(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181659
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】滑らかな動作を伴う計器パネル用表示モジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 37/24 20060101AFI20170807BHJP
H02K 37/16 20060101ALI20170807BHJP
H02K 37/14 20060101ALI20170807BHJP
G01D 13/22 20060101ALI20170807BHJP
G01D 11/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
H02K37/24 R
H02K37/16 539
H02K37/14 Z
G01D13/22 101
G01D11/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-540543(P2014-540543)
(86)(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公表番号】特表2014-534803(P2014-534803A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】FR2012052611
(87)【国際公開番号】WO2013072615
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年9月2日
(31)【優先権主張番号】1160300
(32)【優先日】2011年11月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ、セバスチャン
【審査官】
マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−251354(JP,A)
【文献】
特開2002−354777(JP,A)
【文献】
特表2009−531166(JP,A)
【文献】
特開2007−307555(JP,A)
【文献】
特開2001−281013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 37/24
G01D 11/00
G01D 13/22
H02K 37/14
H02K 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向で交互の方向に着磁されたN対の磁極を有し、Nは3または5であるロータ(6)と、少なくとも2つのW字形状の回路を有するステータ(4)とを含む2相モータを有する表示モジュールであって、前記W字形状の回路は、前記ステータの閉じた周縁ベルトから半径方向内側に延びかつコイル(5)を担持する歯(20)で構成され、前記少なくとも2つのW字形状の回路のうちの1つの前記コイルを担持する歯がロータの磁気的移行部に対向して位置した時に、別のW字形状の回路の少なくとも1つの前記コイルを担持する歯がロータ磁極に対向して位置するように、前記少なくとも2つのW字形状の回路が配置されている表示モジュールにおいて、
前記ロータと前記ステータとの間で機械的に相互作用し、前記ロータ(6)の前記ステータ(4)に対する相対速度に従ったほぼ一定の力で、前記ロータと前記ステータとの間の電磁相互作用によって生じるトルク未満の値の角度方向の摩擦を付与し、かつ電流を用いないときのモータの残留トルクと電流を用いたときのモータトルクとの間の大きさのトルクを発生させる少なくとも1つの機械的相互作用手段(13、14)を含むことを特徴とする、表示モジュール。
【請求項2】
前記表示モジュールは、前記ステータに固定されたハウジング(2)と、ポインタ(22)を駆動する出力ホイール(9)を含む、前記モータの速度を機械的に減速させるアセンブリとをさらに含むこと、および、前記機械的相互作用手段は、前記出力ホイールの円盤部から切り出して形成された少なくとも1つの湾曲した摩擦アーム(13)と、前記ハウジングに固定された摺動路(14)とで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の表示モジュール。
【請求項3】
前記摩擦アームは、ポリオキシメチレンポリマーから作製されることを特徴とする、請求項2に記載の表示モジュール。
【請求項4】
前記摺動路は、前記摩擦アーム(13)の端部(15)と接触した状態になることを特徴とする、請求項2または3に記載の表示モジュール。
【請求項5】
前記端部は湾曲形状を有することを特徴とする、請求項4に記載の表示モジュール。
【請求項6】
N個の可撓性の摩擦アーム(13)を含み、前記摩擦アーム(13)の端部(15)は、360/N°だけ離間し、Nは2または3であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項7】
