(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記液レベル検知装置のようにフロート31’がステム32’の外周面に沿って上下動する構成では、フロート31’及びステム32’の摺動部分の上部に塵埃が溜まってフロート31’の動きがスムーズでなくなる虞があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フロートが塵埃等の影響を受けずにスムーズに上下動するドレンポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係るドレンポンプ装置は、フロート本体と、前記フロート本体の上部に装着された磁石とを有するフロートと、上部が閉じつつ下向きに開放し、前記フロートの上部が下から挿入される囲み部と、前記囲み部の外側に配置され、前記フロートが上昇したときに前記磁石の磁力によって動作する動作スイッチと、前記動作スイッチの動作によって駆動又は停止するドレンポンプと、を備え
、前記囲み部は、前記フロートを挿入した状態において前記フロートの前記囲み部に挿入された部分の側面に沿って延びる側面部位と、前記側面部位の下端に繋がるフレア形状のフレア部位とを有する。
【0009】
本発明によれば、フロートがドレン水の水位に応じて囲み部内を上下動するように囲み部内に挿入されている。これによりフロートが上下動するときにフロートが囲み部の内面に接触することはあっても、フロートが囲み部の内面を摺動するわけではないので、囲み部内でフロートを円滑に上下動させることができる。しかも、囲み部の上部が閉じられていることにより、囲み部内に塵埃が入り込まないため、塵埃によってフロートの上下動が阻害されない。したがって、囲み部内でスムーズにフロートを上下動させることができ、ドレンポンプを適切なタイミングで作動させることができる。また、フロートが囲み部に拘束されていなくても、囲み部によってフロートの姿勢を一定範囲に収めることができる。
【0010】
上記ドレンポンプ装置は、囲み部の内面が平面状であれば、フロートの側面が囲み部の内面に接触した時に囲み部とフロートの側面との間に存在する表面張力によって固定され、フロートが上下動しにくくなることがあるかもしれない。
【0011】
このため、前記囲み部の内面に凹部又は凸部が形成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、囲み部内を上下動するフロートが囲み部の内面と接触するときに、フロートと囲み部との接触面積を減らすことができ、囲み部の内面及びフロート間に存在するドレン水の表面張力によってフロートの動きが悪化することを抑制することができる。
【0013】
上記ドレンポンプ装置は、水平に設置されることが好ましいが、状況によっては水平面に対してやや傾いた状態で設置されることもあり、この状態で設置された場合には、囲み部もドレン水の水平面に対して直角からやや傾く。一方、ドレン水の水面は常に水平面に平行となるため、フロートの上下動はドレン水の水面に対して垂直に動作する。したがって、この状態でフロートを上方に移動させると、囲み部が傾いていることに起因して囲み部の下端がフロートの側面に接触して引っかかることがあるかもしれない。
【0014】
そこで、上記フロートの上下動を円滑にすべく、
上記囲み部
の構成としている。
【0015】
この構成によれば、仮にドレンポンプ装置を傾いた状態で設置した場合でも、囲み部の下部がフレア形状であるため、囲み部の下端(つまりフレア部位の下端)とフロートの上部とが接触した時の接触角を小さくすることができ、囲み部内でフロートを上方に摺動しやすくすることができる。つまりフレア形状が囲み部の下側に形成されることで囲み部の下端がフロートの側面に引っかかることを抑制し、囲み部内でフロートを上方に摺動しやすくなる。しかも、フロートの上部がフレア部位に接触した時に、フロートの上部が側面部位に向かうようにフレア部位がガイドし、囲み部の側面部位に向けてフロートを滑らかに挿入することができる。またフロートの側面に沿って囲み部の側面部位が形成されていることにより、囲み部内の側面部位においてフロートをスムーズに上下動させることができる。
【0016】
上記構成において、好ましくは、側面部位には、前記側面部位を厚み方向に貫通する空気抜き孔が設けられている。
【0017】
