量(g)を示す。
【0065】
本発明の水中油型乳化化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ等の固形油分;前記成分以外の水溶性及び油溶性ポリマー;前記成分以外の粉体;エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0066】
本発明の水中油型乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。剤型としては、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状が挙げられ、乳液状、クリーム状が好ましい。
また、本発明の水中油型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、リキッドファンデーション、コンシーラーがより好ましく、化粧下地がさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化化粧料は、単品のみの使用においても、パウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の重ね付けにおいても使用することができる。
【0067】
本発明の水中油型乳化化粧料は、配合安定性、使用性、使用感の点から、25℃における粘度が0.5〜200Pa・sであるのが好ましく、1〜100Pa・sがより好ましく、2〜50Pa・sであるのが更に好ましい。ここで、粘度はB型粘度計で測定したものである。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0068】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)水溶性多糖誘導体 0.01〜5質量%、
(B)下記一般式(1)及び(2)
【0069】
【化3】
【0070】
(式中、Rfは炭素数6の直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキル基を示し、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、mは2〜6の数を示し、nは1〜6の数を示し、pは3〜50の数を示し、sは1〜5の数を示し、p及びsの割合が、0.66≦p/(p+s)≦0.9である)
で表されるポリシロキサン単位を有するフッ素変性シリコーン 0.01〜40質量%、
(C)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで処理した粉体、
(D)シリコーン又はアルキルシランで表面処理した比表面積10〜100m2/gの微粒子酸化亜鉛
を含有し、成分(A)及び(B)の質量割合(B)/(A)が、3〜200である水中油型乳化化粧料。
【0071】
<2>成分(A)が、好ましくは、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、次の基(a)及び(b);
(a)炭素数8〜40の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基及びこれらの混合物から選ばれる疎水部を有する置換基、
(b)ヒドロキシル基が置換していてもよいイオン性又は非イオン性の親水部を有する置換基、
で置換されており、置換基(a)と置換基(b)の数の比率が1:1000〜100:1である水溶性多糖誘導体であって、
多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、(a)炭素数8〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基及びアルキルアリール基から選ばれる疎水部を有する置換基、及び(b)メチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチレン基、ポリグリセリン基及びヒドロキシル基が置換していてもよいスルホアルキル基から選ばれる置換基で置換されており、置換基(a)と置換基(b)の数の比率が1:1000〜100:1である水溶性多糖誘導体がより好ましい前記<1>記載の水中油型乳化化粧料。
【0072】
<3>成分(A)が、好ましくは、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、次の基(a′)及び(b′):
(a′)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル基及び/又は炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルケニル基を有するアルケニルグリセリルエーテル基、
(b′)ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩で置換された水溶性アルキル置換多糖誘導体である前記<1>記載の水中油型乳化化粧料。
【0073】
<4>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.05質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい前記<1>〜<3>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<5>成分(B)が、好ましくは、次の一般式(3)
【0074】
【化4】
【0075】
(式中、p及びsは、前記と同じ意味を示し、qは5の数を示す)
で表されるものである前記<1>〜<4>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0076】
<6>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、1質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<5>もいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<7>成分(A)及び(B)の質量割合(B)/(A)が、好ましくは、5以上であって、10以上がより好ましく、150以下が好ましく、100以下がより好ましい前記<1>〜<6>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0077】
<8>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.01質量%以上であって、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、12質量%以下がより更に好ましい前記<1>〜<7>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<9>成分(A)及び(C)の質量割合(C)/(A)が、好ましくは、3以上であって、8以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、100以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0078】
