(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中央にスラスト軸受を設けたベッド上にケースを取付け、前記スラスト軸受上には、外周面にネジが形成されており、上端部にストッパピンを設けた主ネジ軸を直立させた大傘歯車を設け、その大傘歯車には、ケースの外部からの駆動で回転する小傘歯車を噛合せる一方、大傘歯車を介して回転する主ネジ軸の外周面に設けられた主ネジ外周ネジ部には補助ネジ筒下部の内側面に設けられた補助ネジ内周ネジ部を噛合せる一方、その補助ネジ筒外周面に設けられた補助ネジ外周ネジ部には、内筒下部の内周面に設けられた内筒内周ネジ部を噛合せ、
前記小傘歯車の回転により前記大傘歯車および前記主ネジ軸が回転し、前記主ネジ軸の回転により前記補助ネジ筒が昇降する一方、前記補助ネジ筒の回転により前記内筒を昇降させると共に、前記内筒下部の外周面側に設けた内筒側ストッパ部が外筒上部の内周面側に設けた外筒側ストッパ部に当接することにより当該外筒も上昇させ、前記内筒の上部には車両等を受ける車両等受部が設けられたスクリュージャッキであって、
前記主ネジ軸の上部には、当該主ネジ軸の中心軸に向かう半径方向に埋設溝が設けられ、その埋設溝にストッパピンが埋設されており、
前記埋設溝の中心軸と前記ストッパピンの中心軸とがほぼ一致し、かつ、前記ストッパピンの先端部であって主ネジ軸の外周面から突出する部分には、当該ストッパピンの中心軸を通る当接面を設け、
前記主ネジ軸の回転によって前記補助ネジ筒が上昇して、当該補助ネジ筒の上昇限界に到達した際、前記主ネジ軸の前記埋設溝に埋設した前記ストッパピンの前記当接面が、前記補助ネジ筒の内周面の前記内筒内周ネジ部上部の開始端面に当接するように構成したことを特徴とするスクリュージャッキ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1に記載の従来のスクリュージャッキでは、主ネジ軸の上部に設けたストッパピンは、補助ネジ筒の内側ネジの上部に当たってその上昇を停止するが、その
図4に示す従来のストッパピンは主ネジ軸の中心からズレて埋設されているため、そのストッパピンに過大なトルクがかかった場合、ストッパピンを埋設している主ネジ軸の埋設溝周囲が破損して、ストッパピンが脱落するおそれがあるという問題がある。
【0007】
また、前記特許文献1の
図5に記載した従来のストッパピンは、当該ストッパピンの中心軸が主ネジ軸の中心を通るように埋設され、過大なトルクが作用した際の主ネジ軸の破損やストッパピンの脱落は防止できるものの、前記特許文献1に記載されているように、ストッパピンの当り面と補助ネジ筒の補助ネジ内周ネジ部の上部との角部とが当接するため、補助ネジ筒を破損させるおそれがあるという問題もある。
【0008】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、ストッパピンに過大なトルクがかかった場合でも、ストッパピンを埋設している主ネジ軸の埋設溝周囲が破損して、ストッパピンが脱落するおそれがなく、かつ、補助ネジ筒に対する影響も極力低減することができるスクリュージャッキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明のスクリュージャッキは、中央にスラスト軸受を設けたベッド上にケースを取付け、前記スラスト軸受上には、外周面にネジが形成されており、上端部にストッパピンを設けた主ネジ軸を直立させた大傘歯車を設け、その大傘歯車には、ケースの外部からの駆動で回転する小傘歯車を噛合せる一方、大傘歯車を介して回転する主ネジ軸の外周面に設けられた主ネジ外周ネジ部には補助ネジ筒下部の内側面に設けられた補助ネジ内周ネジ部を噛合せる一方、その補助ネジ筒外周面に設けられた補助ネジ外周ネジ部には、内筒下部の内周面に設けられた内筒内周ネジ部を噛合せ、前記小傘歯車の回転により前記大傘歯車および前記主ネジ軸が回転し、前記主ネジ軸の回転により前記補助ネジ筒が昇降する一方、前記補助ネジ筒の回転により前記内筒を昇降させると共に、前記内筒下部の外周面側に設けた内筒側ストッパ部が外筒上部の内周面側に設けた外筒側ストッパ部に当接することにより当該外筒も上昇させ、前記内筒の上部には車両等を受ける車両等受部が設けられたスクリュージャッキであって、前記主ネジ軸の上部には、当該主ネジ軸の中心軸に向かう半径方向に埋設溝が設けられ、その埋設溝にストッパピンが埋設されており、前記埋設溝の中心軸と前記ストッパピンの中心軸とがほぼ一致し、かつ、前記ストッパピンの先端部であって主ネジ軸の外周面から突出する部分には、当該ストッパピンの中心軸を通る当接面を設け、前記主ネジ軸の回転によって前記補助ネジ筒が上昇して、当該補助ネジ筒の上昇限界に到達した際、前記主ネジ軸の前記埋設溝に埋設した前記ストッパピンの前記当接面が、前記補助ネジ筒の内周面の前記内筒内周ネジ部上部の開始端面に当接するように構成したことを特徴とする。
