【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1に係る
移動式ポートの左斜め下から視た全体斜視図である。
図2は、本発明の実施例1に係る
移動式ポートの右斜め上から視た全体斜視図である。
図3は、本発明の実施例1に係る
移動式ポートの(a)平面図、(b)正面図及び(c)ポート本体付近の拡大正面図である。尚、
図1及び
図2において点線で示した仮想線は、部屋の壁及び天井の辺を示している。また、
図3においては、ポート本体に装着された多目的水平バーに、点滴バッグ等を吊掛する垂直バーが装着された状態を示している。
【0026】
本実施例の
移動式ポート1は、医用室などの室内の天井に設置され、電源コンセントその他の各種ポート又はスイッチを室内空間の任意の位置に移動し固定させる用途で用いられるものである。
移動式ポート1は、走行レール2,2、横行レール3、横行スライダ4、垂直軸シリンダ5、昇降ロッド6、ポート本体8、ロックレバー9、ブレーキ索体10を備えている。
【0027】
走行レール2,2は、部屋の天井Fに左右平行に固定して設けられる。左右の走行レール2,2は、内側(対面側)に向かって開口する断面が切缺矩形状の長尺中空箱型に形成されている(
図4(f)参照)。また、各走行レール2の開口部には、底縁から上縁の付近まで覆蔽材2aが設けられており、開口部はこの覆蔽材2aにより上部に隙間2bを残して覆蔽されている。また、各走行レール2の両端部は、エンドキャップ2c,2cにより閉塞されている。
【0028】
横行レール3は、左右の走行レール2,2の間に架け渡し、左右の走行レール2,2に対し移動自在に設けられた梁体である。横行レール3中央の梁柱部3aは、断面が切缺矩形状の長尺中空柱状で、下面中央に長手方向全長に亘りスリット溝3cが開口形成されている。横行レール3の梁柱部3aの左右端部には、走行スライダ3b,3bが設けられている。各走行スライダ3bは、走行レール2の覆蔽材2a上部の隙間2bから走行レール2の外筐内に挿通設されており、走行レール2の外筐内には走行台車部3d(
図4参照)が連設されている。この走行台車部3dが、走行レール2の外筐内の筐底面上を走行し、これにより横行レール3が走行レール2,2に沿って移動する。
【0029】
横行スライダ4は、横行レール3に対して移動自在に設けられた滑動体である。横行スライダ4は、上部が横行レール3のスリット溝3cを通って横行レール3の外筐内に挿通設されており、横行レール3の外筐内には横行台車部4b(
図4参照)が連設されている。この横行台車部4bが、横行レール3の外筐内の筐底面上を走行し、これにより横行スライダ4が横行レール3に沿って移動する。
【0030】
垂直軸シリンダ5は、横行スライダ4の下面から下方に突設され、下端が開口する直筒状に形成されている。昇降ロッド6は、垂直軸シリンダ5の下端に一定範囲で上下に移動自在に挿設されている。この昇降ロッド6は、垂直軸シリンダ5内から横行スライダ4内にかけて設けられた、昇降ロッド駆動機構(
図12参照)によって、垂直軸シリンダ5に対して挿脱方向に駆動される。
【0031】
ポート本体8は、側面に電源コンセント等を備えた有底筒状体である。ポート本体8は、昇降ロッド6の下端に取り付けられている。ポート本体8の上面には、中心軸を挟んで対称かつ平行に、両端部が側方に向かって解放された2つのバー装着溝8a,8a(
図2参照)が形成されており、これらのバー装着溝8a,8aに、長尺棒板状の多目的水平バー7,7が嵌着されている。多目的水平バー7は、様々な用途に使用されるが、例えば、
図3に示したように、多目的水平バー7に支柱ロッド11をムッフ(套筒連結器)12により緊締し、支柱ロッド11の上端に吊下フック13を取り付ければ、点滴スタンドとして使用することができる。尚、ポート本体8の構成の詳細については後述する。
