【実施例1】
【0021】
本発明の実施の形態に係る第1の実施例である組合せ計量装置について
図1乃至
図6を参照しながら説明する(特に、請求項1〜3に対応)。
図1及び
図2はそれぞれ本実施例に係る組合せ計量装置の外観斜視図及び構成図である。なお、
図2では主に組合せ計量装置の構成要素の一つであるパーソナルコンピュータの構成を示している。
図1に示すように、組合せ計量装置1は、重量計2とパーソナルコンピュータ3と作業用トレイ4を備えており、作業用トレイ4は、農作物等の物品Sが1個づつ載置される12枚の収納部4A〜4Lによって構成されている。
なお、
図1や
図3〜
図5では収納部4A〜4Lに物品Sが1個ずつ収納された状態が示されているが、収納部4A〜4Lに収納される物品Sの数は1個に限らず、2個以上であっても良い。また、収納部4A〜4Lは、収納された物品Sがこぼれないように少なくとも凹状をなしていれば良く、
図1に示す形状に限定されない。さらに、収納部の数は12枚に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0022】
重量計2は、載置部2aに複数の物品Sが収容されたコンテナ5が載置され、コンテナ5ごと物品Sの重量を測定し、その全体重量を表示部2bに表示する構造となっている。ただし、重量計2はメモリを備えており、予め測定しメモリに記憶させておいたコンテナ5の重量をコンテナ5と物品Sの合計重量から差し引いて、物品Sの重量のみを表示部2aに表示する機能を備えている。
【0023】
パーソナルコンピュータ3は、ディスプレイ3aからなる表示装置と、マウスやキーボード3bからなる入力装置と、スピーカ3c(
図2参照)からなる出力装置と、制御装置3d(
図2参照)などを備えている。なお、パーソナルコンピュータ3に重量計2からケーブル6を介して物品Sの重量を測定した結果が送られてくると、制御装置3dは後述の演算を行い、その結果をディスプレイ3aに表示させる。
【0024】
次に、組合せ計量装置1の動作について
図2を用いて説明する。
図2は、本実施例に係る組合せ計量装置の構成図である。
図2に示すように、制御装置3dは、物品重量測定部7、収納位置・重量管理部8、組合せ演算部9、組合せ条件設定部10、作業指示部11、音声合成部12及び音声認識部13などから構成されている。
重量計2において測定された物品Sの重量は計量データ2cとして物品重量測定部7に送られる。物品重量測定部7は、予め設定された物品取出判定値以上の減少変化が計量データ2aに生じていると、重量計2に載置されている物品Sが作業者によって取り出されたと判断し、物品取出情報7aを作成して作業指示部11へ送る。なお、物品Sの重量に応じて、物品取出判定値は任意に設定することができる。
一方、物品重量測定部7は、計量データ2aの変化(減少量)に基づいて、取り出された物品Sの重量を算出し、その結果を重量データ7bとして収納位置・重量管理部8に送る。なお、計量データ2cが増加した場合、物品重量測定部7は重量計2の載置部2aに新たな物品Sが載置されたと判断する。
【0025】
作業指示部11は、物品重量測定部7から物品取出情報7aが送られてくると、取り出された物品Sの収納位置を決定する。そして、ディスプレイ3aは作業指示部11の指示に従って、この収納位置を表示する。また、音声合成部12は、『収納部A』等の音声メッセージを合成し、スピーカ3cは、この音声メッセージを音声合成部12から受け取って出力する。なお、作業者に対して収納位置を明確に提示できる場合には、ディスプレイ3aによる表示と、スピーカ3cによる音声出力のうちのいずれかを省略してもよい。
【0026】
作業指示部11は、物品重量測定部7から次の物品Sの物品取出情報7aを受け取った時点で、先に取り出した物品Sの収納が完了したものと判断し、収納位置情報を作成して収納位置・重量管理部8に送る。そして、収納位置・重量管理部8では、取り出された物品Sの重量データ7bと収納位置情報に基づいて物品Sの重量と収納位置を対応付けるとともに、収納部における収納物品の合計重量と収納個数を算出して、収納位置・重量情報を作成する。この収納位置・重量情報は、物品Sが収納されるごとに更新され、作業指示部11及び組合せ演算部9に送られる。なお、作業指示部11では、最新の収納位置・重量情報に基づいて未収納の収納部を選択して次に取り出される物品Sの収納位置を決定する構成となっている。
