(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動体が脱出できない閉塞空間の場合には、前記閉塞空間内の離れた位置に配置される2つのノード間にリンクが1つ形成されている経路をネットワークデータとすることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の地図のネットワークデータ自動生成装置。
1つのノードから分岐するネットワークの成す角度が直角になるように1次元方程式から交点の位置をネットワーク上において算出し、前記交点の位置を修正後のノード位置とするネットワーク補正を行うことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の地図のネットワークデータ自動生成装置。
分岐しないリンクに複数のノードが存在する場合において、前記移動体が移動できることを条件に中間のノードを削除するネットワーク補正を行うことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の地図のネットワークデータ自動生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、携帯端末の位置検出機能は、基本的には既製の屋外地図に対する位置表示であり、屋内などの既存のデータベースには存在しない地図データに基づいて位置検出・経路探索・経路誘導等をナビゲートするための屋内地図のネットワークデータを自動的に作成することは難しかった。
【0007】
例えば、屋内地図のネットワークデータを作成する時には、ネットワークデータを作成する為の点(地図情報として“ノード”と呼ぶ)を生成し、それらをつなぎ合わせて線(地図情報として“リンク”と呼ぶ)を作成する事を繰り返す作業がある。これらの作業を手入力で行うと、非常に労力がかかり短工期に地図を完成させることが困難となる。そのため、短期間かつ低コストでのシステムを構築しにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、屋内地図等に適したネットワークデータの自動作成技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、地図のネットワークデータを自動的に生成する自動生成装置であって、地図のイメージデータに基づいて、移動体が移動可能な経路を探索してネットワークデータを生成するネットワークデータ生成部を有し、前記ネットワークデータ生成部は、ネットワークデータの始点となるポイントを初期ノードとし、最初の次処理ノードとする。
前記次処理ノードから前記移動体が通過できる次のポイントとなるノード候補を検出するノード候補検出部と、前記移動体が前記ノード候補まで移動可能か否かを判定する移動可否判定部と、前記移動可否判定部において移動可能と判定されると、前記ノード候補を次に処理する次処理ノードとして登録する次処理接続ノード登録部と、前記次処理ノードとその前のノードとの間のリンクデータとを、ネットワークデータとして登録し、次に改めてノード候補検出部を呼び処理を行い、順次登録していくことを特徴とする地図のネットワークデータ自動生成装置が提供される。
【0010】
このネットワークデータを求めることで、位置検出、経路探索、経路誘導などを行うことができる。
【0011】
ネットワークデータは、1つのリンク毎に単位ネットワークデータとし、当該単位ネットワークデータを継続して取得するようにしても良いし、複数のリンクデータをまとめてネットワークデータとして登録するようにしても良い。
【0012】
前記移動可否判定部は、ノードを円心とした円内を移動体の範囲として前記円を拡大する処理を行う移動体範囲拡大部による円の拡大により最大同心円に到達したか否かを判定する拡大範囲到達判定部による円の拡大処理において、前記円が前記イメージデータと交差する箇所が2つ存在する場合に、前記円心を交点とし、2つの前記イメージデータの前記円心に近い方の2つの端部として定義される第1の検索地点と第2の検索地点と通る2本の直線の成す角度が、指向性を判断する閾値角度内に収まっている場合に、前記円心から前記2つの端部間を通る方向を移動方向として移動可能と判定することを特徴とする。
このように移動可能方向を自動的に決めることができる。
【0013】
経路が、1つのリンクで移動可能な単一通行路の場合には、前記第1の検索地点と前記第2の検索地点との間を2等分し、2等分した長さが移動体の半径以上ある場合、前記第1の検索地点と前記第2の検索地点との間の中点を、次の接続先のノード位置として仮決めすることを特徴とする。
【0014】
経路が、複数のリンクで移動可能な複数通行路の場合には、n個のリンクを作成する場合、前記第1の検索地点と前記第2の検索地点との間をn*2(n:1以上の整数)等分して、等分した長さが移動体の半径以上ある場合に移動可能とし、前記第1の検索地点と前記第2の検索地点との間のn等分した中点を、次の接続先のノード位置として仮決めすることを特徴とする。