【0032】
ロックレバー9は、垂直軸シリンダ5の側面に配設されている(
図3(c)参照)。ブレーキ索体10は、垂直軸シリンダ5,横行スライダ3の外筐内及び横行レール2の外筐内に亘って巡設されている。これらのロックレバー9及びブレーキ索体10は、ロックレバー9の操作によって横行スライダ4を横行レール3に対して固定するとともに、横行レール3を走行レール2に対して固定するブレーキ機構を構成している。
【0033】
ブレーキ索体10は、ブレーキロッド10a、ブレーキフック10b、ブレーキワイヤ10cの3つの部分で構成されている。ブレーキ索体10の垂直軸シリンダ5の外側面に沿う部分は、剛性の棒状体からなるブレーキロッド10aにより構成されており、ブレーキロッド10aはその下端がロックレバー9に接続され、ロックレバー9の操作により上下方向に押引操作される。ブレーキロッド10aの上端にはブレーキフック10bが接続されている(
図4参照)。また、横行レール3の外筐内にはブレーキワイヤ10cが張設されており、ブレーキフック10bの上端がブレーキワイヤ10cに掛支されている。ブレーキ索体10の詳細については後述する。
【0034】
図4は、実施例1の
移動式ポート1の走行スライダ3b及び横行スライダ4の内部構造及びブレーキ機構の構造を表す要部透視図である。
図4(a)は平面透視図、
図4(b)は正面透視図、
図4(c)は横行スライダ4及び垂直軸シリンダ5部分の右側面断面図、
図4(d)(e)(f)は一点鎖線で囲んだ各部分の拡大図である。
【0035】
走行レール2は、
図4(b)(f)に示したような断面が切缺矩形状の長尺中空箱型に形成されおり、左右の走行レール2,2が対面する側(内側)の側面が開口している。この開口部の下端側フランジの外側面には、覆蔽材2aが着設されており、覆蔽材2aはこの開口部の底縁から上縁の付近まで封塞し、覆蔽材2aの上端と開口部の上端側フランジとの間に隙間2bが形成されている(
図1,
図2参照)。また、走行レール2の外筐内の筐底面上には、長手方向全長に亘ってガイド軌条2cが敷設されている(
図4(e)(f)参照)。
【0036】
横行レール3の走行スライダ3b,3bは、走行台車部3dを備え、走行台車部3dは、ガイド軌条2cに転動自在に支持された2つの車輪3e,3eを有する。走行台車部3dの車体は、正面から視て、覆蔽材2aを跨ぐ倒コの字状に形成されている(
図4(b)(f)参照)。走行台車部3d車体の走行レール2の外筐内に挿入された側壁部分3d
2の側面に、車輪3e,3eが軸支されている。走行台車部3d車体の走行レール2の内側(左右の走行レール2,2が対面する側)の側壁部分3d
1は、走行スライダ3bのケーシング3g内に、横行レール3の梁柱部3aに対して梁柱部3aの長手軸方向に移動可能に嵌設されている。ブレーキワイヤ10cは、横行レール3の外筐内において、左右の走行台車部3dの側壁部分3d
1の間に張設されている。走行台車部3d車体の水平天板部3d
3(隙間2bを挿通する部分)の上面には、L字状に曲折形成されたブレーキ板3fが着設されている。水平天板部3d
3から垂直に起立したブレーキ板3fの垂直部分は、走行レール2の隙間2b上部の上端側フランジの内側面に近接するように配設されており、該上端側フランジ内側面に対向する側面にはゴム部材が貼設されている。このゴム部材が上端側フランジ内側面に押し当てられるとブレーキが働く。
【0037】
