【文献】
VERMESAN, Ovidiu, et al.,"A Mixed-Signal BiCMOS Front-End Signal Processor for High-Temperature Applications",IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS,2006年 7月,Vol.41, No.7,p.1638-1647
【文献】
SHI, Chunlei,et al.,"A low-power high-linearity CMOS baseband filter for wideband CDMA applications",ISCAS 2000 IEEE International Symposium on Circuits and Systems,2000年 5月28日,p.II-152〜II-155
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正弦ミキサと前記ベクトル大きさ検出機構との間に配置された正弦ローパスフィルタであって、前記正弦ローパスフィルタは、一つ又はそれより多い直列の1次の無限インパルス応答(IIR)フィルタとして構成されている正弦ローパスフィルタと、
前記余弦ミキサと前記ベクトル大きさ検出機構との間に配置された余弦ローパスフィルタであって、前記余弦ローパスフィルタは、二つの直列の1次の無限インパルス応答(IIR)フィルタとして構成されている余弦ローパスフィルタと、
を更に備えた請求項1に記載のエコー検出回路。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態は、有効なエコー回路に関し、更に詳しくは、エコー検出回路と称されるエコー回路の一部に関する。エコー回路は、エコー回路の外の物体の位置を検出するためにしばしば用いられる。例えば、エコー回路は、発振子を用いて音響信号を送信する送信路を有する。音響信号を超音波の音響信号とすることができるが、そうである必要はない。
【0013】
エコー検出回路は、このような送信された音響信号からのあらゆる反射したエコーを検出する。音響信号の送信と音響信号の反射された部分からのエコーの検出との間のタイミングに基づいて、音響信号を反射した外の物体の距離又は位置に関する所定の情報を取得することができる。したがって、送信された音響信号からのエコーを表さない他の音響と区別するために、送信された音響信号の有効なエコーを検出することが重要である。エコー検出回路は、送信器と同じ発振子を用いることができるが、そうである必要はない。
【0014】
要約すると、一実施の形態において、エコーを検出するために、発振子は、検出された音圧を、対応するアナログ電気信号に変換する。その後、アナログ電気信号は、増幅され、送信された音響信号の周波数の前後で選択的なフィルタ処理が施される場合もある。その後、処理された信号は、アナログ−デジタルコンバータを用いて一連のデジタル値(すなわち、デジタル信号)に変換される。アナログ−デジタルコンバータのオーバーサンプリングレートは少なくとも2であるが、一例では8である。その後、デジタル信号は、デジタルクロック信号を用いて混合されてデジタル信号の正弦シーケンス及び余弦シーケンスとなる。その後、各分岐からのデジタル信号を、アナログ−デジタルコンバータのオーバーサンプリングレートに依存しない選択性を提供するためにローパスデジタルフィルタによってフィルタ処理することができる。この選択性は調整可能であり、これによって、全体に亘るエコー検出処理の帯域幅を容易に調整することができる。正弦フィルタ処理されたデジタル信号及び余弦フィルタ処理されたデジタル信号の組合せによって表されるフェイザーの振幅を、有効なエコーが検出されたか否かを決定するために用いることができる。
【0015】
一実施の形態において、音響信号の送信、アナログ−デジタルコンバータのサンプリング及びミキサを操作するクロックを、同一のマスタクロックを用いて得ることができる。したがって、エコー検出処理の周波数を、マスタクロックの周波数を簡単に変更することによって変更することができる。このようなクロックの共有の他の重大な結果は、受信したエコー周波数が温度エージング等に関係なくデジタル的に形成されたバンドパスフィルタの中心にあることである。これは、受信したエコー周波数を用いて高品質のバンドパスフィルタの中心周波数を正確に追跡するのが困難である従来のやり方ではない。そのような不整合の場合、結果的には選択性が劣化する。
【0016】
エコー回路の動作の一例を要約したが、エコー検出の他の特徴及び利点は、
図1及びそれに続く図面を参照して説明するエコー回路の一例の更に詳細な説明から明らかになる。他の特徴及び利点は、この説明を読んだ後に当業者に明らかになる。
