(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程は、全ゴム成分と、全軟化剤と、全補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の全配合材料を一括で混合するものである請求項1記載の高性能タイヤ用トレッドゴム組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記課題を解決し、ドライグリップ性能(初期性能、低下抑制性能)及び耐摩耗性能の性能バランスに優れ、かつ簡便に製造可能な高性能タイヤ用トレッドゴム組成物及びその製造方法、並びに、該ゴム組成物を用いた高性能タイヤ及び高性能ドライタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ゴム成分と、軟化剤と、補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の配合材料とを混合する工程を経て得られる高性能タイヤ用トレッドゴム組成物であって、
前記工程が、5〜15分間かけて混合物の温度を100〜130℃に上昇させた後、5〜10分間かけて混合物の温度を140〜160℃に上昇させるものであることを特徴とする高性能タイヤ用トレッドゴム組成物に関する。
【0007】
前記工程は、全ゴム成分と、全軟化剤と、全補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の全配合材料を一括で混合するものであることが好ましい。
【0008】
前記ゴム成分100質量%中、スチレンブタジエンゴムを60質量%以上含み、前記ゴム成分100質量部に対して、前記補強剤を40〜250質量部、前記軟化剤を30〜300質量部含むことが好ましい。
【0009】
前記補強剤がカーボンブラックを含むことが好ましい。
【0010】
前記軟化剤がオイル及び/又は液状ジエン系重合体であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、ゴム成分と、軟化剤と、補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の配合材料とを混合するベース練り工程を含み、前記工程が、5〜15分間かけて混合物の温度を100〜130℃に上昇させた後、5〜10分間かけて混合物の温度を140〜160℃に上昇させるものであることを特徴とする高性能タイヤ用トレッドゴム組成物の製造方法に関する。
【0012】
また、本発明は、前記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する高性能タイヤに関する。
さらに、本発明は、前記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する高性能ドライタイヤに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ゴム成分と、軟化剤と、補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の配合材料とを混合する工程を経て得られ、前記工程が、5〜15分間かけて混合物の温度を100〜130℃に上昇させた後、5〜10分間かけて混合物の温度を140〜160℃に上昇させるものであることを特徴とする高性能タイヤ用トレッドゴム組成物である。従って、ドライグリップ性能(初期性能、低下抑制性能)及び耐摩耗性能の性能バランスに優れ、かつ簡便に製造可能な高性能タイヤ用ゴム組成物及びその製造方法、並びに、該ゴム組成物を用いた高性能タイヤ及び高性能ドライタイヤを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の高性能タイヤ用トレッドゴム組成物は、ゴム成分と、軟化剤と、補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の配合材料とを、5〜15分間かけて混合物の温度を100〜130℃に上昇させた後、5〜10分間かけて混合物の温度を140〜160℃に上昇させて混合する工程を経て得られるものである。
【0015】
ゴム成分、軟化剤、補強剤、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の配合材料を、先ずその混合物の温度が5〜15分間かけて100〜130℃に上昇するように混合した後、更に5〜10分間かけて140〜160℃に上昇するように混合することで、軟化剤や補強剤が高充填の場合でも、これらの材料がゴム成分中に良好に分散されたゴム組成物が作製され、かつ製法も簡便化できる。従って、簡便な製法にて、初期ドライグリップ性能、耐摩耗性能がバランス良く改善され、加えてドライグリップ性能の低下も抑制された高性能タイヤ用トレッドゴム組成物を提供できる。
【0016】
なかでも、各成分の大部分、特に全ゴム成分、全軟化剤、全補強剤、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の全配合材料を、前記条件にて一括で混合することにより、前記性能を顕著に改善できる。
【0017】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、軟化剤と、補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の配合材料とを、5〜15分間かけて混合物の温度を100〜130℃に上昇させた後、5〜10分間かけて混合物の温度を140〜160℃に上昇させるという条件で混合する工程を経て得られるものであり、例えば、ゴム成分と、軟化剤と、補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の配合材料とを混合するベース練り工程を含み、前記工程が、5〜15分間かけて混合物の温度を100〜130℃に上昇させた後、5〜10分間かけて混合物の温度を140〜160℃に上昇させる製法、等により製造できる。
【0018】
(ベース練り工程)