横行スライダ4は、横行レール3の底面の下部に配設されたスライダ筐体4aと、横行レール3の外筐内に配設された横行台車部4bを具備する。スライダ筐体4aと横行台車部4bとは一体に動くように、スリット溝3cを通して連結固定されている。横行台車部4bは、4隅に車輪4cが軸設されており、横行レール3の外筐内を長尺軸方向に走行自在とされている。横行台車部4bの車体の一側面は、ブレーキワイヤ10cに接している。ブレーキワイヤ10cに接する横行台車部4bの車体側面には、ブレーキワイヤ10cに接して2つのブレーキ片4d,4dが対峙して突設されている(
図4(b)(d)参照)。ブレーキフック10b上端は、この2つのブレーキ片4d,4dの中間においてブレーキワイヤ10cに掛支されている。また、ブレーキフック10bは、横行台車部4bに上下動自在に遊着されており、横行台車部4bの移動とともに、ブレーキワイヤ10cに沿って摺動する。
【0038】
横行レール3の外筐内の左右両端部付近には、外筐内底面に近接してリトラクタ15,15が配設されている。リトラクタ15,15は、横行レール3の外筐側面に回転自在に軸支された巻取ローラである。各リトラクタ15には、ロールスクリーン14が捲回されており、ロールスクリーン14の先端側は、横行レール3の外筐内底面に沿って延出され、横行スライダ4の横行台車部4bの底面の該ロールスクリーン14に近い側の端部に係止されている。また、各リトラクタ15は、薇発条などのプリテンショナ(図示せず)によりロールスクリーン14の巻き取り方向に付勢されている。これにより、ロールスクリーン14は、常に横行レール3の外筐内底面に張り伸ばされた状態で、横行レール3のスリット溝3cを内側から掩塞し(
図1,
図4(a)(b)参照)、横行スライダ4の移動に従って、リトラクタ15に巻取又は巻出される。すなわち、横行スライダ4が移動すると、移動方向の側のロールスクリーン14はリトラクタ15に巻収され、反対側のロールスクリーン14はリトラクタ15から繰出することにより、横行スライダ4の左右のロールスクリーン14,14は常に緊張された状態に維持される。これにより、横行レール3の内部構造が室内から覆隠され、美観上の改善がなされるとともに、横行レール3の外筐内に塵埃が侵入することを防止し又は仮に外筐内に塵埃が積層した場合でも塵埃塊の室内への落下を防止し、室内環境をより清潔に維持することができる。
【0039】
次に、ロックレバー9及びブレーキ索体10で構成されるブレーキ機構の動作について説明する。
図5は、ロックレバー9及びブレーキ索体10で構成されるブレーキ機構の動作説明図である。
図5(a)はブレーキワイヤ10cに掛支されたブレーキフック10b上部を側面から視た正面図、
図5(b)はロック解除状態におけるブレーキ機構の各構成要素の位置関係を示す正面図、
図5(c)はロック状態におけるブレーキ機構の各構成要素の位置関係を示す正面図、
図5(d)(e)はロックレバー9周辺の拡大図である。
【0040】
ブレーキフック10bは、
図5(a)に示したように、上部先端が鈎状に形成されており、この鈎状部分がブレーキワイヤ10cに掛合されている。ロックレバー9の基端は、垂直軸シリンダ5に平行に固定された2つのレバー支持体9b,9bの間に、レバー回転軸9aによって回動自在に軸支されている。また、ロックレバー9には、レバー回転軸9aに対して先端側に偏倚してロッド回転軸9cが設けられ、ブレーキロッド10aの下端はこのロッド回転軸9cによってロックレバー9に回動自在に軸支されている。
【0041】
ロックレバー9の先端を、レバー回転軸9aよりも上側に回動させると(
図5(c)の矢印Bの方向)、それに伴いロッド回転軸9cもレバー回転軸9aよりも上側に回動し(
