特許第6181510号(P6181510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181510
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】純水製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20170807BHJP
   C02F 1/469 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 61/44 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 61/48 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 61/52 20060101ALI20170807BHJP
   C02F 1/20 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 61/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C02F1/44 J
   C02F1/46 103
   B01D61/58
   B01D61/08
   B01D61/44 520
   B01D61/48
   B01D61/52 500
   C02F1/20 A
   B01D61/00
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-220140(P2013-220140)
(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-80765(P2015-80765A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】合庭 健太
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇規
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 俊介
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−259376(JP,A)
【文献】 特開平06−312175(JP,A)
【文献】 特開2012−183485(JP,A)
【文献】 特開2012−192364(JP,A)
【文献】 特開2004−057935(JP,A)
【文献】 特開平08−150326(JP,A)
【文献】 特開2011−251266(JP,A)
【文献】 特開2002−307067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00−71/82
C02F 1/20− 1/26
C02F 1/46− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を順次処理して純水を製造する純水製造装置であって、
第1の逆浸透膜分離装置と第2の逆浸透膜分離装置とを含み、直列に接続された複数の逆浸透膜分離装置と、
前記第1の逆浸透膜分離装置と前記第2の逆浸透膜分離装置との間で、該第1の逆浸透膜分離装置と該第2の逆浸透膜分離装置とに直列に接続された脱炭酸装置と、
被処理水の流れ方向に対して前記複数の逆浸透膜分離装置の下流側に接続された電気式脱イオン水製造装置と、
を有し、
前記電気式脱イオン水製造装置が、陽極と陰極との間に位置し、前記陽極側のアニオン交換膜と前記陰極側のカチオン交換膜とで区画された脱塩室であって、カチオン交換体とアニオン交換体とが充填された脱塩室を有し、
前記脱塩室は、被処理水が順次通過する3つ以上の領域にさらに区画され、
前記3つ以上の領域は、被処理水が異なるイオン交換体を順次通過するように、前記カチオン交換体が単床形態で充填された前記領域と前記アニオン交換体が単床形態で充填された前記領域とが交互に配置されている、純水製造装置。
【請求項2】
前記脱塩室が、前記アニオン交換膜と前記カチオン交換膜との間に配置された中間イオン交換膜によって、直列流路を形成する2つの小脱塩室に区画され、
前記2つの小脱塩室のうち一方の小脱塩室は、被処理水が順次通過する2つの領域にさらに区画され、一方の前記領域には、前記カチオン交換体が単床形態で充填され、他方の前記領域には、前記アニオン交換体が単床形態で充填され、