ここで、前記ストッパピンは、円柱状であり、その中心軸を通る平面により前記ストッパピンの上部を切断することにより切断面が半円の半円柱を形成し、その平面状の切断面を前記当接面にするようにすると良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスクリュージャッキでは、主ネジ軸の主ネジ外周ネジ部の上部には、当該主ネジ軸の中心軸に向かう半径方向に埋設溝が設けられ、その埋設溝にストッパピンが埋設されており、埋設溝の中心軸とストッパピンの中心軸とがほぼ一致し、かつ、ストッパピンの先端部であって主ネジ軸の外周面から突出する部分には、当該ストッパピンの中心軸を通る当接面を設け、主ネジ軸の回転によって補助ネジ筒が上昇して、当該補助ネジ筒の上昇限界に到達した際、主ネジ軸の埋設溝に埋設したストッパピンの当接面が、補助ネジ筒の内周面の補助ネジ内周ネジ部上部の開始端面に当接するように構成したため、ストッパピンに過大なトルクがかかった場合でも、ストッパピンを埋設している主ネジ軸の埋設溝周囲が破損して、ストッパピンが脱落するおそれがない。
また、ストッパピンの中心軸を通る当接面が補助ネジ筒の内周面の内筒内周ネジ部上部の角部ではなく、開始端面に面接触により当接するため、補助ネジ筒に対する影響も極力低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを使用していない収縮状態(収納状態)の断面構造を示す断面図である。
【
図2】
図2におけるA−A線断面を示す端面図である。
【
図3】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキの平面図である。
【
図4】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを構成する主ネジ軸の正面図、右側面図である。
【
図5】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを構成する主ネジ軸の平面図、斜視図である。
【
図6】(a)〜(d)それぞれ本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを構成するストッパピンの正面図、背面図、右側面図、斜視図である。
【
図7】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを構成する補助ネジ筒の一部切欠正面図、B−B線断面図である。
【
図8】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを構成する内筒の斜視図である。
【
図9】(a)〜(c)それぞれ本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを構成する内筒の平面図、正面図、側面図である。
【
図10】(a),(b)それぞれ
図13(b)におけるC−C線断面図、D−D線断面図である。
【
図11】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを構成する外筒の斜視図である。
【
図12】(a)〜(c)それぞれ本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキを構成する外筒の平面図、正面図、左側面図である。
【
図13】(a),(b)それぞれ
図12(c)におけるE−E線断面図、
図8(b)におけるF−F線断面図である。
【
図14】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキの2段目である外筒と補助ネジ筒が1段目の筒状ケース部から最大限上方に延びきった際の断面構造を示す正面断面図である。
