(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181548
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】廃棄物処理設備
(51)【国際特許分類】
F23G 5/46 20060101AFI20170807BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20170807BHJP
F23L 17/00 20060101ALI20170807BHJP
F23J 15/04 20060101ALI20170807BHJP
C02F 11/06 20060101ALI20170807BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20170807BHJP
F23L 15/00 20060101ALI20170807BHJP
F23L 5/02 20060101ALI20170807BHJP
F23L 17/14 20060101ALI20170807BHJP
F02C 7/08 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
F23G5/46 AZAB
F23J15/00 F
F23L17/00 601C
F23J15/04
C02F11/06 B
B01D53/50 270
F23L15/00 A
F23L5/02
F23L17/14 H
F02C7/08 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-266840(P2013-266840)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-167382(P2014-167382A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2016年8月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-17341(P2013-17341)
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】小関 泰志
(72)【発明者】
【氏名】岸 直樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 正將
【審査官】
宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−074359(JP,A)
【文献】
特開2005−321131(JP,A)
【文献】
特開2002−371860(JP,A)
【文献】
特開平05−332501(JP,A)
【文献】
特表2004−506832(JP,A)
【文献】
特開2009−121778(JP,A)
【文献】
特開2007−170703(JP,A)
【文献】
特開平06−347181(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3038585(JP,U)
【文献】
特開昭50−132343(JP,A)
【文献】
特開2003−193865(JP,A)
【文献】
特開2001−295612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/46
B01D 53/50
C02F 11/06
F02C 7/08
F23J 15/00
F23J 15/04
F23L 5/02
F23L 15/00
F23L 17/00
F23L 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を燃焼して排ガスを排出する燃焼手段と、
前記燃焼手段から排出された前記排ガスと気体との間において熱交換を行う熱交換手段と、
前記排ガスに対して所定の排ガス処理を行う排ガス処理手段と、
前記熱交換手段に気体を供給するとともに、前記熱交換手段において加熱された気体を前記燃焼手段および前記気体の熱を利用する熱利用手段に供給する過給手段と、
を備え、
前記気体が空気であり、
前記過給手段が、前記熱交換手段により加熱された前記気体のエネルギーによって気体を前記熱交換手段に供給可能に構成されているとともに、前記加熱された気体を排出して前記燃焼手段および前記熱利用手段に供給可能に構成されていることを特徴とする廃棄物処理設備。
【請求項2】
前記排ガス処理手段が排ガスを洗浄して排気部から排気する洗浄手段を有し、前記熱利用手段が前記排気部を含むことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理設備。
