特許第6181663号(P6181663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181663
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ノッキングセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   G01H17/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-543700(P2014-543700)
(86)(22)【出願日】2014年5月21日
(86)【国際出願番号】JP2014063479
(87)【国際公開番号】WO2014208223
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年2月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-132832(P2013-132832)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】青井 克樹
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−021697(JP,A)
【文献】 特開2012−237717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部を有する支持部材と、
前記支持部材の前記本体部の外周に位置する環状の圧電素子と、
前記支持部材の前記本体部の外周に位置し、前記圧電素子に積層され、前記圧電素子に発生する電気信号を外部に引き出す一対の電極部と、
金属皮膜を有する抵抗本体を備え、前記一対の電極部と並列接続される抵抗器と、
前記支持部材の外側に形成され、前記抵抗器、前記圧電素子および前記電極部を少なくとも包囲する樹脂材料で構成されたケースと、
が設けられたノッキングセンサであって、
前記抵抗器は、前記ケースを構成する樹脂材料と比較して熱変形温度が高い樹脂材料で構成される外側皮膜であって、前記金属皮膜を覆う前記外側皮膜を有するノッキングセンサ。
【請求項2】
前記抵抗本体を支持する一対の金属製のキャップであって、前記電極部と電気的に接続されるとともに、メッキが施されたキャップをさらに備え、
前記外側皮膜と前記金属皮膜の間に、前記外側皮膜よりも緻密な膜構造を有する樹脂材料で構成された内側皮膜が設けられている請求項1記載のノッキングセンサ。
【請求項3】
前記内側皮膜は、少なくとも前記金属皮膜と前記キャップとの接触面の端部を覆う請求項2記載のノッキングセンサ。
【請求項4】
前記ケースを構成する樹脂材料は6,6-ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、およびポリフェニレンサルファイドのいずれかであり、前記外側皮膜を構成する樹脂材料はシリコーン樹脂である請求項1から3のいずれか1項に記載のノッキングセンサ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2013年6月25日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2013−132832号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2013−132832号の全内容を本国際出願に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、内燃機関に発生するノッキングを検出する非共振型ノッキングセンサに関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関に発生するノッキングを検出する非共振型ノッキングセンサとして、ボルト等の固定部材を介して内燃機関の取付位置に固定されるものが知られている。このノッキングセンサは、センサ素子である圧電素子と、圧電素子を支持する支持部材と、を備えている。支持部材は、自身の中央に挿通孔が形成されており、この挿通孔にボルト等の固定部材を挿通することにより、ノッキングセンサが固定部材を介して内燃機関の取付位置に固定される。
【0004】
上述のノッキングセンサには、測定したノッキング信号を外部に出力する一対の電極が設けられ、この電極の間をつなぐ金属皮膜抵抗器が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。このような金属皮膜抵抗器は、各種センサに用いられている(例えば、特許文献2から4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−300605号公報
