特許第6181587号(P6181587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181587
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】液晶ポリエステルブレンド
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20170807BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20170807BHJP
   C08G 63/60 20060101ALI20170807BHJP
   C08G 63/06 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C08L67/00
   C08K3/00
   C08G63/60
   C08G63/06
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-63294(P2014-63294)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-183159(P2015-183159A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000189659
【氏名又は名称】上野製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(72)【発明者】
【氏名】木原 正博
(72)【発明者】
【氏名】土谷 仁志
(72)【発明者】
【氏名】内田 博人
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 泰平
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−021178(JP,A)
【文献】 特開平02−088667(JP,A)
【文献】 特開2009−108191(JP,A)
【文献】 特開2013−028678(JP,A)
【文献】 特開2012−126842(JP,A)
【文献】 国際公開第01/081469(WO,A1)
【文献】 特開2007−154169(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/024821(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式[I]〜[V]:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
[式中、
p、q、r、sおよびtは、全繰り返し単位中の各繰返し単位のモル%を示し、以下の条件を満たす:
25≦p≦45;
2≦q≦10;
10≦r≦20;
10≦s≦20;
20≦t≦40;および
p+q+r+s+t=100]
で表される繰返し単位からなる全芳香族液晶ポリエステル、および
(B)式[VI]:
【化6】
で表される繰り返し単位、および
式[VII]:
【化7】
[式中、
uおよびvは、全繰り返し単位中の各繰返し単位のモル%を示し、以下の条件を満たす:
10/90≦u/v≦50/50;および
u+v≧90]
で表される繰返し単位を含む液晶ポリエステル
を含み、重量比(A)/(B)は99/1〜15/85である、液晶ポリエステルブレンド。
【請求項2】
液晶ポリエステル(B)は、式[VI]で表される繰り返し単位および式[VII]で表される繰返し単位のみを含む、請求項1に記載の液晶ポリエステルブレンド。
【請求項3】
長さ85mm、幅1.75mm、厚さ1.75mmのスティック状試験片を用いて、1GHzにおいて測定した誘電正接が0.0015以下である請求項1または2に記載の液晶ポリエステルブレンド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の液晶ポリエステルブレンド100重量部、および
無機充填材および/または有機充填材の1種以上0.1〜200重量部
を含んでなる液晶ポリエステルブレンド組成物。
【請求項5】
無機充填材および/または有機充填材が、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、アラミド繊維、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、および酸化チタンからなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載の液晶ポリエステルブレンド組成物。
【請求項6】
無機充填材がガラス繊維である請求項4に記載の液晶ポリエステルブレンド組成物。
【請求項7】
請求項1〜3の何れかに記載の液晶ポリエステルブレンドまたは請求項4〜6の何れかに記載の液晶ポリエステルブレンド組成物からなる成形品。
【請求項8】
成形品は、アンテナ、コネクターおよび基板からなる群から選択される、請求項7に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性に優れ、かつ高周波帯域における誘電特性に優れる液晶ポリエステルブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会においては、日常生活のマルチメディア化や、有料道路におけるETC装置やGPSに代表されるITS(高度道路交通システム、Intelligent Transport Systems)の利用が急速に進んでいる。これに伴う情報通信のトラフィックの爆発的な増加に対応するべく、情報を伝送する周波数の高周波化が進んでいる。
【0003】