【
図15】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキの2段目である外筒と補助ネジ筒が1段目の筒状ケース部から最大限上方に延びきった際の断面構造を示す左側面断面図である。
【
図16】(a),(b)それぞれ
図15におけるG−G線端面図、ストッパピンの当接面と補助ネジ筒の開始端面との当接状態を拡大して示す図である。である。
【
図17】(a),(b)それぞれ主ネジ軸の回転によって補助ネジ筒が上昇して、補助ネジ筒の上昇限界に到達した際、ストッパピンの当接面が補助ネジ筒の内筒内周ネジ部上部の開始端面に当接した状態を示す断面図、その当接後、主ネジ軸および補助ネジ筒と共に内筒および外筒が上昇し始めた状態を示す断面図である。
【
図18】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキの3段目である内筒と2段目である外筒等が1段目の筒状ケース部から最大限上方に延びきった状態を示す正面図である。
【
図19】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキの3段目である内筒と2段目である外筒等が1段目の筒状ケース部から最大限上方に延びきった状態を示す左側面図である。
【
図20】本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキの3段目である内筒と2段目である外筒等が1段目の筒状ケース部から最大限上方に延びきった際の断面構造を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るスクリュージャッキの実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1〜
図3に示すように、本発明に係る実施の形態1のスクリュージャッキ1は、中央にスラスト軸受11を設けたベッド12上にケース13を取付けて構成される。
【0014】
ケース13は、ベッド12上にボルト・ナットにより固定されるお椀を反転させたような形状でベッド12上に固定されるケース本体部13aと、そのケース本体13aの上部から鉛直方向に延びる所定の長さを有する1段目の筒状ケース部13bと、後述するハンドル継手17が挿入され、ハンドル継手17を回転可能に支持するハンドル継手支持円筒部13cとから構成される。
【0015】
ケース本体部13a内では、
図1等に示すように、スラスト軸受11上には大傘歯車14が回転可能に設けられており、大傘歯車14の中央には、外周面に下端部から上端部まで延びる主ネジ外周ネジ部15aが形成された主ネジ軸15を立設している。
【0016】
大傘歯車14は、ハンドル継手支持円筒部13cに回転可能に支持されたハンドル継手17の先端部に設けられた小傘歯車18に噛合っており、ハンドル継手17を回転させると小傘歯車18が回転して大傘歯車14も回転するように構成されている。なお、ハンドル継手17の後端部には、ハンドル継手17を回転させるためドライバーや専用の棒が挿入される挿入孔17aが設けられている。
【0017】
<主ネジ軸15の構成>
主ネジ軸15は、
図4(a),(b)に示すように、その外周面全体に主ネジ外周ネジ部15aが形成されており、そのネジ外周ネジ部15aには、補助ネジ筒19下部の内側面に設けられた補助ネジ内周ネジ部19a(
図7等参照。)に噛合うように構成されている。
【0018】
そして、主ネジ軸15の上部には、
図5(b)に示すように、当該主ネジ軸15の中心軸15bに向かう半径方向に埋設溝15cが設けられ、その埋設溝15cにストッパピン16が埋設されている。
【0019】
ここで、
図5(a)に示すように、埋設溝15cの中心軸とストッパピン16の中心軸16aとがほぼ一致しており、また
図5(b)に示すように、ストッパピン16の先端部であって主ネジ軸15の外周面から突出する部分を切断することにより切断面が半円の半円柱を形成し、当該ストッパピン16の中心軸16aを通るその平面状の切断面を当接面16bとしている。
【0020】
そのため、後述する
