(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右一対の作動部材を多段に備え、前記左右一対の作動部材は、その間に蓋を配置可能に所定の間隔をもって互いに対向して配置され、各作動部材は、前記蓋を載置可能な蓋載せ板を有し、多段に備えた前記左右一対の作動部材のうち、左側及び右側のいずれか一方の側に位置する上から奇数段目の全ての作動部材と他方の側に位置する上から偶数段目の全ての作動部材とが連結されて第1作動部材群が構成され、前記一方の側に位置する上から偶数段目の全ての作動部材と前記他方の側に位置する上から奇数段目の全ての作動部材とが連結されて第2作動部材群が構成され、多段に備えた前記左右一対の作動部材の前記間隔が一段おきに幅狭状態又は幅広状態にされると共に各段において幅狭状態と幅広状態が交互に切り替わるように前記第1作動部材群と前記第2作動部材群とが互いに左右方向逆向きに移動自在とされ、前記左右一対の作動部材の前記間隔が幅狭状態のときは、その左右の各作動部材が有する蓋載せ板間の間隔が前記蓋の幅より小さい蓋載置可能状態となり、前記左右一対の作動部材間の間隔が幅広状態のときは、その左右の各作動部材が有する蓋載せ板間の間隔が前記蓋の幅よりも大きくなる落下許容状態となることを特徴とする蓋落下供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の蓋落下供給装置の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「左」、「右」は、特に明示しない限り、
図1における「左」、「右」を意味する。また、「上」、「下」は、特に明示しない限り、
図1における「上」、「下」を意味する。
【0014】
図1は、本発明の蓋落下供給装置の一実施形態を示した正面図である。
図2は、
図1の蓋落下供給装置の要部の側面図である。
図3は、
図1の蓋落下供給装置の要部を背面側から見た斜視図である。
図4及び
図5はそれぞれ、
図1の蓋落下供給装置における蓋収容箱の分解斜視図及び要部断面図である。
【0015】
蓋落下供給装置1は、
図1に示すとおり、蓋収容箱2を有する。蓋収容箱2は、正面、上端及び下端に開放面2a,2b,2cを有し、横断面コ字状で且つ上下方向に長手の所望の高さを有して形成されている。正面の開放面2aは、蓄電池用蓋等の蓋Cを蓋収容箱内に投入する開口として用いられ、下端の開放面2cは蓋Cを蓋収容箱2から外部の所定個所へ落下供給する開口として用いられる。本実施形態では、蓋収容箱2の下方に蓋搬送用コンベア60が設けられており、蓋搬送用コンベア60上に蓋Cを落下供給して蓋Cを一方向に次の作業工程へ搬送供給している。
【0016】
蓋収容箱2は、
図3に示すとおり、囲枠壁10と、その外側に配設される第1移動壁20と、さらにその外側に配設される第2移動壁30とを備えている。
【0017】
囲枠壁10は、平板状の背壁11と、その左右両端部に対向して設けられた平板状の側壁12,12とから構成され、横断面コ字状で且つ上下方向に長手の所望の高さを有している。左右の側壁12,12にはそれぞれ、表裏に貫通するスリット13が背面側から正面側に向かって延び上下方向に一定の間隔を存して設けられており、しかも左右の側壁12,12に設けられた左右のスリット13,13は対向するように設けられている。本実施形態では、左右の側壁12,12に左右のスリット13,13が上下方向に19段設けられている。
【0018】
第1移動壁20は、囲枠壁10の背壁11の外側に配置された平板状の背壁21と、その左右両端部の囲枠壁10の側壁12の外側に、背面側から正面側に向かって延び上下方向に一定の間隔を存して多段に設けられた板状の作動部材22とから構成される。
