特許第6181489号(P6181489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181489
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】水性発泡性塗料組成物及び塗装体
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20170807BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20170807BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C09D133/00
   C09D5/02
   C09D7/12
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-194115(P2013-194115)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-59180(P2015-59180A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(72)【発明者】
【氏名】市村 道春
(72)【発明者】
【氏名】常盤 勇斗
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−017796(JP,A)
【文献】 特開昭58−053964(JP,A)
【文献】 特開昭53−096038(JP,A)
【文献】 特開2010−270307(JP,A)
【文献】 特開2005−113002(JP,A)
【文献】 特開2008−115254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 5/00−7/14
C09D 101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アクリル樹脂エマルション、b)多価アルコール、c)含窒素発泡剤d)難燃性脱水剤及び、前記アクリル樹脂エマルションの固形分100質量部に対して1〜4質量部のアルカリ増粘型エマルションを含んでおり、ずり速度0.1(1/s)における粘度が50〜500(Pa・s、23℃)であり、ずり速度100(1/s)における粘度が0.5〜10(Pa・s、23℃)であることを特徴とする水性発泡性塗料組成物。
【請求項2】
更に中空粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の水性発泡性塗料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水性発泡性塗料組成物により形成された塗膜を備える塗装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性発泡性塗料組成物及び塗装体に関し、特には塗装作業性に優れ、耐火性能に優れる塗膜を形成可能な水性発泡性塗料組成物に関するものである。なお、水性発泡性塗料組成物とは、水を含む塗料組成物であって、塗膜形成後の燃焼時に泡を発生し、延焼を防止することが可能な塗料組成物を意味する。
【背景技術】
【0002】
近年、高層建築物や工場等において、照明はもとより、動力源、及び運転機器の集中管理等に電気機器の使用が増加しており、それに伴いエネルギー供給及び制御信号の送受信等に極めて多量の電気配線が施されるようになった。これらの電線は、シース材として、通常、ポリエチレン等の高分子材料が被覆されているが、燃焼し易く火災時に電線を伝わって延焼が起るという大きな問題点がある。このため、被覆電線に防火塗料を塗布し延焼を防止する方法が一般に行なわれている。例えば、特開昭53−96038号公報(特許文献1)には、電線用の水性防火塗料についての発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭53−96038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高分子材料で被覆された電線に従来の電線用水性防火塗料を塗装する場合、水性防火塗料の塗装作業性が悪いため、塗装された塗料は高分子材料の上を流れてしまい、被覆電線上に防火塗膜を均一の膜厚で形成させることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、塗装作業性に優れ、耐火性能に優れる塗膜を形成可能な水性発泡性塗料組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、耐火性能に優れる均一な塗膜を備える塗装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、アクリル樹脂エマルション、多価アルコール、含窒素発泡剤及び難燃性脱水剤を含む水性発泡性塗料組成物において、特定のずり速度における粘度を特定の範囲内に調整することによって、塗装作業性に優れる水性発泡性塗料組成物が得られ、また、該水性発泡性塗料組成物の使用により、耐火性能に優れる均一な塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明の水性発泡性塗料組成物は、a)アクリル樹脂エマルション、b)多価アルコール、c)含窒素発泡剤及びd)難燃性脱水剤を含んでおり、ずり速度0.1(1/s)における粘度が50〜500(Pa・s、23℃)であり、ずり速度100(1/s)における粘度が0.5〜10(Pa・s、23℃)であることを特徴とする。
