(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、医用寝台装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。本医用寝台装置が適用可能な医用画像診断装置は、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography:以下、X線CT装置と呼ぶ)、X線診断装置、磁気共鳴断層撮影装置(Magnetic Resonance Imaging:以下、MRI装置と呼ぶ)、核医学診断装置(陽電子放出コンピュータ断層撮影装置(Positron Emission Computed Tomography:以下、PET装置と呼ぶ)、単光子放出コンピュータ断層撮影装置(Single Photon Emission Computed Tomography:以下、SPECT装置と呼ぶ))、PET/CT装置、SPECT/CT装置、PET/MRI装置、SPECT/MRI装置などである。本医用寝台装置を医用画像診断装置に適用した一例として、X線CT装置に適用した一例を、第2の実施形態として後述する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合に行う。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る医用寝台装置1の構成の一例を示す構成図である。本医用寝台装置1は、天板3と、天板移動部5と、寝台本体7とを有する。天板3の載置面には、被検体Pが載置される。天板移動部5は、天板3の長軸方向に沿って天板3を移動可能に支持する支持機構15と、長軸方向に天板3を移動させるローラ17とを有する。支持機構15は、例えば、移動レール151と直動軸受153とを有する。移動レール151は、長軸方向に沿って、天板移動部5に設けられる。直動軸受153は、天板3の載置面に対向する対向面において、天板3の一端部分に設けられる。直動軸受153は、移動レール151に沿って、天板3を水平方向に移動可能に支持する。
【0012】
ローラ17は、天板3における載置面に対向する対向面、すなわち、天板3の背面に接触する。ローラ17は、後述する動力伝達部71を介した動力の伝達により、回転軸回りに回転する。ローラ17は、回転軸回りの回転により、天板3を長軸方向に移動させる。
【0013】
図2は、天板3の短軸方向に沿ったローラ17の断面の一例を示す断面図である。なお、
図2は、医用画像診断装置において、撮影部(架台部またはX線撮影部)側から見た寝台装置の正面図に対応する。
図2は、天板3を移動させるローラ17の構成として、ローラ17の内側(ローラ17における回転軸171に沿った幅における中心部分)には、低剛性材質としてゴム系材質(第1剛性部分173)が用いられた例を示している。また、
図2には、この低剛性材質(第1剛性部分173)を挟む形で、第1剛性部分173の左右の外側には、高剛性材質として樹脂系材質(第2剛性部分175)が用いられた例を示している。
【0014】
移動性能を実現するためのローラ17には、天板3に対して所定の摩擦力を有する。加えて、ローラ17には、ローラ17に係る荷重の影響を受けない、つまりローラ17自体が荷重により変形しにくいことが要求される。このため、内側の低剛性材質として摩擦力を有するゴム系材質を用いることが望ましい。一方、ゴム系材質部分の変形量が変化すると移動性能に影響を与えることから、変形量を抑える構成として、ゴム系材質の両側に高剛性材質を配置する必要がある。この一例として、
図2には、樹脂系材質を用いる例が示されている。なお、第2剛性部分175には、樹脂系材質の他に金属などの高剛性材質が用いられても良い。また、ローラ17の寸法的制約および本寝台装置1へのローラ17の組み立て位置(取り付け位置)としては、天板3に被検体Pが未載置であって、天板3が長軸方向に張り出していない状態において、ローラ17の内側のゴム系材質部(第1剛性部分173)と、左右外側の高剛性材質部(第2剛性部分175)とのうち少なくとも一方が少なくとも1点以上で、天板3の下面(対向面)と接触する状態となることが必要である。
【0015】
これにより、被検体Pを載置した天板3を架台開口部内に送り込むことにより、ローラ17にかかる荷重が増えた場合であっても、高剛性材質部(第2剛性部分175)により、内側のゴム系材質部(第1剛性部分173)の変形量が抑えられる構成となる。これらのことから、本寝台装置1は、所望の移動性能を実現することができる。
【0016】
以下、ローラ17の構造について詳述する。
図2に示すように、天板3を移動させるローラ17は、第1剛性部分173と、第2剛性部分175と、回転軸接続部177とを有する。回転軸接続部177は、回転軸171に接続可能な構造を有する。回転軸接続部177は、例えば、回転軸171を中心軸とする円柱構造を有する。また、回転軸接続部177は、回転軸171を挿入して固定可能な中空構造を有する。すなわち、回転軸接続部177は、回転軸171を取り外し可能な構造を有する。なお、ローラ17は、回転軸171と回転接続部177とを一体構造として有していてもよい。
【0017】