ベース練り工程は、先ず、ゴム成分と、軟化剤と、補強剤と、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の配合材料とを、その混合物の温度が5〜15分間で100〜130℃になるように上昇させながら混合する低温ベース練り工程が行われる。温度や時間が下限未満では、充分な配合剤の分散ができないおそれがあり、上限を超えると、加硫後のゴム物性が狙いよりも硬く仕上がるおそれがある。なお、低温ベース練り工程は、混合物の温度を7〜13分間で100〜110℃に上昇させることがより好ましい。
【0019】
ベース練り工程では、低温ベース練り工程の後に、更に混合物の温度が5〜10分間で140〜160℃になるように上昇させながら混合する高温ベース練り工程が行われる。温度や時間が下限未満では、充分な配合剤の分散ができないおそれがあり、上限を超えると、ポリマーのゲル化が生じるおそれがある。
なお、高温ベース練り工程は、混合物の温度を5〜8分間で140〜160℃に上昇させることがより好ましい。
【0020】
低温ベース練り工程、高温ベース練り工程の混合方法としては特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用できる。また、それぞれの工程の混合温度、温度上昇時間の調整は、公知を方法で実施でき、例えば、混練速度、温度調節装置等で実施できる。
【0021】
本発明で使用可能なゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ドライグリップ性能及び耐摩耗性能がバランスよく得られるという理由からNR、BR、SBRが好ましく、ドライグリップ性能が特に優れるという点から、SBRがより好ましい。なお、ゴム成分は、素練りしたものを用いてもよい。
【0022】
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。
【0023】
SBRのスチレン含有量は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。20質量%未満では、充分なグリップ性能が得られない傾向がある。また、SBRのスチレン含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。60質量%を超えると、耐摩耗性が低下するだけでなく、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまう傾向がある。
なお、本発明において、SBRのスチレン含有量は、H
1−NMR測定により算出される。
【0024】
NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。BRとしては、例えば、宇部興産(株)製のBR150Bなど、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
【0025】
本発明で使用可能な軟化剤としては特に限定されず、オイル、液状ジエン系重合体などが挙げられる。
【0026】
オイルとしては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられる。
【0027】
液状ジエン系重合体は、常温(25℃)で液体状態のジエン系重合体である。
液状ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10
3〜2.0×10
5であることが好ましく、3.0×10
3〜1.5×10
4であることがより好ましい。1.0×10
3未満では、破壊特性が低下し、十分な耐久性が確保できない恐れがある。一方、2.0×10
5を超えると、重合溶液の粘度が高くなり過ぎ生産性が悪化する恐れがある。なお、本発明において、Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
【0028】
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。なかでも、耐摩耗性能とグリップ性能がバランスよく得られるという理由から、液状SBRが好ましい。
【0029】
液状SBRのビニル含量は、グリップ性能や耐摩耗性能の観点から、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜75質量%である。液状SBRのスチレン含量は、グリップ性能の観点から、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%である。ここで、液状SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法、液状SBRのスチレン含量は、H
1−NMR測定により算出される。
【0030】
本発明で使用可能な補強剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルク等、従来からゴム分野で慣用されているものが挙げられるが、グリップ性能、耐摩耗性能に優れるという観点から、カーボンブラックを好適に使用できる。
【0031】
カーボンブラックとしては、例えば、オイルファーネス法により製造されたカーボンブラックなどが挙げられ、2種類以上のコロイダル特性の異なるものを併用してもよい。具体的にはGPF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、なかでも、SAFが好適である。
【0032】
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N
2SA)は、100m
2/g以上が好ましく、105m
2/g以上がより好ましく、110m
2/g以上がさらに好ましく、130m
2/g以上が特に好ましい。100m
2/g未満では、グリップ性能が低下する傾向がある。該N
2SAは、600m
2/g以下が好ましく、550m
2/g以下がより好ましく、530m
2/g以下がさらに好ましい。600m
