(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医療物品用のストッパーであって、前記ストッパーは医療物品のチャンバの内部表面と摺動係合するための外部表面を有し、前記チャンバの前記内部表面と密封的に係合するようになされたストッパーにおいて、前記ストッパーの前記外部表面が、熱分解−CVDで誘起されまたは高められる反応性部分の堆積および重合によって作成されたものである被覆を前記外部表面上に有し、前記反応性部分は、少なくとも1つのモノマーガスの熱分解−CVDによって生じたものであり、前記少なくとも1つのモノマーガスは、有機珪素化合物モノマー、ハロカーボンモノマー、アジリンモノマー、チイランモノマー、不飽和オレフィンモノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含むことを特徴とするストッパー。
前記被覆はヘキサフルオロプロピレン酸化物、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロシクロプロパン、オクタフルオロシクロブタン、パーフルオロオクタンスルホニルフッ化物、オクタフルオロプロパン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、ジフルオロジクロロメタン、ジフルオロジブロモメタン、ジフルオロブロモメタン、ジフルオロクロロメタン、トリフルオロクロロメタン、テトラフルオロシクロプロパン、テトラクロロジフルオロシクロプロパン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロシクロプロパンおよびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つのハロカーボンモノマーのホットフィラメント化学的気相堆積(CVD)によって作成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のストッパー。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2008年9月22日に出願した米国特許仮出願第61/192,782号の利益を主張するものである。
【0003】
伝統的に、化学的に敏感な物質用の容器は、ガラスなどの無機材料から作られて来ている。ガラス容器は、大気ガスを実質的に通さず、したがって製品に永い保存寿命を与える利点をもたらす。しかし、ガラス容器は壊れやすく、製造するのに高価である場合がある。
【0004】
最近になって、ポリマー材料から作られるより軽く、より安価な容器が、伝統的なガラス容器が使用されていた用途に使用されている。これらのポリマーの容器(以下、ポリマー容器)はガラス容器より破損し難く、製造するのにより安価で、輸送するのにより軽く、より安価である。しかし、ポリマー容器は、ガスに対して透過性である場合があり、大気ガスはポリマー容器を通過して包装された製品に入ることができ、包装された製品内のガスもポリマー容器を通り逃げることができ、これらの両方は、包装された製品の品質および保存寿命を低下させるので望ましくない。
【0005】
ポリマー容器のガス透過性を減少させる1つの手法は、少なくとも1つの他のポリマーの層の他に少なくとも1つの低ガス透過性のポリマーの層を含む、多層化されるポリマー容器を形成することである。しかし、そのような手法は比較的複雑であり高価である。
【0006】
容器がガラスまたはポリマー材料のいずれから形成されても、容器の内部表面と生物学的材料および/または薬など、容器の内容物との反応性は問題がある場合がある。ガラスもしくはポリマー材料の微量成分は、容器の内容物内に移動する可能性があり、かつ/または容器の内容物の成分が移動し、もしくは容器の内部表面と反応する可能性がある。
【0007】
容器の成分および/または内容物の移動を減少させるために、そしてポリマー容器のガス透過性を減らすために、防護被覆、すなわち、ポリマー容器を通るガス状または揮発性の材料の透過に対する相当な抵抗力、または容器の内部表面と容器の内容物の間の移動に対する抵抗力を有する被覆を容器の内部の上に堆積させることができる。しかし、特に小さな容積の容器や複雑な内部設計の容器、例えば注射器の筒の内側に均一な防護被覆を得ることは困難な場合がある。
【0008】
さらに、注射器の筒などの機器は、1つの面が別の面上を摺動する際、ゆっくりで制御された、摺動の開始と維持が必要となる。摺動関係を有する2つの静止する面が、面のうちの1つに加えられる、次第に増加する力が閾値に達するまで移動を生じさせず、その点で面の突然の摺動または剪断分離が起きる、移動の開始に対する十分な抵抗力をしばしば示すことが良く知られている。静止する面の摺動関係におけるこのような突然の分離は、本明細書では「ブレークアウト(breakout)」または「ブレークルーズ(breakloose)」と呼ぶ。
【0009】
「ブレークアウト力」は、その前に摺動関係で移動していたが、短時間の間(例えば、数ミリ秒から数時間まで)静止していた(「止まっていた(parked)」または移動しなかった)注射器アセンブリの面間の静止摩擦に打ち勝つために必要な力を意味する。それほど良く知られていないが重要な摩擦力は「ブレークルーズ力」であり、この力は、それは以前に摺動関係で移動していなかった、またはより長時間の間静止していた、しばしば経年、殺菌、温度循環または他の処理に起因する表面の化学的もしくは材料的接合もしくは変形を伴う、注射器アセンブリの面間の静止摩擦に打ち勝つために必要な力を意味する。
【0010】
ブレークアウト力およびブレークルーズ力は、1つの面が他の面に対して、線から線へ、滑らかに漸増する前進を行うことによって、少量の、正確に測定された量の液体を供給するのに用いられる、注射器などの液体計量分配機器において特に厄介なものとなる。この問題は、流れの注意深い滴下制御が求められる、ビュレット、ピペット、添加漏斗等などの栓を使用する機器でも生じることである。
【0011】
過度のブレークアウト力およびブレークルーズ力の問題は摩擦に関連するものである。摩擦は一般に、1つの物質の表面が、それ自身のまたは別の物質の隣接する表面上を摺動する、または摺動しようとするとき生じる抵抗力として定義される。接触している固体の表面間には、2つの種類の摩擦、すなわち、(1)1つの表面を別の表面上で移動開始させるために要する力に対抗する、従来から静止摩擦として知られている抵抗力と、(2)1つの表面を別の表面上を可変の、固定の、または所定の速度で移動させるのに要する力に対抗する、従来から動摩擦として知られる抵抗力とが存在し得る。
【0012】
静止摩擦に打ち勝ち、ブレークアウトまたはブレークルーズを誘起させるのに要する力を、それぞれ「ブレークアウト力」または「ブレークルーズ力」と呼び、ブレークアウトまたはブレークルーズの後、1つの面が他の面上で安定して摺動することを維持するために要する力を「保持力」と呼ぶ。2つの主要因、すなわち付着(sticktion)と慣性が静止摩擦に、したがってブレークアウト力またはブレークルーズ力に寄与する。本明細書に使用されるとき、用語「付着する(stick)」または「付着(sticktion)」は、互いに対するある程度の付着力を発現させるための、静止接触する2つの面の傾向を意味する。用語「慣性(inertia)」は、質量を動かすために打ち勝たなければならない、動きづらさとして従来から定義されているものである。本発明の文脈では、慣性は接着を伴わないブレークアウト力またはブレークルーズ力のその構成要素を意味すると理解される。
【0013】
ブレークアウト力またはブレークルーズ力、特に付着の程度は、表面の組成により変わる。一般に、弾力性を有する材料は、非弾力性材料より大きな付着を示す。表面が互いに静止接触していた時間の長さも、ブレークアウト力および/またはブレークルーズ力に影響する。注射器技術では、用語「パーキング(parking)」は、貯蔵時間、在庫時間、または充填と排出の間の間隔を意味する。パーキング時間は一般に、パーキング中注射器が冷蔵または加熱されていた場合は特に、ブレークアウト力またはブレークルーズ力を増加させる。
【0014】
ブレークアウトまたはブレークルーズに打ち勝つための従来の手法は、面の界面に対する潤滑剤の塗布である。使用される一般的な潤滑剤は、鉱物油、ピーナッツ油、植物油等の炭化水素油である。そのような製品は、薬剤を計量分配するのに通常使用される溶媒などの、様々な流体に対して溶解性である欠点を有する。その上これらの潤滑剤は、空気酸化され、結果として粘度変化を生じたり好ましくない色が現われたりする。さらに、それら潤滑剤は、特に、面から面の界面に移動し易い。そのような潤滑剤の移動は一般に、パーキングの時間に伴うブレークアウト力またはブレークルーズ力の増加の原因であると考えられている。
【0015】
一般的にシリコンオイルが潤滑剤として使用され、酸化されない利点を有するが、移動および付着は生じ、高いブレークアウト力および/またはブレークルーズ力が問題となることがある。ポリテトラフルオロエチレン表面は、ブレークアウト力および/またはブレークルーズ力のいくらかの低下をもたらすが、この材料は非常に高価であり、この手法は全体として効果的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,525,144号明細書
