特許第6181640号(P6181640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181640
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】熱電変換材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/34 20060101AFI20170807BHJP
   H01L 35/16 20060101ALI20170807BHJP
   H01L 35/32 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H01L35/34
   H01L35/16
   H01L35/32 A
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-512491(P2014-512491)
(86)(22)【出願日】2013年4月17日
(86)【国際出願番号】JP2013061416
(87)【国際公開番号】WO2013161645
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-103751(P2012-103751)
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 邦久
(72)【発明者】
【氏名】武藤 豪志
【審査官】 上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02131406(EP,A1)
【文献】 特開2007−059773(JP,A)
【文献】 特開2004−241397(JP,A)
【文献】 特開2004−193526(JP,A)
【文献】 国際公開第99/065086(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/16,35/32,35/34
B29C 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状、逆錐状、及び逆錐台状から選ばれる少なくとも1種の凹部を有する樹脂基板に、熱電半導体材料からなる熱電半導体層が形成された熱電変換材料において、該樹脂基板が、硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を、硬化してなり、かつ該熱電半導体層が、前記凹部の内底部と、前記樹脂基板の上部に存在し、さらに前記凹部の内底部における熱電半導体層と、前記樹脂基板の上部における熱電半導体層とは連続した層となっていないことを特徴とする熱電変換材料。
【請求項2】
前記硬化型樹脂組成物が、エネルギー線硬化型樹脂組成物である請求項1に記載の熱電変換材料。
【請求項3】
前記樹脂基板が、凸部構造を有する原版と前記エネルギー線硬化型樹脂組成物からなる樹脂層とを対向させ加圧、エネルギー線照射することにより硬化して得られる請求項2に記載の熱電変換材料。
【請求項4】
前記エネルギー線硬化型樹脂組成物が、側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する請求項2又は3に記載の熱電変換材料。
【請求項5】
前記エネルギー線硬化型樹脂組成物が、エネルギー線硬化性を有しない重合体と、エネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとを含有する請求項2又は3に記載の熱電変換材料。
【請求項6】
前記樹脂基板の膜厚が、1〜100μmである請求項1〜5のいずれかに記載の熱電変換材料。
【請求項7】
前記樹脂基板が、独立した多数の凹部を有する請求項1〜6のいずれかに記載の熱電変換材料。
【請求項8】
前記凹部の形状が、円柱状である請求項1〜7のいずれかに記載の熱電変換材料。
【請求項9】
前記凹部の深さが5〜10000nm、前記凹部の直径が10〜5000nm、及び隣接する凹部の中心間の間隔が15〜5500nmである請求項8に記載の熱電変換材料。
【請求項10】
前記凹部の内底部における熱電半導体層と、前記樹脂基板の上部における熱電半導体層とは絶縁性を維持していることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の熱電変換材料。
【請求項11】
前記熱電半導体層の膜厚が10〜5000nmである請求項1〜10のいずれかに記載の熱電変換材料。
【請求項12】
前記熱電半導体材料が、ビスマス−テルル系熱電半導体材料またはビスマスセレナイド系熱電半導体材料である請求項1〜11のいずれかに記載の熱電変換材料。
【請求項13】
凹部を有する樹脂基板に、熱電半導体層を成膜してなる熱電変換材料の製造方法であって、
硬化型樹脂組成物により樹脂層を形成する樹脂層形成工程、
該樹脂層と凸部構造を有する原版とを対向し加圧し、該樹脂層に該原版の前記凸部構造を転写する転写工程、
及び該樹脂層を硬化し、その後、該原版から離型し、凹部を形成する凹部形成工程を含む樹脂基板作製工程と、
前記樹脂基板上に熱電半導体材料を成膜して熱電半導体層を形成する成膜工程
とを含むことを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
【請求項14】
前記成膜工程が、フラッシュ蒸着法による請求項13に記載の熱電変換材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱と電気との相互エネルギー変換を行う熱電変換材料に関し、特に、樹脂基板を用いた高い熱電性能指数を有する、熱電変換材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、システムが単純でしかも小型化が可能な熱電発電技術が、ビル、工場等で使用される化石燃料資源等から発生する未利用の廃熱エネルギーに対する回収発電技術として注目されている。しかしながら、熱電発電は一般に発電効率が悪いこともあり、さまざまな企業、研究機関で発電効率の向上のための研究開発が活発になされている。発電効率の向上には、熱電変換材料の高効率化が必須となるが、これらを実現するために、金属並みの高い電気伝導率とガラス並みの低い熱伝導率を備えた材料の開発が望まれている。
【0003】
熱電変換特性は、熱電性能指数Z(Z=σS2/λ)によって評価することができる。ここで、Sはゼーベック係数、σは電気伝導率(抵抗率の逆数)、λは熱伝導率である。上記、熱電性能指数Zの値を大きくすれば、発電効率が向上するため、発電の高効率化にあたっては、ゼーベック係数S及び電気伝導率σが大きく、熱伝導率λが小さい熱電変換材料を見出すことが重要である。
【0004】
