(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記搬送検知手段が先行する原稿の後端の通過を検知した状態で、前記給紙検知手段が後続の原稿の先端を検知しているか否かに基づき、原稿のサイズを判断すること
を特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
前記制御手段は、前記給紙検知手段が先行する原稿の後端の通過を検知してから所定時間の経過後に、前記給紙機構による後続の原稿の給紙を開始することを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
前記制御手段は、前記搬送検知手段が先行する原稿の先端の通過を検知してから所定時間の経過後に、前記読取手段による読取を開始することを特徴とする請求項9または10に記載の画像読取装置。
前記制御手段は、前記搬送検知手段が先行する原稿の後端の通過を検知してから所定時間後に、前記読取手段による読取を停止することを特徴とする請求項9から11までのいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の実施の形態.
本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態におけるMFP(Multi−Function Peripheral:複合装置)100を示す斜視図である。
図1に示すように、複合装置としてのMFP100は、画像読取装置としてのスキャナユニット3と、画像形成装置としてのプリンタユニット4とを有している。スキャナユニット3は、プリンタユニット4の上側に配置されており、プリンタユニット4に対してヒンジ等により開閉可能に連結されている。
【0013】
図2は、スキャナユニット3を示す斜視図である。スキャナユニット3は、基台であるフラットベッド2と、読取対象である原稿をセットする原稿台5(原稿保持部)と、原稿台5に置かれた原稿を一枚ずつ搬送する原稿搬送装置としてのADF(Automatic Document Feeder)1とを備えている。ADF1は、フラットベッド2に対して、ヒンジ等により開閉可能に連結されている。
【0014】
スキャナユニット3は、読み取った画像データを、MFP100に接続されたパーソナルコンピュータに出力するか、または、プリンタユニット4に出力してプリンタユニット4で印刷する。
【0015】
図3は、
図2に示した線分III−IIIにおけるスキャナユニット3断面図である。ADF1は、フラットベッド2の上側に配置されている。フラットベッド2には、ADF1によって搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部28(
図3)が設けられている。
【0016】
画像読取部28は、読取センサ29と、光透過板30と、原稿押さえ31とを備えている。読取センサ29は、複数の読取素子を主走査方向に配列したラインセンサである。読取センサ29は所定の読取位置R(原稿読取位置)に静止した状態で、光透過板30上を副走査方向(主走査方向に直交する方向)に搬送される原稿の画像を読み取る。
【0017】
光透過板30は、読取センサ29が読取に用いる光を透過する材料で構成されている。原稿押さえ31は、光透過板30の上側に対向配置され、光透過板30から原稿が浮き上がらないように、原稿を光透過板30に押し当てる。
【0018】
なお、スキャナユニット3は、ADF1を開放(上方に揺動)し、フラットベッド2の上面に原稿を置くこともできるように構成されている。そのため、ADF1を動作させずに、読取センサ29を副走査方向(図中左右方向)に移動させながら、フラットベッド2の上面に置かれた原稿を読み取ることもできる。この動作モードについては、説明を省略する。
【0019】
ADF1は、原稿台5からの原稿の搬送経路に沿って、ピックアップローラ23、給紙ローラ24a、第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15aおよび第2排出ローラ22aを備えている。
【0020】
また、給紙ローラ24a、第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15aおよび第2排出ローラ22aのそれぞれと対をなすように、従動ローラであるピンチローラ24b,8b,9b,15b,22bが設けられている。
【0021】
各ローラ(ピックアップローラ23、給紙ローラ24a、第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15a、第2排出ローラ22aおよびピンチローラ24b,8b,9b,15b,22b)は、ADF1のフレームに、それぞれ主走査方向に平行な回転軸を中心として回転可能に取り付けられている。
【0022】
ピックアップローラ23は、原稿台5(
図1および
図2参照)に積載された原稿の表面に当接するように設けられている。
図3では原稿台5を省略しているが、原稿台5上の原稿のセット位置を、原稿セット位置33として示している。ピックアップローラ23は、図中時計回りに回転し、原稿セット位置33にセットされた原稿を上から順に一枚ずつ引き出す。給紙ローラ24aは、ピックアップローラ23によって引き出された原稿をさらに搬送する。
【0023】
第1搬送ローラ8aおよび第2搬送ローラ9aは、ピックアップローラ23および給紙ローラ24aによって給紙された原稿を、読取位置Rに向けて搬送する。なお、第2搬送ローラ9aは、原稿の搬送方向において画像読取部28の上流側に隣接して配置されている。
【0024】
第1排出ローラ15aは、読取位置Rを通過した原稿を、第2排出ローラ22aに向けて搬送する。第2排出ローラ22aは、第1排出ローラ15aから搬送されてきた原稿をADF1から排出する。なお、原稿台5の下側には、排出された原稿を載置するスタッカ部が設けられている。
【0025】
原稿セット位置33の近傍には、原稿セット位置33における原稿の有無(すなわち原稿台5上に置かれた原稿の有無)を検出する原稿センサ32が配置されている。また、原稿搬送方向における給紙ローラ24aの下流側には、原稿の通過を検知する給紙センサ34(給紙検知手段)が配置されている。給紙センサ34の検知信号に基づいて、先に搬送された原稿と、次に搬送される原稿との間隔(紙間)が調整される。
【0026】
また、原稿の搬送方向において第2搬送ローラ9aの下流側には、原稿の通過を検知する搬送センサ36(搬送検知手段、第1の搬送検知手段)が配置されている。搬送センサ36の検知信号に基づいて、読取位置Rにおける原稿の読取が開始される。
【0027】
ピックアップローラ23および給紙ローラ24aは、原稿を一枚ずつ給紙する給紙機構37(
図3)を構成する。これに対し、第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15aおよび第2排出ローラ22aは、給紙機構37によって給紙された原稿を搬送する搬送機構38(
図3)を構成する。
【0028】
なお、
図3には、原稿の両面読み取りの際に、原稿を反転する反転経路101,102,105が設けられている。また、原稿の先端を第2搬送ローラ9aに突き当てて原稿先端を揃える(スキューを防止する)動作を行うためのセンサ103と、上記の両面読み取りの際に原稿の位置を検知するセンサ104とが設けられている。これらについては説明を省略する。
【0029】
図4は、ADF1のピックアップローラ23、給紙ローラ24a、第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15aおよび第2排出ローラ22aと、その駆動系を示す斜視図である。
図5は、
図4に示した各ローラおよび駆動系を、別の方向から見た斜視図である。なお、
図4および