【0015】
さらに、前記処理ノード及び前記次処理ノードについて、移動体をその位置に設定可能か否かを、前記イメージデータと前記移動体とが少なくとも一部の領域で重なるか否かに基づいて判定する移動体設定可否判定部を有することを特徴とする。
【0016】
前記移動体が閉塞空間から脱出できない閉塞空間の場合には、前記閉塞空間内の離れた位置に配置される2つのノード間にリンクが1つ形成されているネットワークデータとすることを特徴とする。
【0017】
1つのノードから分岐するネットワークの成す角度が直角になるように(直線の1次元方程式から)交点の位置をネットワーク上において算出し、前記交点の位置を修正後のノード位置とするネットワーク補正を行うことを特徴とする。
分岐しないリンクに複数のノードが存在する場合において、前記移動体が移動できることを条件に中間のノードを削除するネットワークデータ補正を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の他の観点によれば、コンピュータを用いた地図のネットワークデータを自動的に生成するネットワークデータ自動生成方法であって、地図のイメージデータに基づいて、移動体が移動可能な経路を探索してネットワークデータを生成するネットワークデータ生成ステップを有し、前記ネットワークデータ生成ステップは、ネットワークの始点となるポイントを初期ノードとし、前記初期ノードから前記移動体が通過できる次のポイントとなるノード候補を検出するノード候補検出ステップと、前記移動体が前記ノード候補まで移動可能か否かを判定する移動可否判定ステップと、前記移動可否判定ステップにおいて移動可能と判定されると、前記ノード候補を次に処理する次処理ノードとして登録する次処理接続ノード登録ステップと、前記次処理ノードとその前のノードとの間のリンクデータとを、ネットワークデータとして登録することを特徴とする地図のネットワークデータ自動生成方法が提供される。
【0019】
また、本発明は、地図のネットワークデータを自動的に生成するネットワークデータ自動生成プログラムであって、コンピュータに、地図のイメージデータに基づいて、移動体が移動可能な経路を探索してネットワークデータを生成するネットワークデータ生成処理を実行させ、前記ネットワークデータ生成処理は、ネットワークの始点となるポイントを初期ノードとし、前記初期ノードから前記移動体が通過できる次のポイントとなるノード候補を検出するノード候補検出処理と、前記移動体が前記ノード候補まで移動可能か否かを判定する移動可否判定処理と、前記移動可否判定処理において移動可能と判定されると、前記ノード候補を次に処理する次処理ノードとして登録する次処理接続ノード登録処理と、を実行させ、前記次処理ノードとその前のノードとの間のリンクデータとを、ネットワークデータとして登録することでネットワークデータとすることを特徴とする地図のネットワークデータ自動生成プログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、地図用のネットワーク情報を自動的に作成することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態による屋内地図におけるネットワークデータの自動生成技術について、詳細に説明する。地図のネットワークデータとは、地図に基づいてナビゲートを行う場合に用いられる移動体の位置検出および移動可能な経路を生成する為のデジタイズ情報のことであり、この経路に沿ったルートを提示することで移動体のナビゲートを行うことができる。
【0023】
本実施の形態の基本となる作業として、ネットワークデータを作成する為の点(地図情報として“ノード”と呼ぶ。位置情報として表される。)を生成し、それらをつなぎ合わせて線(地図情報として“リンク”と呼ぶ。ノード間を結ぶ直線などのネットワークデータ情報として表される。)を作成することを繰り返す作業の自動化を実現するものである。この問題を解決するためにはコンピュータによる処理の自動化を推し進め、屋内地図用のネットワークデータの生成を自動化するアルゴリズムの開発が必要となる。ナビゲートを行う際には、ユーザにより入力された現位置と目標位置との間の経路を検索して提示することで目的地までのナビゲートをすることができる。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態による屋内地図自動生成システムの一構成例を示す機能ブロック図である。屋内地図自動生成システムにより地図のネットワークデータ自動生成が可能である。
【0025】
まず、最初に屋内地図のネットワークデータを作成する為の準備を行う。符号101は、レーザ測量装置であり、このレーザ測量装置101で屋内の構造を測量し、その結果を測量結果記憶装置102に記憶させる。