<10>成分(D)の微粒子酸化亜鉛に比表面積が、好ましくは、15〜95m2/gである前記<1>〜<9>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<11>成分(D)が、好ましくは、ジメチルポリシロキサン又はメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理したものである前記<1>〜<10>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<12>成分(D)が、好ましくは、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン又はジメチルブチルクロロシランで表面処理したものであって、オクチルトリエトキシシランで表面処理したものがより好ましい前記<1>〜<10>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0079】
<13>成分(D)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.01質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい前記<1>〜<12>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<14>成分(B)及び(D)の質量割合(B)/(D)が、好ましくは、0.5以上であって、1以上がより好ましく、1.2以上が更に好ましく、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下が更に好ましい前記<1>〜<13>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<15>成分(C)及び(D)の質量割合(C)/(D)が、好ましくは、0.5以上であって、1以上がより好ましく、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましい前記<1>〜<14>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0080】
<16>成分(C)及び(D)の合計含有量が、好ましくは、全粉体中70質量%以上であって、90質量%以上がより好ましい前記<1>〜<15>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<17>成分(C)及び(D)の合計含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<16>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0081】
<18>水の含有量が、好ましくは、全組成中に、10質量%以上であって、40質量%以上がより好ましく、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい前記M1>〜<17>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<19>好ましくは、化粧下地、リキッドファンデーション、コンシーラーであって、化粧下地がより好ましい前記<1>〜<18>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【実施例】
【0082】
合成例1(化合物A1の合成)
(1)撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mLのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP4400,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これに、ステアリルグリシジルエーテル5.4gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体49.4gを得た。
【0083】
(2)撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mLのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム6.4g、48%水酸化ナトリウム水溶液2.7g及び水20.0gからなる混合液を加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いで、アセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基とスルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換された水溶性アルキル置換多糖誘導体(1)7.2gを得た。
【0084】
得られた水溶性アルキル置換多糖誘導体(1)のステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.030、スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.15であり、疎水部置換基(a)と親水部置換基(b)の数の比率は30:150であった。
【0085】
合成例2(化合物A2の合成)
製造例1において、ステアリルグリシジルエーテルの量を10.8gとする以外は同様にして疎水化した後、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの量を9.6g、48%水酸化ナトリウム水溶液2.7gの量を4.0gとする以外は同様にしてスルホン化を行い、水溶性アルキル置換多糖誘導体(2)を得た。
【0086】
得られた水溶性アルキル置換多糖誘導体(2)のステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.058、スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.20であり、疎水部置換基(a)と親水部置換基(b)の数の比率は58:200であった。
【0087】
合成例3(化合物B1の合成)
【化5】
【0088】
613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 の合成:
温度計、冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに、FA-6 (ユニマッテク社製)800g(2.2mol)と粒状NaOH(和光純薬社製)175.78g(4.4mol)を加えた。窒素雰囲気下で、テフロン(登録商標)製12cm三日月攪拌翼にて200rpmにて攪拌しながら、加熱し、フラスコ内温度を60℃とした。そこへ臭化アリル(和光純薬社製)398.73g(3.3mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間、80℃で1時間撹拌した。その後130℃に昇温し、過剰の臭化アリルを除去した。60℃まで冷却後、イオン交換水800gを入れ、30分間攪拌、その後静置して分層させた。上層の水層を抜き出し、さらにイオン交換水800gを入れ、再度攪拌、静置、水層除去を行った。60℃/5KPaにて脱水し、100℃/2KPaにて蒸留し、留分として、C613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 774.9gを得た(収率88%)。
【0089】
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)52.89g(111mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.66gを加え、110℃に昇温した。
【0090】
【化6】
【0091】
613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 197.11g(488mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液25.07gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)2.51gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水62.5gを用いて水蒸気蒸留し、目的化合物(化合物B1)206.3gを得た(収率89%)。