【0017】
図1は、エコー回路100を単純化した形態で示す。エコー回路は、送信器101及びエコー検出回路102によって共有される発振子104を有するが、ここで説明する更に広い原理は、共有された発振子の形態に限定されない。送信器101及び受信器102は、実際にはそれ自体の専用の発振子を有することができる。送信器101及び受信器102は、一実施の形態において、同一のマスタクロック103によって駆動される。
【0018】
送信器101は、発振子104を用いて音響信号を送信した後に短期間の間に休止状態になり、その間、送信された音響信号には、周囲に伝播する機会が与えられる。発振子104の所定の範囲内に物体が存在する場合、この送信のエコーを、発振子104を用いて電気信号に変換された音響信号をエコー検出回路102によって分析させることにより検出することができる。送信と送信された信号のエコー(以後、「エコー」とも称する。)の検出との間の時間に基づいて、周囲の物体の位置に関する情報を得ることができる。送信回路101は、
図2及びそれに続く図面に記載した詳細な実施の形態の焦点ではない。更に正確に言えば、
図1は、エコー回路の全体に亘る周囲を規定するとともに送信器101及びエコー検出回路102が同一のマスタクロック104を共有できることを示すためにだけ提供される。
【0019】
図2は、エコー検出回路200の一例の更に詳細な回路図を示す。エコー検出回路200は、発振子201を有する。エコー検出回路200が
図1のエコー検出回路102の一実施の形態である場合、発振子201は、
図1の発振子104の一例である。発振子201を、例えば、セラミック発振子とすることができる。発振子201は、発振子201に作用する動的な音圧(すなわち、可聴範囲内の場合の音又は可聴範囲外の他の音)を対応する電気信号に変換する役割を果たす。発振子201は、発振子に関連した周波数選択性を有することができる。換言すれば、発振子201は、ある周波数の音圧を他の周波数の音圧より有効に電気信号に変換することができる。しかしながら、発振子201は、送信された音響信号の搬送周波数で音圧を変換できるようにする必要がある。
【0020】
発振子201は、送信された音響信号の反射エコーの結果でない音圧を発振子201によって検知することができる特別な環境で動作することができる。例えば、発振子が車両位置センサの一部として動作する場合、発振子は、交通騒音、人々の会話、犬の鳴き声、クラクションが鳴る音等を取り出すことができる。さらに、送信された音響信号からのエコーを表す音響も存在しうる。周囲の音響が存在するにもかかわらずエコー検出器200が検出できるのは、そのようなエコーの存在である。
【0021】
エコーと周辺の音響との間を区別する能力は、送信された音響信号が特定周波数で送信されたという情報に基づく。その周波数を超音波とすることができる。ここで説明する一実施の形態において、しばしば用いられる周波数の例を50kHzとする。とはいうものの、ここで説明する一部の実施の形態の利益の一つは、回路を実質的に変更することなく種々の周波数で同一動作を行うことができることである。したがって、50kHzの周波数の使用は、一例としてのみ解釈すべきである。
【0022】
図2に戻ると、発振子201によって生成された電気信号は、アナログ処理回路210に供給される。アナログ処理回路210は、入力された電気信号を適切に増幅する役割を果たし、周辺の音響の低域選択性フィルタ処理を任意に提供するようにも任意に働く。アナログ処理回路210の仕様は、そのようなアナログ処理回路を達成することができる方法の一例としてのみ提供される。しかしながら、アナログ処理回路210の仕様は、一例としてのみ見られるべきであり、ここで説明し及び主張する更に広い原理を制限しない。
【0023】
第1に、入力アナログ電気信号は、コンデンサ211A及び211Bを通じて処理回路の残りの部分に結合される交流電流(AC)である。さらに、抵抗212A及び212Bは、低雑音増幅器213に適切なインピーダンス整合を行うために設けられる。これらの抵抗212A及び212Bは、感度の高い低雑音増幅器入力部を保護することによって高電圧ピークに対する保護を行うために入力静電気放電(ESD)保護及びクランプ回路の一部とすることもできる。低雑音増幅器は、超音波センサからの信号を予め増幅し、全体の雑音指数を特定する。低雑音増幅器213としての役割を果たすことができる低雑音増幅器の回路図の一例を、O.Vermesan等によるIEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL. 41, No.7, JULY 2006のpp1638-1647の論文"A Mixed-Signal BiMOS Front-End Signal Processor for High-Temperature Applications"の
