【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明の1つの目的は、有機ポリマー層とポリマー層に対して位置している電極とを含む多層電子デバイスにおいて、電極が、n層の薄い金属層、特に銀又は銀含有金属合金に基づく薄い層と、(n+1)層の反射防止コーティング(n≧1)とを交互に含む透明な薄層積層体によって構成されており、ここで各々の薄い金属層は、2つの反射防止コーティングの間に多層電子デバイスであって、電極が、
− 電極を構成する積層体の堆積方向で、n層の薄い金属層の下に位置する最終反射防止コーティング中の、湿気及び気体に対するバリアである第1のバリア積層体であって、比較的低い密度と比較的高い密度とを交互に有する少なくとも4つの層を含む第1のバリア積層体、
及び/又は
− 電極を構成する積層体の堆積方向で、n層の薄い金属層の上に位置する最終反射防止コーティング中の、湿気及び気体に対するバリアである第2のバリア積層体であって、比較的低い密度と比較的高い密度とを交互に有する少なくとも3つの層を含む第2のバリア積層体、
を含むことを特徴とする多層電子デバイスにある。
【0009】
本発明の意味合いにおいて、薄層とは、1マイクロメートル未満の厚みを有する層を意味するものと理解される。さらに、本発明の文脈内で、層又は層積層体は、それが少なくとも意図された利用分野にとって有用な波長範囲内で透明である場合に、透明とみなされる。一例としては、多結晶シリコンに基づく光起電セルを含む光起電デバイスの場合、各々の透明層又は層積層体は、有利には、このタイプの電池にとって有用な波長である400nm〜1200nmの間の波長範囲内で透明である。
【0010】
本発明に係るデバイスにおいて、電極は、所望の最小閾値より高い電気伝導度を有している必要がある。本発明の文脈内で、デバイスの電極は、有利には10オームパースクエア未満のシート抵抗、好ましくは5オームパースクエア未満のシート抵抗を有する。電極のこの電気伝導度は、本発明によると、環境条件の効果の下でほとんど又は全く劣化しないデバイスの特性の一部をなすものである。
【0011】
本発明の目的によると、その連続層が比較的低い密度と比較的高い密度とを交互に有している少なくとも1つの多層バリア積層体が存在することにより、ポリマー層から電子デバイスの感応性層に向かう汚染種、例えば水蒸気又は酸素の移動を制限することが可能となっている。詳細には、このような多層バリア積層体の能力は、同一の全幾何学的厚みについて、単層バリアコーティングで得られるものよりも優れていることがわかる。実際、比較的低い密度の層と比較的高い密度との層が交互にあることで得られる多層バリア積層体内の多数の界面の存在は、汚染種が感応性層に到達するのに必要とされる距離を延長させる。バリア効果は、バリア積層体内の界面が多くなるにつれて増大する。
【0012】
さらに、多層バリアは同じ厚みの単層バリアよりも優れた機械的特性を有すると考えられる。連続層が存在することによって応力の緩和が可能となり、こうしてバリア内の欠陥の形成が制限される。したがって、亀裂は汚染種、例えば水蒸気又は酸素の拡散を促進する経路であるため、多層バリアが亀裂を発生させる確率が低いということは、保護の観点から見て有利である。
【0013】
さらに、本発明によると、電子デバイスの電極自体が湿気及び気体に対するバリアとして作用する。したがって、デバイスの機能素子に加えて補足的バリア層を提供する必要はない。その結果、多くの利点がもたらされる。詳細には、補足的バリア層がポリマー層と電極の間に提供されている電子デバイスに比べて:
○ 各バリア積層体が電極の反射防止コーティング内に直接統合されているかぎりにおいて、この積層体は、湿気及び気体に対するバリア機能と、電極の金属層の反射防止機能とを同時に提供する。これら2つの機能を同一の積層体が行うことによって、層の数を制限し、そうして補足的バリア層が提供される場合と比べて材料を節約することが可能になる。また、層数の削減には、電極の表面粗度の制限という利点もあり、こうして特に、その後のOLED又は光起電セルの能動層の堆積に求められる低粗度要件を満たすことが可能になる。一例を挙げると、OLEDの有機層の堆積のためには、多くの場合、10nm未満、好ましくは2nm未満さらには1nm未満のRMS粗度が必要である。