第1剛性部分173は、回転軸171を中心軸とする円筒構造を有する。第1剛性部173は、回転軸接続部177の側面(すなわち、円柱側面)において、2つの底面の間の距離の中点を包含して、回転軸接続部177の側面を取り囲むように、回転軸接続部177に固定される。具体的には、第1剛性部分173は、回転軸接続部177の側面の中心部分を取り囲んで、回転軸接続部177に接着される。第1剛性部分173は、所定の剛性を有する。所定の剛性とは、後述する第2剛性部分175より小さい剛性である。第1剛性部分173は、所定の剛性を有する弾性体であり、例えば、ゴム系の材質により構成される。第1剛性部分173は、天板3の対向面における接触部分に対して所定の摩擦力を有する。所定の摩擦力とは、後述する第2剛性部分175における摩擦力より大きな摩擦力である。
【0018】
第2剛性部分175は、回転軸171を中心軸とする円筒構造を有する。第2剛性部分175は、第1剛性部分173を挟んで、回転軸接続部177を取り囲むように、回転軸接続部177に固定される。例えば、第2剛性部分175は、回転軸171に沿って第1剛性部分173を挟んで、回転軸接続部177に接着される。第2剛性部分175は、所定の剛性より大きな剛性を有する材質により構成される。第2剛性部分175は、例えば、樹脂系の材質または金属により構成される。第2剛性部分175は、天板3の対向面における接触部分に対して、第1剛性部分173に関する所定の摩擦力より小さい摩擦力を有する。
【0019】
第1剛性部分173と第2剛性部分175とのうち少なくとも一方は、被検体Pが天板3に未載置の状態であって、天板3が本寝台装置1から張り出していない状態のとき、天板3の対向面(背面)において、少なくとも1点以上で接触可能な外径を有する。
【0020】
寝台本体7は、動力伝達部71と、駆動部(モータ)73と、駆動制御部75とを有する。動力伝達部71は、駆動部73により発生された動力を、ローラ17の回転軸171に伝達する。動力伝達部71は、例えば、ベルト、チェーン、ギアなどである。なお、ローラ17の回転軸171は、駆動部73に直結されても良い。このとき、動力伝達部71は、不要となる。駆動部73は、後述する駆動制御部75に制御のもとで、回転軸171に伝達するための動力を発生する。駆動制御部75は、図示していない入力部(例えばフットスイッチ)を介して入力された入力情報に従って、駆動部73を制御する。
【0021】
駆動制御部75は、図示していないメモリを有する。メモリは、天板3の移動速度に対する天板3の停止指示に伴う天板3の移動距離(以下、停止距離と呼ぶ)の対応表と、天板3の停止位置とを記憶する。メモリは、入力部を介して入力された被検体Pの荷重範囲(患者情報)を必要に応じて記憶する。具体的には、メモリは、天板3の移動範囲と、被検体の荷重範囲とに応じた複数(または1つの)の対応表を記憶する。
【0022】
なお、駆動制御部75は、入力部を介して入力された天板3の移動範囲(撮影条件)に基づいて、天板3の停止位置を決定してもよい。駆動制御部75は、移動範囲と荷重範囲とに基づいて(または動作モード(天板3の動作を示すモード)に基づいて)、天板3の移動速度を決定する。駆動制御部75は、決定した移動速度と対応表と荷重範囲とに基づいて(または動作モードに基づいて)、天板3の停止距離を決定する。駆動制御部75は、決定した停止距離で天板3を停止させるために駆動部73を制御する。
【0023】
図3は、天板3の移動速度に対する停止距離を示す複数の対応表の一例を示す図である。
図3に示すように、天板3の移動速度に対する停止距離は、天板3の移動速度の増加に応じて増加する。また、被検体Pの荷重の増加に依存して、停止距離の決定に用いる対応表は異なる。なお、対応表は、寝台本体7から天板3が張り出す張り出し量に応じて、異なっていてもよい。すなわち、対応表は、被検体Pの体重、天板の張り出し量に応じて異なる。なお、駆動制御部75は、例えば、被検体Pの体重および張り出し量に対応する対応表(
図3の曲線)が、
図3に記載の複数の曲線にいずれも該当しない場合、被検体Pの体重および張り出し量に近い2つの曲線の代表値(例えば平均値)を、停止距離として決定してもよい。なお、駆動制御部75は、複数の曲線から代表となる曲線を選定し、移動範囲と荷重範囲とに関わらず、移動速度だけで停止距離を決定してもよい。
【0024】
(天板制御機能)
本実施形態に係る天板制御機能は、従来より安価にかつ従来と同等性能を有する天板制御を実行することを目的としている。このため、本天板制御機能は、制御用センサ等を用いたフィードバック制御ではなく、事前に取得したデータを用いたオープン制御により、天板3の移動を制御する機能であることが望ましい。なお、医用寝台装置1に設けられた図示していない制御用センサ(例えば、天板3の位置を検出する天板位置センサ)等を用いて、上記天板制御が、例えばフィードバック制御により実行されてもよい。
【0025】
一般的に天板3の移動速度に応じて停止距離は異なることから、本実施形態では、事前に想定している(または入力された)被検体Pの荷重範囲および天板3の移動範囲において、想定している(または決定された)移動速度に対する停止距離(駆動制御部75で停止コマンドを発行してから、実際に停止するまでの距離)が取得される。得られた天板3の移動速度に対して、停止距離の代表値(例えば平均値)が求められる。すなわち、天板3の移動速度と停止距離との関係が、配列データまたは関数データ(対応表)としてデータ部(メモリ)に記憶される。これらを用いて、駆動制御部75により駆動部73を制御する際に、データ部(メモリ)に記憶されたデータを用いて制御を行うことで、より高い移動性能を実現する。
