(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のインピーダンス整合部品の少なくとも一つは、前記制御器から受信したインピーダンスチューニング信号により制御されるインピーダンスを表すべく構成されたチューニング可能インピーダンス整合部品を含む請求項7の受信システム。
前記入力において受信した入力信号を分割して、前記複数の経路に沿って伝播する複数の周波数帯域それぞれにある複数の信号にするべく構成されたマルチプレクサをさらに含む請求項1又は2の受信システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここに与えられる見出しは、たとえあったとしても、便宜のみのためであって、必ずしも請求項に係る発明の範囲又は意味に影響するわけではない。
【0022】
図1は、一次アンテナ130及びダイバーシティアンテナ140に結合された通信モジュール110を有する無線デバイス100を示す。通信モジュール110(及びその構成部品)は、制御器120により制御することができる。通信モジュール110は、アナログ無線周波数(RF)信号及びデジタルデータ信号間の変換をするべく構成される送受信器112を含む。それを目的として、送受信器112は、デジタル/アナログ変換器、アナログ/デジタル変換器、ベース帯域アナログ信号を搬送周波数に変調若しくは搬送周波数から復調する局所発振器、デジタルサンプル及びデータビット(例えば音声又は他のタイプのデータ)間の変換をするベース帯域プロセッサ、又は他の部品を含み得る。
【0023】
通信モジュール110はさらに、一次アンテナ130及び送受信器112間に結合されたRFモジュール114を含む。RFモジュール114は、ケーブル損失に起因する減衰を低減するべく一次アンテナ130に物理的に近いので、RFモジュール114は、フロントエンドモジュール(FEM)と称することができる。RFモジュール114は、送受信器112の一次アンテナ130から受信したアナログ信号、又は送受信器112から受信して一次アンテナ130を介して送信するアナログ信号に処理を行うことができる。それを目的として、RFモジュール114は、フィルタ、電力増幅器、帯域選択スイッチ、整合回路及び他の部品を含み得る。同様に、通信モジュール110は、同様の処理を行う送受信器112とダイバーシティアンテナ140との間に結合されたダイバーシティRFモジュール116を含む。
【0024】
信号が無線デバイスに送信されると当該信号は、一次アンテナ130及びダイバーシティアンテナ140の双方において受信され得る。一次アンテナ130及びダイバーシティアンテナ140は物理的に離間しているので、一次アンテナ130及びダイバーシティアンテナ140において受信される信号は異なる特性を備える。例えば、一実施形態において、一次アンテナ130及びダイバーシティアンテナ140は、異なる減衰、雑音、周波数応答又は位相シフトを有する信号を受信し得る。送受信器112は、異なる特性を備えた双方の信号を使用して、当該信号に対応するデータビットを決定することができる。いくつかの実装において、送受信器112は、当該特性に基づいて一次アンテナ130及びダイバーシティアンテナ140間から、信号対雑音比が最高のアンテナを選択するというように、選択される。いくつかの実装において、送受信器112は、一次アンテナ130からの信号とダイバーシティアンテナ140からの信号とを結合して当該結合信号の信号対雑音比を増加させる。いくつかの実装において、送受信器112は、多重入力/多重出力(MIMO)通信を行うべく信号を処理する。
【0025】
ダイバーシティアンテナ140は一次アンテナ130から物理的に離間しているので、ダイバーシティアンテナ140は、ケーブル又はプリント回路基板(PCB)トレースのような送信線135を介して通信モジュール110に結合される。いくつかの実装において、送信線135は損失性であり、ダイバーシティアンテナ140において受信された信号を減衰させ、その後、当該信号は通信モジュール110に到達する。すなわち、いくつかの実装において、以下に記載されるように、ダイバーシティアンテナ140において受信された信号に利得が適用される。利得(及び他の、フィルタリングのようなアナログ処理)は、ダイバーシティ受信器モジュールによって適用することができる。かかるダイバーシティ受信器モジュールは、ダイバーシティアンテナ140の物理的近くに配置されるので、ダイバーシティ受信器フロントエンドモジュールと称することができる。
【0026】