○ 層数の削減に起因して、デバイスの製造のために提供すべき層の堆積の回数も同様に削減される。こうしてデバイスの製造方法は簡略化され、迅速かつ容易に工業化可能なものとなる。有利には、バリア積層体の層は、同一の堆積プロセス、詳細にはマグネトロンスパッタリングによって、電極の他の層と共に連続的に堆積してよい。このような連続堆積プロセスにより、表面粗度の増大を誘発する傾向をもつと思われるバリア層と電極の他の層の間の界面の通気を回避することが可能になる。
○ 公知の通り、薄い金属層を含む電極は、干渉によって最適化された光学特性を有する薄層積層体で構成されている。より具体的には、電極を構成する積層体内で、薄い金属層(単複)は電極にその電気伝導特性を与え、一方それらをとり囲む反射防止コーティングは、光学的外観に干渉によって作用し、電極にその透明性特性を与える。実際、薄い金属層は、各々の薄い金属層がおよそ10nmの小さい幾何学的厚みであっても、所望の電気伝導特性を得ることを可能にするが、これらの層は、光、特に可視波長範囲内の光の通過を強く妨害する。したがって、優れた光透過率を確保するためには、各々の薄い金属層の両側に反射防止コーティングが必要である。しかしながら、典型的には各バリア層が約10〜100ナノメートルのオーダーの厚みを有する補足的バリア層が、ポリマー層と電極の間の所定の場所に位置する場合、これは電極の積層体を光学的に乱す。本発明はこの問題を克服できるようにする。すなわち電極の積層体内に直接各バリア積層体を統合することによって、バリア層を含めた積層体全体が光学的に最適化される。
【0014】
本発明の他の有利な特徴を以下に記述するが、これらは別個に又は考えられる任意の技術的組合せの形で取り上げられてよい。
【0015】
1つの有利な特徴によると、電極を構成する積層体の堆積方向で、薄い金属層の下に位置する各反射防止コーティングは、薄い金属層の下にある層として、酸化物結晶、特に酸化亜鉛ZnOに基づく濡れ層を含む。この濡れ層は、薄い金属層の濡れ及び核形成を促進するように意図されている。
【0016】
別の有利な特徴によると、電極を構成する積層体の堆積方向で、薄い金属層の上に位置する各反射防止コーティングは、薄い金属層の上にある層として、酸化された又は酸化されていない薄い金属オーバーブロッカー層を含む。このオーバーブロッカー層は、例えば、後続する層を酸化雰囲気下又は窒化雰囲気下で堆積する場合、この後続層の堆積中、そして考えられる後続する熱処理中、薄い金属層を保護することが意図されている。
【0017】
電極の各々の薄い金属層は、薄いアンダーブロッカー層の上でそれに接した状態で堆積されてもよい。したがって、電極の積層体は、薄い金属層又は各々の薄い金属層をとり囲むオーバーブロッカー層及び/又はアンダーブロッカー層を含んでいてよい。これらのブロッカー層、アンダーブロッカー層及び/又はオーバーブロッカー層は、非常に薄く、通常1nm未満の厚みを有し、こうして積層体の光透過率に不利な影響を及ぼさないようになっている。ブロッカー層は、特に酸素を捕捉できる犠牲層として作用する。
【0018】
ブロッカー層、アンダーブロッカー層及び/又はオーバーブロッカー層は、特に、チタン、ニッケル、クロム、ニオブから選択された金属又はこれらの様々な金属の合金に基づく。ニッケル−チタン合金(特に各金属を50重量%含むもの)又はニッケル−クロム合金(特にニッケルを80重量%とクロムを20重量%含むもの)に、言及することができる。オーバーブロッカー層は同様に例えば、ポリマー層から離れる方向に最初にチタン層そして次にニッケル合金層(特にニッケル−クロム合金)又はその逆で、複数の重畳層で構成されていてもよい。言及されている様々な金属又は合金は、同様に酸化されていてもよく、特に酸素が亜化学量論的で例えばチタンTiO
xの場合、0≦x≦2であってよく、あるいは酸素が過化学量論的でチタンTiO
xの場合、2≦x<2.5であってよい。
【0019】
1つの特徴によると、ポリマー層から反対側にある電極の積層体の層は、4.5eV以上、好ましくは5eV以上の仕事関数Wsを有する仕事関数整合層と呼ばれる層であってよい。この仕事関数整合層は、特に単一の酸化物又は複合酸化物、例えば以下の随意にドープされた又は亜化学量論的な金属酸化物のうちの少なくとも1つに基づくことができる:酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化タンタル、酸化ケイ素、酸化ニオブ。