前記2つの小脱塩室のうち他方の小脱塩室には、前記カチオン交換体または前記アニオン交換体が単床形態で充填されている、請求項1に記載の純水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用水、井水、市水などの原水から純水を製造する方法として、逆浸透(RO)膜分離装置を用いる方法が知られている。この方法では、原水に除濁や脱塩素などの前処理を施した後、その水をRO膜に通すことで、透過水(純水)が得られている。しかしながら、RO膜分離装置だけを用いる方法では、半導体や医薬品などの製造分野で求められるグレードの高い純水を製造することは困難である。そこで、このような製造分野では、RO膜で分離された透過水をさらにイオン交換体に通水することで、脱イオン水(純水)を製造する純水製造装置が用いられている。すなわち、RO膜分離装置と脱イオン水製造装置とを組み合わせた純水製造装置が用いられている。
【0003】
近年、脱イオン水製造装置として、酸やアルカリといった薬剤によるイオン交換体の再生が不要な電気式脱イオン水製造装置が実用化されている。この装置では、イオン交換体のイオン交換基が飽和して脱塩性能が低下したときに、イオン交換基に吸着したカチオンやアニオンを水素イオンや水酸化物イオンで置き換えるために、酸やアルカリといった薬剤を使用する必要がなくなる。そのため、このような電気式脱イオン水製造装置を上述の純水製造装置に用いることで、薬剤の使用量を抑えて、より純度の高い純水を製造することが可能となる。
【0004】
一方で、電気式脱イオン水製造装置には、一般に、シリカや炭酸といった弱酸性成分の除去性能が低いという問題がある。例えば、被処理水中にシリカや炭酸が非常に高い濃度で存在すると、それらが十分に除去されずに処理水(脱イオン水)中にリークしてしまうことがある。そのため、原水の水質によっては、電気式脱イオン水製造装置に対する負荷を低減することが必要になる。そこで、多くの純水製造装置では、電気式脱イオン水製造装置の上流側に、複数のRO膜分離装置を接続するとともに、被処理水を脱炭酸処理する脱炭酸手段を接続した構成が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、脱炭酸手段には、被処理水が酸性でないと炭酸成分を除去しにくいという特性がある。また、脱炭酸手段には、全有機炭素(TOC)を高濃度で含む水を処理する場合にスライムが繁殖しやすいというデメリットもある。このような観点から、複数のRO膜分離装置と脱炭酸手段と電気式脱イオン水製造装置とを組み合わせた純水製造装置では、直列に接続された複数のRO膜分離装置の下流側に脱炭酸手段が接続され、その下流側に電気式脱イオン水製造装置が接続された構成が好適に用いられている。RO膜分離装置により分離された透過水は、主成分として遊離炭酸を含んでいる。そのため、上述の構成によれば、複数のRO膜分離装置を通過することにより酸性に傾いた被処理水を、脱炭酸手段に供給することができる。また、TOCも複数のRO膜分離装置によって十分に除去されるため、脱炭酸手段にスライムが発生するという問題も回避される。さらには、脱炭酸手段の処理水量が少なくて済むため、小型化によるコスト低減も実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−167423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、複数のRO膜分離装置と脱炭酸手段と電気式脱イオン水製造装置とを組み合わせた純水製造装置では、複数のRO膜分離装置と脱炭酸手段と電気式脱イオン水製造装置とがこの順で接続された構成が好適に用いられている。しかしながら、このような構成では、上述したように、脱炭酸手段の特性や問題は考慮されているものの、電気式脱イオン水製造装置の処理性能については全く考慮されていない。そのため、電気式脱イオン水製造装置の処理性能を有効に発揮させることができず、所望の処理水質が得られない場合がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、複数のRO膜分離装置と脱炭酸装置と電気式脱イオン水製造装置とを組み合わせた純水製造装置において、電気式脱イオン水製造装置の処理性能を有効に発揮させる構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の純水製造装置は、被処理水を順次処理して純水を製造する純水製造装置であって、第1の逆浸透膜分離装置と第2の逆浸透膜分離装置とを含み、直列に接続された複数の逆浸透膜分離装置と、第1の逆浸透膜分離装置と第2の逆浸透膜分離装置との間で、第1の逆浸透膜分離装置と第2の逆浸透膜分離装置とに直列に接続された脱炭酸装置と、被処理水の流れ方向に対して複数の逆浸透膜分離装置の下流側に接続された電気式脱イオン水製造装置と、を有し、電気式脱イオン水製造装置が、陽極と陰極との間に位置し、陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜とで区画された脱塩室であって、カチオン交換体とアニオン交換体とが充填された脱塩室を有し、脱塩室は、被処理水が順次通過する3つ以上の領域にさらに区画され、3つ以上の領域は、被処理水が異なるイオン交換体を順次通過するように、カチオン交換体が単床形態で充填された領域とアニオン交換体が単床形態で充填された領域とが交互に配置されている
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明によれば、複数のRO膜分離装置と脱炭酸装置と電気式脱イオン水製造装置とを組み合わせた純水製造装置において、電気式脱イオン水製造装置の処理性能を有効に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態による純水製造装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態の電気式脱イオン水製造装置の構成を示す概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態による電気式脱イオン水製造装置の構成を示す概略図である。
図4】本発明の第3の実施形態による電気式脱イオン水製造装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態による純水製造装置の構成について説明する。図1は、本実施形態の純水製造装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
純水製造装置1は、2つの逆浸透(RO)膜分離装置2,4と、脱炭酸装置3と、電気式脱イオン水製造装置10と、を有している。本実施形態では、第1のRO膜分離装置2と、脱炭酸装置3と、第2のRO膜分離装置4と、電気式脱イオン水製造装置10とが、被処理水の流れ方向にこの順で配置されている。すなわち、純水製造装置1は、第1のRO膜分離装置2と、第1のRO膜分離装置2の下流側に接続された脱炭酸装置3と、脱炭酸装置3の下流側に接続された第2のRO膜分離装置4と、第2のRO膜分離装置4の下流側に接続された電気式脱イオン水製造装置10と、を有している。さらに、純水製造装置1は、第1のRO膜分離装置2の上流側に接続され、除濁や脱塩素などを行う前処理装置(図示せず)を有している。
【0015】
第1のRO膜分離装置2には、被処理水として、原水を前処理装置により前処理したものが流入するようになっている。第1のRO膜分離装置2は、その被処理水を、不純物を含む濃縮水と、不純物が除去された透過水とに分離するRO膜を有している。
【0016】
脱炭酸装置3には、被処理水として、第1のRO膜分離装置2で分離された透過水が流入するようになっている。脱炭酸装置3は、その被処理水を脱炭酸処理して、被処理水に含まれる炭酸ガスを除去する機能を有している。このような脱炭酸装置3としては、膜脱気装置、脱炭酸塔等が挙げられ、膜脱気装置が好適に用いられる。
【0017】
第2のRO膜分離装置4には、被処理水として、脱炭酸装置3により脱炭酸処理された水が流入するようになっている。第2のRO膜分離装置4は、その被処理水を、不純物を含む濃縮水と、不純物が除去された透過水とに分離するRO膜を有している。
【0018】
電気式脱イオン水製造装置10には、被処理水として、第2のRO膜分離装置4で分離された透過水が流入するようになっている。電気式脱イオン水製造装置10は、電気泳動と電気透析とを組み合わせた装置であり、イオン交換体による被処理水の脱イオン化(脱塩)処理と、イオン交換体の再生処理とを同時に行う装置である。
【0019】
ここで、本実施形態の電気式脱イオン水製造装置の構成について説明する。図2は、本実施形態の電気式脱イオン水製造装置の構成を示す概略図である。
【0020】
電気式脱イオン水製造装置10は、陽極11を備えた陽極室E1と、陰極12を備えた陰極室E2と、陽極室E1と陰極室E2との間に設けられた脱塩室Dと、脱塩室Dの両側に位置する一対の濃縮室C1,C2であって、脱塩室Dの陽極11側で、アニオン交換膜a1を介して脱塩室Dと隣接する陽極側濃縮室C1と、脱塩室Dの陰極12側で、カチオン交換膜c1を介して脱塩室Dと隣接する陰極側濃縮室C2とを含む一対の濃縮室C1,C2と、を有している。陽極側濃縮室C1は、カチオン交換膜c2を介して陽極室E1と隣接し、陰極側濃縮室C2は、アニオン交換膜a2を介して陰極室E2と隣接している。