図1の例では、背壁21の左端部に作動部材221が上下方向に9段設けられ、背壁21の右端部に作動部材222が上下方向に10段設けられている。背壁21の左右両端部に多段に設けられた左右の作動部材221,222はそれぞれ矩形状の蓋載せ板23を有している。蓋載せ板23は作動部材22の内側面から内側に向かって突出し背面側から正面側に向かって延びるように形成されている。この蓋載せ板23は、囲枠壁10の側壁12に設けられているスリット13に挿通可能に所望の幅と長さを有して形成されている。
【0019】
左右の作動部材221,222のうち一方の側(
図1の例では右側)に位置する作動部材222は、比較的長く、その作動部材222が有する蓋載せ板23が囲枠壁10の左右の側壁12,12の左右のスリット13,13のうち一方の側(
図1の例では右側)に位置する上から奇数段目のスリット13に対応する位置になるように設けられている。また、左右の作動部材221,222のうち他方の側(
図1の例では左側)に位置する作動部材221は、比較的短く、その作動部材221が有する蓋載せ板23が囲枠壁10の左右の側壁12,12の左右のスリット13,13のうち他方の側(
図1の例では左側)に位置する上から偶数段目のスリット13に対応する位置になるように設けられている。このように多段に設けられた左右の作動部材221,222は背壁21により連結されて第1作動部材群を構成する。
【0020】
第1作動部材群は左右方向に移動自在とされている。第1作動部材群の左右方向の移動によって、作動部材22が有する蓋載せ板23を囲枠壁10の側壁12のスリット13に外側から挿通させて蓋載せ板23を側壁12の内側面より内側に突出させ、蓋載せ板23の上面を側壁12の内側に位置せしめる。
【0021】
第2移動壁30は、第1移動壁20の背壁21の外側に配置された平板状の背壁31と、その左右両端部の囲枠壁10の側壁12の外側に、背面側から正面側に向かって延び上下方向に一定の間隔を存して多段に設けられた板状の作動部材32とから構成される。
図1の例では、背壁31の左端部に作動部材321が上下方向に10段設けられ、背壁31の右端部に作動部材322が上下方向に9段設けられている。背壁31の左右両端部に多段に設けられた左右の作動部材321,322はそれぞれ矩形状の蓋載せ板33を有している。蓋載せ板33は作動部材32の内側面から内側に向かって突出し背面から正面に向かって延びるように形成されている。この蓋載せ板33は、囲枠壁10の側壁12に設けられているスリット13に挿通可能に所望の幅と長さを有して形成されている。
【0022】
左右の作動部材321,322のうち一方の側(
図1の例では右側)に位置する作動部材322は、比較的短く、その作動部材322が有する蓋載せ板33が囲枠壁10の左右の側壁12,12の左右のスリット13,13のうち一方の側(
図1の例では右側)に位置する上から偶数段目のスリット13に対応する位置になるように設けられている。左右の作動部材321,322のうち他方の側(
図1の例では左側)に位置する作動部材321は、比較的長く、その作動部材321が有する蓋載せ板33が囲枠壁10の左右の側壁12,12の左右のスリット13,13のうち他方の側(
図1の例では左側)に位置する上から奇数段目のスリット13に対応する位置になるように設けられている。このように多段に設けられた左右の作動部材321,322は背壁31により連結されて第2作動部材群を構成する。
【0023】
第2作動部材群は左右方向に移動自在とされている。第2作動部材群の左右方向の移動によって、作動部材32が有する蓋載せ板33を囲枠壁10の側壁12のスリット13に外側から挿通させて蓋載せ板33を側壁12の内側面より内側に突出させ、蓋載せ板33の上面を側壁12の内側に位置せしめる。
【0024】