前記ステータ(4)は環状セグメントを有し、複数の歯(18)が前記環状セグメントから半径方向に延びており、前記環状セグメントには、前記ステータが前記ハウジング(2)に固定されるように前記ハウジング(2)と相補的形状を有するショルダ部(19)が形成されていることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項8】
少なくとも5つの歯が、半径方向に測定して、同一の長さを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項9】
前記コイルを担持する歯の長さは同一であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項10】
前記コイルおよび前記コイルを担持する歯の長さは、実質的に同じであるが、前記ステータのくりぬいた中央領域の断面未満であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項11】
前記歯の端部は形状が平行六面体であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項12】
発生する前記トルクが、前記残留トルクの2倍の大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の表示モジュール。
【請求項13】
発生する前記トルクが、最小で、前記残留トルクの最大値の2倍の大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の表示モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して360°未満の角度位置で部材を正確に位置決めするステッピング電気モータの分野に関する。より詳細には、本発明は、計器パネル表示モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、電気コイルによって励磁されるステータ部と、半径方向で交互の方向に着磁されたN対の磁極を有し、Nは3または5である着磁ロータとによって形成された2相モータについて記載した特許文献1が公知である。ステータ部は、中央脚部を囲む電気コイルをそれぞれが含む少なくとも2つのW字形状の回路を有する。W字形状の回路は、中央脚部の一方が、磁気的移行部に対向して位置する場合に、他方の中央脚部が、磁極に対向して位置するように配置される。W字形状の回路の脚部の磁極片は、角度方向にπ/4だけ離間し、異なる相に属する2つのW字形状の回路の中央脚部の磁極片は、約π/2±k・π/Nの角度だけ角度方向に離れており、ここで、Nは磁極対の数量、すなわち、3または5であり、kは、0、1、または2である。
【0003】
目盛盤と、目盛盤の後ろに配置されたハウジングと、ハウジング内に配置された駆動制御部と、駆動制御部によって駆動される回転シャフトとを含む表示測定装置について記載した株式会社デンソー(DENSO)の特許文献2も公知である。
【0004】
回転シャフトは、2つのベアリングによってそれぞれ支持された2つの細いシャフトと、2つの細いシャフトを連結する太いシャフトとで構成される。各細いシャフトの長さおよび外径は、外径に対する長さの比が、十分な曲げ強度を保証するようなものとされる。したがって、回転シャフトは、ガタつくことなく回転し、シャフトに担持された表示針は、車両の運転状態の正確な値を示す。
【0005】
先行技術の問題解決策の技術的な目的は、製造の単純さ、および減速機など関連する機構の統合の可能性という利点を損なうことなく、トルクを増大し、磁束遮断片をなくすことである。
【0006】
出力回転シャフトに向かう潤滑油の流れの問題を修正するように改良されたアクチュエータについて記載した特許文献3も公知である。
この特許は、ハウジングと、ステータとの相互作用によって回転するロータと、ロータの回転を減速するための減速ギヤ列とを含む測定装置用のアクチュエータについて説明している。
【0007】
減速機は、出力回転シャフトが、ハウジングから突出した部分の中央に配置され、歯が外周に配置された一連の出力減速ギヤを含む。出力ギヤにおいて、潤滑油が出力回転シャフトの歯の部分から流れるのを防止するように、溝が形成される。溝は、出力回転シャフトを囲む出力ギヤの半径方向に設けられる。
【0008】
装置は、油を回収することを目的とするアームを有し、油は、表示窓上に油が広がるのを防止するために、シートに向かって送られる。
これらの摺動アームは、油排出機能を有する。
【0009】
特許文献4に記載されたアクチュエータも公知であり、そのアクチュエータは円周方向に沿った複数の磁極を有するロータと、ロータの磁極に対向するように配置された1対の磁性ヨークと、位相差をもたらすパルスに応答して、磁性ヨーク対をそれぞれ励磁するための1対の励磁コイルとを設けたステッピングモータを含む。
【0010】
アクチュエータの改良型について記載した特許文献5、および特許文献6も公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6043574号明細書
【特許文献2】仏国特許第2807160号明細書