【請求項3】
前記排ガス処理手段が、前記熱交換手段を通過した排ガスから不純物を除去して集塵する集塵手段と、前記排ガスを洗浄して排気部から排気する洗浄手段との少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1または2に記載の廃棄物処理設備。
【請求項4】
前記過給手段が、コンプレッサー部およびタービン部を有し、前記熱交換手段により加熱された前記気体を前記タービン部に供給して前記タービン部を回転させると共に前記タービン部に接続された前記コンプレッサー部を駆動して外部から気体を吸引して圧縮し、前記コンプレッサー部により外部から吸引した気体を前記熱交換手段に供給可能に構成されているとともに、前記加熱された気体を前記タービン部から排出して前記燃焼手段および前記熱利用手段に供給可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の廃棄物処理設備。
【請求項5】
前記過給手段が、前記過給手段の駆動に応じて電力を出力可能に構成された発電手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の廃棄物処理設備。
【請求項6】
前記排ガス処理手段の後段に誘引手段をさらに備え、前記誘引手段によって前記排ガス処理手段内から気体を誘引することによって、前記燃焼手段から、前記熱交換手段、および前記排ガス処理手段に順次排ガスを通過可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の廃棄物処理設備。
【請求項7】
前記燃焼手段の内部の圧力を、大気圧より前記廃棄物処理設備における圧力損失以上高くして、前記燃焼手段から、前記熱交換手段、および前記排ガス処理手段に順次排ガスを通過可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の廃棄物処理設備。
【請求項8】
前記排ガス処理手段が、前記熱交換手段を通過した排ガスから不純物を除去して集塵する集塵手段と、前記集塵手段を通過した前記排ガスを洗浄して排気部から排気する洗浄手段とを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の廃棄物処理設備。
【請求項9】
前記熱交換手段が、前記排ガスが流通する外管と、前記外管に挿通されて前記気体が流通する少なくとも一本の内管とを備える熱交換器を有し、
前記外管の流路断面積が、前記内管の流路断面積よりも大きいことを特徴とする、請求項3または8に記載の廃棄物処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃熱から動力回収および電力回収を行う発電機付きタービンを備えた廃棄物処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥等の脱水汚泥は、焼却、乾燥、炭化等、汚泥の熱処理時の水分蒸発に多大なエネルギーが必要である。汚泥熱処理時の省エネルギーの観点から、そのエネルギーを有効に回収し、再利用することが期待されている。
【0003】
図3は、従来技術による廃棄物処理設備を示す。
図3に示すように、従来技術による廃棄物処理設備100は、焼却炉101、流動空気ブロワ102、流動空気熱交換器103、白煙防止用空気熱交換器104、白防空気ブロワ105、集塵機106、および煙突107aを備えたスクラバ107を備えて構成されている(特許文献1等参照)。
【0004】
この廃棄物処理設備100においては、汚泥が焼却炉101に投入されて焼却されて焼却排ガスを排出する。そして、焼却炉101の直後に配置された流動空気熱交換器103においては、高温の焼却排ガスによって焼却炉101で使用する流動空気を予熱する。また、流動空気熱交換器103の直後に配置された白煙防止用空気熱交換器104においては、焼却排ガスによって白煙防止用空気を加熱する。ここで、焼却炉101から排出される高温の焼却排ガス中には、多量の焼却灰が含まれているとともに、SO
Xなどの有害成分が含有されている。そのため、集塵機106により焼却排ガスから焼却灰を除去し、さらにスクラバ107により焼却排ガスに洗浄水を気液接触させることでSO