【0021】
脱塩室Dには、カチオン交換体とアニオン交換体との混合物が充填されている。すなわち、カチオン交換体とアニオン交換体とがいわゆる混床形態で充填されている。カチオン交換体としては、カチオン交換樹脂、カチオン交換繊維、モノリス状多孔質カチオン交換体等が挙げられ、最も汎用的なカチオン交換樹脂が好適に用いられる。カチオン交換体の種類としては、弱酸性カチオン交換体、強酸性カチオン交換体等が挙げられる。アニオン交換体としては、アニオン交換樹脂、アニオン交換繊維、モノリス状多孔質アニオン交換体等が挙げられ、最も汎用的なアニオン交換樹脂が好適に用いられる。脱塩室Dには、第2のRO膜分離装置4からの流路が接続され、第2のRO膜分離装置4で分離された透過水が流入するようになっている。
【0022】
陽極側濃縮室C1および陰極側濃縮室C2は、脱塩室Dから排出されるアニオン成分およびカチオン成分をそれぞれ取り込み、それらを系外に放出するために設けられている。本実施形態では、濃縮水として、各濃縮室C1,C2に上記透過水の一部が流入するようになっている。濃縮水としては、これに限定されず、別の供給ラインによって供給することもできる。電気式脱イオン水製造装置1の電気抵抗を抑えるために、各濃縮室C1,C2にはイオン交換体が充填されていてもよい。
【0023】
陽極室E1には、金属の網状体あるいは板状体からなる陽極11が収容されている。陰極室E2には、金属の網状体あるいは板状体からなる陰極12が収容されている。陽極室E1および陰極室E2には、電極水として、上記透過水の一部が流入するようになっている。電気式脱イオン水製造装置1の電気抵抗を抑えるために、陽極室E1および陰極室E2にはイオン交換体が充填されていることが好ましい。
【0024】
次に、引き続き図2を参照して、本実施形態の電気式脱イオン水製造装置の動作について簡潔に説明する。
【0025】
あらかじめ、第2のRO膜分離装置4からの透過水の一部を、濃縮水として、陽極側濃縮室C1および陰極側濃縮室C2に供給しておく。同様に、上記透過水の一部を、電極水として、陽極室E1および陰極室E2に供給しておく。陽極11、陰極12間には所定の電圧を印加しておく。
【0026】
この状態で、被処理水として、第2のRO膜分離装置4からの透過水を脱塩室Dに流入させる。被処理水中のカチオン成分およびアニオン成分は、被処理水が脱塩室Dを通過する際に、脱塩室Dに充填されたカチオン交換体およびアニオン交換体にそれぞれ吸着されて除去される。こうして、カチオン成分およびアニオン成分が除去された被処理水は、処理水(純水)として、電気式脱イオン水製造装置1の外へと排出される。
【0027】
一方で、脱塩室Dでは、水が水素イオン(H)と水酸化物イオン(OH)とに解離する水解離反応が、連続的に進行している。Hはカチオン交換体に吸着したカチオン成分と交換され、OHはアニオン交換体に吸着したアニオン成分と交換される。こうして、脱塩室Dに充填されたカチオン交換体およびアニオン交換体がそれぞれ再生される。
【0028】
脱塩室Dのカチオン交換体から遊離したカチオン成分は、陽極11、陰極12間の電位差によって、陰極12側に引き寄せられ、カチオン交換膜c1を通過して陰極側濃縮室C2に移動する。陰極側濃縮室C2に移動したカチオン成分は、陰極側濃縮室C2に供給される透過水(濃縮水)に取り込まれ、濃縮水と共に電気式脱イオン水製造装置1の外へと排出される。脱塩室Dのアニオン交換体から遊離したアニオン成分は、陽極11、陰極12間の電位差によって、陽極側11に引き寄せられ、アニオン交換膜a1を通過して陽極側濃縮室C1に移動する。陽極側濃縮室C1に移動したアニオン成分は、陽極側濃縮室C1に供給される透過水(濃縮水)に取り込まれ、濃縮水と共に電気式脱イオン水製造装置1の外へと排出される。
【0029】
上述したように、本実施形態の純水製造装置1では、第1のRO膜分離装置2と脱炭酸装置3と第2のRO膜分離装置4とがこの順で直列に接続され、その下流側に電気式脱イオン水製造装置10が接続されている。各装置がこのように配置されていることで、後述する実施例で示すように、電気式脱イオン水製造装置の処理性能を有効に発揮させることができる。
【0030】
なお、上述した実施形態では、電気式脱イオン水製造装置の上流側には、2つのRO膜分離装置が設けられていたが、例えば、被処理水に含まれる不純物の量や種類に応じて、3つ以上のRO膜分離装置が設けられていてもよい。その場合にも、3つ以上のRO膜分離装置は、直列に接続され、脱炭酸装置は、3つ以上のRO膜分離装置のうち2つのRO膜分離装置の間で、それらに直列に接続されていることが好ましい。また、脱炭酸装置は、処理水量を少なくするという観点から、最も下流側のRO膜分離装置と次に下流側のRO膜分離装置との間に配置されていることがより好ましい。
