特許第6181641号(P6181641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ペキン ディービーティー メディ−テク ディべロップメント カンパニー,リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6181641-三輪注射器 図000002
  • 特許6181641-三輪注射器 図000003
  • 特許6181641-三輪注射器 図000004
  • 特許6181641-三輪注射器 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181641
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】三輪注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20170807BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20170807BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61M5/142 508
   A61M5/31 534
   A61M39/22 100
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-513892(P2014-513892)
(86)(22)【出願日】2012年6月6日
(65)【公表番号】特表2014-518741(P2014-518741A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】CN2012076503
(87)【国際公開番号】WO2012167720
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年3月12日
(31)【優先権主張番号】201110151750.5
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513309270
【氏名又は名称】ペキン ディービーティー メディ−テク ディべロップメント カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100182176
【弁理士】
【氏名又は名称】武村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ユンシン
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−175444(JP,A)
【文献】 特開昭58−109060(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0264037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/31
A61M 39/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と近端とを含み、該近端に二輪手持ち部が設けられた針筒本体と、
端末と近端とを含み、該近端に一輪手持ち部が設けられ、該端末にゴム栓が連結され、該端末が前記針筒本体の内部に挿入されるプッシュロッドと、
前記針筒本体と連結されて該針筒本体と同期して回動するコネクタ部品と、を備え、
前記コネクタ部品は台座と複数のプラグとを更に備え、前記台座が前記針筒本体の端末と連結され、前記複数のプラグが医療装置の挿入口と固定して連結されて前記針筒本体の回動モーメントを該医療装置に伝達するようになっており、
前記針筒本体の端末には可動継ぎ手が更に連結され、該可動継ぎ手が前記針筒本体の端末と連結されており、前記可動継ぎ手は、医療装置の薬液吸入口と連結されて、前記針筒本体の内部の薬液が該可動継ぎ手を介して医療装置に伝送されるようになっており、
前記コネクタ部品と前記可動継ぎ手は、それぞれ別個に前記針筒本体の端末に直接連結されており、
前記コネクタ部品の前記複数のプラグの間のスペースで前記可動継ぎ手を操作して、医療装置との連結又は分離が実行されるようになっていることを特徴とする三輪注射器。
【請求項2】
前記複数のプラグは前記台座に均一に分布していることを特徴とする請求項1に記載の三輪注射器。
【請求項3】
前記コネクタ部品の台座は係止溝を備え、前記針筒本体の端末は第1ボスを備え、前記コネクタ部品の台座の係止溝が前記針筒本体の端末の第1ボスと連結されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の三輪注射器。