Xなどを除去した後、この焼却排ガスを煙突107aから放出する。なお、スクラバ107を通過した焼却排ガスは飽和濃度の水蒸気を含むため、白煙防止用空気熱交換器104において加熱した空気を煙突107aに供給して、白煙の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5027697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年の電力削減および低コスト化の要請から、特許文献1に記載されたような廃棄物処理設備において、設置設備をさらに削減して、電力消費量を削減できる技術の開発が求められている。さらに、省エネルギーの観点からは、廃棄物処理設備から生じて放出されている廃熱についても有効利用する技術の開発が進められており、廃熱を有効に利用することによって電力消費量を削減する技術も要請されていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、廃棄物処理設備における設置設備を削減するとともに、放出される廃熱を有効利用して電力消費量を削減できる廃棄物処理設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明に係る廃棄物処理設備は、廃棄物を燃焼して排ガスを排出する燃焼手段と、燃焼手段から排出された排ガスと気体との間において熱交換を行う熱交換手段と、排ガスに対して所定の排ガス処理を行う排ガス処理手段と、熱交換手段に気体を供給するとともに、熱交換手段において加熱された気体を燃焼手段および気体の熱を利用する熱利用手段に供給する過給手段と、を備えることを特徴とする。このように、熱交換手段および過給手段を設ければ、設置設備を削減しつつ、燃焼手段から排出される排ガスの廃熱を有効利用して電力消費量を削減することができる。
【0009】
ここで、本発明に係る廃棄物処理設備は、排ガス処理手段が排ガスを洗浄して排気部から排気する洗浄手段を有し、熱利用手段が排気部を含むことが好ましい。このようにすれば、熱交換手段において加熱された気体の熱を洗浄手段の排気部において有効に利用し、排ガスの廃熱を更に有効利用することができるからである。
【0010】
また、本発明に係る廃棄物処理設備は、排ガス処理手段が、熱交換手段を通過した排ガスから不純物を除去して集塵する集塵手段と、排ガスを洗浄して排気部から排気する洗浄手段との少なくとも一方を有することが好ましい。このようにすれば、熱交換手段において廃熱を有効利用した後の排ガスを良好に処理することができるからである。
【0011】
更に、本発明に係る廃棄物処理設備は、過給手段が、熱交換手段により加熱された気体のエネルギーによって気体を熱交換手段に供給可能に構成されているとともに、加熱された気体を排出して燃焼手段および熱利用手段に供給可能に構成されていることが好ましい。このようにすれば、熱交換手段において加熱された気体のエネルギーを過給手段において有効に利用し、排ガスの廃熱を更に有効利用することができるからである。
【0012】
また、本発明に係る廃棄物処理設備は、過給手段が、過給手段の駆動に応じて電力を出力可能に構成された発電手段を備えることが好ましい。このようにすれば、廃棄物処理設備全体としての電力消費量を更に削減することができるからである。
【0013】
ここで、本発明に係る廃棄物処理設備は、排ガス処理手段の後段に誘引手段をさらに備え、誘引手段によって排ガス処理手段内から気体を誘引することによって、燃焼手段から、熱交換手段、および排ガス処理手段に順次排ガスを通過させるように構成されていることが好ましい。このようにすれば、処理後の排ガスを誘引手段で誘引することができるので、誘引手段に要求される性能(例えば、耐腐食性など)を低減させ、設備コストを低減することができるからである。
【0014】
或いは、本発明に係る廃棄物処理設備は、燃焼手段の内部の圧力を、大気圧より廃棄物処理設備における圧力損失以上高くして、燃焼手段から、熱交換手段、および排ガス処理手段に順次排ガスを通過可能に構成されていることが好ましい。このようにすれば、排ガスの誘引手段を設ける必要がないので、設置設備を更に削減することができる。
【0015】
そして、本発明に係る廃棄物処理設備は、排ガス処理手段が、熱交換手段を通過した排ガスから不純物を除去して集塵する集塵手段と、集塵手段を通過した排ガスを洗浄して排気部から排気する洗浄手段とを有することが好ましい。このようにすれば、熱交換手段において排ガス中の不純物が有する熱も利用した後に集塵を行うことができると共に、集塵手段に要求される耐熱性を低減することができるからである。
【0016】