このように高周波化された情報通信装置に用いられる材料としては、高周波帯域(特にギガヘルツ帯域)における誘電特性に優れ、生産性や軽量性に優れたエンジニアリングプラスチック材料が有望視されており、各種通信機器、電子デバイスなどの筐体やパッケージや誘電体デバイス等としての適用が期待されている。
【0004】
上述のエンジニアリングプラスチックの中でも、サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂(以下液晶ポリエステル樹脂またはLCPと略称する)は、
(1)比誘電率(εr)が使用周波数領域帯域で一定であり、誘電正接(tanδ)が低いなど誘電特性に優れる、
(2)低膨張特性(環境寸法安定性)、耐熱性、難燃性、剛性等の機械物性など種々の物性に優れている、
(3)成形時の流動性に優れ、薄肉部、微細部を有する成形品を容易に加工することができる、
などの優れた性質を有することから、高周波用途において特に期待されている材料である。
【0005】
しかしながら、情報技術(IT)の急成長に伴い、情報・通信分野においては電気電子部品の高集積度化、小型化、薄肉化、低背化等が進んでおり、0.5mm以下の非常に薄い肉厚部が形成されるケースが多く、このような薄肉部においても樹脂が完全に充填するような良好な流動性が求められている。一般に液晶ポリエステルは他の樹脂に比べて流動性に優れているが、このような薄肉化が要求される場合には、さらなる流動性の向上が必要となる。
【0006】
そこで、液晶ポリエステルの流動性を改良するために、他の樹脂をブレンドする方法が提案されている。特許文献1には、熱変形温度の異なる2種の液晶ポリエステル樹脂をブレンドする方法が開示され、特許文献2には、流動温度の異なる2種の液晶ポリエステル樹脂をブレンドする方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記文献では、LCP同士のブレンドによって、流動性を改良するとともに、高周波帯域における誘電特性をも改善することについては検討されておらず、誘電特性と流動性の両立は未だ困難であった。
【0008】
特許文献3では、高周波帯域における誘電特性に優れると共に、衝撃強度および成形加工性に優れた芳香族液晶ポリエステルブレンドが提案されているものの、成形時の流動性については未だ満足のいくものではなかった。
【0009】
さらに、成形品を高温の空気中および液体中に長時間放置したり、あるいはハンダ付等を行ったりする際に、表面にブリスターと呼ばれる膨れが生じることがあった。この現象の起こる原因は明確ではないが、液晶ポリエステルが溶融状態にある時に発生する分解ガスや成形時に巻き込まれた空気などが成形品内部に持ち込まれ、その後高温の熱処理を行う際にそのガスが膨張し、加熱で軟化した成形品表面を押し上げ、ブリスターとして現れるものと推定される。
【0010】
このようなブリスターの発生を抑制するために、材料の溶融押出時にベント孔から十分脱気すること、成形時に成形機内に長く滞留させないことや背圧をかけることなどが考えられる。しかしながら、これらはいずれも操作条件範囲が狭く、ブリスターの発生を抑制した成形品を得るには十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第2611376号公報
【特許文献2】特開平10−219085号公報
【特許文献3】特許第5225653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、流動性に優れるとともに、高周波帯域での誘電特性および耐ブリスター性にも優れた液晶ポリエステルブレンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題に鑑み、液晶ポリエステル樹脂の誘電特性、流動性および耐ブリスター性について鋭意検討した結果、特定の繰り返し単位からなる2種の液晶ポリエステルをブレンドすることにより、誘電特性に優れ、かつ流動性および耐ブリスター性が向上した液晶ポリエステルブレンドが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、成形時の流動性に優れるとともに、高周波帯域での誘電特性および耐ブリスター性に優れるため、各種通信機器、電子デバイス等の筐体やパッケージ、および誘電体デバイス等といった高周波用途に好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
すなわち、本発明は、
(A)下記式[I]〜[V]:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
[式中、
p、q、r、sおよびtは、全繰り返し単位中の各繰返し単位のモル%を示し、以下の条件を満たす:
25≦p≦45;
2≦q≦10;
10≦r≦20;
10≦s≦20;
20≦t≦40;および
p+q+r+s+t=100]
で表される繰返し単位からなる全芳香族液晶ポリエステル、および
(B)式[VI]:
【化6】
で表される繰り返し単位、および
式[VII]:
【化7】
[式中、
uおよびvは、全繰り返し単位中の各繰返し単位のモル%を示し、以下の条件を満たす:
10/90≦u/v≦50/50;および
u+v≧90]
で表される繰返し単位を含む液晶ポリエステル
を含み、重量比(A)/(B)は99/1〜15/85である、液晶ポリエステルブレンドを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の液晶ポリエステルブレンドに用いる全芳香族液晶ポリエステル(A)(以下、単に液晶ポリエステル(A)と呼ぶ)および液晶ポリエステル(B)は当業者にサーモトロピック液晶ポリエステルと呼ばれる異方性溶融相を形成する液晶ポリエステルである。
【0017】
液晶ポリエステルの異方性溶融相の性質は直交偏向子を利用した通常の偏向検査法、すなわち、ホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で観察することにより確認できる。