【0026】
測量結果記憶装置102に記憶させた測量データからイメージ生成装置103を介してPCなどの情報処理装置(屋内地図生成処理装置)105に入力できるフォーマットに変換して測量結果イメージ記憶装置104に測量結果イメージを記憶させる。
【0027】
測量結果イメージ記憶装置104に記憶させた測量結果を情報処理装置105において読み出す。屋内地図生成処理装置105には、本実施の形態による、コンピュータを屋内地図生成処理装置として機能させるためのプログラム等がインストールされている。このようなソフトウェア構成に代えて、集積回路等により処理を実行するハードウェアを含む構成としても良い。
【0028】
屋内地図生成処理装置を起動し、測量結果イメージ記憶装置104に格納されている測量結果イメージを読み込み、解析する。その解析結果は、屋内地図記憶装置106に記憶させる。屋内地図生成処理装置105は、屋内地図記憶装置106から得た屋内地図のイメージデータに基づいて、ディスプレイ107等に地図を表示させることができる。
【0029】
屋内地図生成処理装置105による処理について詳細に説明する。
図6Aは、本実施の形態による屋内地図生成処理の流れを示すフローチャート図であり、
図6Bは、屋内地図生成処理装置105の一構成例を示す機能ブロック図である。また、
図2から
図5までは、ネットワークが作成される様子を示す図である。
【0030】
図6Bに示すように、屋内地図生成処理装置105は、イメージデータ入出力部105−1と、座標設定部105−2と、イメージデータ表示制御部105−3と、移動体サイズ設定受付部105−4と、ポイント(クリック)受付部105−5と、移動体設定可否判定部105−6と、初期ノード設定部105−7と、ネットワークデータ(経路データ)生成処理部105−8と、ネットワークデータ補正処理部105−9と、を有する。
【0031】
図6Aに示すように、処理が開始されると(start)、ステップS601において、イメージデータ入出力部105−1が測量結果イメージ記憶装置104からイメージデータを読み込み、ステップS602において、イメージデータを記憶する。処理の対象とする屋内のイメージ情報を選択して、イメージ情報を当アルゴリズム内に呼び込む。この際、読み込んだイメージ情報を解析して再度読み込まなくていいように解析した結果をハードディスク(HDD)などの外部記憶装置に退避しておく。
【0032】
ステップS603において、座標設定部105−2がイメージデータ上に適切な座標(x−y座標値、緯度経度など)を設定する。ステップS604において、イメージデータ表示制御部105−3がディスプレイ107にイメージデータを表示させる。
【0033】
図2は、屋内地図を読み込んだディスプレイ107の表示状態例を示す図である。
図2に示す例では、事務所などに机1や会議室3、エレベータ35などの移動体が移動できない(入り込めない)移動不可エリアと、移動体が移動可能な(入り込める)通路などの移動可能エリア(空間)11とが示されている。移動体は、人、台車、車いすなどを含む。
【0034】
データ解析をするにあたり、例えば壁、机、椅子等のオブジェクトを、イメージデータを形成する情報として捉え、廊下、ドア等はイメージ情報として残さないようにする。従って、移動できる空間は、情報として残っていない状態となる。このようにして解析した結果をもとに、屋内のイメージ図をディスプレイ107に表示する。表示対象とするのは、イメージデータとして残っている壁、机、椅子等のレーザ測量した結果、レーザを反射してオブジェクトとして認識されたものだけでよい。
【0035】
次いで、ステップS605において、移動体サイズ設定受付部105−4が、移動体のサイズを受け付ける。移動体が人であれば、一般的な人のサイズ(横幅)などを設定する。このような設定は、ユーザが任意の方法で設定することができる。
【0036】
ステップS606において、ポイント(クリック)受付部105−5が、移動できる空間内においてクリックを受け付ける。表示してあるイメージ図を拡大縮小、スクロール等を行い、何も表示されておらずネットワークを構成したい領域(移動できる空間内)の任意の位置にマウスでクリックすると、そのクリック操作と位置とが検出され、明示的に該当位置が最初のネットワークを構成する最初のノードとなる。
【0037】
図2の表示状態で、
図3に示すように、空間内の任意の地点P1にマウスをクリックして自動生成を開始する。マウスのクリックした領域を含むその閉塞された自由空間内に対し、リンクLnとノードPnとを以下のアルゴリズムにより自動的に求める自動生成アルゴリズムによって屋内地図にネットワークを作成していく。
【0038】
この時、移動体サイズ設定受付部105−4が受け付けた移動体のサイズも考慮し、移動体を順次移動させた結果をネットワークデータとして生成する。