図5では、ピンチローラ24b,9b,15b,22bは図示を省略している。
【0030】
ADF1の各ローラは、共通の駆動源であるモータ13によって駆動される。モータ13の出力軸13aには、無端状のタイミングベルト12が巻き掛けられている。このタイミングベルト12は、上記モータ13の出力軸13aのほか、プーリ10に巻き掛けられている。プーリ10は、大径部と小径部とを同軸に組み合わせた形状を有しており、大径部に上記タイミングベルト12が巻き掛けられ、小径部に無端状のタイミングベルト11が巻き掛けられている。
【0031】
タイミングベルト11は、上記プーリ10と、第2搬送ローラ9aの軸部の一端に取り付けられたプーリ7と、第1搬送ローラ8aの軸部の一端に取り付けられたプーリ6とに巻き掛けられている。
【0032】
第1搬送ローラ8aの軸部においてプーリ6と反対側の端部には、プーリ14が取り付けられている。プーリ14には、無端状のタイミングベルト17が巻き掛けられている。タイミングベルト17は、上記プーリ14のほか、第1排出ローラ15aの軸部の一端に取り付けられたプーリ16に巻き掛けられている。
【0033】
第1排出ローラ15aの軸部においてプーリ16と反対側の端部には、ギア18が取り付けられている。このギア18は、伝達ギア19aと噛み合っており、伝達ギア19aは、もう一つの伝達ギア19bと噛み合っている。伝達ギア19bは、第2排出ローラ22aの軸部に取り付けられたギア21と噛み合っている。
【0034】
さらに、伝達ギア19bは、クラッチ20と噛み合っている。クラッチ20は、給紙ローラ24aと同軸に連結されたシャフト27の一端に取り付けられたギア26と噛み合っている。
【0035】
また、給紙ローラ24aおよびピックアップローラ23は、共通のホルダ23aによって回転可能に保持されており、給紙ローラ24aの回転が、ギア列25を介してピックアップローラ23に伝達されるように構成されている。
【0036】
このように構成されているため、モータ13の回転は、タイミングベルト12、プーリ10、プーリ6およびプーリ7を介して、第1搬送ローラ8aと第2搬送ローラ9aに伝達される。モータ13の回転は、さらに、プーリ14、タイミングベルト17およびプーリ16を介して第1排出ローラ15aに伝達され、ギア18、伝達ギア19aおよび伝達ギア19bを介して第2排出ローラ22aに伝達される。モータ13の回転は、さらに、伝達ギア19b、クラッチ20およびギア26を介して給紙ローラ24aに伝達され、ギア列25を介してピックアップローラ23に伝達される。
【0037】
すなわち、モータ13の回転により、第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15aおよび第2排出ローラ22a(搬送機構38)が回転する。また、モータ13の回転と、クラッチ20のオン動作(回転伝達を接続する動作)により、ピックアップローラ23および給紙ローラ24a(給紙機構37)が回転する。
【0038】
図6は、スキャナユニット3の制御系を示すブロック図である。スキャナユニット3は、制御部40(制御手段)と、操作部45とを有している。制御部40は、CPU、メモリ、入出力ポート、タイマ等を有して構成されている。操作部45は、MFP100の正面に設けられた操作パネル2a、または、MFP100に接続されたパーソナルコンピュータである。操作パネル2a(
図1)は、操作者が指示を入力するスイッチ等の操作部と、表示部とを有する。
【0039】
制御部40には、原稿センサ32、給紙センサ34および搬送センサ36からの出力信号(すなわち原稿の搬送に関する信号)が入力される。制御部40は、操作部45から入力されたスキャン開始信号(読取開始信号)により、画像読取動作を実行する。すなわち、原稿を搬送するためのモータ13およびクラッチ20を駆動し、さらに原稿の画像を読み取る読取センサ29を駆動する。
【0040】
ここで、読取センサ29による原稿の読取中にクラッチ20がオフ動作(回転伝達を遮断する動作)を行うと、搬送機構38の第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9aおよび第1排出ローラ15aに加わっていた負荷が瞬時に無くなるため、これらのローラの回転速度が変動し、その結果、読取中の原稿の搬送速度が変動して、読取画像に歪みが発生する。この第1の実施の形態では、原稿の読取中にクラッチ20のオフ動作を行わないようにすることで、画像の歪みを無くすものである。
【0041】
次に、スキャナユニット3の動作について説明する。
図7は、スキャナユニット3の動作を示すフローチャートである。
図8は、スキャナユニット3の動作を示すタイミングチャートである。
図9および
図10は、スキャナユニット3の原稿の搬送状態および搬送位置を示す模式図である。
【0042】
制御部40は、操作部45(操作パネルまたはパーソナルコンピュータ)からスキャン開始信号を受信し、スキャン動作を開始する。
【0043】
まず、制御部40は、クラッチ20に制御信号を送り、クラッチ20をオン状態(動力を伝達する状態)にする(ステップS101)。クラッチ20がオン状態となることにより、モータ13の回転がピックアップローラ23および給紙ローラ24a(給紙機構37)に伝達される状態となる(
図8のタイミングT1)。
【0044】
制御部40は、モータ13に制御信号を送り、モータ13の回転を開始する(ステップS102)。これにより、上述したように、ピックアップローラ23、給紙ローラ24a、第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15aおよび第2排出ローラ22aが回転を開始する(
図8のタイミングT2)。すなわち、給紙機構37と搬送機構38が共に回転を開始する。
【0045】
このときのADF1における原稿の搬送状態および搬送位置を、
図9(A1)に示す。また、原稿の搬送経路を直線状に表した場合の原稿の搬送位置を
図9(A2)に示す。ピックアップローラ23の回転により、原稿セット位置33にセットされた一番上の原稿41を引き出し、給紙ローラ24aの回転により当該原稿41を給紙する。原稿41の先端が給紙センサ34に到達すると、給紙センサ34がオン信号を出力する(すなわち出力信号がオンになる)。
【0046】
また、搬送機構38、すなわち第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15aおよび第2排出ローラ22aは、原稿41を読取位置Rに向けて搬送する。
【0047】
原稿41の先端が、第2搬送ローラ9aの下流側の搬送センサ36に到達すると、搬送センサ36の出力信号がオンになる(
図8のタイミングT3)。制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになると(ステップS103)、原稿41がさらに距離a1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS104)、クラッチ20をオフ状態にする(ステップS105、
図8のタイミングT4)。なお、
図8のステップS104では、簡単のため、原稿が距離a1(mm)だけ進む時間を、「時間a1」として示している。
図8の他のステップ、および他のフローチャートでも同様とする。
【0048】
このときのADF1における原稿41の搬送状態および搬送位置を、
図9(B1)および(B2)に示す。原稿41は読取位置Rに到達していないため、読取センサ29による読取動作は開始されていない。クラッチ20をオフ状態としたことにより、給紙機構37(ピックアップローラ23および給紙ローラ24a)への回転伝達は遮断される。すなわち、搬送機構38(第1搬送ローラ8a、第2搬送ローラ9a、第1排出ローラ15aおよび第2排出ローラ22a)によって原稿41が搬送される。
【0049】
