(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181604
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
H04M1/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-131307(P2014-131307)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-10113(P2016-10113A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2015年10月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佃 直樹
【審査官】
石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−046614(JP,A)
【文献】
特開2011−211483(JP,A)
【文献】
特開平08−140274(JP,A)
【文献】
特開2014−068153(JP,A)
【文献】
特開2003−338859(JP,A)
【文献】
特開2011−118082(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0213325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体の一端辺と前記第2の筐体の一端辺とを接続する蝶番と、
前記第1の筐体の上面および前記第2の筐体の上面の少なくとも一方に設けられ、情報を表示する表示部と、
前記第1の筐体内に設けられた熱源と、
使用される際に、前記第1の筐体または前記第2の筐体を、前記第1の筐体の下面と前記第2の筐体の下面とが対向するよう前記蝶番を回転軸として回転させたとき、前記熱源と近接するよう前記第2の筐体内に設けられた電池と、
前記第1の筐体または前記第2の筐体を、前記第1の筐体の下面と前記第2の筐体の下面とが対向するよう前記蝶番を回転軸として回転させたとき、前記熱源および前記電池と近接するよう前記第1の筐体の下面および前記第2の筐体の下面の少なくとも一方に設けられ、当該筐体の熱伝導率より高い熱伝導率を有する高熱伝導部材と
から構成されたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記熱源は、中央処理装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記電池は、二次電池である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記二次電池は、リチウムイオン二次電池である
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記高熱伝導部材は、電極である
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の筐体の一端辺と第2の筐体の一端辺とを蝶番により接続し、蝶番を回転軸として第1の筐体または第2の筐体を回転させることができる構造を有する携帯端末が一般的に知られている。
【0003】
図7は、このような構造を有する携帯端末の一例である折り畳み型携帯電話1を示す斜視図である。
【0004】
図7を参照すると、携帯電話1は、文字や画像等を表示するための表示部10を有する第1の筐体2と、文字や記号等を入力するための入力部20を有する第2の筐体3と、第1の筐体2の下端辺と第2の筐体3の上端辺とを接続する蝶番30とから構成され、第1の筐体2または第2の筐体3は蝶番30を回転軸として回転することができる。
【0005】
利用者は、携帯電話1を使用するときには、
図7に示すように、表示部10および入力部20が見える状態になるよう、第1の筐体2または第2の筐体3を、蝶番30を回転軸として第1の方向に回転させ、携帯電話1を使用する。
【0006】
その後、利用者は、携帯電話1の使用を終えると、利用者は、第1の筐体2または第2の筐体3を、蝶番30を回転軸として上記第1の方向とは逆方向である第2の方向に回転させて、第1の筐体2の表示部10がある面と第2の筐体3の入力部20がある面とを対向させることにより、表示部10および入力部20を隠して携帯電話1を携帯する。
【0007】
このように、第1の筐体2の表示部10がある面と第2の筐体3の入力部20がある面とが対向した状態が、いわゆる、折り畳み状態である。
【0008】
図7に示す上述した携帯電話1は、さらに、電池(
図7には図示せず)と、その電池から電力を供給される各種の回路(
図7には図示せず)とを有する。
【0009】
図8は、上記電池の動作特性を示す図である。
【0010】
図8は、一般的な電池が所定の電流値で放電している場合に、該電池の出力電圧が時間の経過とともにどのように変化するかを、周囲温度別(25℃(度)および−20℃)に示す図である。
【0011】
図8から明らかなように、周囲温度が低い方が、電池の出力電圧の値が所定の電圧値まで低下する時間が短い。
【0012】
したがって、周囲温度が低いと、携帯電話1の使用可能時間が短くなるという問題点がある。
【0013】