【0026】
図4は、本天板制御機能に関する各処理の手順の一例を示すフローチャートである。
入力部を介して、天板の移動範囲と被検体Pの荷重範囲とが入力される(ステップSa1)。天板の移動範囲は、被検体Pに対する撮影条件により決定されてもよい。また、被検体Pの荷重範囲は、被検体Pに関する患者情報により決定されてもよい。
【0027】
移動範囲と荷重範囲とに基づいて(または動作モードに基づいて)、天板3の移動速度が決定される(ステップSa2)。次いで、メモリ(データ部)から、天板3の移動速度に対する天板の停止距離の対応表が読み出される(ステップSa3)。対応表と、天板3の移動速度と、必要に応じて天板3の移動範囲と、荷重範囲とに基づいて、天板3の停止距離が決定される(ステップSa4)。決定した停止距離で天板3を停止させるために、駆動部73が制御される(ステップSa5)。
【0028】
(第1の変形例)
第1の実施形態との相違は、ローラ17の構成が異なることにある。
図5は、第1の変形例に係り、天板3の短軸方向に沿ったローラ17の断面の一例を示す断面図である。
図5と
図2との相違は、第1剛性部分173を挟む左右外側の高剛性材質部(第2剛性部分175)の形状が異なることにある。具体的には、
図5に示すように、高剛性の第2剛性部分175は、回転接続部177の底面から第1剛性部分173と接する部分に向かって外径が小さくなるテーパ(taper:先細)状となっていることにある。なお、天板制御機能については、第1の実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0029】
天板3の下面(対向面)の形状は、一般的に円弧状である。このため、第1の変形例は、ローラ17の側面の中央部分に固定されたゴム系材質(第1剛性部分173)の変形量をより一定にするために、天板3の下面の形状に合わせる構成としている。すなわち、第1剛性部分173の左右外側の高剛性材質部(第2剛性部分175)の形状は、回転接続部177の底面から第1剛性部分173と接する部分に向かって外径が小さくなるテーパ(taper:先細)状の形状にすることが望ましい。本変形例に係るテーパ形状は、より安価に製作しやすい構成である直線形状、または天板3の対向面において短軸方向に沿った形状に合わせた円弧形状などがある。また、このとき、天板3の下面(対向面)とゴム系材質部(第1剛性部分173)とを確実に接触させる必要があるため、高剛性材質部(第2剛性部分175)においてゴム系材質部(第1剛性部分)に接する部分の外径は、ゴム系材質部(第1剛性部分173)の外径より小さくする必要がある。なお、
図3においては、第2剛性部分175のテーパ形状は直線的に示している。
【0030】
例えば、
図5に示すように、第2剛性部分175における最大の外径aは、第1剛性部分173の外径bより大きい(a>b)。また、第2剛性部分175における最小の外径cは、第1剛性部分173の外径bより小さい(c<b)。以上のようなローラ形状とすることで、
図5の構成は、
図2に対してローラ17の変形量をさらに抑える効果を有するため、移動性能をさらに高められる構成である。
【0031】
(第2の変形例)
第1の実施形態および第1の変形例との相違は、ローラ17の構成が異なることにある。
図6は、第1の実施形態および第1の変形例より耐久性を有するローラ17の構成の一例を示す図である。
図6は、ローラ17における第1剛性部分173を挟む第2剛性部分175(高剛性部材)を一体構造にした構成を示している。
図6に示すように、天板3の下面(対向面)は円弧形状である。ローラ17に対して上から荷重がかかるため、高剛性部材(第2剛性部分175)は、
図6の左右方向、すなわち天板3の短軸方向沿って、力を受ける。
【0032】
このため、第1剛性部分173を外側から左右で挟む高剛性部材(第2剛性部分175)を、回転軸接続部177に固定する固定方法によっては、高剛性部材(第2剛性部分175)がローラ17の外側にずれることがある。このとき、ゴム系部材(第1剛性部分173)の変形量が変化し、移動性能が悪化する。第2剛性部分175がローラ17の外側にずれることを防ぐ構成として、高剛性部材(第2剛性部分175)を一体構造にする。すなわち、
図6に示すように、第2剛性部分175は、第1剛性部分173のうち天板3の対向面に接触可能な領域を除いて、第1剛性部分173を囲むように一体的に構成される。なお、天板制御機能については、第1の実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0033】
(第3の変形例)
第1の実施形態および第1、第2の変形例との相違は、ローラ17の構成が異なることにある。
図7は、第2の変形例と同様に、第1の実施形態および第1の変形例より耐久性を有するローラ17の構成の一例を示す図である。第2の変形例との相違点は、よりシンプルな部品の組み合わせにより、第2の変形例より安価に、第2の変形例と同じ効果を得ることをできる点にある。