なお、給紙機構37のピックアップローラ23および給紙ローラ24aは、クラッチ20がオフのときには自在に回転することができる。そのため、搬送機構38によって原稿が搬送されているときには、ピックアップローラ23および給紙ローラ24aは、搬送される原稿に追従して回転する。
【0050】
制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになった時点を起点として原稿41が距離b1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS106)、読取センサ29に制御信号を送り、原稿41の読取を開始する(ステップS107、
図8のタイミングT5)。
【0051】
このときのADF1における原稿41の搬送状態および搬送位置を、
図9(C1)および(C2)に示す。距離b1は、搬送センサ36から読取位置Rまでの距離に相当する。すなわち、原稿41の先端が読取位置Rに到達した時点で、読取センサ29による原稿41の読取が開始される。
【0052】
その後、読取センサ29により原稿のラインイメージを順次読み取りながら、搬送機構38により原稿41を搬送する。
【0053】
原稿41がさらに搬送され、原稿41の後端が給紙センサ34を通過すると、給紙センサ34の出力信号がオフになる(
図8のタイミングT6)。給紙センサ34の出力信号がオフになると(ステップS108)、制御部40は、原稿センサ32の出力信号がオンかオフか判断する(ステップS109)。原稿センサ32の出力信号がオンの場合には、原稿セット位置33に後続の原稿があり、原稿センサ32の出力信号がオフの場合には、原稿セット位置33に後続の原稿がない。
【0054】
上記のステップS109において、原稿センサ32の出力信号がオンであった場合(原稿セット位置33に後続の原稿がある場合)には、給紙センサ34の出力信号がオフになった時点を起点として原稿41が距離c1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS110)、制御部40がクラッチ20に制御信号を送り、クラッチ20をオン状態にする(ステップS111、
図8のタイミングT7)。これにより、給紙機構37は回転を開始する。
【0055】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図10(A1)および(A2)に示す。先行する原稿41の後端と、後続の原稿42の先端との間隔(紙間)は、一定値d1(mm)である。給紙機構37は、原稿セット位置33にセットされた後続の原稿42を給紙する。
【0056】
その後、先行する原稿41は、読取センサ29で読み取られながら、搬送機構38によって搬送される。また、後続の原稿42は、給紙機構37によって給紙されたのち、搬送機構38によって搬送される。その途中で、給紙センサ34の出力信号がオンになる。
【0057】
その後、先行する原稿41の後端が搬送センサ36を通過すると、搬送センサ36の出力信号がオフになる(
図8のタイミングT8)。制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオフになると(ステップS112)、原稿41がさらに距離e1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS113)、読取センサ29による読取を終了する(ステップS114、
図8のタイミングT9)。これにより、先行する原稿41の読取が終了する。
【0058】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図10(B1)および(B2)に示す。先行する原稿41の後端が読取位置Rを通過した状態で、読取センサ29による読取を終了する。読取が終了した原稿41は、搬送機構38によってさらに搬送され、ADF1から排出される。
【0059】
一方、後続の原稿42の先端が搬送センサ36を通過すると、搬送センサ36の出力信号がオンになる(
図8のタイミングT10)。制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになると(ステップS103)、原稿42がさらに距離a1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS104)、クラッチ20に制御信号を送り、クラッチ20をオフ状態にする(ステップS105、
図8のタイミングT11)。これにより、給紙機構37への回転伝達は遮断される。
【0060】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図10(C1)および(C2)に示す。後続の原稿42は読取位置Rに到達していないため、読取センサ29による読取動作は開始されていない。クラッチ20をオフ状態としたことにより、給紙機構37への回転伝達は遮断される。すなわち、搬送機構38によって後続の原稿42が搬送される。
【0061】
上述したステップS103〜S114を、原稿セット位置33に原稿がなくなるまで(すなわち、原稿センサ32の出力信号がオフになるまで)繰り返す。
【0062】
制御部40は、原稿センサ32の出力信号がオフになると(ステップS109、
図8のタイミングT12)、搬送センサ36の出力信号がオフになるのを待つ(ステップS115)。すなわち、最終の原稿の後端が搬送センサ36を通過するのを待つ。
【0063】
そして、制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオフになると(
図8のタイミングT13)、原稿がさらに距離e1だけ進む時間の経過後に(ステップS116)、読取センサ29に制御信号を送り、読取を終了する(ステップS117、
図8のタイミングT14)。すなわち、最終の原稿の後端が読取位置Rを通過したのち、読取センサ29による読取を終了する。これにより、最終の原稿の読取が終了する。
【0064】
その後、制御部40は、原稿の後端がADF1から排出されるために必要な時間が経過した後(ステップS118)、モータ13を停止する(ステップS119、
図8のタイミングT15)。これにより、搬送機構38の回転が停止する。
【0065】
このように、本実施の形態では、読取センサ29による原稿の読取中には、クラッチ20のオフ動作は行わない。そのため、搬送機構38の各ローラの負荷変動に起因する原稿の搬送速度の変動に伴う、読取画像の歪みの発生を抑制することができる。
【0066】
次に、本実施の形態との比較のため、参考例について説明する。参考例は、原稿の読取中にクラッチ20のオフ動作を行なう動作に関するものである。
【0067】
図11は、参考例の動作を示すフローチャートである。
図12および
図13は、参考例における原稿の搬送状態および搬送位置を示す模式図である。
【0068】
図11において、ステップS201およびステップS202の処理は、
図7に示したステップS101およびステップS102と同様である。すなわち、制御部40は、操作部45からスキャン開始信号を受信すると、クラッチ20をオン状態にし(ステップS201)、次いでモータ13の回転を開始する(ステップS202)。
【0069】
このときのADF1における原稿41の搬送状態および搬送位置を、
図12(A1)および(A2)に示す。給紙機構37により、原稿セット位置33にセットされた一番上の原稿41が給紙される。原稿41の先端が給紙センサ34に到達すると、給紙センサ34の出力信号がオンになる。
【0070】
制御部40は、給紙センサ34の出力信号がオンかオフかを判断する。給紙センサ34の出力信号がオンになると(ステップS203)、制御部40は、原稿41が距離a2(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS204)、クラッチ20をオフ状態にする(ステップS205)。これにより、給紙機構37への回転伝達が遮断される。