【特許文献2】特許第3772558号公報
【特許文献3】特許第4417186号公報
【特許文献4】特開平09−007438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ノッキングセンサに用いられる金属皮膜抵抗器としては、金属皮膜を有する抵抗本体の外側がエポキシ樹脂からなる外装皮膜で覆われた金属皮膜抵抗器が用いられていた。しかしながら、上述の金属皮膜抵抗器は、ノッキングセンサのケース形成時に加わる熱や、熱サイクル試験でのダメージが大きく耐熱性にネックがあるという問題があった。
【0007】
具体的には、金属皮膜抵抗器の外装皮膜であるエポキシ樹脂が、高熱を加えることにより、金属皮膜及びノッキングセンサのケースを構成する6,6−ナイロン(以下、「66ナイロン」と表記する。)と融着する。その後、外部の温度が変化して外装皮膜が膨張・収縮すると、融着した金属皮膜が連動して膨張・収縮するため、金属皮膜が抵抗本体から剥がれてしまう。このように金属皮膜が剥がれると、金属皮膜抵抗器の抵抗値が所望の値から外れて高くなってしまう虞があった。
【0008】
本発明の一局面においては、耐熱性の向上を図ることができるノッキングセンサを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの局面におけるノッキングセンサは、支持部材と、圧電素子と、一対の電極部と、抵抗器と、ケースと、を備える。
支持部材は、筒状の本体部を有する。圧電素子は、前記支持部材の前記本体部の外周に位置する環状の圧電素子である。一対の電極部は、前記支持部材の前記本体部の外周に位置し、前記圧電素子に積層され、前記圧電素子に発生する電気信号を外部に引き出す。抵抗器は、金属皮膜を有する抵抗本体を備え、前記一対の電極部と並列接続される。ケースは、前記支持部材の外側に形成され、前記抵抗器、前記圧電素子および前記電極部を少なくとも包囲する樹脂材料で構成されている。前記抵抗器は、前記金属皮膜を覆う外側皮膜を有する。外側皮膜は、前記ケースを構成する樹脂材料と比較して熱変形温度が高い樹脂材料で構成される。
【0010】
このように構成されたノッキングセンサによれば、抵抗器はケースを構成する樹脂よりも熱変形温度が高い材料、例えば合成樹脂で構成された外側皮膜で覆われている。そのため、ノッキングセンサのケースを形成する際や、熱サイクル試験で熱を加えられても、当該外側皮膜は金属皮膜やケースと融着することを抑制できる。その結果、金属皮膜は抵抗本体から剥離しにくく、抵抗器は所望の抵抗値を保ち続けやすくなる。
【0011】
上記のノッキングセンサは、一対のキャップと、内側皮膜と、をさらに備えてもよい。一対のキャップは、前記抵抗本体を支持する一対の金属製のキャップであって、前記電極部と電気的に接続されるとともに、メッキが施されてもよい。内側皮膜は、前記外側皮膜と前記金属皮膜の間に設けられるとともに、前記外側皮膜よりも緻密な膜構造を有する樹脂材料で構成されてもよい。
【0012】
このように外側皮膜よりも緻密な膜構造を有する内側皮膜を設けることにより耐熱性の向上が図りやすくなる。つまり、抵抗器の構成要素であるキャップにメッキが施されている場合、緻密な膜構造を有する内側皮膜が設けられていると、ノッキングセンサに熱が加えられてメッキが溶融したとしても内側皮膜の外側に留め置くことができる。そのため、内側皮膜が設けられていない場合と比較して、溶融したメッキが金属皮膜に接触することによる、抵抗値の変化を抑制しやすくなる。
【0013】
上記のノッキングセンサにおいては、前記内側皮膜は、少なくとも前記金属皮膜と前記キャップとの接触面の端部を覆っても良い。
このように抵抗本体の金属皮膜とキャップとの接触面の端部を覆うように内側皮膜を配置することにより、耐熱性の向上をより図りやすくなる。つまり、ノッキングセンサに熱が加えられてキャップのメッキが溶融したとしても、溶融したメッキは内側皮膜により概ね同じ領域に留め置かれる。その後ノッキングセンサの温度が下がると溶融したメッキも概ね元の位置で固化する。そのため、接触面の端部からのメッキの浸入が抑制され、抵抗値の変動が抑制される。つまり、熱による抵抗値の変化を抑制しやすくなる。
【0014】
上記のノッキングセンサにおいては、前記ケースを構成する樹脂材料は6,6-ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、およびポリフェニレンサルファイドのいずれかであってもよく、前記外側皮膜を構成する樹脂材料はシリコーン樹脂であってもよい。
【0015】
