【文献】
二反田 直己(他4名),走行環境における視認負荷量推定法,画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集,日本,情報処理学会,2011年 7月20日,P.697-702
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る移動制御装置、移動制御方法及び移動制御システムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る移動制御装置、移動制御方法及び移動制御システムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.移動制御処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る移動制御処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る移動制御処理の一例を示す図である。
図1では、移動制御装置100によって移動制御処理が行われる例を示す。
【0011】
図1に示すように、端末装置10は、情報提供対象の候補によって利用される。また、端末装置10は、アプリケーション(以下、「アプリ」と表記する場合がある)ダウンロード済み端末であり、GPS受信機が搭載されている。
【0012】
情報提供対象の候補は、移動制御装置100によって探査される。また、情報提供対象の候補は、端末装置10のユーザでもある。
【0013】
また、
図1では、移動物体A01として、飛行船を例示する。また、移動物体A01は、自律型飛行船ロボットであるものとする。そして、移動物体A01は、広告コンテンツC10を提供する。広告コンテンツC10は、企業や商品の宣伝広告、交通情報、エリア情報、天気予報などを含む各種広告情報であり、移動物体A01に直接記載されていてもよいし、デジタルサイネージによって表示されていてもよい。そして、移動物体A01は、上記のように広告情報を提供しながら所定のエリアを移動する。なお、移動物体A01は、飛行船に限るものではなく、飛行機、ヘリコプター、ドローン(無人航空機:UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などいかなる飛行物体であってもよく、また、有人、無人のいずれであってもよい。
【0014】
移動制御装置100は、情報提供対象の候補を探査(例えば、センシング)し、センシングした結果に基づいて移動物体の移動経路を決定し、移動物体の移動を制御する装置である。具体的には、移動制御装置100は、電波、GPS、プッシュ通知、撮影画像に基づいて、情報提供対象の候補をセンシングし、センシング結果に基づいて、情報提供対象の候補が集中している箇所(例えば、所定の数値以上の分布密度を示す箇所)を情報提供対象の候補の所在地エリアとして特定する。そして、移動制御装置100は、特定した所在地エリア付近上空を通過するような経路を移動経路として決定し、決定した移動経路上において、情報提供対象の候補に対して所定の広告情報を配信する。
【0015】
ここで、移動制御装置100は、情報提供対象の候補が集中している箇所付近上空を通過する経路を移動物体A01を移動させたとしても、情報提供対象の候補の視野に移動物体A01がうまく入らず視認されないことがある。そこで、移動制御装置100は、情報提供対象の候補が集中している箇所ではなく、情報提供対象の候補の視野が集中している箇所を移動物体A01を通過させることによって、情報提供対象の候補による移動物体A01に対する視認性を高める。
【0016】
移動制御装置100は、情報提供対象の候補の向きとして移動方向を探査することによって、移動物体A01の移動経路を決定する。まず、移動制御装置100は、航路エリアにおいて、各端末装置10の端末位置情報を取得する(ステップS11)。具体的には、移動制御装置100は、端末装置10によって常時発信されているGPSログを受信することによって端末位置座標を取得する。そして、移動制御装置100は、各端末装置10の移動方向を推定する(ステップS12)。具体的には、移動制御装置100は、時間経過にともなう端末装置10の位置変位から速度ベクトルを求め、速度ベクトルに対応する方向を端末装置10の移動方向、すなわち、情報提供対象の候補の移動方向であるものと推定する。また、通常、人は、移動方向に視線を向けているため、情報提供対象の候補の移動方向は、視線方向とみなす。また、視線方向に視野が広がるため、情報提供対象の候補の移動方向は、さらに、視野方向に対応するものとみなす。つまり、移動制御装置100によって情報提供対象の候補の視野が推定されたことになる。