図6の中で見つけることができる。
【0024】
周波数応答は、低雑音増幅器213に対して重大でない。その理由は、この増幅器が重大な選択性を何も取り入れないからである。一実施の形態において、この増幅器213の利得帯域幅(GBW)は、例えば、約40〜45dBに等しい直流電流(DC)利得及び約80kHzの遮断周波数のときに12MHzである。換言すれば、増幅器213の利得は、最初の極に出くわす約80kHzの周波数までほぼ一定である。要約すると、低雑音増幅器は、少量の雑音を取り入れた入力電気信号を増幅する。
【0025】
その後、増幅器信号がバンドパスフィルタ214に供給される。バンドパスフィルタは、送信された音響信号と同一周波数の信号を通過させる役割を果たし、したがって、あらゆるエコーを表す電気信号を通過させることができる。しかしながら、他の周波数は、種々の程度まで減衰される。しかしながら、従来のエコー検出回路とは異なり、バンドパスフィルタ214は、主要な選択性素子ではない。したがって、バンドパスフィルタ214の品質を低品質とすることができる。本来、エコーでない周辺雑音に起因する電気信号のために下流回路が飽和されないようにバンドパスフィルタ214が提供される。一部の実施の形態において、発振子201の選択性が下流回路を飽和しないという十分な確信を与えるのに足りる場合、バンドパスフィルタ214を完全に除去することができる。一実施の形態において、バンドパスフィルタ214は、(分周器によって行われる所定の周波数分割とともに)マスタクロック241を用いることによって動作し、マスタクロック241は、(同一の周波数分割とともに実行される)送信を行い、アナログ−デジタルコンバータのサンプリングレートを操作し、かつ、混合を行うのに用いられる。低いQのBPFの精度は重要でないので、低いQのBPF214の他の例を、連続的な時間ドメインで実現することができ、この場合、クロックディバイダ242を省略することができる。
【0026】
その後、フィルタ処理されたアナログ電気信号が、アナログ−デジタルコンバータのダイナミックレンジに適合するためにアナログ利得が6ビットGAIN[5:0]によって設定される可変利得増幅器215に供給される。可変利得増幅器215としての役割を果たすことができる適切な可変利得増幅器の一例は、O.Vermesan等によるIEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL. 41, No.7, JULY 2006のpp1638-1647の論文"A Mixed-Signal BiMOS Front-End Signal Processor for High-Temperature Applications"の
図7に示されている。
【0027】
可変利得増幅器215の主要な機能は、デジタルインタフェースを通じて制御されるような可変利得を提供することである。この可変利得は、全体に亘るフロントエンドゲインを変更するとともにそれを特定の発振器の選択性に適合させる役割を果たす。一実施の形態において、バンドパスフィルタ214は、可変利得増幅器215に組み込まれる。重要でないとしても、Qは、一実施の形態において3に等しい。一実施の形態において、バンドパスフィルタの中心周波数は、以下の式1に従う最大エコー周波数と最小エコー周波数の積の平方根となる。
【0029】
この場合、f_BPFは、バンドパスフィルタの中心周波数であり、f_echo_maxは、最大エコー周波数であり、f_echo_minは、最小エコー周波数である。
【0030】
最大エコー周波数及び最小エコー周波数は、エコー周波数が予測される窓を規定する。例えば、エコー周波数が50kHz付近に中心がある場合、エコー周波数は、その中心周波数から数パーセント増減しうる。
【0031】
その後、フィルタ処理されたアナログ信号は、可変利得増幅器の第2の段216に供給される。一実施の形態において、バンドパスフィルタは、20dBの利得を有し、第2の段の増幅器は、8dBの利得を有し、可変利得増幅器215は、ビットGAIN[5:0]で表されるような可変利得を有する。
【0032】
その後、増幅された信号は、アンチエイリアシングフィルタ217に供給される。フィルタ217は、送信された信号の変調帯域に変換されるエイリアジング周波数を抑制する。例えば、送信された音響信号の搬送周波数が50kHzであり、アナログ−デジタルコンバータのサンプル−ホールド周波数は、400kHzである場合、350kHz,450kHz,750kHz,850kHz等の帯域に反射が存在しうる。アンチエイリアシングフィルタ217は、ローパスフィルタの機能を果たすことによってこれらの反射した帯域を減衰する。