【0071】
このときのADF1における原稿41の搬送状態および搬送位置を、
図12(B1)および(B2)に示す。原稿41の先端は、搬送機構38の第1搬送ローラ8aに到達しているため、給紙機構37への回転伝達が遮断された後は、搬送機構38によって原稿41が搬送される。原稿41の先端が搬送センサ36に到達すると、搬送センサ36の出力信号がオンになる。
【0072】
制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになると(ステップS206)、原稿41がさらに距離b2(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS207)、読取センサ29による原稿の読取を開始する(ステップS208)。
【0073】
このときのADF1における原稿41の搬送状態および搬送位置を、
図12(C1)および(C2)に示す。距離b2は、搬送センサ36から読取位置Rまでの距離に相当する。すなわち、原稿41の先端が読取位置Rに到達した時点で、読取センサ29による原稿41の読取が開始される。
【0074】
その後、読取センサ29により原稿のラインイメージを順次読み取りながら、搬送機構38により原稿41を搬送する。
【0075】
原稿41がさらに搬送され、原稿41の後端が給紙センサ34を通過すると、給紙センサ34の出力信号がオフになる。制御部40は、給紙センサ34の出力信号がオフになると(ステップS209)、原稿センサ32の出力信号がオンかオフか判断する(ステップS210)。
【0076】
原稿センサ32の出力信号がオンであった場合(原稿セット位置33に後続の原稿がある場合)には、給紙センサ34の出力信号がオフになった時点を起点として原稿41が距離c2(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS211)、制御部40がクラッチ20をオン状態にする(ステップS212)。これにより、給紙機構37は回転を開始する。
【0077】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図13(A1)および(A2)に示す。後続の原稿42の先端との間隔(紙間)は、一定値d2(mm)である。給紙機構37は、原稿セット位置33にセットされた後続の原稿42を給紙し、搬送機構38は当該原稿42を搬送する。
【0078】
その後、先行する原稿41は、読取センサ29で読み取られながら、搬送機構38によって搬送される。また、後続の原稿42が上記のように給紙機構37により給紙されると、当該原稿42の先端が給紙センサ34を通過し、給紙センサ34の出力信号がオンになる。
【0079】
制御部40は、給紙センサ34の出力信号がオンになると(ステップS213)、原稿が距離a2(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS214)、クラッチ20をオフ状態にする(ステップS215)。これにより、給紙機構37への回転伝達は遮断される。
【0080】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図13(B1)および(B2)に示す。給紙機構37への回転伝達の遮断に伴い、後続の原稿42は、搬送機構38によって搬送される。
【0081】
先行する原稿41は搬送機構38によって搬送されるが、当該原稿41の後端が搬送センサ36を通過すると、搬送センサ36の出力信号がオフになる。制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオフになると(ステップS216)、原稿41がさらに距離e2(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS217)、読取センサ29の読取を終了する(ステップS218)。
【0082】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図13(C1)および(C2)に示す。先行する原稿41の後端が読取位置Rを通過した状態で、読取センサ29の読取を終了する。読取が終了した原稿41は、搬送機構38によってさらに搬送され、ADF1から排出される。
【0083】
上述したステップS206〜S218を、原稿セット位置33に原稿がなくなるまで(すなわち、原稿センサ32の出力信号がオフになるまで)繰り返す。
【0084】
一方、制御部40は、原稿センサ32の出力信号がオフになると(ステップS210)、搬送センサ36の出力信号がオフになるのを待つ(ステップS219)。すなわち、最終の原稿の後端が搬送センサ36を通過するのを待つ。
【0085】
そして、制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオフになると、原稿がさらに距離e2だけ進む時間の経過後に(ステップS220)、読取センサ29による読取を終了する(ステップS221)。これにより、最終の原稿の読取が終了する。
【0086】
その後、制御部40は、原稿の後端がADF1から排出される時間の経過後(ステップS222)、モータ13を停止する(ステップS223)。これにより、搬送機構38の回転が停止する。
【0087】
このように、参考例では、給紙機構37によって給紙された後続の原稿42が第1搬送ローラ8aに到達すると、すぐにクラッチ20のオフ動作を行う(ステップS215)。そのため、先行する原稿41の読取中に、クラッチ20のオフ動作が行われることになる。クラッチ20のオフ動作が行われると、搬送機構38の各ローラに加わっていた負荷が瞬時に無くなるため、搬送機構38の各ローラの回転速度が変動する。その結果、読取センサ29による原稿の読取中に、搬送機構38によって搬送される原稿の搬送速度が変動し、読取画像に歪みが発生する可能性がある。
【0088】
ここで、搬送速度の変動による読取画像の歪みについて説明する。
図14には、搬送速度の変動がない場合の原稿画像(A)と読取画像(B)、並びに、搬送速度の変動がある場合の原稿画像(C)と読取画像(D)を示す。
【0089】
原稿の搬送速度の変動がない場合には、
図14(A)に示す原稿画像に対し、例えば1ライン毎に一定の間隔で間引きが行われ(符号A)、
図14(B)に示す読取画像が得られる。
【0090】
一方、原稿の搬送速度の変動が発生すると、
図14(C)に示すように、原稿の搬送速度が速くなった部分(符号C)では、例えば連続した2ライン(符号B)が間引きされる可能性がある。その結果、
図14(D)に示す読取画像では、連続した2ラインが間引きされた部分と、1ライン毎に間引きされた部分とが混在することになり、画像の歪みとなって表れる。
【0091】
図15(A)は、搬送速度の変動によって生じた読取画像の歪みの例を示す図である。
図15(B)、(C)、(D)および(E)は、
図15(A)に示した歪みが生じる原因を説明するための模式図である。
【0092】
図15(A)に示すように、例えば搬送方向に対して一定の傾斜を有する直線L1,L2を読み取る場合、搬送速度の変動があると、符号Q1,Q2で示すような歪みが生じる。この歪みは、以下のようにして生じる。
【0093】
図15(B)は、搬送速度の変動がない場合の直線L1を示す。搬送速度の変動がない場合に読取センサ29によって一定の時間間隔で読み取られる読取点(ここでは3点示す)を、P1で示す。
【0094】
一方、
図15(C)に示すように搬送速度が変動により速くなると、読取センサ29が一定の時間間隔で読み取る直線L1上の読取点P2の間隔(位置間隔)は、搬送速度の変動がなかった場合の読取点P1(
図15(B))よりも広くなる。
【0095】
その結果、本来は
図15(D)のように真っ直ぐな直線として読み取られるはずのところ、