【0018】
以下、液晶ポリエステル(A)について説明する。
本発明に用いる液晶ポリエステル(A)は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位および芳香族ジカルボニル繰返し単位から構成される全芳香族液晶ポリエステル樹脂である。これらの各繰返し単位から構成される液晶ポリエステル(A)は構成成分およびポリマー中の組成比、シークエンス分布によっては、異方性溶融相を形成するものとしないものが存在するが、本発明に使用される液晶ポリエステル(A)は異方性溶融相を形成するものに限られる。
【0019】
液晶ポリエステル(A)は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位として、以下に示す式[I]:
【化8】
で表されるp−オキシベンゾイル繰返し単位、および式[II]:
【化9】
[式中、pおよびqはそれぞれ、液晶ポリエステル(A)における全繰返し単位中の式[I]および式[II]で表される繰返し単位のモル%を示す]
で表される6−オキシ−2−ナフトイル繰返し単位を本質的に含んでなる。
【0020】
液晶ポリエステル(A)は、式[I]で表される繰返し単位を全繰返し単位に対して25〜45モル%、好ましくは30〜45モル%、さらに好ましくは30〜40モル%含み、かつ、式[II]で表される繰返し単位を全繰返し単位に対して2〜10モル%、好ましくは3〜9モル%、さらに好ましくは3〜6モル%含んでなる。
【0021】
式[I]で表される繰返し単位を与える単量体としては、p−ヒドロキシ安息香酸、およびそのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0022】
式[II]で表される繰返し単位を与える単量体としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、およびそのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0023】
また、液晶ポリエステル樹脂(A)は、芳香族ジオキシ繰返し単位として、以下の式[III]:
【化10】
、および式[IV]:
【化11】
[式中、rおよびsはそれぞれ、液晶ポリエステル(A)における全繰返し単位中の式[III]および式[IV]で表される繰返し単位のモル%を示す]
で表される繰返し単位を本質的に含んでなる。
【0024】
液晶ポリエステル樹脂(A)は、式[III]で表される繰返し単位を、全繰返し単位に対して10〜20モル%、好ましくは13〜20モル%、より好ましくは13.5〜18.5モル%、さらに好ましくは16〜18モル%含み、かつ、式[IV]で表される繰返し単位を、全繰返し単位に対して10〜20モル%、好ましくは10〜17モル%、より好ましくは11.5〜15.5モル%、さらに好ましくは12〜14モル%含んでなる。
【0025】
また、液晶ポリエステル(A)は、式[III]で表される繰返し単位の液晶ポリエステル(A)における組成比(モル%)が、式[IV]で表される繰返し単位の液晶ポリエステル(A)における組成比(モル%)よりも多い、すなわち、r>sの関係を満たす場合は、耐ブリスター性の点から好ましい。
【0026】
式[III]で表される繰返し単位を与える単量体としては、ハイドロキノン、およびそのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0027】
式[IV]で表される繰返し単位を与える単量体としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、およびそのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0028】
液晶ポリエステル樹脂(A)は、さらに以下に示す式[V]:
【化12】
[式中、tは、液晶ポリエステル樹脂における全繰返し単位中の式[V]で表される繰返し単位のモル%を示す]
で表される芳香族ジカルボニル繰返し単位を本質的に含んでなる。
【0029】
液晶ポリエステル(A)は、芳香族ジカルボニル繰返し単位として、式[V]で表される繰返し単位を20〜40モル%、好ましくは25〜35モル%、さらに好ましくは28〜32モル%含んでなる。
【0030】
式[V]で表される繰返し単位を与える単量体としては、テレフタル酸、およびそのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
【0031】
液晶ポリエステル(A)においては、p+q+r+s+t=100である。
【0032】
また、液晶ポリエステル(A)において、式[III]および式[IV]で表される芳香族ジオキシ繰返し単位の合計含有量と、式[V]で表される芳香族ジカルボニル繰返し単位の含有量は、実質的に等モルであるのが好ましい。
【0033】
次に、液晶ポリエステル(B)について説明する。
本発明において用いる液晶ポリエステル(B)は、全繰り返し単位中に、芳香族オキシカルボニル繰返し単位である、式[VI]:
【化13】
で表される繰り返し単位、および式[VII]:
【化14】
[式中、
uおよびvは、全繰り返し単位中の各繰返し単位のモル%を示し、以下の条件を満たす:
10/90≦u/v≦50/50;および
u+v≧90]
で表される繰り返し単位を含む液晶性ポリエステルである。
【0034】
液晶ポリエステル(B)については、所定の量および比率で、式[VI]で表される繰返し単位と式[VII]で表される繰返し単位を含有するものであれば、液晶ポリエステル(B)を構成する繰返し単位の種類および組み合わせは特に制限されない。
【0035】