作業者によって物品Sの収納作業が繰り返され、作業指示部11は、収納位置・重量情報から、予め設定された組合せ個数の物品Sが取り出されて収納されたと判断すると、組合せ演算開始指令を組合せ演算部9に送り、予め設定された組合せ重量となる組合せ演算を組合せ演算部9に開始させる。
【0027】
組合せ条件設定部10に対し、作業者がキーボード3bから組合せ個数と組合せ重量、及び組合せ重量に対する上限値と下限値を入力すると、これらの値は組合せ条件設定部10に格納されるとともに組合せ演算部9に送られる。
組合せ演算部9では、作業指示部11からの組合せ演算開始指令を受けて、収納位置・重量管理部8からの収納位置・重量情報に対して組合せ演算を開始し、組合せ条件設定部10において設定された組合せ重量の範囲に一致する組合せを求める。そして、一致する組合せが求まった場合は、求めた組合せ結果情報を収納位置・重量管理部8と作業指示部11へ送る。収納位置・重量管理部8は、組合せ演算部9から受け取った組合せ結果情報に基づいて、収納部ごとに組合せに外れた回数を積算し、その積算値を収納位置・重量情報に追加して作業指示部11へ送る。作業指示部11は、収納位置・重量管理部8から受け取った収納位置・重量情報と、組合せ演算部9から受け取った組合せ結果情報に基づいて、取り出すべき物品Sが収納された収納部と、収納部ごとに組合せに外れた回数を積算した値(以下、「カウンタ」という。)をディスプレイ3aに表示させる。
【0028】
なお、作業指示部11が収納作業の完了時点を作業者の申告に基づいて判断する構成とすることもできる。すなわち、作業者が収納作業を完了した時点で『収納完了』等のメッセージを発し、このメッセージを音声認識部13がマイクロフォン3eを通して受け取り、収納作業が完了したことを認識した時点で収納完了情報を作業指示部11へ送るようにするのである。
この場合、作業指示部11は物品重量測定部7から次の物品Sの物品取出情報7aを受け取る前に、先に取り出した物品Sの収納が完了したものと判断することになる。
【0029】
次に、組合せ計量装置1の操作について
図3〜
図6を用いて説明する。
図3〜
図6は組合せ計量装置1においてディスプレイ3aに表示される画像を示した図である。なお、これらの図中に示したトレイA〜Lは収納部4A〜4Lにそれぞれ対応する。
まず、重量計2とパーソナルコンピュータ3の電源を投入し、組合せ計量装置1を使用するためのアプリケーションをパーソナルコンピュータ3で起動させると、
図3(a)に示すような画像がディスプレイ3aに表示される。なお、図中に示した符号A〜Lは収納部4A〜4Lをそれぞれ表している。また、符号A〜Lの右下に示した数字は、前述した「カウンタ」を表している。
【0030】
次に、キーボード3bから組合せ個数及び組合せ重量と、この組合せ重量に対する上限値及び下限値を入力する。例えば、「とまと」を3個ずつまとめて合計で120gになるようにして袋詰めする場合には、物品名を「とまと」とし、組合せ個数を3とし、組合せ重量を120グラム、組合せ重量の下限値を100グラム、上限値を140グラムとしてキーボード3bから入力する。さらに、前述の物品取出判定値を10グラムとしてキーボード3bから入力する。なお、上限値と下限値の設定は、任意の数値を入力する方法以外にも、組合せ重量mに対する割合(例えばm±10%)等を算出するように設定することもできる。
【0031】
重量計2の載置部2aに複数の「とまと」(以下、物品Sという。)をコンテナ5に収納した状態で載置すると、この重量が重量計2において測定されて計量データ2cとして物品重量測定部7に送られ、
図3(b)に示すような画像がディスプレイ3aに表示される。なお、
図3(b)では、重量計2の前述の機能によりコンテナ5と物品Sの合計重量からコンテナ5の重量が差し引かれた値が「はかり重量」として示されているが、コンテナ5と物品Sの合計重量を「はかり重量」としても物品重量測定部7において演算上、特に問題はない。