図15(E)に示すように、速度変動が速くなった箇所の傾斜が緩くなり、真っ直ぐな直線に歪みが生じる。
【0096】
これに対し、本実施の形態では、原稿の搬送速度の変動を抑制することにより、上述した画像の歪みを防止することができる。
【0097】
すなわち、本実施の形態では、給紙機構37によって給紙された原稿42が搬送機構38の第1搬送ローラ8aに到達しても、すぐにはクラッチ20のオフ動作を行わず、先行する原稿41の読取が終了してから、クラッチ20のオフ動作を行う(ステップS112〜S114およびステップS103〜S105)。このように、原稿41の読取中にクラッチ20のオフ動作を行わないため、搬送機構38の各ローラの負荷変動による原稿の搬送速度の変動を抑制することができる。その結果、読取画像の歪みを抑制することができる。
【0098】
なお、本実施の形態では、読取センサ29による原稿41の読取中に、後続の原稿42を給紙するためにクラッチ20のオン動作を行っている(ステップS111)。この場合、モータ13によって駆動するローラの数が増加するため、搬送機構38の各ローラの負荷が増加する。しかしながら、クラッチ20のオフ動作のように高い負荷が瞬時に無くなる場合のような大きな速度変動は生じないため、クラッチ20の温度動作では読取画像の歪みの発生は生じにくい。
【0099】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態では、先行する原稿41の読取が終了した後に、給紙機構37への回転伝達を遮断するためのクラッチ20のオフ動作を行っている。原稿41の読取中にクラッチ20のオフ動作が行われないため、搬送機構38の各ローラの負荷変動による原稿の搬送速度の変動を抑制することができ、これにより読取画像の歪みを抑制することができる。
【0100】
なお、本実施の形態では、後続の原稿42の先端が搬送センサ36を通過してから、原稿42が距離a1だけ進む時間が経過した時点で、先行する原稿41の後端が読取位置Rを通過したと判断し、クラッチ20のオフ動作を行っている(ステップS103〜S105)。しかしながら、先行する原稿41の後端が読取位置Rを通過したことを、他の方法で検知して、クラッチ20のオフ動作を行ってもよい。
【0101】
例えば、
図16に示すように、読取位置Rの下流側に、第2搬送センサ39(第2の搬送検知手段)を設けても良い。この場合、第2搬送センサ39が先行する原稿41の後端の通過を検知したときに、搬送センサ36が後続の原稿42の先端を検知していなければ、クラッチ20のオフ動作を行う。このようにすれば、読取位置Rに原稿41,42が存在しない状態でクラッチ20のオフ動作を行うことになるため、読取中の原稿の搬送速度の変動を確実に防止することができる。
【0102】
第2の実施の形態.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
上述した第1の実施の形態では、先行する原稿41と後続の原稿42との紙間は一定値(d1)であった。しかしながら、先行する原稿41の給紙時に、後続の原稿42が引きずられて移動した場合や、原稿台5への原稿のセットの仕方が不適切であった場合には、後続の原稿42が給紙ローラ24aや給紙センサ34に接近する場合が考えられる。このような場合には、紙間が上記の一定値(d1)よりも小さくなる。
【0103】
図17(A)は、
図10(C2)に示した第2搬送ローラ9aと第1排出ローラ15aの間の搬送経路を拡大して示す図である。
図17(A)では、先行する原稿41と後続の原稿42との紙間d1は、クラッチ20のオフ動作時点における、後続の原稿42の先端と読取位置Rとの距離fよりも長い。
【0104】
一方、
図17(B)に示すように、先行する原稿41と後続の原稿42との紙間が、上記の距離fよりも短いd3となった場合、実施の形態1で説明したように、後続の原稿42の先端が搬送センサ36を通過してから所定時間後にクラッチ20のオフ動作を行うと(
図6のステップS103〜S105)、先行する原稿41の読取位置Rを通過する前にクラッチのオフ動作を行うこととなり、画像の歪みの原因となる可能性がある。
【0105】
そこで、この第2の実施の形態では、
図17(C)に示すように、先行する原稿41の後端が搬送センサ36を通過してから、原稿41が距離e3だけ進む時間の経過後に、クラッチ20のオフ動作を行う。このようにすれば、先行する原稿41と後続の原稿42との紙間が短くなっていた場合であっても、先行する原稿41の読取中にクラッチ20のオフ動作が行われることを防止できる。
【0106】
なお、スキャナユニット3の構成、およびスキャナユニット3を含むMFP100の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0107】
図18は、第2の実施の形態における動作を示すフローチャートである。
図19は、第2の実施の形態における動作を示すタイミングチャートである。
図20は、第2の実施の形態における原稿の搬送状態および搬送位置を示す模式図である。
図18のステップS301からステップS311までの動作は、
図7に示したステップS101からステップS111までの動作と同じである。
【0108】
本実施の形態では、制御部40は、先行する原稿41の後端が搬送センサ36を通過し、搬送センサ36の出力信号がオフになったのち(ステップS312、
図19のタイミングT8)、原稿41が距離e3(mm)だけ進む時間の経過後に(S313)、読取センサ29による読取を終了し(S314)、さらにクラッチ20をオフ状態にする(ステップS315、
図19のタイミングT9)。
【0109】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図20(A1)および(A2)に示す。先行する原稿41の後端が読取位置Rを通過すると、読取センサ29による読取を終了し、クラッチ20をオフ状態にする。読取が終了した原稿41は、搬送機構38によってさらに搬送され、ADF1から排出される。
【0110】
後続の原稿42の先端が搬送センサ36を通過し、搬送センサ36の出力信号がオンになると(ステップS316、
図19のタイミングT10)、制御部40は、後続の原稿42が距離b1(mm)だけ進む時間の経過後、読取センサ29に制御信号を送り、原稿42の読取を開始する(ステップS306、
図19のタイミングT11)。
【0111】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図20(B1)および(B2)に示す。後続の原稿42の先端が搬送センサ36から距離b1(mm)だけ進むと、読取位置Rに到達し、この時点で読取センサ29が読取を開始する。
【0112】
その後、上述したステップS306〜S316を、原稿セット位置33に後続の原稿がなくなるまで(すなわち、原稿センサ32の出力信号がオフになるまで)繰り返す。原稿セット位置33の原稿がなくなった場合の動作(ステップS317〜S321)は、実施の形態1で説明した
図7のステップS115〜S119の動作と同様である。
【0113】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態では、先行する原稿41の後端が搬送センサ36を通過した時点から所定の時間の経過後に、クラッチ20のオフ動作を行う。そのため、先行する原稿41と後続の原稿42の紙間が狭くなった場合であっても、先行する原稿41の読取中にクラッチ20のオフ動作が行われることはない。従って、画像の歪みを確実に防止することができる。
【0114】
なお、上述した第1および第2の実施の形態は、原稿の長さが、給紙センサ34と搬送センサ36との距離よりも長いことを前提としている。原稿の長さが、給紙センサ34と搬送センサ36との距離よりも短い場合については、以下の第3の実施の形態で説明する。
【0115】
第3の実施の形態.