【0020】
1つの有利な特徴によると、電極は、ポリマー層の反対側にある電極の積層体の層上で、10nm以下、好ましくは5nm以下、より好ましくは2nm以下、さらには1nm以下のRMS粗度を有する。これにより、特にOLEDデバイスの場合、デバイスの寿命及び信頼性を大幅に削減するスパイク効果を回避することができる。RMS粗度は、二乗平均平方根粗度を意味する。これは、粗度の平均二乗偏差の値を測定することからなる尺度である。
【0021】
1つの有利な特徴によると、電極の少なくとも1つのバリア積層体は、交互に比較的低い結晶化度及び比較的高い結晶化度を有する少なくとも3つの連続する薄い層を含み、比較的高い結晶化度の層の結晶化度の、比較的低い結晶化度の層の結晶化度に対する比は1.1以上である。ここで考慮される結晶化度は、層内の材料の総体積に対する層内に存在する結晶質材料の体積の比として定義される体積結晶化度であってよい。
【0022】
実際には、バリア積層体の2つの連続層の結晶化度を、2つの層の各々について、特にブラッグ−ブレンターノ構成でX線回析測定を行なうことによって決定し比較することができる。特にバリア積層体の2つの連続層が、同じ化学的性質を有するものの結晶化度が異なっている場合には、透過電子顕微鏡法(TEM)測定も同様に実施することができる。
【0023】
好ましくは、前記少なくとも3つの連続層は、アモルファス状態と少なくとも部分的に結晶質の状態とが交互となっている。換言すると、比較的低い結晶化度の層又は各層は、結晶化度ゼロでアモルファス状態にある。本発明の意味合いにおいて、層は、その層に対してブラッグ−ブレンターノ構成でX線回折測定を使用した時に、測定の背景雑音の標準偏差の2倍以上の強度を有する回析ピークが全く検出されない場合に、アモルファス状態にあると言われる。逆に言うと、層は、その層に対してブラッグ−ブレンターノ構成でのX線回折測定を使用した時に測定の背景雑音の標準偏差の2倍以上の強度を有する回析ピークが少なくとも検出された場合に、少なくとも部分的に結晶質の状態にあると言われる。
【0024】
実質的に異なる結晶化度を有する層が交互にあることによって、1つの層と次の層の間の水蒸気又は酸素などの汚染種の透過経路を分断することが可能になる。バリア積層体内の透過経路、ひいては透過時間は、こうして著しく長くなる。この透過経路分断効果のための特に有利な1つの構成は、アモルファス層と結晶質層とが交互にあることである。
【0025】
1つの有利な特徴によると、電極の少なくとも1つのバリア積層体は、2つの高活性化エネルギー層の間に挿入された保持層からなる少なくとも1つの層配列を含み、ここで:
− 2つの高活性化エネルギー層の各々について、一方では高活性化エネルギー源でコーティングされた標準基材と、他方ではそのままの状態のこの同じ標準基材との間の水蒸気透過のための活性化エネルギー層は、5kJ/mol以上、好ましくは20kJ/mol以上であり、
− 標準基材上の保持層内の有効水蒸気拡散率と、そのままの状態のこの同じ標準基材内の水蒸気拡散率との比は、厳密に0.1未満である。
【0026】
非限定的な例として、活性化エネルギー及び/又は拡散率を比較するために用いられる標準基材は、0.125mmの幾何学的厚みを有するポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムである。
【0027】
水蒸気保持層が水蒸気の透過のために2つの高活性度エネルギー源の間に挿入されているこのようなサンドイッチ構造を含む少なくとも1つのバリア積層体が存在することによって、ポリマー層から感応性層内への水蒸気の移動を制限し遅延させることが可能である。まず第1に、水蒸気が高活性度エネルギー源中に浸透するのは困難である。第2に、保持層は水蒸気を貯蔵する。バリア積層体の特異的サンドイッチ構造は、保持層内での水蒸気捕捉を大幅に促す。これは、バリア積層体の第1の高活性度エネルギー源を通過することができた水蒸気は、保持層内に移行し、バリア積層体の第2の高活性度エネルギー源は、水蒸気が保持層から離れる可能性を大幅に制限するために、水蒸気の大部分が保持層内に捕捉されるからである。こうして感応性層内への水蒸気の透過は、大幅に削減され遅延される。