一般に、固体物質の熱伝導率λと電気伝導率σは、材料の密度やキャリア濃度をパラメータとして設計することが可能ではあるが、両物性はヴィーデマンフランツの法則から、互いに独立ではなく、密接に連動するため、大幅な熱電性能指数の向上が図れていないのが実情であった。このような中で、特許文献1には、半導体材料内部に電子とフォノンの平均自由行程と同程度、あるいはそれ以下の間隔で分散した非常に微細な空孔を、多数導入して多孔質化し、熱伝導率の減少やゼーベック係数を増加させた熱電変換材料が提案されている。特許文献1の実施例によると、熱伝導率は低減したものの、電気伝導率もともに低下(抵抗率が大幅増加)してしまい、無次元熱電性能指数ZT(T:絶対温度300Kとして算出)としては、0.017から多孔質化により0.156に増加しているが、絶対値としては、実用化に向けての指標値となるZT≧1には遠い状況であった。
また、特許文献2には、ナノインプリント法により、熱電変換材料を細線状に作製することで、熱電性能指数を向上させる旨の開示がなされているが、熱伝導率の低下が小さく、十分な性能が得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2958451号
【特許文献2】特開2007−59773号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記実情を鑑み、熱伝導率が低減され、熱電性能指数が向上した熱電変換材料及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、凹部を有する樹脂基板に、熱電半導体材料からなる熱電半導体層が形成された熱電変換材料において、前記樹脂基板として硬化型樹脂組成物、例えば、エネルギー線硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を硬化したものを用いることにより、熱電性能指数が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(15)を提供するものである。
(1)凹部を有する樹脂基板に、熱電半導体材料からなる熱電半導体層が形成された熱電変換材料において、該樹脂基板が、硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を、硬化してなることを特徴とする熱電変換材料。
(2)前記硬化型樹脂組成物が、エネルギー線硬化型樹脂組成物である請求項(1)に記載の熱電変換材料。
(3)前記樹脂基板が、凸部を有する原版と前記エネルギー線硬化型樹脂組成物からなる樹脂層とを対向させ加圧、エネルギー線照射することにより硬化して得られる上記(2)に記載の熱電変換材料。
(4)前記エネルギー線硬化型樹脂組成物が、側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する上記(2)又は(3)に記載の熱電変換材料。
(5)前記エネルギー線硬化型樹脂組成物が、エネルギー線硬化性を有しない重合体と、エネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとを含有する上記(2)又は(3)に記載の熱電変換材料。
(6)前記樹脂基板の膜厚が、1〜100μmである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱電変換材料。
(7)前記樹脂基板が、独立した多数の凹部を有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱電変換材料。
(8)前記凹部の形状が、円柱状又は溝状である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱電変換材料。
(9)前記凹部の深さが5〜10000nm、前記凹部の直径又は溝幅が10〜5000nm、及び隣接する凹部の中心間の間隔が15〜5500nmである(8)に記載の熱電変換材料。
(10)前記熱電半導体層が、前記樹脂基板の上面に存在し、かつ凹部の内底部と、該上面とは絶縁性を維持していることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱電変換材料。
(11)前記熱電半導体層の膜厚が10〜5000nmである上記(1)〜(10)のいずれかに記載の熱電変換材料。
(12)前記熱電半導体材料が、ビスマス−テルル系熱電半導体材料またはビスマスセレナイド系熱電半導体材料である上記(1)〜(11)のいずれかに記載の熱電変換材料。
(13)凹部を有する樹脂基板に、熱電半導体層を成膜してなる熱電変換材料の製造方法であって、凸部構造を有する原版から、硬化型樹脂組成物からなる樹脂層に、前記凸部構造を転写、硬化してなる樹脂基板作製工程と、前記樹脂基板上に熱電半導体材料を成膜して熱電半導体層を形成する成膜工程とを含むことを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
(14)前記樹脂基板作製工程が、前記硬化型樹脂組成物により樹脂層を形成する樹脂層形成工程、該樹脂層と前記原版とを対向し加圧し、該樹脂層に該原版の前記凸部構造を転写する転写工程、及び該樹脂層を硬化し、その後、該原版から離型し、凹部を形成する凹部形成工程を含む上記(13)に記載の熱電変換材料の製造方法。
(15)前記成膜工程が、フラッシュ蒸着法による上記(13)に記載の熱電変換材料の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱伝導率が低く、熱電性能指数が向上した熱電変換材料が得られ、高い変換効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に用いた原版(ナノインプリントモールド)の一例を示す断面図である。
図2】本発明に用いた樹脂基板の一例を示す断面図である。
図3】本発明に用いた樹脂基板に熱電半導体材料からなる熱電半導体層を成膜した後の断面の一例を示し、(a)は樹脂基板の上面及び凹部の内底部に熱電半導体層が存在している場合、(b)は樹脂基板の上面にのみ熱電半導体層が存在している場合の断面図である。
図4】本発明の製造方法に従った基板作製工程の一例を工程順に示す説明図を示し、(a)は、上図が原版の断面図、下図が支持体にエネルギー線硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後の断面図であり、(b)は、加圧、転写後におけるエネルギー線による硬化の工程を示す断面図であり、(c)は硬化後、離型により得られた樹脂基板の断面図である。
図5】本発明の実施例1及び参考で得られた熱電変換材料の平面を示し、(a)は実施例1の熱電変換材料のSEM写真(測定倍率10000倍)であり、(b)は実施例2の熱電変換材料のSEM写真(測定倍率10000倍)である。
図6】本発明の参考で得られた熱電変換材料の平面を示し、(a)はパターンミックスの一つである円柱状パターンからなる部分の熱電変換材料のSEM写真(測定倍率10000倍)であり、(b)はパターンミックスの溝状パターンからなる部分の熱電変換材料のSEM写真(測定倍率10000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[熱電変換材料]
