(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部(2、5)は、前記取得された堆積領域に在る前記切粉を前記切粉回収ハンド(3)により回収した後、前記視覚センサ(15)を用いることにより、前記加工テーブル(9)上に堆積する前記切粉の堆積量および堆積領域を取得し、該取得された堆積量に応じて前記切粉の回収が必要であるか否かを判定し、前記切粉の回収が必要である場合には、再度、前記取得された堆積領域に在る前記切粉を前記切粉回収ハンド(3)により回収するようにした、請求項3に記載の加工機システム。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面において、同一の構成要素には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。また、図面に示される加工機システムの構成は一例であり、本発明は図示した構成に限定されない。
【0027】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の加工機システムの正面図を示している。
図1を参照すると、第1実施形態の加工機システムは、ドライ加工またはセミドライ加工を行う加工機1と、加工機1を制御する加工機制御部2と、ロボット先端部に切粉回収ハンド3が取付けられたロボット4と、ロボット4を制御するロボット制御部5と、を備えている。第1実施形態の加工機システムはさらに、加工機制御部2とロボット制御部5との間の通信を行うための加工機通信部6およびロボット通信部7を備えている。
【0028】
加工機1は、穴あけ、切削などの加工を行う加工ツール8と、加工されるべきワークWを移動させる加工テーブル9とを筐体10内に備える。筐体10の一側部にはドア11が設置されている。ワークWは金属材料または樹脂材料からなる被加工物である。加工テーブル9上には、ワークWを載置する台座12と、台座12上に載置されたワークWを位置決めおよび固定する固定治具13とが設置されている。固定治具13はクランプ機構を備える。固定治具13は加工テーブル9上に着脱可能に固定されている。なお、筐体10内の構成を分かり易くするため、
図1では筐体10の壁が透明な壁であるものとして、加工ツール8、ワークW、加工テーブル9、台座12、固定治具13などを実線により描いている。
【0029】
加工機1の外にはロボット4が設置されている。ロボット4は、例えば垂直多関節ロボットである。ロボット4の先端部には切粉回収ハンド3が取付けられている。筐体10の一側部のドア11を開放したとき、ロボット4を動作させて切粉回収ハンド3を筐体10の外部から内部へ、さらに筐体10の内部から外部へ移動させる。切粉回収ハンド3は、筐体10内に在る切粉Xを、把持動作または、掬い上げ動作により回収する。ロボット4のベース部付近には、切粉回収ハンド3により回収された切粉を収容する屑箱14が設置されている。なお、本実施形態ではロボット4を筐体10の外に設置しているが、加工機1の筐体4内にロボット4を設置していてもよい。
【0030】
加工機制御部2は、ワークWの加工に用いる情報、例えば加工経路、加工品種、加工ツールなどが記述された複数の加工プログラムと、加工プログラム毎に用意され、切粉回収ハンド3により切粉を回収すべき領域が記述された複数の切粉回収プログラムP1と、を記憶している。
さらに、加工機制御部2は、加工プログラムに従ってワークWを加工した後に切粉の回収が必要であるか否かを判定する。そして加工機制御部2は、切粉の回収が必要であると判定した場合、その加工プログラムに対応する切粉回収プログラムP1に従って切粉回収ハンド3を動作させることにより、切粉を回収する。
【0031】
また、加工機制御部2は、切粉の回収が必要であると判定した場合、ワークWの加工が完了した後に、筐体10の一側部のドア11を開放する。さらに加工機制御部2は、加工機通信部6およびロボット通信部7によって、ドア11が開放されたことをロボット制御部5に通信する。
【0032】
ロボット制御部5は、切粉回収プログラムP1に従い、切粉回収ハンド3を筐体10の一側部から筐体10内に侵入させる。さらに、ロボット制御部5は、ロボット4の切粉回収ハンド3を動作させ、筐体10内の固定治具13およびその周辺の切粉を回収する。このとき、切粉回収ハンド3は、把持動作または掬い上げ動作により切粉を回収する。その後、ロボット制御部5は、切粉回収ハンド3を筐体10の外の屑箱14に移動させた後、切粉回収ハンド3を動作させて切粉回収ハンド3上の切粉を屑箱14内に投下する。また、ロボット制御部5は、ロボット4を用いることにより、筐体10内の加工済のワークWを未加工のワークWに交換する。
【0033】
さらに、ロボット制御部5は、ロボット通信部7および加工機通信部6により、筐体10内の切粉の除去が完了したことを加工機制御部2に通信する。これにより、加工機制御部2は、筐体10の一側部のドア11を閉鎖する。そして、加工機制御部2は、加工プログラムに従って加工ツール8および加工テーブル9を動作させることにより、未加工のワークWを加工する。