【特許文献2】米国特許第6,511,756号明細書
【特許文献3】米国特許第5,599,882号明細書
【特許文献4】米国特許第5,034,482号明細書
【特許文献5】米国特許第7,037,993号明細書
【特許文献6】米国特許第6,995,226号明細書
【特許文献7】米国特許第6,908,970号明細書
【特許文献8】米国特許第6,653,424号明細書
【特許文献9】米国特許第6,486,264号明細書
【特許文献10】米国特許第7,026,401号明細書
【特許文献11】米国特許第6,951,898号明細書
【特許文献12】米国特許第6,063,886号明細書
【特許文献13】米国特許第5,866,662号明細書
【特許文献14】米国特許第5,856,414号明細書
【特許文献15】米国特許第5,623,039号明細書
【特許文献16】米国特許第5,610,253号明細書
【特許文献17】米国特許第5,854,349号明細書
【特許文献18】米国特許第5,650,471号明細書
【特許文献19】米国特許第4,959,402号明細書
【特許文献20】米国特許第4,994,552号明細書
【特許文献21】米国特許第6,153,269号明細書
【特許文献22】米国特許第6,156,435号明細書
【特許文献23】米国特許第6,887,578号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】"Polycyclic olefins", Process Economics Program (July 1998) SRI Consulting
【非特許文献2】Pryce Lewis,H.G.; Caulfield,J.A.; Gleason,K.K.; Langmuir 2001, 17, 7652
【非特許文献3】Limb,S.J., Lau,K.K.S., Edell, D.J., Gleason, E.F., Gleason, K.K. Plasmas and Polymers 1999, 4, 21
【発明を実施するための形態】
【0021】
動作例、またはそうではないと示されるところ以外は、明細書および特許請求の範囲内に使用される成分、反応条件等々の量を表現する全ての数字は、全ての場合に用語「約(about)」によって改変されるとして理解すべきである。したがって、逆であると示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値的パラメータは、本発明によって得ようと追求される所望の特性に応じて変更できる近似値である。最低限でも、かつ特許請求の範囲に対する均等物の原則の適用を限定するための試みとしてではなく、各数値的パラメータは、述べられる有効数字の数に照らして、かつ通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈すべきである。
【0022】
本発明の広い範囲を記載する数値的範囲およびパラメータが近似値であるにも関わらず、特定の例に記載される数値的値は可能な限り正確に述べられる。しかし、どのような数値的値も、結果としてそれらのそれぞれの試験測定値にある標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を生来的に含む。さらに、本明細書に変化する範囲の数値的範囲が記載されるとき、挙げられる値を含むこれらの値の任意の組み合わせを使用できることが企図されている。
【0023】
さらに、本明細書に挙げられる任意の数値的範囲は、その中に包含される全てのサブ範囲を含むことが意図されていることを理解すべきである。例えば、「1から10」の範囲は、挙げられる最小値の1を含む最小値1と挙げられる最大値10を含む最大値10との間の全てのサブ範囲を含む、すなわち、1と等しいまたは1より大きな最小値と10と等しいまたは10より小さな最大値を有することが意図されている。
本発明の注目すべき特徴は、容器がそれ自体の個々の真空チャンバとして役割を果たし、光分解CVDおよび/または熱分解CVDで誘起されるまたは高められる反応が結果として容器の内壁面の改変、または内壁面上の堆積を伴って起きることである。本発明のシステム、装置および方法は、真空チャンバを必要としない。ほとんどの堆積法で使用されるものなどの真空チャンバは、かなりの処理スペースと制御を必要とする。
【0024】
本発明は、大量の容器のバッチ処理の通常の方法とは対照的に、個々の容器にインライン処理を可能にすることによって、製造の効率を増加させる。大きなバッチ処理真空チャンバは、増加したチャンバ体積とチャンバを脱ガスすることの両方に起因して、より長いポンプダウン時間を必要とする。したがって本発明では、バッチ処理チャンバ内への容器の装着およびバッチ処理チャンバからの容器の取り外しがなくなる。
【0025】
本発明の他の有用な特徴は、容器の内壁面上の防護フィルム被覆が、物理的損傷から実質的に保護されることである。通常の場合である、防護フィルム被覆が容器の外側にあるとき、それは製造中、出荷中の、または最終ユーザーによる取り扱いに起因して、磨耗損傷を被り易い。したがって、容器の内壁面上の防護フィルム被覆は、防護フィルム被覆に対する損傷が顕著に減少するため容器の保存寿命の有効性を改善する。
【0026】
本発明の別の利点は、内壁面上の防護フィルム被覆が、容器の外側壁上の防護フィルム被覆より相当により高い品質のものであることである。これは、容器の内壁面が、製造中容器の外側に存在するような、油、グリースおよび埃などの接触汚染にあまり曝されそうにないことに起因している。容器の壁の上のそのような汚染物は、被覆の非均一性、欠陥および接着不良を生じさせる場合がある。容器の内側に対しては、被覆すべき各容器が新たな処理「チャンバ」なので、蓄積した被覆または微粒子の清掃は全く必要ない。
【0027】
本発明の別の利点は、防護フィルム被覆の均一性を実質的に確実にするために、容器の内側でエネルギを付与するための手段を、容器の内側で様々な場所および位置に変更させ、移動させ、かつ/または回転させることができることである。したがって、容器の外側壁上のプラズマ処理で問題であるような、プラズマ処理中の「シャドーイング(shadowing)」は問題にならない。
【0028】
処理が容器の外側壁上に行われるバッチシステムの他の欠点は、電極上への容器の「嵌合(fit)」および「そり(bow)」などの容器寸法の変動を含む。これらの問題点は、本発明では問題にならない。さらに、大きなバッチ処理ユニットの故障は、結果として生産力の大きな損失となるであろうが、インラインユニットの故障は、(各ラインはより安いので)多くのラインが使用可能な場合は、能力の小さな損失にしかならないであろう。インライン処理の単純性に起因して、耐久性および修理可能性が代替のバッチ処理より優れて改善される。本発明による容器は、ラインに沿って移動を全く停止せずにインライン処理することができると考えられる。
【0029】
本発明のさらなる利点は、容器の内側にエネルギを付与するための手段が容器の中にあるので、そのような装置は容易に、安価に変更できることである。これによって、反応ガスを変更するのと平行して、ガス入口ダクト寸法など装置を容易に変更することによって、生産ラインを特定の要件に対して調整することが可能になる。これによって、生産ラインの小さな変更のみで単一のラインが異なる容器の形態を処理することが可能になる。
【0030】
内壁面上を防護フィルム被覆で被覆されるプラスチックチューブは、チューブの外側壁面上に防護フィルム被覆を有する、ポリマー組成およびそれらの混合物から構成されるプラスチックチューブより、相当により良好な真空保持力、汲み出し容積および熱機械的な健全性保持力を維持することができる。その上、衝撃に対するチューブの抵抗力はガラスの抵抗力より相当にずっと良好である。最も注目すべきことは、注射器のための出荷中および取り扱い中、チューブを試験するための遠心分離機などの自動化された機械内での使用中、および/または殺菌工程での一定のレベルの照射への暴露中などでの、防護フィルム被覆の透明性、ならびに衝撃および磨耗に対する抵抗力に実質的に耐えるその耐久性である。
【0031】
次に、全体を通して同様な数字が同様な要素を示す
図1を参照すると、いくつかの非限定の実施形態では、本発明は、容器の内壁面の少なくとも一部分を被覆するための、全体的に10として示されるシステムを提供する。このシステム10は、少なくとも1つの容器12と、容器の内壁面の少なくとも一部分を被覆するための装置14とを備える。この容器12は、開端部16と、開端部16に対向する他の端部18と、それらの間を延びる壁20とを備え、この壁20は、外壁面22および内壁面24を有する。この容器12は、容器12の開端部16と他の端部18との間で、内壁面24によって画成される領域内にチャンバ26を有する。
【0032】