本発明の熱電変換材料は、凹部を有する樹脂基板に、熱電半導体材料からなる熱電半導体層が形成された熱電変換材料において、該樹脂基板が、硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を、硬化してなることを特徴とする。
【0011】
(原版)
本発明で用いる凸部構造を有する原版について、ナノインプリントモールドを用いた場合について説明する。
図1は、後述する本発明の製造方法に用いる原版(ナノインプリントモールド)の一例を示す断面図である。原版1には、基材2上に所定の凸部構造3が形成されている。前記凸部構造3は、用途により異なるが、通常、転写後に得られるナノ構造を考慮した形状で形成されている。前記基材2としては、特に限定されないが、一般的に、加工精度、耐久性等の観点から石英(193nmより長波長側で透明)が用いられる。
前記原版1として用いたナノインプリントモールドは、リソグラフィ等で作製することが可能であるが、作製方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、モールド材料となる基材2全面にポジ型レジストを塗布し、前記ポジ型レジストに電子線描画又は紫外線露光等を行って、所定のレジストパターンを形成し、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、基材2をウェット又はドライエッチングし、最後にレジスト残渣を除去し、凸部構造3を形成することでナノインプリントモールドを製造する。
また、前記ナノインプリントモールドは、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、NTT−AT社等から市販されている。
【0012】
原版1の凸部構造3の形状は種々あり、特に限定されない。例えば、以下のような形状
が挙げられ、用途に応じて、適宜使用される。
(A)ドット形状(凸部の形状が円、楕円、多角形等のドット形状)。
(B)ライン形状(凸部の形状が直線、曲線等のライン形状)。
(C)パターンミックス形状(ドット形状とライン形状等の混在したもの)。
なお、本発明で使用する原版1のパターンは、凸部同士が独立していればよく、直線のみならず、曲がっていてもよい。また、並び方に関しては、連続性や規則性があっても、なくてもよい。
【0013】
(樹脂基板)
本発明で用いる樹脂基板について説明する。
図2は、本発明に用いた樹脂基板の一例を示す断面図である。
凹部6を有する樹脂基板4は、支持体5上に形成されている。樹脂基板4は、例えば、凸部構造3を有する前記原版1を用い、硬化型樹脂組成物からなる樹脂層に転写させ、硬化、離型することにより得られ、この場合、凹部6は、前記原版1の凸部構造3の反転パターンとして転写されることにより得ることができる。
【0014】
硬化型樹脂組成物は、絶縁性を有し、かつ硬化性であればよく、例えば、エネルギー線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂を主成分とするものが挙げられる。中でも、耐熱性が高く、熱により変形せず、低い熱伝導率を維持できるという点から、硬化型樹脂組成物としては、エネルギー線硬化型樹脂を主成分とするエネルギー線硬化型樹脂組成物であることが好ましい。硬化型樹脂組成物からなる樹脂基板に凹部6を形成することで、樹脂基板4の熱伝導率を低下させ、熱電変換材料の熱電性能指数を向上させることができる。
【0015】
前記エネルギー線硬化型樹脂組成物としては、特に限定されず、例えば、1)側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有するもの、あるいは、2)エネルギー線硬化性を有しない重合体とエネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとを含有するもの、3)エネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーを主成分とするもの等が挙げられる。これらの中でも、1)側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有するもの、あるいは、2)エネルギー線硬化性を有しない重合体とエネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとを含有するものであることが好ましい。かかる共重合体を含有する樹脂組成物を用いることで、比較的厚膜の樹脂層を形成することができるため、耐熱性に優れる樹脂基板を得ることができ、例えば、得られる樹脂基板を使用した熱電変換材料を高温で長時間駆動させた場合であっても、樹脂基板が熱変形し難く、熱電性能が低下することを抑制することができる。
【0016】
まず、前記エネルギー線硬化型樹脂組成物が、1)側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(以下、「エネルギー線硬化型共重合体」と称することがある)を含有する場合について説明する。ここで、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。
【0017】
側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、官能基含有モノマー単位を有する(メタ)アクリル系共重合体(m1)と、その官能基と反応して、共有結合を形成しうる置換基を有する不飽和基含有化合物(m2)とを反応させて得られる。かかる共重合体を含有する樹脂組成物を用いることで、粘着性を有する樹脂基板を形成することができるため、例えば、接着層を介さず、直接、樹脂基板を光電変換デバイスなど各種デバイスや、壁や建物などに貼り合わせることができる。
【0018】
前記(メタ)アクリル系共重合体(m1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマー又はその誘導体から導かれる構成単位とからなる。(メタ)アクリル系共重合体(m1)が有する官能基含有モノマーは、例えば、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであり、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が好ましく用いられる。
例えば、ヒドロキシル基含有不飽和化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。また、カルボキシル基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0019】