【0034】
次に、第1実施形態の加工機システムの動作について、より詳しく説明する。
図2Aおよび
図2Bは、第1実施形態の加工機システムの動作フローを示すフローチャートである。但し、第1実施形態の加工機システムの動作フローを
図2Aおよび
図2Bに分割して示している。そして、両図間で同じ番号が付された結合子は、
図2Aおよび
図2Bに示した動作フローが結合する箇所を意味している。なお、以下に説明する動作フローの初期状態では切粉は加工機1内に存在しておらず、未加工のワークWが固定治具13により固定されているものとする。
【0035】
作業者が加工機システムのスタートボタン(不図示)を押す、または、スタート指令が外部から加工機システムに伝達される。すると、加工機制御部2は加工機1のスタート処理を行い、加工ツール8が作動してワークWの加工が開始される(
図2AのステップS1)。さらに、ロボット制御部5はロボット4のスタート処理を行う(
図2BのステップS21)。
【0036】
さらに、加工機制御部2は、切粉の堆積量を評価するスコアSKを初期化する(
図2AのステップS2)。つまり、スコアSKをゼロにする。なお、スコアSKとは、切粉の堆積量をその程度に応じて評価したものを意味する。スコアSKが大きいほど切粉の堆積量が多い。
【0037】
そして、加工機制御部2は、ワークWの加工に対応する加工プログラムを起動する(
図2AのステップS3)。加工プログラムには、加工状態、加工経路、加工速度、および、その他の情報が含まれている。加工機制御部2は、加工プログラムに応じて、切粉の排出量を評価するスコアSを算出して取得する(
図2AのステップS4)。なお、スコアSとは、切粉の排出量をその程度に応じて評価したものを意味しており、スコアSが大きいほど、その加工プログラム実行によりワークから排出される切粉の排出量が多い。
なお、加工プログラムからスコアSを算出する方法については、後で例示する。
【0038】
次に、加工機制御部2は、算出されたスコアSをスコアSKに加算し、その結果を算出する(
図2AのステップS5)。それから加工機制御部2は、算出されたスコアSKを設定値N1と比較する(
図2AのステップS6)。その結果、算出されたスコアSKが設定値N1よりも大きい場合には、加工機制御部2はロボット制御部5へ切粉回収起動信号を出力する(
図2AのステップS7)。なお、設定値N1は、加工テーブル9上に堆積した切粉を回収すべきか否かを判定するための閾値であり、以下では堆積限界値と呼ぶこととする。
【0039】
上述したステップS6において、スコアSKが堆積限界値N1と同じか、または堆積限界値N1よりも小さい場合には、切粉の回収は必要ないと判断される。したがって、ステップS6の後の動作がステップS12になる。
【0040】
さらに、ステップS7の後、加工機制御部2は、加工プログラムとスコアSKとによって、切粉回収プログラムP1を決定する(
図2AのステップS8)。
具体的には、複数の加工プログラムに対応する複数の切粉回収プログラムP1が予め作成されてロボット制御部5に記憶されている。加工プログラムおよび切粉回収プログラムP1にはそれぞれ番号が付されている。一方、加工機制御部2には、番号が付された複数の加工プログラムと、各々の加工プログラムに対応する切粉回収プログラムP1の番号とが記憶されている。さらに、加工機制御部2は、前述したステップS5にて算出されたスコアSKと、スコアSKの算出に使用された加工プログラムの番号とを対応付けて記憶している。
そのため、加工機制御部2は、スコアSKの入力により、スコアSKの算出に使用された加工プログラムに対応する切粉回収プログラムP1の番号を決定することができる。つまり、ロボット制御部5における複数の切粉回収プログラムP1のうちの一つが選択される。
【0041】
なお、切粉回収プログラムP1内には、加工テーブル9に対して切粉回収ハンド3を移動させるべき範囲と、切粉回収ハンド3の動作とが記述されている。切粉回収プログラムP1の作成方法については、後で説明することとする。
【0042】
さらに、加工機制御部2は切粉回収プログラムP1の番号をロボット制御部5へ出力する(
図2AのステップS9)。それから、加工機制御部2は、ロボット制御部5からの、切粉の回収完了を示す切粉回収完了信号を待機する(
図2AのステップS10)。切粉回収完了信号が入力されているならば、加工機制御部2はスコアSKを初期化する(
図2AのステップS11)。その後、起動させた加工プログラムの終了に伴い、ワークWの加工が完了する(
図2AのステップS12)。
【0043】
ステップS12の後、加工済のワークWを未加工のワークWと交換する。そのため、加工機制御部2は加工テーブル9を駆動して、加工済のワークWを加工機1内のワーク交換位置(不図示)に配置させる(
図2AのステップS13)。本実施形態では、加工済のワークWをワーク交換位置に移動させている間は、加工済のワークWを固定治具13のクランプ機構により固定している。そして、ワーク交換位置に加工済のワークWが移動した後、加工機制御部2は加工済のワークWを固定治具13のクランプ機構から解放する。さらに加工機制御部2は、加工機1の筐体10のドア11を開放する。