【0017】
続いて、移動制御装置100は、推定した視野方向に基づいて、各情報提供対象の候補の視野方向に対する視野エリアを算出する(ステップS13)。具体的には、移動制御装置100は、視野方向に対して、あらかじめ定められている視野モデル(人間の視覚特性に基づく視野範囲とその形状)を適応することによって、視野エリアを示すマップを作成する。つまり、
図1に示すように、情報提供対象の候補を頂点とする三角形の視野エリアがマップ上に形成されることになる。
【0018】
続いて、移動制御装置100は、算出した各視野エリアが重なっている部分の重なりから視野密度を算出する(ステップS14)。そして、移動制御装置100は、視野密度が所定の数値より高いエリアを視野集中エリアとして特定する(ステップS15)。そして、移動制御装置100は、このような視野密度が高い視野集中エリアを順に通過する経路を移動経路として決定し(ステップS16)、決定した移動経路に基づいて移動物体A01の移動を制御する(ステップS17)。また、移動制御装置100は、移動経路上において情報提供対象の候補に対して広告情報を配信する(ステップS18)。
【0019】
このように、移動制御装置100は、端末装置10のGPSによる端末位置情報を取得し、所定の時間経過における端末装置10の位置変位から情報提供対象の候補の移動方向を推定する。そして、移動制御装置100は、移動方向に対応する視野方向に基づいて算出した視野エリアにおいて、各情報提供対象の候補の視野エリアが重なっている部分の視野密度が所定の数値より高いエリアを通過する経路を移動経路として特定する。これにより、移動制御装置100は、情報提供対象の候補の視野がより多く集まっているエリアに移動物体A01を通過させることができるので、情報提供対象の候補による移動物体A01に対する視認性を高めることができる。
【0020】
〔2.移動制御システムの構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る移動制御システムの構成について説明する。
図2は、実施形態に係る移動制御システム1の構成例を示す図である。
図2に示すように、移動制御システム1は、端末装置10と、移動制御装置100とを含む。端末装置10と、移動制御装置100とは、ネットワークNを介して有線又は無線により通信可能に接続される。なお、
図2に示す移動制御システム1には、複数台の端末装置10が含まれてもよい。
【0021】
端末装置10は、情報提供対象の候補によって利用される端末装置である。例えば、端末装置10は、スマートフォンなどの携帯電話機や、タブレット端末や、PDA(Personal Digital Assistant)や、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PC等である。
【0022】
移動制御装置100は、
図1を用いて説明したように、情報提供対象の候補をセンシングし、センシングした結果に基づいて移動物体の移動経路を決定し、移動物体の移動を制御する。
【0023】
〔3.移動制御装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る移動制御装置100について説明する。
図3は、実施形態に係る移動制御装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、移動制御装置100は、通信部110と、配信情報記憶部120と、探査装置130と、移動制御部140とを有する。
【0024】
制御部A10は、移動物体A01が有しており、移動物体A01の移動に関する各種制御を行う。例えば、制御部A10は、移動物体A01の移動速度、移動高度、移動方向などを制御する。
【0025】
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、図示を省略したネットワークNと有線又は無線で接続される。
【0026】
配信情報記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。そして、配信情報記憶部120は、配信部144によって端末装置10へ配信される各種広告情報を記憶する。ここで、
図4に、実施形態に係る配信情報記憶部120の一例を示す。
図4は、実施形態に係る配信情報記憶部120の一例を示す図である。
図4に示した例では、配信情報記憶部120は、「情報ID」、「URL(Uniform Resource Locator)」といった項目を有する。
【0027】
「情報ID」は、各種情報を識別するための識別情報を示す。「URL」は、各種情報が掲載されたウェブページのURLのデータである。