この容器12は任意の形状であることができ、例えば全体的に円筒状、チューブ状、またはカップ状であることができる。この容器は、第1の、少なくとも部分的に開いた端部16と、第1の端部16に全体的に対向する第2の端部18とを有する。この第2の端部18は開いていることも閉じていることもできる。
【0033】
いくつかの非限定の実施形態では、この容器は、注射器、薬カートリッジ、無針注射器、液体計量分配機器、液体測定機器、サンプル収集チューブ、カテーテル、ガラス瓶および配管からなる群から選択される。例えば
図1に示すように、この容器12は、注射器筒を備えることができる。この注射器筒容器12は、開端部16と、他の端部で、概して対向する端部18とを有することができ、この端部は、例えば、それに取り付けられる取り付け可能な針28またはカニューレ、および任意選択でこの取り付け可能な針28またはカニューレの外部の少なくとも一部分を覆うシールドまたは先端キャップ30を有することによって閉じることができる。例えば、この注射器筒、針および先端キャップアセンブリは、New Jersey州Franklin LakesのBecton Dickinson Companyから市販されるSTERIFILL SCF(商標)プラスチック前充填可能な注射器システムまたはHYPAK SCF(商標)ガラス前充填可能な注射器システムに使用されるものとすることができる。
【0034】
この容器は、ガラス、金属、セラミック、プラスチック、ゴム、またはそれらの組み合わせから形成することができる。いくつかの非限定の実施形態では、チャンバは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(2−メチル−1−ペンテン)、および/または環式ポリオレフィンなどの1つまたは複数のオレフィンポリマーから作成される。例えば、これらのポリオレフィンは、脂肪族モノオレフィン、好ましくは約2から6の炭素原子を有するポリプロピレンなどの、脂肪族モノオレフィンのホモポリマーまたはコポリマーであることができる。いくつかの非限定の実施形態では、このポリオレフィンは基本的に直鎖状であり得るが、任意選択で、例えば従来型の低密度ポリエチレンに見られるものなどの側鎖を含むことができる。いくつかの非限定の実施形態では、このポリオレフィンは少なくとも50%アイソタクチックである。他の実施形態では、このポリオレフィンは、構造が少なくとも約90%アイソタクチックである。いくつかの非限定の実施形態では、シンジオタクチック(syndiotactic)のポリマーを使用することができる。いくつかの非限定の実施形態では、環式ポリオレフィンを使用することができる。適切な環式ポリオレフィンの非限定の例には、Nippon Zeonの特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4と、それぞれがZeon Corp.の特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9と、Ticonaの特許文献10および特許文献11と、Mitsui Chemicalsの特許文献12と、Hoechstの特許文献13、特許文献14、特許文献15、および特許文献16と、Mitsui PetrochemicalおよびHoechstの特許文献17、および特許文献18に開示され、非特許文献1に記載されるノルボルネン(norbornene)ポリマーが含まれ、前述の参照のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれている。適切な環式ポリオレフィンの非限定の例には、Mitsui Petrochemicalから市販されるApel(商標)環式ポリオレフィン、Ticona Engineering Polymersから市販されるTopas(商標)環式ポリオレフィン、Zeon Corporationから市販されるZeonor(商標)またはZeonex(商標)環式ポリオレフィン、およびPromerus LLCから市販される環式ポリオレフィンが含まれる。
【0035】
これらのポリオレフィンは、適切なモノマーとの共重合によって組成内に組み込まれる追加のポリマーの少量、一般に約0.1パーセントから10パーセントを含有することができる。そのようなコポリマーは、最終組成の他の特性を高めるために組成に加えることができ、例えばポリアクリレート、ポリスチレン、SEBS、等であることができる。
【0036】
いくつかの非限定の実施形態では、このチャンバは、容器に放射線安定性を付与するように、容器の放射線安定性に寄与する可動化添加剤(mobilizing additive)などの、両方が参照により本明細書に組み込まれている、例えばBecton,Dickinson and Companyに譲渡された特許文献19および特許文献20に開示されるものなどの、放射線安定化添加剤を含むポリオレフィン組成から構成することができる。
【0037】
いくつかの非限定の実施形態では、本発明の容器は血液収集機器である。この血液収集機器は、真空の血液収集チューブまたは非真空の血液収集チューブのいずれかであることができる。この血液収集チューブは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレートまたはそれらのコポリマーから作ることができる。
【0038】
容器12の寸法、例えば、内径および外径、長さ、壁厚等は、任意の所望のサイズとすることができる。ガス入口ダクトの寸法および容器のチャンバ内への反応性ガスの流量は、任意のチャンバに対するこの寸法および所望の被覆厚さに適応するように調整することができる。例えば、1ml容量の注射器筒に対して、筒の内径は約0.25インチ(6.35mm)であり、長さは約2.0インチ(50.8mm)である。プラスチックのSterifill 20ml容量の注射器筒に対して、筒の内径は約0.75インチ(19.05mm)であり、長さは約3.75インチ(95.3mm)である。一般に、この内径は、約0.25インチ(6.35mm)から約10インチ(254mm)、または約0.25インチ(6.35mm)から約5インチ(127mm)の範囲、またはそれらの間の任意の値とすることができる。したがって、ガス入口ダクトの外径は、反応性ガスがそれらの間を流れることができるように、かつ(存在する場合は)ホットフィラメントをダクトの周りに位置決めできるように容器の内径より小さくなければならない。
【0039】
活性化されたガスの供給は、被覆されるべき表面に極めて接近して行われるので、流れ駆動管理は必要なく、非常に低いガスの流れを使用することができる。このガス流量は、所望の堆積速度、真空容量、機器/ダクトによって許される有効ポンプ輸送横断面、およびラインの時間−処理許容量によって決められる。ノズル当たりの代表的な流量は一般に、約1ml/分から約1000ml/分とすることができる。
【0040】
上述したように、装置14は、容器の内壁面上に反応性部分を堆積および重合させるように、個々の容器のチャンバの中で起きる、光分解CVDおよび/または熱もしくは熱分解CVDで誘起されまたは高められる反応をもたらす。
【0041】
装置14は、ガス入口ダクト36を介して、少なくとも1つのモノマーガス34を供給するための少なくとも1つのモノマーガス供給源32を備える。このモノマーガスは、容器の内部に所望の被覆を設けるように選択することができる。いくつかの非限定の実施形態では、このモノマーガスは、有機珪素化合物(organosilicon)モノマー、ハロカーボン(halocarbon)モノマー、アスリーネ(azurine)モノマー、チイラン(thiirane)モノマー、不飽和オレフィンモノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含む。適切なモノマーガスの非限定の例は開示されており(例えば、特許文献21、特許文献22、および特許文献23参照)、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0042】
本明細書に使用されるとき、用語「フルオロカーボン(fluorocarbon)」は、フッ素が水素原子のいくつかまたは全てに取って換わるハロカーボン化合物を意味する。本明細書に使用されるとき、用語「有機珪素化合物」は、少なくとも1つのSi−C結合を含む化合物を意味する。
【0043】