図5(b))、ブレーキロッド10aは上方に持ち上げられる。さらにそれに伴い、ブレーキロッド10aの上端に取り付けられたブレーキフック10bも上方に持ち上げられ、ブレーキフック10bの上部先端の鈎状部分はブレーキワイヤ10cから僅かに浮いた状態となる。この状態では、ブレーキフック10bはブレーキワイヤ10cに力を及ぼしていないため、横行スライダ4の横行台車部4bは、横行レール3に沿って自由に走行移動することができる。また、この状態では、ブレーキワイヤ10cは弛緩された状態にあり、ブレーキ板3fは解圧され、ゴム部材のスプリングバックにより、走行レール2の隙間2b上部の上端側フランジの内側面から離脱する。従って、横行レール3の横行スライダ4,4は、走行レール2に沿って自由に走行移動することができる。
【0042】
逆に、ロックレバー9の先端を、レバー回転軸9aよりも下側に回動させると(
図5(b)の矢印Aの方向)、それに伴いロッド回転軸9cもレバー回転軸9aよりも下側に回動し(
図5(c))、ブレーキロッド10aは下方に引き下げられる。さらにそれに伴い、ブレーキロッド10aの上端に取り付けられたブレーキフック10bも下方に引き下げられ、ブレーキフック10bの上部先端の鈎状部分は、ブレーキワイヤ10cを引掛けて引き下げる。このとき、
図5(c)に示したように、ブレーキフック10bの上部先端の鈎状部分は、横行台車部4bに固設されたブレーキ片4d,4dの間まで下げられるため、ブレーキワイヤ10cのブレーキフック10bが引っ掛けられた部分は、ブレーキ片4d,4dの間に引き込まれて、ブレーキ片4d,4dの上面に押圧される。これにより、ブレーキワイヤ10cとブレーキ片4d,4d上面及びブレーキフック10bとの摩擦により、横行台車部4bは横行レール3に固定され、ロック状態となる。また、この状態では、ブレーキワイヤ10cはブレーキ片4d,4dの間に引き込まれて緊張された状態にあり(
図5(c))、ブレーキ板3fのゴム部材は、走行レール2の隙間2b上部の上端側フランジの内側面に押圧される。従って、横行レール3の横行スライダ4,4は、走行レール2に固定されロック状態となる。
【0043】
このように、本実施例の
移動式ポート1では、横行レール3は走行レール2に沿って摺動して前後に移動し、横行スライダ4及び垂直軸シリンダ5は横行レール3に沿って摺動して左右に移動するので、昇降ロッド6の下端に取り付けられたポート本体8を室内空間の任意の位置に移動させることができる。ポート本体8の垂直方向の昇降は昇降ロッド6を上下に動かすことにより行うことができる。また、ポート本体8は昇降ロッド6及び垂直軸シリンダ5を介して横行スライダ4に対し水平方向に対しては固装されているため、ポート本体8の水平方向(前後又は左右)の移動は、使用者がポート本体8を押し又は引くことにより行うことができる。これにより、ポート本体8を室内空間の任意の位置に移動させることができる。また、所望の位置への移動後にロックレバー9を操作してブレーキ索体10で構成されるブレーキ機構によりポート本体8の水平位置を固定させることができる。また、ポート本体8は天井から吊垂された状態であるため、ポート本体8を床上に設置した場合に比べ室内作業の邪魔になることが少ない。
【0044】
次に、ポート本体8について説明する。
図6はポート本体8周りの拡大左側面図、
図7はポート本体8周りの拡大右側面図、
図8はポート本体8周りの拡大斜視図、
図9はポート本体8の分解斜視図、
図10はポート本体8の上部キャップ21の分解平面図、
図11はポート本体8に多目的水平バー7,7を垂直に立てて収納した状態を表す拡大斜視図である。
【0045】
ポート本体8は、ケーシング20、上部キャップ21、下部キャップ22及び把柄部23を備えている。ケーシング20は、上方に向かって拡開する円錐台筒状に形成された外筐体である。上部キャップ21は、ケーシング20の上端部に嵌着された蓋体である。下部キャップ22は、ケーシング20の下端部に嵌着された蓋体である。把柄部23は、下部キャップ22の底面中央に取り付けられた操作把手である。