6,6-ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、およびポリフェニレンサルファイドのいずれかとシリコーン樹脂とを比較すると、シリコーン樹脂の熱変形温度は6,6-ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、およびポリフェニレンサルファイドのいずれかの熱変形温度よりも高い。そのため、ケースを構成する樹脂として6,6-ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、およびポリフェニレンサルファイドのいずれかを使用し、抵抗器の外側皮膜としてシリコーン樹脂を使用することにより、ノッキングセンサの耐熱性の向上を図ることができる。つまり、抵抗器はケースを構成する樹脂よりも熱変形温度が高いシリコーン樹脂で構成された外側皮膜で覆われている。そのため、ポリブチレンテレフタレート、およびポリフェニレンサルファイドのいずれかを用いてケースを形成する際や、熱サイクル試験で熱を加えられても、外側皮膜は金属皮膜や当該ケースと融着することを抑制できる。その結果、金属皮膜は抵抗本体から剥離しにくく、抵抗器は所望の抵抗値を保ち続けやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記の局面におけるノッキングセンサによれば、抵抗器を、ケースを構成する樹脂よりも熱変形温度が高い樹脂材料で構成された外側皮膜で覆うことにより、熱が加えられても当該皮膜はケースと融着しにくくなる。そのため抵抗器の金属皮膜は剥離しにくくなり、抵抗器は所望の抵抗値を保ち続けやすくなることから耐熱性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るノッキングセンサ外観を説明する正面図である。
図2図1に示すノッキングセンサの内部構造を説明する断面図である。
図3図2に示すノッキングセンサの内部構造を説明する分解図である。
図4図2に示す抵抗器の内部構成を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1…ノッキングセンサ、10…支持部材、11…本体部、20…下面側電極部(電極部)、30…圧電素子、40…上面側電極部(電極部)、70…抵抗器、71…抵抗本体、73…キャップ、74…内側皮膜、75…外側皮膜、72…金属皮膜、80…ケース
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実施形態に係る非共振型ノッキングセンサ(以下、単に「ノッキングセンサ」と表記する。)について、図1から図4を参照しながら説明する。
本実施形態に係るノッキングセンサ1は、内燃機関に発生するノッキングの検出に用いられるものである。ノッキングセンサ1は、図1に示すようにケース80の内部に種々の構成部品が収納されている。ケース80は絶縁性を有する材料、例えば合成樹脂などのモールド樹脂から形成されている。本実施形態では、ケース80をナイロンから形成している例に適用して説明する。
【0020】
さらにノッキングセンサ1には、図2に示すように、支持部材10と、下面側電極部(電極部)20と、圧電素子30と、上面側電極部(電極部)40と、錘部材50と、ナット60と、抵抗器70と、が設けられている。これらの構成部品は、上述のケース80の内部に収納されている。
【0021】
ケース80は、ノッキングセンサ1の外形を構成するものであり、上面側(図1における上側を示す。以下同じ。)がテーパ状に成形された円柱形状の素子収納部81と、点火時期制御装置などの外部機器に繋がる外部コネクタを接続するコネクタ部82と、を備えている。コネクタ部82は、素子収納部81の外周壁から外向きに突出して形成されている。
【0022】
支持部材10は、鉄から構成される部材である。図2及び図3に示すように、支持部材10には、本体部11および鍔部12が主に設けられている。本体部11は、軸線L方向を中心とする円筒形状に形成された支持部材10の部分である。鍔部12は、本体部11の下部(図2および図3における下側の部分)から径方向外側へリング状に突出する支持部材10の部分である。
【0023】
本体部11の内部には、軸線L方向に貫通する貫通孔13が存在する。本体部11の外周面の上端側には溝部14が、鍔部12の外周面には溝部15が設けられている。溝部14および溝部15は、ケース80と本体部11との密着性を高めるためのものである。本体部11の外周面には、溝部14の下側に、ナット60と噛み合わされるネジ溝16が設けられている。
【0024】
下面側電極部20は主に円環状の環状部21と、この環状部21から突出する端子部22と、を備えている。環状部21は、本体部11の外周を取り囲むとともに、圧電素子30の下面と接して配置され、さらに圧電素子30と電気的に接触して配置されている。