本発明において用いる液晶ポリエステル(B)は、式[VI]で表される繰返し単位と式[VII]で表される繰返し単位を所定の量および比率で含むように、2種以上の液晶ポリエステル樹脂を別々に、あるいは溶融混練して液晶ポリエステルブレンドとしたものを用いてもよい。
【0036】
液晶ポリエステル(B)において、式[VI]で表される繰返し単位と式[VII]で表される繰返し単位の合計量(u+v)は90〜100モル%であり、より好ましくは95〜100モル%である。特に好ましくは、式[VI]で表される繰返し単位と式[VII]で表される繰返し単位の合計量100モル%、すなわち、式[VI]で表される繰り返し単位および式[VII]で表される繰返し単位のみを含む場合であり、これは重合の容易性の観点から好ましい。
【0037】
液晶ポリエステル(B)において、式[VI]で表される繰返し単位および式[VII]で表される繰返し単位のモル比率(u/v)は、10/90〜50/50であり、より好ましくは20/80〜40/60であり、特に好ましくは25/75〜30/70である。
【0038】
本発明において用いる液晶ポリエステル(B)は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位として式[VI]で表される繰返し単位および式[VII]で表される繰返し単位を本質的に含んでなる。式[VI]で表される繰返し単位を与える単量体としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、およびそのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。式[VII]で表される繰返し単位を与える単量体としては、4−ヒドロキシ安息香酸、およびそのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0039】
本発明に用いる液晶ポリエステル(B)を構成する、式[VI]で表される繰返し単位および式[VII]で表される繰返し単位を除く、好適な繰返し単位としては、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族アミノオキシ繰返し単位、芳香族アミノカルボニル繰返し単位、芳香族ジアミノ繰返し単位、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位、および脂肪族ジオキシ繰返し単位などが挙げられる。
【0040】
上記芳香族オキシカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、およびこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0041】
上記芳香族ジオキシ繰返し単位および芳香族ジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、液晶ポリエステル(A)において挙げたものと同様である。
【0042】
上記芳香族アミノオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えばp−アミノフェノール、m−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシアミン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、およびそれらのアシル化物などのエステルおよび/またはアミド形成性誘導体が挙げられる。
【0043】
上記芳香族アミノカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えばp−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸等の芳香族アミノカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、およびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステルおよび/または形成性誘導体が挙げられる。
【0044】
上記芳香族ジアミノ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン等の芳香族ジアミン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、およびそれらのアシル化物などのアミド形成性誘導体が挙げられる。
【0045】
上記芳香族オキシジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば3−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジカルボン酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、および5−ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシ芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、およびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0046】
上記脂肪族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、およびそれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオキシ繰返し単位を含有するポリエステルを、前記の芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させることにより、脂肪族ジオキシ繰返し単位を含む液晶ポリエステルを得ることもできる。
【0047】