図17(a),(b)に示すように、主ネジ軸15の回転によって補助ネジ筒19が上昇して、当該補助ネジ筒19の上昇限界に到達した際、主ネジ軸15の埋設溝15cに埋設したストッパピン16の当接面16bが、補助ネジ筒19の内周面の補助ネジ内周ネジ部19a上部の開始端面19a1に当接するように構成している。
【0021】
<補助ネジ筒19の構成>
補助ネジ筒19は、
図7(a),(b)に示すように、補助ネジ筒19の内周面の下端部には、所定範囲で、主ネジ軸15の主ネジ外周ネジ部15aに噛合う補助ネジ内周ネジ部19aが形成されている一方、補助ネジ筒19の外周面全体には、内筒20下部の内周面に設けられた内筒内周ネジ部20aを噛合する補助ネジ外周ネジ部19aが形成されている。
【0022】
ここで、主ネジ軸15および補助ネジ筒19は、ガス軟窒化処理により、ネジ部の摩擦抵抗を減らして耐摩耗に強くし耐久性能を向上している。ガス軟窒化処理は、表面に化合物層を析出させることにネジ部の荷重受け面の硬度を増加させて、耐摩耗性を向上させている。
【0023】
また、主ネジ軸15および補助ネジ筒19の材質は、FCD400(球状黒鉛鋳鉄)にすることにより、靭性を向上させて横荷重に対する耐破断性能を向上させている。
【0024】
これは、FC200(ねずみ鋳鉄)で鋳物特有の脆さのある材料で横折試験を実施すると破断する破損モードとなるため、安全面での危険度が高かった。そのため、主ネジ軸15および補助ネジ筒19にスチールを使いこの破損モードに対する対策を取る場合もあるが、スチールでは、粘りが強すぎて切削加工性を悪くし加工での量産性が低下する。また、スチールを使う場合、それを解消する為に塑性加工(転造)という技術を使用するが、それには多大な設備投資が必要となり、コストがかかる。FCD400(球状黒鉛鋳鉄)の靭性は、FC200(ねずみ鋳鉄)とスチールの中間的靭性を持った材料で、切削加工が比較的安易に行える材料であるため、本実施形態のスクリュージャッキ1では、主ネジ軸15および補助ネジ筒19の素材として使用した。
【0025】
<筒状ケース部13bの構成>
筒状ケース部13bは、
図1等に示すように、このスクリュージャッキ1を使用しないときは、主ネジ軸15や、補助ネジ筒19、内筒20および外筒21を収納する所定長の鋼管からなる円筒形状のもので、
図2等に示すように後述する外筒21のガイド部21aを上下方向に案内する上下方向に延びる主ガイド溝部13b1と、主ガイド溝部13b1と対向する側、すなわち180度の反対側に外筒21の抜け止め凸部21bを上下方向に案内する上下方向に延びる副ガイド溝部13b2を有する。
【0026】
副ガイド溝部13b2の上部には、外筒21が上昇した際、外筒21の抜け止め凸部21bが当接して、外筒21が筒状ケース部13bから抜け落ちてないように内側(中心側)に向かって折れ曲がった筒状ケース側ストッパ部13b3(
図12等参照。)が設けられている。
【0027】
また、内筒20下部の外周面側に設けた内筒側ストッパ部20bが外筒21上部の内周面側に設けた外筒側ストッパ部21cに当接することにより、当該内筒20と共に外筒21も上昇させるように構成されている。
【0028】
つまり、このスクリュージャッキ1は、ハンドル継手17および小傘歯車18の回転により大傘歯車14および主ネジ軸15が回転し、主ネジ軸15の回転により補助ネジ筒19が昇降する一方、補助ネジ筒19の回転により内筒20を昇降させると、内筒20下部の外周面側に設けた内筒側ストッパ部20bが外筒21上部の内周面側に設けた外筒側ストッパ部21cに当接することにより当該外筒21も上昇させるように構成されている。
【0029】
また、内筒20の上部には、大型自動車やバス、トラック等の車両の荷重を受ける車両等受部22が取付けられている。
【0030】
<内筒20の構成>
図8は、実施の形態1のスクリュージャッキ1を構成する内筒20の外観を示す斜視図、
図9(a)〜(c)はそれぞれ内筒20の平面図、正面図、右側面図、
図10(a),(b)はそれぞれ
図9(b),(c)におけるB−B線断面図、C−C線断面図である。
【0031】
内筒20は、スチール(鋼材)ではなく、主ネジ軸15および補助ネジ筒19と同様に、ガス軟窒化処理したFCD400(球状黒鉛鋳鉄)から構成され、上述したように内周面には下側に、内筒内周ネジ部20aが設けられている一方、外側面の下側には内筒20をその長手方向とは直交する水平方向に切断した際の切断面形状が円形の内筒側ストッパ部20bが設けられている。
