(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181509
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】終端装置、送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 10/071 20130101AFI20170807BHJP
【FI】
H04B10/071
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-219485(P2013-219485)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-82736(P2015-82736A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年7月14日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人情報通信研究機構、「高い臨時設営を持つ有無線両用通信技術の研究開発」副題「光ファイバ伝送とW帯無線伝送を柔軟に切替可能な通信方式を実現する要素デバイス及びシステム化技術」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】大石 将之
(72)【発明者】
【氏名】西村 公佐
【審査官】
鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−046413(JP,A)
【文献】
特開2000−341175(JP,A)
【文献】
特開2010−278620(JP,A)
【文献】
特開平03−274928(JP,A)
【文献】
特開平11−196047(JP,A)
【文献】
特開2007−281779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00−10/90
H04B 1/74
H04J 14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
終端装置間の光伝送路を複数の区間に分割し、区間の障害時、当該区間で対向する送信装置と受信装置により無線伝送路で救済する通信システムの終端装置であって、
監視信号を生成する監視信号生成手段と、
前記監視信号の反射光により障害となっている区間を特定する制御手段と、
変調光を生成する変調手段と、
を備えており、
前記制御手段は、前記特定した区間に応じて前記変調光の波長を制御することを特徴とする終端装置。
【請求項2】
各区間を救済する送信装置には波長が関連付けられており、
前記制御手段は、前記変調光の波長が、前記特定した区間を救済する送信装置に関連付けられた波長となる様に制御することを特徴とする請求項1に記載の終端装置。
【請求項3】
前記監視信号はパルス信号であり、
前記制御手段は、前記パルス信号の反射光から障害箇所までの距離を判定し、前記判定した距離に基づき障害となっている区間を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の終端装置。
【請求項4】
各区間を救済する受信装置は、当該受信装置に関連付けられた波長の光信号を反射する様に構成されており、
前記監視信号は、各区間の受信装置に関連付けられた波長の光信号を含み、
前記制御手段は、反射光の波長に基づき障害となっている区間を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の終端装置。
【請求項5】
光入力ポートと、
光出力ポートと、
光信号を電気信号に変換し、前記電気信号を無線信号に変換してアンテナ経由で送信する変換手段と、
前記光入力ポートで受信した光信号の波長を検出する検出手段と、
前記変換手段及び前記光出力ポートを含む出力先から1つを選択し、選択した出力先に向けて前記光入力ポートで受信した光信号を出力する選択手段と、
前記アンテナ経由で制御信号を送受信する制御手段と、
オン状態で前記制御手段に電力供給し、オフ状態で前記制御手段に電力供給しない継電手段と、
を備えており、
前記継電手段がオフ状態であるときには変換手段には電力が供給されず、
前記検出手段は、前記光入力ポートで受信した光信号の波長が所定の波長であると、前記継電手段をオン状態にすることを特徴とする送信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、電力供給されると、対向する受信装置と前記制御信号により通信し、当該通信結果に応じて、前記変換手段に電力が供給される様に制御し、かつ、前記光入力ポートで受信した光信号を前記変換手段に向けて出力する様に前記選択手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の送信装置。