【0034】
第3の変形例によれば、ローラ17は、天板3による押圧による第2剛性部分175の回転軸171方向に沿った弾性変形を抑制する弾性変形抑制部をさらに有する。具体的には、弾性変形抑制部は、第2剛性部分175において、回転軸方向に垂直な側面における弾性変形を抑制するフランジ19を有する。フランジ19は、固定部21を介して回転軸接続部177に固定される。固定部19とは、例えばねじである。
【0035】
図7において、第1剛性部分173を左右外側から挟む2つの第2剛性部分(高剛性部材)175は、それぞれ別の構成部品として分かれている。しかしながら、ローラ17の端部において、第2剛性部分175各々は、回転軸接続部177に、円板状部品(フランジ19)とネジ(固定部21)とを介して固定される。この固定より、事実上、第2の変形例と同様に、2つの第2の剛性部分175を一体構造として構成することができる。これにより、左右外側の高剛性部材(第2剛性部分175)が外側にずれることを防ぎ、より耐久性を有するローラ17を構成することができる。なお、天板制御機能については、第1の実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0036】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態における医用寝台装置1によれば、より安価に必要性能を実現する方法として、ローラ17の材質、構成、形状を工夫し、ローラ17に対する荷重の影響を大幅に減らすことで、必要な移動性能を実現することができる。すなわち、被検体Pを載置した天板3を天板3の背面側に配置されたローラにより搬送する構成を有する寝台装置では、荷重変動の影響を荷重センサにより検出し、検出した情報を用いた制御を行うことで、天板3の移動性能(移動速度や停止位置精度など)を確保していたが、本実施形態の医用寝台装置1によれば、ローラ17の材質、構成、形状の工夫により、荷重センサなどの構成要素が必要なく、より安価に同等の移動性能を有する寝台装置を実現することが可能となる。
【0037】
本実施形態における医用寝台装置1によれば、天板3を移動させるローラ17の構成として、ローラ17の内側の低剛性材質としてゴム系材質(第1剛性部分173)を用い、この低剛性材質を挟む形で左右の外側に高剛性材質として樹脂系材質(第2剛性部分175)を用いることができる。すなわち、移動性能に影響を与えるゴム系材質部(第1剛性部分173)の変形量を抑える構成として、ゴム系材質(第1剛性部分173)の両側に高剛性材質(第2剛性部分175)が配置される。加えて、ローラ17の寸法的制約およびローラ17の取り付け位置として、天板3に被検体Pが未載置であって、かつ天板3が図示していない架台開口部から出された状態において、ローラ17の内側のゴム系材質部(第1剛性部分173)、および左右外側の高剛性材質部(第2剛性部分175)とのうち少なくとも一つが、少なくとも1点以上天板の下面(対向面)と接触する状態となる。
【0038】
以上のことから、本実施形態に係る医用寝台装置1によれば、天板3との間で所定の摩擦力を有し、かつローラ17に係る荷重の影響を受けない、つまりローラ17自体が荷重により変形しにくいローラ17を実現することができる。これにより、天板3に被検体Pが搭載され、天板3が架台開口部内に送り込まれ、かつローラ17にかかる荷重が増えた場合においても、高剛性材質部(第2剛性部分175)により、内側のゴム系材質部(第1剛性部分173)の変形量を抑えることができ、移動性能を確保することができる。
【0039】
第1の変形例における医用寝台装置1によれば、第2の剛性部分175は、回転軸171の方向にそってテーパ状の形状を有する。加えて、天板3の下面(対向面)にゴム系材質部(第1剛性部分173)をしっかりと接触させるために、高剛性材質部(第2剛性部分175)のゴム系材質部側の外径は、ゴム系材質部(第1剛性部分173)の外径より小さい。ローラ17の形状をテーパ状とすることで、本第1の変形例におけるローラ17の変形量は、第1の実施形態に係るローラ17の変形量より、さらに抑えることができる。このため、第1の変形例に係る天板3の移動性能は、第1の実施形態に係る天板3の移動性能をより向上させることができる。
【0040】
第2の変形例における医用寝台装置1によれば、第1の実施形態および第1の変形例に比べて、より耐久性を向上させたローラ17を有する。すなわち、第2の変形例に係り医用寝台装置1によれば、第1剛性部分173を挟む高剛性部材(第2剛性部分175)を一体構造にすることができる。このような構成により、本第2の変形例によれば、第1の実施形態および第1の変形例に比べて、より耐久性を向上させたローラ17を有する医用寝台装置1を提供することができる。
【0041】
第3の変形例における医用寝台装置1によれば、第1の実施形態および第1の変形例に比べて、より耐久性を向上させ、第2の変形例とは構成の異なるたローラ17を有する。すなわち、シンプルな部品により構成される弾性変形抑制部(フランジ19および固定部21)を用いて、安価に第2の変形例と同等な効果を有するローラ17を有する医用寝台装置1を提供することができる。本変形例によれば、回転軸接続部177に弾性変形抑制部を設けることで、第2剛性部分175が回転軸171に沿ってずれることを防止でき、より耐久性を有するローラ17となる。