【0025】
また端子部22は、圧電素子30の下面(環状部21)からコネクタ部82までの区間を電気的に接続するものであり、圧電素子30の下面から出力される電気信号の通電経路として使用されるものである。端子部22は、所定の位置でコネクタ部82の高さに合わせて上面側に曲げられている。
【0026】
圧電素子30は、圧電効果を有する材料である、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や、チタン酸バリウム等の各種セラミックスや、水晶等の各種結晶や、ポリフッ化ビニリデン等の各種有機材料等から構成される素子である。圧電素子30は、鍔部12との間に下面側電極部20を挟む位置に配置されている。また圧電素子30は、本体部11の外周を取り囲む環状形状に形成されており、断面が矩形状となるように形成されている。
【0027】
上面側電極部40は主に円環状の環状部41と、この環状部41から突出する端子部42と、を備えている。環状部41は、本体部11の外周を取り囲むとともに、圧電素子30の上面と接して配置され、さらに圧電素子と電気的に接触して配置されている。
【0028】
また端子部42は、圧電素子30の上面(環状部41)からコネクタ部82までの区間を電気的に接続するものであり、圧電素子30の上面から出力される電気信号の通電経路として使用されるものである。端子部42は、所定の位置でコネクタ部82の高さに合わせて上面側に曲げられている。
【0029】
錘部材50は、真鍮等の各種金属材料から形成された部品であり、圧電素子30と同様に、本体部11の外周を取り囲む環状形状に形成された部品である。その断面が矩形状となる点についても圧電素子30と同様である。さらに錘部材50は、圧電素子30に対して荷重を印加するものであり、圧電素子30の上面側に配置され、圧電素子30との間で上面側電極部40を挟んで配置されている。
【0030】
ナット60は、本体部11のネジ溝16と噛み合わされるネジ溝が形成されたものであり、これらネジ溝16に対して回転させながら噛み合わせる(ねじ込む)ことにより本体部11に締め付け固定されるものである。なお、ナット60は、外周が六角形などの多角形状に形成され、この形状に対応可能な工具を用いて締め付け固定を行える構成とされている。
【0031】
次に、本実施形態の特徴である抵抗器70について説明する。抵抗器70は金属皮膜抵抗器であり、図2に示すように、上面側電極部40と下面側電極部20と並列接続される抵抗器である。抵抗器70には、図4に示すように、金属皮膜72を有する抵抗本体71と、抵抗本体71を支持するキャップ73と、抵抗本体71およびキャップ73を包む内側皮膜74と、内側皮膜を包む外側皮膜75と、が主に設けられている。
【0032】
抵抗本体71の構成としては、公知の構成を用いることができ、特に限定するものではない。本実施形態ではセラミックス製の抵抗本体71を金属皮膜72で包んだ構成である例に適用して説明する。抵抗本体71を覆う金属皮膜72は、Ni−Cr(ニッケル−クロム)合金の皮膜であってもよいし、メタルグレーズ皮膜であってもよく、特にその種類を限定するものではない。
【0033】
キャップ73は、抵抗本体71を両側から挟みこみ保持する保持部材であるとともに、抵抗本体71と上面側電極部40および下面側電極部20との間を電気的に接続するものでもある。本実施形態では、鉄から形成された骨格にスズメッキを施したキャップ73である例に適用して説明する。
【0034】
内側皮膜74はエポキシ樹脂から構成された皮膜であり、外側皮膜75と比較して緻密な膜構造を有する皮膜である。また内側皮膜74は、抵抗本体71およびキャップ73の周囲を覆い、少なくとも抵抗本体71の金属皮膜72とキャップ73との接触面の境界、つまり接触面の端部に存在するように配置されている。
【0035】
外側皮膜75はシリコーン樹脂から構成された皮膜であり、ケース80を構成する樹脂である66ナイロンと比較して高い熱変形温度をもつ皮膜である。外側皮膜75は、内側皮膜74、抵抗本体71およびキャップ73の周囲を覆い、これら覆われる部材とケース80とが接触しないようにするものである。
【0036】
次に、本実施形態のノッキングセンサ1の組み立て作業について図3を用いながら説明する。
ノッキングセンサ1の組み立て作業は、下面側電極部20、圧電素子30、上面側電極部40、および錘部材50を、下面側から上面側に向けて、この順に積層する作業を最初に行う。このとき、下面側電極部20、圧電素子30、上面側電極部40、および錘部材50は、支持部材10における本体部11の外周を取り囲むように配置されている。
【0037】
積層作業を行う際には、下面側電極部20の端子部22と、上面側電極部40の端子部42とを、抵抗器70を介して電気的に接続する作業も行う。