図2のアンチエイリアシングフィルタ217として機能するローパスフィルタの一例は、Chunlei Shi等によるISCAS 2000 IEEE International Symposium on Circuits and Sysmtes, May 28-31, Geneva, Switzerlandの論文"A low-power high-linearity CMOS baseband filter for wideband CDMA applications"で与えられる。
【0033】
本例に関しては、これは、サンプリングのためにアナログ−デジタルコンバータ221に信号を供給する前にアナログ信号の前処理を完了する。アナログ処理回路210は、説明のためだけに設けられており、本発明の原理を限定するために設けられるものではない。
【0034】
アナログ−デジタルコンバータ221は、特定のオーバーサンプリングレートでアナログ信号をサンプリングする。一実施の形態において、サンプリングは、マスタクロック241によって制御され、マスタクロック241は、音響信号の送信、バンドパスフィルタ214及びミキサ231A,231Bも制御する。また、これによって、回路を再設計するのではなくマスタクロック241を置換し又は調整することによってエコー信号の全周波数を変更することができる。アナログ−デジタルコンバータ221の「オーバーサンプリングレート」は、送信された音響信号の搬送周波数に対するコンバータ221のサンプリング周波数の比として規定される。オーバーサンプリングレートを、周知のナイキスト基準を満たすために少なくとも2とする必要がある。一実施の形態において、オーバーサンプリングレートは8である。例えば、送信される音響信号の搬送周波数が50kHzである場合、アナログ−デジタルコンバータのサンプリングレートは、8のオーバーサンプリングレートを支持するために400kHzとなる。8のオーバーサンプリングレートの選択は、後に更に説明するある有用な利益を提供する。
【0035】
説明した実施の形態において、アナログ−デジタルコンバータは、各サンプリング時に検出されたアナログ信号を、8ビットの符号付の1の相補的コードに変換する。符号付の1の相補的コードを、アナログ−デジタル構造を用いて迅速に生成することができる。その理由は、入力信号の極性を簡単に識別することによって符号ビットが生成されるからである。ビットの残りは、大きさを表し、ビットの残りを、極性に関係なく同様に決定することができる。唯一の違いは、正の数に対して生成されるあらゆる符号無しのビットが負の数を取得するために反転されることである。
【0036】
アナログ−デジタルコンバータがエコー検出器の用途に対して十分高速であるのが望ましい。十分高速であるあらゆるアナログ−デジタルコンバータで十分である。さらに、一つの補数において符号付の値を生成するものとしてアナログ−デジタルコンバータを説明するが、2以上の共通の補数を用いた符号付の値でも十分である。説明したように、アナログ−デジタルコンバータ221は、8ビットのADC_Data[7:0]の形式のデジタル出力を生成し、このビットは、デジタル処理の余弦分岐及びデジタル処理の正弦分岐を編成するために対応するミキサ231A,231Bに供給される。
【0037】
正弦分岐のミキサ231Bは、50kHzで動作するデジタルクロック信号が供給される(マスタクロック241とミキサ231A,231Bとの間に分周器243が存在することに注意されたい。)が、入力波形の周期ごとに8の乗算を行うためにその入力の乗算を400kHzごとに行う。したがって、ミキサ231Bは、(周波数分散を有する)50kHzのデジタル信号と50kHzのデジタル信号とを乗算する。その結果、直流及び低周波数値を有するとともに100kHzの更に高い周波数値を有するデジタル信号となる。直流及び低周波数値は、送信された音響信号の搬送周波数の周辺で検出された音圧で伝送された情報を表すベースバンド信号を表す。結果的に混合された信号は、
図2においてIF_Sinで表される。
【0038】
ミキサ231Aは、ミキサ231Bと同様に構成され、かつ、ミキサ231Bと同様に動作することができる。唯一の違いは、デジタルクロック信号が90°移相器を通過することである。結果的に混合された信号は、
図2においてIF_Cosで表される。また、混合された信号は、周波数が互いに近接する二つの信号を混合することに起因する直流電流及び低周波数成分を有する。また、信号は、搬送周波数の2倍である100kHzの調和振動数を有する。
【0039】
図3は、400kHzで乗算を行うデジタルミキサに50kHzのクロック信号を供給するために生成されるデジタル値を表す。正弦分岐ミキサ231Bに供給されるクロック信号を、