【0032】
内筒20の外側面における下部の内筒側ストッパ部20b以外の外側面は、
図8〜
図10等に示すように、円筒形状であった内筒20の外周面を所定間隔で6箇所を平面で削ることによって6つの長尺平側面20c1と湾曲側面20c2とが交互に配置された内筒スライド部20cを形成しており、その内筒スライド部20cをその長手方向とは直交する水平方向に切断した際の切断面形状は、円形を所定間隔で6箇所の直線により切り落として6箇所の長尺平側面20c1と長尺湾曲側面20c2と交互に設けた6箇所の長尺湾曲側面20c2を角部とする近似6角形であり、その箇所の長尺平側面20c1が内筒側ストッパ部20bの外周面より凹んだ部分となる。
【0033】
そのため、この内筒20では、内筒スライド部20cの長尺湾曲側面20c2と内筒側ストッパ部20bの表面とは、
図8および
図9に示すように段差なく面一で連続している一方、内筒スライド部20cの長尺平側面20c1と内筒側ストッパ部20bとは段差があり、内筒スライド部20cの長尺平側面20c1は内筒側ストッパ部20bよりも内側に凹んでいることになる。
【0034】
なお、内筒20の外側面の上部、すなわち内筒スライド部20cの外側面の上部には、
図8〜
図10等に示すように、車両等受部22内側のCリング嵌合溝部22cに嵌合するCリング23が収容されるCリング収容溝部20dが形成されていて、
図1等に示すように、そのCリング収容溝部20dに弾性を有するCリング23が収容されている。
【0035】
<外筒21の構成>
図11は、実施の形態1のスクリュージャッキ1を構成する外筒21の外観を示す斜視図、
図12(a)〜(c)はそれぞれ外筒21の正面図、右側面図、平面図、
図13(a),(b)はそれぞれ
図12(b),(c)におけるB−B線断面図、C−C線断面図である。
【0036】
外筒21は、鋼管から構成されており、
図11〜
図13に示すように、内筒20が下降した際に収納できるよう内筒側ストッパ部20bの切断面形状の円形に応じた内径を有する円筒形状に構成されており、その外周面には上端部から下端部まで所定幅で内側から外側に突出し、後述するケース13のケース本体部13bの主ガイド溝部13b1に案内されるガイド部21aが設けられている。
【0037】
また、外筒21の外周面におけるガイド部21a下部の反対側には、
図11〜
図13に示すように、この外筒21がケース13のケース本体部13aから抜け出さないように、内側から外側に向かって突出した抜け止め凸部21bが設けられている。
【0038】
また、
図11〜
図13に示すように、外筒21の上部のみ、内筒20の内筒側スライド部20cの切断面形状、すなわち6つの長尺平側面20c1および長尺湾曲側面20c2の外形線が描く近似6角形になるように、外側から内側に向かって潰した形状を有する外筒側ストッパ部21cを設けている。
【0039】
外筒21上部の外筒側ストッパ部21cは、円筒形状の外筒20の上端部のみ所定間隔で6箇所、外側から内側へ直線的に潰すことによって6つの短尺平側面21c1と長尺湾曲側面21c2とが交互に配置した形状に形成されている。
【0040】
次に、以上のように構成された本実施形態のスクリュージャッキ1の動作および効果について説明する。
【0041】
まず、
図1に示すように、ハンドル継手17の挿入孔17aドライバーや専用の棒が挿入して回転させると、ハンドル継手17およびその先端部に設けられた小傘歯車18が回転し、小傘歯車18に噛み合っている大傘歯車14が回転する。
【0042】
すると、大傘歯車14の回転によって大傘歯車14に下端部が固定された主ネジ軸15が回転し、
図14に示すように、主ネジ軸15の外周面に設けられた主ネジ外周ネジ部15aが補助ネジ内周ネジ部19aに噛合っている補助ネジ筒19を上昇させる。
【0043】
補助ネジ筒19が上昇して、当該補助ネジ筒19の上昇限界に到達すると、
図14〜
図16(a)、(b)等に示すように、主ネジ軸15の埋設溝15cに埋設したストッパピン16の当接面16bが、補助ネジ筒19の内周面の補助ネジ内周ネジ部19a上部の開始端面19a1に当接して補助ネジ筒19が主ネジ軸15に固定される。
【0044】