このような囲枠壁10と第1移動壁20と第2移動壁30とを組み合わせて形成された蓋収容箱2は、第1移動壁20の一方の側に位置する作動部材222と第2移動壁30の他方の側に位置する作動部材321とがその間に蓋Cを配置可能に所定の間隔をもって互いに対向して配置されて左右一対の作動部材222,321が形成されており、また、第1移動壁10の他方の側に位置する作動部材221と第2移動壁30の一方の側に位置する作動部材322とがその間に蓋Cを配置可能に所定の間隔をもって互いに対向して配置されて左右一対の作動部材221,322が形成されている。こうして蓋収容箱2は、左右一対の作動部材22,32を多段(図示の例では19段)備えている。
【0025】
即ち、この実施形態では、多段に備えられた左右一対の作動部材の右側の奇数段目の作動部材と左側の偶数段目の作動部材を背壁21で連結して第1作動部材群を構成し、これを第1移動壁とし、右側の偶数段目の作動部材と左側の奇数段目の作動部材を背壁31で連結して第2作動部材群を構成し、これを第2移動壁としたものである。なお、左右一対の作動部材の左側の奇数段目の作動部材と右側の偶数段目の作動部材を連結して第1作動部材群を構成し、右側の奇数段目の作動部材と左側の偶数段目の作動部材を連結して第2の作動部材群と構成しても良いことは勿論である。
【0026】
第1作動部材群と第2作動部材群とは互いに左右方向逆向きに移動自在に形成されている。すなわち、第1作動部材群が左方向に移動すると第2作動部材群は右方向に移動し、第1作動部材群が右方向に移動すると第2作動部材群は左方向に移動する。
【0027】
第1作動部材群と第2作動部材群とを互いに左右方向逆向きに移動させるために、図示の例では次のとおりの構造とされている。
【0028】
図2−
図4に示す通り、囲枠壁10の背壁11の外側面に、左右方向に往復動するロッド41を備えたピストンシリンダー40が設けられている。第1移動壁20の背壁21と第2移動壁30の背壁31には、囲枠壁10の背壁11に設けられたピストンシリンダー40に対応する位置に表裏に貫通する開口47,48が形成されており、囲枠壁10と第1移動壁20と第2移動壁30とを組み合わせて形成された蓋収容箱2において、ピストンシリンダー40は第1移動壁20と第2移動壁30の開口47,48内に配置される。ピストンシリンダー40のロッド41先端は第2移動壁30の背壁31の外側面に取付部材42にて取り付けられ、ロッド41と第2移動壁30の背壁31とが固定されている。また、第1移動壁20の背壁21の外側面にラックギア43が左右方向に沿って配設され、第2移動壁30の背壁31にはこのラックギア43に対応する位置に表裏に貫通する長孔45が形成され、ラックギア43はこの長孔45内に位置するように配置されている。長孔45は左右方向に長手であり、第1移動壁20及び第2移動壁30の左右方向の移動のストロークを許容する長さを有している。このラックギア43と向き合うように第2移動壁30の背壁31の外側面にラックギア44が左右方向に沿って配設されている。これらのラックギア43,44の間に挟まるようにピニオンギア46が第1移動壁20の背壁21の表裏に貫通する長孔49及び第2移動壁30の背壁31の表裏に貫通する長孔80を介して囲枠壁10の背壁11に軸支されている。この長孔49,80も左右方向に長手であり、第1移動壁20及び第2移動壁30の左右方向の移動のストロークを許容する長さを有している。
【0029】
ピストンシリンダー40のロッド41の所定のストロークの往復動により、ロッド41先端が固定された第2移動壁30が左右方向に所定のストローク移動する。第2移動壁30に伝えられたピストンシリンダー40の駆動力はラックギア43,44とピニオンギア46を介して第1移動壁20に伝えられ、第1移動壁20は第2移動壁30とは左右方向逆向きに所定のストローク移動する。こうして第1作動部材群と第2作動部材群は互いに左右方向逆向きに移動する。
【0030】