図3においてLO_sin及び300Bとして表す。バブルは、各乗算に対してミキサ231Bに供給されるクロック信号の値を表す。余弦分岐ミキサ231Aに供給されるクロック信号を、
図3においてLO_cos及び300Aとして表す。バブルは、各乗算に対してミキサ231Aに供給されるクロック信号の値を表す。
【0040】
例えば、1番目の乗算において、ポイント301Aによって表される値cosine(0°)すなわち1が余弦ミキサ231Aに供給され、ポイント301Bによって表される値sine(0°)すなわち0が正弦ミキサ231Bに供給される。
【0041】
2番目の乗算において、ポイント302Aによって表される値cosine(45°)すなわちsqrt(1/2)が余弦ミキサ231Aに供給され、ポイント302Bによって表される値sine(45°)すなわちsqrt(1/2)が正弦ミキサ231Bに供給される。
【0042】
3番目の乗算において、ポイント303Aによって表される値cosine(90°)すなわち0が余弦ミキサ231Aに供給され、ポイント303Bによって表される値sine(90°)すなわち1が正弦ミキサ231Bに供給される。
【0043】
4番目の乗算において、ポイント304Aによって表される値cosine(135°)すなわち−sqrt(1/2)が余弦ミキサ231Aに供給され、ポイント304Bによって表される値sine(135°)すなわちsqrt(1/2)が正弦ミキサ231Bに供給される。
【0044】
5番目の乗算において、ポイント305Aによって表される値cosine(180°)すなわち−1が余弦ミキサ231Aに供給され、ポイント305Bによって表される値sine(180°)すなわち0が正弦ミキサ231Bに供給される。
【0045】
6番目の乗算において、ポイント306Aによって表される値cosine(225°)すなわち−sqrt(1/2)が余弦ミキサ231Aに供給され、ポイント306Bによって表される値sine(225°)すなわち−sqrt(1/2)が正弦ミキサ231Bに供給される。
【0046】
7番目の乗算において、ポイント307Aによって表される値cosine(270°)すなわち0が余弦ミキサ231Aに供給され、ポイント307Bによって表される値sine(270°)すなわち−1が正弦ミキサ231Bに供給される。
【0047】
8番目の乗算において、ポイント308Aによって表される値cosine(315°)すなわちsqrt(1/2)が余弦ミキサ231Aに供給され、ポイント308Bによって表される値sine(315°)すなわち−sqrt(1/2)が正弦ミキサ231Bに供給される。
【0048】
8個の値301B〜308Bが正弦ミキサ231Bに供給されるのと同時に、8個の値301A〜308Aが余弦ミキサ231Aに供給され、これらが50kHzの周波数で何度も繰り返される。
【0049】
同一の値がミキサに繰り返し供給されることに注意されたい。特に、値1,sqrt(1/2),0,−sqrt(1/2)及び−1が繰り返し用いられる。したがって、クロックは、各400kHzクロック周期を検出する際にどの値がミキサに供給されるかを識別するための論理を用いるルックアップテーブルとして実現することができる。ルックアップテーブル論理が前の状況に応答して適切な符号に変換できる場合には、ルックアップテーブルは、3個の値、すなわち、1,sqrt(1/2)及び0まで減少させることができる。
【0050】
図4は、そのようなルックアップテーブル400を表す。0°の角度において、正弦ミキサに対する理想値は0となり、これを、0000000として8ビットの符号付きの1の補数で表すことができる。45°の角度において、正弦ミキサに対する理想値は、1/sqrt(2)又は1/sqrt(1/2)となる。その数を理想的に表すことができない。8ビットの符号付きの1の補数において、その数を01011100として近似することができる。90°の角度において、正弦ミキサの理想値は1となり、これを、01111111として8ビットの符号付きの1の補数で表すことができる。ROMに格納された正弦サンプル及び余弦サンプルを有するデジタル発振子の一例は、Loke Kun等によるIEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL. 30, NO.3, MARCH 1995, pp193-200の論文"A 200 MHz Quadrature Digital Synthesizer/Mixer in 0.8 pm CMOS"で与えられる。
【0051】