【0028】
図3に戻って説明を続ける。探査装置130は、端末装置10によって常時発信されているGPSログを受信するための受信機である。そして、探査装置130は、受信したGPSログを各端末装置10を識別するための端末IDと対応付けて図示しない所定の記憶部に格納する。
【0029】
移動制御部140は、探査部141と、決定部142と、指示部143と、配信部144とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、移動制御部140の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、移動制御部140が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0030】
探査部141は、複数の情報提供対象の向きを探査する。具体的には、探査部141は、情報提供対象の向きとして移動方向をセンシングする。まず、探査部141は、探査装置130を制御することによってGPSによる端末位置情報を各端末装置10の端末IDとともに取得する。そして、探査部141は、所定の時間経過における各端末装置10の位置変位から速度ベクトル(例えば、各軸方向の位置の時間微分dx/dt、dy/dt、dz/dtで表されるベクトル)を求め、速度ベクトルに対応する方向を端末装置10の移動方向、すなわち、情報提供対象の候補の移動方向と推定する。つまり、探査部141は、端末位置情報を定期的に取得し、その連続した2回の取得結果から速度ベクトル算出する。なお、端末位置情報は、経緯度、高さの3つの座標で示されるが、ここでは、経度と緯度だけを用いるとする。また、速度ベクトルは、運動の方向(0〜360度)と絶対速度により定義される。
【0031】
ここで、通常、人は、移動方向に視線を向けているため、情報提供対象の候補の移動方向は、視線方向とみなす。また、視線方向に視野が広がるため、情報提供対象の候補の移動方向は、さらに、視野方向に対応するものとみなす。つまり、探査部141によって情報提供対象の候補の視野方向が推定されたことになる。
【0032】
決定部142は、探査部141による探査結果に基づいて、移動態様として移動物体A01の移動経路を決定する。具体的には、決定部142は、探査部141による探査結果から情報提供対象の候補の視野を推定し、推定した各視野の重なりから視野密度を算出する。ここで、決定部142は、探査部141から各情報提供対象の候補の視野方向のデータを受け付けた場合に、各情報提供対象の候補の視野方向に対する視野エリアを算出する。例えば、決定部142は、視野方向に対して、あらかじめ定められている視野モデル(人間の視覚特性に基づく視野範囲とその形状)を適応し、視野エリアを示すマップを作成することで、推定の値としての視野エリアを算出する。なお、視野エリアマップは、例えば、経緯度による座標系で示される。
【0033】
そして、決定部142は、作成した視野エリアマップにおいて、各視野エリアが重なっている部分の重なりから視野密度を算出する。例えば、決定部142は、視野エリアマップを所定の区画ごとに分割し、分割した区画ごとに、区画に存在する視野エリアの重なり数を計数することで視野密度を算出する。
【0034】
そして、決定部142は、移動物体A01が移動可能な領域のうち、視野密度がより高い領域に優先して移動するよう移動態様を決定する。具体的には、決定部142は、視野密度が所定の数値より高い区画を視野集中エリアとして特定し、特定した視野集中エリアを順に通過する経路を移動経路として決定する。なお、決定部142は、各区画の視野エリアの重なり数の相対比率から視野集中エリアとしての区画を特定してもよい。また、決定部142は、視野エリアマップの分割ではなく、各視野エリアの重なりに基づく視界のヒートマップを作成することで、視野集中エリアを特定してもよい。また、決定部142は、航空法による制限事項も加味したうえで、移動経路を最適化してもよい。
【0035】
指示部143は、決定部142によって移動経路が決定された場合に、決定された移動経路に基づいて移動物体A01を移動させるよう制御部A10に指示する。例えば、指示部143は、制御部A10に対して決定部142によって決定された移動経路データを送信することによって制御部A10を制御する。
【0036】