また、本発明に係る廃棄物処理設備は、熱交換手段を通過した排ガスから不純物を除去して集塵する集塵手段を有する場合、熱交換手段が、排ガスが流通する外管と、外管に挿通されて気体が流通する少なくとも一本の内管とを備える熱交換器を有し、外管の流路断面積が、内管の流路断面積よりも大きいことが好ましい。このようにすれば、集塵前の排ガスを熱交換手段に流通させた場合であっても、排ガス中の不純物により熱交換器が閉塞するのを抑制することができるからである。また、通常、排ガスの圧力は過給手段から供給される気体よりも低いので、外管内に排ガスを流通させれば外管全体を耐圧構造とする必要がなく、熱交換器の設置に要するコストを低減することができるからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る廃棄物処理設備によれば、廃棄物処理設備における設置設備を削減するとともに、放出される廃熱を有効利用して電力消費量を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による廃棄物処理設備である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態による廃棄物処理設備である。
【
図3】
図3は、従来技術による廃棄物処理設備である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0020】
まず、本発明の第1の実施形態による廃棄物処理設備について説明する。
図1は、この第1の実施形態による廃棄物処理設備を示す。
【0021】
図1に示すように、この第1の実施形態による廃棄物処理設備1は、焼却炉11、ガスタービン12、過熱器13、熱交換器14、集塵機15、煙突16aが設けられたスクラバ16、および誘引ファン17を備える。ガスタービン12には、発電手段としてのジェネレータ12cが設けられている。
【0022】
まず、燃焼手段としての焼却炉11に供給される例えば汚泥などの廃棄物は、約3%の固形分濃度(水分含有率97%)の汚泥を例えば回転加圧脱水機などによって、水分含有率が例えば65%〜80%、好適には、65%〜75%程度にまで脱水された汚泥である。なお、廃棄物は汚泥に限られない。
【0023】
脱水された廃棄物は、焼却炉11に投入されて焼却される。廃棄物の焼却炉11においては各種形式があるが、最近ではダイオキシンの発生防止や設備小型化の観点から、流動焼却炉を採用するのが好ましい。なお、廃棄物の水分含有率が80%以上の場合においては、焼却炉11内において廃棄物を自燃させることが困難であるため、必要に応じて焼却炉11内に補助燃料が供給される。
【0024】
また、焼却炉11の後段には、焼却炉11から排出された焼却排ガスと、ガスタービン12を介して外部から供給された空気との間で熱交換が可能な熱交換手段としての熱交換器14が配置されている。即ち、焼却炉11と、熱交換器14の焼却排ガスが流通する側とは、焼却排ガスラインを介して接続されている。また、熱交換器14の空気が流通する側と、後述するガスタービン12のコンプレッサー部12aとは、空気供給ラインを介して接続されている。そして、熱交換器14は、焼却炉11において使用する燃焼気体としての燃焼空気や、熱利用手段としての、排気部である煙突16aまたはその他の熱を利用する設備において使用する流動空気や作動空気などの空気を高温の焼却排ガスによって予熱する。
【0025】
また、過給手段としてのガスタービン12は、例えばマイクロガスタービンなどから構成され、コンプレッサー部12aとタービン部12bとを有する。このガスタービン12は、コンプレッサー部12aにより外部から吸引した空気等の気体を加圧し、空気供給ラインを介して熱交換器14に供給するとともに、熱交換器14から排出された空気が任意に過熱器13によって温度調整されてタービン部12bに戻されることで過給動作を行う。すなわち、熱交換器14において加熱された空気は、熱交換器14と過熱器13とを接続する加熱空気供給ラインを介して過熱器13に供給され、過熱器13は、必要に応じて供給補助燃料が供給されて空気を過熱し、この空気をガスタービン12のタービン部12bに過熱空気供給ラインを介して供給する。そして、少なくとも熱交換器14によって加熱された空気のエネルギーによってガスタービン12が駆動し、外部から空気を吸引して圧縮するとともに例えば回転力などの動力を出力する。具体的には、加熱された空気のエネルギーによってガスタービン12のタービン部12bを回転させると共にタービン部12bに接続されたコンプレッサー部12aを駆動して外部から空気を吸引して圧縮(加圧)し、更に、タービン部12bに接続されたジェネレータ12cに回転力などの動力を出力する。このようにして、ガスタービン12は、焼却炉11の廃熱を、熱交換器14を通じて駆動用の動力に変換している。なお、ジェネレータ12cは、このガスタービン12から出力された駆動用の動力を電力に変換して出力可能に構成されている。