【請求項4】
前記第1ボスは多角形ボスであることを特徴とする請求項3に記載の三輪注射器。
【請求項5】
前記コネクタ部品のプラグの数は二つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の三輪注射器。
【請求項6】
前記針筒本体の端末は第2ボスを備え、前記可動継ぎ手は係止溝を備え、前記可動継ぎ手の係止溝が前記針筒本体の端末の第2ボスと連結されるようになっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の三輪注射器。
【請求項7】
前記第2ボスは円形ボスであることを特徴とする請求項6に記載の三輪注射器。
【請求項8】
前記医療装置は、心臓血管造影に用いられる三連三方弁装置であることを特徴とする請求項1に記載の三輪注射器。
【請求項9】
前記針筒本体は内部の液体の体積と対応して設けられた目盛りを備え、前記針筒本体における目盛りは前記二輪手持ち部と同一の平面に位置していることを特徴とする請求項1に記載の三輪注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器分野に関し、特に三輪注射器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血管造影は、心臓血管構造に対して結像、診断及び検査・治療を行うための効果的な方法である。血管造影過程において、医者は患者の体内にカテーテルを差し込み、且つカテーテルを介して造影剤を被検患者の血管に注入する。同時に、X線装置を用いて患者の体のうち造影剤が注入された区域に対して結像し、放射された光束は患者の組織を通過し且つ造影剤材料によって吸収される。従って、透視時血管における造影剤の現像をはっきり見ることができる。血管の結像は、ディスプレイに表示されて記録される。
【0003】
造影は患者の心臓血管に対して検査・診断を行う必要な手段であり、心臓血管造影を行う際には、三輪注射器に加えて、一つの三連三方スイッチが必要になる。この三連三方スイッチは、カテーテルと三輪注射器との間に位置しており、必要に応じて、血圧センサ、生理食塩水及び造影剤に対して切り替えを行うための不可欠な装置の一つである。心臓血管の造影手術を行う際、作業者は注射器を操作しながら、頻繁にこの三連三方弁装置を操作して機能の切り替えを行う必要があるので、作業者にとって極めて不便となり、手術の安全性と効率に対して厳しい影響を与えている。このため、上記した問題を改善するために、従来技術において新しいタイプの注射器が差し迫って必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した課題を解決するために、本発明の主となる目的は三輪注射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのうち、本発明の実施例による三輪注射器は、端末と近端とを含み、その近端に二輪手持ち部が設けられた針筒本体と、端末と近端とを含み、その近端に一輪手持ち部が設けられ、その端末にゴム栓が連結され、その端末が針筒本体の内部に挿入されるプッシュロッドと、針筒本体と連結されて針筒本体と同期して回動するコネクタ部品と、を備えている。
【0006】
また、コネクタ部品は台座と複数のプラグを更に備え、複数のプラグは台座に均一に分布しており、台座が針筒本体の端末と連結され、複数のプラグが医療装置と連結されるようになっている。
【0007】
また、台座は係止溝を備え、針筒本体の端末は第1ボスを備え、台座の係止溝が針筒本体の端末の第1ボスと連結されるようになっている。
【0008】
また、第1ボスは多角形ボスである。
【0009】
また、コネクタ部品の数は二つである。
【0010】
また、針筒本体の端末には可動継ぎ手が更に連結され、その可動継ぎ手が針筒本体の端末と連結されている。
【0011】
また、針筒本体の端末は第2ボスを備え、可動継ぎ手は係止溝を備え、可動継ぎ手の係止溝が針筒本体の端末の第2ボスと連結されるようになっている。
【0012】
また、第2ボスは円形ボスである。
【0013】
また、医療装置は心臓血管造影に用いられる三連三方弁装置である。
【0014】
また、針筒本体は内部の液体の体積と対応して設けられた目盛りを備え、針筒本体における目盛りは二輪手持ち部と同一の平面に位置している。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比較して、本発明の技術案によれば、針筒本体、プッシュロッド、及びコネクタ部品を含む三輪注射器を提案することによって、その針筒本体が回動する際に、コネクタ部品を介して針筒本体の回動モーメントを伝達することができるようになる。