【0039】
図3に示すように、移動体が通過できる閉塞空間内でリンクLnとノードPnとにより画定されるネットワークを自動生成する。
図3のP1が、ポイント(クリック)受付部105−5によりポイントされた点を示す。
【0040】
ステップS607において、移動体設定可否判定部105−6が、クリックした地点P1に移動体を設定できるか否かを、イメージデータと移動体とが一部でも重なる領域を有するか否かにより判定する。判定結果がNoであれば、ステップS606に戻る。判定結果がYesであれば、ステップS608において、初期ノード設定部105−7が、クリックした地点P1に初期ノードとして設定される。
【0041】
次いで、ステップS609において、ネットワークデータ生成処理部105−8が初期ノードP1を起点にして、
図3に示すようなノードとリンクとからなるネットワークデータを生成する。
【0042】
図7は、移動体を設定できるかどうかを判定するための条件を示す図である。該当地点にノードを設置できるか否かの判定は、
図7に示すようにマウスのクリック位置702を中心点として所定のサイズ(半径)703を有する移動体701が、壁などのイメージ上の障害物に接しないか否かのチェックを行うことで実行できる。尚、移動体701のサイズの変更は、イメージサイズをカスタマイズできる画面において、或いは管理情報を変更できる画面において可能とする。このような処理を行うことにより、移動体701のサイズの変化によるネットワーク生成の状態変化をビジュアルに確認することができる。
【0043】
移動体701を設定できる場合は、ディスプレイ107上に表示しているイメージ図に重畳してマウスをクリックした位置を表示する。移動体701をイメージデータに重ねて設定できない場合には、エラーメッセージを表示するなどして、操作者に異なる位置等で再度入力を促すようにすれば良い。該当位置で移動体を設定できる場合には、ネットワークデータを自動生成させる処理を行うか否かを操作者に選択させ、ネットワークデータを自動生成する選択がなされた場合は、以下の一連の処理を行う。
【0044】
尚、
図4は、狭い閉塞空間R1内でのネットワークの例を示す図である。移動体がこの閉塞空間R1から脱出できないため、2つのノード間にリンクが1つ形成されているというネットワーク構成であり、シンプルな構成となる。実際上は、閉塞空間R1への出入りがあるはずであるためドアは無いものとしてイメージ図に表現すると閉塞空間とはならないはずであるが、この例では、便宜上ドアを閉めている状態としてある。ただし、ドアが無く閉塞空間R1に
移動体以外の物が出入り
できる状態であっても、ドア幅よりも移動体幅の方が広い場合には、移動体がドアを通り抜け出来ないため、実質的に閉塞空間となる。
【0045】
次いで、ステップS610において、ネットワークデータ補正処理部105−9が、ネットワークデータを自動的にきれいに補正(整形)したデータDnとする。この補正は、できるだけ、曲線が少なくなるようにするものであり、この補正処理を手動で行うこともできる。
図5は、
図3で示し自動生成したネットワークデータを補正した結果の例を示す図である。
図5のような、屋内地図用のネットワークデータを自動生成することができる。
【0046】
以下、ネットワークデータの自動生成処理について詳細に説明する。
【0047】
図6Cは、ネットワークデータ生成処理の流れを示すフローチャート図であり、
図6Dは、ネットワークデータ生成処理部105−8の一構成例を示す機能ブロック図である。
図8から
図13までは、各処理の概要を示す図である。
【0048】
図6Dに示すように、ネットワークデータ生成処理部105−8は、移動体範囲拡大部105−8−1と、拡大範囲到達判定部105−8−2と、ノード候補検出部105−8−3と、移動可否判定部105−8−4と、次処理接続ノード登録部105−8−5と、未処理ノード候補有無判定部105−8−6と、を有している。
【0049】
まず、処理を開始し(start)、ステップS609−1で、移動体範囲拡大部105−8−1が、ノードP1を移動体の形状を模式的に表す円の中心とし円を拡大する処理を行う。
【0050】
ステップS609−2において、拡大範囲到達判定部105−8−2が、予め設定した最大同心円まで移動体を模した円の径を拡大したか否かを判定する。
【0051】
最大同心円に達していない場合には(N)、ステップS609−5で、ノード候補検出部105−8−3が、閾値(角度)内の円弧(ノード候補)を検出したか否かを判定し、閾値内の円弧を検出した場合には(Y)、移動可否判定部105−8−4が、ステップS609−6で当該円弧の中心点まで移動体が移動可能か否かを判定する。この際に、処理済みのノードである旨のフラグをたてると良い。そして、ステップS609−5でNの場合には、ステップS609−1に戻る。