因みに、廃棄物処理設備1の起動時におけるガスタービン12のタービン部12bへの空気の供給は、任意の手段を用いて行うことができる。具体的には、空気の供給は、図示しない起動用ブロアを用いて行ってもよい。また、空気の供給は、ガスタービン12に電力を供給し、インバーター制御などを利用しつつコンプレッサー12aを駆動させることにより行ってもよい。更に、空気の供給は、過熱器13に燃料を供給し、燃焼させることによって行なってもよい。
【0026】
ここで、このガスタービン12が外部から吸引する空気の流量は、焼却炉11における焼却に要する空気の流量の例えば1.5倍以上の流量とする。そして、ガスタービン12は、吸引した空気の一部を、焼却炉11における廃棄物の焼却に必要な燃焼空気として、焼却炉11に供給する。具体的には、ガスタービン12のタービン部12bと、焼却炉11とは燃焼空気供給ラインを介して接続されており、過熱器13側からタービン部12bに供給されてエネルギーの一部を消費された空気の少なくとも一部は、燃焼空気として焼却炉11に供給される。なお、ガスタービン12の内部には主に清浄な空気が流れるので、腐食等が発生しにくくなるため、ガスタービン12および過熱器13の長寿命化を実現できる。なお、タービン部12bから排出される空気(タービン部12bに供給されてエネルギーの一部を消費された空気)のうち、燃焼空気以外の、焼却炉11に供給されない空気の残部については後述する。
【0027】
他方、焼却炉11から排出される排ガスである高温の焼却排ガス中には、焼却灰およびSO
Xなどの有害成分が含まれる。そこで、焼却排ガスは、熱交換器14を通過した後に集塵機15に供給される。即ち、熱交換器14の焼却排ガスが流通する側と、集塵機15とは、第一排ガス処理ラインを介して接続されており、集塵手段としての集塵機15は、熱交換後の焼却排ガスから不純物としての焼却灰などを除去する。その後、焼却灰などの固形分が除去された焼却排ガスは、スクラバ16に供給される。即ち、集塵機15とスクラバ16とは、第二排ガス処理ラインを介して接続されており、洗浄手段としてのスクラバ16は、焼却灰などの固形分が除去された焼却排ガスを洗浄水と気液接触させ、焼却排ガスからSO
Xなどの有害成分を除去した後、この清浄化された焼却排ガスを排気部としての煙突16aから放出させる。その結果、排ガス処理手段の少なくとも一部としての集塵機15およびスクラバ16によって、焼却排ガスに対して排ガス処理が行われる。
【0028】
ここで、スクラバ16を通過した焼却排ガスは、飽和濃度の水蒸気を含む。そのため、焼却排ガスを煙突16aからそのままの状態で大気中に放出すると水蒸気の凝結による白煙が生じる。そこで、この第1の実施形態においては、ガスタービン12から、加熱された空気を煙突16aに供給する。すなわち、この第1の実施形態においては、タービン部12bと焼却炉11とを接続する燃焼空気供給ラインから分岐して延びる白煙防止ラインを介して、ガスタービン12から、焼却炉11に供給された燃焼空気以外の空気の残部を煙突16aに直接的に供給する。これにより、煙突16aから排気される焼却排ガスにおける白煙を防止する。すなわち、ガスタービン12から煙突16aに供給される加熱された空気を、白煙防止用空気として用いる。
【0029】
また、スクラバ16の後段には、誘引手段としての誘引ファン17が設けられている。この誘引ファン17は、スクラバ16の内部の気体を誘引することによって、焼却炉11から、熱交換器14、集塵機15、およびスクラバ16に順次焼却排ガスを流動可能に構成されている。誘引ファン17は誘引した気体を煙突16aに供給して排気する。
【0030】
以上説明した本発明の第1の実施形態による廃棄物処理設備によれば、熱交換器14において加熱された空気の一部をガスタービン12によって煙突16aに供給して白煙を防止していることにより、従来技術に比して、白煙防止用空気熱交換器などを設ける必要が無いため、従来に比して、設置設備を削減することができると共に、廃棄物処理設備1における消費電力量を大幅に削減することが可能となる。
【0031】
また、この第1の実施形態によれば、焼却炉11の廃熱を利用してガスタービン12を駆動させ、いわゆる廃熱を動力に変換していることにより、この動力によって空気を、燃焼空気として焼却炉11に供給するとともに、煙突16aにも供給することができるので、従来に比して流動空気用ブロワや白煙防止空気用ブロワが不要になるとともに、さらに余剰な廃熱がある場合には発電が可能となる。具体的には、従来の廃棄物処理設備に比して、例えば、廃棄物の含水率が74%の場合には、外部の消費電力量を97%〜110%程度削減することが可能になることが確認された。すなわち、ガスタービン12の駆動によってジェネレータ12cからの発電による電力回収もできて、売電可能な状態にまでなることが確認された。これにより、焼却排ガスの廃熱を有効利用しつつ、消費電力の観点から自立型の廃棄物処理設備が実現可能になる。