次に、ナット60を支持部材10のネジ溝16に螺合する作業を行い、支持部材10の鍔部12とナット60との間で、下面側電極部20、圧電素子30、上面側電極部40、錘部材50を、挟み込み固定する。
【0038】
このあと、これらの構成部品を射出成型用金型で取り囲み、これらの構成部品を覆うように66ナイロンを射出成形して、ケース80を形成する作業を行う。以上の作業によりノッキングセンサ1は完成する。
【0039】
なお、ノッキングセンサ1は、ケース80の下面側から支持部材10の鍔部12の下面側の端部が露出し、ケース80の上面側からは支持部材10の本体部11の上面側の端部が露出するように形成される。また、コネクタ部82は、その内側において、下面側電極部20の端子部22および上面側電極部40の端子部42の一部が露出するように形成される。
【0040】
ノッキングセンサ1は、その下面(詳細には、支持部材10における鍔部12の下面)が内燃機関の最適な箇所(一般にはシリンダブロックの取付部)と接触するようにして、内燃機関に対して取り付けられる。
【0041】
内燃機関でノッキングなどの異常振動が発生すると、その異常振動が支持部材10の鍔部12を介して圧電素子30に達し、その異常振動に応じて圧電素子30から出力される電気信号が、下面側電極部20の端子部22および上面側電極部40の端子部42から外部機器に対して出力される。
【0042】
上記の構成のノッキングセンサ1によれば、抵抗器70は66ナイロンよりも熱変形温度が高い材料、シリコーン樹脂で構成された外側皮膜75で覆われている。そのため、ノッキングセンサ1のケース80を形成する際や、熱サイクル試験で熱を加えられても、当該皮膜はケース80と融着することがない。その結果、抵抗器70の金属皮膜72が剥離せず、抵抗器70は所望の抵抗値を保ち続けることができることとなり、ノッキングセンサ1の耐熱性の向上を図ることもできる。
【0043】
外側皮膜75よりも緻密な膜構造を有する内側皮膜74を設けることにより、ノッキングセンサ1の耐熱性の向上が図りやすくなる。つまり、抵抗器70の構成要素であるキャップ73にはスズメッキが施されている場合、緻密な膜構造を有する内側皮膜74が外側皮膜75と金属皮膜72との間に設けられていると、ノッキングセンサ1に熱が加えられてメッキが溶融したとしても内側皮膜74の外側に留め置くことができる。そのため、内側皮膜74が設けられていない場合と比較して、溶融したメッキが金属皮膜72に接触することによる抵抗器70の抵抗値の変化を抑制しやすくなる。
【0044】
さらに抵抗本体71の金属皮膜72とキャップ73との接触面の端部を覆うように内側皮膜74を配置することにより、耐熱性の向上をより図りやすくなる。つまり、ノッキングセンサ1に熱が加えられてキャップ73のメッキが溶融したとしても、溶融したメッキは内側皮膜74により概ね同じ領域に留め置かれる。その後ノッキングセンサ1の温度が下がると溶融したメッキも概ね元の位置で固化する。そのため、接触面の端部からのメッキの浸入が抑制され、抵抗器70の抵抗値の変動が抑制される。つまり、熱による抵抗値の変化を抑制しやすくなる。そのため、接触面の端部からのメッキの浸入が抑制され、抵抗値の変動が抑制される。つまり、熱による抵抗値の変化を抑制しやすくなる。
【0045】
ケース80を構成する6,6-ナイロンと、外側皮膜75を構成するシリコーン樹脂とを比較すると、シリコーン樹脂の熱変形温度は6,6-ナイロンの熱変形温度よりも高い。そのため、ケース80を構成する樹脂として6,6-ナイロンを使用し、抵抗器70の外側皮膜75としてシリコーン樹脂を使用することにより、ノッキングセンサ1の耐熱性の向上を図ることができる。つまり、抵抗器70はケース80を構成する6,6-ナイロンよりも熱変形温度が高いシリコーン樹脂で構成された外側皮膜75で覆われている。そのため、ケース80を形成する際や、熱サイクル試験で熱を加えられても、外側皮膜75は金属皮膜72やケース80と融着することがない。その結果、金属皮膜72は抵抗本体71から剥離しにくく、抵抗器70は所望の抵抗値を保ち続けやすくなる。
【0046】
なお、上述の実施形態のようにケース80を構成する樹脂として6,6-ナイロンを用いてもよいし、ポリブチレンテレフタレートや、ポリフェニレンサルファイドを用いてケース80を構成してもよく、特に限定するものではない。
【0047】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、抵抗器70が適用されるノッキングセンサ1の構成は、上記の実施形態に記載された形態であってもよいし、その他の形態を有するノッキングセンサであってもよい。
図1
図2
図3
図4