【0052】
尚、ネットワークの種類として、例えば
図9(b)と
図9(c)に示すように2つのタイプが存在する。
図9(b)は、1つのリンクによるネットワークであり、道路に例えると一般道に相当する。
図9(c)は、複数のリンクによるネットワークであり、道路に例えると、上り車線/下り車線とレーンが独立して分離している状態である。
【0053】
図10、
図11は、
図9(b)に示した単一通行路と、
図9(c)に示した複数通行路のネットワークでの移動体の方向を決める条件、すなわち、次のノードを検索して経路を探査する方法の例を説明する図である。
【0054】
図10を参照しながら説明すると、現在処理対象としている移動体1001の位置、つまりノード位置を中心1002に、例えばある閾値を持って同心円C1−C4を順次描いていく(ステップS609−1)。そして、それぞれの同心円にかかる(交差する)イメージデータ(イメージ情報)、例えば壁などが存在するか否かをチェックする。
図10に示すように最初の同心円C1では、同心円C1にかかるイメージデータは取得できない。
【0055】
次に、半径を広げて、同心円C1からC2までを描き、それにかかるイメージデータが存在するか否かをチェックする。この時、検索地点A1003と検索地点F1008を取得することができる。
【0056】
(ステップS609−5)
このため、検索地点A1003と検索地点F1008とに挟まれた移動可能領域が存在することになるが、検索地点A1003−中心点1002−検索地点F1008の成す角度が、指向性を判断する閾角度内に収まっていないため、まだ指向性を持っていないと判断し、検索地点A1003と検索地点F1008に挟まれた領域は、移動可能領域と判定しないようにする。尚、閾角度を、チューニングパラメータとすることができる。
【0057】
さらに半径を広げて同心円C3を描き、それにかかるイメージデータが存在するか否かをチェックする。この時、検索地点B1004と検索地点C1005とを取得することができる。
【0058】
その結果、検索地点A1003と検索地点B1004の間、検索地点C1005と検索地点F1008の間、の2つに移動可能領域が見出せる。しかしながら、後者の検索地点C1005と検索地点F1008の間は同様に閾値角度内に収まっていないため、移動可能領域とみなさない。前者の検索地点A1003と検索地点B1004の間については閾値角度内に収まっていると判断し、移動可能範囲とする。
【0059】
以上のように、ノードを円心とした円内を移動体の範囲として前記円を拡大する処理を行う移動体範囲拡大部による拡大により最大同心円に到達したか否かを判定する拡大範囲到達判定部105−8−2による円の拡大処理において、円にかかるイメージデータが2つ存在する場合に、円心を交点とし、2つのイメージデータの円心に近い方の2つの端部を通る2本の直線の成す角度が、指向性を判断する閾値角度内に収まっている場合に、円心と2つの端部の中点とを結んだ直線の延びる方向を移動方向として移動体が移動可能であると判定することができる。実際には、移動方向にはある角度範囲をもたせても良い。
【0060】
尚、
図10では、単一通行路のネットワークを生成するため、移動可能範囲とされた検索地点A1003と検索地点B1004の間を例えば2等分し、その長さが移動体1001の半径以上ある場合、中点1(1010)を、次の接続先のノード位置として仮決めできる。
【0061】
図6Cの処理に戻り、現在のノード位置である中心点1002と中点1(1010)とを結ぶ直線について、
図8の移動体が動ける条件に基づいて移動体が移動可能か否かのチェックを行い(ステップS609−6)、障害物となるイメージデータが存在しない場合には(Y)、次処理接続ノード登録部105−8−5が、現在のノード位置である中心点1002のノードと中点1(1010)のノードとの間にリンクを生成することでネットワークデータを生成し(ステップS609−7)、ステップS609−8において、そのノードを、次の(未処理の)ノードの接続候補先として登録し、ステップS609−9に進む。
【0062】
同様にして、中心点1002を軸とした同心円の半径を広げていき(ステップS609−1)、次の接続先ノード候補を探していく。また、円を広げる半径の上限値(最大同心円)を決めておき、検索範囲を制限することで無駄な処理を行わないようにすると良い。
【0063】
また、ステップS609−2で最大同心円に達した場合には(Y)、ステップS609−3に進み、リンクと接続していない未接続ノードが有るか否かを判定する。未接続ノードが無い場合には(N)、処理を終了する(End)。尚、ステップS609−3での判定処理の前に、その段階で取得したノードに対して、逐次、ノードとリンクとを生成して単位ネットワークデータの生成処理を行うようにしても良い。
【0064】
