特許第6181556号(P6181556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6181556デコレータ構成部品の識別及びその選択調整のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181556
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】デコレータ構成部品の識別及びその選択調整のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20170807BHJP
   B41F 17/22 20060101ALI20170807BHJP
   B41F 33/04 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B41F33/00 280
   B41F17/22
   B41F33/04 S
   B41F33/00 290
【請求項の数】29
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-535059(P2013-535059)
(86)(22)【出願日】2011年10月19日
(65)【公表番号】特表2013-544675(P2013-544675A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】US2011056967
(87)【国際公開番号】WO2012054655
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年10月17日
(31)【優先権主張番号】61/394,619
(32)【優先日】2010年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501401283
【氏名又は名称】プレスコ テクノロジー インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】PRESSCO TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】コクラン,ドン,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】べーカー,ロジャー,エイ.
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/090315(WO,A1)
【文献】 米国特許第04337719(US,A)
【文献】 国際公開第2009/018893(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0015105(US,A1)
【文献】 特開2007−144816(JP,A)
【文献】 特開2008−284790(JP,A)
【文献】 特開2010−214885(JP,A)
【文献】 特開2006−198919(JP,A)
【文献】 特開2002−086690(JP,A)
【文献】 特表2010−535112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 17/22
B41F 33/00 − 33/18
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケット前記マンドレルホイールのマンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、
個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査するように機能する検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記欠陥又は変動情報に基づいて個々のマンドレルの自動調整を図るための、各マンドレル用のモータ又はサーボ系をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各マンドレル用の調整可能な構成部品をさらに備え、個々のマンドレルの調整は、手動式であって、前記欠陥又は変動情報に基づく調整である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記欠陥又は変動情報に基づいてホイールの自動調整を図るため、前記印刷用ブランケットホイール用又は個々の印刷用ブランケット用のモータ又はサーボ系をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記印刷用ブランケットホイール又は個々の印刷用ブランケットの調整は、手動式であって、前記欠陥又は変動情報に基づく調整である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記個々のマンドレル、前記印刷用ブランケットホイール又は個々の印刷用ブランケットの調整は、印刷中の前記個々の円筒状容器への圧力の調整を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記円筒状容器は缶である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記検査システムは、部品検出光センサ、ポジション・ワン・センサ、近接センサ、カウンタおよびエンコーダのうち少なくとも1つからのデータに基づいて、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するための、識別モジュールを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記検査システムは、撮像される円筒状容器の長い円対称軸が、その隣接する円筒状容器のうち少なくとも1つと実質的に非平行となるようにピンチェーンが構成されているところに、配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
検査されているときの円筒状容器は、その直接隣接する円筒状容器の両方と、5度より大きく平行から外れている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報をオペレータに伝達するように機能する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報の一部の側面を、ビデオディスプレイ上でグラフィカルに伝達する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報に基づいて、当システムの修正調整のための提案をオペレータに伝達するように機能するビデオ検査制御システムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御システムは、当システムが盛んに印刷を行っている間に、リアルタイムで円筒状容器を検査するが、該検査データを利用してプロセスへの変更を勧告する前に、観測されたプロセス変動のいずれかが統計的に有意であるかどうか判断するための、アルゴリズムを採用している、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを保持するように機能するモジュールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ログはセキュアログである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
円筒状容器の周面上でのパターンの印刷を制御する方法であって、
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷することと、
前記個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、検査システムによって、前記円筒状容器を検査することと、
個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルまたはその個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットを、前記検査システムによって、特定することと、
検出された欠陥又は変動と、前記特定したことに基づいて、欠陥又は変動情報を、前記検査システムによって、生成することと、