【0032】
コンテナ5から物品Sを取り出すと、予め設定された物品取出判定値以上の減少変化が計量データ2cに生じている場合、物品重量測定部7は物品取出情報7aを作成して作業指示部11へ送るとともに、計量データ2cの変化(減少量)に基づいて、コンテナ5から取り出された物品Sの重量を算出し、その結果を重量データ7bとして収納位置・重量管理部8に送る。例えば、変化前の計量データ2cが1665グラムであり、変化後の計量データ2c’が1620グラムであれば、コンテナ5から取り出された物品Sの重量は45グラムと算出される。
【0033】
作業指示部11は物品取出情報7aに基づいて、コンテナ5から取り出された物品Sの収納位置を決定し、ディスプレイ3aはそれを表示する。例えば、物品Sの収納位置が収納部4Aである場合、ディスプレイ3aには、
図4(a)に示すように、物品SがトレイAに向かって移動する様子が表示された後、
図4(b)に示すように、その物品SがトレイAに収納された状態が表示され、さらに、物品Sの収納位置がトレイAであることを強調するためにトレイAを囲む大きな丸印が点滅表示されるとともに、『○印のトレイに品物を載せて下さい。』というメッセージが表示される。
なお、コンテナ5から取り出された物品Sの重量が明らかに重過ぎたり軽過ぎたりした場合、あるいは、外観が良くない場合には、マウス等を操作して画面上に表示された「抜取り不採用」のボタンをクリックすることにより、その物品Sの重量及び収納位置が収納位置・重量管理部8に送られる重量データ7b及び収納位置情報から除外される。
【0034】
組合せ計量装置1では、収納部4A〜4Lのすべてに対して物品Sが収納される前であっても、コンテナ5から取り出された物品Sの個数の合計が予め定められた組合せ個数以上となった時点で、組合せ演算部9において組合せ演算が行われる。すなわち、組合せ演算部9における組合せ演算は、収納部4A〜4Lのいずれかに物品Sが収納されていない状態でも行われるが、ここでは、
図5(a)のように収納部4A〜4L(図ではトレイA〜L)のすべてに物品Sが収納された場合を例にとって説明する。
【0035】
図5(a)に示すように、トレイA〜Lに物品Sが収納されている場合、組合せ演算部9によって、例えば、3個の合計重量が100〜140グラムの範囲内に含まれるような組合せが求められる。そして、
図5(b)に示すように、その組合せを構成する物品Sが収納されたトレイを囲む大きな丸印が点滅表示されるとともに、『○印のトレイで組合せができました。○印のトレイの品物を取り出して下さい。』というメッセージが表示される。そして、この組合せに含まれないトレイの「カウンタ」が「0」から「1」に変更される。
【0036】
さらに、作業指示部11では、音声合成装置12を用いて該当する収納部の名称の音声メッセージを作成する。例えば、トレイA〜Cに収納される各1個の物品Sの合計重量が125グラムの場合、これらのトレイに対応する収納部から物品Sを取り出すことを促す音声メッセージが音声合成部12によって作成され、このメッセージがスピーカ3cから流される。
この場合、作業者は、取り出すべき物品Sが収納された収納部の位置をディスプレイ3aに表示された画像とスピーカ3cから流れるメッセージによって確認することができる。したがって、所定の条件を満たす組合せの物品Sを誤らずに収納部から取り出すことができる。
【0037】
図5(b)には、収納トレイA,B,Cが選択されている様子が表示されているが、本発明の組合せ計量装置1では、条件を満たす組合せが複数存在する場合に、マウス等を操作して画面上で「組合せ不採用」のボタンをクリックすることで、他の組合せが表示され、新たに選択されたトレイの「カウンタ」が「0」に変更されるとともに、組合せから外れたトレイの「カウンタ」が「1」に変更されるように構成されている。
なお、条件を満たす組合せは、その合計重量と目標重量との差の絶対値が小さい順に表示され、そして、「差の絶対値」が同じ場合には、トレイのアルファベットが若い順に表示される。
【0038】