また、(メタ)アクリル系共重合体(m1)を構成する、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、ベンジルアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート等が用いられ、この中で、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく用いられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(m1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマー又はその誘導体とを公知の方法で共重合することにより得ることができるが、これらモノマーの他にも少量(例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下)の割合で、他のモノマーが共重合されてもよい。
【0020】
他のモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
(メタ)アクリル系共重合体(m1)は、上記のような官能基含有モノマーから導かれる構成単位を通常3〜100質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%の割合で含有し、(メタ)アクリル酸エステルモノマー又はその誘導体から導かれる構成単位を通常0〜97質量%、好ましくは60〜95質量%、特に好ましくは70〜90質量%の割合で含有してなる。
【0022】
前記不飽和基含有化合物(m2)は、前記(メタ)アクリル系共重合体(m1)が有する官能基含有モノマーの官能基の種類に応じて、適宜選択する必要がある。このため、例えば、前記(メタ)アクリル系共重合体(m1)が有する官能基含有モノマーの官能基がヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基である場合、不飽和基含有化合物(m2)が有する置換基としては、イソシアナート基又はエポキシ基等が好ましく、また、官能基がカルボキシル基の場合、置換基としては、イソシアナート基、アジリジニル基、エポキシ基又はオキサゾリン基が好ましく、さらに、官能基がエポキシ基の場合、置換基としては、アミノ基、カルボキシル基又はアジリジニル基が好ましい。このような置換基は、不飽和基含有化合物(m2)1分子毎に一つずつ含まれる。
上記から、不飽和基含有化合物(m2)としては、例えば、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート、アリルイソシアナート;ジイソシアナート化合物又はポリイソシアナート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;ジイソシアナート化合物又はポリイソシアナート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
なお、前記不飽和基含有化合物(m2)には、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合が、1分子毎に1〜5個、好ましくは1〜2個含まれる。
【0023】
不飽和基含有化合物(m2)は、上記(メタ)アクリル系共重合体(m1)の官能基含有モノマー100当量当たり、通常20〜100当量、好ましくは40〜95当量、特に好ましくは60〜90当量の割合で用いられる。
【0024】
(メタ)アクリル系共重合体(m1)と不飽和基含有化合物(m2)との反応は、官能基と置換基との組合せに応じて、反応温度、時間、溶媒、触媒等を適宜選択して行う。
以上から、(メタ)アクリル系共重合体(m1)中の側鎖に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(m2)中の置換基とが反応し、不飽和基が(メタ)アクリル系共重合体(m1)中の側鎖に導入され、側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を得ることができる。
【0025】
側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは200,000〜2,500,000であり、耐熱性の点から、特に好ましくは500,000〜1,500,000である。本明細書における重量平均分子量は、標準ポリスチレンの分子量を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した。
【0026】
上記硬化型樹脂組成物は、前記エネルギー線硬化型共重合体以外に、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤を含有することにより、エネルギー線硬化型樹脂組成物からなる樹脂層を形成後、光硬化させる際に、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができるため、好ましい。前記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、4−フェニルベンゾフェノン、4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジフェニルベンゾフェノン、4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が挙げられる。この中で、用いるエネルギー線との反応性がよく、反応速度が最適であり、樹脂層の深部まで反応が進むという観点から、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンが好ましく用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤は、エネルギー線硬化型共重合体100質量部に対して0.1〜10質量部、特には0.5〜5質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0027】
上記硬化型樹脂組成物は、上記エネルギー線硬化型共重合体及び光重合開始剤以外に、適宜他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂成分、後述するエネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマー成分、架橋剤、その他の添加剤が挙げられる。
【0028】
熱可塑性樹脂成分としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0029】
架橋剤としては、エネルギー線硬化型共重合体等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアナート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0030】
その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、カップリング剤、有機微粒子等が挙げられる。