【0042】
以上のことから、本実施形態によれば、より安価に、かつ要求される移動性能を維持した医用寝台装置1を、提供することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る医用画像診断装置の一例として、X線CT装置を説明する。なお、X線CT装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate−Type、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管が被検体の周囲を回転するStationary/Rotate−Type等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。
【0044】
また、画像を再構成するには被検体の周囲一周、360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ファン角度分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式に対しても本実施形態へ適用可能である。また、入射X線を電荷に変化するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線によるセレン等の半導体内での電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよい。
【0045】
さらに、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転フレームに搭載したいわゆる多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線コンピュータ断層撮影装置であっても、多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置であってもいずれも適用可能である。多管球型である場合、複数の管球にそれぞれ印加される複数の管電圧は、それぞれ異なる(多管球方式)。ここでは、一管球型として説明する。
【0046】
また、X線検出素子は、低エネルギーX線を検出する前面検出部分と、前面検出器の背面に設けられ、高エネルギーX線を検出する背面検出部分とを有する2層検出素子であってもよい。ここでは、説明を簡単にするため、X線検出器は、1層のX線検出素子であるものとする。
【0047】
図8は、本実施形態に係るX線CT装置の構成の一例を示す構成図である。
図8に示すように、X線CT装置100は、架台部200と、前処理部300と、再構成部400と、記憶部500と、表示部600と、入力部700と、システムコントローラ800と、第1の実施形態に係る医用寝台装置1に対応する寝台1とを有する。なお、X線CT装置100は、図示していないインターフェース(以下、I/Fと呼ぶ)を有していてもよい。I/Fは、本X線CT装置1を電子的通信回線(以下、ネットワークと呼ぶ)と接続する。ネットワークには、図示していない放射線部門情報管理システム、病院情報システム、他の医用画像診断装置などが接続される。
【0048】
架台部200には、図示していない回転支持機構が収容される。回転支持機構は、回転フレーム201と、回転フレーム201の回転軸Zを中心として回転自在に回転フレーム201を支持するフレーム支持機構と、回転フレーム201の回転を駆動する図示していない回転駆動部(電動機)とを有する。
【0049】
回転フレーム201には、高電圧発生部203と、X線管205と、コリメータユニット207と、2次元アレイ型または多列型とも称されるX線検出部(以下、エリア検出器と呼ぶ)209と、データ収集回路(Data Acquisition System:以下、DASと呼ぶ)211と、非接触データ伝送部213と、図示していない冷却装置及びガントリ制御装置などが搭載される。
【0050】
高電圧発生部203は、後述するシステムコントローラ800による制御の下で、スリップリング215を介して供給された電力を用いて、X線管205に印加する管電圧と、X線管205に供給する管電流とを発生する。なお、高電圧発生部203は、架台部200の外部に設けられてもよい。このとき、高電圧発生部203は、スリップリング215を介して、管電圧をX線管205に印加し、管電流をX線管205に供給する。
【0051】
X線管205は、高電圧発生部203からの管電圧の印加および管電流の供給を受けて、X線の焦点からX線を放射する。
【0052】
コリメータユニット207は、X線管205の前面のX線放射窓に取り付けられる。コリメータユニット207は、複数のコリメータ板を有する。複数のコリメータ板は、X線の焦点から放射されたX線を、例えばコーンビーム形(角錐形)に整形する。X線の放射範囲は、
図8において点線217で示されている。X軸は、回転フレーム201の回転軸Zと直交し、鉛直方向上向きの直線である。Y軸は、X軸および回転軸Zと直交する直線である。
【0053】