【0044】
さらに、加工機制御部2はワークWの交換を許可するための交換許可信号をロボット制御部5に出力する(
図2AのステップS14)。それから、加工機制御部2は、ロボット制御部5からの、ワークWの交換完了を示す交換完了信号を待機する(
図2AのステップS15)。
【0045】
一方、ロボット4は動作をスタートさせられる状態にある(
図2BのステップS21)。
図2Bに示すように、ロボット制御部5は、ステップS21の後に交換許可信号が入力されているか否かを確認している(
図2BのステップS22)。そして、ロボット制御部5は、交換許可信号の入力が有ると判断すると、切粉回収起動信号が入力されているか否かを確認する(
図2BのステップS23)。切粉回収起動信号が入力されているならば、ロボット制御部5は、
図2AのステップS9から出力されている切粉回収プログラムP1を実行する(
図2BのステップS24)。ロボット制御部5は、切粉回収プログラムP1に従って切粉回収ハンド3を移動および動作させて、筐体10内のワークW上および固定治具13周辺の切粉を除去する。
【0046】
ステップS24の後、ロボット制御部5は、切粉の回収完了を示す切粉回収完了信号を出力する(
図2BのステップS25)。その後、ロボット制御部5は、ワーク交換プログラムを実行する(
図2BのステップS26)。また、ワーク交換プログラムは、前述のステップS23において切粉回収起動信号の入力が無い場合には直ちに実行される。
本実施形態の切粉回収ハンド3は、ワーク交換を実施できる把持機能を備えている。このため、ロボット制御部5は切粉回収ハンド3の把持機構により、ワーク交換位置に在る加工済のワークWを未加工のワークWと交換する。
【0047】
そのような把持機能が切粉回収ハンド3に備えられていない場合には、ロボット制御部5は、ハンドチェンジャ(不図示)によって、ロボット4の先端部の切粉回収ハンド3をワーク交換用ハンドに交換する。そして、ワーク交換用ハンドにより、ワーク交換位置に在る加工済のワークWが未加工のワークWと交換される。ワーク交換後、ワーク交換用ハンドは切粉回収ハンド3に交換される。
【0048】
ワークWの交換が完了した後、ロボット制御部5は、交換完了信号を加工機制御部2に出力する(
図2BのステップS27)。一方、加工機制御部2は、交換完了信号が入力されているか否かを確認する(
図2AのステップS15)。交換完了信号が入力されているならば、加工機制御部2は、加工機1の筐体10のドア11を閉鎖し、固定治具13のクランプ機構によってワークWを固定する。さらに加工機制御部2は、加工テーブル9を駆動して、ワークWをワーク交換位置から加工位置に配置させる(
図2AのステップS16)。その後、加工機制御部2はステップS3に戻り、交換された未加工のワークWに対応する加工プログラムを起動する。
【0049】
以上に説明した第1実施形態では、切粉の回収が必要であるか否かの判定(ステップS4〜ステップS6)と、切粉回収ハンド3を移動および動作させるための切粉回収プログラムP1の選択(ステップS7〜ステップS11)とを、加工機制御部2にて実施している。しかし、これらの処理をロボット制御部5にて実施しても構わない。
【0050】
さらに、第1実施形態によれば、加工プログラムの内容から切粉の堆積量を取得し、その取得された堆積量に応じて、切粉の回収の要否を判定している。そして、切粉の回収が必要と判定された場合、加工完了の後にロボットを動作させて切粉を切粉回収ハンドにより回収している。そのため、加工の完了後に切粉の回収が必要となったときだけ、切粉の回収を実施するので、加工していない時間が減少し、生産効率が向上する。また、加工機を停止させて作業者が切粉を除去するといった作業を削減することができる。つまり、長時間の無人運転が可能となるため、生産コストの削減も可能となる。また、第1実施形態では、切粉の堆積量検出するための装置をロボット4の先端付近に取付ける必要がないので、加工機システムを安価に製造できる。
【0051】
次に、スコアSの算出方法について述べる。
上述した第1実施形態では、
図2AのステップS4に示されるように、加工プログラムを参照して、切粉の排出量を評価するスコアSを算出している。また、加工を繰返す場合には、
図2AのステップS5に示されるように、スコアSを加工プログラムの起動の度に累積させてスコアSKを算出している。
【0052】
加工プログラムには、加工状態、加工経路、加工品種、加工時間、加工速度、および加工ツールなどの情報が記述されている。このため、加工プログラムによりスコアSを算出する場合、加工状態、加工経路、加工品種、加工時間、加工速度、および加工ツールなどの要素のうちの少なくとも1つを参照して、スコアSを算出する。
【0053】