【0008】
本発明の水性発泡性塗料組成物の好適例においては、更にアルカリ増粘型エマルションを含有する。
【0009】
本発明の水性発泡性塗料組成物の他の好適例においては、更に中空粒子を含有する。
【0010】
また、本発明の塗装体は、上記の水性発泡性塗料組成物により形成された塗膜を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水性発泡性塗料組成物によれば、特定のずり速度における粘度を特定の範囲内に調整することによって、塗装作業性に優れ、耐火性能に優れる塗膜を形成可能な水性発泡性塗料組成物を提供することができる。
【0012】
また、本発明の塗装体によれば、上記の水性発泡性塗料組成物の使用により、耐火性能に優れる均一な塗膜を備える塗装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の水性発泡性塗料組成物を詳細に説明する。本発明の水性発泡性塗料組成物は、a)アクリル樹脂エマルション、b)多価アルコール、c)含窒素発泡剤及びd)難燃性脱水剤を含んでおり、ずり速度0.1(1/s)における粘度が50〜500(Pa・s、23℃)であり、ずり速度100(1/s)における粘度が0.5〜10(Pa・s、23℃)であることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明の水性発泡性塗料組成物のような多価アルコール、含窒素発泡剤及び難燃性脱水剤を含む塗料組成物が耐火性の目的で使用される理由は次の通りである。難燃性脱水剤が、例えば火災時の燃焼によって、多価アルコールに対して脱水剤として作用し、炭化物層の形成を促進し、同時に、含窒素発泡剤もまた、燃焼によって、アンモニアや窒素等のガスを発生するため、炭化物層には気泡が形成され、延焼防止効果が発現することになる。
【0015】
そして、本発明の水性発泡性塗料組成物は、ずり速度0.1(1/s)における粘度が50〜500(Pa・s、23℃)であり、ずり速度100(1/s)における粘度が0.5〜10(Pa・s、23℃)であることを要し、ずり速度0.1(1/s)における粘度が50〜300(Pa・s、23℃)であり、ずり速度100(1/s)における粘度が1〜5(Pa・s、23℃)であることが特に好ましい。本発明の水性発泡性塗料組成物の粘度が上述の特定した範囲内にあれば、塗装作業性に優れるため、電線や被覆電線に対しても均一な塗膜を形成することができ、上述の延焼防止効果を有効に発現させることができる。また、ずり速度0.1(1/s)における粘度が50(Pa・s、23℃)未満であり且つずり速度100(1/s)における粘度が0.5(Pa・s、23℃)未満であると、粘度が低くなりすぎ、塗装作業性が低下するため、所定の膜厚が得られず、耐火性能が十分に得られない。一方、ずり速度0.1(1/s)における粘度が500(Pa・s、23℃)を超えて且つずり速度100(1/s)における粘度が10(Pa・s、23℃)を超えると、粘度が高くなりすぎ、レベリング性の悪化により塗装作業性が低下するため、膜厚が部分的に薄くなる箇所ができ、耐火性能が十分に得られない。
【0016】
なお、本発明の水性発泡性塗料組成物において、0.1(1/s)と100(1/s)の2つのずり速度を基準にして粘度を規定した理由は、0.1(1/s)のずり速度が塗装直後の塗料の粘性を指し、100(1/s)のずり速度が塗装時の塗料の粘性を指し、この塗装時から塗装直後の塗料の粘性がタレ性及びレベリング性に相関しているからである。また、本発明の水性発泡性塗料組成物の粘度を上述の特定した範囲内に調整する方法としては、例えば、増粘剤、水等を使用する手法が挙げられるが、後述するアルカリ増粘型エマルションを使用する手法が好ましい。
【0017】
本発明の水性発泡性塗料組成物において、アクリル樹脂エマルションとは、アクリル樹脂が水中に分散している乳濁液であり、必要に応じて界面活性剤等の添加剤が含まれる。なお、上記アクリル樹脂エマルション中に含まれるアクリル樹脂は、本発明の水性発泡性塗料組成物により形成される塗膜の樹脂母材を構成することになる。また、上記アクリル樹脂エマルションは、通常の手法により調製でき、上記アクリル樹脂エマルション中におけるアクリル樹脂の含有量は、例えば40〜60質量%である。
【0018】
上記アクリル樹脂エマルションを構成するアクリル樹脂は、通常、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルよりなる群から選択される1種又は複数種のアクリル系モノマーを重合させて得られる重合体であるが、該アクリル系モノマーと、該アクリル系モノマー以外のモノマー1種又は複数種とを共重合させて得られる共重合体も含まれる。上記アクリル樹脂としては、特に限定されず、塗料業界において通常使用されているもの単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記アクリル系モノマーのうち、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられ、また、アクリル系モノマー以外のモノマーの具体例としては、スチレン等が挙げられる。
【0019】
本発明の水性発泡性塗料組成物において、多価アルコールとは、分子内に複数の水酸基を持つアルコールであり、例えば火災時の燃焼によって、難燃性脱水剤との脱水反応を起こし、炭化物層を形成する役割を果たす。本発明の水性発泡性塗料組成物において、多価アルコールの含有量は、アクリル樹脂エマルションの固形分100質量部に対して、例えば5〜200質量部であり、10〜100質量部が好ましい、本発明において、アクリル樹脂エマルションの固形分とは、JIS K5601−1−2の試験方法に準じて計測することができる。