係る問題点を解決するために、特許文献1には、電池10と、発熱する部分12(熱源)と、部分12から電池10へ熱を伝える熱伝導体14と、部分12の温度を計測する温度センサ16とが設けられ、電池10を加温し過ぎないように部分12の消費電力を制御する技術が開示されている。
【0014】
また、特許文献2には、熱的に結合された第1の中央処理装置1(熱源)および電池7における電池7の温度を温度センサ8で測定し、環境温度が低下したときに、測定された温度信号に基づいて中央処理装置1を駆動する第1のクロック発生器5が発生するクロック周波数を低減させ、電池7の温度低下を迅速に防止すると共に電池7の温度を高くする技術が開示されている。
【0015】
なお、関連技術として、特許文献3には、電池パック保持部104により保持された電池パック103をスライドさせてパック103と装置本体101との間に間隙を持たせることにより、中央処理装置109からパック103への熱を断熱するとともに、中央処理装置109の動作周波数を高温モードで動作させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平8−0140274号公報
【特許文献2】特許第5051672号公報
【特許文献3】特開2000−0357030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した特許文献1乃至3のいずれにも、特許文献1乃至3に記載の技術を、熱源を有する第1の筐体の一端辺と電池を有する第2の筐体の一端辺とを蝶番により接続し、蝶番を回転軸として第1の筐体または第2の筐体を回転させることができる構造を有するような携帯端末にどのように適用するかについては開示されていない。
【0018】
本発明の目的は、上述した問題点を解決した携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の携帯端末は、
第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体の一端辺と前記第2の筐体の一端辺とを接続する蝶番と、
前記第1の筐体の上面および前記第2の筐体の上面の少なくとも一方に設けられ、情報を表示する表示部と、
前記第1の筐体内に設けられた熱源と、
前記第1の筐体または前記第2の筐体を、前記第1の筐体の下面と前記第2の筐体の下面とが対向するよう前記蝶番を回転軸として回転させたとき、前記熱源と近接するよう前記第2の筐体内に設けられた電池と
から構成される。
【0020】
本発明の第2の携帯端末は、
第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体の一端辺と前記第2の筐体の一端辺とを接続する蝶番と、
前記第1の筐体の上面および前記第2の筐体の上面の少なくとも一方に設けられ、情報を表示する表示部と、
前記第1の筐体内に設けられた熱源と、
前記第1の筐体または前記第2の筐体を、前記第1の筐体の下面と前記第2の筐体の下面とが対向するよう前記蝶番を回転軸として回転させたとき、前記熱源と近接するよう前記第2の筐体内に設けられた電池と、
前記第1の筐体または前記第2の筐体を、前記第1の筐体の下面と前記第2の筐体の下面とが対向するよう前記蝶番を回転軸として回転させたとき、前記熱源および前記電池と近接するよう前記第1の筐体の下面および前記第2の筐体の下面の少なくとも一方に設けられ、当該筐体の熱伝導率より高い熱伝導率を有する高熱伝導部材と
から構成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明には、周囲温度が低い場合でも、携帯端末を長時間利用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態を示す一部透視上面図である。
【
図2】第1の実施形態における携帯端末100の第1の筐体101または第2の筐体102を第1の回転方向に回転させた状態を示す図である。
【
図3】第1の実施形態における携帯端末100の第1の筐体101または第2の筐体102を第2の回転方向に回転させた状態を示す図である。
【
図5】第2の実施形態を示す一部透視上面図である。
【
図6】第2の実施形態における携帯端末200の第1の筐体101または第2の筐体102を第1の回転方向に回転させた状態を示す断面図である。
【
図7】一般的な折り畳み型携帯電話1を示す斜視図である。
【
図8】一般的な電池が所定の電流値で放電している場合に、該電池の出力電圧が時間の経過とともにどのように変化するかを、周囲温度別(25℃および−20℃)に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態を示す一部透視上面図である。
【0026】
図1を参照すると、本実施形態は携帯端末100から構成され、携帯端末100は、第1の筐体101と、第2の筐体102と、蝶番(ヒンジ)103とから構成される。
【0027】
第1の筐体101は、第1の筐体101の上面に設けられ、文字や画像等の情報を表示するための表示部104と、第1の筐体101内に設けられた中央処理装置105(以下、「CPU105」と言う。)とを含む。
【0028】
第2の筐体102は、第2の筐体102の上面に設けられ、文字や画像等の情報を表示するための表示部106と、第2の筐体102内に設けられたリチウムイオン二次電池107とを含む。