上記構成によれば、空気抜き孔を通じて囲み部内の空気を囲み部外に逃がすことができるため、囲み部内の空気によって囲み部内のドレン水の水面が上昇しにくくなることを防止することができ、フロートの上下動を円滑に行うことができる。
【0018】
上記構成において、好ましくは、前記囲み部に取り付けられ、前記フロートが前記囲み部から抜け出ることを防止する抜け防止部材をさらに有する。
【0019】
上記構成によれば、ドレン水の水位が低下した状態又はドレン水がない状態でも、フロートが囲み部から抜け出ることを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ドレンポンプを適切なタイミングで確実に作動し得るドレンポンプ装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態のドレンポンプ装置1の構成について
図1〜
図6を参照して説明する。ドレンポンプ装置1は、空気調和装置の室内機からのドレン配管の途中に付設されるものであり、室内機の運転で生じたドレン水を回収し、回収したドレン水を所期の揚程(例えば5m〜12m程度の揚程)まで汲み上げて排出する用途に用いられる。
【0023】
<ドレンポンプの外観構造>
図1は、本実施形態に係るドレンポンプ装置1の外観を示す斜視図である。ドレンポンプ装置1は、上側が開口した断面コの字型の容器であるドレンタンク12と、当該ドレンタンク12の開口を塞ぐように取り付けられた平板状の矩形基板11と、ドレンタンク12の内部一側に設けられたドレンポンプ2と、を備えている。ドレンタンク12は、室内機の運転で生じたドレン水を貯留する。ドレンポンプ2は、ドレンタンク12に貯留されたドレン水を排出する。基板11は、各種の部品を搭載するベースであり、各種部品の取り付け孔やビス孔等を備えている。
【0024】
基板11には、ドレン水をドレンタンク12内に導入するための受入孔13と、ドレンタンク12に貯留されたドレン水を外部へ排出するための吐出ノズル14と、が設けられている。受入孔13は、基板11を貫通する円形の貫通孔である。
図1では、2つの受入孔13が基板11の短辺の近傍に設けられ、これらが蓋部材にて閉蓋されている例を示している。ドレンポンプ2がドレンタンク12から汲み上げたドレン水は吐出ノズル14から吐出される。この吐出ノズル14には、ドレン水の排水配管の一端が接続される。また、基板11の上面には、当該基板11に搭載される電気部品を覆うカバー15が取り付けられている。
【0025】
<ドレンポンプ装置の内部構造>
図2は、ドレンポンプ装置1の内部構造を示す一部切欠き斜視図である。
図2は、
図1とは斜視方向を反転し、内部構造の理解のためカバー15を取り除くとともにドレンタンク12の一部を切り欠いている。ドレンポンプ装置1は、上述のドレンポンプ2に加え、第1スイッチ3、第2スイッチ4、第3スイッチ5及び運転用リレー6を備えている。
【0026】
ドレンポンプ2は、駆動源としてのポンプモータ21と、このポンプモータ21により駆動されるインペラユニット22とを有する。ポンプモータ21は、基板11の上面にマウントされている。インペラユニット22は、円盤状のケーシングを有し、基板11の下面に吊り下げながら基板11に保持されている。ドレンタンク12内に所定量のドレン水が貯留されると、当該ドレン水にインペラユニット22は浸漬する。
【0027】
インペラユニット22は、インペラケーシング221と、当該インペラケーシング221内に収容されているインペラ223(
図3)とを含む。インペラ223は、ポンプモータ21の出力軸211に取り付けられている。インペラユニット22の下面における前記インペラに対向する位置には、ドレン水の吸い込み用の開口が設けられている。また、インペラユニット22の上面の側周部付近には、ドレン水の吐出口222が設けられている。この吐出口222と、上述の吐出ノズル14とが接続されている。
【0028】
ポンプモータ21に通電され、前記インペラに回転駆動力が与えられると、前記吸い込み用の開口からドレン水がインペラケーシング221内に吸い込まれる。そして、前記インペラの作用によって高圧とされたドレン水が、前記吐出口222を経由して吐出ノズル14から吐出される。
【0029】
第1スイッチ3及び第2スイッチ4はいずれも、ドレンタンク12内のドレン水の水位に応じて作動するフロートスイッチであり、ドレンポンプ2(ポンプモータ21)の運転制御に用いられる。第1スイッチ3は、ドレンタンク12内のドレン水の水位が予め定められた下限水位を超えるとONになり、前記下限水位以下になるとOFFになる。一方、第2スイッチ4は、ドレンタンク12内のドレン水の水位が予め定められた上限水位を超えるとONになり、前記上限水位以下になるとOFFになる。なお、上限水位及び下限水位は後述するドレンポンプ装置の動作説明時に併せて説明する。