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
この第3の実施の形態は、給紙センサ34と搬送センサ36との距離よりも長さが短い原稿を用いる場合の動作に関する。このような原稿は、例えばA5サイズ以下の原稿であり、第1の実施の形態と同様の制御は難しい。ここでは、まず、第1の実施の形態と同様の制御が可能な原稿(B5サイズ以上の原稿)を用いる場合について説明し、次に、A5サイズ以下の原稿を用いる場合の動作について説明する。
【0116】
図21は、第3の実施の形態におけるスキャナユニット3の動作を示すフローチャートである。
図22は、原稿サイズがB5サイズ以上の場合のタイミングチャートである。
図23〜24は、原稿サイズがB5サイズ以上の場合の搬送状態を示す模式図である。
【0117】
まず、原稿サイズがB5サイズ以上の場合の搬送動作について、
図21のフローチャート、
図22のタイミングチャート、および
図23〜24の模式図を参照して説明する。
【0118】
制御部40は、操作部45からスキャン開始信号を受信し、スキャン動作を開始する。まず、制御部40は、クラッチ20に制御信号を送り、クラッチ20をオン状態にする(ステップS401)。これにより、モータ13の回転が給紙機構37に伝達される状態となる(
図22のタイミングT1)。
【0119】
制御部40は、モータ13に制御信号を送り、モータ13の回転を開始する(ステップS402)。これにより、給紙機構37および搬送機構38が回転を開始する(
図22のタイミングT2)。
【0120】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図23(A1)および(A2)に示す。給紙機構37は、原稿セット位置33にセットされた一番上の原稿41を給紙する。原稿41の先端が給紙センサ34を通過すると、給紙センサ34の出力信号がオンになる。
【0121】
給紙機構37によって給紙された原稿41は、さらに搬送機構38によって搬送される。原稿41の先端が搬送センサ36に到達すると、搬送センサ36の出力信号がオンになる(
図22のタイミングT3)。
【0122】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図23(B1)および(B2)に示す。原稿41の先端が搬送センサ36に到達した時点で、当該原稿41の後端がピックアップローラ23よりも上流側にあるため、後続の原稿42は給紙されない。
【0123】
制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになると(ステップS403)、原稿41が距離a1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS404)、クラッチ20をオフ状態にする(ステップS405、
図22のタイミングT4)。なお、クラッチ20がオフとなった状態で、先行する原稿41の後端は給紙センサ34を通過していないため、給紙センサ34の出力はオンのままである。
【0124】
クラッチ20をオフ状態としたことにより、給紙機構37への回転伝達は遮断され、搬送機構38によって先行する原稿41が搬送される。
【0125】
制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになった時点を起点として原稿41が距離b1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS406)、読取センサ29に制御信号を送り、原稿41の読取を開始する(ステップS407、
図22のタイミングT5)。
【0126】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図23(C1)および(C2)に示す。距離b1は、搬送センサ36から読取位置Rまでの距離に相当する。すなわち、原稿41の先端が読取位置Rに到達した時点で、読取センサ29による原稿41の読取が開始される。
【0127】
その後、読取センサ29により原稿のラインイメージを順次読み取りながら、搬送機構38により原稿41を搬送する。原稿41がさらに搬送され、原稿41の後端が給紙センサ34を通過すると、給紙センサ34の出力信号がオフになる(
図22のタイミングT6)。
【0128】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図24(A1)および(A2)に示す。給紙センサ34の出力信号がオフになった時点で、原稿41が搬送センサ36上にあるため、搬送センサ36の出力はオンである。
【0129】
制御部40は、「給紙センサ34の出力信号がオフで、且つ搬送センサ36の出力信号がオン」という状態か否かを判断する(ステップS408)。原稿サイズがB5以上の場合、上記の
図24(A1)および(A2)に示したように、「給紙センサ34の出力信号がオフで、且つ搬送センサ36の出力信号がオン」という状態になる。そのため、制御部40は、以下で説明する原稿サイズがB5以上の場合の処理(ステップS409〜S414)を行う。
【0130】
まず、制御部40は、原稿センサ32の出力信号がオンかオフか判断する(ステップS409)。
【0131】
原稿センサ32の出力信号がオンであった場合(原稿セット位置33に後続の原稿がある場合)には、給紙センサ34の出力信号がオフになった時点を起点として、先行する原稿41が距離c1(mm)だけ進む時間の経過後(ステップS410)に、制御部40がクラッチ20に制御信号を送り、クラッチ20をオン状態にする(ステップS411、
図22のタイミングT7)。これにより、給紙機構37は回転を開始し、原稿セット位置33から後続の原稿42を引き出す。
【0132】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図24(B1)および(B2)に示す。先行する原稿41の後端と、後続の原稿42の先端との間隔(紙間)は、一定値d4(mm)である。
【0133】
その後、先行する原稿41は、読取センサ29で読み取られながら、搬送機構38によって搬送される。また、後続の原稿42は、給紙機構37によって給紙されたのち、搬送機構38によって搬送される。
【0134】
その後、先行する原稿41の後端が搬送センサ36を通過すると、搬送センサ36の出力信号がオフになる(
図22のタイミングT8)。制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオフになると(ステップS412)、原稿がさらに距離e1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS413)、読取センサ29に制御信号を送り、読取を終了する(ステップS414、
図22のタイミングT9)。これにより、先行する原稿41の読取が終了する。
【0135】
このときのADF1における原稿41,42の搬送状態および搬送位置を、
図24(C1)および(C2)に示す。先行する原稿41の後端が読取位置Rを通過した状態で、読取センサ29による読取を終了する。その後、先行する原稿41は、搬送機構38によってさらに搬送され、ADF1から排出される。
【0136】
一方、後続の原稿42の先端が搬送センサ36を通過すると、搬送センサ36の出力信号がオンになる(