周波数ドメインで評価すると、混合された余弦信号IF_Cos及び混合された正弦信号IF_Sinは、直流成分を有し、又は、直流低周波成分に近くなる。また、信号IF_Cos及びIF_Sinは、(二つの50kHzの信号がミキサに供給されたと仮定すると)約100kHzの周波数を有する。高周波成分を除去するために、信号IF_Cos及びIF_Sinの各々は、対応するローパスフィルタ233A,233Bに供給される。
【0052】
ローパスフィルタ233A,233Bは、エコー検出回路200の全体の主要な選択性を規定する役割も果たす。例えば、フィルタ233A,233Bが10kHzの遮断周波数を有する場合、それは、エコー信号が出現しうる40〜60kHzの窓を規定する。フィルタ233A,233Bが2kHzの遮断周波数を有する場合、それは、エコー信号が出現しうる48〜52kHzの窓を規定する。この窓のサイズの選択は、ローパスフィルタ233A,233Bの遮断周波数の関数であり、エコー検出を行う従来の離散フーリエ変換(DFT)法におけるようなオーバーサンプリングレートの関数ではない。従来のDFT法において、エコー検出周波数窓は、アナログ−デジタルコンバータのオーバーサンプリングレートが増大するに従って小さくなる。
【0053】
一実施の形態において、ローパスフィルタ233A,233Bの遮断周波数は設定で変えることができ、これによって、エコー検出窓を設定で変えることができる。これは、エコー検出の全てのアプリケーションが同一のエコー検出窓の使用を通じて利益を得ないので有益である。例えば、重大なドップラー効果が存在しうるエコー検出は、更に大きなエコー検出窓を必要としうる。その理由は、エコー信号の周波数偏移が音響信号が最初に送信される周波数より高速になるからである。一部の実施の形態は、遮断周波数を時間的に変化させることができ、したがって、障害物距離に基づく可変の選択性を提供する。これによって、短い距離の障害物の向上した検出が可能となり、この場合、受信されるエコーのSNR(信号対雑音比)は0dB未満となる。さらに、一部の実施の形態において、送信回路及び/又はエコー検出回路それ自体又は発振子の経年劣化によって生じる周波数偏移がありうる。
【0054】
図5は、
図2のローパスフィルタ233A,233Bを実現するのに用いることができるデジタルローパスフィルタ500の一例を示す。遮断周波数を設定で変えることができるデジタルローパスフィルタ500は、1次のローパスフィルタとして表される1次の無限インパルス応答(IIR)フィルタ501及び1次のIIRフィルタ502の直列の組合せとして実現される。IIRフィルタは従来知られている。それにもかかわらず、特定例を説明する際に完全を期すために、
図6は、
図5のIIRフィルタ501と502のいずれかとしての役割を果たすことができる1次のIIRフィルタ600を示す。IIRフィルタ600のようなIIRフィルタが従来周知であるので、IIRフィルタ600の詳細な動作を説明しない。IIRフィルタ600が(xnとして表される)nビット入力値を受信するとともに(ynとして表される)nビット出力値を生成すると言えば十分である。本実施の形態において、フィルタ処理が8ビット値に適用されるので、nは8である。一実施の形態において、kの値は5である。
【0055】
この形態において、IIRフィルタの式は、以下の式2となる。
【0057】
単一のIIRフィルタの周波数応答は、以下の式3によって近似的に与えられる。
【0059】
サンプリング周波数が400kHzに等しく、かつ、kが5である本例において、遮断周波数f-3dBは2kHzである。選択性の窓を、kを6に等しくする場合の1/2とすることができる。kが1ずつ増加する度に、選択性の窓のサイズは半分に減少する。それに対し、選択性の窓を2倍にするために、kを1ずつ減少することができる。したがって、選択性の窓は、IIRフィルタにおいてkを適切な値に選択することによって設定で変えることができる。したがって、エコー検出処理の選択性を、ローパスフィルタ233A,233Bによって支配することができる。
【0060】
余弦ローパスフィルタ233A及び正弦ローパスフィルタ233Bからの出力信号は、複素ベクトルを形成する。このベクトルの大きさは、近似的にエコー信号の振幅となる。複素ベクトルの大きさは、以下の式4によって規定される。
【0062】
この場合、Acosは、ミキサ233Aによって生じた信号の振幅であり、Asinは、ミキサ233Bによって生じた信号の振幅である。
【0063】
理想的には、大きさを特定のしきい値に対して検出する。値が特定のしきい値より大きい場合、エコーが検出される。すなわち、ベクトルが「エコーしきい値」半径を有する円の範囲外に到達する場合、エコーが検出される。
図7は、半径EchoThを有する円700を示すベクトル図を表す。しかしながら、式4を厳密に評価するために、多量のチップエリアを必要とする。