【0028】
固体媒質を通した気体の透過は、アレニウスの法則によって記述できる熱により活性化されるプロセスである:
P=P
0・e
(−Ea/kT)(1)
式中、Pは透過率であり;
P
oはシステムに特異的な透過係数であり;
kはボルツマン定数であり;
Tは温度であり;
Eaは透過のための活性化エネルギーである。
【0029】
等式(1)から、温度Tの一関数として透過率Pを測定することにより、活性化エネルギーE
aを決定できるということがわかる。こうして、そのままの基材の活性化エネルギーを決定し、これを層でコーティングされた基材の活性化エネルギーと比較することが可能である。
【0030】
さらに、透過率Pは、下記等式から求められる:
P=S・D(2)
式中、Sは溶解度、又は基材上の層の場合においては有効溶解度であり、Dは、拡散率、又は基材上の層の場合においては有効拡散率である。
【0031】
溶解度は、固体媒質中にある気体の性向を表わし、一方拡散率は、固体媒質中で気体が移動する速度を表わす。以上の等式(1)及び(2)から、活性化エネルギーEaが溶解度及び拡散率という2つの効果を包含することがわかる。実際には、単一のポリマーフィルム又は単層の場合、拡散率効果は、溶解度効果により支配される。しかしながら、多層積層体の場合、拡散率効果が大きくなり、さらには支配的になる可能性がある。
【0032】
先の特徴によると、水蒸気透過に対する全体的に高い活性化エネルギーを有するバリア積層体が提供されており、拡散率の影響は、中央層が低い水蒸気拡散率を有する保持層であるサンドイッチ構造によって増大させられる。保持層中の水蒸気拡散率は、有利には、保持層内の水蒸気濃度が増大した場合に減少するかもしれない。この保持効果は、水蒸気と保持層を構成する材料との間の特定の親和力、例えば化学親和力、極性親和力又はさらに一般的には特にファン・デル・ワールス相互作用に結びつけられる電子親和力に起因してもよい。したがって、バリア積層体内の水蒸気拡散時間が著しく増大する可能性がある。
【0033】
本発明の枠内では、そのままのものであれ、層によりコーティングされているものであれ、基材の水蒸気透過のための活性化エネルギーEaは、様々な温度及び湿度条件について、そのままであれコーティングされているものであれ基材を通しての水蒸気移動速度、つまりWVTRを測定することによって決定される。公知の通り、透過率Pは、WVTRに正比例する。このとき、1/Tの関数としてLn(WVTR)の変動を表わす直線の勾配(又は関数の導関数)から得られる活性化エネルギーE
aの値を演繹するために、等式(1)が使用される。実際には、WVTR測定は、MOCON AQUATRANシステムを用いて実施されてよい。WVTR値が、MOCONシステムの検出限界より低い場合、それらを従来のカルシウム試験によって決定してもよい。
【0034】
本発明の枠内では、基材上に位置づけされた層内の水蒸気の有効拡散率は、多層コンポーネントが組込まれるように意図されているデバイスの動作範囲内に入る所与の温度について、様々な時点で基材から層内に拡散する水蒸気の量を測定することによって決定される。同様にして、基材内の水蒸気の拡散率は、デバイスの動作範囲内にある所与の温度について、様々な時点で基材内に拡散する水蒸気の量を測定することによって決定される。これらの測定は、特にMOCON AQUATRANシステムを用いて実施されてよい。2つの拡散率を比較するためには、2つの拡散率を決定するための測定を、同じ温度及び温度条件で実施しなければならない。
【0035】
前述の特徴を満たす一方で2つの高活性度エネルギー源間に保持層が挿入される配列の一例は、50nmの幾何学的厚みを有する2つのSi
3N
4層の間に挿入された50nmの幾何学的厚みを有するZnO層を含む配列である。
【0036】
1つの有利な特徴によると、電極の各バリア積層体を構成する層は、比較的低い屈折率と比較的高い屈折率とを交互に有する。その構成層の好適な幾何学的厚みのために、バリア積層体はこのとき干渉フィルターを構成しうる。こうしてバリア積層体は、電極の薄い金属層の反射防止効果に参与する。実際には、光学的に最適化されるのは、電極の積層体全体である。電極の層の好適な幾何学的厚み値は、特に最適化ソフトウェアを用いて選択されてよい。