エリア検出器209は、被検体を透過したX線を検出する。エリア検出器209は、回転軸Zを挟んでX線管205に対向する位置およびアングルで取り付けられる。エリア検出器209は、複数のX線検出素子を有する。ここでは、単一のX線検出素子が単一のチャンネルを構成しているものとして説明する。複数のチャンネルは、回転軸Zに直交し、かつ放射されるX線の焦点を中心として、この中心から1チャンネル分のX線検出素子の受光部中心までの距離を半径とする円弧方向(チャンネル方向)とスライス方向との2方向に関して2次元状に配列される。2次元状の配列は、上記チャンネル方向に沿って一次元状に配列された複数のチャンネルを、スライス方向に関して複数列並べて構成される。
【0054】
通常の撮影またはスキャン(以下、通常スキャンと呼ぶ)に際しては、被検体は天板3に載置される。次いで、被検体を載置した天板3は、X線管205とエリア検出器209との間の円筒形の撮影領域(開口部219)内に、架台部200の前面側(架台部200に対して寝台1が配置された側)から挿入される。
【0055】
エリア検出器209の出力側には、データ収集回路(Data Acquisition System:以下、DASと呼ぶ)211が接続される。DAS211には、エリア検出器209の各チャンネルの電流信号を電圧に変換するI−V変換器と、この電圧信号をX線の曝射周期に同期して周期的に積分する積分器と、この積分器の出力信号を増幅するアンプと、このアンプの出力信号をディジタル信号変換するアナログ・ディジタル・コンバータとが、チャンネルごとに取り付けられている。DAS211は、後述するシステムコントローラ800による制御のもとで、積分器における積分間隔をスキャンに応じて変更する。DAS211から出力されるデータ(純生データ(pure raw data))は、磁気送受信又は光送受信を用いた非接触データ伝送部213を経由して、前処理部300に伝送される。
【0056】
前処理部300は、DAS211から出力された純生データに対して前処理を施す。前処理には、例えばチャンネル間の感度不均一補正処理、X線強吸収体、主に金属部による極端な信号強度の低下または、信号脱落を補正する処理等が含まれる。前処理部300から出力された再構成処理直前のデータ(生データ(raw data)または、投影データと称される、ここでは投影データと呼ぶ)は、データ収集したときのビュー角と関連付けられて、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリを備えた記憶部500に記憶される。
【0057】
ここでは説明の便宜上、ワンショットで略同時に収集および補間したビュー角が同一であって、コーン角により規定される複数のチャンネルわたる一揃いの投影データを、投影データセットと称する。また、ビュー角は、X線管107が回転軸Zを中心として周回する円軌道の各位置を、回転軸Zから鉛直上向きにおける円軌道の最上部を0°として360°の範囲の角度で表したものである。なお、投影データセットの各チャンネルに対する投影データは、ビュー角、コーン角、チャンネル番号によって識別される。
【0058】
再構成部400は、ビューアングルが360°又は180°+ファン角の範囲内の投影データセットに基づいて、フェルドカンプ法またはコーンビーム再構成法により、再構成領域に関する略円柱形の3次元画像(ボリュームデータ)を再構成する機能を有する。再構成部400は、例えばファンビーム再構成法(ファンビーム・コンボリューション・バックプロジェクション法ともいう)またはフィルタード・バックプロジェクション法により2次元画像(断層画像)を再構成する機能を有する。フェルドカンプ法は、コーンビームのように再構成面に対して投影レイが交差する場合の再構成法である。フェルドカンプ法は、コーン角が小さいことを前提として畳み込みの際にはファン投影ビームとみなして処理し、逆投影はスキャンの際のレイに沿って処理する近似的画像再構成法である。コーンビーム再構成法は、フェルドカンプ法よりもコーン角のエラーが抑えられる方法として、再構成面に対するレイの角度に応じて投影データを補正する再構成法である。
【0059】
記憶部500は、再構成部400で再構成された医用画像(以下、再構成画像と呼ぶ)、複数の投影データセットなどを記憶する。記憶部500は、後述する入力部700により入力された操作者の指示、画像処理の条件、撮影条件などの情報を記憶する。記憶部500は、X線コンピュータ断層撮影のために、ガントリ100、後述する寝台1などを制御する制御プログラムを記憶する。
【0060】
記憶部500は、天板3の移動速度に対する天板3の停止指示に伴う天板3の停止距離を示す複数の対応表と、天板3の停止位置とを記憶する。記憶部500は、後述する入力部700を介して入力された被検体Pの荷重範囲(患者情報)と、被検体Pに対する撮影範囲とを記憶する。なお、記憶部500は、入力部700を介して入力された天板3の移動範囲(撮影条件)に基づいて後述するシステムコントローラ800により決定された天板3の停止位置を決定してもよい。ここで、対応表とは、例えば、
図3に示すような対応表である。
【0061】
表示部600は、再構成部400で再構成された医用画像、スキャノ像、X線コンピュータ断層撮影のために設定されるスキャン条件および再構成処理に関する再構成条件などを入力するための入力画面などを表示する。
【0062】