【0031】
これらの他の成分をエネルギー線硬化型樹脂組成物に配合することにより、硬化前における凸部構造の転写の容易性、硬化後の強度などを改善することが可能になる。
【0032】
上に挙げた他の成分の配合量としては、エネルギー線硬化型共重合体100質量部に対して、他の成分の合計で0〜50質量部であることが好ましく、特に1〜20質量部であることが好ましい。
【0033】
次に、前記エネルギー線硬化型樹脂組成物が、2)エネルギー線硬化性を有しない重合体と、エネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとを含有する場合について説明する。ここで、本明細書における「重合体」は、単独重合体および共重合体の両方を意味する。
【0034】
エネルギー線硬化性を有しない重合体としては、アクリル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エネルギー線硬化性を有しない重合体としては、アクリル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂であることが好ましい。エネルギー線硬化性を有しない重合体は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
前記アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマー又はその誘導体から導かれる構成単位とからなる。なお、官能基含有モノマーから導かれる構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルモノマー又はその誘導体から導かれる構成単位は、上述のアクリル系共重合体(m1)で例示したものが挙げられる。
【0036】
また、エネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等が挙げられる。これらのエネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0037】
エネルギー線硬化性を有しない重合体とエネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとの配合比は、エネルギー線硬化性を有しない重合体100質量部に対して、エネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマー5〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましく、特に25〜100質量部であることが好ましい。なお、この場合も、前述した光重合開始剤、架橋剤やその他の添加剤を配合することができる。
【0038】
次に、前記エネルギー線硬化型樹脂組成物が、3)エネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーを主成分として含有する場合について説明する。
【0039】
エネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとしては、前述したエネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーとして例示したものが挙げられる。このようなエネルギー線硬化型のモノマー及び/又はオリゴマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なお、この場合も、前述した光重合開始剤、その他の添加剤を配合することができる。
【0040】
樹脂基板4の膜厚は、形成すべき凹部パターンの深さ等を考慮して決定され、好ましくは1〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。膜厚がこの範囲であれば、機械的強度が確保でき、さらに熱伝導率が十分に低下するので、好ましい。
【0041】
樹脂基板4は、独立した多数の凹部6を有することが好ましい。独立した多数の凹部6からなることで、熱伝導率が十分に低下するため、好ましい。
【0042】
凹部6の形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、角柱状等の柱状;逆円錐、逆角錐等の逆錐状;逆角錐台、逆円錐台等の逆錐台状;溝状等が挙げられ、これらの組み合わせであってもよい。後述するように原版1を使用して凹部6を作製する場合、樹脂基板4の凹部6の形状は、前述した、前記原版1に対応した反転パターンとして得られる。
例えば、凹部6の形状が円柱状の場合、凹部6の開口部は円形となり、また、凹部6の形状が溝状の場合、凹部6の開口部は線状となる。
【0043】
該凹部6の深さは、好ましくは5〜10000nm、より好ましくは10〜10000nm、さらに好ましくは50〜300nmである。深さが5nm以上であると、独立した凹部が維持されるという観点から好ましい。10000nm以下であると、蒸着する熱電変換材料のゼーベック係数の厚み依存の観点から、ゼーベック係数が十分発現するので、好ましい。本発明において、凹部6の深さは、樹脂基板の上面と凹部の内底部との間の深さである。
【0044】
また、前記凹部6の形状が円柱状又は溝状の場合、前記凹部6の直径又は溝幅は、好ましくは10〜5000nm、より好ましくは10〜300nmである。凹部6の直径又は溝幅が10nm以上であると、例えば、熱電半導体材料を蒸着等によって成膜した後も、熱電半導体層により凹部が塞がれてしまうこともなく、独立した凹部が維持されるので好ましく、5000nm以下であると、熱電変換材料の機械的強度が確保でき、さらに熱伝導率の十分な低減が期待されるため好ましい。
【0045】
また、前記凹部6の配列する間隔(隣接する凹部と凹部との中心間の間隔)は、好ましくは、15〜5500nmであり、より好ましくは100〜3000nmであり、さらに好ましくは200〜1500nmである。間隔が15nm以上であると、電子の平均自由行程より長くなり、電子の散乱因子となりにくくなるため、電気伝導率が維持され好ましい。5500nm以下であると、フォノンの平均自由行程より短くなり、フォノンの散乱因子となりやすくなるため、熱伝導率が低減でき好ましい。
【0046】
樹脂基板4における凹部6の占有割合(面積比=凹部開口部面積の総和/樹脂基板表面の全面積)は、一般的には、5〜90%であり、10〜50%となることが好ましい。凹部6の占有割合が上記範囲であれば、熱伝導率の十分な低減が期待されるため好ましい。具体的には、樹脂基板4の1mm2当たり0.05〜0.9mm2程度であり、0.1〜0.5mm2程度となることが好ましい。
【0047】