ステップS609−3においてリンクと接続していない未接続ノードがある場合には(Y)、ステップS609−4に進み、未処理ノード候補有無判定部105−8−6が、当該未接続ノードに処理の中心を移し、ステップS609−1に戻り、同様にネットワークデータ作成処理を継続する。
【0065】
尚、
図11に示すように、複数通行路のネットワークを生成する時の移動先を検索する場合も、
図10と同様に処理を行っていく。2つのリンクを生成する場合には、上下2つのネットワークを生成する為、進入する移動可能領域の幅を4等分して、その長さが移動体1101の半径以上ある場合、移動可能とする。検索地点A1103と検索地点B1104の間について見ると、4分割点1110に向かって次の接続先のノード位置に仮決めできる。現在のノード位置である中心点1102と中点1(1110)とを結ぶ直線について
図8の条件で移動可能か否かのチェックを行い、障害物となるイメージデータが存在しない場合に、仮決めしたノードを、次のノードの接続候補先として「処理ノード候補」(ノード候補)として登録する(ステップS609−8)。検索地点C1105と検索地点D1106の間は、狭く、単一通行路であれば通行可能な為、単一通行路として登録する。以上の一連の処理を繰り返し、ノードの接続処理を行っていく。
【0066】
ステップS609−3において、Yesの場合には、ステップS609−4において、当該未処理の接続ノードに移動し、ステップS609−1に戻る。ステップS609−3においてNoの場合には、処理を終了する(End)。
【0067】
ステップS609−6においてYesの場合には、ステップS609−7でネットワークデータを生成し、ステップS609−8において、次処理接続ノード登録部105−8−5が、当該ノードを未処理の接続ノードとして登録し、ステップS609−6でNoの場合とともに、ステップS609−9に進む。
【0068】
ステップS609−9において、未処理ノード有無判定部105−8−6が、未処理のノード候補(円弧)の有無を判定し、Yesの場合には、ステップS609−6に戻り、Noの場合には、ステップS609−1に戻る。
【0069】
次に、生成したネットワークデータの補正処理について、
図12を参照しながら説明する。
【0070】
図3に示すように、ネットワークが分岐するノードにおいてノード間を最短距離で接続しようとする処理を行っているため、周りの壁に沿った線に対して平行でないネットワークが多くなり、ネットワークがきれいに生成できないという問題がある。
【0071】
例えば、
図12(b)に示すように、例えばノードB1202で3分岐する場合、ネットワーク間、すなわち、ノードBを起点としたノードB−C間のネットワーク、ノードB−G間のネットワーク、ノードB−E間のネットワーク、の成す角が鋭角的な角度となってしまうという問題がある。このような問題を解決するため、同じ分岐点(ノード)からのネットワーク同士の成す角が直角になるように直線の1次元方程式により交点(ノードb、ノードc、ノードd)を算出し、上記の計算で得たノード位置をそのように補正する。
【0072】
但し、直角にならない交差する2つのネットワーク間は2つのネットワークの交点を求めてそれをノードとする代変え処理をする。このようにすると、
図12(c)の接続を
図12(d)の接続に補正し、きれいなネットワークを得ること、すなわち、分岐点におけるネットワークの整形をすることができる。
【0073】
図13は、ネットワークデータの直線化処理の様子を示す図である。この処理には、ノードの個数を減らすという目的もある。
図13に示すように、N50、N51、N52、N52に沿った分岐しないリンクL51において、移動体が移動できることを前提として、中間のノード、例えば、N51、N52を削除することによりノードに関するデータ量を減らすことができる。
【0074】
尚、ノードの個数の減らし方についても、ノードを1つおきに削除する方法を用いたり、角度θ1、θ2などが例えば180度よりもどれだけ小さいかに関する規定の閾値等に基づいて、ノードの間引き率を調整したり変更したりするなどの処理を行うことも可能である。
【0075】
以上のように、本実施の形態によれば、屋内地図用のネットワークデータを自動的に作成することが出来る。
【0076】
処理および制御は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によるソフトウェア処理、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によるハードウェア処理によって実現することができる。
【0077】
また、上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0078】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。