入力部700は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を本X線コンピュータ断層撮影装置1に取り込む。取り込まれた各種指示・命令・情報・選択・設定は、後述するシステムコントローラ800に出力される。入力部700は、図示しないが、関心領域(ROI)の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。また、入力部700は、フットスイッチを有する。入力部700は、被検体に対するスキャンの開始位置および撮影条件等を決めるための撮影(以下、スキャノ(scano)撮影と呼ぶ)により発生され、表示されたスキャノ像に対して、スキャン範囲、天板3の移動範囲を入力する。
【0063】
入力部700は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標をシステムコントローラ800に出力する。なお、入力部700は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部700は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をシステムコントローラ800に出力する。
【0064】
入力部700は、被検体に関する情報(患者情報)を入力する。患者情報とは、例えば、被検体の体重、天板3における被検体の荷重範囲などである。なお、患者情報は、ネットワークおよび図示していないI/Fを介して、本X線CT装置100に取り込まれてもよい。また、入力部700は、被検体Pに対する撮影範囲、天板3の停止位置などを入力する。入力部700は、入力した情報をシステムコントローラ800に出力する。
【0065】
寝台1は、被検体Pを載置する天板3と、天板3の長手方向(長軸方向)に天板3を移動させる天板移動部5と、寝台本体7とを有する。天板3の載置面には、被検体Pが載置される。
図9は、本X線CT装置1に係り、寝台1および天板3と、架台部200とにおいて、側面における断面を示した断面図である。寝台1は、天板3の長手方向に天板3を移動させることで、被検体Pを架台部200の開口部219内に送り込む。このとき、被検体全体を広範囲に撮影するために、天板3は、長手方向の一端部が片持ちに支持される。片持ち支持された反対側の天板3の下部に配置されたローラ17は、天板3に接触する。天板3は、ローラ17の回転により移動する。天板3が片持ち支持される構成として、
図9では直動軸受153に天板3の一端が固定される。ローラ17の回転により、天板3は水平方向に移動し、
図10に示すように開口部219内に送り込まれる。
【0066】
天板移動部5は、天板3の長軸方向に天板3を移動させるローラ17と、長軸方向に沿って天板3を移動可能に支持する支持機構15とを有する。支持機構15は、例えば、移動レール151と直動軸受153とを有する。移動レール151は、天板3の長軸方向に沿って、天板移動部5に設けられる。直動軸受153は、天板3の載置面に対向する対向面において、天板3の一端部分に設けられる。直動軸受153は、移動レール151に沿って、天板3を水平方向に移動可能に支持する。
【0067】
ローラ17は、天板3における載置面に対向する対向面、すなわち、天板3の背面に接触する。ローラ17は、動力伝達部71を介した動力の伝達により、回転軸171回りに回転する。ローラ17は、回転軸171回りの回転により、天板3を長軸方向に移動させる。
【0068】
天板3の短軸方向に沿ったローラ17の断面は、
図2、
図5乃至
図7のうちいずれの断面であってもよい。いずれの断面であってもローラ17は、ローラ17における回転軸171に沿った幅における中心部分には、低剛性材質としてゴム系材質(第1剛性部分173)が用いられる。この低剛性材質(第1剛性部分173)を挟む形で、第1剛性部分173の左右の外側には、高剛性材質として樹脂系材質(第2剛性部分175)が用いられる。
【0069】
移動性能を実現するためのローラ17には、天板3との接触部分で所定の摩擦力を有し、かつローラ17に係る荷重の影響を受けない、つまりローラ17自体が荷重により変形しにくいことが要求される。このため、内側の低剛性材質(第1剛性部分173)として摩擦力を有するゴム系材質を用いることが望ましい。一方、ゴム系材質部分の変形量が変化すると移動性能に影響を与えることから、変形量を抑える構成として、ゴム系材質の両側に高剛性材質(第2剛性部分175)を配置する必要がある。なお、第2剛性部分175には、樹脂系材質の他に金属などの高剛性材質が用いられても良い。また、ローラ175の寸法的制約および本寝台装置1へのローラ17の取り付け位置としては、天板3に被検体Pが未載置であって、天板3が長軸方向に張り出していない状態において、ローラ17の内側のゴム系材質部(第1剛性部分173)と左右外側の高剛性材質部(第2剛性部分175)とのうち少なくとも一方が、少なくとも1点以上で、天板3の下面(対向面)と接触する状態となることが必要である。
【0070】