図2は、DRxフロントエンドモジュール(FEM)210を含むダイバーシティ受信器(DRx)構成200を示す。DRx構成200は、ダイバーシティ信号を受信して当該ダイバーシティ信号をDRxFEM210に与えるべく構成されたダイバーシティアンテナ140を含む。DRxFEM210は、ダイバーシティアンテナ140から受信したダイバーシティ信号の処理を行うべく構成される。例えば、DRxFEM210は、ダイバーシティ信号を、例えば制御器120が指示するような一以上のアクティブ周波数帯域へとフィルタリングするべく構成することができる。他例では、DRxFEM210は、ダイバーシティ信号を増幅するべく構成することができる。それを目的として、DRxFEM210は、フィルタ、低雑音増幅器、帯域選択スイッチ、整合回路及び他の部品を含み得る。
【0027】
DRxFEM210は、処理されたダイバーシティ信号を、送信線135を介して、ダイバーシティRF(D−RF)モジュール116のような下流側モジュールへと送信する。下流側モジュールは、さらに処理されたダイバーシティ信号を送受信器112に供給する。ダイバーシティRFモジュール116(及び、いくつかの実装においては送受信器)は、制御器120によって制御される。いくつかの実装において、制御器120は、送受信器112内に実装することができる。
【0028】
図3は、いくつかの実施形態において、ダイバーシティ受信器(DRx)構成300が、多重周波数帯域に対応する多重経路を備えたDRxモジュール310を含み得ることを示す。DRx構成300は、ダイバーシティ信号を受信するべく構成されたダイバーシティアンテナ140を含む。いくつかの実装において、ダイバーシティ信号は、単一周波数帯域に変調されたデータを含む単一帯域信号とすることができる。いくつかの実装において、ダイバーシティ信号は、多重周波数帯域に変調されたデータを含む多重帯域信号(帯域間キャリアアグリゲーション信号とも称する)とすることができる。
【0029】
DRxモジュール310は、ダイバーシティアンテナ140からのダイバーシティ信号を受信する入力と、処理されたダイバーシティ信号を送受信器330に(送信線135及びダイバーシティRFモジュール320を介して)与える出力とを有する。DRxモジュール310の入力は、第1マルチプレクサ(MUX)311の入力に供給される。第1マルチプレクサ311は複数のマルチプレクサ出力を含む。各マルチプレクサ出力は、DRxモジュール310の入力及び出力間の経路に対応する。各経路は、各周波数帯域に対応し得る。DRxモジュール310の出力は、第2マルチプレクサ312の出力によって与えられる。第2マルチプレクサ312は複数のマルチプレクサ入力を含む。各マルチプレクサ入力は、DRxモジュール310の入力及び出力間の経路の一つに対応する。
【0030】
周波数帯域は、UMTS(ユニバーサル移動体通信システム)周波数帯域のようなセルラー周波数帯域とすることができる。例えば、第1周波数帯域を1930メガヘルツ(MHZ)〜1990MHzのUMTSダウンリンク又は「Rx」帯域2とし、かつ、第2周波数帯域を869MHz〜894MHzのUMTSダウンリンク又は「Rx」帯域5とすることができる。表1において以下に記載のもの又は他の非UMTS周波数帯域のような、他のダウンリンク周波数帯域も使用され得る。
【0031】
いくつかの実装において、DRxモジュール310はDRx制御器302を含む。DRx制御器302は、制御器120(通信制御器とも称する)から信号を受信し、当該受信信号に基づいて入力及び出力間の複数の経路の一以上を選択的にアクティブにする。いくつかの実装において、DRxモジュール310は、DRx制御器302を含まずに制御器120が、複数の経路の一以上を直接、選択的にアクティブにする。
【0032】
上述のように、いくつかの実装において、ダイバーシティ信号は単一帯域信号である。すなわち、いくつかの実装において、第1マルチプレクサ311は、単一帯域信号の周波数帯域に対応する複数の経路の一つへと、DRx制御器302から受信した信号に基づいてダイバーシティ信号を引き回す単極/多投(SPMT)スイッチである。DRx制御器302は、DRx制御器302が通信制御器120から受信した帯域選択信号に基づいて信号を発生させることができる。同様に、いくつかの実装において、第2マルチプレクサ312は、DRx制御器302から受信した信号に基づいて、単一帯域信号の周波数帯域に対応する複数の経路の一つからの信号を引き回すSPMTスイッチである。
【0033】