このような第1作動部材群及び第2作動部材群の左右方向逆向きの移動を交互に繰り返すことで、多段の左右一対の作動部材22,32間の間隔を一段おきに幅狭状態又は幅広状態とし、各段において幅狭状態と幅広状態とを交互に切り替えている。
【0031】
左右一対の作動部材22,32間の間隔が幅狭状態にあるときは、その左右一対の作動部材22,32が有する蓋載せ板23,33間の間隔が蓋Cの幅より小さい蓋載置可能状態となる。蓋載置可能状態とは、第1作動部材群の一方の側の作動部材222が有する蓋載せ板23及び第2作動部材群の他方の側の作動部材321が有する蓋載せ板33が囲枠壁10の側壁12のスリット13を介して囲枠壁10内に深く侵入し、その上面に蓋Cを載置し得る状態にあることを意味する。又は、第1作動部材群の他方の側の作動部材221が有する蓋載せ板23及び第2作動部材群の一方の側の作動部材322が有する蓋載せ板33が囲枠壁10の側壁12のスリット13を介して囲枠壁10内に深く侵入し、その上面に蓋Cを載置し得る状態にあることを意味する。
【0032】
左右一対の作動部材22,32間の間隔が幅広状態にあるときは、その左右一対の作動部材22,23が有する蓋載せ板23,33間の間隔が蓋Cの幅よりも大きくなる落下許容状態となる。落下許容状態とは、第1作動部材群の一方の側の作動部材222が有する蓋載せ板23及び第2作動部材群の他方の側の作動部材321が有する蓋載せ板33が囲枠壁10の側壁12のスリット13を介して囲枠壁10内に侵入していない、あるいは囲枠壁10内に侵入していてもその上面に蓋Cを載置し得ない程度に侵入している状態にあることを意味する。又は、第1作動部材群の他方の側の作動部材221が有する蓋載せ板23及び第2作動部材群の一方の側の作動部材322が有する蓋載せ板33が囲枠壁10の側壁12のスリット13に侵入していない、あるいは蓋載せ板23,33がスリット13を介して囲枠壁10内に侵入していてもその上面に蓋Cを載置し得ない程度に浸入している状態にあることを意味する。
【0033】
本実施形態に係る蓋落下供給装置1は、第1作動部材群及び第2作動部材群の左右方向の移動時のガタツキを低減し、左右方向への移動を安定して良好に行うために、
図4−
図5に示すように、第1移動壁移動用リニアガイド50と第2移動壁移動用リニアガイド90が設けられている。
【0034】
第1移動壁移動用リニアガイド50は、囲枠壁10の背壁11の外側面に設けられ左右方向に沿って延び上下両側面にボールベアリング51を有するガイドレール52と、第1移動壁20の背壁21の内側面に設けられガイドレール52の上下両側面に係合して左右方向に摺動自在な摺動部材53とから構成される。摺動部材53は第1移動壁20の背壁21の外側面からねじ込まれた取り付けボルト54で第1移動壁20の背壁21に固定されている。第1移動壁20及び第2移動壁30の左右方向の移動時に取り付けボルト54のヘッドが第2移動壁30の背壁31と干渉しないように、第2移動壁30の背壁31には左右方向の移動のストロークを許容する左右方向に長手の表裏に貫通する長孔55が設けられている。
【0035】
第2移動壁移動用リニアガイド90は、囲枠壁10の背壁11の外側面に設けられ左右方向に沿って延び上下両側面にボールベアリング91を有するガイドレール92と、第2移動壁30の背壁31の内側面に設けられガイドレール92の上下両側面に係合して左右方向に摺動自在な摺動部材93とから構成される。摺動部材93は、嵩上げ部材94で嵩上げされて第1移動壁20の背壁21に設けられた摺動部材53よりも嵩高に形成され、第2移動壁30の背壁31の外側面からねじ込まれた取り付けボルト95で第2移動壁30の背壁31に固定されている。第1移動壁20及び第2移動壁30の左右方向の移動時に摺動部材93が第1移動壁20の背壁21と干渉しないように、第1移動壁20の背壁21には左右方向の移動のストロークを許容する左右方向に長手の表裏に貫通する長孔96が設けられている。