適切な有機珪素化合物モノマーの非限定の例には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロトリシロキサン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、アリルジクロロシラン、アリルジメトキシシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ビニルメチルシラン、パラ−(t−ブチルジメチルシロキシ)スチレン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジエチルシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルシラン、ジビニルジメチルシラン、ジビニルテトラメチルジシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、エチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、ヘキサビニルジシロキサン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルシラン、テトラエトキシシラン、テトラエチルシクロテトラシロキサン、テトラエチルシラン、テトラメトキシシラン、 1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−、テトラメチルシラン、テトラビニルシラン、トリメチルシラン、ビニルジメチルシラン、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)−シラン−、3−ビニルヘプタメチルトリシロキサン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルオキシトリメチルシラン、ビニルペンタメチルジシロキサン、ビニルテトラメチルジシロキサン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。
【0044】
適切なハロカーボンモノマーの非限定の例には、ヘキサフルオロプロピレン酸化物、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロシクロプロパン、オクタフルオロシクロブタン、パーフルオロオクタンスルホニルフッ化物、オクタフルオロプロパン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、ジフルオロジクロロメタン、ジフルオロジブロモメタン、ジフルオロブロモメタン、ジフルオロクロロメタン、トリフルオロクロロメタン、テトラフルオロシクロプロパン、テトラクロロジフルオロシクロプロパン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロシクロプロパンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。
【0045】
適切な不飽和オレフィンモノマーの非限定の例には、ジシクロペンタジエン(DCP)、ジペンタジエン、ノルボルネン、シクロペンタジエン、メチルテトラシクロドデセン(MTD)、テトラシクロドデセン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。
【0046】
いくつかの非限定の実施形態では、本発明によって提供される堆積法によって、堆積されるフィルムの化学的組成を、バルクPTFEに似た化学量論組成(stoichiometry)および材料特性を有するフルオロカーボンポリマーの薄いフィルムを生じさせるように調整することが可能になる。1つの有用なモノマーは、ヘキサフルオロプロピレン酸化物(C
3F
6OまたはHFPO)である。HFPOは、求核試薬(nucleophile)との容易な開環反応を可能にする高度に歪んだ(highly-strained)エポキシドリングによって特徴付けられる。HFCVD条件の下でHFPOを使用して堆積されるフィルムは、結果として高いCF
2割合を有し、酸素の混和のほとんどないまたは全くないポリマーフィルムになることが見出された。
【0047】
いくつかの非限定の実施形態では、本発明の方法は、高い割合のCF
2群および低度のポリマー架橋結合を有するフルオロカーボンポリマーフィルムを生じさせるための、ジフルオロカルベン種(CF
2)を形成するように、光分解または熱分解することができるモノマーを供給する任意の供給原料ガスの使用が企図されている。例えば、上記で記載されるHFPOモノマーは、熱分解の下でフッ素化ケトンおよび所望のジフルオロカルベンを形成するように分解すると理解されている。このフッ素化ケトンは、ジフルオロカルベンと比較して相対的に安定である。これは、フィルム堆積表面のところで重合が起きるとき、フィルム内の高いCF
2含有量になると理解される。モノマー内に存在する酸素は、比較的非反応性のケトン分解副生物内に拘束され、それによって酸素はほとんどフィルム内に組み込まれない。
【0048】
一般にガスモノマーの選択を考慮すると、ガス内のCF
X/Fの比は、堆積工程中に起きる競合する堆積とエッチング反応に影響を及ぼす可能性がある、すなわち、より高い比は、堆積の増進とエッチング反応の抑制に対応する可能性がある。この比は、供給原料ガスの組成内にフッ素スカベンジャー(fluorine scavenger)、例えば水素、炭化水素、または不飽和化合物もしくはモノマーを含めることによって増加させることができる。一般に、フルオロカーボン供給原料ガスへの水素またはC
2F
4の添加は結果として、CF
x濃度に対する原子F濃度を減少させる場合がある。この減少した原子F濃度は、結果として増加した堆積速度になる可能性がある。その上、供給原料ガス内の水素の含有は、イオン衝撃でのその還元に起因して、堆積されるフィルムのガス充填能力を変更する可能性がある。さらに、処理されている構造体の表面上のダングリングボンド(dangling bond)を不動態化するためのその場機構を与えるために、水素を供給原料ガス中に含めることができる。例えば、水素は、非晶質シリコンのダングリングボンドを不動態化させる可能性がある。いくつかの非限定の実施形態では、ジフルオロカルベンより反応性が少ないが妨害しないラジカルの使用、またはガスの投入が交互するオン−オフ堆積の仕組みの使用を使用することができる。本方法はHFCVDより相対的に低い流量およびより高い効率を使用するので、このオン−オフの仕組みはより正確に制御することができる。
【0049】
供給原料ガス構成要素の選択は、供給原料ガスから堆積されるフィルム内に組み込まれる可能性のあるどのような微量の不純物も考慮に入れるべきであるのが好ましい。例えば、供給原料ガスモノマーとしてのHFPOは、結果として堆積されるフィルム内への微量の酸素の組み込みになる可能性がある。したがって、微量の酸素が堆積されるフィルムに対して許容できない場合は、HFPO以外の供給原料ガスモノマーが好ましい。当業者によって理解されるように、他の工程パラメータも同様に、供給原料ガスモノマーの選択に考慮されるべきであるのが好ましい。
【0050】
いくつかの非限定の実施形態では、このモノマーガスは、アスリーネまたはチイラン、例えば3−メチル−2H−アジリン−2−メチル、3−アミノ−2H−アジリン−2−メチル、2−ヒドロキシ−2H−アジリン、3−フェニル−2H−アジリン(3-phenyl-2H-azirine)、2,3−ジアリルチイラン1−酸化物、2,3−ジ−t−ブチルチイラン1−酸化物、および2,3−ジメチルチイランを含むことができる。
【0051】
次に
図6を参照すると、基板上に複数の層を堆積させるために、化学的に異なるモノマーガスを順次チャンバ26内に投入することができる。
図6に示すように、第1の層70を第1の反応性ガスで堆積させ、その上に第2の層72を第2の、化学的に異なるモノマーガスで堆積させることができる。あるいは、反応性ガスの混合物が使用される場合、この混合物の容積比は、複数の層または勾配層を形成するように堆積中に調整することができる。複数の層の堆積材料の非限定の例は、第1の層としてのポリエチレンおよびシロキサンの混合物と、第2の層としてのPTFEの堆積、または第1の層としてのPTFEと第2の層としてのポリアクリル酸の堆積である。
【0052】
次に
図1を参照すると、装置14は、容器12の開端部16のところで位置決めされ、モノマーガス供給源32から受け取る少なくとも1つのモノマーガス34をチャンバ26内に供給するための、チャンバ26の一部分40内に延びる一部分38を有した、ガス入口ダクト36もしくはノズルを備える。ガス入口ダクト36の形状は、全体的に円筒状チューブまたは導管などの、任意の所望の形状とすることができる。ガス入口ダクト36の(複数の)側壁42は全体的に平滑であり、または必要に応じて乱流を誘起させるように隆起を有することができる。いくつかの非限定の実施形態では、ガス入口ダクト36はダクト36またはチューブの側壁42に複数の開口部44を有する。いくつかの非限定の実施形態では、このガス入口ダクトは多孔質の材料から作成される。
【0053】