【0046】
ケーシング20の側面には、4つのコンセント24,24,24,24と、コンソールパネル25と、昇降移動操作スイッチ26とが、円錐台中心軸を対称軸として6回対称な位置に配設されている。コンセント24は、電気配線から各種電気機器へ電流を取るためにプラグを插入する電力線端子である。各コンセント24に対しては、走行レール2,横行レール3,横行スライダ4,垂直軸シリンダ5及び昇降ロッド6を経由して電力供給線(図示せず)が巡設されており、外部の商用電源等から電力供給がされる。昇降移動操作スイッチ26は、昇降ロッド6を上下に移動させる操作を制御するためのスイッチであり、ロックレバー9と併せて使用することが多いため、ロックレバー9の下方位置となるように配設されている。昇降移動操作スイッチ26には、三位置のシーソースイッチが使用されている(
図7参照)。自然状態(使用者が触れていない状態)では昇降移動操作スイッチ26は中間平衡位置にありこの状態では昇降ロッド6は停止した状態となる。昇降移動操作スイッチ26の上側を押動すると、横行スライダ4のスライダ筐体4aに内設された昇降ロッド制御回路が昇降モータ43を制御することによって昇降ロッド6が上方へ移動され、昇降移動操作スイッチ26の下側を押動すると、昇降ロッド6が下方へ移動される。コンソールパネル25は、各種の操作や表示を行うための制御パネルである。本実施例では、コンソールパネル25は、各コンセント24,24,24,24から現在供給されている電力を表示するとともに過電流の場合に警報を表示する電力表示部と、警報音の発報のON/OFFを切り替える警報音スイッチと、ヒューズを装着するヒューズ装着部とを備えている。
【0047】
上部キャップ21は、上縁角部が丸く面取りされ上面が塞がった短円筒形に形成されている。上部キャップ21の上面中央には、昇降ロッド差込孔34が貫設されており(
図10参照)、この昇降ロッド差込孔34に昇降ロッド6の下端を差し込んで固定する(
図11参照)。上部キャップ21の上面には、中心軸を挟んで左右に直溝状の水平バー装着溝28,28が対称に形成されている。各水平バー装着溝28の溝の前後端は、上部キャップ21の上縁部まで到達し解放されている。多目的水平バー7,7は、この水平バー装着溝28,28に嵌着される。各水平バー装着溝28の外側溝縁の中央部には、固定ヒンジ27が突設されている。固定ヒンジ27は、中央部に多目的水平バー7を挟持するための凹陥溝27aが形成されている。また、上部キャップ21の上縁部の左右両側には、凹陥部31,31が形成されており(
図9,
図10参照)、各凹陥部31の内側側面の中央には、凹陥溝27aまで貫通するピン差込孔32が貫設されている。ピン差込孔32には固定ピン30が挿入される。多目的水平バー7が水平バー装着溝28に嵌着されている場合、固定ピン30は、ピン差込孔32を挿通して、多目的水平バー7の側面に設けられた固定孔7aを挿通し、多目的水平バー7を上部キャップ21に固定する。また、多目的水平バー7を外脱する際には、固定ピン30を抜いて多目的水平バー7を水平バー装着溝28から外脱する。また、凹陥部31には、化粧カバー29が脱着自在に冠着され、多目的水平バー7の抜脱時以外には凹陥部31は化粧カバー29で掩蔽される(
図6〜
図8参照)。水平バー装着溝28の溝底面の中央部には、多目的水平バー7を垂直に差し込むための水平バー差込孔33が貫設されている(
図10参照)。多目的水平バー7を使用しないときには、
図11に示したように、多目的水平バー7を水平バー差込孔33に垂直に立てて差し込み、固定ピン30により固定しておく。これにより、多目的水平バー7の未使用時に邪魔にならずに収納できる。
【0048】