【0016】
ここで説明する図面は本発明を更に理解させるために提供したものであり、本発明の一部を構成する。本発明の例示的な実施例及びその説明は本発明を解釈するためのものであり、本発明に対する不適当な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例による三輪注射器の概略図である。
図2】本発明の実施例による三輪注射器の分解構成の概略図である。
図3】本発明の一実施例によるコネクタ部品の概略図である。
図4】本発明のもう一つの実施例による目盛りが付いた針筒本体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的、技術案及び利点を更に明らかにするため、以下、図面及び具体的な実施例に合わせて本発明をより詳細に説明する。
【0019】
本発明の実施例によると、三輪注射器を提供する。この三輪注射器は主に心臓血管造影の分野に用いられる。
【0020】
図1は本発明の実施例による三輪注射器の概略図である。図1に示すように、この三輪注射器は、針筒本体1と、プッシュロッド2と、コネクタ部品3とを主に備える。
【0021】
図2は本発明の実施例による三輪注射器の分解構成の概略図である。図2に示すように、針筒本体1は中空キャビティ構造であり、端末と近端を含む。針筒本体1は円柱体で設計されており、針筒本体1の内面と端末とは内部に薬液を収容するための一つのキャビティを形成する。針筒本体1の近端は開口しており、その端末はカテーテルを連結するためのポートを備える。また、針筒本体1の近端には更に二輪手持ち部4が設けられ、この二輪手持ち部4の二輪取っ手は針筒本体1の両側に対称に設けられており、二輪手持ち部4と針筒本体1は一体的構造で設計されている。薬液を充填したり注射する操作を行う際には、作業者は人差し指と中指を二輪手持ち部4の二輪に差し込むことにより、針筒本体1に対して操作を行う。二輪手持ち部が設けられていない注射器と比べて、このような構造は注射器に対する作業者の把持力を効果的に増加させる。針筒本体1は薬液を収容するためのものであるので、これに対応して、図4に示すように、針筒本体1にはその内部の液体の体積と対応して設けられた目盛りが更に備えられている。
【0022】
プッシュロッドは端末と近端を含み、プッシュロッド2の端末は針筒本体1の近端からその内部に挿入されている。プッシュロッド2の近端には一つの一輪手持ち部5が設けられ、薬液を充填したり注射する操作を行う際には、作業者は親指を一輪手持ち部5の一輪に差し込む。一輪手持ち部5は二輪手持ち部4とともに注射器の三輪構造を構成する。このように、片手だけで注射器に対する様々な操作を実現することができ、特に作業者が薬液を充填したり注射する複雑な手術操作を行う時、解放されたもう一つの手はその他の操作を行うことができ、このような片手で操作される注射器に大きなメリットを付与するので、このような三輪注射器の三輪構造は作業効率を大きく向上させる。説明する必要があるのは、図2に示すように、一輪手持ち部5とプッシュロッド2はそれぞれ設計された二つの部品であり、一輪手持ち部5に突起が備えられ、プッシュロッド2にその突起と対応する係止開口が備えられている。実際の操作において、一輪手持ち部5をプッシュロッド2に差込み、一輪手持ち部5の突起をプッシュロッド2の係止開口に係合させることにより、一輪手持ち部5とプッシュロッド2が一体に連結され、親指を制御することでプッシュロッド2が操作される。しかし、本発明のプッシュロッド2と一輪手持ち部5は図2に示す構造に限定されるものではなく、一輪手持ち部5とプッシュロッド2は一体成型で設計されてもよく、ここでは省略する。
【0023】
プッシュロッド2の端末にはゴム栓6が連結されており、ゴム栓6は針筒本体1の近端を介して針筒本体1の内部に差込まれ、その外郭で表面を密封することで針筒本体1の内面に滑接されて可動密封構造を形成する。
【0024】
図2図3を参照する。図3は本発明の実施例によるコネクタ部品の概略図である。図示するように、この三輪注射器は針筒本体1と連結されたコネクタ部品3を更に含み、コネクタ部品3は針筒本体1と同期して回動し、針筒本体1の回動モーメントを伝達することができる。具体的には、コネクタ部品3は一つの台座31を含み、台座31は凹状係止溝を備え、この凹状係止溝の形状は多角形でもよい。台座31の縁部には複数のプラグ32が均一に分布して配置されており、プラグ32は台座31と一体成型で設計されている。また、針筒本体1の端末には第1ボスが備えられ、このボスの形状は台座31の凹状係止溝の形状と対応している。台座31の凹状係止溝が針筒本体1の端末の第1ボスと連結されることにより、コネクタ部品3が針筒本体1の端末に固定される。