【特許文献3】特開2004−251354号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第1244200号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1458082号明細書
【特許文献6】欧州特許第1450138号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
先行技術のこれらの問題解決策は、概ね十分であるが、場合によっては、被動部材の動作が、第1にモータの機能および特性(過剰に高い電流を用いないトルク、および非定電流を用いたトルク)に起因して、第2にギヤ列の遊びに起因して、ガタつきを呈するように見える。これらのガタつきは、特に、表示部によって特定の速度に達したときに起こる。使用者の観点から、第1の欠点は、使用者が感じる動作の滑らかさの欠如であり、これは、視覚的な不快感、および情報の精度の低下をもたらす。第2の欠点は、これらのガタつきによって生じる過度の振動による、使用者に聞こえる騒音であり、やはり不快感をもたらす。最後に、これらの同じ振動が、モータ付きアセンブリの有効寿命に悪影響を及ぼすことがあり、モータ付きアセンブリの早期の交換が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
被動部材の動作の滑らかさを改善するために、本発明は、本発明の最も一般的に受け入れられる形として、半径方向で交互の方向に着磁されたN対の磁極を有し、Nは3または5であるロータと、閉じた周縁ベルトから内側に延びる半径方向の磁極歯で構成され、W字の中央脚部上にコイルを有する少なくとも2つのW字形状の回路を有するステータ部とを含む2相モータを有する表示モジュールであって、前記W字形状の回路は、W字形状の回路の1つの中央歯が、ロータの磁気的移行部に対向して位置する場合に、別のW字形状の回路の少なくとも1つの中央歯が、ロータ磁極に対向して位置するように配置される表示モジュールに関する。さらに、表示モジュールは、ロータとステータとの間で機械的に相互作用し、ロータのステータに対する相対速度に従ったほぼ一定の力で、ロータとステータとの間の電磁相互作用によって生じるトルク未満の値の角度方向の摩擦を付与する少なくとも1つの特定の手段を含む。この角度方向の摩擦は乾燥摩擦であり、潤滑剤のない状態で、接触している2つの物体の相対運動を妨げる力を作用させる。2つの非潤滑面間の乾燥摩擦は、
− 摩擦力は、2つの面を互いに押し付ける力に比例する、
− 摩擦力は、見かけの接触面積とは無関係である、
− 動的摩擦力は、2つの面の相対速度とは無関係である、
という事実を特徴とする複雑な現象である。
【0014】
本発明によるセンサは潤滑剤を含まず、特に、ギヤを収容する空間には、潤滑剤、特に、液体潤滑剤がない。
摩擦は、接触する2つの面を当接させる、回転軸に平行な垂直成分と、接触している2つの面の相互作用による角度方向の運動に対する抵抗力を発生させる接線成分とを有する。
【0015】
摩擦手段を介在させることは、通常、系内の摩擦を低減しようとする当業者にとっては極めて異例である。
発生する摩擦トルクは、モータの残留トルク、すなわち、着磁されたロータとステータの強磁性磁極との間の、電流を用いることのない相互作用トルクに対して発生しなければならない。好ましくは、導入される摩擦トルクは、有利には、残留トルク(電流を用いない)とモータトルク(電流を用いる)との間のトルクを発生させなければならない。
【0016】
優先的には、トルクは、最小で、モータの残留トルクの最大値の2倍である。こうすることで、この摩擦トルクは、モータによって駆動される表示部の滑らかな動作を保証し、動作音を低減させる。
【0017】
この乾燥摩擦は、電流を用いないトルク外乱C
Oをもたらす。有利には、この最小限の摩擦トルクは、電流を用いない残留トルクC
Oの約2倍である。
好ましい実施形態によれば、モジュールは、より正確には、ステータに固定されたハウジングと、ポインタを駆動する出力ホイールを含む、ロータ速度を機械的に減速させるためのアセンブリと、前記出力ホイールの円盤部に切り込みを入れて形成された少なくとも1つの弓形摩擦アーム、および前記ハウジングに固定された摺動路によって形成された専用の機械式相互作用手段とを含む。
【0018】
前記摩擦アームは、ポリオキシメチレン(POM)ポリマーから作製されるのが好ましい。材料の機械クリープは変化するので、新品のときに(すなわち、製造時)、要求される最終摩擦トルクよりも遙かに大きい(最終値の約3〜5倍)摩擦トルクを得るために、理想的には、公知の材料強度公式とPOMの公知の摩擦係数とに従って、摩擦アームの寸法を決めることが必要である。したがって、残留トルクが20μNmのモータの場合、出力ホイールに作用する達成すべき摩擦は40μNmであり、1つまたは複数の摩擦アームは、新品の場合に、少なくとも120〜200μNmのトルクが得られるように寸法を決められる。経時的に、または高い熱勾配下で経年変化が加速するとともに、材料のクリープ(機械弾性係数の低下)により摩擦が低下し、この摩擦は、必要とされる最終値に向かって安定化する。これは、デルリンの機械弾性係数(ヤング率)が、応力下で約80%低下することが実験で認められたためである。