ガス入口ダクト36は、ステンレス鋼、ジルコニア、ケイ酸セラミック、(Solvay Polymersから市販されるUDEL(商標)ポリスルホンなどの)ポリスルホンポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリエーテルイミドなどの、任意の金属、セラミックまたは耐高温材料のプラスチックから形成することができる。いくつかの非限定の実施形態では、ガス入口ダクト36は、ジラジカル一重項(diradical singlet)から三重項(triplet)へのジフルオロカルベンのラジカル重合および/または改変を容易にするための触媒として機能する材料から形成することができる。適切な機能性材料の非限定の例には、クロム、銅およびパラジウムなどの遷移金属が含まれる。これらの金属は、鋳造型式(固体)または(例えば工程内でコバルトのような接合剤を使用して熱的に接合された、またはある密度まで緻密化された多孔質の材料である)焼結体型式で得ることができる。ニクロム合金、クプロサル(cuprothal)合金、およびコンスタンタン合金などの焼結された材料を使用することができる。ドープされた多孔質のセラミック材料も触媒として使用することができる。ダクト36は、以下に述べるように、適切な加熱要素または対流システムを使用して間接的に、または電流をそこを通過させることによって直接的に加熱することができる。適切な周波数および振幅を有する赤外線またはマイクロ波の範囲の信号を含む、r.f.信号による誘導式の間接加熱が可能である。
【0054】
いくつかの非限定の実施形態では、装置14は、ガス入口ダクト36内に組み込むことができる任意の遷移金属面に加えて、チャンバ26内に位置決めされる遷移金属触媒面(図示せず)をさらに備えることができる。この遷移金属触媒面は、ガス入口ダクト36のより下側端部のところに、またはガス入口ダクト36の側面に沿って所望どおりに位置決めされる挿入物とすることができる。この遷移金属触媒面は、反応性ガス内の反応性部分の形成を促進することができる。
【0055】
いくつかの非限定の実施形態では、ガス入口ダクト36は、チューブ36の側壁48における開口部44に近接して、チューブまたはダクト36の外側側壁48から半径方向に延びる(
図8に示す)少なくとも1枚のプレート46をさらに備える。プレート46は、ダクト36の外周を取り囲むように構成することができる。プレート46は、ガスの一部分をダクト36から半径方向に、外向きに導くための、複数の半径方向フィンまたはそこを貫通する開口部を含むことができる。プレート46は、ダクトを形成するのに適切であるとして上述した材料のうちの任意のものから形成することができ、必要に応じて、ダクトと同じ材料から形成することができる。
【0056】
次に、このシステムおよび装置について、反応性ガスを発生させるために熱分解を使用することを参照して説明する。反応性ガスを発生させるために光分解を使用する他のシステムおよび装置、および反応性ガスを発生させるために光分解と熱分解の両方を使用するシステムおよび装置は、以下で詳細に述べる。
【0057】
図1を参照すると、この装置14は、少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガス52を形成するように、容器12のチャンバ26に供給されるモノマーガス34の少なくとも一部分を熱分解するための熱分解面50を備える。上述したモノマーガスの熱分解によって形成されるこの反応性部分は、当業者に良く知られている。例えば、上述したフルオロカーボンモノマーのうちの多くは、上記で詳細に述べたように、熱分解の際にジフルオロカルベンラジカルを生じさせることができる。いくつかの非限定の実施形態では、この熱分解面50は、
図1に示すようにガス入口ダクト36に近接して存在することができる。あるいはまたはそれに加えて、この熱分解面50は、ガス供給源32とチャンバ26の間の任意の適切な位置に存在することができ、それによってガス入口ダクト36は少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガス52をチャンバ26内に供給することができる。この熱分解技術は、それ自体が熱分解によって生じる反応性ガス種で被覆される、チャンバ内の熱分解面をなくす利点を有する。
【0058】
熱分解面50の温度は、モノマーガス34の少なくとも一部分を熱分解または燃焼させ、1つまたは複数の反応性部分を形成させるのに十分なものとする必要がある。例えば、熱分解面50の温度は、約300°Kから約773°Kとすることができ、あるいは約500°Kより高くすることができる。当業者は、モノマーガス34は熱分解面50に直接的に接触する必要はないが、熱分解面50によって発生する熱に近接するとき、少なくとも部分的に熱分解され得ることが理解できる。さらに当業者は、選択される(複数の)モノマーガスに応じて、この熱分解温度および暴露の時間が変わる可能性のあることを理解することができる。
【0059】
本明細書に使用されるとき、用語「化学的気相堆積」は、ガス状の分子またはラジカルを基板の表面上で薄いフィルムまたは粉体の形態の固体の材料に変換させる方法を意味する。熱またはホットフィラメント化学的気相堆積(熱−CVD)方法では、実質的にイオン衝撃は全く起きない。何故ならば、フィルムが堆積されるとき、荷電イオンをフィルムに引き付ける実質的な電場が全く堆積チャンバ内に発生しないからである。とりわけ、そしてPECVDによって堆積されるフィルムとは対照的に、ホットフィラメントCVD(HFCVD)を介して堆積されるフィルムは、明確に定められた(well-defined)組成を有する。例えば、PECVD堆積されるフルオロカーボンフィルムは、様々なCF群(CF
2に加えて、例えば、CF
3、第3級のC(tertiary C)、およびC−F)を含み、一方HFCVD堆積されるフルオロカーボンフィルムは、少量のCF
3部分と共にほとんど全部のCF
2からなる。さらに、HFCVD内の開始および終了群は明確に定められているのに対して、PECVD方法内の前駆体は、ずっと大きな断片化を行う(これらのフィルムは、フルオロカーボン前駆体の全面的な断片化から結果としてできる、例えばSi−F結合を有する)。HFCVD方法の性質の結果は、最も熱的に安定な群(例えば、CF
2およびシロキサン環)のみフィルム内に現れ、結果としてより熱的に安定なフィルムになることである。光開始CVD(ph−CVD)、または光分解は、より冷たい状態での堆積を可能にする、システムに最小限の熱しか加えられない、または付随的な熱が全く加えられない利点を有するHFCVDの特異性を有する。
【0060】
ホットフィラメントCVDとプラズマ強化CVDの間の最も重要な具体的な化学的な相違点の1つは、プラズマ強化CVD技術でのイオン衝撃と紫外線照射の発生である。この相違点のために、HFCVDフィルムはPECVDフィルムに見られる欠陥を含まない。例えば、HFCVDフィルムは、PECVD方法では常に生じるダングリングボンドを有することがない。ダングリングボンドはフィルムの後ろに残される対になっていない電子である。そのようなボンドが存在する場合、フィルムは(例えば、結果として多数のヒドロキシル基になる、水などの)周囲雰囲気の成分との反応を行う。したがって、PECVDフィルムは大気エージングの影響をより受け易く、それらの光学的、電気的および化学的特性の劣化をより生じ易い。さらに、HFCVD方法によって生じるフィルムは、プラズマ強化CVD方法によって生じるフィルムより密度がより低い。2つの方法の核生成および堆積機構の間の相違に起因して、HFCVDを使用して多孔質のフィルムを作ることが可能であるが、PECVDを使用する場合は可能ではない。
【0061】
HFCVDに開始剤を使用することによって、フィルムをかなりより高い速度で堆積させることができ、化学的組成および形態のより大幅な制御が可能となる。これは、開始剤としてパーフルオロオクタンスルホニルフッ化物(perfluorooctane sulfonyl fluoride)(PFOSF)を使用してヘキサフルオロプロピレン酸化物(hexafluoropropylene oxide)(HFPO)から堆積されるフルオロカーボンフィルムについて、Pryce Lewisらによって実証されている(例えば、非特許文献2参照)。フィルム堆積のために提案される機構では、PFOSFの熱分解からのフリーラジカルの発生が開始ステップである。このフルオロカーボンラジカルは、HFPOの熱分解によって発生する、伝播種(propagating species)、ジフルオロカルベン(CF
2)と順次結合する。PFOSFの使用は、結果としてより高い堆積速度、HFPOのより効率的な利用、およびCF
3群による端末キャッピング(endcapping)となる。
【0062】
いくつかの非限定の実施形態では、
図1、
図3および
図4に示すように、熱分解面50をホットフィラメントとすることができる。このホットフィラメントまたは他の加熱される面は、投入モノマーガスが加熱される構造体の近辺を流れ、それによってガスが反応性堆積種を生じさせるように熱分解されるように、投入モノマーガス流れに対してある位置に設けるのが望ましい。例えば、
図1、
図3および
図4に示されるように、ホットフィラメント50は、ガス入口ダクト36を通りチャンバ26に注入されるガスがホットフィラメント50の上を移動するように、ガス入口ダクト36の外部面54の周りに位置決めしまたは外部表面54の周りに巻くことができる。このホットフィラメントは、例えば、抵抗加熱によって加熱することができる。この場合、直流電圧源(図示せず)が、例えばNi/Cr線からなるフィラメントに加熱電圧を加えるために設けられる。このホットフィラメント線は、例えば約0.3mmから約0.5mmの直径と、工程の温度を調整するための適切なオーム抵抗値を与える、長さを有することができる。
【0063】