【0025】
また、このコネクタ部品3は抜き差し部品又はその他の名前とも呼ばれてよく、針筒本体1との同期回動を実現でき、且つ針筒本体1の回動モーメントを伝達できる機能がある部品であれば、本発明はこれに対して限定されない。
【0026】
針筒本体1の端末には一つの可動継ぎ手7(ルアーロック)が更に連結されており、この可動継ぎ手7の他の一端は三連三方弁装置又は250psiが耐えるホースを連結するのに用いられる。可動継ぎ手7の役割は、針筒本体1の内部の液体を導入又は導出することに対して連結するための継ぎ手を提供することである。針筒本体1の端末には第2ボスが更に設けられ、この第2ボスは円形ボスであり、その形状は第1ボスよりも小さく、第1ボスの上方に設けられている。可動継ぎ手7はこの第2ボスと対応する凹状係止溝を備え、可動継ぎ手7の凹状係止溝が針筒本体1の端末の第2ボスと連結されることにより、可動継ぎ手7が針筒本体1の端末に固定される。
【0027】
実際の応用において、まず、コネクタ部品3の台座31を針筒本体1の第1ボスに連結させ、可動継ぎ手7をOリングを介して針筒本体1の第2ボスに連結させる。こうすると、針筒本体1の内部の液体が可動継ぎ手7を介して導入又は導出することが、連結されたコネクタ部品3に影響されない。従って、作業者が針筒本体1を制御して左右に回動させた際に、コネクタ部品3は針筒本体1の回動に従って回動することができるとともに、針筒本体1の回動モーメントを伝達することができる。
【0028】
一般に、本発明が提供する三輪注射器は心臓血管造影手術に用いられ、このような場合、コネクタ部品3は医療装置と連結され、好ましくは、この医療装置は心臓血管造影に用いられる三連三方弁装置である。この三連三方弁装置はコネクタ部品3のプラグ32と対応する挿入口を備え、プラグ32を三連三方弁装置の挿入口に挿入することによって、三輪注射器と三連三方弁装置とが一体に連結されるように、コネクタ部品3と三連三方弁装置とを位置決めして固定して連結させることができる。また、可動継ぎ手7は三連三方弁の薬液吸入口と接触され、可動継ぎ手7を回転させることで薬液吸入口と密着して連結されるとともに、針筒本体1の内部の液体が可動継ぎ手7を介して三連三方弁装置に導入または送出される。これにより、作業者が針筒本体1を制御して左右に回動させると、コネクタ部品3を介して針筒本体1の回動モーメントが三連三方弁装置に伝達される。従って、作業者が三連三方弁装置を回動させる必要がある際に、この三連三方弁装置を直接に回動させる必要がなく、針筒本体1を操作するだけで三連三方弁装置を回動させる目的に達し得る。
【0029】
三輪注射器と三連三方弁装置とを連結又は分離させる際には、作業者がコネクタ部品3のプラグの間のスペースで可動継ぎ手7を操作して実行されるため、コネクタ部品3におけるプラグ32の数は実際の状況によって設置すべきであり、可動継ぎ手7と三連三方弁装置との抜き差しに影響を与えてはならない。好ましくは、コネクタ部品3のプラグ32の数は二つである。こうすると、そのプラグ32の間で可動継ぎ手7を容易に抜き差すことができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
また、本発明が提供した三輪注射器は心臓血管造影手術に用いられ、作業者は注射器を操作する際に吸入された液体の体積を把握する必要があるので、作業者の観察の便利のため、針筒本体1に設けられた目盛りは二輪手持ち部5と同一の平面に位置しなければならない。
【0031】
以上を纏めると、本発明に係る上記した技術案によると、針筒本体、プッシュロッド、及びコネクタ部品を含む三輪注射器を提案することによって、その針筒本体が回動する際に、コネクタ部品を介して針筒本体の回動モーメントを伝達することができるようになる。
【0032】
以上の説明は単に本発明の実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者にとって、本発明は様々な修正及び変更を実施できる。本発明の主旨と原則の範囲においてなされたいずれの修正、同等切り替え、改善などは、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…針筒本体、2…プッシュロッド、3…コネクタ部品、31…台座、32…プラグ、4…二輪手持ち部、5…一輪手持ち部、6…ゴム栓、7…可動継ぎ手
図1
図2
図3
図4