印刷の修正を図るために、制御システムによって、前記欠陥又は変動情報を処理することと、を含む方法。
【請求項18】
前記円筒状容器は金属缶である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記検査は、印刷が盛んに行われている間にリアルタイムで行われ、欠陥情報が略即時に提供される、請求項17ないし18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記容器への印刷は、毎分900個の容器を超える速度で行われる、請求項17ないし19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記処理は、オペレータに通知することを含む、請求項17ないし20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記印刷を手動で修正することをさらに含む、請求項17ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記個々のマンドレル又は前記印刷用ブランケットを手動で調整することを含む、請求項17ないし22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記印刷を自動で修正することをさらに含む、請求項17ないし23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記個々のマンドレル又は前記印刷用ブランケットを自動で調整することを含む、請求項17ないし24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法であって、
各缶を印刷後直ぐに生産速度で検査するための自動ビジョン検査システムに一体的に接続された缶装飾機を設定することと、
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持された個々の缶の周面に、速度同期した印刷用ブランケットホイールに保持された印刷用ブランケットと転がり接触させることにより、パターンを印刷することと、
前記個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、自動ビジョン検査システムによって、個々の缶を検査することと、
前記缶装飾機において個々の缶と関係した個々のマンドレル、印刷用ブランケット、色、及び他の機械構成部品のうち、少なくとも1つを特定することと、
装飾プロセスを更に最適化又は修正するために必要とされ得る特定の機械構成部品の調整に関連した欠陥又は変動情報を、生成及び関連付けすることと、
前記調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する制御システムに対して、電気信号を送ることと、を含む方法。
【請求項27】
定められた変更によって実際にプロセス変動が適切に修正されたことを検証するために、その行われた変更に関連する装飾された缶をチェックする追加ステップを実行し、
定められた変更によって装飾が修正されなかった場合には、装飾プロセスを更に最適化するために、更なる変更を勧告し、
装飾を更に最適化するための前記勧告された変更を自動で実行するため、前記制御システムに対して更なる電気信号を送る、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
円筒状容器の周面にパターンを印刷するための印刷システムに用いられる検査および制御システムであって、
前記印刷システムは、複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能するマンドレルホイールと、 複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する印刷用ブランケットホイールとを備えるものであり、
前記検査および制御システムは、
個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を画像検査するように機能する自動カメラ検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、自動カメラ検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、前記印刷システムの修正を図るように機能する、制御システムと
を備える検査および制御システム。
【請求項29】
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面へのパターンの印刷を制御する方法であって、
個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥または変動がないか、自動カメラ検査システムによって、前記円筒状容器を画像検査することと、
個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルまたはその個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットを、前記自動カメラ検査システムによって、特定することと、
検出された欠陥又は変動と、前記特定したことに基づいて、前記自動カメラ検査システムによって、欠陥又は変動情報を生成することと、
パターンの印刷の修正を図るために、制御システムによって、前記欠陥又は変動情報を処理することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年10月19日に出願された米国仮特許出願第61/394,619号に基づき、その優先権を主張するものであり、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
世界的に、2ピース缶の製造ラインには、通常、印刷装飾機、すなわち「デコレータ」として当業者によく知られているもの、が組み込まれている。デコレータは、飲料缶の外側円筒面の全体にまでインク印刷することができる大型マシンである。デコレータは、何十年も前からあって、その間に速度が着実に向上しており、そのようなデコレータの現状技術の例によると、毎分3,000缶(CPM:Cans Per Minute)を超える速度で装飾することが可能である。このようなマシンは、そのような極めて高速で機能することが可能である必要があることから、その機能的な側面又はサブシステムの多くで、回転機械部品を採用している。実際に、ほとんどのデコレータで、メイン「印刷用ホイール」は回転式である。
【0003】
回転式の缶デコレータは、平シート材に印刷するオフセット印刷法と類似のプロセスを用いる。違いは、缶装飾では、平坦な紙ではなく円筒状の金属体に印刷されることである。印刷する表面は円筒の外側曲面であるため、印刷面を裏から支えるマンドレルが必要となる。そのような機械的に複雑なマシンを適切に調整された状態に維持するには、多くの専門的な技術が必要である。そのような印刷装飾機の数多くの様々なメーカがあるものの、一般に、それらの動作原理は極めて単純で類似している。デコレータの主な構成部品は、インカーと、ブランケットホイール及びオフセット印刷用ブランケットと、マンドレルホイールと、オーバーバニッシュ・ユニットと、マンドレル−ピンチェーン移載ユニットと、ピンチェーン式搬送システムである。
【0004】
デコレータは製缶業界では周知であるが、本特許出願の有用性及び実施についてより良く理解するために、デコレータの機能コンセプトの概要を説明しておくことは有益である。デコレータの主要部分のそれぞれにおける機能は以下の通りである。
【0005】
各ラベル色は、その専用のインカーと、個々の印刷版を持つ。インカーの目的は、インク溜め又は「インク壷」(つまり、「万年筆」にあるようなもの)からのインクを、膜厚を均一にするための一連の金属及びゴムのローラを通して供給することで、印刷版の上に極めて均一なコーティングを施すことである。印刷版は、その特定のラベルのその色についての凸状画像を備える。
【0006】
印刷版の凸状画像上のインク膜は、ブランケットホイールの曲面に取り付けられたポリエステルの印刷用ブランケットに転移される。印刷用ブランケットは、曲面ブランケットホイールの表面に貼付することが可能な粘着裏面を有する。例えば、6色デコレータは、個々に印刷用ブランケットを備える8つのセグメントを持つブランケットホイールを有する。各インカーの印刷版は、その画像を、これら8つの印刷用ブランケットのそれぞれが個々のインカーを通過するときに、これに転移させる。各インカーの色は、それぞれの色が他の色に接することがないように、完璧に位置合わせされて、印刷用ブランケットに転移される。