上述のように、いくつかの実装において、ダイバーシティ信号は多重帯域信号である。すなわち、いくつかの実装において、第1マルチプレクサ311は、DRx制御器302から受信した分割器制御信号に基づいて、多重帯域信号の2以上周波数帯域に対応する複数の経路の2以上にダイバーシティ信号を引き回す帯域分割器である。信号分割器の機能は、SPMTスイッチ、ダイプレクサフィルタ、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装することができる。同様に、いくつかの実装において、第2マルチプレクサ312は、多重帯域信号の2以上の周波数帯域に対応する複数の経路の2以上からの信号を、DRx制御器302から受信した結合器制御信号に基づいて結合する帯域結合器である。信号結合器の機能は、SPMTスイッチ、ダイプレクサフィルタ、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装することができる。DRx制御器302は、DRx制御器302が通信制御器120から受信した帯域選択信号に基づいて分割器制御信号及び結合器制御信号を発生させることができる。
【0034】
すなわち、いくつかの実装において、DRx制御器302は、DRx制御器302が(例えば通信制御器120から)受信した帯域選択信号に基づいて、複数の経路の一以上を選択的にアクティブにするべく構成される。いくつかの実装において、DRx制御器302は、信号分割器に分割器制御信号を送信しかつ信号結合器に結合器制御信号を送信することによって複数の経路の一以上を選択的にアクティブにするべく構成される。
【0035】
DRxモジュール310は複数の帯域通過フィルタ313a〜313dを含む。帯域通過フィルタ313a〜313dの各一つは、複数の経路の一つの対応経路に沿って設けられ、かつ、帯域通過フィルタにおいて受信した信号を、当該複数の経路の当該一つの対応周波数帯域へとフィルタリングするべく構成される。いくつかの実装において、帯域通過フィルタ313a〜313dはさらに、帯域通過フィルタにおいて受信した信号を、当該複数の経路の当該一つの対応周波数帯域のダウンリンク周波数サブ帯域へとフィルタリングするべく構成される。DRxモジュール310は複数の増幅器314a〜314dを含む。増幅器314a〜314dの各一つは、複数の経路の一つの対応経路に沿って設けられ、かつ、当該増幅器において受信した信号を増幅するべく構成される。
【0036】
いくつかの実装において、増幅器314a〜314dは、当該増幅器が設けられた経路の各周波数帯域内の信号を増幅するべく構成された狭帯域増幅器である。いくつかの実装において、増幅器314a〜314dは、DRx制御器302によって制御可能である。例えば、いくつかの実装において、増幅器314a〜314dはそれぞれ、イネーブル/ディセーブル入力を含み、当該イネーブル/ディセーブル入力において受信した増幅器イネーブル信号に基づいてイネーブル(又はディセーブル)にされる。増幅器イネーブル信号は、DRx制御器302によって送信することができる。すなわち、いくつかの実装において、DRx制御器302は、複数の経路の一以上に沿ってそれぞれが設けられた増幅器314a〜314dの一以上に増幅器イネーブル信号を送信することにより、当該複数の経路の一以上を選択的にアクティブにするべく構成される。かかる実装においては、DRx制御器302による制御というよりもむしろ、第1マルチプレクサ311を、ダイバーシティ信号を複数の経路のそれぞれに引き回す信号分割器とし、第2マルチプレクサ312を、当該複数の経路のそれぞれからの信号を結合する信号結合器とすることができる。しかしながら、DRx制御器302が第1マルチプレクサ311及び第2マルチプレクサ312を制御する実装において、DRX制御器302はまた、例えば電池を節約するべく特定の増幅器314a〜314dをイネーブル(又はディセーブル)にすることもできる。
【0037】
いくつかの実装において、増幅器314a〜314dは可変利得増幅器(VGA)である。すなわち、いくつかの実装において、DRxモジュール310は複数の可変利得増幅器(VGA)を含み、VGAの各一つは、複数の経路の一つの対応経路に沿って設けられ、かつ、当該VGAにおいて受信した信号を、DRx制御器302から受信した増幅器制御信号によって制御される利得によって増幅するべく構成される。
【0038】