図22のタイミングT10)。制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになると(ステップS403)、原稿42が距離a1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS404)、クラッチ20をオフ状態にする(ステップS405、
図22のタイミングT11)。これにより、給紙機構37への回転伝達は遮断される。
【0137】
上述したステップS403〜S414を、原稿セット位置33に後続の原稿がなくなるまで(すなわち、原稿センサ32の出力信号がオフになるまで)繰り返す。
【0138】
制御部40は、原稿センサ32の出力信号がオフになると(ステップS409、
図22のタイミングT12)、搬送センサ36の出力信号がオフになるのを待つ(ステップS415)。すなわち、最終の原稿の後端が搬送センサ36を通過するのを待つ。
【0139】
そして、制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオフになると(
図22のタイミングT13)、原稿がさらに距離e1だけ進む時間の経過後に(ステップS416)、読取センサ29に制御信号を送り、読取を終了する(ステップS417、
図22のタイミングT14)。これにより、最終の原稿の読取が終了する。
【0140】
その後、制御部40は、原稿の後端がADF1から排出される時間が経過した後(ステップS418)、モータ13を停止する(ステップS419、
図22のタイミングT15)。これにより、搬送機構38の回転が停止する。
【0141】
このように、原稿の長さが給紙センサ34と搬送センサ36との距離よりも長い場合(例えば原稿サイズがB5サイズ以上の場合)であれば、第1の実施の形態と同様の給紙、搬送および読取動作(ステップS401〜S407,S409〜S414)を行うことができる。
【0142】
これに対し、原稿の長さが給紙センサ34と搬送センサ36との距離よりも短い場合(例えば原稿サイズがA5以下の場合)には、先行する原稿41を給紙する際、当該原稿41が搬送センサ36に到達する前(すなわち給紙機構37による給紙が停止する前)に、後続の原稿42が給紙されて給紙センサ34に到達する。すなわち、給紙センサ34の出力が、後続の原稿42によってオンになる。すなわち、給紙センサ34の出力信号がオフとなった時点(ステップS408)を起点として、原稿の給紙、搬送および読取の制御(ステップS409〜S414)を行うことができない。
【0143】
そこで、本実施の形態では、原稿サイズがA5以下の場合には、搬送センサ36の出力信号がオフとなった時点を起点として、以下のように原稿の給紙、搬送および読取の制御を行う。
【0144】
図25は、原稿サイズがA5以下の場合のタイミングチャートである。
図26〜27は、原稿サイズがA5以下の場合の搬送状態および搬送位置を示す模式図である。原稿サイズがA5以下の場合の動作について、上述した
図21のフローチャート、
図25のタイミングチャートおよび
図26〜27の模式図を参照して説明する。
【0145】
制御部40は、操作部45からスキャン開始信号を受信し、スキャン動作を開始する。まず、制御部40は、クラッチ20に制御信号を送り、クラッチ20をオン状態にする(ステップS401)。これにより、モータ13の回転が給紙機構37に伝達される状態となる(
図25のタイミングT1)。
【0146】
制御部40は、モータ13に制御信号を送り、モータ13の回転を開始する(ステップS3)。これにより、上述したように、給紙機構37および搬送機構38が回転を開始する(
図25のタイミングT2)。
【0147】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図26(A1)および(A2)に示す。給紙機構37は、原稿セット位置33にセットされた一番上の原稿41を給紙する。原稿41の先端が給紙センサ34を通過すると、給紙センサ34の出力信号がオンになる。
【0148】
給紙機構37によって給紙された原稿41は、さらに搬送機構38によって搬送される。原稿41の先端が搬送センサ36に到達すると、搬送センサ36の出力信号がオンになる(
図25のタイミングT3)。
【0149】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図26(B1)および(B2)に示す。原稿サイズがA5以下の場合、先行する原稿41の先端が搬送センサ36に到達したときには、当該原稿41の後端がピックアップローラ23を通過している。そのため、ピックアップローラ23は後続の原稿42に接しており、ピックアップローラ23の回転によって後続の原稿42も給紙される。
【0150】
制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになると(ステップS403)、原稿41が距離a1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS404)、クラッチ20をオフ状態にする(ステップS405、
図25のタイミングT4)。クラッチ20がオフ状態になった時点で、後続の原稿42の先端が給紙センサ34に達しているため、(上述したB5以上の場合と同様に)給紙センサ34の出力はオンである。
【0151】
クラッチ20をオフ状態としたことにより、給紙機構37への回転伝達は遮断され、搬送機構38によって先行する原稿41が搬送される。
【0152】
制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオンになった時点を起点として原稿41が距離b1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS406)、読取センサ29に制御信号を送り、原稿41の読取を開始する(ステップS407、
図25のタイミングT5)。
【0153】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図26(C1)および(C2)に示す。距離b1は、搬送センサ36から読取位置Rまでの距離に相当する。すなわち、原稿41の先端が読取位置Rに到達した時点で、読取センサ29による原稿41の読取が開始される。
【0154】
その後、読取センサ29により原稿のラインイメージを順次読み取りながら、搬送機構38により原稿41を搬送する。原稿41がさらに搬送され、原稿41の後端が搬送センサ36を通過すると、搬送センサ36の出力信号がオフになる(
図25のタイミングT8’)。
【0155】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図27(A1)および(A2)に示す。搬送センサ36の出力信号がオフとなった時点で、後続の原稿42の先端は給紙センサ34に達しているため、給紙センサ34の出力はオンである。
【0156】
制御部40は、「給紙センサ34の出力信号がオフで、且つ搬送センサ36の出力信号がオン」という状態か否かを判断する(ステップS408)。原稿サイズがA5以下の場合、上述した
図27(A1)および(A2)に示したように、「給紙センサ34の出力信号がオフで、且つ搬送センサ36の出力信号がオン」という状態にはならない。そのため、制御部40は、以下で説明する原稿サイズがA5以下の場合の処理(ステップS420〜S424)を行う。
【0157】