【0007】
周知の6色デコレータは、24個の個々の「マンドレル」を持つマンドレルホイールを備える。マンドレルは、処理される2ピース缶の特定の内径及び長さに合わせて精密に作られた鋼製又はプラスチック製のツールである。缶の内径は、直径クリアランスが0.020インチ以下になるように、マンドレルの外径と極めてぴったりと合っていなければならない。クリアランスは、吸引によって高速で2ピース缶をマンドレルから引き抜くことを可能とするのにちょうど十分でなければならず、ブランケットホイールの印刷用ブランケットによって缶に印刷用ブランケットからインクを転移させる際の缶をマンドレルが支持する必要があるので、クリアランスは大きすぎてはならない。クリアランスが大きすぎると、インクが転移される際に、缶がマンドレルの上で滑って、画像に「スミア(こすれ)」が生じる。マンドレルホイールの円周は、一般に、インクの転移が生じる点におけるブランケットホイールの半径に適合しており、これによって、ブランケットホイールにより、画像をブランケットから円筒缶に「ロールオン」することが可能である。ブランケットホイールの画像は、缶の胴回り寸法とまったく同じ長さであり、従って「重なり」は生じない。画像は、缶のちょうど1回転で転移される。
【0008】
次に、缶の上の乾いていないインク像に対して、その乾いていないインクの上から透明なワニス塗膜、すなわち「オーバーバニッシュ」が施される。これは、マンドレル上の缶の回転表面速度をウレタン・オーバーバニッシュ塗布ローラの表面速度に一致させることによって、乾いていないインクのスミアを引き起こすことなく達成される。このプロセスによって、缶の上に完全な1周のコーティングが施される。このコーティングは、輸送中の擦過から缶を保護するためだけではなく、最終的な缶ラベルに必要な光沢を与えるためにも重要である。
【0009】
印刷とオーバーバニッシュ後の乾いていない缶を、マンドレルから取り外して、移載ホイールの吸着カップ上にセットし、これによって、2ピース缶をその底部又は「ドーム部」によって保持する。これは、圧縮空気を一気に吹き入れて、缶をマンドレルから移載ホイールの吸着カップに退去させ、そこで吸引によって缶を保持することにより行われる。移載ホイールのタイミングを慎重に計ることによって、連続する「ピンチェーン」の金属ピンに2ピース缶の開口端をセットし、そして吸着を解除することで、この移載を完了させる。
【0010】
ピンチェーンは、その長さに沿って連続的に、5.25インチごとに金属ピンを有する#60ローラチェーンである。ピンチェーンの目的は、乾いていない缶をデコレータから運び出して、乾いていない外装コーティングを「硬化」させるのに十分な熱を与えるオーブンの中に、乾いていない缶を通過させることである。
【0011】
製缶は極めて高速の製造プロセスであり、このため、そのプロセスが精密に制御された状態に維持されない場合には、スクラップ缶が極端な速度で製造され得る。装飾プロセスは、不適切に装飾された缶を大量に生み出すものとして有名であり、そのような缶は、手作業で選別するか、又はすべてをスクラップにする必要がある。多くの2ピース缶製造工場は、不適切に装飾された缶でいっぱいの隣接する倉庫を備えており、それらの缶は検査のために保留されなければならないものである。それらは、当業界では、「HFI」のものとして知られる。
【0012】
装飾機のわずかな調整ミスによって生じ得る欠陥は、些細なものから大きなものにまで及ぶ。当業界において昔から困難であるのは、装飾機の調整ミスを特定し、追跡する方法をうまく理解することである。缶の装飾が極めて高速で行われることから、人間が缶を監視することは、それらが連続的に高速動作するため難しい。マシンによって多少異なるが、現状技術のデコレータからピンチェーンによって出てくる缶は、毎秒20〜25フィートで移動している場合がある。若干の回転整合性はあり得るものの、それらは、大部分、ピンチェーンに達するまでにランダムな回転位置にされるので、監視、装飾、障害対応することは、さらに複雑である。缶がデコレータを出るときには、インクは未だ乾燥されておらず、損傷を受けやすい状態にあるので、その未硬化のインクにスミアを引き起こす恐れなく缶を検査のために容易に取り出すことはできない。実際には、缶は、キュアオーブンを経た後でなければ、安全に扱うことはできない。マテリアルハンドリングとキュアオーブンを通るループを周回するのには、かなりの時間がかかる。そのような速度で、いかにして多くの不適切に装飾された缶が短時間に生み出され得るかは容易に理解できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
手動と自動の両方による数多くの様々な検査技術が開発及び/又は実施されている。当業界では、高速のカメラによる様々なタイプの検査システムが試行されている。そのようなシステムのいくつかは、装飾された缶又は印刷用ブランケットの高速画像をスナップ撮影するものであるが、画像の解析は、それを表示画面上で見ることによる人間の判断に委ねられる。これまで、様々なタイプのシステムが、デコレータの問題の真の原因を解決してその修正のための対策を取ることを可能にするのに極めて有益となり得る何らかの重要な情報を得ることに失敗している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書に記載の実施形態の一態様において、システムは、複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットは、マンドレルホイールのマンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、円筒状容器を検査するように機能する検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、検査システムと、欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムと、を備える。
【0015】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、システムは、さらに、欠陥又は変動情報に基づいて個々のマンドレルの自動調整を図るための、各マンドレル用のモータ又はサーボ系を備える。
【0016】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、システムは、さらに、各マンドレル用の調整可能な構成部品を備え、個々のマンドレルの調整は、手動式であって、欠陥又は変動情報に基づく調整である。
【0017】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、システムは、さらに、欠陥又は変動情報に基づいてホイールの自動調整を図るため、各印刷用ブランケットホイール用又は個々の印刷用ブランケット用のモータ又はサーボ系を備える。
【0018】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、印刷用ブランケットホイール又は個々の印刷用ブランケットの調整は、手動式であって、欠陥又は変動情報に基づく調整である。
【0019】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、個々のマンドレル、印刷用ブランケットホイール又は個々の印刷用ブランケットの調整は、印刷中の個々の円筒状容器への圧力の調整を含む。
【0020】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、円筒状容器は缶である。
【0021】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、検査システムは、部品検出光センサ、ポジション・ワン・センサ、近接センサ、カウンタ、エンコーダのうち少なくとも1つからのデータに基づいて、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するための、識別モジュールを有する。