2/gを超えると、良好な分散が得られにくく、耐摩耗性能が低下する傾向がある。なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K 6217−2:2001に準拠して求められる。
【0033】
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、50ml/100g以上が好ましく、100ml/100g以上がより好ましい。50ml/100g未満では、充分な耐摩耗性能が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのDBPは、250ml/100g以下が好ましく、200ml/100g以下がより好ましく、135ml/100g以下がさらに好ましい。250ml/100gを超えると、グリップ性能が低下するおそれがある。なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K 6217−4:2001に準拠して測定される。
【0034】
加硫剤及び加硫促進剤以外の配合材料としては、酸化亜鉛、ワックス、レジン、老化防止剤、ステアリン酸等、タイヤ分野で公知の薬品が挙げられる。
【0035】
ベース練り工程では、本発明のゴム組成物中に含まれる、ゴム成分、軟化剤、補強剤、加硫剤及び加硫促進剤以外の他の配合材料の各材料100質量%中、それぞれ75質量%以上を混合することが好ましく、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは95質量%以上で、全量を一括で混合することが特に好ましい。
【0036】
(仕上げ練り工程)
ベース練り工程の後、当該工程で得られた混合物、加硫剤及び加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程を行い、その後加硫工程を行うこと、等により、本発明の加硫ゴム組成物が得られる。仕上げ練り工程は、オープンロールなどを用いて、混合物、加硫剤及び加硫促進剤などを混練りする方法等で実施でき、加硫工程は、仕上げ練り工程で得られた未加硫ゴム組成物に公知の加硫手段を適用することで実施できる。
【0037】
加硫剤としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄が挙げられる。
【0038】
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、グアニジン系加硫促進剤などが挙げられ、なかでも、本発明では、チアゾール系、チウラム系加硫促進剤を好適に使用できる。
【0039】
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドなどが挙げられ、なかでも、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)などが挙げられ、なかでも、TOT−Nが好ましい。
【0040】
前述の製造法等により得られたゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。10質量%未満であると、十分な耐熱性が得られない傾向がある。また、SBRの含有量の上限は特に限定されず、100質量%でもよい。
【0041】
前述の製造法等により得られたゴム組成物において、軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。30質量部未満では、充分なグリップ性能が得られない傾向がある。また、該含有量は、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましく120質量部以下である。300質量部を超えると、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、軟化剤の含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量は含まれない。
【0042】
前述の製造法等により得られたゴム組成物において、補強剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは80質量部以上、更に好ましくは100質量部以上である。40質量部未満では、充分な耐摩耗性能、グリップ性能が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。250質量部を超えると、グリップ性能が低下するおそれがある。
【0043】
本発明のゴム組成物は、高性能タイヤのトレッドに使用され、特に高性能ドライタイヤのトレッドに好適に適用できる。
【0044】
本発明の高性能タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合して得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。該高性能タイヤは、レースなどの競技用タイヤ、特にドライ路面に使用される高性能ドライタイヤに好適に適用できる。
【実施例】
【0045】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0046】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について説明する。
SBR:旭化成ケミカルズ(株)製のタフデン4850(スチレン含有量:40質量%、ゴム固形分100質量部に対してオイル分50質量部含有)
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシースト9(SAF、N
2SA:142m
2/g、DBP:115ml/100g)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
液状SBR:(株)クラレ製のL−SBR−820(スチレン含有量:22質量%、Mw:8500)
レジン:日塗化学(株)製のG−90(軟化点:90℃)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ステアリン酸:日油(株)製のつばき