【0030】
第1スイッチ3は、第1フロート31、第1囲み部32、第1リードスイッチ33及び第1抜け防止部材34を含む。同様に、第2スイッチ4は、第2フロート41、第2囲み部42、第2リードスイッチ43及び第2抜け防止部材44を含む。第1スイッチ3は第2スイッチ4よりも全体的に基板11に対して下方にシフトしている点が異なる他は同一で、つまり第1スイッチ3及び第2スイッチ4の各部の構成及び構造は同一である。第1、第2スイッチ3,4の各部の構造を以下に説明するが、当該説明において、「囲み部」、「フロート」、「リードスイッチ」、「抜け防止部材」と記すときはそれぞれ第1及び第2の両部材を意味するものとして用いている。
【0031】
囲み部32,42は、基板11と一体に形成されている。囲み部32,42は、基板11の下側及び上側(ドレンタンク12と反対側)に突出しており、上端が閉じつつ下向きに開放した直方体筒状部材である。この開放部分にフロート31,41が挿入されている。フロート31,41は、浮力によって水に浮かぶように構成されていて、ドレンタンク12に貯留されたドレン水の水位の変動に応じて囲み部32,42内を上下動する。つまり、フロート31,41は、囲み部32,42内に挿入されているだけであり、他の部材に拘束及び結合されていない。囲み部32,42の内部キャビティは、上方に向けて幅狭となる金型抜き勾配を有しており、その上下方向の長さは、フロート31,41の囲み部32,42に挿入される部分の上下方向の長さと略同じか若干短い。
【0032】
図3は基板11を下側(裏側)から見た斜視図であるが、囲み部32,42の内側面がわかるようにフロート31,41及び抜け防止部材34,44を外した状態を示している。
【0033】
囲み部32,42の内側面(つまりフロート31,41と接触する側の面)には、
図3に示すように、囲み部32,42の上下方向に延びる複数の凹部32a,42aが形成されており、この凹部32a,42a同士の間が凸部32b,42bになっている。この凹部32a,42a及び凸部32b,42bは、フロート31,41との接触面積を少なくするために設けられている。すなわち、フロート31,41が囲み部32,42内を上下動するとき、フロート31,41の側面は囲み部32,42の内面の凸部32b,42bに接触することはあるが、凹部32a,42aには接触しない。したがって、これらの凹凸によりフロート31,41の側面が囲み部32,42に接触した場合にも囲み部32,42の内面及びフロート間に存在するドレン水の表面張力が作用することなく、フロート31,41をスムーズに上下動させることができる。
【0034】
図4は、第1スイッチ3の縦断面図であり、
図5は、
図4の断面に垂直な面で第1スイッチ3を切断した縦断面図である。なお、第2スイッチ4の断面もほぼ同形状であるため図示は省略する。
【0035】
フロート31は、
図4及び
図5に示すように、フロート本体31aと、フロート本体31aの上部に装着された磁石35とを有する。フロート本体31aは、浮力によりドレン水に浮かぶように発泡樹脂で構成されている。発泡樹脂の一例としては、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等が挙げられる。
【0036】
磁石35は、直方体形状、円盤状、リング状等の種々の形状のものを用いることができる。フロート本体31aに磁石35を取り付ける方法は特に限定されず、例えばフロート成形用金型内の所定の位置に磁石35を予め配置した状態でインサート成形することにより、フロート本体31aの上部に磁石35が埋め込まれたフロート31を作製してもよいし、フロート本体31aを成形した後に、フロート本体31aの上部に磁石35を挿入することによりフロート31を作製してもよい。
【0037】
フロート31の体積をA(cm
3)とし、磁石35を含めたフロート31の重量をB(g)とすると、B/Aは1.2以上4以下を満たすように設計されている。このような数値範囲を満たすフロート31は、ドレン水の液面の変動に伴って円滑に上下動させやすい。B/Aが1.2以上であることにより、ドレン水中でフロート31が浮かびやすくなり、B/Aが4以下であることにより、ドレン水にフロート31の下部が適度に沈むため囲み部32を上方向(基板11から離れる側)に過度に大型化しなくてよい。上記B/Aは、1.4以上3以下を満たすことがより好ましく、さらに好ましくは1.7以上2.4以下である。