下部キャップ22は、底面中央に把柄部23が突設されている。把柄部23は、下部キャップ22の底面中央から下方に向かって突設された円柱状の轂部23aと、轂部23aの外側面下端部に放射状に水平に突設された輻部23b,23b,23bと、各輻部23bの先端に連設され、轂部23aを中心とする円弧状に形成された把手部23cとによって構成されており、各輻部23b,23b,23bは轂部23aの中心軸を対称軸として3回対称位置に配設され、各輻部23b及び把手部23cは同型に形成されている。使用者が、ポート本体8を水平移動させる際には、この把柄部23の把手部23cを把持して押したり引いたりして移動させる。また、把柄部23はタオル掛けなどの物掛けとしても使用することができる。
【0049】
このように、把柄部23は水平の分割円環状であるため、どの方向からでも容易に把持することができ、作業者の操作性が良好となる。
【0050】
最後に、昇降ロッド6の昇降機構について説明する。
図12は、実施例1に係る
移動式ポートの昇降ロッド6の昇降機構を表す要部透視図である。
図12(a)は昇降ロッド6及び横行スライダ4の付近を表す図、
図12(b)は
図12(a)の点線で囲んだ部分の拡大図、
図12(c)は従動ギア44bの押釦突起45とリミットスイッチ46,47との位置関係を表す図である。
【0051】
昇降ロッド6は、垂直軸シリンダ5の下端に挿脱自在に挿嵌されており、上端部が垂直軸シリンダ5からスライダ筐体4aの外筐内にかけて設けられた昇降ワイヤ41により懸吊されている。
【0052】
スライダ筐体4aの外筐内には、昇降ワイヤリール42、昇降モータ43、制動ギア機構44、押釦突起45、リミットスイッチ46、及びリミットスイッチ47が設けられている。スライダ筐体4aの外筐内の垂直軸シリンダ5の真上には、昇降ワイヤ41を巻き取る昇降ワイヤリール42が回転自在に配設され、この昇降ワイヤリール42は、昇降モータ43により回転駆動される。また、昇降ワイヤリール42の回転軸の、昇降モータ43と反対側には、制動ギア機構44が接続されている。制動ギア機構44は、昇降ワイヤリール42の回転軸に軸支され、昇降ワイヤリール42とともに回転する主動ギア44aと、主動ギア44aに噛合し、主動ギア44aよりも大径の従動ギア44bにより構成されている。従動ギア44bの側面には、中心から外側に偏倚して押釦突起45が突設されており、リミットスイッチ46,47は、従動ギア44bの回転により押釦突起45が回動したときの押釦突起45の軌道上に所定の間隔を開けて配設されている。
【0053】
スライダ筐体4aに内設された昇降ロッド制御回路(図示せず)は、昇降移動操作スイッチ26が下側に押釦されると、昇降ワイヤ41が昇降ワイヤリール42から巻出される方向に昇降モータ43を起動させ、逆に昇降移動操作スイッチ26が上側に押釦されると、昇降ワイヤ41が昇降ワイヤリール42から巻取される方向に昇降モータ43を起動させる。また、昇降移動操作スイッチ26が解放されると昇降モータ43を停止させる。
【0054】
昇降モータ43により昇降ワイヤリール42及び主動ギア44aが回転駆動されると、それに従動して従動ギア44bが回転駆動される。従動ギア44bの回転により押釦突起45が回動する。押釦突起45がリミットスイッチ46,47の何れかの位置めで到達し、リミットスイッチ46,47の何れかが押釦されると、昇降モータ43が昇降ロッド制御回路は昇降モータ43を停止させ、それ以上昇降ワイヤリール42に昇降ワイヤ41が巻出され又は巻取されないように制御する。これにより、昇降ロッド6の昇降移動範囲は一定の範囲に規制される。
【0055】
以上のように、使用者がポート本体8の垂直方向の昇降を行う場合、ポート本体8の側面に配設された昇降移動操作スイッチ26を操作することによって、上記
図12の昇降ロッド駆動機構によって容易に行うことができる。