凹部6内の壁面に略平行な線と樹脂基板上に立てた法線とのなす角度は、好ましくは±15°以内、より好ましくは±10°以内である。法線とのなす角度が±15°以内であると、例えば、p型ビスマステルライド等の熱電半導体材料を成膜した時、凹部6内部の壁面にp型ビスマステルライドが付着しにくくなるため、絶縁性を維持することができる点で好ましい。なお、前記凹部6内を樹脂基板4の厚み方向に貫通する中心線と樹脂基板上に立てた法線とのなす角度は、SEM断面写真等で測定することができる。
【0048】
(熱電半導体層)
図3は、本発明に用いた樹脂基板に熱電半導体材料からなる熱電半導体層を形成した後の断面の一例を示し、(a)は樹脂基板の上面及び凹部の内底部に熱電半導体層が存在している場合、(b)は樹脂基板の上面にのみ熱電半導体層が存在している場合の断面図である。
図3に示すように、本発明の熱電変換材料に用いる熱電半導体層9及び10は、熱電半導体材料からなる層であり、樹脂基板4に形成される。
熱電半導体材料を形成する方法は、特に限定されない。例えば、樹脂基板4に、熱電半導体材料をフラッシュ蒸着法、真空アーク蒸着法、スクリーン印刷、塗布等により成膜することにより、熱電半導体層を形成し、本発明の熱電変換材料を得ることができる。
熱電変換材料の熱伝導率を低下させるため、熱電半導体層は、凹部6の内底部7の熱電半導体層9と樹脂基板4の上面8の熱電半導体層10との絶縁性が維持されていれば、図3(a)のように、樹脂基板4の上面8と凹部6の内底部7に存在していてもよく、又図3(b)のように、凹部6の内底部7に存在せず、樹脂基板4の上面8にのみに存在していてもよい。なかでも、内底部7と、上面8との絶縁性を維持しつつ、熱電半導体層を形成し易いという点から、熱電半導体層は、樹脂基板4の上面8と凹部6の内底部7に存在していることが好ましい。熱電半導体層10の膜厚は、好ましくは、5〜5000nmであり、より好ましくは10〜1000nm、さらに好ましくは50〜250nmである。熱電半導体層10の膜厚が上記範囲内であれば、内底部7と上面8とが連続した層とならず絶縁性を維持でき、熱電半導体層を形成でき、かつ材料コストを削減でき生産性が向上するという点で好ましい。
また、前記凹部6の内底部7における、熱電半導体層9の膜厚は、好ましくは、5〜200nmであり、より好ましくは、5〜100nmである。内底部7における膜厚が上記範囲内であれば、凹部6が熱電半導体層で埋まらず、凹部6が維持され好ましい。
【0049】
熱電半導体材料としては、例えば、p型ビスマステルライド、n型ビスマステルライド、Bi2Te3等のビスマス−テルル系熱電半導体材料、GeTe、PbTe等のテルライド系熱電半導体材料、アンチモン−テルル系熱電半導体材料、ZnSb、Zn3Sb2、Zn4Sb3等の亜鉛−アンチモン系熱電半導体材料、SiGe等のシリコン−ゲルマニウム系熱電半導体材料、Bi2Se3等のビスマスセレナイド系熱電半導体材料、β―FeSi2、CrSi2、MnSi1.73、Mg2Si等のシリサイド系熱電半導体材料、酸化物系熱電半導体材料、FeVAl、FeVAlSi、FeVTiAl等のホイスラー材料などが用いられる。
これらの中でも、熱電性能の点から、p型ビスマステルライド、n型ビスマステルライド、Bi2Te3等のビスマス−テルル系熱電半導体材料、Bi2Se3等のビスマスセレナイド系熱電半導体材料が好ましい。
上記p型ビスマステルライドは、キャリアが正孔であり、ゼーベック係数が正値であるものであり、BiXTe3Sb2-Xが好ましいが、この場合、Xは、好ましくは0<X≦0.6であり、より好ましくは0.4<X≦0.6である。Xが0より大きく0.6以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、p型熱電変換材料としての特性が維持されるので好ましい。
【0050】
上記n型ビスマステルライドは、キャリアが電子であり、ゼーベック係数が負値であるものであり、Bi2Te3-ySeyが好ましいが、この場合、Yは、好ましくは0<Y≦3であり、より好ましくは0.1<Y≦2.7である。Yが0より大きく3以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、n型熱電変換材料としての特性が維持されるので好ましい。
【0051】
本発明において、熱電半導体材料は、単独で用いることもできるが、一対にし、使用することが好ましい。例えば、複数対を、電気的には電極を介して直列に、熱的にはセラミックス等の絶縁体を介して並列に接続して、熱電変換素子として、発電用及び冷却用として使用することができる。
【0052】
[熱電変換材料の製造方法]
本発明の熱電変換材料の製造方法は、凹部を有する樹脂基板に、熱電半導体材料を成膜してなる熱電変換材料の製造方法であって、凸部構造を有する原版から、硬化型樹脂組成物からなる樹脂層に、前記凸部構造を転写、硬化してなる樹脂基板作製工程と、前記樹脂基板上に熱電半導体材料を成膜して熱電半導体層を形成する成膜工程とを含むことを特徴とする。
さらに詳述すると、樹脂基板作製工程は、硬化型樹脂組成物により樹脂層を形成する樹脂層形成工程、該樹脂層と前記凸部構造を有する原版とを対向し加圧し、該樹脂層に該原版の該凸部構造を転写させ、凹部とする転写工程、及び該樹脂層を硬化し、その後、該原版から離型し、凹部を形成する凹部形成工程を含むことが好ましい。
まず、本発明の製造方法について説明する。
【0053】
(1)樹脂基板作製工程
図4は、本発明の製造方法に従った樹脂基板作製工程の一例を工程順に示す説明図を示し、(a)において、上図が原版の断面図、下図が支持体に硬化型樹脂組成物により樹脂層を形成した後の断面図であり、(b)は加圧、転写後の硬化の工程を示す断面図であり、(c)は樹脂層を硬化後、離型により得られた樹脂基板の断面図である。
(1)−1 樹脂層形成工程
樹脂層を形成する工程は、図4(a)に示すように、例えば、硬化型樹脂組成物からなる塗布材を、支持体12上に塗布して、樹脂層13を形成する工程である。
前記支持体12は、樹脂層13が均一に形成され、かつ熱電変換材料の電気伝導率の低下、熱伝導率の増加に影響を及ぼさないものであれば、特に制限されない。支持体12としては、例えば、フィルム、ガラス、シリコン基板等が挙げられる。なお、後述のように硬化して得られる樹脂基板が自立性を有していれば、最終的に支持体は剥離されてもよい。支持体が剥離される場合は、支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のフィルム面に、公知の剥離剤(例えば、シリコーン樹脂)で離型処理を施した剥離シートが好ましい。この場合、樹脂層13は、支持体12である剥離シートの離型処理面側に形成する。
樹脂層の形成方法としては、例えば、ナイフコート、バーコート、リップコート、スピンコート、ロールコート、ディップコート、ダイコート、グラビアコート等が挙げられ、特に制限されない。
【0054】
(1)−2 転写工程
転写工程は、図4(a)のように、(1)−1で得られた樹脂層13と凸部構造を有する原版11とを対向させ加圧し、図4(b)に示すように、樹脂層13に原版11の構造を転写し、凹部有する樹脂層15を得る工程である。