VGAの利得は、バイパス可能、ステップ可変、連続可変とすることができる。いくつかの実装において、VGAの少なくとも一つは、固定利得増幅器と、増幅器制御信号によって制御可能なバイパススイッチとを含む。バイパススイッチは(第1位置において)、固定利得増幅器の入力と当該固定利得増幅器の出力との間の線を閉とすることにより、信号が当該固定利得増幅器をバイパスするのを許容することができる。バイパススイッチは(第2位置において)入力及び出力間の線を開とすることにより、信号が固定利得増幅器を通過するようにできる。いくつかの実装において、バイパススイッチが第1位置にあると、固定利得増幅器はディセーブルにされ、又はバイパスモードに適合するべく再構成される。
【0039】
いくつかの実装において、VGAの少なくとも一つは、当該VGAにおいて受信した信号を、増幅器制御信号が指示する複数の設定量の一つの利得によって増幅するべく構成されたステップ可変利得増幅器を含む。いくつかの実装において、VGAの少なくとも一つは、当該VGAにおいて受信した信号を増幅器制御信号に比例する利得によって増幅するべく構成された連続可変利得増幅器を含む。
【0040】
いくつかの実装において、増幅器314a〜314dは可変電流増幅器(VCA)である。VCAにより引き出される電流は、バイパス可能、ステップ可変、連続可変とすることができる。いくつかの実装において、VCAの少なくとも一つは、固定電流増幅器と、増幅器制御信号によって制御可能なバイパススイッチとを含む。バイパススイッチは(第1位置において)、固定電流増幅器の入力と当該固定電流増幅器の出力との間の線を閉とすることにより、信号が当該固定電流増幅器をバイパスするのを許容することができる。バイパススイッチは(第2位置において)入力及び出力間の線を開とすることにより、信号が固定電流増幅器を通過するようにできる。いくつかの実装において、バイパススイッチが第1位置にあると、固定電流増幅器はディセーブルにされ、又はバイパスモードに適合するべく再構成される。
【0041】
いくつかの実装において、VCAの少なくとも一つは、当該VCAにおいて受信した信号を、増幅器制御信号が指示する複数の設定量の一つの電流を引き出すことによって増幅するべく構成されたステップ可変電流増幅器を含む。いくつかの実装において、VCAの少なくとも一つは、当該VCAにおいて受信した信号を、増幅器制御信号に比例する電流を引き出すことによって増幅するべく構成された連続可変電流増幅器を含む。
【0042】
いくつかの実装において、増幅器314a〜314dは、固定利得、固定電流増幅器である。いくつかの実装において、増幅器314a〜314dは、固定利得、可変電流増幅器である。いくつかの実装において、増幅器314a〜314dは、可変利得、固定電流増幅器である。いくつかの実装において、増幅器314a〜314dは、可変利得、可変電流増幅器である。
【0043】
いくつかの実装において、DRx制御器302は、入力において受信した入力信号の、サービス品質メトリックに基づいて増幅器制御信号(複数可)を発生させる。いくつかの実装において、DRx制御器302は、通信制御器120から受信した信号に基づいて増幅器制御信号(複数可)を発生させる。増幅器制御信号はさらに、受信信号のサービス品質(QoS)メトリックに基づき得る。受信信号のQoSメトリックは、少なくとも部分的には、ダイバーシティアンテナ140において受信したダイバーシティ信号(例えば入力において受信した入力信号)に基づき得る。受信信号のQoSメトリックはさらに、一次アンテナにおいて受信した信号に基づき得る。いくつかの実装において、DRx制御器302は、通信制御器120から信号を受信することなく、ダイバーシティ信号のQoSメトリックに基づいて増幅器制御信号(複数可)を発生させる。
【0044】
いくつかの実装において、QoSメトリックは信号強度を含む。他例では、QoSメトリックは、ビット誤り率、データスループット、送信遅延、又は任意の他のQoSメトリックを含み得る。
【0045】
上述のように、DRxモジュール310は、ダイバーシティアンテナ140からのダイバーシティ信号を受信する入力と、処理されたダイバーシティ信号を送受信器330に(送信線135及びダイバーシティRFモジュール320を介して)与える出力とを有する。ダイバーシティRFモジュール320は、処理されたダイバーシティ信号を、送信線135を介して受信してさらなる処理を行う。特に、処理されたダイバーシティ信号は、ダイバーシティRFマルチプレクサ321によって一以上の経路へと分割され又は引き回される。当該経路において、分割され又は引き回された信号は、対応する帯域通過フィルタ323a〜323dによるフィルタリングを受け、対応する増幅器324a〜324dによって増幅される。増幅器324a〜324dそれぞれの出力は、送受信器330に与えられる。