以下、液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)の製造方法について説明する。
【0048】
本発明に用いる液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)の製造方法に特に制限はなく、前記の単量体の組み合わせからなるエステル結合またはアミド結合を形成させる公知の重縮合方法、例えば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
【0049】
溶融アシドリシス法とは、本発明で用いる液晶ポリエステルの製造方法に用いるのに好ましい方法であり、この方法は、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融液を形成し、続いて反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(例えば、酢酸、水等)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
【0050】
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
【0051】
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法の何れの場合においても、液晶ポリエステルを製造する際に使用する重合性単量体成分は、常温において、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記単量体のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
【0052】
単量体のアシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリマーの製造時に単量体に無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
【0053】
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法の何れの場合においても、必要に応じて触媒を用いてよい。
【0054】
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(例えばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン、三酸化アンチモン、アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどのチタン化合物;カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩(例えば酢酸カリウム);無機酸塩類(例えば硫酸カリウム);ルイス酸(例えば三フッ化硼素);ハロゲン化水素(例えば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
【0055】
触媒の使用割合は、通常モノマーに対して1〜1000ppm、好ましくは20〜200ppmである。
【0056】
このようにして重縮合反応され得られた液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)は、それぞれ溶融状態で重合反応槽より抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工される。
ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)は、所望により、耐熱性を高めるなどの目的で、真空下、または窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下において固相状態で熱処理を行ってもよい。
【0057】
このようにして得られた、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工された液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)は、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出し機などを用いて、溶融混練され本発明の液晶ポリエステルブレンドとされる。
【0058】
液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)の配合比率(A)/(B)としては、重量比で99/1〜15/85、好ましくは98/2〜20/80、より好ましくは97/3〜25/75である。
【0059】
(A)/(B)が99/1よりも大きい場合は、流動性が十分に改善されず、(A)/(B)が15/85より小さい場合は、耐ブリスター性の改善効果が得られないため好ましくない。
【0060】
また、本発明の液晶ポリマーブレンドは、ギガヘルツ帯域の高周波領域において低い誘電正接を示す。具体的には、1GHzの条件で測定した誘電正接が0.0015以下、好ましくは0.0014以下、より好ましくは0.0013以下の非常に低い誘電正接を示す。
【0061】
誘電正接は、ベクトルネットワークアナライザー(アジレントテクノロジー社製)を使用した空洞共振器摂動法において、長さ85mm、幅1.75mm、厚さ1.75mmのスティック状試験片を用いて、1GHzおよび10GHzにおいて測定することができる。
【0062】
上記のようにして得られた液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)からなる液晶ポリエステルブレンドに、無機充填材および/または有機充填材を配合して、液晶ポリエステルブレンド組成物としてもよい。
【0063】