【0036】
このように第1移動壁移動用リニアガイド50と第2移動壁移動用リニアガイド90が設けられているので、第1作動部材群と第2作動部材群はその左右方向の移動における縦揺れが低減し、左右方向の移動が安定して良好に行われるようになる。
【0037】
次に、蓋落下供給装置1の蓋載置と蓋落下機構について
図6を参照して説明する。
【0038】
図6(a)(b)の左図は、蓋落下供給装置を背面側からみた第1移動壁20及び第2移動壁30の作動状態を示しており、
図6(a)(b)の右図は、蓋落下供給装置を正面側からみた第1移動壁20及び第2移動壁30の作動状態を示している。
【0039】
図6(a)は、多段の左右一対の作動部材22,32のうち上から奇数段目の左右一対の作動部材222,321間の間隔が幅狭状態におかれ、蓋載せ板23,33間の間隔Yは、所定の蓋Cの幅Wよりも小さく、蓋載せ板23,33の上面に蓋Cを載置した蓋載置可能状態にある。また、上から偶数段目の左右一対の作動部材221,322間の間隔が幅広状態におかれ、蓋載せ板23,33間の間隔Sは、蓋Cの幅Wより大きい落下許容状態にある。
【0040】
この状態から、
図6に図示しない囲枠壁の背壁に設けられたピストンシリンダーを駆動させロッドを紙面に対して右方向(矢印Aの示す方向)に伸ばし、ロッド先端に固定された第2移動壁30を右方向に移動させる。また、
図6に図示しないラックギアとピニオンギアを介して第1移動壁20を紙面に対して左方向(矢印Bの示す方向)に移動させる。こうして
図6(b)に示す状態となる。このような第1移動壁20及び第2移動壁30の左右方向逆向きの移動によって、多段の左右一対の作動部材22,32のうち上から奇数段目の左右一対の作動部材222,321間の間隔が幅広状態におかれ、蓋載せ板23,33間の間隔Yは蓋Cの幅Wより大きい落下許容状態となって載置されていた蓋Cを落下せしめるが、同時に、多段の左右一対の作動部材22,32のうち上から偶数段目の左右一対の作動部材221,322間の間隔が幅狭状態におかれ、蓋載せ板23,33間の間隔Sは蓋Cの幅Wよりも小さい蓋載置可能状態となって、上から落下した蓋Cを蓋載せ板23,33の上面で受け止めて載置することとなる。
【0041】
さらにこの状態から、ピストンシリンダーを駆動させロッドを収縮して元の位置に戻してロッド先端に固定された第2移動壁30を左方向に移動させると共に、ラックギアとピニオンギアを介して第1移動壁20を右方向に移動させると、蓋Cをさらに一段落下させることができる。
【0042】
このように第1移動壁20と第2移動壁30とを互い左右方向逆向きの移動させる毎に、各段の左右一対の作動部材22,32間の間隔は幅狭状態と幅広状態に交互に切り替わり、その都度蓋Cは一段ずつの落下し、遂には、最下段の左右一対の作動部材22,32より蓋Cをその下方に落下供給する。このような蓋落下供給作業は、蓋収容箱2内に蓋Cが無くなるまで行う。
【0043】
本実施形態に係る蓋落下供給装置1は、第1作動部材群の左右方向の移動と第2作動部材群の左右方向の移動を同時に行うことができる。つまり、各段の左右一対の作動部材22,32間の間隔を幅狭状態又は幅広状態に同時に切り替えることができる。このため、下段の作動部材の収縮を待って蓋が載置されている作動部材を開拡状態とするようなタイムラグのある従来の蓋落下供給装置に比べて、蓋落下供給のリードタイムを短縮することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る蓋落下供給装置1は、蓋収容箱2内への蓋Cの投入収容作業を容易にするために蓋収容箱2を回動自在に構成することができる。具体的には、蓋収容箱2の側方に支柱61が設けられ、この支柱61から水平に延びる支持部材62の先端部に蓋収容箱2の背面部が軸63で回動自在に軸支されている。