まず、制御部40は、搬送センサ36の出力信号がオフになると(ステップS420)、原稿41がさらに距離e1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS421)、読取センサ29に制御信号を送り、読取を終了する(ステップS422、
図25のタイミングT9’)。これにより、先行する原稿41の読取が終了する。
【0158】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図27(B1)および(B2)に示す。先行する原稿41の後端が読取位置Rを通過した状態で、読取センサ29による読取を終了する。その後、先行する原稿41は、第1排出ローラ15aと第2排出ローラ22aによって、排出口22cに向けて搬送される。
【0159】
制御部40は、さらに、搬送センサ36の出力信号がオフになった時点を起点として、原稿41の後端が距離f1(mm)だけ進む時間の経過後に(ステップS423)、クラッチ20に制御信号を送り、クラッチ20をオン状態にする(ステップS424、
図25のタイミングT9−2)。
【0160】
このときのADF1における原稿の搬送状態を、
図27(C1)および(C2)に示す。クラッチ20がオン状態となったことにより、ピックアップローラ23および給紙ローラ24a(給紙機構37)は回転を開始し、後続の原稿42の給紙を開始する。なお、距離f1(mm)は、先行する原稿41の読取中にクラッチ20がオン状態とならないように、距離e1(mm)よりも大きく設定されている。
【0161】
その後、ステップS403〜S408,S420〜S424の処理を繰り返す。
【0162】
原稿サイズがA5以下の場合、原稿セット位置33に後続の原稿がない場合には、ステップS409において、搬送センサ36がオンの間に給紙センサ34がオフになる。そのため、原稿サイズがB5以上の場合のステップS409,S415〜S419と同様の処理によって、最終の原稿を排出し、モータ13を停止する。
【0163】
このように、原稿サイズB5以上、A5以下の何れの場合も、原稿の読取後にクラッチのオフ動作を行い、これにより読取画像の歪みの発生を抑制することができる。
【0164】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態では、原稿の長さが、給紙センサ34と搬送センサ36との距離よりも短い場合であっても、原稿の読取後にクラッチのオフ動作を行うことができ、これにより読取画像の歪みの発生を抑制することができる。
【0165】
特に、原稿サイズを判定し、給紙センサ34の出力信号がオフとなった時点を起点として原稿の給紙、搬送および読取の制御を行うことができない原稿サイズの場合には、搬送センサ36の出力信号がオフとなった時点を起点として制御を行う。そのため、どのような原稿サイズであっても、原稿の読取後にクラッチのオフ動作を行う搬送制御を実現することができる。
【0166】
なお、ここでは、原稿サイズがB5以上の場合と、A5以下の場合とで搬送制御を分けているが、給紙センサ34と搬送センサ36との距離によって、どのような分け方をしてもよい。
【0167】
最後に、スキャナユニット3と共にMFP100を構成するプリンタユニット4の一例について簡単に説明する。
図28は、プリンタユニット4の内部構成の一例を示す図である。
【0168】
プリンタユニット4は、例えば電子写真法を用いて印刷用紙(媒体)Pに画像を形成するものであり、ここでは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびK(ブラック)のプロセスユニット50a,50b,50c,50dを備えている。プロセスユニット50a,50b,50c,50dは、使用するトナー(現像剤)を除いて共通の構成を有しているため、プロセスユニット50と総称する。
【0169】
プロセスユニット50は、像担持体として感光体ドラム51と、帯電部材としての帯電ローラ52、現像剤担持体としての現像ローラ53と、供給部材としての供給ローラ54と、現像剤カートリッジ55とを有している。また、感光体ドラム51の上側に対向するように、露光装置56が取り付けられている。
【0170】
帯電ローラ52は、感光体ドラム51の表面を一様に帯電する。露光装置56は、例えばLED(発光ダイオード)ヘッドを有し、感光体ドラム51の表面を露光して静電潜像を形成する。現像ローラ53は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像をトナー(現像剤)により現像する。供給ローラ54は、現像ローラ53の表面にトナーを供給する。現像剤カートリッジ55は、供給ローラ54にトナーを補給する。
【0171】
プリンタユニット4は、また、印刷用紙Pを収容する媒体トレイ60と、媒体トレイ60から印刷用紙Pを1枚ずつ分離して送り出すピックアップローラ61と、媒体トレイ60から送り出された印刷用紙Pをプロセスユニット50a,50b,50c,50dに向けて搬送する搬送ローラ62とを備えている。
【0172】
プリンタユニット4は、また、プロセスユニット50a,50b,50c,50dに対向配置された転写ベルト63と、この転写ベルト63が張架された駆動ローラ64および従動ローラ65とを備えている。駆動ローラ64は、図示しない駆動源により回転し、転写ベルト63をプロセスユニット50a,50b,50c,50dに沿って移動させる。さらに、転写ベルト63を挟んでプロセスユニット50a,50b,50c,50dの各感光体ドラム51(後述)に対向するように、転写ローラ66が配設されている。
【0173】
印刷用紙Pの搬送方向におけるプロセスユニット50a,50b,50c,50dの下流側には、印刷用紙Pにトナー像を定着する定着ユニット67が配設されている。定着ユニット67は、加熱ローラ、加圧ローラ等を有し、トナーに熱および圧力によりトナーを印刷用紙Pに定着させる。定着ユニット67のさらに下流側には、印刷用紙Pをプリンタユニット4から排出する排出ローラ対68,69が設けられている。
【0174】
プリンタユニット4には、スキャナユニット3が読み取った原稿の画像データが送られる。プリンタユニット4は、受信した画像データに基づき、印刷動作を行う。すなわち、ピックアップローラ61を回転させて媒体トレイ60から印刷用紙Pを一枚ずつ送り出し、搬送ローラ62によって搬送する。さらに、転写ベルト63によって印刷用紙Pを吸着保持し、プロセスユニット50a,50b,50c,50dに沿って搬送する。
【0175】
各プロセスユニット50では、帯電ローラ52が感光体ドラム51の表面を一様に帯電し、露光装置56が、画像データに応じて感光体ドラム51の表面を露光して静電潜像を形成する。現像ローラ53は、感光体ドラム51上の静電潜像を現像して、トナー像(現像剤像)を形成する。感光体ドラム51上のトナー像は、転写ローラ66によって印刷用紙Pに転写される。
【0176】
各色のトナー像が転写された印刷用紙Pは、定着ユニット67に搬送される。定着ユニット67では、印刷用紙Pに転写されたトナー像を印刷用紙Pに定着する。トナー像が定着された印刷用紙Pは、排出ローラ対68,69によってプリンタユニット4から排出される。
【0177】
なお、ここでは、スキャナユニット3とプリンタユニット4とがMFP100を構成する場合について説明したが、スキャナユニット3を単独で使用することも可能である。また、
図28に示したプリンタユニット4はあくまでも一例であり、他の構成のプリンタユニットを用いてもよい。