【請求項7】
前記継電手段は前記オン状態で前記変換手段に電力供給することを特徴とする請求項5に記載の送信装置。
【請求項8】
前記制御手段は、電力供給されると、対向する受信装置と前記制御信号により通信し、当該通信結果に応じて、前記光入力ポートで受信した光信号を前記変換手段に向けて出力する様に前記選択手段を制御することを特徴とする請求項7に記載の送信装置。
【請求項9】
終端装置間の光伝送路を複数の区間に分割し、区間の障害時、当該区間で対向する送信装置と受信装置により無線伝送路で救済する通信システムの受信装置であって、
光入力ポートと、
光出力ポートと、
アンテナで受信した無線信号を電気信号に変換し、前記電気信号で変調した変調光を出力する変調手段、及び、監視信号を生成する監視信号生成手段を含む変換手段と、
前記光入力ポートで受信した光信号のレベルを検出する検出手段と、
前記光入力ポートで受信した光信号及び前記変換手段が出力する光信号から1つを選択し、選択した光信号を前記光出力ポートに向けて出力する選択手段と、
前記アンテナ経由で制御信号を送受信する制御手段と、
オン状態で前記制御手段に電力供給し、オフ状態で前記制御手段に電力供給しない継電手段と、
を備えており、
前記継電手段がオフ状態であるときには前記変換手段には電力が供給されず、
前記検出手段は、前記光入力ポートで受信した光信号のレベルが閾値より大きい状態から前記閾値以下になると、前記継電手段をオン状態にし、
前記制御手段は、前記監視信号の反射光により障害となっている区間を特定し、前記特定した区間に応じて前記変調光の波長を制御することを特徴とする受信装置。
【請求項10】
各区間を救済する送信装置には波長が関連付けられており、
前記制御手段は、前記変調光の波長が、前記特定した区間を救済する送信装置に関連付けられた波長となる様に前記変調手段を制御することを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記監視信号はパルス信号であり、
前記制御手段は、前記パルス信号の反射光から障害箇所までの距離を判定し、前記判定した距離に基づき障害となっている区間を特定することを特徴とする請求項9又は10に記載の受信装置。
【請求項12】
各区間を救済する受信装置は、当該受信装置に関連付けられた波長の光信号を反射する様に構成されており、
前記監視信号は、各区間の受信装置に関連付けられた波長の光信号を含み、
前記制御手段は、反射光の波長に基づき障害となっている区間を特定することを特徴とする請求項9又は10に記載の受信装置。
【請求項13】
前記制御手段は、電力供給されると、対向する送信装置と前記制御信号により通信し、当該通信結果に応じて、前記変換手段に電力が供給される様に制御し、かつ、前記選択手段が前記光出力ポートに向けて出力する光信号が、前記変換手段が出力する光信号となるように制御することを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項14】
前記継電手段は前記オン状態で前記変換手段に電力供給することを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項15】
前記制御手段は、電力供給されると、対向する送信装置と前記制御信号により通信し、当該通信結果に応じて、前記選択手段が前記光出力ポートに向けて出力する光信号が、前記変換手段が出力する光信号となるように制御することを特徴とする請求項14に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光伝送路の障害時に無線伝送路で救済する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大容量の伝送が可能であり、通信品質の安定している光ファイバが通信媒体として、コア・ネットワーク及びアクセス・ネットワークにおいて広く使用されている。しかしながら、光ファイバが断線すると、その復旧には、まず保守者が断線箇所に駆けつけ、断線部分を含む区間の再接続を行う必要があり、復旧までに時間がかかる。したがって、特許文献1は、光ファイバによる光伝送路に対して無線による予備伝送路を設け、光伝送路の障害時、無線による予備伝送路に切り替えて通信を継続させる構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−278620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成は、パッシブ光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)において、局側光終端装置(OLT:Optical Line Terminal)と加入者側光終端装置(ONU:Optical Network Unit)との間のいずれの箇所で断線したとしても同じ1つの無線伝送路で救済するというものである。