【0038】
フロート本体31aは、略円柱形状の底部311と、当該底部311の上面から上方に突出し、上方向に向かって水平断面が徐々に小さくなる略角柱形状の挿入部312と、とからなる。磁石35は、挿入部312の上端に取り付けられていることになる。
【0039】
底部311は、フロート31の浮力を高めるために挿入部312よりも一回り大きい寸法にしている。挿入部312は、囲み部32内に挿入される部分であり、囲み部32内に挿入された状態で、挿入部312の側面が囲み部32の内側との間に隙間ができるように囲み部32の内部キャビティよりも一回り小さい寸法としている。つまり、挿入部312の水平断面のサイズは、囲み部32の内部キャビティの水平断面のサイズよりも一回り小さくなっている。挿入部312の水平断面は囲み部32の内部キャビティの形状に対応するように矩形状である。挿入部312の上下方向の長さは、挿入部312の上部が囲み部の上端部322に当接しても、底部311は囲み部32の下部に接触しないような長さである。
【0040】
囲み部32は、フロート31の回り止めとなる内面形状を有しており、囲み部32にフロート31の挿入部312を挿入したときにフロート31の中心軸を中心にフロート31が囲み部32内で回転しないようにしている。具体的には、囲み部32の内部キャビティの水平断面の短辺を、フロート31の挿入部312の水平断面の長辺よりも短くしている。
【0041】
囲み部32は、
図5に示すように、フロート31の挿入部312を挿入した状態における挿入部312の側面に沿って延びる側面部位324と、側面部位324の下端に繋がるフレア形状のフレア部位325と、フレア部位325の下端の対向する辺に繋がり、フロート31と反対側に延びる一対の下端部位326とを有している。一対の下端部位326にはそれぞれ、下端部位326を厚み方向に貫通する取付孔327が設けられており、当該2つの取付孔327に後述する抜け防止部材34(
図2)が取り付けられている。
【0042】
側面部位324は、
図5に示すように、下方向に向かって水平断面が徐々に大きくなっており、側面部位324には、側面部位324を厚み方向に貫通する空気抜き孔328が設けられている。当該空気抜き孔328は、ドレン水の水位が上昇した時に囲み部32内の空気を囲み部32外に排出するために設けられる。
【0043】
フレア部位325は、側面部位324の下端から滑らかにカーブして下方に広がっており、側面部位324に比べ下側ほど水平断面が大きくなる形状にしている。囲み部32及びフロート31の縦断面内において、側面部位324はフロート31の中心線が囲み部32の中心線に一致した状態で挿入部312の外面に平行になっている。
【0044】
フロート31の上下動の上限位置及び下限位置に関し、フロート31の上部が囲み部32の内部キャビティの上端部322に接するまで上方に移動できる一方で、フロート31の下部が抜け防止部材34に接するまで下方に移動できるようにしている。そして、フロート31が抜け防止部材34に接している状態でもフロート31の挿入部312の上部は囲み部32内に挿入されている。このため、フロート31が下限位置にあってもフロート31が囲み部32から外れない。
【0045】
フロート31は、上述の上限位置及び下限位置を除いては囲み部32内を自在に上下動可能であり、フロート31が囲み部32内でやや傾いていても囲み部32内で上下動可能となるように挿入部312を囲み部32の内部に対して一回り小さくしている。
【0046】
抜け防止部材34は、断面略コの字型形状であり、フロート31(フロート本体31a)の下端面を支持する部材である。ドレンタンク12内にドレン水が存在しないとき、
図2に示すように、フロート31の下端は抜け防止部材34によって保持され、囲み部32からのフロート31の抜け止めが図られる。抜け防止部材34の底部は、
図4に示すように、断面を山型形状とすることにより、フロート31の底部311との接触面積を低減している。
【0047】
ドレン水の水位が上昇してフロート31が抜け防止部材34から浮上すると、フロート31の挿入部312は囲み部32に徐々に挿入されていくことで、磁石35とリードスイッチ33が徐々に接近する。そして、ドレン水位が予め定められた下限水位まで至ると、磁石35とリードスイッチ33とは上端部322を挟んで近接した状態となり、磁石35の磁力によってリードスイッチ33がONとなる。