配信部144は、広告情報を端末装置10へ配信する。具体的には、配信部144は、決定部142によって決定された移動経路上において、探査部141によって探査された情報提供対象の候補の端末装置10へ、所定の広告情報とともに移動物体A01によって撮影された撮影画像を配信する。例えば、配信部144は、所定のアプリが起動された端末装置10に広告情報を配信してもよいし、所定のアプリがインストールされている全ての端末装置10に配信してもよい。また、移動物体A01に所定のメールアドレスを表示する、若しくは、音波、伝播、光等の伝達手段を用いて、所定のメールアドレスを近傍エリアの端末装置10に配信し、端末装置10からかかるメールアドレスを宛先とした空メールを受信すると、かかる空メールに対する自動返信という形で、配信部144は、広告情報を端末装置10へ配信してもよい。また、配信部144は、配信部144を経由することなく、移動物体A01に広告情報に関するウェブページのURLやQRコード(登録商標)を表示することにより、ユーザが端末装置10を用いて広告情報を取得できるようにしてもよい。
【0037】
〔4.移動制御システムの処理手順〕
次に、
図5を用いて、実施形態に係る移動制御システムによる処理の手順について説明する。
図5は、実施形態に係る移動制御システム1による処理手順を示すフローチャート図である。
【0038】
図5に示すように、移動制御装置100は、所定の時間間隔でGPSによる端末位置情報を取得する(ステップS101)。そして、移動制御装置100は、時間経過における端末装置10の位置変位から、端末装置10の速度ベクトル、すなわち、情報提供対象の候補の速度ベクトルを算出し、算出した速度ベクトルを、情報提供対象の候補の移動方向であるものと推定する(ステップS102)。
【0039】
そして、移動制御装置100は、推定した情報提供対象の候補の移動方向は、情報提供対象の候補の視野方向に対応するものとみなし、視野方向に視野エリアモデルを適応することによって視野エリアマップを作成する(ステップS103)。そして、移動制御装置100は、作成した視野エリアマップを所定の区画に分割し、区画ごとに各情報提供対象の候補の視野エリアが重なっている部分の重なりから視野密度を算出する(ステップS104)。
【0040】
また、移動制御装置100は、算出した視野密度に基づいて、視野集中エリアを特定し(ステップS105)、特定した視野集中エリアを通過する経路を移動経路として決定する(ステップS106)。そして、移動制御装置100は、決定した移動経路に基づいて移動物体A01の移動を制御する(ステップS107)。
【0041】
〔5.変形例〕
上述した実施例にかかる移動制御装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、移動制御装置100の他の実施例について説明する。
【0042】
〔5−1.移動経路〕
上述してきた決定部142は、視野密度の高い視野集中エリアを通過させる移動経路を決定する例を示した。しかし、決定部142は、情報提供対象の候補による移動物体A01に対する視認性を考慮した移動経路を決定してもよい。具体的には、決定部142は、算出した視野密度と、移動物体A01の位置との関係に基づいて、移動物体A01の移動態様を決定する。例えば、決定部142は、視野集中エリアを通過させる際に、各情報提供対象の候補の視線方向に対して移動物体A01の広告面が直角に位置する経路を選択する。この点について
図6を用いて説明する。
【0043】
図6は、実施形態に係る経路モデルの一例を示す図である。例えば、
図6に示す例では、決定部142は、上述した処理を用いて、視線集中エリア(
図6中の濃い色を付した領域に対応)を通過させる経路を移動経路として決定する。さらに、決定部142は、各情報提供対象の候補の視線を視線ベクトルとして、視線ベクトル(
図6中の点線矢印に対応)の合計ベクトル(
図6中の太い矢印に対応)に対して、直角となる方角から移動物体A01を視野集中エリア(
図6中の濃い色を付した領域に対応)を通過させる経路を移動経路として決定する。このように、決定部142は、視線ベクトルに対して直角方向で視野集中エリアを通過させることで、広告面が付されている移動物体A01の側面への視認性を低下するような移動態様を防止する。これにより、各情報提供対象の候補の視線は、移動物体A01の広告をより視認し易くなる。なお、上述したように、人は、通常、移動方向に視線を向けていることが多いので、情報提供対象の候補の移動方向を示す速度ベクトルが、視線ベクトルに対応することになる。
【0044】
〔5−2.視野モデル〕
また、上述してきた決定部142は、探査部141による探査結果と移動物体A01の移動速度とに基づいて、情報提供対象の候補における視野の角度を推定してもよい。この点について
図7を用いて説明する。
【0045】
図7は、実施形態に係る視野モデルの一例を示す図である。ここでは、情報提供対象の候補の視野を円錐形のモデルとする。(A)は、情報提供対象の候補を示す。そして、円錐形の中心範囲(色の濃い部分)は、情報提供対象の候補がより注視している領域を示す。なお、この領域は、視野モデルの形状や、各辺の長さ、角度に基づいて設定された予測値である。例えば、決定部142は、