【0031】
また、上述した実施形態では、電気式脱イオン水製造装置には、脱塩室が1つだけ設けられていたが、脱塩室は2つ以上設けられていてもよい。この場合、脱塩室と濃縮室とは、カチオン交換膜またはアニオン交換膜を介して交互に設けられ、最も陽極側に位置する濃縮室が陽極室と隣接し、最も陰極側に位置する濃縮室が陰極室と隣接することになる。一方で、陽極室に隣接する濃縮室を省略して、陽極室と脱塩室とを隣接させたり、陰極室に隣接する濃縮室を省略して、陰極室と脱塩室とを隣接させたりすることもできる。この場合、陽極室および陰極室が濃縮室を兼ねることになり、すなわち、陽極室または陰極室に隣接する脱塩室で除去された被処理水中のイオン成分が、陽極室または陰極室に移動して、電極水と共に外部に排出されるようになる。このような構成は、脱塩室の数にかかわらず適用可能であり、脱塩室が1つだけ設けられている図2に示す構成にも適用可能である。いずれの場合であっても、各脱塩室は、陽極と陰極との間に位置し、陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜とで区画されている。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による純水製造装置の構成について説明する。図3は、本実施形態の電気式脱イオン水製造装置の構成を概略的に示す図である。
【0033】
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、電気式脱イオン水製造装置における脱塩室の構成を変更した変形例である。したがって、本実施形態の純水製造装置は、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室の構成以外、第1の実施形態と同様の構成を有している。以下、第1の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付して説明は省略し、第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0034】
本実施形態では、脱塩室Dに、カチオン交換体CEとアニオン交換体AEとが複床形態で充填されている。具体的には、脱塩室Dは、被処理水の流れ方向に沿って3つの領域に区画され、下流側および上流側の領域に、アニオン交換体AEが単床形態で充填され、中間の領域に、カチオン交換体CEが単床形態で充填されている。したがって、脱塩室Dに流入する被処理水は、アニオン交換体AEとカチオン交換体CEとアニオン交換体AEとをこの順で通過するようになっている。
【0035】
ところで、本実施形態のように、脱塩室内で、異符号のイオン交換体が被処理水の流れ方向に沿って積層されている場合、各層の電気抵抗に差が生じ、各層を流れる電流の量に無視し得ない偏りが生じることがある。このような偏流の発生は、充填形態が異なるイオン交換体が被処理水の流れ方向に沿って積層されている場合にも起こり得るが、一般的には、脱塩室によるイオン成分の除去性能を低下させることにつながる。しかしながら、本実施形態では、脱塩室D内でこのような偏流を発生させることで、後述する実施例で示すように、第1の実施形態に比べて、電気式脱イオン水製造装置10の処理性能をより向上させることができる。
【0036】
なお、脱塩室内でのイオン交換体の積層数や積層順、各領域に充填されるイオン交換体の充填形態は、図示した例に限定されるものではなく、使用する目的や用途、要求性能に応じて、適宜変更可能である。すなわち、脱塩室は、被処理水の流れ方向に沿って複数の領域に区画されていればよく、脱塩室に流入する被処理水が異なるイオン交換体を順次通過するように、各領域にはカチオン交換体とアニオン交換体との少なくとも一方が充填されていればよい。したがって、図示した例では、脱塩室Dは被処理水の流れ方向に沿って3つの領域に区画されているが、2つの領域に区画されていてもよく、その場合、上流側の領域にアニオン交換体が単床形態で充填され、下流側の領域にカチオン交換体とアニオン交換体とが混床形態で充填されていてもよい。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による純水製造装置の構成について説明する。図4は、本実施形態の電気式脱イオン水製造装置の構成を概略的に示す図である。
【0038】