【0005】
しかしながら、光伝送路での伝送容量が高くなると、その救済のためには、数十GHzの周波数帯域の無線伝送路を使用しなければならない。数十GHzの周波数帯域では見通し内通信となり、かつ、使用する周波数が高くなる程、その伝送距離は短くなる。つまり、光伝送路での伝送容量が高くなると、光伝送路を1つの無線伝送路で救済することはできず、光伝送路を複数の区間に分割し、各区間に対して無線装置で予備伝送路を構成して区間毎に救済することが必要となる。
【0006】
ここで、1つの光伝送路を複数の区間に分割し、区間毎に救済する構成において消費電力を削減するためには、障害が発生していないときには、無線通信を行うための各機能部への電力供給を停止し、障害が発生した場合に、障害区間の救済を行うのに必要な機能部への給電を行うように制御する必要がある。
【0007】
本発明は、1つの光伝送路を複数の区間に分割し、区間毎に無線伝送路で救済する構成において、消費電力を低減できる終端装置、送信装置及び受信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、終端装置間の光伝送路を複数の区間に分割し、区間の障害時、当該区間で対向する送信装置と受信装置により無線伝送路で救済する通信システムの終端装置は、監視信号を生成する監視信号生成手段と、前記監視信号の反射光により障害となっている区間を特定する制御手段と、変調光を生成する変調手段と、を備えており、前記制御手段は、前記特定した区間に応じて前記変調光の波長を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明の一側面によると、送信装置は、光入力ポートと、光出力ポートと、光信号を電気信号に変換し、前記電気信号を無線信号に変換してアンテナ経由で送信する変換手段と、前記光入力ポートで受信した光信号の波長を検出する検出手段と、前記変換手段及び前記光出力ポートを含む出力先から1つを選択し、選択した出力先に向けて前記光入力ポートで受信した光信号を出力する選択手段と、前記アンテナ経由で制御信号を送受信する制御手段と、オン状態で前記制御手段に電力供給し、オフ状態で前記制御手段に電力供給しない継電手段と、を備えており、前記継電手段がオフ状態であるときには変換手段には電力が供給されず、前記検出手段は、前記光入力ポートで受信した光信号の波長が所定の波長であると、前記継電手段をオン状態にすることを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面によると、終端装置間の光伝送路を複数の区間に分割し、区間の障害時、当該区間で対向する送信装置と受信装置により無線伝送路で救済する通信システムの受信装置は、光入力ポートと、光出力ポートと、アンテナで受信した無線信号を電気信号に変換し、前記電気信号で変調した変調光を出力する変調手段、及び、監視信号を生成する監視信号生成手段を含む変換手段と、前記光入力ポートで受信した光信号のレベルを検出する検出手段と、前記光入力ポートで受信した光信号及び前記変換手段が出力する光信号から1つを選択し、選択した光信号を前記光出力ポートに向けて出力する選択手段と、前記アンテナ経由で制御信号を送受信する制御手段と、オン状態で前記制御手段に電力供給し、オフ状態で前記制御手段に電力供給しない継電手段と、を備えており、前記継電手段がオフ状態であるときには前記変換手段には電力が供給されず、前記検出手段は、前記光入力ポートで受信した光信号のレベルが閾値より大きい状態から前記閾値以下になると、前記継電手段をオン状態にし、前記制御手段は、前記監視信号の反射光により障害となっている区間を特定し、前記特定した区間に応じて前記変調光の波長を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
1つの光伝送路を複数の区間に分割し、区間毎に無線伝送路で救済する構成において、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】区間#2及び#4で障害が発生した場合の状態の説明図。
【
図3】一実施形態による光終端装置の送信部の構成図。
【
図6】一実施形態による光終端装置の送信部の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。また、以下の実施形態は例示であり本発明を実施形態の内容に限定するものではない。
【0014】
<第一実施形態>
図1は、一実施形態による通信システムの構成図である。
図1において、局側光終端装置(OLT)3−1は、加入者側光終端装置(ONU)3−2と通信する。