図7に例示する視野モデルを用いて上述した視野密度を算出する際、円錐形の中心部分に値「2」、他の部分に値「1」を振り分ける。そして、決定部142は、エリアごとに、かかるエリア内に存在する視野モデルの部分を特定し、特定した部分に割り当てられた値の合計を算出することで、視野密度を算出する。このような処理を実行することで、決定部142は、情報提供対象の候補の視野密度をより正確に特定できる。
【0046】
ここで、人は移動速度に応じて視野の大きさが変化することを考慮すると、決定部142は、視野モデルマップを作成する際に、視野方向を示す速度ベクトルの大きさに応じた視野の角度、具体的には、(A)点の角度を推定して、適宜視野モデルの形状を変更してもよい。例えば、人は移動速度が速くなると視野が狭くなると考えられるので、このような場合には、決定部142は、(A)点の角度を小さくすることで、円錐形のサイズを狭くする。つまり、
図7の例では、円錐形の周りの薄い色部分を狭くする。なお、決定部142は、情報提供対象の候補の移動速度が速い場合は、円錐形の回りの薄い色部分を狭くするとともに、中心の色の濃い部分の太さを、より細くしてもよい。
【0047】
〔5−3.移動方向センシング(1)〕
上述してきた探査部141は、所定の時間間隔で取得したGPSによる端末位置情報の位置変位から情報提供対象の候補の移動方向を推定する例を示した。しかし、探査部141は、端末装置10にジャイロセンサが搭載されている場合には、ジャイロセンサのセンサ情報を取得してもよい。ジャイロセンサは端末装置の速度や回転の方向を検知するものであるため、探査部141は、取得したジャイロセンサ情報から端末装置10の向きを特定することができる。したがって、探査部141は、ジャイロセンサ情報から特定した端末装置10の向きを情報提供対象の候補の移動方向であるものと推定してもよい。また、探査部141は、ジャイロセンサに加えて、方位センサや加速度センサのセンサ情報を取得し、取得したデータ値から速度ベクトルを算出することで、情報提供対象の候補の移動方向を推定してもよい。なお、探査部141は、ジャイロセンサ以外にも、例えば、地磁気センサ等を用いて方向を推定してもよい。
【0048】
〔5−4.移動方向センシング(2)〕
また、上述してきた探査部141は、上空から撮影した地上撮影画像に基づいて、情報提供対象の候補の移動方向を推定してもよい。例えば、探査部141は、撮影画像を解析することによって個々の情報提供対象の候補を特定し、さらに、連続的に撮影した画像から得られる情報提供対象の候補の移動軌跡から移動方向を特定する。
【0049】
また、移動制御装置100が、図示しない地図情報記憶部を有している場合には、探査部141は、撮影画像と地図情報のマッチングを行うことによって、各情報提供対象の候補の位置座標を特定する。そして、探査部141は、連続的に撮影した画像に基づいて、時間当たりの位置座標の変位から速度ベクトルを算出することで、情報提供対象の候補の移動方向を推定してもよい。
【0050】
〔5−5.移動方向センシング(3)〕
また、上述してきた探査部141は、車の進行方向を情報提供対象の候補の移動方向として特定してもよい。例えば、探査部141は、GPSによる端末位置情報と地図情報を併用することで車道上に存在する情報提供対象の候補は車に乗っていると推定する。また、探査部141は、位置座標の変位から算出した移動速度が所定の速度より遅い場合には、渋滞のため減速していると推定する。ここで、探査部141は、情報提供対象の候補が、車の渋滞状況の中にいる場合には、車の進行方向を情報提供対象の候補の移動方向と定める。情報提供対象の候補の視界方向は、車の進行方向に広がっているはずであるので、その方向に対して直角に移動物体A01が入り込めば、情報提供対象の候補による移動物体A01に対する視認性は高くなる。なお、探査部141は、渋滞を上空からの撮影画像や、交通情報から判定してもよい。
【0051】
〔5−6.リアルタイムセンシング〕
上述してきた移動制御装置100において探査部141は、決定部142によって決定された移動態様に従って移動物体A01が移動している最中に、情報提供対象の候補を再度探査し、決定部142は、探査部141によって再度探査された探査結果に基づいて、移動物体A01の移動態様を変更してもよい。
【0052】