【0022】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、検査システムは、撮像される缶の長い円対称軸が、その隣接する缶のうち少なくとも1つと実質的に非平行となるようにピンチェーンが構成されているところに、配置される。
【0023】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、検査されているときの缶は、その直接隣接する缶の両方と、5度より大きく平行から外れている。
【0024】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、制御システムは、欠陥又は変動情報をオペレータに伝達するように機能する。
【0025】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、制御システムは、欠陥又は変動情報の一部の側面を、ビデオディスプレイ上でグラフィカルに伝達する。
【0026】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、制御システムは、欠陥又は変動情報に基づいて、当該システムの修正調整のための提案をオペレータに伝達するように機能するビデオ検査制御システムである。
【0027】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、制御システムは、装飾機が盛んに装飾を行っている間に、リアルタイムで缶を検査するが、該検査データを利用してプロセスへの変更を勧告する前に、観測されたプロセス変動のいずれかが統計的に有意であるかどうか判断するための、アルゴリズムを採用している。
【0028】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、システムは、さらに、欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証、のうち少なくとも1つのログを保持するように機能するモジュールを備える。
【0029】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、ログはセキュアログである。
【0030】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、本方法は、マンドレルホイールのマンドレルによって保持される個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷することと、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、円筒状容器を検査することと、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルまたはその個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットを特定することと、検出された欠陥又は変動と、上記特定したことに基づいて、欠陥又は変動情報を生成することと、システムの修正を図るために、欠陥又は変動情報を処理することと、を含む。
【0031】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、円筒状容器は金属缶である。
【0032】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、検査は、装飾機が盛んに動作している間にリアルタイムで行われ、欠陥情報が略即時に提供される。
【0033】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、装飾機は、毎分900個の容器を超える速度で、容器に印刷する。
【0034】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、上記処理は、オペレータに通知することを含む。
【0035】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、本方法は、さらに、システムを手動で修正することを含む。
【0036】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、手動修正は、個々のマンドレル又は印刷用ブランケットを調整することを含む。
【0037】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、本方法は、さらに、システムを自動で修正することを含む。
【0038】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、自動修正は、個々のマンドレル又は印刷用ブランケットを調整することを含む。
【0039】
本明細書に記載の実施形態の他の態様において、本方法は、各缶を印刷後直ぐに生産速度で検査するための自動ビジョン検査システムに一体的に接続された缶装飾機を設定することと、マンドレルホイールのマンドレルによって保持された個々の缶の周面に、速度同期した印刷用ブランケットホイールに保持された印刷用ブランケットと転がり接触させることにより、パターンを印刷することと、個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、缶胴を検査することと、装飾機において個々の缶と関係した個々のマンドレル、印刷用ブランケット、色、及び他の機械構成部品のうち、少なくとも1つを特定することと、装飾プロセスを更に最適化又は修正するために必要とされ得る特定の機械構成部品の調整に関連した欠陥又は変動情報を、生成及び関連付けすることと、その調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する制御システムに対して、電気信号を送ることと、を含む。
【0040】
本明細書に記載の実施形態の他の態様では、定められた変更によって実際にプロセス変動が適切に修正されたことを検証するために、その行われた変更に関連する装飾された缶をチェックする追加ステップが実行され、定められた変更によって装飾が修正されなかった場合には、装飾プロセスを更に最適化するために更なる変更が勧告され、そして、その装飾を更に最適化するための新たな推奨変更を自動で実行するため、制御システムに対して更なる電気信号が送られる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本明細書で記載する実施形態に係るシステムの代表図である。
図2】本明細書で記載する実施形態に係るシステムの代表図である。
図3】本明細書で記載する実施形態に係るシステムの代表図である。
図4】本明細書で記載する実施形態に係る方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書で記載する実施形態は、容器への印刷又は装飾オペレーションの(例えば、最適化に向けての)改善に関する。一形態において、印刷及び装飾オペレーションは、高速環境においてオンラインで実行される。このような高速環境では様々な速度で容器が処理されるが、毎分800〜2200個の容器(CPM)という速度も珍しくない。本明細書で記載する一実施形態では、デコレータは、毎分900個を超える速度で容器に印刷する。このような環境では、本明細書で記載する実施形態によると、検査システムの設定に応じて、容器を1つ1つすべて、あるいは選択された容器のみ(例えば、6つの容器ごとに1つ)、検査することができる。この種の装飾オペレーションは、世界的に、ほぼすべての2ピース・ビール缶及び飲料缶の製造施設にとって不可欠かつ重要である。通常のビール缶又は炭酸清涼飲料缶などの金属缶の外側に施される美しく洗練された装飾は、本発明の実施形態が有効となるような印刷装飾の例である。本発明の実施形態は、他のタイプの缶など他の多くの種類の円筒状容器に有効である可能性がある。
【0043】