これにより、被検体Pを載置した天板3を架台開口部219内に送り込むことにより、ローラ17にかかる荷重が増えた場合であっても、高剛性材質部(第2剛性部分175)により、内側のゴム系材質部(第1剛性部分173)の変形量が抑えられる構成となる。これらのことから、本寝台装置1は、所望の移動性能を実現することができる。なお、ローラ17の構成については、第1の実施形態および第1乃至第3の変形例と同様なため、説明は省略する。
【0071】
システムコントローラ800は、本X線コンピュータ断層撮影装置100の中枢として機能する。システムコントローラ800は、図示しないCPUとメモリとを備える。システムコントローラ800は、図示していないメモリに記憶された検査スケジュールデータと制御プログラムとに基づいて、被検体Pに対するX線コンピュータ断層撮影のために高電圧発生部203、および架台部200、寝台1などを制御する。具体的には、システムコントローラ800は、入力部700などから送られてくる操作者の指示などを、一時的に図示していないメモリに記憶する。システムコントローラ800は、、メモリに一時的に記憶された情報に基づいて、高電圧発生部203、および架台部200、寝台1などを制御する。システムコントローラ800は、所定の画像発生・表示等を実行するための制御プログラムを、記憶部500から読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・処理等を実行する。
【0072】
システムコントローラ800は、入力部700を介して入力された天板3の停止指示、あらかじめ設定された天板3の移動範囲に応じて、被検体Pの体重、天板3の張り出し量、対応表などに基づいて、駆動制御部75、駆動部73などを制御してもよい。すなわち、システムコントローラ800は、駆動制御部75で実行される天板制御機能を実行してもよい。
【0073】
具体的には、システムコントローラ800は、移動範囲と荷重範囲とに基づいて、天板3の移動速度を決定する。システムコントローラ800は、決定した移動速度と対応表と荷重範囲とに基づいて、天板3の停止距離を決定する。システムコントローラ800は、決定した停止距離で天板3を停止させるために、駆動制御部75、駆動部73を制御する。なお、天板制御機能については、第1の実施形態と同様に、駆動制御部75により実行されてもよい。
【0074】
(天板制御機能)
本実施形態に係る天板制御機能は、従来より安価にかつ従来と同等性能を有する天板制御を実行することを目的としている。このため、本天板制御機能は、制御用センサ等を用いたフィードバック制御ではなく、事前に取得したデータを用いたオープン制御により、天板3の移動を制御する機能であることが望ましい。なお、寝台1に設けられた図示していない制御用センサ(例えば、天板3の位置を検出する天板位置センサ)等を用いて、上記天板制御が、例えばフィードバック制御により実行されてもよい。
【0075】
一般的に天板3の移動速度に応じて停止距離は異なることから、本実施形態では、入力された被検体Pの荷重範囲と、天板3の移動範囲とに基づいて、天板の移動速度が決定される。次いで、記憶部500から、決定された移動速度に対する停止距離の対応表が読み出される。読み出された対応表に基づいて、決定された天板3の移動速度に対して、停止距離の代表値(例えば平均値)が決定される。このように、記憶部に記憶された対応表と、入力部700を介して入力された情報を用いて、天板5の移動の制御を行うことで、より高い移動性能を実現する。
【0076】
図11は、本天板制御機能に関する各処理の手順の一例を示すフローチャートである。
入力部700を介して、天板3の移動範囲と被検体Pの荷重範囲とが入力される(ステップSb1)。なお、天板3の移動範囲は、被検体Pに対する撮影条件により決定されてもよい。また、被検体Pの荷重範囲は、被検体Pに関する患者情報により決定されてもよい。
【0077】
移動範囲と荷重範囲とに基づいて(または動作モードに基づいて)、天板3の移動速度が決定される(ステップSb2)。次いで、記憶部500から、天板3の移動速度に対する天板3の停止距離の対応表が読み出される(ステップSb3)。対応表と、天板3の移動速度と、必要に応じて天板3の移動範囲と、荷重範囲とに基づいて、天板3の停止距離が決定される(ステップSb4)。決定した停止距離で天板3を停止させるために、駆動部73が制御される(ステップSb5)。
【0078】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態におけるX線CT装置100によれば、天板3の移動に関してより安価に必要性能を実現する方法として、ローラ17の材質、構成、形状を工夫し、ローラ17に対する荷重の影響を大幅に減らすことで、必要な移動性能を実現することができる。すなわち、本X線CT装置100における寝台1によれば、荷重センサなどの構成要素が必要なく、より安価に同等の移動性能を有する寝台1を実現することが可能となる。
【0079】
なお、第2の実施形態としてX線CT装置を例として説明したが、本寝台1を有する医用画像診断装置としては、例えば、X線診断装置である場合、架台部200に代わりにX線撮影部が適用される。このとき、X線撮影部は、X線管205とX線検出部209とを対向して支持するCアームまたはΩアームを有する。架台部200とX線撮影部とをまとめて、撮影部と称する。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。