前記転写方法としては、公知の方法を使用することができる。例えば、樹脂層13と原版11であるナノインプリントモールドとを対向、近接させ、その後、圧力等を適宜調整して加圧を行い、原版の凸部構造を十分に樹脂層13に転写することが好ましい。
【0055】
(1)−3 凹部形成工程
凹部形成工程は、図4(b)のように、(1)−2により転写された凹部を有する樹脂層15を硬化し、図4(c)のように、原版11から離型して凹部を有する樹脂基板16を形成する工程である。
樹脂層15を硬化させる方法としては、具体的には、硬化型樹脂組成物がエネルギー線硬化型樹脂組成物である場合は、上記の転写工程において、エネルギー線照射装置を使用して、原版11側または支持体12側から樹脂層15に対してエネルギー線14を照射し、樹脂層15を硬化させる方法が挙げられる。
前記エネルギー線は特に限定されないが、電子線、γ線、紫外線等が挙げられる。エネルギー線硬化型樹脂組成物中に、例えば、光重合開始剤を使用した場合には、高圧水銀灯等から発する紫外光を照射し、所定のエネルギーを与え、前記樹脂層15を硬化させ、樹脂基板16を形成させることが好ましい。前記エネルギー線源は特に限定されないが、高圧水銀灯、メタルハライド灯、カーボンアーク灯、キセノン灯等が挙げられる。
【0056】
このような樹脂基板作製工程によって、深さ、直径、幅、その他所定の形状が精度よく制御された凹部を有する樹脂基板16が作製できる。
【0057】
(2)成膜工程
成膜工程は、前記樹脂基板作製工程で得られた樹脂基板16に、熱電半導体材料を成膜して熱電半導体層を形成する工程である。ここで、成膜方法としては、特に限定されないが、フラッシュ蒸着法もしくは真空アーク蒸着法が好ましく用いられる。
【0058】
(フラッシュ蒸着法による成膜)
フラッシュ蒸着法とは、粒子状にした成膜材料を、例えば、材料の沸点以上に予め加熱したるつぼ、又はボート型ヒータに、連続的に少量ずつ供給して、瞬間的に材料を蒸発させ、成膜する方法である。このようなプロセスで蒸着すると、瞬時に材料が蒸発するため、特に蒸気圧の異なる2種類以上の元素からなる合金を蒸着する場合、蒸着材料である蒸着源をヒータ上に固定し、加熱蒸着する蒸着法に比べ、組成比をより一定に保つことができる。
また、材料の飛散、未蒸発物の残留等がなく、材料を効率良く利用でき、製造コスト的にも好ましい。また、フラッシュ蒸着法では、蒸着時の材料の直進性が高く、凹部内の壁面に材料が蒸着されにくくなるためより好ましい。
【実施例】
【0059】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0060】
実施例、比較例で作製した熱電変換材料の熱電性能評価は、以下の方法で、熱伝導率、ゼーベック係数及び電気伝導率を算出することにより行った。
(a)熱伝導率
熱伝導率の測定には3ω法を用いた。
(b)ゼーベック係数
作製した試料の一端を加熱して、試料の両端に生じる温度差をクロメル−アルメル熱電対を使用し測定し、熱電対設置位置に隣接した電極から熱起電力を測定した。具体的には、温度差と起電力を測定する試料の両端間距離を25mmとし、一端を20℃に保ち、他端を25℃から50℃まで1℃刻みで加熱し、その際の熱起電力を測定して、傾きからゼーベック係数を算出した。なお、熱電対及び電極の設置位置は、薄膜の中心線に対し、互いに対称の位置にあり、熱電対と電極の距離は1mmである。
(c)電気伝導率
実施例及び比較例で作製した熱電変換材料を、表面抵抗測定装置(三菱化学社製、商品名:ロレスタGP MCP−T600)により、四端子法で試料の表面抵抗値を測定し、電気伝導率を算出した。
【0061】
(実施例1)
(1)エネルギー線硬化型樹脂組成物の調製
ブチルアクリレート62質量部、メチルメタクリレート10質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート28質量部とを酢酸エチル中で重合させて、官能基にヒドロキシル基を有するアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(固形分濃度40質量%)を得た。次に、得られたアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液250質量部に、酢酸エチル100質量部と、置換基にイソシアナート基を有する不飽和基含有化合物であるメタクリロイルオキシエチルイソシアナート30質量部(アクリル系共重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート100当量に対し80.5当量)と、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.12質量部とを添加し、窒素雰囲気下、室温で24時間重合させて、側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を得た。得られたエネルギー線硬化型樹脂の重量平均分子量(Mw)は、600,000であった。
【0062】
さらに、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体固形分100質量部に、光重合開始剤である1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)3.7質量部を溶解させて、固形分濃度を35質量%に調製し、エネルギー線硬化型樹脂組成物とし、樹脂層形成用の塗布剤とした。
【0063】
一方、支持体として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm)の片面にシリコーン樹脂で離型処理した剥離シート(リンテック(株)製、商品名「SP−PET3811」、剥離処理面の表面粗さ:Ra=0.016μm)を用意した。
【0064】
次に、前記塗布剤を、ナイフコーターによって上記剥離シートの離型処理面上に塗布して、90℃で1分間乾燥させ、厚さ10μmの樹脂層を形成した。
【0065】
(2)樹脂基板の作製
前記樹脂層と凸部を有する原版であるナノインプリントモールド(NTT−AT社製、セミカスタムモールド「NIM−100UD」、ドット形状、凸部形状:円柱、直径:100nm、隣接する凸部の中心間の間隔:1000nm)とを対向させ、近接し、密着させた後、モールドと樹脂間に気泡が入らないように密着させ、剥離シート側からマスクアライナー(ミカサ株式会社製、型番:MA−10)を使用し、紫外光を3.6Jを照射した。照射後、前記ナノインプリントモールドから樹脂層を剥がし,支持体上に形成された所望の凹部が形成された樹脂基板を作製した。樹脂基板の厚さは10μmであった。
【0066】
(3)熱電半導体層の形成
前記で得られた樹脂基板上に、フラッシュ蒸着法で、熱電変換材料として、p型ビスマステルライド(Bi0.4Te3Sb1.6)を成膜することにより、熱電半導体層を形成し、実施例1の熱電変換材料を作製した。