本明細書で記載する実施形態は、自動化された検査技術に関し、これは、重要なプロセス情報及びマシン情報を適切に得ることができるようにするため、新規のコンセプト及び方法によって拡張されたものである。企図される検査システム(これは、少なくとも一形態において、視覚検査システムである。)は、色を含む印刷パターンにおいて、欠け、スメア、明度、濃度、色抜け、ぶれ、可読性、明瞭さ、表色、コード(例えば、UPCコードなど)の明瞭さ、などの欠陥又は変動がないか検査することが可能である。また、欠陥又は変動は、パターンを印刷したシステムの特定の部分(例えば、マンドレル、印刷用ブランケットなど)と相互に関連付けられる。本明細書に記載の実施形態に係る新たな欠陥又は変動情報が利用可能であることによって、デコレータのオペレータに、装飾機の特定の部分又はサブシステムが正常に機能していないことが、直ちに知らされる。新たな情報によって、印刷機能を修正するためにデコレータに必要な調整を直接進めるか、さらには、そのような調整を勧告することもできる。場合によって、欠陥又は変動は、破損部品(例えば、印刷用ブランケット、マンドレルなど)に起因することがあり、この場合、それを取り替えることが可能である。このような新たな情報を用いることにより、いくつかの重要な方法でデコレータの動作を最適化することが可能である。また、一部の実施形態では、装飾機に特定の拡張機能を追加した上で、適切に設定された制御システムによって、このような情報を用いることで、デコレータの特定の部分又はサブシステムと自動的に連係することにより、装飾プロセスを劇的に改善することも可能である。
【0044】
例えば、装飾機を適切に調整及び最適化するためには、印刷用ブランケットの各々に対応するような印刷品質の特定の側面について知ることが必要である。デコレータの機能を適切に最適化するためには、デコレータの全般的かつ平均的な印刷結果だけでは不十分である。例えば、印刷用ブランケットの各々は、自身の処理能力及び処理変動を示し、当然のことながら、マシンが変化する前は適正に機能することが可能である。現状では、マシンの様々な細部又は構成部品の性能に関する詳細な情報が欠如しており、通常、全体的又は大域的な調整が実施されているが、これによると、装飾プロセスは完全には最適化されない。準最適化された装飾プロセスは、平均の標準偏差がかなり大きくなり、CPk指数は、装飾における多くの重大なバラツキと結び付いたものとなる。装飾機のベアリング、マンドレル、カム、及びその他の構成部品が経時的に摩耗するにつれて、個々の印刷用ブランケットに対応する統計的特性は幅広くなる。
【0045】
上記の例を続けて、デコレータを完全に最適化するためには、印刷用ブランケットの各々の保持を担う個々の機械構造について、その位置又は印刷接触圧の調整が変更される必要がある。ブランケットの各々の性能に関する正確な情報が欠如していることによって、結果的に、個々のブランケットの変更を避けて、全体的な調整のみに頼ることになる。ところが、全体的な調整を変更することは、実際には、統計的にブランケットのうち1つ又はいくつかを誤った方向に変化させて、その他を正しい方向に変化させることになる。むやみに全体的調整を行うことで、積極的な変化としてプロセス整合性を同じくらい損なうようなことが多い。具体的には、印刷用ブランケットホイールにおいて、問題を解決するために、その印刷用ブランケットのうち1つのみの調整が必要である可能性があるにもかかわらず、全体的な中心調整によってすべてのブランケットが動かされる。特定の印刷用ブランケットの接触圧を大きくする必要がある場合に、全体的調整によると、他の7つのブランケットのすべてにおいて接触圧が高くなりすぎるという代償を伴って、それが達成されることになり得る。これによって他の7つのブランケットの印刷結果が許容範囲から外れることはないかもしれないが、デコレータの全体的な出力の準最適化にすぎないことは確かである。
【0046】
また、各缶のブランケット又はコンテナにインジケータ又はマークを付けることも可能であり、それを同時トリガ検査システムによって読み取ることで、特定の缶が、どの印刷用ブランケット及び対応する機械部品によって装飾されたのかが分かる。これらのインジケータ又はマークは、可視スペクトルで読み取り可能なインクか、又はUVもしくはIRスペクトルの下で蛍光を発することが可能なインクか、いずれかで印刷することができ、これらは、マシンビジョンシステムによるか、又はセンサによる検出によって読み取られる。このように、可視又は不可視のインジケータ又はマークのいずれかによって、特定の缶がどの印刷用ブランケット及び機械部品により装飾されたのかを識別するためのものを付すことが可能となる。
【0047】
あるいは、場合によって、様々な機械部品の追跡をシーケンスとして記録することが、より実際的であることがあり、この場合、特定の種類のプロセス問題に関係する機械部品又は原因である機械部品を遡ってたどり、相互に関連付けることができる。このために、部品検出光センサなどの光センサ、フォトセル、近接センサ、ポジション・ワン・センサ、エンコーダ、他のタイプのセンサ及びカウンタ、及び/又は類似のものを、回転又は直線連続シーケンスで始動する構成部品を示すように、適当な位置及び設定で用いることができる。
【0048】
別の例として、自動検査技術が、deltaEをモニタリングすることにより、色空間L***で色を特徴付けるものであると、色の変動を、どの印刷用ブランケットによるものか、あるいは場合によってどのインカーの故障によるものか、遡って追跡することを可能とするために、はるかに有効である。また、本発明は、deltaEに限定することなく、色から特定の機械部品、構成部品、機械サブシステムを追跡することが可能であることを想定するものである。このような追跡が追加として組み込まれた自動検査技術は、真のプロセス最適化及びプロセス監視用のツールとして更に有用となり、製缶工場にとってはるかに大きな価値を持つものである。
【0049】
想定されるシステムでは、新たな情報を、最小限の訓練を受けたオペレータが容易に理解できるように、様々なグラフィカルな方法で表示することが可能である。システムは、実際に、そのユーザインタフェース上に、特定の詳細なグラフィックス、又はデコレータの設定を示す詳細図を表示することができる。これによって、推奨される調整の正確な場所を、その複写の拡大図によって極めて詳細に示すことが可能である。システムで利用できる数値的、空間的、又は他の相関情報に基づいて、調整の範囲を提言することが可能である。さらに、ログ情報を記録して、推奨された変更の際のオペレータが誰であったのかを示すことができ、オペレータは、推奨された変更が行われた範囲、又は行われなかった範囲を確認することができる。システムは、全体的な変更と、特定の機械部品又はサブシステムでの変更と、その両方の変更結果を更に詳細に示すことが可能である。そのような変更の結果を、よりオペレータが見やすく、又はすべて問題なしとされるまでの特別に設定された基準によって監視するように、プログラムすることが可能である。
【0050】
さらに、システムは、より上位の又は工場全体の監視システムに対して、変更について、一連の事象の結果として留意すべき保守スケジュールの変更に関する勧告と共に、伝えることもできる。システムは、更に取るべき措置又は予防的保守対策があるかどうか、ログに記録すべき注意事項があるかどうか、対話形式でオペレータに質問することができる。また、システムは、装飾機において注意を要する構成部品の摩耗、緩み、又は規格外であることを示している可能性がある装飾における特定の種類の問題の再発について、特別に監視を続けることもできる。
【0051】
想定される実施形態の更に高性能なバージョンでは、検査結果及びプロセスの監視が更に自動化される。調整が必要となり得る機械部品の多くは、様々なタイプのサーボモータによって作動させるか又は駆動することが可能であり、これによって、マシンを停止させることなく、さらには人間の介入なく、調整を行うことが可能となる。このような調整は、実際に、人間が調整を行う場合にはマシンを停止させることが必要となり得るような調整であっても、マシンを作動させたまま調整することができるように計らうことが可能である。検査システムが、個々の機械部品、機構部、及びサブシステムについて、装飾プロセスに関する統計情報を収集及び分析することが可能である場合は、装飾プロセスを最適化するための、そのような情報の適切な利用を、本発明によって自動化することが可能である。遠隔制御可能な電動式調整を備える新しいマシンをゼロから構築することが可能であり、あるいは、そのような望ましい電動式調整を従来のデコレータに組み込んで再構築及び改造することが可能である。
【0052】
それぞれの缶の結果について、その缶が関係した機械部品に応じた特定の品質を監視することにより、缶装飾プロセスを、現状で利用可能な技術により可能な程度を超えて、実質的に最適化することが可能であることが分かる。また、本明細書では例を提示しているものの、当業者がデコレータを設計、実施、運用する際には、これらのコンセプトを利用し、缶又は円筒状製品の装飾分野で大きな効果が得られるように、本明細書で教示しているコンセプトを様々に拡張可能であることが理解される。