上述してきた決定部142は、視野エリアの重なりに基づいて特定した視野集中エリアを順に通過してゆく経路を移動経路として決定する例を示した。しかし、探査部141は、このように決定部142によって決定された移動経路に従って移動物体A01が移動している最中にも、定期的に情報提供対象の候補の移動方向をセンシングする。そして、決定部142は、探査部141のセンシングに連動して視野集中エリアを更新してゆくことで、始めに決定した移動経路を随時変更してゆく。また、探査部141が連続的にセンシングを行うことで、移動物体A01を移動させながら随時移動経路を生成してもよい。
【0053】
つまり、人の進行方向は不定期に様々な方向に変化する可能性があるため、それにともなって視野方向も変化する。よって、視野方向に基づいて算出される視野エリア、さらには、視野集中エリアも連続的に変化する。ここで、移動制御装置100は、ひとたび決定した移動経路に基づいて、移動物体A01を移動させた場合には、所定の地点に移動物体A01が到達したときには、その地点の視野集中エリアはなくなってしまっている可能性もある。そのため、上述したように、移動制御装置100は、一旦決定した移動経路をリアルタイムセンシングに基づいて変更してゆく、あるいは、移動物体A01を移動させつつ、随時移動経路を生成してゆくことで理想的な移動経路が得ることができる。
【0054】
〔5−7.コミュニケーションサービスとの連携〕
また、上述してきた移動制御装置100は、所定のコミュニケーションサービスを提供する外部サーバ装置と連携関係にある場合に、ユーザによる端末装置10への各種操作に基づいて、端末装置10へ各種情報を配信してもよい。具体的には、移動制御装置100の配信部144は、移動物体A01を撮影した撮影画像を所定のサーバ装置に送信した情報提供対象の候補に対し、クーポンやポイント等の報酬やリコメンド情報等、任意の情報を配信してもよい。
【0055】
〔5−8.広告効果分析〕
また、上述してきた移動制御装置100は、広告効果を分析してもよい。具体的には、移動制御装置100は、センシング数、センシング増加数、アクティブ数、アクティブ増加数、サーバアクセス数、ブログアップ数、ツイート数、クーポン配布数、配布クーポン使用数等を取得、分析して、広告主にレポートしてもよい。
【0056】
〔5−9.配信部〕
また、上述してきた移動制御装置100は、配信部144を有している例を示したが、配信部144を有しなくてもよい。
【0057】
〔5−10.探査装置〕
また、上記実施形態では、探査装置130は、移動制御装置100の内部に搭載されている例を示したが、これに限るものではない。つまり、探査装置130は、移動物体A01内であればいずれの箇所に存在してもよい。
【0058】
〔5−11.プログラム〕
また、上述してきた実施形態にかかる移動制御装置100は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、移動制御装置100を例に挙げて説明する。
図8は、移動制御装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0059】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0060】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信網50を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網50を介して他の機器へ送信する。
【0061】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0062】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0063】
例えば、コンピュータ1000が実施形態にかかる移動制御装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、移動制御部140の機能を実現する。また、HDD1400には、配信情報記憶部120内のデータが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信網50を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0064】
〔5−12.その他〕
上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0065】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0066】