本実施形態は、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の変形例であって、電気式脱イオン水製造装置における脱塩室の構成を変更した変形例である。したがって、本実施形態の純水製造装置は、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室の構成以外、第1の実施形態(および第2の実施形態)と同様の構成を有している。以下、第1の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付して説明は省略し、第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。
【0039】
本実施形態では、脱塩室Dが、カチオン交換膜c1と隣接する第1の小脱塩室D1と、アニオン交換膜a1と隣接する第2の小脱塩室D2と、を有している。第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2とは、中間イオン交換膜mを介して互いに隣接し、直列流路を形成している。
【0040】
第1の小脱塩室D1には、アニオン交換体AEが単床形態で充填されている。第2の小脱塩室D2には、カチオン交換体CEとアニオン交換体AEとが複床形態で充填されている。具体的には、第2の小脱塩室D2は、被処理水の流れ方向に沿って2つの領域に区画され、上流側の領域に、カチオン交換体CEが単床形態で充填され、下流側の領域に、アニオン交換体AEが単床形態で充填されている。したがって、本実施形態では、脱塩室Dに流入する被処理水は、アニオン交換体AEとカチオン交換体CEとアニオン交換体AEとをこの順で通過するようになっている。
【0041】
中間イオン交換膜mは、被処理水の水質、脱イオン水に求められる水質、第1の小脱塩室D1または第2の小脱塩室D2に充填するイオン交換体の種類等を勘案して選択することができる。中間イオン交換膜mは、アニオン交換膜またはカチオン交換膜の単一膜であってよく、または、アニオン交換膜とカチオン交換膜の両方を備えた複合膜であってもよい。
【0042】
本実施形態では、脱塩室Dを第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2とに区画した上で、第2の小脱塩室D2内で上述の偏流を発生させている。このような構成により、後述する実施例で示すように、第2の実施形態に比べて、さらに電気式脱イオン水製造装置10の処理性能を向上させることができる。
【0043】
なお、本実施形態のように、脱塩室が2つの小脱塩室に区画されている場合、各小脱塩室に充填されるイオン交換体の充填形態は、図示した例に限定されるものではなく、使用する目的や用途、要求性能に応じて、適宜変更可能である。すなわち、脱塩室に流入する被処理水が異なるイオン交換体を順次通過するように、第1の小脱塩室には少なくともアニオン交換体が充填され、第2の小脱塩室には少なくともカチオン交換体が充填されていればよい。したがって、図示した例では、第2の小脱塩室D2には、カチオン交換体CEとアニオン交換体AEとが複床形態で充填されているが、混床形態で充填されていてもよい。
【0044】
また、図示した例では、第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2とは、被処理水が第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2とをこの順で通過するように接続されているが、通水順はこの逆であってもよい。したがって、その場合、第1の小脱塩室には、カチオン交換体とアニオン交換体とが複床形態または混床形態で充填され、第2の小脱塩室には、カチオン交換体が単床形態で充填されていてもよい。
【0045】
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0046】
(実施例1)
本実施例では、第1の実施形態による純水製造装置を用いて、1000時間の運転を行い、処理水質(処理水比抵抗)を測定した。純水製造装置に供給した被処理水の水質は、導電率が150〜200μS/cmであり、遊離炭酸濃度(CO含有量)が10〜20mg/Lである。
【0047】
第1のRO膜分離装置および第2のRO膜分離装置では共に、日東電工株式会社製のRO膜(品番:ES−20)を使用し、第1のRO膜分離装置の回収率(透過水の流量と濃縮排水の流量との和に対する透過水の流量の割合)を70%とし、第2のRO膜分離装置の回収率を90%とした。
【0048】