【0048】
リードスイッチ33は、ドレンタンク12内のドレン水の水位の上昇によって磁石35が接近可能な位置、すなわち囲み部32の上端部322の上に配置されている。
【0049】
図6は、リードスイッチ33の内部構造を示す模式図である。リードスイッチ33は、
図6に示すように、一対のリード線53,54と、一対のリード片51,52とを備えている。一対のリード片51,52はそれぞれ、一方のリード線53,54の先端部から他方のリード線の先端部に向かってそれぞれ延設されており、先端部同士が所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0050】
リードスイッチ33は、フロート31に埋設された磁石35との距離が近いときには磁石35の磁界の影響を受けて一対のリード片51,52が磁化される。磁石35は上面にN極とS極とを有しており、リード片の一方はN極の磁界を受け、リード片の他方はS極の磁界を受けるようにフロート31の上部に磁石35を取り付けている。これによりフロート31の上部がリードスイッチ33に近づいたときにリード片51,52同士を引き合わせる磁力が働く。この磁力がリード片51,52の弾性力よりも大きいときにはリード片51,52の先端部同士が接し(ON状態)、リード片51,52の弾性力よりも小さいときにはリード片51,52の先端部同士が離れる(OFF状態)。このように動作してリードスイッチ33のON及びOFFが制御される。
【0051】
第3スイッチ5もまた、ドレンタンク12内のドレン水の水位に応じて作動するフロートスイッチである。但し、この第3スイッチ5は、ドレンポンプ装置1の異常検出のために設けられているスイッチであり、ドレンタンク12内のドレン水の水位が、予め定められた異常水位を超過したときにOFFとなる以外は常時ONとなっている。
【0052】
運転用リレー6は、電磁石と、この電磁石(励磁コイル)への通電によって発生する磁力により動作する接点とを備えた電磁継電器である。運転用リレー6としては、電磁石へ通電されたときに接点が閉じる(ON)となるa接点タイプのリレーが用いられる。運転用リレー6は、ドレンポンプ装置1において、ドレンポンプ2(ポンプモータ21)へ通電させるON状態と、前記通電を停止するOFF状態との間で状態変化を行わせる機能を担う。
【0053】
上記状態変化は、第1スイッチ3及び第2スイッチ4のON−OFFの組合せに基づいて生じる。大略的には、運転用リレー6は、第1スイッチ3及び第2スイッチ4のいずれもがONとなるとON状態となり、逆にいずれもがOFFとなるとOFF状態となるが、第1スイッチ3及び第2スイッチ4のいずれか一方がON又はOFFとなっている状態では運転用リレー6のON−OFFは切り替わらない。
【0054】
異常用リレー7は、同じく電磁石と、この電磁石の磁力により動作する接点とを備えた電磁継電器である。この異常用リレー7としては、電磁石へ通電されたときに接点が開く(OFF)となるb接点タイプのリレーが用いられる。異常用リレー7の動作は、第3スイッチ5と連動する。第3スイッチ5がONのとき、前記電磁石への通電が行われる。第3スイッチ5がOFFとなったとき、つまり異常水位を検知したとき、前記電磁石への通電が停止され、接点が閉じる。この動作により、例えば空調機本体の異常報知回路や、安全回路等が作動するよう構成される。
【0055】
<実施形態1に係るドレンポンプ装置の動作>
ドレンタンク12内にドレン水が貯留されていない状態またはドレン水の貯留量が少ない状態では、
図2に示すように、第1、第2フロート31,32の下端がそれぞれ第1、第2抜け防止部材34,44に接触している。このとき、第1、第2リードスイッチ33,43のリード片はいずれも、磁石の磁界の影響を受けず、リード片の弾性力によって両者が離れている(開状態)。
【0056】