図1の例においては、OLT3−1とONU3−2とを接続する光伝送路を4つの区間(区間#1〜#4)に分割し、各区間の光伝送路の障害時に、障害区間を無線伝送路で復旧させるための送信装置(TX)1と受信装置(RX)2が各区間に設けられている。なお、本例では区間数は4であるが、任意の区間数を使用できる。以下では、OLT3−1からONU3−2方向、つまり、下り方向について、障害発生時、どの様に区間の救済を行うかについて説明するが、上り方向についても同様である。また、以下の説明において、区間#k(本例では、k=1〜4の整数)の送信装置1及び受信装置2を、それぞれ、TX#k及びRX#kと表記し、OLT3−1とONU3−2を纏めて光終端装置3と呼ぶ。
【0015】
まず、正常時、つまり、障害が発生していない場合、光終端装置3が送信する光信号は、単に、各送信装置1及び各受信装置2を通過して対向する光終端装置3が受信する。その後、
図1の区間#2及び#4で同時に障害が発生したものとする。本実施形態において、受信装置2は、入力される光信号のレベルを監視しており、このレベルが閾値以下となると、無線伝送路への切り替えに必要な機能ブロックへの電力供給を行う。
図2は、区間#2及び#4で同時に障害が発生した場合の各受信装置2の光信号の検出状況を示している。
図2に示す様に、区間#2での障害により、RX#2、RX#3、RX#4は光信号断を検出する。よって、RX#2、RX#3、RX#4は、無線通信に必要な機能ブロックへの電力供給を行う。
【0016】
本実施形態では複数の区間で同時に障害が発生した場合、上流側の区間から順次、無線伝送路への切り替えを行う。つまり、本例では区間#2の無線伝送路への切り替えをまず行う。このためには、区間#2を無線伝送路に切り替える必要があることをTX#2に通知し、TX#2において、無線伝送路への切り替えに必要な機能ブロックへの電力供給を行わせてTX#2及びRX#2において、信号経路を無線側に切り替える必要がある。以下、その方法について説明する。
【0017】
図3は、光終端装置3の送信部の構成図である。なお、受信部、つまり、光伝送路から光信号を受信して復調する構成については、本実施形態の説明には必要ないため図から省略している。送信データに対応する電気信号は、ベースバンド信号を無線周波数帯に周波数変換したものであり、光変調部32に入力される。障害が発生していない場合、光変調部32は、波長λ0の連続光を電気信号で変調して波長多重部36に出力する。なお、光変調部32が有する光源の波長は、制御部31の制御により調整が可能であり、該光源は、λ0以外に、λ1−1〜λ1−Nの波長の連続光を生成可能である。なお、Nは区間数であり、本例では4である。監視信号生成部33は、それぞれ、異なるN個の波長の光信号である監視信号を生成してサーキュレータ35経由で波長多重部36に出力する。なお、本実施形態では、監視信号は無変調の連続光とするが、なんらかの信号で変調したものであっても良い。以下、監視信号の波長は、λ2−1〜λ2−Nとする。ここで、λ0、λ1−1〜λ1−N及びλ2−1〜λ2−Nの計2N+1個の波長は、それぞれ異なる。
【0018】
後述する様に、本実施形態において、各受信装置2は、所定波長の監視信号を反射する様に構成されている。本実施形態において、RX#k(本例で、k=1〜4)は、波長λ2−kの監視信号を反射する様に構成されているものとする。なお、以下の説明において、RX#kにおいて反射される監視信号を区間#kの監視信号と呼ぶものとする。各受信装置2で反射された監視信号は、波長多重部36及びサーキュレータ35を経由して検出部34に入力され、検出部34は、受信した区間の監視信号、つまり、受信した反射光の波長を制御部31に通知する。
【0019】
ここで、検出部34が区間#1〜4の監視信号の反射光を受光しているのであれば、
図1の各区間には障害が発生していないことになる。一方、本例の通り、区間#2で障害が発生すると、検出部34は、区間#1の監視信号の反射光については受光するが、区間#2〜#4の監視信号の反射光を受光しなくなる。これにより、制御部31は、区間#2での障害発生を認識する。より一般的には、区間#sまでの監視信号の反射光を受光するが、区間#s+1以降の監視信号の反射光を受光しないことは区間#s+1の障害を示している。制御部31は、区間#2での障害発生を認識すると、光変調部32の光源が生成する連続光の波長を、区間#2を救済するTX#2へのトリガとなる波長に変更する。なお、以下の説明では、TX#kへのトリガとなる波長をλ1−kとする。したがって、本例では、制御部31は、光変調部32が出力する変調光の波長をλ1−2に変化させる。これにより、TX#2は、無線伝送路への切り替えに必要な機能ブロックへの電力供給を開始し、TX#2とRX#2は、無線伝送路経由で切り替えのための制御信号を送受して無線伝送路への切り替えを行う。