使用可能な異なるCVD技術の中で、ホットフィラメントCVD(熱分解CVDまたはホットワイヤCVDとしても知られる、HFCVD)は、いくつかの点で独特のものである。HFCVDでは、前駆体ガスは抵抗加熱されるフィラメントによって熱的に分解される。結果として生じる熱分解生成物は、ほぼ室温に維持される基板上に吸着し、フィルムを形成するように反応する。HFCVDは、プラズマの発生を必要とせず、それによってUV照射およびイオン衝撃によって生じる、堆積するフィルム内の欠陥を回避する。その上、HFCVDによって生じるフィルムは、選択性のより少ないプラズマ強化CVD方法におけるより少ない反応経路しか存在しないので、より明確に定められた化学構造を有することができる。HFCVDは、ダングリングボンド、すなわち対になっていない電子のかなり低い密度を有するフィルムを形成する。さらに、HFCVDは、低度の架橋結合を有するフィルムを生じさせることが示されてきている。HFCVDは、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)ならびに直鎖および環式シロキサン繰り返し単位からなる有機珪素化合物フィルムに分光的に似ている、フルオロカーボンフィルムを堆積させるために使用されてきている(例えば、非特許文献3参照)。
【0064】
ホットフィラメント以外の熱励起機構も、熱−CVD方法に同様に適している。実際、選択される熱機構が、ガス供給システムと共に、均一なガス投入およびガスの均一な熱分解の両方を与えることが好ましい。ホットウインドウ(hot window)、電極、または他の表面、ならびにガス入口ダクト36の加熱された壁42は、均一のガス熱分解を生じさせることを目指す熱分解構造体にあるいは利用できる可能性がある。いくつかの非限定の実施形態では、この熱分解面50は、ガス入口ダクトの一体化される部分である。例えば、ガス入口ダクト36は、金属材料から作ることができ、それらの一部分は、対流もしくは電流を直接的にそこを通過させることによって熱分解温度まで加熱することができ、または適切な周波数および振幅を有する赤外線またはマイクロ波範囲の信号を含む、r.f.信号による間接加熱の誘導方式が可能である。他の直接加熱技術、例えば一般に他の広い範囲の熱分解機構に利用できるような、レーザ加熱技術も利用することができる。
【0065】
上述したように、装置14は、容器12の内壁面24の少なくとも一部分上に、反応性部分の堆積および重合を促進させるように、容器12の内壁面24を熱分解面50または反応性ガス52の温度より低い温度に維持するための温度制御器56を備える。容器12の内壁面24の温度は、熱分解面50または反応性ガス52の熱分解温度より低い温度に維持される。具体的には、容器12の内壁面24の温度は、この堆積法に使用される所与の反応性種の分圧の下で、重合を助けるのに十分低く維持されるのが望ましい。この反応性種の分圧が、被覆されるべき目標面上ではなくガス状の環境内で微粒子の生成を生じさせる可能性のある、一様なガス相反応を防止する低レベルに維持されることも好ましい。
【0066】
いくつかの非限定の実施形態では、容器12の内壁面24の温度は、被覆される具体的な材料とラジカル種および表面の間の共有結合を形成するための横断面とによって決まり、例えばCCP樹脂に対しては、この温度は140℃より低くなければならない。内壁面24の温度は、熱分解面50または反応性ガス52の温度より、例えば少なくとも約20℃またはそれより低く、いくつかの実施形態では堆積中に、約−40℃と約+200℃(233°Kから473°K)の間の温度、または約20℃から約50℃(293°Kから323°K)の間の温度に保持される。フィルム堆積中に維持されるこの温度は、堆積速度、ラジカル種の安定性、および堆積法によって生じるフィルムの最終的な熱安定性を決める重要な因子であり得る。相対的により高い構造体温度で堆積されるフィルムは、いくつかの用途では、相対的に加熱に対してより抵抗力がある場合がある。堆積時間は、流量、活性化効率および被覆の目標厚さにより決まる。代表的な堆積時間は、数秒から数時間の範囲とすることができる。非常に速い堆積時間が、上記で述べたオン−オフ仕組みの堆積仕組みを実施するのに望ましい。フィルムの厚さは一般に、例えば約1nmから約100ミクロンの範囲とすることができる。
【0067】
図1に示すように、いくつかの非限定の実施形態では、温度制御器56は、容器12の外壁面22がプレート58の開口部60と近接するように、または開口部60と対面係合するように、その中に容器12を受けるための貫通する少なくとも1つの開口部60を有する厚い金属プレート58である。このプレートは、任意の金属材料、例えばステンレス鋼または銅から形成することができる。銅は、高い熱伝導性を有する利点を有し、したがって容器を迅速、効率的に冷却できる。この金属プレートの厚み62は、容器12の長さ64と同じ大きさとすることができ、または容器12の長さ64より小さくすることができる。プレート58内の各開口部60の内部面66は一般に、その中に位置決めされるそれぞれの容器12の外部形状に合致する。各開口部60の内部面66は、その中に位置決めされるべき容器12の外部形状に応じて、同じまたは異なることができる。さらに、各開口部60の内部面66は、容器12の内壁面24を所望の期間、所望の温度に維持するのに必要な冷却または熱伝達を容易にするように、容器12の外壁面22に近接する、またはそれと対面係合しているのが好ましい。
【0068】
他の非限定の実施形態では、この温度制御器は、各容器12の外壁面22の周りに位置決めされる熱ジャケットとすることができる。この熱ジャケットは、銅などの金属材料から形成することができる。この装置はオンライン工程で使用することができ、また、容器の寸法は寸法的な変動を有することがあるため、高い熱伝導性のポリマー、シリコンゴムのようなポリマー充填剤またはポリテトラフルオロエチレン−グラファイト充填ポリマーなどの、ある種類の弾力性のある界面層を冷却要素上に使用する場合があることが予測することができる。冷却コイル、または他の適切な冷却機構を、容器12の内壁面24を所望の温度に所望の期間維持するために使用することができる。
【0069】
図1および
図3〜
図5に示すように、装置14は、余剰の反応性ガス52ならびに熱分解/光分解または活性化反応の副産物をチャンバ26から取り除くために、容器12の開端部16のところに、または容器の他の端部18のところに位置決めされる(
図2に示す)少なくとも1つの出口ダクト68を備える。余剰の反応性ガス52および他の熱分解生成物の除去は、大気圧で、または真空下で行うことができる。この圧力は、表面から基板への活性化の距離に対する反応性種の平均自由行程の比によって決まる。排気は、2つの形態すなわち拡散性の流れおよび分子流れで行うことができ、代表的な真空圧力は、約1.0Paから約500Paの範囲にあることができる。この装置のさらなる増強は、堆積サイクル中にポンピング速度を増加させるために出口ダクト68に近接してコールドトラップ(クライオポンプ)を使用し、ダクトアセンブリヘッドの次のラックへの移行中、脱着ステップがその後に続くことであろう。出口ダクト68は、排気システムに、または隣接する容器内に挿入されるガス入口ダクトに接続する、すなわち直列に接続することができる。
【0070】
いくつかの非限定の実施形態では、システム10はさらに(酸化力のある、稀ガスまたは他のガスによる)表面処理と、熱処理と、アイソトープ、電子ビーム、または紫外線による照射とからなる群から選択される少なくとも1つの処理を含む。この追加の処理は、熱分解処理に先立って、熱分解処理と同時に、または熱分解処理の後で行うことができる。この処理は、接着(共有結合または非共有結合)または表面特性改変を促進することができる。容器が追加の処理に先立って移動させる必要がないように、または容器を追加の装備を使用して他の場所でさらに処理することができるように、現行の装置14と共に適切な装置を使用することができる。
【0071】
プラズマ処理は、任意の一般的な真空または大気のプラズマ発生装備内で行うことができる。例えば、グロー放電またはコロナ放電によって発生するプラズマのような、任意の適切なイオン化プラズマを使用することができる。このプラズマは、様々なガスまたはそれらの混合物から発生させることができる。頻繁に使用されるガスには、空気、水素、ヘリウム、アンモニア、窒素、酸素、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノンが含まれる。任意のガス圧、例えば大気圧または5mmの水銀柱または約0.1mmから約1.0mmの水銀柱などのそれより低い圧力を使用することができる。大気酸化方法などのいくつかの実施形態では、イオン化プラズマは、開口部のところの小さなポートからチャンバ内に直接導入することができる。容器12の内壁面24は、現行のコロナ処理方法またはプラズマ処理方法と同様に、直接的に処理することができる。真空ベース装備などの他の実施形態では、このプラズマは、被覆されたチャンバの周りに励起させることができ、チャンバ機構内に拡散させることができる。あるいは、このプラズマは、電極位置を適切に制御することによって、開いたチャンバの内部で励起させることができる。酸化処理の後、処理されたチャンバは熱処理または(ガンマ線などの)アイソトープ、電子ビーム、または紫外線で照射に掛けることができる。あるいは、処理されたチャンバは、炉または無線周波数(RF)を介して熱処理することができる。炉架橋結合の場合には、正確な処方に応じて、温度は約120℃から約140℃の範囲にあり、炉内の滞留時間は一般に約30秒から約40秒とすることができる。RF技術が使用される場合は、コイルは約150℃から約200℃の基板表面温度を得るのに十分な熱を伝導すべきである。これらの温度では、約2秒から約4秒しか硬化のために必要とされない。