【0020】
上記多価アルコールの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール等に加えて、ソルビトール、グルコース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、イソシトール、シュークロース、デンプン、デキストリン、ペクチン、ペクトン酸等の糖類も含まれる。なお、これら多価アルコールは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
本発明の水性発泡性塗料組成物において、含窒素発泡剤とは、例えば火災時の燃焼によって、アンモニアや窒素等のガスを発生する窒素含有化合物である。本発明の水性発泡性塗料組成物において、含窒素発泡剤の含有量は、アクリル樹脂エマルションの固形分100質量部に対して、例えば10〜200質量部であり、30〜100質量部が好ましい。
【0022】
上記含窒素発泡剤の具体例としては、例えば、メラミン、メラム、ホルモグアナミン、ベンゾグアナミン、ジシアンジアミド、ジシアンジアミジン、尿素、チオ尿素、メチル尿素、アセチル尿素、グアニル尿素等の窒素含有化合物や、これら窒素含有化合物を、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド発生物質、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、ウロトロピン等と反応させて得られるメチロール化物、変性メチロール化物等が挙げられる。なお、これら含窒素発泡剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明の水性発泡性塗料組成物において、難燃性脱水剤とは、例えば火災時の燃焼によって、多価アルコールに対して脱水剤として作用し、炭化物層の形成を促進する化合物である。本発明の水性発泡性塗料組成物において、難燃性脱水剤の含有量は、アクリル樹脂エマルションの固形分100質量部に対して、例えば50〜500質量部であり、100〜300質量部が好ましい。
【0024】
上記難燃性脱水剤の具体例としては、例えば、リン酸メラミン、リン酸グアニル尿素、エチドロン酸メラミン、正リン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ヘキサメタリン酸、リン酸2水素アンモニウム、リン酸1水素アンモニウム、メタリン酸アンモニウム、亜リン酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、トリポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、ヘキサメタリン酸アンモニウム、塩化リン、オキシ塩化リン、無水リン酸等のリン系難燃剤が挙げられる。なお、これら難燃性脱水剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
本発明の水性発泡性塗料組成物は、粘度を調整する目的で、アルカリ増粘型エマルションを更に含むことが好ましい。アルカリ増粘型エマルションとは、カルボキシル基等の酸基を分子中に含むポリマーが水中に粒子状で分散している乳濁液であり、任意のアルカリを添加することにより、ポリマー中の酸基が中和されることにより、該ポリマーが水中に溶解し、増粘効果をもたらす。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルキル(C1〜C4)アミン等が一般に挙げられる。また、本発明の水性発泡性塗料組成物において、アルカリ増粘型エマルションの固形分の含有量は、アクリル樹脂エマルションの固形分100質量部に対して、例えば1〜4質量部である。
【0026】
本発明の水性発泡性塗料組成物は、中空粒子を更に含むことが好ましい。中空粒子を用いた場合、例え膜厚の厚い塗膜を形成したとしても、タレ、ワレのない塗膜を形成することができ、また、塗膜の脆性を改善したり、塗膜を増量したりすることもできる。更に、中空粒子は、水性発泡性塗料組成物の比重を小さくし、塗装作業性を向上させる効果を有する。また更に、本発明の水性発泡性塗料組成物によって形成される塗膜には、中空粒子による空洞が生じるため、延焼防止効果を更に向上させることもできる。中空粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、アルミノシリケートバルーン、シリカバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーン等の中空状無機物粉末が代表的なものとして挙げられ、特に塗膜強度の点から50%破壊静水圧が9.8×104Pa(10kg/cm)以上のものが望ましく、その具体例として、ガラスバルーン、アルミノシリケートバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーンが挙げられる。また、本発明の水性発泡性塗料組成物において、中空粒子の含有量は、アクリル樹脂エマルションの固形分100質量部に対して、例えば10〜40質量部である。
【0027】