【0020】
続いて、
図4及び
図5を用いて、本実施形態による送信装置1及び受信装置2について説明する。
図4は、本実施形態による送信装置1の構成図である。光入力ポート101には光ファイバが接続され、1つ上流の受信装置2又は光終端装置3からの光信号が入力される。入力された光信号は、光スプリッタ102で分岐されて検出部105及び選択部103に出力される。選択部103は、通常時、入力される光信号を出力光ポート104に向けて出力する。なお、出力光ポート104には、光ファイバの一端が接続され、この光ファイバの他の一端は対向する受信装置2に接続される。
【0021】
選択部103は、出力光ポート104ではなく、変換部11に向けて入力された光信号を出力することができる。なお、選択部103は、ラッチ型であり光信号の出力先を切り替えるときのみ電力供給を必要とする。無線伝送路への迂回時に、選択部103は、変換部11の光電気変換部109に光信号を出力し、光電気変換部109は光信号を電気変換して、無線周波数帯の電気信号に変換する。無線送信部110は、光電気変換部109からの電気信号を増幅し、アンテナ111から無線信号として出力する。
【0022】
電源部106は、送信装置1の各部の動作電力を供給する。なお、制御部108と、変換部11と、選択部103には、継電部107を経由して電力供給を行う様に構成されている。継電部107は、例えば、リレーであり、オン状態とオフ状態の2つの状態をとり得る。ここで、継電部107がオン状態であると、電源部106は、制御部107、変換部11及び選択部103と接続され、これらに電力供給を行う。一方、継電部107がオフ状態であると、電源部106は、制御部108、変換部11及び選択部103とは切り離され、これらに電力供給を行わない。なお、電源部106と検出部105は直接接続され、検出部105には、常時電力供給が行われる。検出部105は、当該装置に関連付けられたトリガとなる波長、つまり、当該装置がTX#kである場合には、波長λ1−kを通過させ、それ以外の波長の光信号を阻止するフィルタを備え、波長λ1−kの光信号を検出すると継電部107をオフ状態からオン状態に変更する。これにより、制御部108、変換部11及び選択部103に電力が供給される。制御部108は、電力が供給されると、対向する受信装置2の制御部208と無線で通信し、その後、選択部103が変換部11に光信号を出力する様に切り替えを行う。
【0023】
図5は、本実施形態による受信装置2の構成図である。光入力ポート201には光ファイバが接続され対向する送信装置1からの光信号が入力される。入力された光信号は、光スプリッタ217及び202でそれぞれ分岐されて、反射部215、検出部205及び選択部203に出力される。ここで、反射部215は、対応する監視信号、例えば、受信装置2がRX#kである場合には、波長λ2−kの監視信号を光入力ポート201に向けて反射する。既に説明した様に、この反射光は、障害が発生していない場合、終端装置3の検出部34が検出する。選択部203は、通常時、入力される光信号を出力光ポート204に向けて出力する。なお、出力光ポート204には、光ファイバの一端が接続され、この光ファイバの他の一端は、1つ下流の送信装置1又は光終端装置3に接続される。
【0024】
選択部203は、光入力ポート201に入力された光信号ではなく、変換部21が出力する光信号を出力光ポート204に向けて出力することができる。なお、選択部203は、ラッチ型であり、出力光ポート204に出力する光信号を切り替えるときのみ電力供給を必要とする。無線伝送路への迂回時に、対向する送信装置1が送信した無線信号は、アンテナ216により無線周波数帯の電気信号に変換され無線受信部209において増幅される。光変調部210は、連続光を電気信号で変調して波長多重部211に出力する。なお、光変調部210の光源は、光終端装置3の光変調部32の光源と同様に、制御部208の制御により波長λ0とλ1−1〜λ1−Nの連続光を生成することができる。また、変換部21は、光終端装置3と同様に監視信号を生成する監視信号生成部212と、監視信号の反射光を検出する検出部214を備えており、監視信号生成部212は、生成した監視信号をサーキュレータ213経由で波長多重部211に出力し、検出部214は、サーキュレータ213経由で監視信号の反射光を受光し、受光した反射光の波長を制御部208に通知する。したがって、無線伝送路への切り替え時、波長多重部211は、光変調部210が出力する変調光と、監視信号生成部212が生成する監視信号を選択部203に向けて出力し、検出部214は、下流側からの監視信号の反射光を受光する。
【0025】