【0046】
ダイバーシティRFマルチプレクサ321は、経路の一以上を選択的にアクティブにするべく制御器120によって(直接的に又はオンチップダイバーシティRF制御器を介してのいずれかによって)制御することができる。同様に、増幅器324a〜324dも制御器120によって制御され得る。例えば、いくつかの実装において、増幅器324a〜324dのそれぞれは、イネーブル/ディセーブル入力を含み、増幅器イネーブル信号に基づいてイネーブル(又はディセーブル)にされる。いくつかの実装において、増幅器324a〜324dは可変利得増幅器(VGA)である。VGAは、当該VGAにおいて受信した信号を、制御器120(又は制御器120が制御するオンチップダイバーシティRF制御器)から受信した増幅器制御信号が制御する利得によって増幅する。いくつかの実装において、増幅器324a〜324dは可変電流増幅器(VCA)である。
【0047】
すでにダイバーシティRFモジュール320を含んだ受信器チェーンにDRxモジュール310を追加することにより、DRx構成300における帯域通過フィルタの数は2倍となる。すなわち、いくつかの実装において、帯域通過フィルタ323a〜323dは、ダイバーシティRFモジュール320には含まれない。むしろ、DRxモジュール310の帯域通過フィルタ313a〜313dが、帯域外ブロッカーの強度を低減するべく使用される。さらに、ダイバーシティRFモジュール320の自動利得制御(AGC)テーブルをシフトして、ダイバーシティRFモジュール320の増幅器324a〜324dが与える利得量を、DRxモジュール310の増幅器314a〜314dが与える利得量だけ低減することができる。
【0048】
例えば、DRxモジュール利得が15dBでありかつ受信器感度が−100dBmの場合、ダイバーシティRFモジュール320は−85dBmの感度となる。ダイバーシティRFモジュール320の閉ループAGCがアクティブになると、その利得は自動的に15dBだけ降下する。しかしながら、信号部品及び帯域外ブロッカーの双方が受信されて15dBだけ増幅される。すなわち、ダイバーシティRFモジュール320の15dB利得降下には、その線形性の15dB上昇も付随し得る。特に、ダイバーシティRFモジュール320の増幅器324a〜324dは、当該増幅器の線形性が、利得低減(又は電流増加)に伴い増加するように設計され得る。
【0049】
いくつかの実装において、制御器120は、DRxモジュール310の増幅器314a〜314dとダイバーシティRFモジュール320の増幅器324a〜324dとの利得(及び/又は電流)を制御する。上記例においてのように、制御器120は、DRxモジュール310の増幅器314a〜314dが与える一定量の利得が増加することに応答して、ダイバーシティRFモジュール320の増幅器324a〜324dが与える一定量の利得を低減することができる。すなわち、いくつかの実装において、制御器120は、(ダイバーシティRFモジュール320の増幅器324a〜324dのための)下流側増幅器制御信号を(DRxモジュール310の増幅器314a〜314dのための)増幅器制御信号に基づいて発生させ、かつ、送信線135を介して(DRxモジュール310の)出力に結合された一以上の下流側増幅器324a〜324dの利得を制御するべく構成される。いくつかの実装において、制御器120はまた、無線デバイスの、フロントエンドモジュール(FEM)における増幅器のような他の部品の利得も増幅器制御信号に基づいて制御する。
【0050】
上述のように、いくつかの実装において、帯域通過フィルタ323a〜323dは含まれない。すなわち、いくつかの実装において、下流側増幅器324a〜324dの少なくとも一つは、下流側帯域通過フィルタを通過することなく、送信線135を介して(DRxモジュール310の)出力に結合される。
【0051】
図4は、いくつかの実施形態において、ダイバーシティ受信器構成400が、ダイバーシティ受信器(DRx)モジュール310よりも少ない増幅器を備えたダイバーシティRFモジュール420を含み得ることを示す。ダイバーシティ受信器構成400は、
図3を参照して上述されたダイバーシティアンテナ140及びDRxモジュール310を含む。DRxモジュール310の出力が、送信線135を介してダイバーシティRFモジュール420へと通過する。ダイバーシティRFモジュール420は、
図4のダイバーシティRFモジュール420がDRxモジュール310よりも少ない増幅器を含む点で