例えば、加工状態に関しては、加工機の主軸の回転数、刃の切込み量、および加工テーブルの移動量が加工プログラム内に記述されている。そのような主軸の回転数、刃の切込み量などが大きいほど切粉量が多くなると仮定して、起動された加工プログラムに対してスコアSを算出する。例えば、刃の切込み量が1mm〜5mmの範囲である場合の評価を最小スコア「1」とする。そして、加工プログラムに記述されている刃の切込み量に応じて、最小スコアに掛ける係数を変えることにより、スコアSを算出する。
【0054】
また、加工経路に関しては、加工ツールが加工する加工経路が長いほど切粉量が多くなると仮定して、起動された加工プログラムに対してスコアSを算出する。例えば、ある長さの加工経路に対する評価を最小スコア「1」とする。そして、加工プログラムから分かる加工経路の長さに応じて、最小スコアに掛ける係数を変えることにより、スコアSを算出する。
【0055】
また、加工品種に関しては、ワークWの形状および、ワークWの材質、例えばアルミニウム、鋳鉄、亜鉛合金などに応じて、切粉の堆積場所、切粉の形状、および切粉の排出量が変わる。具体的には、形状もしくは材質が異なる2つのワークWを用意し、両ワークWに関する加工状態、加工経路、および加工ツールを同じにして、それぞれのワークWを加工する。そのような加工後、2つのワークWの間では切粉の堆積場所、切粉の形状、および切粉の排出量が異なることがある。そこで、複数の加工品種について、加工品種と切粉の排出量との相関関係を予め調べておく。ある加工品種に対する評価を最小スコア「1」とし、加工プログラムから分かる加工品種に応じて、最小スコアに掛ける係数を変えることにより、スコアSを算出する。
【0056】
また、加工時間に関しては、加工時間に比例して切粉が生成されると仮定して、起動された加工プログラムに対してスコアSを算出する。例えば、ある加工時間に対する評価を最小スコア「1」とする。そして、加工プログラムから分かる加工時間に応じて、最小スコアに掛ける係数を変えることにより、スコアSを算出する。
【0057】
加工速度に関しては、主軸の回転数と刃の送り量との積から切粉の排出量を評価することができる。そのため、主軸の回転数と刃の送り量との積が所定の値である場合の評価を最小スコア「1」とする。そして、加工プログラムから、主軸の回転数と刃の送り量とを読取り、その主軸の回転数と刃の送り量との積に応じて、最小スコアに掛ける係数を変えることにより、スコアSを算出する。
【0058】
加工ツールに関しては、加工ツールの種類により切粉の排出量は異なる。例えば、フライス加工とタップ加工とを比較すると、フライス加工では大量の切粉が発生するが、タップ加工では切粉の発生量は比較的少ない。さらに、切粉が飛散する範囲については、フライス加工では切粉が広く飛散するが、タップ加工では切粉の飛散する範囲が狭い。このため、タップ加工に用いられる加工ツールを最小スコア「1」とする。また、複数の加工ツールについて、加工ツールと切粉の排出量との相関関係を予め調べておく。そして、加工プログラムから加工ツールの種類を読取り、その加工ツールに応じて、最小スコアに掛ける係数を変えることにより、スコアSを算出する。
【0059】
次に、切粉回収プログラムP1の作成方法について説明する。
切粉回収プログラムP1は各々の加工プログラムに対応するように予め作成されて、加工機制御部2またはロボット制御部5に記憶されている。第1実施形態では切粉回収プログラムP1の内容をロボット制御部5に記憶しているが、切粉回収プログラムP1の記憶場所は限定されない。したがって、切粉を回収させる指令の主体は加工機制御部2とロボット制御部5のどちらでもよい。
【0060】
切粉回収プログラムP1には、切粉が堆積する加工テーブル9に対して切粉回収ハンド3を移動させるべき範囲と、切粉回収ハンド3の動作とが記述されている必要がある。切粉を回収するときの切粉回収ハンド3の移動範囲は、起動させた加工プログラムに応じて規定されている。
【0061】
前述したとおり、加工プログラムには、加工状態、加工経路、加工品種、加工時間、加工速度、および加工ツールなどの情報が記述されている。また、ワークWの加工中に発生する切粉は、ワークWが加工される加工経路から飛散して、加工テーブル9上のワークWおよび固定治具13周辺に堆積する。そのため、加工プログラム毎に加工経路からの切粉の飛散範囲が変わると考えて、加工プログラム毎に、加工プログラム内の情報に基づいて切粉の飛散範囲を規定する。例えば、加工経路を中心とする所定の幅の領域を切粉の飛散範囲とする。
そして、加工プログラム毎に切粉回収プログラムP1を用意し、各々の切粉回収プログラムP1内に、加工経路に対する切粉の飛散範囲を切粉回収ハンド3の移動範囲として記述する。以上のような切粉回収プログラムP1は、ティーチングまたはオフラインプログラミングにより作成される。
【0062】