【0064】
したがって、一実施の形態において、円700第1象限は、切断角を有する正方形として更に単純な幾何学的対象物によって近似される。その対象物は、正弦しきい値702、余弦しきい値703及び斜め線しきい値704によって規定される。
【0065】
そこから、比較がデジタルで十分に行われる。正弦成分及び余弦成分はそれぞれ、フィルタ233B及びフィルタ233Aからのデジタル値によって表される。更に演算量の少ないしきい値検出は、
図8のフローチャートの方法800で表される以下のステップを実行する。
【0066】
先ず、正弦信号及び余弦信号の絶対値が計算され(動作801)、したがって、あり得る全てのベクトルが第1象限に転換される。信号が1の補数によって表されるので、最上位ビット(符号ビット)を簡単に切り捨てることができ、その結果、数の絶対値が直接得られる。数が負である場合、残りのビットが簡単に反転される。
【0067】
しきい値の比較に利用できるデジタルコンパレータが一つしか存在しない場合、動作802の残りを、
図8に示すように順次実行することができる。しきい値702,703,704のそれぞれに対する3個のコンパレータが存在する場合、動作802の残りを並行して実行することができる。
【0068】
しきい値検出は、ベクトルの正弦部分(すなわち、フィルタ233Bから受信したデジタル値の絶対値)が正弦しきい値702より上であるか否かを検出する(決定ブロック802)。順次に実行され、正弦成分がしきい値を超える(決定ブロック802のYes)場合、エコーが検出される(動作805)。
【0069】
そうでない場合(決定ブロック802のNo)、ベクトルの余弦部分(すなわち、フィルタ233Aから受信したデジタル値の絶対値)が余弦しきい値703より上であるか否か決定する(決定ブロック803)。順次に実行され、余弦成分がしきい値を超える(決定ブロック803のYes)場合、エコーが検出される(動作805)。
【0070】
そうでない場合(決定ブロック803のNo)、値(「余弦部分」/sqrt(2)+「正弦部分」/sqrt(2))が斜め線エコーしきい値704を超えるか否か決定する(決定ブロック804)。そうである場合(決定ブロック804のYes)、エコーが検出される(動作805)。そうでない場合(決定ブロック804のNo)、エコーが検出されない(動作806)。
【0071】
動作802〜804が並列に行われる場合、しきい値検出の一つ以上が真であると評価されたことを表すために、しきい値比較の結果の論理和を求めることができる。この結果、エコーが検出される。
【0072】
円701を用いるのではなくこれら三つのしきい値702,703,704を用いてエコー検出を近似することによって、しきい値比較回路のサイズを大幅に減少することができ、同時に、しきい値検出の速度を増大する。この近似によって生じる誤差は、非常に小さく(約0.7dB)、全体に亘る感度に重大な影響を及ぼさない。
図2を参照すると、ベクトル大きさ素子234は、フィルタ233A,233Bからそれぞれ受信した正弦成分及び余弦成分の絶対値を決定することができる。しきい値比較回路235は、
図8のしきい値比較アルゴリズムを実行する。
【0073】
最後の事項として、しきい値選択データThreshold_Selection[2:0]に依存する(9ビット数のThreshold_Level[8:0]によって表される)種々のしきい値を提供するルックアップテーブル236が存在することに注意されたい。これは、音響信号が送信されてからの時間が経過するに従ってエコー信号が弱くなると予測されることを認識する。この理由は、エコーまでの時間が短くなることはエコーが近接物体から反射して更に大きなエコーを予測することができることを意味するからである。一方、エコーまでの時間が長くなることは、エコーが更に離れた物体から反射して更に弱くなることを予測することができることを意味する。したがって、元の送信からの時間が経過するに従って、エコー検出のしきい値レベルが徐々に低下する。ある時点において、エコーが検出されない場合、音響信号を再送信することができ、エコー検出が再度実行される。
【0074】
本発明を、その精神又は本質的特徴を逸脱することなく他の特別な形態で実施することができる。上述した実施の形態を、あらゆる点で実例としてのみ考察すべきであり、限定するものとして考察すべきでない。したがって、本発明の範囲は、これまでの説明ではなく添付した特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲内にある全ての変更は、本発明の範囲内に含まれる。
【0075】
米国特許証によって保証される特許請求の範囲は、次の通りである。