【0053】
例として、図1は、典型的な8色缶デコレータの側面から見た機能構造図を示している。本例では、矢印で示すように、メイン印刷用ブランケットホイール(10)が(この図で)反時計回りに回転する。印刷用ブランケット(12)は、一般に粘着裏面を有してポリエステル材で形成されており、印刷用ブランケットホイール(10)の周囲に貼付されている。ホイール(10)が回転すると、インカーホイール(20)に取り付けられた凸状3D印刷版によって、それぞれの印刷用ブランケット(12)にインクが施され、このとき、それぞれのインカーホイール(20)に対応するインカー壷(25)は、インカーホイール(20)にそれぞれ取り付けられた個々の印刷版に対して、インクの均一な塗膜を滑らかにするように機能する。図1では、円筒状容器又は缶(81)の上に印刷されるそれぞれの色のインクを施すのに用いられる8つの異なるインカー(25)を示している。インク付けが終了した印刷版(11)が回転するマンドレルに近づくと、容器又は缶の外周面に印刷できる状態になる。マンドレルホイール(30)の周囲のマンドレルは、缶(81)を、その周角速度が印刷版(11)の角速度に正確に一致するように回転させる。
【0054】
これらの速度が一致しているので、印刷される缶(82)に印刷版(11)が圧力をかけ始めるときの相対速度はゼロであり、これによって、缶の周面へのインクの転移が達成される。適切に設定されたデコレータでは、印刷用ブランケットのポリエステル体は、約0.007インチ〜0.010インチ撓むか又は圧縮される。マシンのメーカ及びマシン設計によって、この圧力は、様々な方法で調整される。しかし、概念的には、メイン印刷用ホイール(10)とすべてのインカー(20〜25)からなるユニットが一体となって、より大きい圧力でより多く侵入する方向14Aに、又はより小さい圧力でより少なく侵入する方向14Bに、動かされる。この調整は、どんな場合でも、最終的にブランケットホイール(10)を位置移動させる何らかの形の機械的調整である。この1つのみの調整によって、すべての印刷用ブランケットの作動位置が調整されるので、大域的又は全体的なマシン調整として知られる。広く使用されているマシンの多くは、マンドレルの位置(35Bもしくは35A)又は印刷用ブランケットの位置のいずれかのための個別調整を備えるものではない。
【0055】
そのような個別調整は、任意の印刷用ブランケットの性能を、他のいずれかに対して相対的に、又はそれらとは独立に、微調整又は最適化するために、非常に望ましいことがあり得る。例外として、よく知られているマシンの1つに、各マンドレルが自身の偏心機構に取り付けられて、緊急の危険な詰まり状態を解放するために常道を外れて回転するようなものがある。このようなマシンの設定は、通常、ダイヤルインジケータを用いて各位置をゼロに再設定する必要があり、このとき、印刷用ブランケットは、すべて同じ量で侵入するように位置付けられる。通常、それらは、どの方向にどの程度調整する必要があるのかを示すフィードバックがあれば、個別に手動で調整することが可能である。これらを、マシンが作動しているときに調整することができないことは確かである。
【0056】
印刷された缶(83)は、マンドレルホイール(30)のそれぞれのマンドレル上で回転を続けながら、オーバーバニッシュ・ホイール(18)に、一致した周速度で接触する。ワニスの塗布の後に、ワニス塗布及び印刷が完了した缶(84)は、マンドレルホイール(30)上の回転経路に沿って進み、ピンチェーン移載ホイール(40)に渡される。ピンチェーン移載ホイール(40)上の缶(85)は、それぞれピンチェーン(63)のピンとかみ合って、ピンチェーン搬送システム(60)で、図1に示していないピンチェーン・オーブンでの硬化に向けて運び出される。
【0057】
本発明によれば、印刷された缶の画像を徹底的に解析することによって、個々の印刷用ブランケットと、その印刷用ブランケットのプロセス変動、ズレ、異常、色正確度、及びあらゆるタイプの欠陥に関する特定の側面とを相互に関連付けるデータベースを構築することが可能である。統計的に有意な量の情報が、その後に続く検査によって検証されたら、複数のことのうち1つが起こり得る。人間の介入によって、特定の機械調整、又は問題を解決するための方針を提言することができ、また、システムは、そのような修正がどのようなものであるのか経時的に学習することが可能であり、これによって、検査システムは、今後、同様の修正をいかにして行うかについての知識を得る。あるいは、検査エキスパートシステムが、様々な状況下や故障タイプに対して、いかにして対応し、修正又は調整を行うかについて、人間のオペレータによる教示を受けることが可能である。検査エキスパートシステム(これは、少なくとも一形態において視覚検査システムである。)は、すべての缶とすべての機械部品について、どの機械部品が特定の缶に作用又は関係したのか分かるように追跡記録することで、どの印刷用ブランケット(12)と、どのインカー(20〜25)と、どのマンドレル(81)が、それぞれの缶の製造に関与したのかについての知識を得る。本実施形態では、それぞれの缶及び機械部品からのあらゆる関連情報を追跡記録するために、適切に設定及び配置されたエンコーダ、ポジション・ワン・センサ、部品検出光センサなどの光センサ、フォトセル、近接センサ、他のタイプのセンサ及びカウンタ、及び/又は類似のものを、使用する。
【0058】
これに関連して、一形態では、装飾された缶がピンチェーンコンベヤ(63)で装飾機を出るように進んだ後に、それは経路(60)に沿って進み、次にピンチェーン搬送経路の領域(64)を通って進む。この領域(64)は、ピンチェーンコンベヤのツイストセクションを示しており、これは、適用例に応じて、存在する場合もあれば、存在しない場合もある。これは、概念的に、缶の搬送姿勢をねじるように示されており、これによって、缶(87)が湾曲部の外周に沿って進むときの、この湾曲部(88)での缶と缶(87)は、もはや互いに平行ではない。缶が検査トンネル(90)を通って進むときに、ビジョン検査システムのカメラが、少なくとも1つの方向から缶の周面を撮影している。少なくとも3つのカメラ、場合によっては4つのカメラが、検査トンネル(90)内にあって、缶の周面の全周を撮影することのほうが多い。カメラは、正常からの幅広く様々な変動について装飾を検査するのに十分な解像度で円筒状容器の装飾を撮影するための適切な光学系を装備したものでなければならない。さらに、適切な照明が、レンズへの反射グレアなく、優れた鮮明度及びコントラストが可能となるように略均等に画像を照らすように、設計及び実装される必要がある。従って、カメラの中心線の少し上からの柔らかく均等な照明であることが望ましい。
【0059】
缶(88)の装飾の画像を撮るときには、必須ではないが、その後続の缶(87)と、その先行する缶とが、当該缶の胴(88)に対して平行ではないことが、非常に有用である。すなわち、検査システムは、撮影中の缶の長い円対称軸が、隣接する缶の少なくとも1つと実質的に非平行となるようにピンチェーンが構成されているところに、配置される。さらに、一形態では、検査されているときの缶は、それが直接隣接する両方の缶と、5度より大きく平行から外れている。この非平行条件によると、隣接する缶からの鏡面反射がないことにより、撮像品質を著しく向上させることができる。別の撮像構成では、単一の高解像カメラを導入することができ、これを、その軸が缶の長軸に一致するように配置し、そして、好ましくは缶の周面に沿って360度の撮像をするように設計された構成で、鏡又は疑似円錐鏡が採用される。この種の撮像では、空間的に歪んだ単一の画像が生成されるので、理想的には、検査用の最高品質の画像が得られるように、空間画像補正を施すことが必要となる。缶の周囲に撮像のための複数のカメラを用いる場合でも、検査用の最高品質の画像を得るためには、何らかの形で再構成及び空間的操作が必要である。いずれの場合でも、かなりのアルゴリズム的操作及び評価が必要であることから、最高品質の画像を生成することは極めて重要である。このように、缶(88)と(87)の間に示す撮像過程での非平行条件によって、缶装飾の自動ビジョン検査の品質を確実に向上させることが可能である。
【0060】