室内機の連続運転によりドレン水がドレンタンク12に供給され、ドレンタンク12内のドレン水の水位が上昇するにつれて第1、第2フロート31,32が第1、第2囲み部32,42内を上方に移動する。そして、ドレン水の水位が下限水位を超えると、第1リードスイッチ33のリード片が磁石の磁界の影響を受けて磁化され、先端部同士が接した状態(閉状態)となる。第1リードスイッチ33が閉状態となったことを示す信号は、図略の配線を通じて制御部に伝達されるが、この状態では制御部はドレンポンプ2を起動しない。この状態でさらに室内機を連続運転することでドレンタンク12にドレン水が供給され続けることになり、ドレン水の水位がさらに上昇する。そして、ドレン水の水位が上限位置を超えると、第2リードスイッチ43のリード片が磁石の磁界の影響を受けて磁化され、先端部同士が接した状態(閉状態)となる。第2リードスイッチ43が閉状態となったことを示す信号は、図略の配線を通じて制御部に伝達され、制御部が第1、第2リードスイッチ33,43の両方から閉状態となっている信号を受け取ると、ドレンポンプ2を起動する。これによりドレン水が吐出ノズル14から図略の排水管を通じてドレンタンク12の外部に排出される。このようにドレン水が排出されるのに伴ってドレンタンク12内のドレン水の水位は低くなり、ドレン水の水位が上限位置の高さを下回ると、第2リードスイッチ43のリード片が磁石の磁界の影響を受けなくなって第2リードスイッチ43が開状態となる。第2リードスイッチ43の開状態となったことを示す信号は、図略の配線を通じて制御部に伝達されるが、この状態では制御部はドレンポンプ2を停止せず起動したままの状態が保たれる。その後もドレン水の水位が下降し、ドレン水の水位が下限位置まで達すると、第1リードスイッチ33のリード片が磁石の磁界の影響を受けなくなって第1リードスイッチ33が開状態となる。第1、第2リードスイッチ33,43が開状態となったことを示す信号は図略の配線を通じて制御部に伝達され、制御部はドレンポンプ2を停止するように制御する。
【0057】
<実施形態1に係るドレンポンプ装置の作用効果>
次に、上記ドレンポンプ装置による作用効果について説明する。
【0058】
本実施形態のドレンポンプ装置1によれば、フロート31,41がドレン水の水位に応じて囲み部32,42内を上下動するように囲み部32,42内に挿入されているため、フロート31,41が上下動するときにフロート31,41が囲み部32,42の内面に接触することはあっても、フロート31,41が囲み部32,42の内面を摺動するわけではないので、囲み部32,42内でフロート31,41を円滑に上下動させることができる。しかも、囲み部32,42の上部が閉じられていることにより、囲み部32,42内に塵埃が入り込まないため、塵埃によってフロート31,41の上下動が阻害されない。したがって、囲み部32,42内でスムーズにフロート31,41を上下動させることができ、ドレンポンプを適切なタイミングで作動させることができる。また、フロート31,41が囲み部32,42に拘束されていなくても、囲み部32,42によってフロート31,41の姿勢を一定範囲に収めることができる。
【0059】
上記構成において、囲み部32,42の内面が平面状であれば、フロート31,41の側面が囲み部32,42の内面に接触した時に囲み部32,42とフロート31,41の側面との間に存在する表面張力によって固定され、フロート31,41が上下動しにくくなることがあるが、本実施形態では、囲み部32,42の内面に凹部32a,42a及び凸部32b,42bを設けているため、フロート31,41が囲み部32,42の内面と接触しても、ドレン水の表面張力が発生しないか又は発生しても僅かであるため、フロート31,41の上下動が阻害されることを抑制することができる。
【0060】
上記ドレンポンプ装置1は、水平に設置されることが好ましいが、状況によっては水平面に対してやや傾いた状態で設置されることもあり、この状態で設置された場合には、囲み部32,42もドレン水の水平面に対して直角からやや傾く。一方、ドレン水の水面は常に水平面に平行となるため、フロート31,41の上下動もドレン水の水面に対して垂直に動作する。したがって、この状態でフロート31,41を上方に移動させると、囲み部32,42が傾いていることにより囲み部32,42の下端がフロート31,41の側面に接触して引っかかり、フロート31,41が上方に移動しにくくなることがある。
【0061】
上記フロート31の上方移動を円滑にすべく、囲み部32は、フロート31を挿入した状態においてフロート31の挿入部312の側面に沿って延びる側面部位324と、側面部位324の下端に繋がるフレア形状のフレア部位325とを有している。このため、仮にドレンポンプ装置1を傾いた状態で設置した場合でも、囲み部32の下部がフレア形状であるため、囲み部32の下方部(つまりフレア部位325)とフロート31の上部とが接触した時の接触角を小さくすることができ、囲み部32内でフロート31を上方に摺動しやすくすることができる。つまりフレア部位325が囲み部32の下側に形成されることで囲み部32の下端がフロート31の側面に引っかかることを抑制できる。