【0019】
同様に優先的には、前記摺動路は、前記摩擦要素の端部と接触した状態になり、半径が、典型的には約0.4mmの湾曲形状を有する。
好ましくは、モジュールは、N個の可撓性摩擦アームを含み、摩擦アームの摺動端部は、360/N°だけ離間し、Nは2または3である。
【0020】
特定の変形形態によれば、ステータは環状ベルトを有し、歯のセットは、相補的形状の機械連結手段を有するハウジングに固定するためのショルダ部を形成する環状セグメントから半径方向に延びる。
【0021】
このショルダ部は、ステータとハウジングとの間を高い剛性で機械連結し、ハウジングを用いて、ステータとロータとの間の遊びの原因を減らす。
別の有利な変形形態によれば、ステータは、半径方向に測定して、同じ長さを有する少なくとも5つの歯を有する。この実施形態は、ガタつきの別の原因を減らす。
【0022】
W字形状の回路の場合、
コイルを担持する歯の長さは同一であるのが好ましい。
有利には、コイルおよび前記コイルを担持する歯の長さは実質的に同じであるが、ステータのくりぬいた中央領域の断面未満である。
【0023】
好ましい実施形態によれば、歯の端部は形状が平行六面体である。この解決策は、電流を用いたトルクを増大させ、したがって、動作の流れの改善に寄与する。
添付図面を参照した、詳細な例示的実施形態についての以下の記述を読むことにより、本発明の特徴および利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ハウジングの上部カバーが除去された、本発明の実施形態による第1のモジュールの斜視図である。
【
図2】ハウジングの底部カバーが除去された、本発明の実施形態による第1のモジュールの斜視図である。
【
図3】モータハウジングの底部カバーの単独図である。
【
図4】第1の表示モジュールに組み込まれる機械式減速装置の出力ホイール単独の斜視図である。
【
図5】第1の表示モジュールに組み込まれる機械式減速装置の出力ホイール単独の正面図である。
【
図8】第1の表示モジュールに組み込まれるモータの軟強磁性ステータの単独図である。
【
図9】第1の表示モジュールによって駆動されるポインタの単独図である。
【
図10】ハウジングの底部カバーが削除された、本発明の第2の実施形態による第2の表示モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、
図2で参照符合3の付いた上部カバーがない斜視図で、表示モジュール1を示している。この上部カバー3は、底部カバー2とともに、制御される部材、この事例では、ここで図示していない指針、またはポインタの回転を可能にするすべての要素を収容するハウジングを形成する。底部カバー2は、ハウジングが、ここでは図示していない印刷回路板に配置されるのを可能にする、2つの変形可能な機械式連結ラグ11を有する。
【0026】
表示モジュール1の内部には、
図8で参照符合18、20、21の付いたいくつかの歯で形成された軟強磁性ステータ4から構成されるモータがあり、そのうちの2つの歯20は、電流を供給されることを意図されたコイル5を担持している。これらのコイル5によって発生した磁束は、3つ、または5つのN極を有する着磁ロータ6と相互作用し、着磁ロータ6を軟強磁性ステータ4に対して移動させる。
【0027】
動かされる部材の回転速度を落とすために、減速アセンブリは、着磁ロータ6に固定された第1のホイール7と、第1のホイール7と噛み合った中間ホイール8と、出力ホイール9とを含む。こうして形成された減速システムは、3つの別個のホイールを含む。
【0028】
3番目で最後のホイールである出力ホイール9は、制御される部材、この事例では、ここに図示していない指針を受ける中空スピンドル(10)を形成するために、軸方向に突出している。
【0029】
図2は、表示モジュール1を底部カバー2のない斜視図で示している。この底部カバー2は、連結要素12によって上部カバー3に機械的に連結される。出力ホイール9は、軸方向に、すなわち、中空スピンドル10の回転軸に沿って撓んで変形することができる、前記出力ホイール9内に切り出された3つの摩擦アーム13を有する。
【0030】
これらのアームは、湾曲したヘアピンの形状に切り出すことで範囲を限定され、摺動端部(15)の反対側の後端部はホイール(9)の延長部である。底部カバー2および上部カバー3が互いに取り付けられてハウジングを形成したときに、これらの摩擦アーム13は、
図4で参照番号の付いた、摩擦アーム13の湾曲した摺動端部が、
図3で参照番号14の付いた、底部カバー2に固定された摺動路に当接することで、機械的に圧迫を受けることを意図されている。端部15の湾曲形状により、1点での接触が確実になる。この湾曲形状部15は、ホイール9の面に対して若干突出し、アームを圧力下に置く。この圧力は、(湾曲部分の約0.15〜0.25mmの移動により)アームを後端部に対して若干変形させ、ホイールの回転軸に平行な力を加え、湾曲領域を摺動路14に押し当てて絶えず接触させる。