【0072】
いくつかの実施形態では、この被覆は、アイソトープ、電子ビーム、または紫外線の照射によって少なくとも部分的に架橋結合される。この技術は、医療用途に有用な殺菌を同様に行う利点を有する。イオン化放射線の形態での放射線殺菌は、カテーテル、手術用物品、および救急医療工具などの医療機器のために病院で使用される。ガンマ線照射は、生物学的組織を酸化させることによって殺菌の効果を働かせ、したがって簡単な、迅速なかつ有効な殺菌の方法をもたらす。ガンマ線は、コバルト−60(
60Co)アイソトープ源からまたは機械発生させられる加速された電子源からのいずれかからのものとして使用される。殺菌すべき材料が暴露される
60Co源の周りを規定された時間移動させられるとき、十分な暴露が達成される。医療物品を殺菌するために最も一般的に使用される線量は、約5kGyから約100kGy、例えば、5kGy〜50kGyである。
【0073】
いくつかの非限定の実施形態では、本発明は容器の内壁面にフィルム被覆を付着させる方法を提供し、この方法は、(a)少なくとも1つのモノマーガスをガス入口ダクトに供給するためのモノマーガス供給源を設けるステップと、(b)開端部と、この開端部に対向する他の端部と、それらの間を延びる壁を備える容器であって、この壁が外壁面および内壁面を有し、この容器が容器の開端部と他の端部の間で内壁面によって画成される領域内にチャンバを有する、容器を、開端部がガス入口ダクトによってモノマーガス供給源に接続されるように位置決めするステップと、(c)モノマーガス供給源から受け取る少なくとも1つのモノマーガスをチャンバ内に供給するために、ガス入口ダクトの一部分がチャンバの一部分内に延びるようにガス入口ダクトを容器の開端部のところに位置決めするステップと、(d)少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガスを形成させるように、容器のチャンバに供給されるモノマーガスの少なくとも一部分を熱分解させるステップと、(e)容器の内壁面の少なくとも一部分上に、反応性部分の堆積および重合を促進させるように、容器の内壁面を熱分解ガスの温度より低い温度に維持するステップと、(f)容器の開端部または容器の他の端部のところに位置決めされる真空出口ダクトを介して真空の下でチャンバから余剰の反応性ガスを除去するステップとを含む。
【0074】
いくつかの非限定の実施形態では、上記で詳細に述べたように、この方法は、熱分解処理に先立って、熱分解処理と同時に、または熱分解処理の後で、容器の内壁面の少なくとも一部分の酸化処理と、熱処理と、アイソトープ、電子ビーム、または紫外線での照射とからなる群から選択される少なくとも1つの処理で処理するステップをさらに含む。
【0075】
次に、
図9を参照して、光分解を使用するシステムについて述べる。いくつかの非限定の実施形態では、本発明は、容器212の内壁面224の少なくとも一部分を被覆するための、全体的に200として示されるシステムを提供し、このシステムは、(a)支持部217によって支持される開端部216と、開端部216に対向する他の端部218と、それらの間を延びる壁220とを備える容器212であって、この壁220が外壁面222および内壁面224を有し、容器212の開端部216と他の端部218との間で内壁面224によって画成される領域内にチャンバ226を有する、容器212と、(b)少なくとも1つのモノマーガス234を供給するためのモノマーガス供給源232と、(c)容器212の開端部216のところに位置決めされ、モノマーガス供給源232から受け取る少なくとも1つのモノマーガス234をチャンバ226内に供給するための、チャンバ226の一部分240内に延びる一部分238を有するガス入口ダクト236と、(d)モノマーガス234から少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガス252を形成するように、容器212のチャンバ226に供給されるモノマーガス234の少なくとも一部分に光子を供給するための光分解エネルギ源250と、(e)チャンバ226から余剰の反応性ガスを除去するために、容器212の開端部216または容器212の他の端部218のところに位置決めされる出口ダクト268とを備える。このシステムは任意選択で、容器212の内壁面224の少なくとも一部分上に反応性部分の堆積および重合を促進させるように、容器212の内壁面224を光分解エネルギ源250の温度より低い温度に維持するための温度制御器256を備えることができる。
【0076】
光分解エネルギ源以外のこのシステムの構成部品は、熱分解システムおよび装置に関して上記で詳細に説明したものと同じである。
【0077】
いくつかの非限定の実施形態では、この光分解エネルギ源は所定の波長(または波長の範囲)を有する。いくつかの非限定の実施形態では、この光分解エネルギ源は、紫外範囲内の所定の波長を有する紫外線である。いくつかの非限定の実施形態では、この光分解エネルギ源は、ガンマ範囲内の所定の波長を有するガンマ線である。
【0078】
いくつかの非限定の実施形態では、この光分解エネルギ源はレーザ源から得られる。この光分解は、容器の外側から(例えば透明容器の場合、容器壁を介して光ビームを照らして)行うことができ、または容器の内側から(例えば容器の開端部から他の端部まで導かれる共線の環状ビームで)行うことができる。この源は、例えば(ダイまたはn−調波発生結晶を使用する)整調レーザ(tunable laser)またはフィルタに連結される白色光源、例えば(マサチューセッツ州、Energetiq Technology,Inc.からのLDLS EQ−99などの)レーザ駆動光源から構成される、整調できる(選択的な)光源である。光分解の場合は、触媒作用を高めるためにフィラメントまたは他の加熱源を使用することができるが、モノマーガスの熱分解を行うためには必要ない。
【0079】
図9に示すように、光分解エネルギ源250は、少なくとも部分的にチャンバ226内に位置決めすることができる。あるいはまたはそれに加えて、この光分解源251は、チャンバ226の外に配置することができる。
【0080】
いくつかの非限定の実施形態では、ガス入口ダクト236は、少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガスを形成するように、光分解反応からの生成物を活性化させる触媒をさらに備えることができる。この触媒は、上述したように、チャンバ内に位置決めされる遷移金属触媒面、および/またはガス入口ダクト36内に組み込むことができる遷移金属面を備えることができる。
【0081】
次に、
図10を参照すると、いくつかの非限定の実施形態では、このシステムおよび装置は、上記で記載したものなどの、光分解エネルギ源350および熱分解面450の両方を備えることができる。この熱分解面は、少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガスを形成させるように、モノマーガスまたは(複数の)光分解生成物の少なくとも一部分を熱分解させることができる。このシステムは、容器312の内壁面324の少なくとも一部分上に反応性部分の堆積および重合を促進させるように、容器312の内壁面324を熱分解面450および/または光分解エネルギ源350の温度より低い温度に維持するための温度制御器356をさらに備えることができる。
【0082】
いくつかの非限定の実施形態では、本発明は容器の内壁面にフィルム被覆を付着させる方法を提供し、この方法は、(a)少なくとも1つのモノマーガスをガス入口ダクトに供給するためのモノマーガス供給源を設けるステップと、(b)開端部と、この開端部に対向する他の端部と、それらの間を延びる壁とを備える容器であって、この壁が外壁面および内壁面を有し、この容器が容器の開端部および他の端部の間で内壁面によって画成される領域内にチャンバを有する、容器を、開端部がガス入口ダクトによってモノマーガス供給源に接続されるように位置決めするステップと、(c)モノマーガス供給源から受け取る少なくとも1つのモノマーガスをチャンバ内に供給するために、ガス入口ダクトの一部分がチャンバの一部分内に延びるようにガス入口ダクトを容器の開端部のところに位置決めするステップと、(d)少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガスを形成させるように、容器のチャンバに供給されるモノマーガスの少なくとも一部分を光分解させるステップと、(e)容器の開端部または容器の他の端部のところに位置決めされる出口ダクトを介して、チャンバから余剰の反応性ガスを除去するステップとを含む。いくつかの非限定の実施形態では、この方法は、少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガスを形成させるように、光分解反応からの生成物を活性化させるために反応性ガスを触媒に曝すステップもさらに含む。いくつかの非限定の実施形態では、この方法は、少なくとも1つの反応性部分を含む反応性ガスを形成させるように、モノマーガスの少なくとも一部分を熱分解するステップをさらに含む。