【0032】
更に、この第1の実施形態によれば、集塵機15において焼却灰などを除去する前の焼却排ガスを熱交換器14に供給するので、焼却灰が有する熱をも利用して空気を加熱することができる。また、集塵機を焼却炉の直後に設けた場合、熱交換器に供給する焼却排ガスから不純物を除去して熱交換器にかかる負担を低減することはできるものの、集塵機には高温の焼却排ガスが供給されるため、集塵機の耐熱性を高める必要がある。しかし、この第1の実施形態によれば、熱交換器14において熱を回収した後の焼却排ガスを集塵機15に供給するので、集塵機を焼却炉の直後に設ける場合と比較し、耐熱性の低い集塵機を使用して設備コストを低減することができる。
また、この第1の実施形態によれば、スクラバ16においてSO
Xなどの有害成分を除去した後の焼却排ガスを誘引ファン17で誘引しているので、スクラバ16の前段に誘引ファンを配置する場合と比較し、誘引ファン17に要求される性能(例えば、耐腐食性など)を低減させ、設備コストの増加を抑制することができる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施形態による廃棄物処理設備について説明する。
図2は、この第2の実施形態による廃棄物処理設備2を示す。
図2に示すように、この第2の実施形態による廃棄物処理設備2は、焼却炉21、コンプレッサー部22aとタービン部22bと発電手段としてのジェネレータ22cとが設けられたガスタービン22、過熱器23、熱交換器24、集塵機25、および煙突26aが設けられたスクラバ26を備え、第1の実施形態と異なり誘引ファンが備えられていない。
【0034】
この第2の実施形態においては、焼却炉21の内部が大気圧より廃棄物処理設備の圧力損失分以上に高い高圧力、具体的には例えば、大気圧より8〜10kPa程度高い高圧力になるように構成されている。この高圧力によって、焼却炉21が加圧運転され、焼却排ガスが、熱交換器24、集塵機25、スクラバ26および煙突26aに順次供給される。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0035】
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、焼却炉21内の圧力を高圧にして、廃棄物処理設備を運転していることにより、第1の実施形態における誘引ファンを設ける必要がなくなり、消費電力量をより一層削減することが可能となる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態においては、過給手段として、例えばジェネレータが設けられたマイクロガスタービン(MGT)などのガスタービンを採用しているが、ファン以外の、動力(電力)を必要とせず、ジェネレータが設けられていない通常の過給器などを採用することもできる。
【0038】
更に、本発明の廃棄物処理設備の熱交換器としては、既知の熱交換器を用いることができるが、集塵機の前段側に熱交換器を設置する場合には、熱交換器内の通路のうち、流路断面積が大きい側に焼却排ガスを流通させることが好ましい。特に、集塵機の前段側に熱交換器を設置する場合には、当該熱交換器は、焼却排ガスが内部を流通する外管と、当該外管に挿通されて空気が内部を流通する少なくとも一本の内管とを備え、外管の流路断面積が、各内管の流路断面積よりも大きいものであることが好ましい。流路断面積が大きい側に焼却排ガスを流通させれば、集塵機の前段側に熱交換器を設置して焼却灰などが有する熱を熱交換器で有効に回収した場合であっても、焼却灰などにより熱交換器の流路が閉塞するのを抑制することができる。また、ガスタービンのコンプレッサー部で加圧された空気は焼却排ガスに比べて高圧(例えば、ゲージ圧で50〜550kPa程度)であるところ、外管と内管とを有する熱交換器を使用する場合、外管内に低圧の焼却排ガスを流通させれば、外管全体を耐圧構造とする必要がなく、設備コストの増加を抑制することができる。ここで、このような熱交換器としては、特に限定されることなく、例えばU字型熱交換器などを挙げることができる。
なお、「流路断面積」とは、気体が流れる部分の、気体の流れ方向に直交する断面の面積を指す。
【符号の説明】
【0039】
1,2 廃棄物処理設備
11,21 焼却炉
12,22 ガスタービン
12a、22a コンプレッサー部
12b、22b タービン部
12c,22c ジェネレータ
13,23 過熱器
14,24 熱交換器
15,25 集塵機
16,26 スクラバ
16a,26a 煙突
17 誘引ファン