検査トンネル(90)に収容されて、缶(88)を撮影している上記のカメラは、一形態において、その画像を、ハウジング(100)に収容されたマシンビジョン・コンピュータコンソールにケーブル(101)を介して送り返すことができる。ハウジング(100)に収容されたマシンビジョン処理インフラストラクチャは、ワイヤケーブル(102)として模式的に示す120ボルト又は220ボルト単相電源によって作動可能に電力供給される。ハウジング(100)に収容されているコンピュータプロセッサは、タッチスクリーン・ビデオディスプレイ画面(110)に作動的に接続されており、これによって、設定及び調整のための、さらには缶(86)の流れの自動ビデオ検査の結果に関する情報を照会するための、ユーザインタフェースを提供することが可能である。また、ビデオ画面によって、ビデオ画像、統計データ、プロセス動向、缶装飾プロセスを最適化するための推奨措置など、あらゆる表示が可能となる。
【0061】
コンピュータビジョン検査システム(100)は、装飾プロセスを流れるそれぞれの缶のタイミングと位置を、その缶(80)がマンドレルホイール(30)に入る時点から、どのマンドレルが各缶に関連付けられたのかを含めて、把握している。これは、上述のエンコーダ、セル、カウンタ、センサ、検出器などを用いて達成され得る。そのソフトウェアによって、装飾プロセス全体を通して缶(81)の各々を追跡し、また、印刷用ブランケットホイール(10)の周囲の印刷用ブランケットのうちどの印刷用ブランケット(11)がそれぞれの缶に関連付けられたのかを把握する。実際に、ビジョン検査で特定の缶に変動が発見された場合は、本明細書で説明しているように、印圧を増加させる方向(14A)に印刷用ブランケットホイール(11)を動かすか、又は印圧を減少させる方向(14B)に動かすか、いずれかの勧告が行われることがある。装飾機が方向(35A)及び(35B)で示すような個々のマンドレル(33)の調整を備えて作られている場合には、印刷用ブランケットの圧力の増減に関する情報を、その変動に対応する特定のマンドレルに提供することができる。これに関連して、一形態では、検査は、デコレータが盛んに動作している間にリアルタイムで行われ、欠陥情報が略即時に提供される。また、一形態では、制御システムは、デコレータが盛んに装飾を行っている間に、リアルタイムで缶を検査するが、検査データを利用してプロセスへの変更を勧告する前に、観測されたプロセス変動のいずれかが統計的に有意であるかどうか判断するための、アルゴリズムを採用している。
【0062】
特定のマシンに取り付けられるマンドレルの数と印刷用ブランケットの数との間の関係は、1:1又は2:1又は3:1又は4:1とすることができる。その比率にかかわりなく、マシンビジョン検査コンピュータ(100)は、どのマンドレルと、どの印刷用ブランケットが、検査された特定の缶(89)に関連付けられていたのかを把握している。マシンビジョンコンピュータ(100)は、最も簡単な形態では、得られた情報を、人間のオペレータに知らせるため、及び更に利用して調整を行うために、単にビデオモニタ(110)上に表示することができる。人間による調整は、手動で例えばリードスクリュ又は偏心缶フォロワを調整することにより実施することができ、あるいは個々のマンドレルを電動式で調整する電動手段が利用できる場合には、これによって人間のオペレータが変更を実施することができる。単なる代表例であるオプションの調整要素36(図1)を示しており、これは、手動式、又は自動式、又は電動式、又はサーボ式とすることができる。このような要素は、追加的又は代替的に、印刷用ブランケット及び/又はインカーステーションに設けることができ、あるいは必要に応じて他のシステム要素に設けることができる。要素36は、参照しやすいように1つのみを図示しているが、当然のことながら、調整要素は、すべての個々のマンドレル又は他の要素に設けることができ、少なくとも一形態において、そのように設けられる。また、システムによっては、1つの調整要素が複数のマンドレル(又は印刷用ブランケット、又はインカーステーションなど)に対して機能するものであり得ることは、言うまでもない。今後の、より高性能のシステムでは、マシンビジョン・自動プロセス監視システム(100)からの電子信号が、ケーブル(103)を介してデコレータ制御システム(108)に送られ、これは、何らかの形態のステッピングモータ又はサーボモータのコントロールに作動的に接続されており、信号はブランケットホイール(10)の方向(14A)又は(14B)のいずれかへの全体的調整に相当するものであって、その電気信号がケーブル(106)を介して伝わることで変更が実施される。あるいは、装飾機が、個々のサーボ制御マンドレルを備える場合には、デコレータ制御システム(108)は、ケーブル(105)を介して信号を送ることができ、これによって、適切な独立のマンドレル(33)の方向(35A)又は(35B)のいずれかへのステッピングモータ又はサーボのコントロールを(例えば36において)実施する。
【0063】
検査によって、オーバーバニッシュに問題があることが明らかになった場合には、適当な電気信号を送ることで、オーバーバニッシュホイール(18)のステッピングモータ又はサーボのコントロールを変更して、それぞれのマンドレル(33)上で回転している缶にかかる圧力を変化させることが可能である。同様の修正を、その特徴的な色によって視認されるインカー壷(25)とインカーホイール(20)からの個々の色について実施することができる。適正な量のインクが与えられるように、インカー壷(25)、又はインカーホイール(20)によって印刷用ブランケット(12)に及ぼされる圧力をデジタル制御することが可能である。従来のデコレータにおける調整の多くは、ステッピングモータ又はサーボモータ制御ではないものの、そのような機能を備えるようにマシンを設計すること、あるいはそのような機能を備えるようにマシンを改造することができる可能性は高い。ビジョンシステムによって、色の塗布の均一性、及び装飾印刷の均一性を確認することができるので、それらの変動の原因となり得る圧力が均等でないこと、すなわち不均一であることをアルゴリズム的に導き出すことが可能である。デコレータに適切なサーボ式の調整を備えることと、正確に変動を識別するようにマシンビジョン検査アルゴリズムを設計することとによって、全自動で最適化される装飾プロセスについて説明したような完全な連係が可能となる。
【0064】
また、一形態において、システムは、欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証、のうち少なくとも1つのログ(例えば、セキュアログ)を保持するように機能するモジュールを備える。ログは、システム内の適当な場所に保持することができ、情報の関連付けに用いられる上記のデータベースと統合されていても、別のものであってもよい。
【0065】
図3は、検査トンネル(90)の上面図と側面図を示している。上面図では、4つのカメラ(91)を示しており、それらのそれぞれのレンズ(92)は、中央に示す缶(88)に向けられている。これらのカメラによると、鏡面反射を防ぐように缶の直ぐ上に取り付けられた円対称照明モジュール(93)から発せられる光線(94)で、缶が照射されていることよって、その撮像が可能である。カメラの視野(95)を、レンズ(92)、及びカメラ(91)の位置と併せて調整することにより、イメージャが、装飾された缶の画像でできる限り満たされるようにする。光源(93)は、最も理想的な実施形態では、缶が4つのそれぞれのカメラの中心にあるちょうどその瞬間にストロボ照射されるものである。
【0066】
側面図には、ピンチェーンコンベヤ(63/60)を示しており、これは、キャリアピン(63)上に缶(88)を保持して、理想的にはその円形路を、検査トンネル(90)を通って進むものである。カメラは、ブラケット(97)に取り付けられて、これによって、常に缶を撮像しているように、設計されたインフラストラクチャにしっかりと剛性保持されている。カメラ(91)と照明ストロボ(94)及びこれらのコントロールのための電源装置は、このエンクロージャ(90)内に取り付けられるか、又はエンクロージャ(100)内に取り付けられてアンビリカル配線路(101)を通してケーブル接続されるか、いずれかとすることができる。カメラ自体で処理を行うこともできるが、画像を何らかの形で1つに綴じ合わせる必要があるため、画像情報は、アンビリカル配線路(101)を通して、エンクロージャ(100)内の中央ビジョンコンピュータに、更なる処理のために伝送されることのほうが多い。また、システム(100)を、直接、又はアンビリカルケーブル配線路(101)と最終的にケーブル配線路(104)を通して、プラント監視ネットワーク又は他の通信ネットワークに作動的に接続することもできる。さらに、最も簡単なインターフェースを、多色ビーコン(115)として示しており、これは、様々な色の閃光表示灯を点灯させることで、装飾プロセスのステータスを表示するものである。デコレータのオペレータにとって重要と認められる通知に従って、これらの表示灯を点灯させるように、オペレータはシステムをプログラムすることができる。音響ホーンを導入することもできるが、簡単にするため図示はしていない。