【0062】
しかも、フロート31の上部がフレア部位325に接触した時に、フロート31の上部が側面部位324に向かうようにフレア部位325がガイドし、囲み部32の側面部位324に向けてフロート31を滑らかに挿入することができる。またフロート31の側面に沿って囲み部32の側面部位324が形成されていることにより、囲み部32内でフロート31をスムーズに上下動させることができる。
【0063】
その上、フロート31の挿入部312を囲み部32の内部キャビティに対して一回り小さくしていることにより、仮にドレンポンプ装置1が水平面に対してやや傾いて取り付けられたとしても、囲み部32内でフロート31をスムーズに上下動することができる。
【0064】
側面部位324に空気抜き孔328を設けているため、空気抜き孔328を通じて囲み部32内の空気を囲み部32外に逃がすことができる。これにより囲み部32内の空気によって囲み部32内のドレン水の水面が上昇しにくくなることを防止することができ、フロート31の上下動を円滑に行うことができる。
【0065】
囲み部32に抜け防止部材34を取り付けているため、ドレン水の水位が低下した場合にも、フロート31が囲み部32から抜け出ることを防止することができる。
【0066】
囲み部32の内部キャビティの水平断面の短辺を、フロート31の挿入部312の水平断面の長辺よりも短くしているため、囲み部32内でフロート31の中心軸を中心としたフロート31の回転を防止することができ、リードスイッチ33に対する磁石35の向きを常に一定方向に維持することができる。これにより囲み部32内でフロート31がその中心軸を中心に回転しないため、リードスイッチ33のON−OFFの切り替え感度が低下しない。
【0067】
実施形態1に係るドレンポンプ装置1は、第1及び第2スイッチ3,4によってドレンポンプ2の運転を制御しており、当該第1及び第2スイッチ3,4のいずれもがONになることがドレンポンプ2の駆動開始条件で、逆に第1及び第2スイッチ3,4のいずれもがOFFになることがドレンポンプ2の運転停止条件である。したがって、第1及び第2スイッチ3,4のいずれか一方のみがON又はOFFになっている状態がドレンポンプ2の駆動又は停止の切り替えを待機する時間(デファレンシャル)として機能し、これによりドレンポンプ2のハンチング運転を防止し、消費電力の低減を図ることができる。
【0068】
<変形例>
実施形態1においては、動作スイッチとしてリードスイッチ33,43を用いる場合を説明したが、磁石35との位置関係でドレンポンプ2のON−OFFの切り替えを制御できるスイッチであれば、リードスイッチ33,43に限定されずあらゆる動作スイッチを用いることができる。リードスイッチ33,43以外の動作スイッチを用いる場合は、囲み部32は、フロート31の回り止めとなる内面形状を有していなくてもよい。
【0069】
囲み部32の内面形状は、円柱形状でない限り、回り止めすることができ、例えば囲み部32の内面を、三角柱形状、四角柱形状、五角柱形状等の多角形状、楕円柱形状等とすることができる。
【0070】
囲み部32の内面に設けた凹部32a及び凸部32bは省略することもできる。
【0071】
囲み部32の側面は、囲み部32の側面下部にフレア部位325を設けることなく、側面部位324のみによって構成されていてもよい。
【0072】
上記実施形態において、フロート本体31aは、挿入部312と底部311によって構成されていたが、底部311が挿入部312と同一の水平断面となって両者が一体となっていてもよい。
【0073】
上記実施形態において、ドレンタンク12の深さが浅い場合には抜け防止部材34,44を省略することも可能である。
【0074】
上記実施形態のドレンポンプ装置は、高揚程用のドレンアップキットに用いる場合を例として説明したが、中揚程用又は低揚程用のドレンアップキットに適用してもよい。
【0075】
上記実施形態において、第1スイッチ3又は第2スイッチ4のいずれか一方を省略し、他方のスイッチのみでドレンポンプ2の運転を制御することも可能である。この場合は上述のハンチング運転の懸念があるが、ハンチング運転は、マイコン等を用いた電子制御回路によるラッチ制御等を用いることで解消することができる。
【0076】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。