また、上述してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0067】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0068】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、探査部は、探査手段や探査回路に読み替えることができる。
【0069】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る移動制御装置100は、探査部141と、決定部142とを有する。探査部141は、複数の情報提供対象の候補の向きを探査する。決定部142は、探査部141による探査結果から、情報提供対象の候補の視野の重複を示す視野密度を算出し、算出した視野密度に基づいて、情報を提供する移動物体A01の移動態様を決定する
【0070】
このように、実施形態に係る移動制御装置100は、情報提供対象の候補の視野がより多く重なるエリアに移動物体A01を移動させる。視野の重なりが多いエリアは、多くの情報提供対象の候補によって注視されているエリアといえるので、そのようなエリアにおいて移動制御装置100は、移動物体A01を移動させることによって、情報提供対象の候補による移動物体A01に対する視認性を高めることができる。すなわち、移動制御装置100は、移動物体A01によって提供される広告情報の広告効果を高めることができる。
【0071】
また、実施形態に係る決定部142は、探査部141による探査結果に基づいて、移動態様として前記移動物体の移動経路を決定する。
【0072】
これにより、実施形態に係る移動制御装置100は、移動物体A01によって提供される広告情報の広告効果を高めることができる移動経路に基づいて移動物体を移動させることができる。
【0073】
また、実施形態に係る決定部142は、移動物体A01が移動可能な領域のうち、視野密度がより高い領域に優先して移動するよう移動態様を決定する、
【0074】
これにより、実施形態に係る移動制御装置100は、情報提供対象の候補による移動物体A01に対する視認性を高めることができるため、移動物体A01によって提供される広告情報の広告効果を高めることができる。
【0075】
また、実施形態に係る決定部142は、算出した視野密度と、移動物体A01の位置との関係に基づいて、移動物体A01の移動態様を決定する。
【0076】
これにより、実施形態に係る移動制御装置100は、情報提供対象の候補に対して広告面が付されている移動物体A01の側面への視認性を高めることができる。
【0077】
また、実施形態に係る決定部142は、探査部141による探査結果から各情報提供対象の候補の視野を推定し、推定した各視野の重なりから視野密度を算出する。
【0078】
これにより、実施形態に係る移動制御装置100は、視野密度に基づいた移動経路を決定することができる。
【0079】
また、実施形態に係る決定部142は、探査部141による探査結果と移動物体の移動速度とに基づいて、情報提供対象の候補における視野の角度を推定する。
【0080】
これにより、実施形態に係る移動制御装置100は、移動物体の移動速度に応じて視野の形状を変更することができるので、より正確な視野密度を算出することができる。
【0081】
また、実施形態にかかる配信部144は、決定部142によって決定された移動経路上において、探査部141によって探査された情報提供対象の候補に対して、所定の広告情報とともに移動物体A01によって撮影された撮影画像を配信する。
【0082】
このように、実施形態に係る移動制御装置100は、情報提供対象の候補に直接広告情報を配信することができる。これにより、移動制御装置100は、移動物体A01によって提供される広告情報の広告効果をより高めることができるとともに、エリア情報を情報提供対象の候補に伝えることができる。
【0083】
また、実施形態に係る配信部144は、移動物体A01を撮影した撮影画像を所定のサーバ装置に送信した情報提供対象の候補に広告情報を配信する。
【0084】
これにより、移動制御装置100は、情報提供対象の候補に対して移動物体A01への興味を高めることができるので、移動物体A01によって提供される広告情報の広告効果をより高めることができる。
【0085】
また、実施形態に係る探査部141は、決定部142によって決定された移動態様に従って移動物体A01が移動している最中に、情報提供対象の候補を再度探査し、決定部142は、探査部141によって再度探査された探査結果に基づいて、移動物体A01の移動態様を変更する。
【0086】
このように、移動制御装置100は、情報配信対象の候補の所定の状況変化(例えば、情報配信対象の候補の移動方向が変わる)に応じて移動経路を変更することができるので、移動物体A01によって提供される広告情報の広告効果をより高めることができる。