【0045】
蓋収容箱2内への蓋Cの投入収容作業を行う際には、蓋収容箱2の正面の開放面2aを外方の広い空間に向くように軸63を中心に回動させ、その広い空間を利用して蓋Cの投入収容作業を容易に行えるようにしている。投入収納作業は、比較的長くした左右一対の作動部材222、321を幅狭状態にして行うことで比較的容易に作業が出来る。蓋C収容後は、蓋収容箱2を蓋搬送用コンベア60の上方に位置するように回動させることができる。
【0046】
蓋落下供給装置1による蓋落下供給過程において蓋収容箱2内に蓋が無くなったことを検知する装置を設けることもできる。
【0047】
図1に示すように、蓋落下供給装置1は、受発光センサー64とミラー65とからなるセンサーが設けられている。受発光センサー64は、蓋収納箱2の上端に蓋収容箱2の下端の開放面2cに向け設置され、ミラー65は、蓋収容箱2内の上下方向を貫通するコ字状空間を介して受発光センサー64と対角線上で対面するように無端ベルトコンベア支承枠体66に蓋収容箱2の上端の開放面2bに向け設置されている。蓋収容箱2内に蓋Cがなくなると、受発光センサー64とミラー65間に光軸が結ばれてこれを感知し、その出力信号により表示ランプを点灯したり音を発生させるなどして蓋収容箱2内に蓋Cが無くなったことを作業者に知らせるようにしている。
【0048】
また、蓋搬送用コンベア60上に蓋Cが無いことを検知した後に蓋落下供給装置1の蓋落下供給の動作が開始されるようにすることもできる。例えば、蓋収容箱2直下の蓋搬送用コンベア60の両側に受発光センサー67とミラー68とからなるセンサーを配設する。その際、受発光センサー67とミラー68が結ぶ光軸が蓋収容箱2の下方において蓋搬送用コンベア60の上面空間を横切るように受発光センサー67とミラー68を対向配設する。走行する蓋搬送用コンベア60上に蓋Cがなくなると、受発光センサー67とミラー68間に光軸が結ばれてこれを感知し、その出力信号により蓋落下供給装置1の蓋落下供給の動作が開始されるようにする。
【0049】
さらにまた、蓋落下供給装置1は、装置の可動に伴う蓋Cの正面への飛び出しを防止するための飛び出し防止機構を設けることもできる。
【0050】
図1−
図3に示すように、飛び出し防止機構は、蓋収容箱2の正面の開放面2aの外方において一方の側(
図1の例では左側)に配置されてなる上下方向に沿って延びる飛び出し防止板70を備える。飛び出し防止板70は、背板71とその一側端部全長に配設される内側板72と他側端部の下部の一部配置される外側板73とを有して構成され、横断面コ字状の形状を有する。背板71及び内側板72は、蓋収容箱2の上下方向長さよりもやや短い長さを有している。飛び出し防止板70は、コ字形状における正面開放面78が蓋収容箱2の正面の開放面2aと対峙するように配置される。蓋落下供給装置1において蓋落下供給が行われる際には、飛び出し防止板70の内側板72の先端部が蓋収容箱2内に収容された蓋Cの正面側先端部に対峙して蓋Cの正面の開放面2aからの飛び出しが防止される。
【0051】
図1−
図3に示す飛び出し防止機構においては、蓋収容箱2の回動と連動して飛び出し防止板70が回動するように構成されてもいる。ここで、蓋収容箱2の回動は、上述したように、蓋収容箱2内への蓋Cの投入収容作業を容易にするために蓋収容箱2の正面の開放面2aを外方の広い空間に向くようにしたり、あるいは蓋C収容後に蓋C落下供給のために蓋収容箱2を蓋搬送用コンベア60の上方に配置するようにしたりすることである。
【0052】
より詳細には、