本発明の水性発泡性塗料組成物は、無機充填剤や、体質顔料、着色顔料等の顔料を更に含有させてもよい。顔料としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ等のシリカ、無水珪酸、硼酸亜鉛、カーボンブラック、膨張性黒鉛、炭素繊維等の無機繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、珪砂、タルク、マイカ、酸化チタン、ベントナイト、カオリン、モンモリナイト、ウォラストナイト、ロックウール、ガラスファイバー、アスベスト、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト等が挙げられる。また、本発明の水性発泡性塗料組成物において、顔料の含有量は、アクリル樹脂エマルションの固形分100質量部に対して、例えば5〜70質量部である。
【0028】
本発明の水性発泡性塗料組成物には、その他の成分として、水の他、ハロゲン系及び三酸化アンチモン系の難燃剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤等の界面活性剤、可塑剤、造膜助剤、防凍剤、金属石鹸、安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら添加剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0029】
本発明の水性発泡性塗料組成物は、アクリル樹脂エマルション、多価アルコール、含窒素発泡剤及び難燃性脱水剤と、必要に応じて適宜選択される各種添加剤とを混合することにより調製できる。また、本発明の水性発泡性塗料組成物は、水を含有するが、その含有量は、例えば10〜40質量%である。
【0030】
本発明の水性発泡性塗料組成物は、塗装作業性が高く、電線等の金属線や、被覆電線等のケーブルに対して良好な被覆が可能である。また、本発明の水性発泡性塗料組成物は、鉄骨、アルミニウム、亜鉛鉄板及び石綿セメント板等にも塗装できる。更に、本発明の水性発泡性塗料組成物は、準不燃化又は難燃化の目的で、木材、合板、紙、繊維等の可燃性物質に対しても効果的に塗装できる。
【0031】
本発明の水性発泡性塗料組成物は、特に制限されず、刷毛塗り、スプレー塗装等の通常の塗装方法により塗装されてもよいし、コテ、ローラー等を用いて塗装することも可能である。
【0032】
次に、本発明の塗装体を詳細に説明する。本発明の塗装体は、上述の水性発泡性塗料組成物により形成された塗膜を備えることを特徴とし、耐火性能に優れる均一な塗膜が形成されている。なお、本発明の塗装体において、電線等の金属線や被覆電線等のケーブル上に上記塗膜が形成される場合、その膜厚は、1〜5mmの範囲であることが好ましい。膜厚が部分的に薄くなった箇所の塗膜厚が1mm未満であると所望の耐火性能が得られ難いといった不具合が生じる場合がある。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
<塗料組成物の調製例>
表1に示す配合処方に従って原料を混合し、塗料1〜6を調製した。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1に記載される配合剤は、下記の通りである。
※アクリル樹脂エマルション:日本カーバイド工業社製、商品名ニカゾールTG−134A、固形分50質量%
※多価アルコール:東洋ケミカルズ社製、商品名ジペンタエリスリトール
※含窒素発泡剤:三井化学社製、商品名メラミン
※難燃性脱水剤:Clariant社製、商品名ExolitAP422
※中空粒子:東海工業社製、商品名TF50
※アルカリ増粘型エマルション:サンノプコ社製、商品名SNシックナー636、固形分30質量%
※アンモニア水:大盛化工社製、商品名25%アンモニア水
※顔料:アルモリックス社製、商品名水酸化アルミB303
※消泡剤:サンノプコ社製、商品名デフォーマー391
【0037】
次いで、上記塗料組成物に関して、下記の方法により、粘度を測定し、塗装作業性及び耐火性能を評価した。結果を表2に示す。
【0038】
<粘度測定>
23℃における塗料組成物について、TAインスツルメンツ社製レオメーターARESを用い、ずり速度0.1(1/s)における粘度及びずり速度100(1/s)における粘度を測定した。
【0039】
<塗装作業性>
ポリエチレンシース材を使用した被覆電線(外径15mm、長さ50cm)に刷毛塗りにて塗料組成物を塗装し、塗装作業性を下記の基準に従って評価した。
○:塗料組成物が均一に広がり、膜厚が均一の塗膜が形成される
△:塗料組成物が均一に広がるが、膜厚が一部不均一な塗膜が形成される
×:塗料組成物が均一に広がらず、膜厚が均一の塗膜は形成されない
【0040】
<耐火性能>
ポリエチレンシース材を使用した被覆電線(外径15mm、長さ50cm)に塗料組成物を2mm厚で塗布した。但し、被覆電線の端部5cmを残した。常温乾燥後、塗装体を作製した。次いで、塗装体のシース材露出部分を下にして塗装体を垂直に固定し、熱電対により火炎上端温度が850〜900℃になるように調整されたバーナーを用いて、塗装体のシース材露出部分を20分間燃焼させ、その後、バーナーを除去するという試験を行った。3回の試験を行い、耐火性能を下記の基準に従って評価した。
○:3回の試験すべてにおいて、燃焼が塗装体下端から15cm以下の高さにとどまり、バーナーを除去した後、自然鎮火する。
△:3回の試験の内2回の試験において、燃焼が塗装体下端から15cm以下の高さにとどまり、バーナーを除去した後、自然鎮火する。
×:3回の試験すべてにおいて、シース材が塗装体の上端まで完全に燃えつきる。
【0041】
【表2】