【0067】
本明細書では、いくつかの具体的な実施形態を図示及び記載しているが、これらは、コンセプトと可能性について説明することを目的として提示されるものである。当然のことながら、デコレータ運用技術及びマシンビジョン技術に精通した者であれば、装飾プロセスを最適化するために、これらのコンセプトを様々な方法で利用することが可能である。
【0068】
また、実際の自動ビデオ検査は、マンドレルホイール(30)上の回転するマンドレル(84)を監視することで、又はピンチェーンストリッパ・ホイール(40)上に缶(85)を示している位置辺りで缶を検査することで、デコレータ内で実施することもできるが、しかし、デコレータ内での検査は、極めて好ましくない汚染環境である。ピンチェーン上の缶が適切に追跡されるのであれば、自動マシンビジョン・ステーションをデコレータから安全に引き離して、インク汚染問題を防ぐことができる。重要なことは、缶を連続的に追跡記録することが可能であることによって、それらを、遡ってそれぞれの印刷用ブランケット及び機械部品に相互に関連付けることが可能であるということである。
【0069】
前述のような印刷用ブランケットホイール(10)の全体的な調整は、本明細書の他のいろいろな箇所で説明したように、方向14A及び14Bに、電動式又はサーボ式で実施することができ、これによると、デコレータが回転及び印刷している間に、全体的なプロセス最適化を実施することが可能である。同様に、しかしさらに重要なことは、印刷プロセスをより完全に最適化するために、自動マシンビジョン検査の統計結果に厳密に従って、マンドレル(33)の位置35B−35Aに対応する統計的に有意なプロセス変動が、十分な数の検査によって確認された場合に、個々のマンドレル(33)を、方向35B又は35Aに、電動式又はサーボ式で調整することが可能であることである。あるいは、マンドレルは、手動調整のための適当なハードウェアを備えるものであってもよい。
【0070】
同様に、上記で触れたように、印刷版ホイール(20)又は印刷用ブランケット(12)は、それらの動きを、手動調整、電動制御、又はサーボ制御することができ、これによって、個々の色を、やはり自動ビジョン検査から導き出された結果によって最適化することができる。同じく、インカーステーションは、手動又は自動の調整機能を備えることができる。色の色相、彩度、強度を検証することができるだけではなく、缶の高さ全体での色の一致を検証することが可能である。色を測定又は指定するためのLab又は他の標準によって、色を実現及び調整することができる。この情報を用いることで、連係によりインカーローラの幅全体でのインクの供給を自動調整することが可能となる。
【0071】
自動ビデオ検査システムに利用可能である情報を用いることにより、缶及び他の円筒状製品への印刷及び装飾のプロセスにおける、これら及び他の多くの側面を自動化することが可能となる。これらの教示によって、当業者であれば、缶及び円筒状コンポーネントへの印刷を完全に自動化又は最適化する方法についての十分なコンセプトと着想が得られるはずである。
【0072】
図4を参照すると、これは、本明細書で記載した実施形態による方法200を示している。これに関して、方法200は、(205において)円筒状容器の周面にパターンを印刷することを含む。次に、(210において)印刷されたパターンは、欠陥又は変動がないか検査される。(215において)欠陥又は変動情報が収集される。認識しておくべきことは、一形態において、欠陥又は変動情報は、その容器を保持していた特定のマンドレル、及び/又はその物体上にパターンを印刷した特定の印刷用ブランケットに、相互に関連付けられるということである。欠陥情報が、様々な形態をとることができることは言うまでもない。インカーステーションなど、他の構成部品を特定するものであってもよい。さらには、適用例によっては、欠陥又は変動情報は、マンドレル情報又は印刷用ブランケット情報のどちらか一方のみを含むことがある。いずれの場合も、欠陥又は変動情報は、その後、(220での)プロセスの修正を促すため、及び/又は実行するための通知をオペレータに対して行うために、システムによって用いられる。この通知には、問題の識別を含むことができ、さらに修正のための提案を含むこともできる。上述のように、このデータは、部分的に、システムのログ又は他のインテリジェント機能に基づくものとすることができる。少なくとも一形態において、欠陥情報は、システムコントローラにフィードバックされ、これによって、マンドレル及び/又は印刷用ブランケットの圧力の調整が図られる。この調整は自動とすることができ、あるいは、調整は、(例えば、コントローラから人間オペレータへの通知によってトリガされる)手動とすることができる。これに関連して、印刷の際にかかる圧力の調整は、様々な方法で達成することが可能である。個々のマンドレルは、自動又は手動で調整することができる。印刷用ブランケットホイールは、全体的に調整することが可能である。あるいは、一部の実施形態では、それぞれの印刷用ブランケットを個別に調整することが可能である。更なる実施形態では、システムの他の部分(例えば、インカーステーション)を調整することもできる。環境によっては、検出された欠陥又は変動情報に基づいて、他のプロセス条件(例えば、温度差)を監視及び調整することもできる。
【0073】
また、一形態において、本明細書に記載の実施形態により、円筒状の缶胴の周面へのパターンの印刷を制御及び最適化する方法は、各缶を印刷後直ぐに生産速度で検査するための自動ビジョン検査システムに一体的に接続された缶装飾機を設定することを含む。パターンは、マンドレルホイールのマンドレルによって保持された個々の缶の周面に、速度同期した印刷用ブランケットホイールに保持された印刷用ブランケットと転がり接触させることにより、印刷される。この方法は、さらに、個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、缶胴を検査することと、装飾機において個々の缶と関係した個々のマンドレル、印刷用ブランケット、色、及び他の機械構成部品のうち少なくとも1つを特定することと、装飾プロセスを更に最適化又は修正するために必要とされ得る特定の機械構成部品の調整に関連した欠陥又は変動情報を、生成及び関連付けすることと、その調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する制御システムに対して、電気信号を送ることと、を含む。この方法は、さらに、定められた変更によって実際にプロセス変動が適切に修正されたことを検証するために、その行われた変更に関連する装飾された缶をチェックする追加ステップを含む。定められた変更によって装飾が修正されなかった場合には、装飾プロセスを更に最適化するために、更なる変更が勧告される。そして、その装飾を更に最適化するための新たな推奨変更を自動で実行するため、制御システムに対して更なる電気信号が送られる。
【0074】
なお、当然のことながら、本明細書で記載したシステム及び方法の様々な特徴は、様々なハードウェア構成及びソフトウェア技術を用いて実現することができる。例えば、検査又は制御のための方法、欠陥又は変動情報を生成するための方法、システムの様々な部分を自動で調整するための方法は、記載したシステム構成要素で実現することができ、また、適当なプロセッサ及び/又はコントローラ(デコレータのコントローラ、検査システムのコントローラ、など)上で実行されるルーチンによって制御することができる。
【0075】
例示的な実施形態について、好ましい実施形態を参照して説明を行った。前述の詳細な説明を読み、理解した者が、変形及び変更を思いつくであろうことは、言うまでもない。そのような全ての変形及び変更は、添付の請求項又はその均等物の範囲内にある限り、例示的な実施形態に含まれると解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4