ディスプレイ3aに表示された組合せを採用する場合、作業者は画面に表示されたトレイに対応する収納部から物品Sを取り出す。そして、マウス等を操作して画面上で「採用」のボタンをクリックすると、
図6(a)に示すように、物品Sが取り出された収納部に対応するトレイが「空」の状態で表示される。
この状態で、コンテナ5から物品Sを取り出すと、ディスプレイ3aには、
図6(b)に示すように、物品Sが移動してトレイAに収納される様子と、トレイAを囲む大きな丸印と、『○印のトレイに品物を載せて下さい。』というメッセージが表示される。同様にして、コンテナ5から物品Sを取り出すごとに、トレイB及びトレイCに対して物品Sが収納される様子が順番にディスプレイ3aに表示される。
【0039】
上記構造の組合せ計量装置1においては、作業者がコンテナ5から物品Sを取り出した時点で、作業指示部11によって選択された収納部に対応するトレイに向かってその物品Sが移動する様子を示した動画が表示され、又は物品Sが取り出されるべき収納部を示した動画がディスプレイ3aに表示される。したがって、実際の作業を行う前に、これから行おうとしている作業の内容が視覚を通して作業者によって正確に把握される。
このように、作業者は、これから行おうとしている作業を事前に頭の中で正しくシミュレーションすることができるため、物品Sを収納したり、取り出したりする収納部を間違え難い。特に、物品Sを収納部に収納する際には、画面上の物品Sの動きをなぞるようにして収納作業を行うことで、作業者が物品Sの収納位置を間違う可能性が格段に低くなる。したがって、作業者は物品Sの取出し作業や収納作業を正確に行うことができる。
【0040】
このように、組合せ計量装置1においては、物品Sの収納位置を間違う可能性が低いため、物品Sの有無を検知するための重量センサ等を収納部ごとに設置する必要がない。また、物品Sを取り出すべき収納部がディスプレイ3aに表示されるため、収納部ごとに取出ランプ等を設ける必要もない。したがって、作業用トレイ4には任意の形状の収納部を用いることができる。例えば、
図1に示したように、収納部4A〜4Lを独立した構造とすれば、使用しない時には互いに重ねることができるため、取り扱いや持ち運びが容易である。また、安価に製造することが可能である。
【0041】
さらに、組合せ計量装置1においては、組合せに外れた回数がトレイごとに積算され、その積算値がトレイごとにディスプレイ3aに表示されるため、作業者は組合せに外れて収納部に長時間収納されている物品Sの存在に気付き易い。そして、そのような物品Sがあった場合、作業者はその物品Sが含まれる組合せを積極的に選択して、目標の組合せ重量の範囲内にある組合せが成立する確率を高めることができる。
【0042】
本実施例では、組合せ演算部9による組合せ演算の結果をディスプレイ3aに表示する際に、合計重量と目標重量との差の絶対値が小さい組合せが優先される構成となっているが、本発明の組合せ計量装置は、このような構成に限定されるものではない。例えば、トレイA〜Cに収納された物品の合計重量と、トレイD〜Fに収納された物品の合計重量がいずれも目標の組合せ重量の範囲内にあって、かつ、トレイA〜Cに収納された物品に関する「組合せから外れた回数の積算値」の合計がトレイD〜Fに収納された物品に関する「組合せから外れた回数の積算値」の合計よりも大きい場合に、組合せた物品の合計重量と目標の組合せ重量との差の絶対値の大きさに関わらず、トレイA〜Cに収納された物品の組合せを優先してディスプレイ3aに表示する構成とすることもできる。
合計重量と目標重量との差の絶対値が小さい組合せを構成する物品を優先して取り出すと、組合せに外れた一部の物品は収納部に長時間収納されたままになり、最終的にそれらの物品では目標の組合せ重量の範囲にある組合せが成立しない可能性が高い。これに対し、組合せから外れた回数が多い物品からなる組合せを優先してディスプレイ3aに表示するようにすれば、それらの物品が優先的に取り出される結果、最終的に組合せが成立しない物品が残るという事態が発生し難い。したがって、このような構成によれば、目標の組合せ重量の範囲にある組合せが成立し易くなるため、物品を袋詰め等する際の作業効率を向上させることができる。