また、切粉回収プログラムP1には切粉回収ハンド3の動き方も、切粉回収ハンド3として選択される装置の構造および機構に応じて記述されている。第1実施形態では、切粉回収ハンド3が切粉を把持する動作または掬い上げる動作を行うものとしたが、本発明はこれらの動作に限定されるものではない。磁性金属製のワークを加工する場合には、切粉回収ハンド3は電磁石を利用して切粉を吸着する動作を行うものであってもよい。また、切粉を吸引する吸引ノズルを切粉回収ハンド3に取付けてもよい。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を示す。但し、ここでは、第1実施形態と同じ構成要素には同一符号を使用して、第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
図3は第2実施形態の加工機システムを示す正面図である。
図3に示すように、第2実施形態の加工機システムは、第1実施形態の加工機システムの構成に対して、視覚センサ15をさらに備えている。視覚センサ15はロボット4の先端付近に取付けられている。視覚センサ15は、加工テーブル9上の、加工されたワークWおよびその周辺を撮像する。第2実施形態では、視覚センサ15で撮像された画像データから、加工テーブル9上の切粉の堆積領域および堆積量を取得し、取得された堆積領域および堆積量に応じて切粉の回収を行う。
【0064】
次に、第2実施形態の加工機システムの動作について、詳しく説明するする。
図4Aおよび
図4Bは第2実施形態の加工機システムの動作フローを示すフローチャートである。但し、第2実施形態の加工機システムの動作フローを
図4Aおよび
図4Bに分割して示している。そして、両図間で同じ番号が付された結合子の記号は、
図4Aおよび
図4Bに示した2つの動作フローが結合する箇所を表している。なお、以下に説明する動作フローは、初期状態では切粉は加工機1内に存在しておらず、未加工のワークWが固定治具13により固定されているものとする。
【0065】
作業者が加工機システムのスタートボタン(不図示)を押す、または、スタート指令が外部から加工機システムに伝達される。すると、加工機制御部2は加工機1のスタート処理を行い、加工ツール8が作動してワークWの加工が開始される(
図4AのステップS31)。さらに、ロボット制御部5はロボット4のスタート処理を行う(
図4BのステップS38)。
【0066】
そして、加工機制御部2は、ワークWの加工に対応する加工プログラムを起動する(
図4AのステップS32)。その後、起動させた加工プログラムの終了に伴い、ワークWの加工が完了する(
図4AのステップS33)。
【0067】
ステップS33の後、加工済のワークWを未加工のワークWと交換する。そのため、加工機制御部2は加工テーブル9を駆動して、加工済のワークWを加工機1内のワーク交換位置(不図示)に配置させる(
図4AのステップS34)。本実施形態では、加工済のワークWをワーク交換位置に移動している間、加工済のワークWを固定治具13のクランプ機構により固定している。そして、ワーク交換位置に加工済のワークWが移動した後、加工機制御部2は加工済のワークWを固定治具13のクランプ機構から解放する。さらに加工機制御部2は、加工機1の筐体10のドア11を開放する。
【0068】
さらに、加工機制御部2はワークWの交換を許可するための交換許可信号をロボット制御部5に出力する(
図4AのステップS35)。それから、加工機制御部2は、ロボット制御部5からの、ワークWの交換完了を示す交換完了信号を待機する(
図4AのステップS36)。
【0069】
一方、ロボット4は動作をスタートさせられる状態にある(
図4BのステップS38)。
図4Bに示すように、ロボット制御部5は、ステップS38の後に交換許可信号が入力されているか否かを確認している(
図4BのステップS39)。そして、ロボット制御部5は、交換許可信号の入力が有ると判断すると、視覚センサ15を起動するとともに切粉堆積探査プログラムPS1を実行する(
図4BのステップS40)。
【0070】
つまり、ステップS40では、加工が完了して加工機1の筐体10のドア11が開放されたら(ステップS33〜ステップS35)、視覚センサ15を加工機1内に侵入させる。そして、視覚センサ15が取付けられたロボット先端部を固定治具13の形状に応じた経路に沿って移動し、視覚センサ15により、ワークW上および固定治具13周辺に堆積されている切粉の状態を撮像する。なお、切粉堆積探査プログラムPS1内には、視覚センサ15の移動経路として、固定治具13の形状に応じた経路が記述されている。
なお、加工の完了後に視覚センサ15を加工機1内に配置しているため、切粉が飛散していないときにワークW上および固定治具13周辺を撮像できる。つまり、切粉が視覚センサ15の視界を遮って視覚センサ15の撮像精度が低下することを防止できる。また、加工テーブル9全体を撮像できる位置まで視覚センサ15を移動させ、その位置で撮像してもよい。
【0071】
さらに、ロボット制御部5は、視覚センサ15によって撮像された画像データを用いて、スコアSKと堆積領域データSAとをそれぞれ算出して取得する(
図4BのステップS41)。それから、ロボット制御部5は算出されたスコアSKを堆積限界値N2と比較する(
図4BのステップS42)。その結果、算出されたスコアSKが堆積限界値N2よりも大きい場合には、ロボット制御部5は切粉回収動作を行う。