【0083】
この熱分解/光分解ステップは、重合ステップのための(複数の)反応性種の活性化または増進に先立って、またはそれらと同時に行うことができ、熱分解CVDでは熱分解ステップは同時に行われる。これによって熱制約を課さずにより良い触媒材料を使用すること、ならびに熱分解/光分解場所から遠く離れた被覆堆積を促進させることが可能になる。
【0084】
いくつかの非限定の実施形態では、本発明は、内壁面とその上に少なくとも1つの被覆層とを有するチャンバを備える、上記に記載した容器などの医療物品を提供し、この被覆層は、被覆に先立って内壁面の第1のドメイン内に存在する第1の表面官能基と反応性のある化学官能基を有する第1の反応性ガスから堆積される第1の区域と、被覆に先立って内壁面の第2のドメイン内に存在する第2の表面官能基と反応性のある化学官能基を有する第2の反応性ガスから堆積される第2の区域とを有する。そのような化学官能基は、例えばカーボン−カーボン不飽和、ニトリル、イミド、アミドまたはハロ官能基を含むことができる。
【0085】
次に、
図7を参照すると、容器12の内壁面24は、異なる化学官能基または特性の区域またはドメイン74を備えることができ、例えば第1のドメイン76は、カーボンとカーボンの二重結合の(不飽和の)化学官能基を有することができ、第2のドメイン78は、エステル化学官能基を有することができる。異なる反応性官能基を有する反応性ガスは、各ドメイン76、78に存在する表面官能基と良く反応するそれぞれの官能基を有する反応性ガスから堆積する(対応する第1の区域80および第2の区域82として示す)これらの第1のドメイン76および第2のドメイン78上に、選択的に堆積させることができる。例えば、第1のドメイン76がC=C化学官能基を有する場合、ジエン化学官能基を有するジシクロペンテンなどの反応性ガスは、第1のドメイン76のC=C化学官能基と反応するように堆積させることができる。同様に、第2のドメイン78がケトン化学官能基を有する場合、酸素を有するなどの反応性ガスは、第2のドメイン78のケトン化学官能基と反応するように同時にまたは順次堆積させることができる。したがって、最終被覆は、異なる物理的な特性、例えば親水性区域および疎水性区域を有する異なる化学的素性の区域80、82を有することができる。
【0086】
例えば、容器12の内壁面24は、環式ポリオレフィンおよびSEBSの混合物から形成し、不飽和結合に富んだSEBSのドメインを設けることができる。この不飽和結合は、飽和したカーボンドメインよりジフルオロカルベンラジカルと反応する可能性が高い。したがって、より濃い濃度のPTFEを有する区域はより大きな潤滑性の区域をもたらし、他の区域は、親水性または疎水性などの他の物理的な特性を与えるように他の反応性ガスを使用して調整することができる。
【0087】
この被覆層は、内壁面を、順次または同時のいずれかで、第1の反応性ガスおよび第2の反応性ガスに曝し、被覆された内壁面を被覆層の形成を促進させるためにエネルギ源に曝すことによって形成される。いくつかの非限定の実施形態では、この被覆層はプラズマCVDまたはホットフィラメントCVDなどの化学的気相堆積によって付着させられる。他の非限定の実施形態では、この被覆層は、被覆層またはそれらの組み合わせの形成を促進させるために酸化処理に曝される。
【0088】
したがって本発明は、容器の内壁面にフィルム被覆を付着させる方法を提供し、この方法は、(a)内壁面を備える容器を設けるステップであって、この内壁面は第1の化学官能基を有する第1のドメインと、第2の、異なる化学官能基を有する第2のドメインとを含む、ステップと、(b)内壁面を、第1のドメインの第1の化学官能基と反応性のある官能基を有する第1の反応性ガスと、第2のドメインの第2の化学官能基と反応性のある官能基を有する第2の反応性ガスとに、順次または同時のいずれかで曝すステップと、(c)被覆層の形成を促進させるために、被覆された内壁面をエネルギ源に曝すステップとを含む。
【0089】
本発明のこの方法によって作成される被覆された容器は、密封部材などの、医療物品の他の構成部品と共に使用することができる。この密封部材は、任意のエラストマーまたはプラスチック材料から形成することができる。3つの主要な合成熱硬化性エラストマー、すなわちポリイソプレンゴム、シリコンゴム、およびブチルゴムが、医療用途で通常使用される。この3つのゴムのうちで、ブチルゴムが、酸素感受性の高いおよび水感受性の高い薬をゴムが保護するのを可能にする、その高い清浄性および透過抵抗性に起因して最も普及している物品の選択肢である。適切なブチルゴムには、イソブチレン(約97〜98%)とイソプレン(約2〜3%)のコポリマーが含まれる。このブチルゴムは、塩素または臭素でハロゲン化することができる。適切なゴムストッパーの非限定の例には、West Pharmaceuticalsと、American Gasket Rubberと、Stelmiと、Helvoet Rubber & Plastic Technologies BVとから市販されるものが含まれる。他の有用なエラストマーのコポリマーには、限定ではなく、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、スチレン−ブタジエン(SBRまたはSBS)コポリマーなどのスチレンコポリマー、スチレンブロックコポリマー内のスチレン含有量が約10%から約70%、好ましくは約20%から約50%の範囲にある、スチレン−イソプレン(SIS)ブロックポリマーまたはスチレン−イソプレン/ブタジエン(SIBS)が含まれる。適切なスチレン−ブタジエンストッパーの非限定の例は、Firestone Polymersと、Dowと、Reichholdと、Kokoku Rubber Inc.と、Chemix Ltdとから市販されている。他の適切な熱可塑性のエラストマーは、例えばGLSと、Tecknor Apexと、AESと、Mitsubishi and Solvay Engineered Polymersとから市販されている。このエラストマー組成は、限定ではなくエラストマー組成の安定性を保つための酸化防止剤および/または無機強化剤を含むことができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、この密封部材は、例えばストッパー、Oリング、プランジャーチップ、またはピストンとすることができる。注射器プランジャーチップまたはピストンは、注射器のプランジャーと内部ハウジングの間に密封をもたらすゴムの能力のために、ゴムなどの圧縮可能な、弾力性のある材料から通常作られる。注射器プランジャーは、患者の介護および処理に使用される他の装備のように、注射器のプランジャーと筒の間の緊密な密封を与える能力などの、高い達成基準に合致しなければならない。
【0091】
このストッパーは、上記に記載したようにCVD被覆で、または有機ポリシロキサン(organopolysiloxane)被覆で被覆することができる。被覆されたチャンバおよび/または被覆された密封部材は、酸化処理、例えば、プラズマ処理に掛けることができる。表面潤滑剤は、粘度約100cStから1,000,000cStの、100cStから60,000cStの、または好ましくは約1,000cStから12、500cStの従来型のシリコンオイル(有機ポリシロキサン)であることができる。この表面潤滑層は、ストッパーをクロロホルム、ジクロロメタン、または好ましくはFREON(商標)TFなどのクロロフルオロカーボンなどの溶剤内の約重量で4%の表面潤滑剤の溶液をスプレーするまたは溶液内に浸漬するなどの任意の従来型の方法によって付着させることができる。この表面潤滑剤は、任意選択で酸化処理および/または放射線によって軽度に架橋結合させることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、この被覆される物品は殺菌処理に掛けられる。医療機器のために使用される一般に使用される殺菌技術には、オートクレービング、エチレン酸化物(EtO)またはガンマ線照射、ならびに低温ガスプラズマおよび気相減菌剤を含むより最近になって導入されたシステムが含まれる。
【0093】
本発明をそれらの特定の実施形態の具体的な詳細を参照して説明してきた。そのような詳細は、添付の特許請求の範囲に含まれる範囲を除き、かつ含まれる範囲まで、本発明の範囲に対する限定であると見なされることを意図していない。