【0029】
なお、第1および第2の筐体101および102の材料は、樹脂等である。
【0030】
CPU105は、携帯端末100の動作を制御するとともに、熱源となる。
【0031】
また、電池107は、CPU105および携帯端末100における各種の回路に電力を供給する。
【0032】
蝶番103は、第1の筐体101の右側の端辺と、第2の筐体102の左側の端辺とを接続し、第1の筐体101または第2の筐体102は、蝶番103を回転軸として回転できる。
【0033】
図2は、第2の筐体102を、第1の筐体101の下面と第2の筐体102の下面とが対向するよう第1の回転方向に回転したときの状態を示す図である。
【0034】
また、
図3は、第2の筐体102を、第1の筐体101の上面と第2の筐体102の上面とが対向するよう第1の回転方向とは逆方向である第2の回転方向に回転したときの状態を示す図である。
【0035】
また、
図4は、
図2のA−B線断面図である。
【0036】
図4を参照すると、第1の筐体101内には、基板108が設けられ、基板108の一方の面には表示部104が実装され、基板108の他方の面であって、筐体101の下面近傍にはCPU105が実装されている。
【0037】
また、第2の筐体102内には、基板109が設けられ、基板109の一方の面には表示部106が実装され、基板109の他方の面であって、筐体102の下面近傍には電池107が実装されている。
【0038】
図4から分かるように、CPU105および電池107は、第1の筐体101または第2の筐体102を、第1の筐体101の下面と第2の筐体102の下面とが対向するよう蝶番103を回転軸として回転させたとき、CPU105と電池107とが近接するような第1の筐体101および第2の筐体102内の位置にそれぞれ設けられている。
【0039】
このように、筐体101の下面と筐体102の下面とが対向するようにした場合には、動作中のCPU105から発する高熱が、筐体101の下部および筐体102の下部を介して電池107に効率的に伝導されるため、こうして伝導された熱により、携帯端末100の周囲温度が低いときにも電池の温度の低下が緩和され、電池の使用可能時間が伸び、結果として、携帯端末100の利用可能時間が伸びる。
【0040】
以上、本実施形態には、周囲温度が低い場合でも、携帯端末を長時間利用することができるという効果がある。
【0041】
その理由は、筐体101の下面と筐体102の下面とが対向するようにした場合に、筐体101内の熱源であるCPUと、筐体102内の電池とが近接するようにしたからである。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0043】
図5は、第2の実施形態を示す一部透視断面図である。
【0044】
本実施形態は、携帯端末200から構成される。
【0045】
図5を参照すると、携帯端末200の構成は、
図1に示す第1の実施形態における携帯端末100の構成とほぼ同様の構成であり、携帯端末100の構成要素と同一の携帯端末200のそれらには同一の参照符号が付与され、以下では、それらの説明は省略される。
【0046】
携帯端末200は、第2の筐体102の下面に高熱伝導部材201を有する。高熱伝導部材201は、例えば、充電電極や信号電極であっても良いが、それらに限定されるものではない。また、高熱伝導部材201は、筐体102の熱伝導率より高い熱伝導率を有する。
【0047】
図6は、
図4に対応する断面図、すなわち、第2の筐体102を、第1の筐体101の下面と第2の筐体102の下面とが対向するよう第1の回転方向に回転したときの状態を示す図である。
【0048】
図6から分かるように、第2の筐体102を、第1の筐体101の下面と第2の筐体102の下面とが対向するよう第1の回転方向に回転したとき、高熱伝導部材201は、熱源であるCPU105と対向する位置に設けられている。
【0049】
本実施形態において、このように、筐体101の下面と筐体102の下面とが対向するようにした場合には、動作中のCPU105から発する高熱が、筐体101の下部、高熱伝導部材201および筐体102の下部を介して電池107に効率的に伝導されるため、こうして伝導された熱により、携帯端末200の周囲温度が低いときにも電池の温度の低下が緩和され、電池の使用可能時間が伸び、結果として、携帯端末200の利用可能時間が伸びる。
【0050】
なお、高熱伝導部材201は、筐体101の下面に設けてもよい。
【0051】
以上、本実施形態には、周囲温度が低い場合でも、携帯端末を長時間利用することができるという効果がある。
【0052】
その理由は、筐体101の下面と筐体102の下面とが対向するようにした場合に、筐体101内の熱源であるCPUと、筐体102内の電池とが高熱伝導部材201を介して近接するようにしたからである。
【符号の説明】
【0053】
1 携帯電話
2 第1の筐体
3 第2の筐体
10 表示部
20 入力部
30 蝶番
100 携帯端末
101 第1の筐体
102 第2の筐体
103 蝶番
104 表示部
105 中央処理装置
106 表示部
107 リチウムイオン二次電池
108 基板
109 基板
200 携帯端末
201 高熱伝導部材