一方、上述したステップS42において、スコアSKが堆積限界値N2と同じか、または堆積限界値
N2よりも小さい場合には、切粉の回収は必要ないと判断される。その場合には、ステップS42の後に直ぐにワーク交換プログラムが実行される(
図4BのステップS46)。
【0072】
堆積領域データSAに関しては、切粉堆積探査プログラムPS1を実行する前に、加工経路に沿った領域を視覚センサ15により撮像して、当該領域の画像データをロボット制御部5に記憶しておく。そして、切粉堆積探査プログラムPS1を実行する前と後の画像データどうしを比較することにより、切粉が堆積している領域を検知できる。したがって、その検知された領域を堆積領域データSAとして生成して取得する。
【0073】
さらに、視覚センサ15を用いて、加工テーブル9に対して垂直な方向および水平な方向から固定治具13を撮像することにより、加工テーブル9上に堆積した切粉の領域だけでなく、堆積した切粉の高さも検知できる。したがって、スコアSKに関しては、ある切粉の高さに対する評価を最小スコア「1」とし、検知した切粉の高さに応じて、最小スコアに掛ける係数を変えることにより、スコアSKを算出して取得する。
【0074】
次に、切粉回収動作を実施するため、ロボット制御部5はスコアSKと堆積領域データSAとを参照して、切粉回収プログラムP2を決定する(
図4BのステップS43)。具体的には、複数の堆積領域データSAにそれぞれ対応する複数の切粉回収プログラムP2が予め作成されてロボット制御部5に記憶されている。さらに、ロボット制御部5は、前述したステップS41にて算出されたスコアSKと堆積領域データSAとを対応付けて記憶している。そのため、ロボット制御部5では、スコアSKの入力により、堆積領域データSAに対応する切粉回収プログラムP2が複数の切粉回収プログラム
P2内から選択される。
なお、切粉回収プログラムP2には、加工テーブル9に対して切粉回収ハンド3を移動させるべき範囲と、切粉回収ハンド3の動作とが記述されている。
【0075】
そして、ロボット制御部5は、切粉回収プログラムP2を実行する(
図4BのステップS44)。ロボット制御部5は、切粉回収プログラムP2に従ってロボット4および切粉回収ハンド3を動作させて、筐体10内の加工テーブル9上の切粉を除去する。具体的には、ロボット4の切粉回収ハンド3が、加工機1の筐体10内の切粉を把持もしくは掬い上げて、筐体10の外の屑箱14へ捨てる。
【0076】
ステップS44の後、ロボット制御部5はスコアSKを初期化する(
図4BのステップS
45)。次にロボット制御部5は、ワーク交換プログラムを実行する(
図4BのステップS46)。本実施形態の切粉回収ハンド3は、ワーク交換を実施できる把持機能を備えている。このため、ロボット制御部5は切粉回収ハンド3の把持機構により、ワーク交換位置に在る加工済のワークWを未加工のワークWと交換する。
そのような把持機能が切粉回収ハンド3に備えられていない場合には、ロボット制御部5は、ハンドチェンジャ(不図示)によって、ロボット4の先端部の切粉回収ハンド3をワーク交換用ハンドに交換する。そして、ワーク交換用ハンドによって、ワーク交換位置に在る加工済のワークWが未加工のワークWと交換される。ワーク交換後、ワーク交換用ハンドは切粉回収ハンド3に交換される。
【0077】
ワークWの交換が完了した後、ロボット制御部5は、交換完了信号を加工機制御部2に出力する(
図4BのステップS47)。一方、加工機制御部2は、交換完了信号が入力されているか否かを確認する(
図4AのステップS36)。交換完了信号が入力されているならば、加工機制御部2は、加工機1の筐体10のドア11を閉鎖し、固定治具13のクランプ機構によってワークWを固定する。さらに加工機制御部2は、加工テーブル9を駆動して、ワークWをワーク交換位置から加工位置に配置させる(
図4AのステップS37)。その後、加工機制御部2はステップS32に戻り、未加工のワークWに対応する加工プログラムを起動する。
【0078】
以上に説明した第2実施形態によれば、視覚センサを用いて切粉の堆積量および堆積領域を取得し、その取得された堆積量に応じて、切粉の回収動作の要否を判定している。さらに、切粉の回収動作を実施する場合、加工完了の後に、その取得された堆積領域の切粉をロボットの切粉回収ハンドにより回収している。そのため、加工の完了後に切粉の回収が必要となったときだけ、切粉の回収を実施するので、加工していない時間が減少し、生産効率が向上する。また、加工機を停止させて作業者が切粉を除去するといった作業を削減することができる。つまり、長時間の無人運転が可能となるため、生産コストの削減も可能となる。
特に第2実施形態では、視覚センサにより撮像された画像データから切粉の堆積領域を取得し、その取得された堆積領域の切粉をロボットにより回収している。それにより、切粉の回収が必要な場所だけを清掃するので、無駄な清掃時間が発生せず、生産効率が向上する。