脱炭酸装置として膜脱気装置を用い、脱気膜としては、ポリポア株式会社製の「リキセル(登録商標)X50」を使用し、スウィープガスとしては、高純度空気を使用した。
【0049】
電気式脱イオン水製造装置として、脱塩室が3室設けられた電気式脱イオン水製造装置を用いた。各脱塩室内のカチオン交換体とアニオン交換体との混合比は、1:1である。
【0050】
(実施例2)
本実施例では、第2の実施形態による純水製造装置を用いて、実施例1と同様の条件で測定を行った。すなわち、本実施例の純水製造装置は、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室の構成以外、実施例1の純水製造装置と同様である。なお、本実施例においても、電気式脱イオン水製造装置としては、脱塩室が3室設けられた電気式脱イオン水製造装置を用いた。各脱塩室内のカチオン交換体とアニオン交換体とカチオン交換体との積層比(体積比)は、1:1:1である。
【0051】
(実施例3)
本実施例では、第3の実施形態による純水製造装置を用いて、実施例1と同様の条件で測定を行った。すなわち、本実施例の純水製造装置は、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室の構成以外、実施例1,2の純水製造装置と同様である。なお、本実施例においても、電気式脱イオン水製造装置としては、脱塩室が3室設けられた電気式脱イオン水製造装置を用いた。
【0052】
(比較例1)
本比較例では、被処理水の通過順を変更した以外、実施例1と同様の条件で測定を行った。具体的には、本比較例の純水製造装置は、被処理水が、第1のRO膜分離装置と第2のRO膜分離装置と脱炭酸装置とをこの順で通過した後で、電気式脱イオン水製造装置に流入するようになっている点で、実施例1の純水製造装置と異なっている。
【0053】
(比較例2)
本比較例では、被処理水の通過順を比較例1と同様に変更した以外、実施例2と同様の条件で測定を行った。
【0054】
(比較例3)
本比較例では、被処理水の通過順を比較例1と同様に変更した以外、実施例3と同様の条件で測定を行った。
【0055】
(比較例4)
本比較例では、電気式脱イオン水製造装置をイオン交換装置で置き換えた以外、実施例1と同様の条件で測定を行った。イオン交換装置の充填材としては、カチオン交換体とアニオン交換体とを混床形態の充填したものを用いた。
【0056】
(比較例5)
本比較例では、被処理水の通過順を変更した以外、比較例4と同様の条件で測定を行った。具体的には、本比較例の純水製造装置は、被処理水が、第1のRO膜分離装置と第2のRO膜分離装置と脱炭酸装置とをこの順で通過した後で、イオン交換装置に流入するようになっている点で、比較例4の純水製造装置と異なっている。
【0057】
表1に、実施例1〜3および比較例1〜5における測定結果を示す。なお、表1における比抵抗上昇率は、実施例1〜3および比較例4の処理水比抵抗の、それぞれ対応する比較例1〜3,5の処理水比抵抗に対する増加分を百分率で表したものである。
【0058】
【表1】
【0059】
実施例1〜3では、それぞれ対応する比較例1〜3と比べて、良好な処理水質が得られていることが確認された。これは、電気式脱イオン水製造装置に供給される被処理水が、比較例1〜3では、第1のRO膜分離装置と第2のRO膜分離装置と脱炭酸装置とをこの順で通過するのに対し、実施例1〜3では、第1のRO膜分離装置と脱炭酸装置と第2のRO膜分離装置とをこの順で通過することによる効果であると考えられる。このような効果は、比較例4と比較例5とでは処理水質にほとんど変化が見られなかったことから、電気式脱イオン水製造装置の場合に特有の効果であると考えられる。
【0060】
また、実施例2および実施例3では、実施例1と比べて、比抵抗上昇率に関して良好な結果が得られている。これは、脱塩室に流入した被処理水がカチオン交換体とアニオン交換体とを交互に通過すること、すなわち、脱塩室内で偏流が発生していることによる効果であると考えられる。一方、実施例2と実施例3とを比較すると、実施例3でより良好な結果が得られているが、これは、実施例3では、上述の偏流が発生していることに加えて、脱塩室が2つの小脱塩室に区画されているためであると考えられる。
【符号の説明】
【0061】
1 純水製造装置
2 第1のRO膜分離装置
3 脱炭酸装置
4 第2のRO膜分離装置
10 電気式脱イオン水製造装置
11 陽極
12 陰極
D 脱塩室
D1 第1の小脱塩室
D2 第2の小脱塩室
C1 陽極側濃縮室
C2 陰極側濃縮室
E1 陽極室
E2 陰極室
a1,a2 アニオン交換膜
c1,c2 カチオン交換膜
m 中間イオン交換膜
図1
図2
図3
図4