すると、ハンドル継手17の回転によって小傘歯車18および大傘歯車14が回転し、大傘歯車14の回転によって主ネジ軸15と共に補助ネジ筒19が回転するようになる。
【0045】
その際、本実施形態のスクリュージャッキ1では、
図16(a),(b)等に示すように、主ネジ軸15の上部に設けた埋設溝15cの中心軸とストッパピン16の中心軸16a(
図5(b)参照。)とがほぼ一致し、かつ、ストッパピン16の当接面16bが補助ネジ筒19の内周面の補助ネジ内周ネジ部19a上部の開始端面19a1に当接している。
【0046】
そのため、埋設溝15cの中心軸とストッパピン16の中心軸16a(
図5(b)参照。)とがほぼ一致している点から、大型トラックやバス等の車両(図示せず。)をジャッキアップする際、ストッパピン16に過大なトルクがかかった場合でも、ストッパピン16を埋設している主ネジ軸15の埋設溝15cの周囲が破損することを上述の特許文献1の場合よりも防止できる。
【0047】
また、ストッパピン16の中心軸16aを通る当接面16bが補助ネジ筒19の内周面の内筒内周ネジ部19a上部の角部ではなく、内筒内周ネジ部19a上部の開始端面19a1に面接触により当接するため、補助ネジ筒19に対する影響も極力低減することができる。
【0048】
そして、補助ネジ筒19が回転すると、補助ネジ筒19の外周面に設けられた補助ネジ外周ネジ部19bと、内筒20下部の内周面に設けられた内筒内周ネジ部20aとが噛合っているので、内筒20を上昇させる。
【0049】
補助ネジ筒19の回転により内筒20が上昇していくと、内筒20の外側面の下部には内筒側ストッパ部20bが設けられており、その内筒側ストッパ部20bが外筒21上部の外筒側ストッパ部21cに当接すると、内筒20と共に外筒21を上昇させる。
【0050】
内筒20と共に外筒21が上昇すると、内筒20上端部に装着された車両等受部22が、図示しない車両下部に当接して車両を持ち上げる。その際、車両等受部22はCリング23によって内筒20上端部に回転可能に装着されているので、車両等受部22の円形上面22aに設けられた車両等受溝22a1を車両下部に当接させる際、車両等受部22を回転させて簡単に当接させることができる。
【0051】
そして、内筒20と共に外筒21が上昇して、外筒21のガイド部21aと抜け止め凸部21bとがそれぞれ筒状ケース部13bの主ガイド溝部13b1と副ガイド溝部13b2とに案内されながら、内筒20だけでなく外筒21がケース13の筒状ケース部13bから上昇していくと、最終的には外筒21の抜け止め凸部21bが、筒状ケース部13bの副ガイド溝部13b2上部の筒状ケース側ストッパ部13b3に当接して、
図13〜
図16に示すように内筒20および外筒21の上昇が停止する。
【0052】
従って、本実施形態のスクリュージャッキ1によれば、主ネジ軸15の上部に設けた埋設溝15cの中心軸とストッパピン16の中心軸16a(
図5(b)参照。)とがほぼ一致し、かつ、ストッパピン16の当接面16bが補助ネジ筒19の内周面の補助ネジ内周ネジ部19a上部の開始端面19a1に当接するため、大型トラックやバス等の車両(図示せず。)をジャッキアップする際にストッパピン16に過大なトルクがかかった場合でも、ストッパピン16を埋設している主ネジ軸15の埋設溝15cの周囲が破損することを効果的に防止できる。
【0053】
また、ストッパピン16の中心軸16aを通る当接面16bが補助ネジ筒19の内周面の内筒内周ネジ部19a上部の角部ではなく、内筒内周ネジ部19a上部の開始端面19a1に面接触により当接するため、補助ネジ筒19の破損も効果的に防止できる。
【0054】
尚、上記実施形態のスクリュージャッキ1では、内筒20の外側面における下部の内筒側ストッパ部20b以外の内筒スライド部20cの外側面は、
図8〜
図10等に示すように、円筒形状であった内筒20の外周面を所定間隔で6箇所を平面で削ることによって6つの長尺平側面20c1と湾曲側面20c2とが交互に配置した近似6角形の形状に形成して説明したが、本発明では、これに限らず、所定間隔で4箇所や、5箇所を平面で削ったり、7箇所や、8箇所以上削った多角形状にしても勿論良い。この場合、外筒21上部の外筒側ストッパ部21cの形状も、内筒20の内筒スライド部20cの外形に応じた多角形にすることになる。