【0037】
1つの特徴によると、電極の各バリア積層体について、バリア積層体の各薄層は、200nm未満、好ましくは100nm未満そしてより好ましくは5nm〜70nmの幾何学的厚みを有する。
【0038】
電極のバリア積層体の各薄層は、詳細には、随意にドープされている酸化物、窒化物又はオキシ窒化物層であってよい。一例として、ZnO、Si
3N
4又はSiO
2層をアルミニウムでドープして、特にその電気伝導度を改善してもよい。バリア積層体の層は、従来の薄層堆積プロセス、例えば非限定的な例としてマグネトロンスパッタリング;化学気相成長(CVD)、特にプラズマ化学気相成長法(PECVD);原子層堆積(ALD);又はこれらのプロセスの組合せによって堆積されてよく、選択される堆積プロセスは、バリア積層体の一つの層と別の層で異なる可能性もある。有利には、バリア積層体の層をマグネトロンスパッタリングによって堆積する場合、電極の全ての積層体を同一のライン上で堆積することが可能である。
【0039】
1つの有利な特徴によると、ポリマー層は、その面の1つに、電極に対して位置している界面層を含む。この界面層は、例えばアクリル又はエポキシ樹脂タイプの有機層であるか、又は例えばシリカSiO
xである無機部分が層の0〜50体積%を占めていてよいハイブリッド有機−無機層である。この界面層は、特に平滑化又は平坦化層として作用する。
【0040】
電極が接して位置づけされているポリマー層は、デバイスの基材であってよい。デバイスの可撓性ポリマー基材は、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカルボネート、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリイミド、フルオロポリマー、例えばエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)に基づく層であってよい。
【0041】
一変形形態として、電極に対して位置しているポリマー層は、デバイスの剛性又は可撓性基材にボンディングするための積層中間層であってよい。このポリマー積層中間層は特に、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ウレタン、イオノマー、ポリウレタン系接着剤又は熱可塑性シリコーンに基づく層であってよい。
【0042】
本発明の一態様によると、電子デバイスは、有機発光ダイオード(OLED)デバイスであり、ここで電極は有機発光ダイオードの電極であり、ポリマー層は、有機発光ダイオードを封止するための構造の全部又は一部である。
【0043】
本発明の別の態様によると、電子デバイスは、光起電デバイスであり、ここで電極は光起電セルの電極であり、ポリマー層は、光起電デバイスを封止するための構造の全部又は一部である。
【0044】
本発明のさらに別の態様によると、電子デバイスは、エレクトロクロミックデバイスであり、ここで電極はエレクトロクロミックシステムの電極であり、ポリマー層は、エレクトロクロミックシステムを封止するための構造の全部又は一部である。
【0045】
本発明の別の目的は、バリア積層体又は各バリア積層体の薄膜の少なくとも一部分が、スパッタリング、特にマグネトロンスパッタリングによって堆積される、前述の電子デバイスの製造方法にある。
【0046】
詳細には、バリア積層体又は各バリア積層体の薄層の少なくとも一部は、堆積中に堆積チャンバ内の圧力及び/又は電力及び/又は反応性ガスの性質又は量を変動させることによって、反応性スパッタリング特に反応性マグネトロンスパッタリングにより堆積されてよい。
【0047】
好ましくは、バリア積層体又は各バリア積層体の層を含めた電極を構成する積層体の薄層の全てが、スパッタリング、特にマグネトロンスパッタリングによって堆積される。
【0048】
本発明の特徴と利点は、本発明に係る多層電子デバイスの複数の実施形態についての以下の記述の中で明らかになるが、この記述は単なる一例として、かつ添付図面を参考にして示されている。