【0031】
この底部カバー2を示す
図3において、円形の摺動路14は、中空スピンドル10が通って、底部カバー2および上部カバー3に出てくるのを可能にすることを目的とする開口23の周縁部に見ることができる。
【0032】
図4および
図5に示す出力ホイール9の単独図において、中空スピンドル10のまわりに120°で配分された3つの摩擦アーム13をより良好に見ることができる。これらの3つの摩擦アーム13は、ホイール内で、特定の長さおよび幅に切り出され、この長さおよび幅は、最適な軸方向剛性が得られるように調整されなければならない。これらのアーム13の厳密な寸法決定は、材料の強度を計算することで達成される。ポリオキシメチレン(POM)タイプのポリマープラスチック材料は、強度において有利な機械抵抗を維持しながら、用途および出力ホイール9の大きさに適合した剛性を得ることを可能にすることから好ましい。これらの摩擦アーム13の寸法決定は、アーム13を梁とみなした材料の強度計算によってなされる。アーム13の許容可能な最大変形量を既知として、出力ホイール9に加えられる所要摩擦トルクを得るための摩擦力を用いることで、以下の公式に従って、アームの幅および長さを最適化して、アームの寸法を決定することが可能になる。
【0033】
【数1】
式中、E[N/m
2]は、使用される材料のヤング率であり、I
GZ[m
4]は、形成される梁の曲げ軸に関する断面二次モーメントであり、y[m]は、湾曲した摺動端部15の撓みであり、l[m]は、摩擦アーム13の長さである。
【0034】
したがって、これらの摩擦アーム13のそれぞれは、底部カバー2の摺動路14に個別に摺動当接する湾曲摺動端部1)を有する。
特に典型的であるが、決して限定しない例として、出力ホイールが約10mmの直径を有する場合、効果的な解決策は、幅が1mmで、それぞれが、約75°の開き角を有する3つの摩擦アームを7.85mmの直径上に形成することである。
【0035】
さらに、出力ホイールが過度に大きい角度移動をするのを防止する機械的制限を構成するために、
図3に示す底部カバー2のストッパ24と協働する機械式ストッパ16が、この出力ホイール9に型成形で形成される。
【0036】
表示モジュール1の断面図を表す
図6は、印刷回路板(図示せず)に接続された接続パッドに固定される、コイルの電気接続ラグ17を示している。より具体的には、この
図6では、出力ホイール9が指し示されている。破線のボックス25は、構造的な意味があるのではなく、
図7にさらに詳細に示す領域を示している。
【0037】
この
図7では、出力ホイール9が、その摩擦アーム13の1つとともに示されている。摩擦アーム13は、底部カバー2の摺動路14との機械接触によって軸方向に圧迫されて撓み、そのため、カバー2に対する出力ホイール9の相対運動中に、経時的に変化する電流を用いたトルクおよび電流を用いないトルクか、または余分な機械的遊びかのいずれかによって引き起こされる出力ホイール9の運動を制限するクーロン摩擦が生じる。したがって、出力ホイール9の角速度に応じてより大きくも、より小さくもなり得るこの運動は、底部カバー2の摺動路14を介して、前記底部カバー2と接触しながら圧迫される摩擦アーム13の存在によって大幅に制限される。表示部のタイプ(大きさ、材料)に応じて、必要とされる表示部の所望の回転速度および品質レベル、摩擦トルク、ひいては摩擦アーム13の数量および大きさは異なるが、上記に説明した寸法決定によって常に管理される。寸法決定において、機械系の任意の非線形性、さらには、経時的に変化し、時間的な、および/または熱的な安定化を必要とする材料の機械クリープの変化を考慮するために、実験的アプローチも大きな助けとなる。
【0038】
図8は、電気コイル5を担持する2つの長歯20と、2つの長歯20間の中央歯21と、5つの同一の歯18とを含む、好ましい実施形態の軟強磁性ステータ4の単独図を示している。これらの歯は、このように2つのW字形状の回路を形成し、そのうちの1つの歯はそれぞれに共通である。歯を分散させることで、電流を用いないトルクが最小になり、ひいては、指針22のガタつきを最小限にするのに寄与する。歯は、磁束を最適の態様で導き、電流を用いたトルクを増大させるのに寄与する平行六面体形状の端部を有する。
【0039】
ステータ4を底部カバー2内に、より良好に配置するために、ステータ4の外部形状部にショルダ部19が形成されている。
図9は、中空スピンドル10によって駆動される指針またはポインタ22を示している。
【0040】
図10は、本発明の第2の実施形態による第2の表示モジュール(1)を示している。この第2のモジュールは、出力ホイール9が、中空スピンドルから拡張されるのではなく、モータ出力シャフトであり、部材(図示せず)を回転させ、指示することを意図された針26に固定されるという点で第1のモジュールと区別される。実際上、本発明の原理は、中空スピンドルを有するモジュールだけに限定されるものではない。第1のモジュールに関しては、出力ホイール9は、出力ホイール9の材料内に切り出された摩擦アーム13を有する。摩擦アーム13の数量および大きさは、本文で上記の教示に従って変更することができる。