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤DM:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM
加硫促進剤TOT−N:大内新興化学工業(株)製のノクセラーTOT−N
【0047】
(実施例1)
表1に示す配合処方に従い、各薬品を(株)神戸製鋼製の1.7Lバンバリーに充填し、8分間かけて120℃になるまで混練した後(低温ベース練り工程)、更に5分間かけて150℃になるまで混練した(高温ベース練り工程)。次いで、得られた混合物に対して、オープンロールを用いて硫黄及び加硫促進剤を練り込み、トレッド用未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。
【0048】
(実施例2)
表1に示す配合処方に従い、各薬品を(株)神戸製鋼製の1.7Lバンバリーに充填し、5分間かけて100℃になるまで混練した後(低温ベース練り工程)、更に9分間かけて160℃になるまで混練した(高温ベース練り工程)。次いで、得られた混合物に対して、オープンロールを用いて硫黄及び加硫促進剤を練り込み、トレッド用未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。
【0049】
(比較例1)
表1に示す配合処方に従い、各薬品を(株)神戸製鋼製の1.7Lバンバリーに充填し、15分間かけて160℃になるまで混練した(ベース練り工程)。次いで、得られた混合物に対して、オープンロールを用いて硫黄及び加硫促進剤を練り込み、トレッド用未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。
【0050】
(比較例2)
表1に示す配合処方に従い、各薬品を(株)神戸製鋼製の1.7Lバンバリーに充填し、8分間かけて120℃になるまで混練した(第1ベース練り工程)。得られた第1混合物に、表1に示す配合処方に従って各薬品を充填し、5分間かけて130℃になるまで混練した(第2ベース練り工程)。次いで、得られた混合物に対して、オープンロールを用いて硫黄及び加硫促進剤を練り込み、トレッド用未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。
【0051】
(比較例3)
表1に示す配合処方に従い、各薬品を(株)神戸製鋼製の1.7Lバンバリーに充填し、5分間かけて150℃になるまで混練した(第1ベース練り工程)。得られた第1混合物に、表1に示す配合処方に従って各薬品を充填し、5分間かけて150℃になるまで混練した(第2ベース練り工程)。更に得られた第2混合物に、表1に示す配合処方に従って各薬品を充填し、5分間かけて150℃になるまで混練した(第3ベース練り工程)。次いで、得られた混合物に対して、オープンロールを用いて硫黄及び加硫促進剤を練り込み、トレッド用未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。
【0052】
(比較例4)
表1に示す配合処方に従い、各薬品を(株)神戸製鋼製の1.7Lバンバリーに充填し、8分間かけて120℃になるまで混練した(第1ベース練り工程)。得られた第1混合物を排出した後、再度バンバリーに充填し、更に表1に示す配合処方に従って各薬品を充填し、5分間かけて150℃になるまで混練した(第2ベース練り工程)。次いで、得られた混合物に対して、オープンロールを用いて硫黄及び加硫促進剤を練り込み、トレッド用未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。
【0053】
得られたトレッド用未加硫ゴム組成物をトレッド形状に加工し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、170℃の条件下で15分間加硫することで試験用タイヤ(サイズ215/45R17)を得た。
得られた試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
(グリップ性能)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行った。その際における操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした(グリップ性能指数)。数値が大きいほど、ドライ路面におけるグリップ性能が高いことを示す。
【0055】
(グリップ性能の維持性)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行った。その際にベストラップと最終ラップの操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが比較評価し、比較例1を100として指数表示をした(グリップ性能低下指数)。数値が大きいほど、ドライ路面におけるグリップ性能の低下が抑制されていることを示す。
【0056】
(耐摩耗性能)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて実車走行を行った。その際におけるタイヤトレッドゴムの残溝量を計測し(新品時15mm)、比較例1の残溝量を100として指数表示した(耐摩耗性能指数)。数値が大きいほど、耐摩耗性能が高いことを示す。
【0057】
(製造コスト)
比較例1の混練り時間を100として指数表示した。指数が小さいほどコストが低いことを示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1により、全ゴム成分、軟化剤、酸化亜鉛、ワックス、レジン、老化防止剤及びステアリン酸を、低温ベース練り工程、高温ベース練り工程の一連の工程を経て作製した実施例のタイヤは、初期ドライグリップ性能やその低下抑制性能、更には耐摩耗性能に優れ、これらの性能バランスが顕著に改善され、加えて、製造コスト面でも良好であった。一方、比較例のタイヤは性能が劣り、比較例3〜4は製造コストもかかるものであった。