図5(a)は本発明の実施例1で得られた熱電変換材料の平面を示すSEM写真である。図5(a)に示すように、樹脂基板が、独立した多数の円柱状の凹部を有していることがわかる。成膜した熱電半導体層(Bi0.4Te3Sb1.6)の樹脂基板表面の膜厚は100nmであった。熱電性能評価結果を表1に示す。
【0067】
参考
原版として、ナノインプリントモールド(NTT−AT社製、セミカスタムモールド「NIM−150UL」、ライン形状、凸部形状:ライン状、ライン幅:150nm、ラインの中心間の間隔:1000nm)を使用した以外は、実施例1と同様に熱電変換材料を作製した。図5(b)は本発明の参考で得られた熱電変換材料の平面を示すSEM写真である。図5(b)に示すように、樹脂基板が、独立した多数の溝状の凹部を有していることがわかる。樹脂基板の厚さは10μm、成膜した熱電半導体層(Bi0.4Te3Sb1.6)の樹脂基板表面の膜厚は200nmであった。
【0068】
参考
原版として、ナノインプリントモールド(NTT−AT社製、「NIM−PH350」、パターンミックス形状、凸部形状:円柱及びライン状、凸部幅:直径650nm及びライン幅350nm、隣接する凸部の中心間の間隔:1000nm)を使用した以外は、実施例1と同様に熱電変換材料を作製した。図6(a)及び(b)は本発明の参考で得られた熱電変換材料の平面を示すSEM写真である。図6(a)及び(b)に示すように、樹脂基板が、独立した多数の円柱状の凹部(図6(a))及び溝状の凹部(図6(b))を有していることがわかる。樹脂基板の厚さは10μm、樹脂基板表面の熱電半導体層(Bi0.4Te3Sb1.6)の膜厚は100nmであった。
【0069】
(実施例4)
エネルギー線硬化型樹脂組成物として、下記のエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、熱電変換材料を作製した。樹脂基板の厚さは10μm、樹脂基板表面の熱電半導体層(Bi0.4Te3Sb1.6)の膜厚は100nmであった。
(エネルギー線硬化型樹脂組成物の調製)
ブチルアクリレート95質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5質量部、及び開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を酢酸エチル175質量部とトルエン25質量部の混合溶媒中に添加し、65℃17時間攪拌することにより、重量平均分子量68万(分子量分布=5.3、分子量200万以上の成分12.2質量%)のアクリル酸エステル共重合体溶液を得た。これに酢酸エチルを加えて濃度30%に調製した。
次いで、上記で得られたアクリル酸エステル共重合体100質量部に、炭酸エステル構造を有するエネルギー線硬化性オリゴマー(日本合成化学社製、紫光UV−3210EA、重量平均分子量10,000)15質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、イルガキュア184)1.5質量部、架橋剤としてXDI系ポリイソシアナート化合物(綜研化学社製、TD−75)0.5質量部を添加し、これに酢酸エチルを加えて濃度35%となるよう調製し、エネルギー線硬化型樹脂組成物とし、樹脂層形成用の塗布剤とした。
【0070】
(実施例5)
エネルギー線硬化型樹脂組成物として、下記のエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、熱電変換材料を作製した。樹脂基板の厚さは10μm、樹脂基板表面の熱電半導体層(Bi0.4Te3Sb1.6)の膜厚は100nmであった。
(エネルギー線硬化型樹脂組成物の調製)
エネルギー線硬化性を有しない重合体であるポリエーテルスルホン系樹脂(BASF社製、ULTRASON E 2010)ペレット100質量部をジクロロメタンに溶解して15質量%溶液を調製し、次いで、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製、ADCP)163質量部、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、DAROCURE TPO)3.9質量部を添加し、エネルギー線硬化型樹脂組成物とし、樹脂層形成用の塗布剤とした。
【0071】
(実施例6)
エネルギー線硬化型樹脂組成物として、下記のエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、熱電変換材料を作製した。樹脂基板の厚さは10μm、樹脂基板表面のBi0.4Te3Sb1.6の膜厚は100nmであった。
(エネルギー線硬化型樹脂組成物の調製)
エネルギー線硬化性を有しない重合体であるポリイミドを含有する溶液(日産化学株式会社製、サンエバー150)をブチルセロソルブで希釈して15質量%溶液を調製し、ポリイミド100質量部に対して、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製、ADCP)163質量部、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド〔BASF社製、DAROCURE TPO 〕3.9質量部を添加し、エネルギー線硬化型樹脂組成物とし、樹脂層形成用の塗布剤とした。
【0072】
(比較例1)
実施例1において、ナノインプリントモールドを用いず、樹脂層を硬化させて凹部を有さない樹脂基板を作製し、この樹脂基板を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂基板上に、Bi0.4Te3Sb1.6合金をフラッシュ蒸着して熱電半導体層を形成し、熱電変換材料を作製した。樹脂基板の厚さは、10μm、熱電半導体層(Bi0.4Te3Sb1.6)の樹脂基板表面の膜厚は100nmであった。
熱電性能評価結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例1、参考例1、2、及び実施例4〜6の熱電変換材料は、凹部が形成されていない樹脂基板を使用した比較例1の熱電変換材料と比べて、熱伝導率が大幅に低下し、無次元熱電性能指数ZTは高い値が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の熱電変換材料は、熱と電気の相互エネルギー変換を行う熱電変換素子にして、モジュールに組み込み、利用される。具体的には、高効率な熱電変換材料であるので、工場や廃棄物燃焼炉、セメント燃焼炉等の各種燃焼炉からの排熱、自動車の燃焼ガス排熱及び電子機器の排熱を電気に変換する用途への適用が考えられる。
【符号の説明】
【0076】
1、11:原版(ナノインプリントモールド)
2:基材
3:凸部構造(原版の凹凸)
4、16:樹脂基板
5、12:支持体
6:凹部
7:内底部
8:樹脂基板の上面
9:熱電半導体層(内底部上)
10:熱電半導体層(基板上面上)
13:樹脂層
14:エネルギー線
15:樹脂層(転写後)
図1
図2
図3
図4
図5
図6