本発明の液晶ポリエステルブレンド組成物に配合してもよい、無機充填材および/または有機充填材としては、たとえばガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、アラミド繊維、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、および酸化チタンからなる群から選択される1種以上が挙げられる。これらの中では、ガラス繊維が物性とコストのバランスが優れている点で好ましい。
【0064】
本発明の液晶ポリエステルブレンド組成物における、無機充填材および/または有機充填材の配合量は、液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜200重量部、好ましくは1〜100重量部であるのがよい。
【0065】
前記の無機充填材および/または有機充填材の配合量が200重量部を超える場合には、成形加工性が低下する傾向や、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。
【0066】
本発明の液晶ポリエステルブレンド組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でさらに、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩(ここで高級脂肪酸とは炭素原子数10〜25のものをいう)、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0067】
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤などの外部滑剤効果を有するものについては、本発明の液晶ポリエステルブレンドまたはその組成物を成形するに際して、予め、液晶ポリエステルブレンドまたはその組成物のペレットの表面に付着せしめてもよい。
【0068】
また、本発明の液晶ポリエステルブレンドまたはその組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに、本発明の液晶ポリエステルブレンドと同様の温度域で成形加工可能である他の樹脂成分を配合してもよい。他の樹脂成分としては、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ならびにポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。他の樹脂成分は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。他の樹脂成分の配合量は特に限定的ではなく、液晶ポリエステルブレンド組成物の用途や目的に応じて適宜定めればよい。典型的には、本発明の液晶ポリエステルブレンドまたはその組成物中の液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)の合計100重量部に対して、他の樹脂の合計配合量が0.1〜100重量部、特に0.1〜80重量部となる範囲で添加される。
【0069】
液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)からなる本発明の液晶ポリエステルブレンドと、無機充填材および/または有機充填材とは、所望により各種添加剤や他の樹脂成分などを組み合わせ、所定の組成で、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出し機などを用いて溶融混練することによって、液晶ポリエステルブレンド組成物とすることができる。
【0070】
これらの、無機充填材および/または有機充填材、各種添加剤や他の樹脂成分などは、液晶ポリエステル(A)および液晶ポリエステル(B)からなる液晶ポリエステルブレンドに配合してもよく、液晶ポリエステル(A)と液晶ポリエステル(B)との溶融混練時に同時に配合してもよい。
【0071】
この様にして得られた、本発明の液晶ポリエステルブレンドまたは液晶ポリエステルブレンド組成物は、射出成形機、押出機などを用いる公知の成形方法によって、成形品、フィルム、シート、および不織布などに加工される。
【0072】
本発明の液晶ポリエステルブレンドまたは液晶ポリエステルブレンド組成物は、流動性に優れるとともに、高周波帯域における誘電特性、耐ブリスター性および機械強度に優れるため、アンテナ、コネクター、基板などの高周波用途で用いられる電子部品の材料として特に好適に用いられる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0074】
実施例および比較例において、流動性、耐ブリスター性、誘電正接(tanδ)、曲げ強度は以下の方法で測定した。
【0075】
1)流動性
射出成形機(日精樹脂工業株式会社製 PS40)にて、厚み0.3mm、幅12.7mmのバーフロー流動長測定金型を用いて、シリンダー温度350℃、射出圧力20MPaのときの流動長で評価した。
【0076】
2)耐ブリスター性
62.5×12.7×0.8mmの試験片をギアオーブンにて240℃で10分間加熱処理を行い、冷却後、目視により表面に見られる直径1mmを越える膨れ(ブリスター)の発生個数をカウントした。膨れの発生個数が0〜1個の試験片については○、2個以上の試験片については×とした。
【0077】
3)誘電正接(tanδ)
射出成形機(日精樹脂工業株式会社製 UH1000−110)を用いて、長さ85mm、幅1.75mm、厚さ1.75mmのスティック状試験片を作成し、その試験片を用いて、ベクトルネットワークアナライザー(アジレントテクノロジー社製)にて1GHzおよび10GHzにおける誘電正接を空洞共振器摂動法により測定した。誘電正接が0.0015以下については○、0.0015を超えて0.0020以下であれば△、0.0020を超えれば×とした。