図7に示すように飛び出し防止板70は、その外側板73の外側面に丁番74が設けられて支持部材75に連結され、丁番74の開閉によって内側板72の先端が蓋収容箱2の正面の開放面2aから離れる方向に回動自在とされている。飛び出し防止板70の外側板73は、内側板72よりも幅広に形成され、後述するコ字状部材77と係合可能とされている。また、飛び出し防止板70は、その背板71にスプリング76が設けられて支持部材75に接続されている。さらにまた、蓋収容箱2の囲枠壁10の内面には、正面側先端部に突出して外方に広がるように形成されたコ字状部材77が設けられている。なお、このコ字状部材77にも囲枠壁10のスリット13に対応しスリットが形成されているものである。
【0053】
飛び出し防止板70の回動動作を
図7を参照して説明する。
【0054】
図7の蓋落下供給装置1は、蓋Cが収容された蓋収容箱2が
図7において図示しない蓋搬送用コンベアの上方に配置されており、この位置において蓋Cの落下供給が行われる。飛び出し防止板70は、その外側板73が蓋収容箱2の囲枠壁10の正面側先端部に突出して設けられたコ字状部材77と係合して正面開放面78が蓋収容箱2の正面の開放面2aと対峙するように配置されており、内側板72の先端部が蓋収容箱2内に収容された蓋Cの正面側先端部に対峙して蓋Cの正面の開放面2aからの飛び出しが防止されている。このとき飛び出し防止板70の背板71と支持部材75とを接続するスプリング76は伸長状態にある。
【0055】
蓋収容箱2内に蓋Cが無くなり蓋収容箱2内への蓋Cの投入収容作業を行うために蓋収容箱2を矢印Dに示す方向に回動させると、コ字状部材77と飛び出し防止板70の外側板73との係合が解かれ、スプリング76の収縮作用により、飛び出し防止板70は矢印Eに示す方向に回動して2点鎖線示の位置まで移動する。2点鎖線示の位置にある飛び出し防止板70は、内側板72の先端部が蓋収容箱2の正面から離れており、蓋収容箱2が蓋C収容後に蓋C落下供給のために蓋搬送用コンベアの上方に配置されるように回動する際に蓋収容箱2内に収容された蓋Cの正面側先端部と干渉しないようになっている。また、2点鎖線示の位置にある飛び出し防止板70は、蓋収容箱2が蓋搬送用コンベアの上方に配置されるように回動する際に外側板73が蓋収容箱2のコ字状部材77と係合可能な位置に配置されている。
【0056】
このため、蓋収容箱2を蓋搬送用コンベアの上方に配置するように回動させると、飛び出し防止板70の外側板73が蓋収容箱2のコ字状部材77に係合し、スプリング76の収縮に抗して矢印Eに示す方向とは反対方向に飛び出し防止板70が回動し、実線示の位置まで移動する。こうして、再び飛び出し防止板70はコ字形状における正面開放面78が蓋収容箱2の正面の開放面2aと対峙するように配置され、飛び出し防止板70の内側板72の先端部が蓋収容箱2
内に収容された蓋Cの正面側先端部に対峙して蓋Cの正面の開放面2aからの飛び出しが防止される。
【0057】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。例えば、蓋落下供給装置は単独で使用してもよいが、複数個を搬送用コンベアの搬送方向に沿って一定間隔を存して配設して使用してもよい。さらに蓋落下供給装置においてその蓋収容箱の直下の搬送用コンベア上に蓋が無いことをセンサーなどで検知して蓋落下供給動作を行うようにした装置を設けてもよい。これによって、搬送方向下流に位置する蓋落下供給装置においてその蓋収容箱の直下に搬送方向上流に位置する蓋落下供給装置から落下供給された蓋が搬送用コンベアで搬送されたときには落下供給動作が行われないので、搬送用コンベア上の蓋の上に蓋が落下供給された場合に生ずる位置ずれ、脱落などの不都合を防止することができる。また、複数個の蓋落下供給装置を使用し各蓋落下供給装置に飛び出し防止機構を設ける場合において、隣接する蓋落下供給装置を回動させるために使用される支柱を、飛び出し防止板を支持する支持部材として使用することもできる。