【0092】
合成例4(化合物B2の合成)
【化7】
【0093】
合成例1と同様にして、C613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 を合成した。
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)21.29g(51mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.26gを加え、110℃に昇温した。
【0094】
【化8】
【0095】
613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 78.71g(195mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液10.03gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)1.00gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水25gを用いて水蒸気蒸留し、目的化合物(化合物B2)78.9gを得た(収率85%)。
【0096】
合成例5(化合物B3の合成)
【化9】
【0097】
冷却管及び磁気攪拌子を備えた100mLの二つ口フラスコに、窒素雰囲気下、トルエン20mL、ハイドロジェンポリシロキサン(MD22H)(東芝シリコーン社製)8.0g(18.6mmol)、C613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 18.0g(44.7mmol)、塩化白金酸の2%イソプロピルアルコール溶液29μL(0.89×10-3mmol)を加え、110℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、活性炭1.0gを加え室温で1時間攪拌した後、活性炭を濾別し、溶媒を留去した。未反応の化合物を減圧留去し、目的化合物(化合物B3)20.3gを無色透明の油状物として得た(収率87%)。
【0098】
合成例6(化合物B4の合成)
【化10】
【0099】
冷却管及び磁気攪拌子を備えた100mLの二つ口フラスコに、窒素雰囲気下、メチル水素ポリシロキサン(MD2H2M)(東芝シリコーン社製)を19.0g(44.1mmol)、C817−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 53.3g(105.8mmol)を仕込んだ。次に、フラスコ内の温度を80℃に昇温したのち、塩化白金酸の2%イソプロピルアルコール溶液174.5μLを加え、60℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、ヘキサン50mL及び活性炭2.2gを加え、室温で1時間攪拌した。その後、活性炭を濾別し、溶媒を留去した。未反応の化合物を減圧留去し、目的化合物(化合物B4)49.4gを無色透明の油状物として得た(収率78%)。
【0100】
実施例1〜13及び比較例1〜6
表1に示す組成の水中油型乳化化粧料(化粧下地)を製造し、みずみずしさ、仕上り肌のかさつき感、耐皮脂持続性、パウダーファンデーション塗布初期のひっかかり感、パウダーファンデーション塗布後の滑らかさ、パウダーファンデーション塗布後の肌のごわつき感のなさ、パウダーファンデーション塗布後の肌のしっとり感、耐水性及び耐皮脂性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0101】
(製造方法)
粉体成分を粗混合した後、アドマイザー粉砕機(不二パウダル社)を用いて混合粉砕した。油相成分を混合し、粉砕した粉体成分を添加して、ディスパーで分散した。さらに水相成分を混合し、油相と紛体の混合物に添加して乳化した。その後、ホモミキサーで粘度調整して、水中油型乳化化粧料(化粧下地)を得た。
【0102】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各水中油型乳化化粧料(化粧下地)を手で肌に塗布し、塗布直後の「みずみずしさ」、「仕上がり肌のかさつき感」を評価し、塗布後6時間経過後の「耐皮脂持続性」を以下の基準で評価した。結果を5名の積算値で示す。
【0103】
(1)みずみずしさ:
5;塗布後のみずみずしさをかなり感じる。
4;塗布後のみずみずしさを感じる。
3;塗布後のみずみずしさをやや感じる。
2;塗布後のみずみずしさをあまり感じない。
1;塗布後のみずみずしさを感じない。
【0104】
(2)仕上り肌のかさつき感:
5;塗布後のかさつき感を感じない。
4;塗布後のかさつき感をほとんど感じない。
3;塗布後のかさつき感をやや感じる。
2;塗布後のかさつき感を感じる。
1;塗布後のかさつき感をかなり感じる。
【0105】
(3)耐皮脂持続性:
5;耐皮脂持続性がかなり良い。
4;耐皮脂持続性が良い。
3;耐皮脂持続性がやや良い。
2;耐皮脂持続性があまり良くない。
1;耐皮脂持続性が良くない。
【0106】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各水中油型乳化化粧料(化粧下地)を手で肌に塗布し、次に、パウダーファンデーション(ソフィーナ ファインフィット パウダーファンデーションUV、花王社製)を専用スポンジで塗布した直後の「塗布初期のひっかかり感」、「塗布後の滑らかさ」、「塗布後の肌のごわつき感のなさ」、「塗布後の肌のしっとり感」を以下の基準で評価した。結果を5名の積算値で示す。
【0107】
(4)パウダーファンデーション塗布初期のひっかかり感:
5;塗布初期のひっかかり感を感じない。
4;塗布初期のひっかかり感をほとんど感じない。
3;塗布初期のひっかかり感をやや感じる。
2;塗布初期のひっかかり感を感じる。
1;塗布初期のひっかかり感をかなり感じる。
【0108】
(5)パウダーファンデーション塗布後の滑らかさ:
5;塗布後の滑りがかなり良い。
4;塗布後の滑りが良い。
3;塗布後の滑りがやや良い。
2;塗布後の滑りがやや悪い。
1;塗布後の滑りが悪い。
【0109】
(6)パウダーファンデーション塗布後の肌のごわつき感のなさ:
5;塗布後の肌にごわつき感を感じない。
4;塗布後の肌にごわつき感をほとんど感じない。
3;塗布後の肌にごわつき感をやや感じる。
2;塗布後の肌にごわつき感を感じる。
1;塗布後の肌にごわつき感をかなり感じる。
【0110】
(7)パウダーファンデーション塗布後の肌のしっとり感:
5;塗布後の肌にしっとり感をかなり感じる。
4;塗布後の肌にしっとり感を感じる。
3;塗布後の肌にしっとり感をやや感じる。
2;塗布後の肌にしっとり感をあまり感じない。
1;塗布後の肌にしっとり感を感じない。
【0111】
(8)耐水性(水の接触角):
人工皮革シート(ポリウレタン製、10cm四方)を用意し、その表面5cm四方(25cm2)に均一になるように各化粧料80mgを指で塗布し、40℃、湿度50%にて1時間乾燥する。その後、シートを接触角測定装置に挿入できる大きさにカッターを用いて等分に分割し、20℃、湿度50%の環境下でイオン交換水1滴をマイクロシリンジの先端から試料面に滴下し、その時の接触角(度)を1分後に測定した。
【0112】
(9)耐皮脂性(スクワランの接触角):
(8)と同様にして、スクワラン1滴をマイクロシリンジの先端から試料面に滴下し、その時の接触角(度)を1分後に測定した。
【0113】
【表1】