【0079】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を示す。ここでは、第1または第2の実施形態と同じ構成要素には同一符号を使用して、第1または第2の実施形態とは異なる点を主に説明する。
第3実施形態の加工機システムは、
図3に示される第2実施形態の加工機システムと同一の構成要素を備えている。
但し、第3実施形態では、ロボット制御部5が切粉回収プログラムP2を実行した後、再度、視覚センサ15を使用しながら切粉堆積探査プログラムPS1を実行して、切粉の堆積量および堆積領域を取得する。その結果、取得された切粉の堆積量が所定の設定値よりも大きい場合は切粉回収プログラムP2を再度実行する。また、そのような切粉回収プログラムP2の実行を、取得された切粉の堆積量が所定の設定値よりも小さくなるまで繰り返す。
【0080】
さらに、第3実施形態の加工機システムの動作について詳しく説明する。但し、第3実施形態の加工機システムの動作はロボットの動作を除いて第2実施形態の加工機システムの動作と同じであるため、ここでは、第2実施形態とは異なるロボットの動作についてのみ述べる。
【0081】
図5は第3実施形態の加工機システムが備えるロボットの動作フローの特徴部を示すフローチャートである。特に
図5は、
図4Bに示されているステップS40〜ステップ45の動作フローに替わるものを示している。また、
図5中の各ステップの符号に関して、
図4Bと同一のステップには同一の符号を使用している。
【0082】
図5に示すように、ロボット制御部5は、交換許可信号の入力が有ると判断すると、視覚センサ15を起動するとともに切粉堆積探査プログラムPS1を実行する(
図5のステップS40)。ステップS40では、視覚センサ15が取付けられたロボット先端部が固定治具13の形状に応じた経路に沿って移動し、視覚センサ15により、ワークW上および固定治具13周辺に堆積されている切粉の状態が撮像される。つまり、切粉堆積探査プログラムPS1内には、視覚センサ15の移動経路として、固定治具13の形状に応じた経路が記述されている。
なお、加工の完了後に視覚センサ15を加工機1内に配置しているため、切粉が飛散していないときにワークW上および固定治具13周辺を撮像できる。つまり、切粉が視覚センサ15の視界を遮って視覚センサ15の撮像精度が低下することを防止できる。また、加工テーブル9全体を撮像できる位置まで視覚センサ15を移動させ、その位置で撮像してもよい。
【0083】
さらに、ロボット制御部5は、視覚センサ15によって撮像された画像データを用いて、スコアSKと堆積領域データSAとをそれぞれ算出して取得する(
図5のステップS41)。スコアSKおよび堆積領域データSAの算出方法は第2実施形態と同じである。ステップS41の後、ロボット制御部5は算出されたスコアSKを堆積限界値N2と比較する(
図5のステップS42)。その結果、算出されたスコアSKが堆積限界値N2よりも大きい場合には、ロボット制御部5は切粉回収動作を行う。
【0084】
次に、切粉回収動作を実施するため、ロボット制御部5はスコアSKと堆積領域データSAとを参照して、切粉回収プログラムP2を決定する(
図5のステップS43)。具体的には、複数の堆積領域データSAにそれぞれ対応する複数の切粉回収プログラムP2が予め作成されてロボット制御部5に記憶されている。さらに、ロボット制御部5は、前述したステップS41にて算出されたスコアSKと堆積領域データSAとを対応付けて記憶している。そのため、ロボット制御部5では、スコアSKの入力により、堆積領域データSAに対応する切粉回収プログラムP2が複数の切粉回収プログラムP1内から選択される。
なお、切粉回収プログラムP2には、加工テーブル9に対して切粉回収ハンド3を移動させるべき範囲と、切粉回収ハンド3の動作とが記述されている。
【0085】
次に、ロボット制御部5は、切粉回収プログラムP2を実行する(
図5のステップS44)。ロボット制御部5は、切粉回収プログラムP2に従ってロボット4および切粉回収ハンド3を動作させて、筐体10内の加工テーブル9上の切粉を除去する。具体的には、ロボット4の切粉回収ハンド3が、加工機1の筐体10内の切粉を掬い上げ、筐体10の外の屑箱14へ捨てる。
【0086】
ステップS44の後、ロボット制御部5は、再び、視覚センサ15を起動するとともに切粉堆積探査プログラムPS1を実行する(
図5のステップS51)。そして、ロボット制御部5は、視覚センサ15によって撮像された画像データを用いて、スコアSKと堆積領域データSAとをそれぞれ算出して取得する(
図5のステップS52)。スコアSKおよび堆積領域データSAの算出方法は第2実施形態と同じである。
さらに、ロボット制御部5は算出されたスコアSKを堆積限界値N2と比較する(
図5のステップS42)。その結果、算出されたスコアSKが堆積限界値N2よりも大きい場合には、ロボット制御部5は再び、堆積領域データSAに対応する切粉回収プログラムP2を選択し(
図5のステップS43)、当該切粉回収プログラムP2を実行する(
図5のステップS44)。
【0087】