【0078】
4)曲げ強度
射出成形機(日精樹脂工業株式会社製 UH1000−110)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度70℃で射出成形し、12.7×127×3.2mmの短冊状曲げ試験片を得た。曲げ試験はASTM D790に従って行った。
【0079】
以下、合成例および実施例における略号は以下の化合物を表す。
〔液晶ポリエステル樹脂モノマー〕
POB:パラヒドロキシ安息香酸
BON6:6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
BP:4,4−ジヒドロキシビフェニル
HQ:ハイドロキノン
TPA:テレフタル酸
【0080】
合成例1
LCP−Iの合成〔液晶ポリエステル(A)〕
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB、BON6、HQ、BP、およびTPAを表1に示す組成比にて、総量6.5molとなるように仕込み、さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0081】
【表1】
【0082】
窒素ガス雰囲気下に室温〜150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去しながら350℃まで7時間かけ昇温した後、80分かけて5mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。
【0083】
合成例2
LCP−IIの合成〔液晶ポリエステル(B)〕
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器にPOBおよびBON6を、以下の表2に示す組成比で、総量6.5molとなるように仕込み、全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0084】
【表2】
【0085】
窒素ガス雰囲気下に室温〜150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去しながら210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、325℃まで5時間かけて昇温した後、90分かけて20mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。
【0086】
合成例3
LCP−IIIの合成〔液晶ポリエステル(A)〕
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB、BON6、HQ、BPおよびTPAを表3に示す組成比にて、総量6.5molとなるように仕込んだ。さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込んだ。次いで、合成例1と同様の条件で脱酢酸重合し、液晶ポリエステル樹脂を得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。
【0087】
【表3】
【0088】
合成例4
LCP−IVの合成
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、BON6、HQ、BPおよびTPAを表4に示す組成比にて、総量6.5molとなるように仕込んだ。さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込んだ。次いで、合成例1と同様の条件で脱酢酸重合し、液晶ポリエステル樹脂を得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。
【0089】
【表4】
【0090】
実施例1〜3
LCP−IおよびLCP-IIを、表5に記載の重量比となるようにブレンドし、二軸押出機TEX−30(日本製鋼所株式会社製)を用いて、350℃にて溶融混練を行い、液晶ポリエステルブレンドをペレットとして得た。その後、流動性、耐ブリスター性、誘電正接(tanδ)および曲げ強度を測定した。
【0091】
実施例4および比較例5
LCP−IIおよびLCPIIIを、表5に記載の重量比となるようにブレンドし、実施例1同様に液晶ポリエステルブレンドをペレットとして得た。その後、流動性、耐ブリスター性、誘電正接(tanδ)および曲げ強度を測定した。
【0092】
比較例1〜4
合成例1〜4により得られた液晶ポリエステルLCP−I〜LCP−IVについて、ブレンドすることなくそれぞれ単独で、流動性、耐ブリスター性、誘電正接(tanδ)および曲げ強度を測定した。
【0093】
比較例6
LCP−IIおよびLCP−IVを、表5に記載の重量比となるようにブレンドし、実施例1同様に液晶ポリエステルブレンドをペレットとして得た。その後、流動性、耐ブリスター性、誘電正接(tanδ)および曲げ強度を測定した。
【0094】
各実施例および比較例の測定および評価結果を表5に示す。
【0095】
【表5】
【0096】
本発明の液晶ポリエステルブレンド(実施例1〜4)はいずれも、優れた流動性を保ったまま、耐ブリスター性が改善され、低い誘電正接および高い曲げ強度を示した。
【0097】
これに対し、液晶ポリエステル(A)を単独で用いた場合(比較例1および比較例3)は、流動性および1GHzにおける誘電正接に劣り、液晶ポリエステル(B)を単独で用いた場合(比較例2)は、耐ブリスター性および10GHzにおける誘電正接に劣るものであった。
【0098】
また、液晶ポリエステル(A)と液晶ポリエステル(B)の配合比が本発明の範囲を外れる場合(比較例5)は、十分な耐ブリスター性が得られず、さらに液晶ポリエステル(A)が本発明の条件を満たさない場合(比較例4および比較例6)は満足のいく流動性が得られなかった。