また、電源部206は、受信装置2の各部の動作電力を供給する。なお、制御部208と、変換部21と、選択部203には、継電部207を経由して電力供給を行う様に構成されている。継電部207は、例えば、リレーであり、オン状態とオフ状態の2つの状態をとり得る。ここで、継電部207がオン状態であると、電源部206は、制御部208、変換部2128及び選択部203と接続され、これらに電力供給を行う。一方、継電部207がオフ状態であると、電源部206は、制御部208、変換部21及び選択部203とは切り離され、これらに電力供給を行わない。なお、電源部206と検出部205は直接接続され、常時電力供給が行われる。検出部205は、入力された光信号のレベルが所定の閾値以上であると継電部207をオフ状態とし、入力された光信号のレベルが所定の閾値を下回ると、継電部207をオン状態にする。したがって、例えば、受信装置2がRX#kであると、区間#kより上流側のいずれかの区間の障害により、制御部208、変換部21及び選択部203には電力が供給される。
【0026】
区間#2と区間#4の同時障害時、RX#2は、区間#2の障害により制御部208、変換部21及び選択部203に電力を供給する。また、区間#2の障害は、上述した様に、終端装置3が検出し、変調光の波長をλ1−2に変更することで、TX#2の制御部108、変換部11及び選択部103に電力が供給される。制御部108は、起動すると、無線により制御信号をRX#2に送信し、制御部208は、TX#2から制御信号を受信すると、TX#2に応答信号を無線で送信する。これにより、TX#2及びRX#2は、それぞれ、無線伝送路への切り替えを行う様に選択部103及び選択部203を制御する。なお、このとき、制御部208は、光変調部210における変調光の波長をλ0とする。
【0027】
区間#2が救済されることでRX#2は、TX#3に向けて光信号を送出する。区間#3は障害ではないため、RX#3の検出部205は光信号を検出し、よって、制御部208等への給電を停止する。しかしながら、区間#4は、障害であるため、RX#4は制御部208等への給電を継続する。本実施形態において各受信装置2は、光終端装置3と同様の方法で障害区間を特定し、特定した区間の送信装置1に、その制御部108等への給電を開始させるトリガを送信する。本例では、区間#4でも障害が発生しているため、RX#2の検出部214は、区間#3の監視信号の反射光は受光するが、区間#4の監視信号の反射光を受光しない。よって、RX#2の制御部208は、光変調部210の変調光の波長をλ1−4にし、これにより区間#4の救済を行わせる。
【0028】
なお、上述した実施形態では、継電部107をオン状態にすると、制御部108、変換部11及び選択部103に電力供給を行っていた。しかしながら、継電部107をオン状態にしたときには、制御部107のみに電力供給を行い、無線伝送路への切り替えが必要な場合に、制御部107が、別の継電部を制御して、変換部11及び選択部103に電力供給を行う構成であっても良い。また、同様に、継電部207をオン状態にしたときには、制御部208のみに電力供給を行い、無線伝送路への切り替えが必要な場合に、制御部208が、別の継電部を制御して、変換部21及び選択部203に電力供給を行う構成であっても良い。
【0029】
さらに、上述した実施形態では、RX#kの光変調部210は、λ0及びλ1−1〜1−Nの波長を出力でき、監視信号生成部212は、区間#1〜#Nの監視信号を出力するものとしていた。しかしながら、RX#kは、より下流の区間の監視と、トリガを送信できればよい。つまり、RX#kの光変調部210は、λ0及びλ1−(k+1)〜λ1−Nの波長を出力できれば良く、監視信号生成部212は、区間#(k+1)〜#Nの監視信号を出力できれば良い。
【0030】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について、第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図6は、本実施形態による終端装置3の構成図である。第一実施形態との相違点は、監視信号生成部33と、検出部34と、サーキュレータ35に代えて、パルス試験部37を設けたことである。パルス試験部37は、所謂、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)であり、パルス信号を送信し、その反射光により光ファイバの破断箇所を、パルス試験部37からの距離で測定して制御部31に通知する。制御部31は、距離と区間の関係を保持しており、パルス試験部37からの情報に基づき障害区間を判定して、光変調部32の波長を制御する。その他の内容については、第一実施形態と同様である。また、本実施形態の送信装置1は、第一実施形態と同じである。
図7に、本実施形態による受信装置2の構成図を示す。第一実施形態との相違点は、終端装置3と同様に、監視信号生成部212と、検出部214と、サーキュレータ213に代えて、パルス試験部218を設けたことである。