以上のようなステップS42、ステップS43、ステップS44、ステップS51、およびステップS52は、算出されたスコアSKが堆積限界値N2と同じか、または堆積限界値N1よりも小さくなるまで繰返される。このため、第3実施形態によれば、第2実施形態と比べて、加工機内に残留する切粉を減少させることができる。また、第3実施形態は、切粉の堆積量が多く、一回の回収動作では切粉を十分に回収できない場合に特に有利である。
【0088】
その後、ロボット制御部5は、ワーク交換プログラムを実行する(
図5のステップS46)。なお、上述したステップS42において、スコアSKが堆積限界値N2より小さい場合には、切粉の回収は必要ないと判断される。その場合には、ステップS42の後に直ぐにワーク交換プログラムが実行される。
ワークWの交換が完了した後、ロボット制御部5は、交換完了信号を加工機制御部2に出力する(
図5のステップS47)。
【0089】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を示す。但し、ここでは、第1から第3実施形態と同じ構成要素には同一符号を使用して、第1から第3実施形態とは異なる点を主に説明する。
図6は第4実施形態の加工機システムを示す正面図である。
図6に示すように、第4実施形態の加工機システムは、第3実施形態の加工機システムの構成に対して、清掃ブラシ16をさらに備えている。清掃ブラシ16もまた、視覚センサ15と同様にロボット4の先端付近に取付けられている。ロボット4の先端を移動させることにより、清掃ブラシ16によって加工テーブル9上の台座12および固定治具13を掃くことができる。また、清掃ブラシ16は、ロボット4の先端部内に収納されていて、清掃時にロボット4の先端部の内部から外部へ駆動されることが好ましい。清掃ブラシ16の駆動装置にはエアシリンダや電動モータなどを使用できる。
【0090】
次に、第4実施形態の加工機システムの動作について説明する。但し、第4実施形態の加工機システムの動作はロボットの動作を除いて
第2および
第3の実施形態の加工機システムの動作と同じであるため、ここでは、
第2および
第3の実施形態とは異なるロボットの動作についてのみ述べる。
【0091】
図7は第4実施形態の加工機システムが備えるロボットの動作フローの特徴部を示すフローチャートである。特に
図7は、
図4Bおよび
図5に示されているステップS46に替わるものだけを示している。また、
図7中のステップS47は、
図4B中のステップS47と同じである。
【0092】
図4Bおよび
図5中のステップ45の代わりに、ロボット制御部5は、
図7に示されるステップS71〜ステップS73に従ってロボット4を動作させる。具体的には、ロボット制御部7は、加工済ワーク取出プログラムを実行する(ステップS71)。それにより、ロボット制御部5は、切粉回収ハンド3の把持機構により、ワーク交換位置に在る加工済のワークWを固定治具13から取外す。その後、ロボット制御部5は、ロボット4により、加工済のワークWを筐体10の外へ搬出する。
【0093】
次に、ロボット制御部5は、固定治具13の台座12上に堆積されている切粉を清掃する治具清掃プログラムPC1を実行する(ステップS72)。治具清掃プログラムPC1は、台座12を含む固定治具13の形状に応じて清掃ブラシ16の移動および動作を制御するように、ロボット制御部5に予め記憶されている。本実施形態では、ロボット4はロボット先端部の外に清掃ブラシ16を配置し、清掃ブラシ16により台座12上の切粉を払出して台座12上から切粉を除去する。
【0094】
切粉が固定治具13上に残留している状態にて固定治具13からワークWが取外されると、台座12の、ワークWを載置していた面に切粉が落下する場合がある。この場合、未加工のワークWを固定治具13の台座12上に配置して、未加工のワークWをクランプ機構により固定すると、台座12と未加工のワークWとの間に切粉が挟込まれてしまう。その結果、台座12に対して未加工のワークWが密着せず、浮いた位置に固定される。この状態において未加工のワークWを加工すると、目的の形状とは異なる加工品が生成される。このため、ワークが取外された後の固定治具13を清掃することが望ましい。本実施形態では、加工済のワークWが取外された固定治具13をロボット4により清掃するので、生産効率の向上、および長時間の無人化を図ることができる。
【0095】
固定治具13の清掃後、ロボット制御部5は、未加工ワーク取付プログラムを実行する(ステップS73)。それにより、ロボット制御部5は切粉回収ハンド3の把持機構により、ワーク交換位置に在る固定治具13の台座12に未加工のワークWを載置する。未加工のワークWは固定治具13のクランプ機構により固定される。
ワークWの交換が完了した後、ロボット制御部5は、交換完了信号を加工機制御部2に出力する(
図7のステップS47)。
【0096】
以上では典型的な実施形態を示したが、本発明は上述の各実施形態に限定されず、本発明の思想を逸脱しない範囲で上述の各実施形態を様々な形、構造や材料などに変更可能である。