図3のダイバーシティRFモジュール320とは異なる。
【0052】
上述のように、いくつかの実装において、ダイバーシティRFモジュール420は帯域通過フィルタを含まない。すなわち、いくつかの実装において、ダイバーシティRFモジュール420の一以上の増幅器424は帯域固有とする必要がない。特に、ダイバーシティRFモジュール420は一以上の経路を含み得る。各経路は、DRxモジュール310の経路に一対一でマッピングされない増幅器424を含む。かかる経路(又は対応する増幅器)のマッピングは、制御器120に記憶することができる。
【0053】
したがって、DRxモジュール310が、それぞれが一周波数帯域に対応する一定数の経路を含む一方、ダイバーシティRFモジュール420は、単一周波数帯域に対応しない一以上の経路を含み得る。
【0054】
(
図4に示される)いくつかの実装において、ダイバーシティRFモジュール420は、送信線135から受信した信号を増幅して増幅済み信号をマルチプレクサ421に出力する単一広帯域増幅器424を含む。マルチプレクサ421は、それぞれが各周波数帯域に対応する複数のマルチプレクサ出力を含む。いくつかの実装において、ダイバーシティRFモジュール420はいずれの増幅器も含まない。
【0055】
いくつかの実装において、ダイバーシティ信号は単一帯域信号である。すなわち、いくつかの実装において、マルチプレクサ421は、制御器120から受信した信号に基づいてダイバーシティ信号を、複数の出力の、単一帯域信号の周波数帯域に対応する一つへと引き回すSPMTスイッチである。いくつかの実装において、ダイバーシティ信号は多重帯域信号である。すなわち、いくつかの実装において、マルチプレクサ421は、制御器120から受信した分割器制御信号に基づいてダイバーシティ信号を、複数の出力の、多重帯域信号の2以上の周波数帯域に対応する2以上へと引き回す信号分割器である。いくつかの実装において、ダイバーシティRFモジュール420は、単一モジュールとして送受信器330と組み合わせることができる。
【0056】
いくつかの実装において、ダイバーシティRFモジュール420は、それぞれが一組の周波数帯域に対応する多重増幅器を含む。送信線135からの信号は、第1経路に沿って高周波増幅器に高周波を出力しかつ第2経路に沿って低周波増幅器に低周波を出力する帯域分割器へと供給することができる。各増幅器の出力は、当該信号を送受信器330の対応入力へと引き回すべく構成されたマルチプレクサ421へと与えることができる。
【0057】
図5は、いくつかの実施形態において、ダイバーシティ受信器構成500が、単極/単投スイッチ519を備えたDRxモジュール510を含み得ることを示す。DRxモジュール510は、アンテナ140に結合されたDRxモジュール510の入力から、送信線135に結合されたDRxモジュール510の出力への2つの経路を含む。DRxモジュール510は複数の増幅器514a〜514bを含む。複数の増幅器514a〜514bの各一つは、複数の経路の一つの対応経路に沿って設けられ、かつ、当該増幅器において受信した信号を増幅するべく構成される。いくつかの実装において、
図5に示されるように、複数の増幅器の少なくとも一つは二段増幅器を含み得る。
【0058】
図5のDRxモジュール510において、信号分割器及び帯域通過フィルタはダイプレクサ511として実装される。ダイプレクサ511は、アンテナ140に結合された入力と、第1経路に沿って設けられた位相シフト部品527aに結合された第1出力と、第2経路に沿って設けられた第2位相シフト部品527bに結合された第2出力とを含む。ダイプレクサ511は第1出力において、入力において(例えばアンテナ140から)受信しかつ第1周波数帯域へのフィルタリングがされた信号を出力する。ダイプレクサ511は第2出力において、入力において受信しかつ第2周波数帯域へのフィルタリングがされた信号を出力する。いくつかの実装において、ダイプレクサ511は、DRxモジュール510の入力において受信した入力信号を分割して、複数の経路に沿って伝播する複数の周波数帯域それぞれの複数の信号にするべく構成されたトライプレクサ、クアッドプレクサ、又は任意の他のマルチプレクサに置換することができる。
【0059】
いくつかの実装において、
図3の第2マルチプレクサ312のような、DRxモジュールの出力に設けられた出力マルチプレクサ又は他の信号結合器は、単一帯域信号を受信する場合にDRxモジュールの性能を劣化させ得る。例えば、出力マルチプレクサは、単一帯域信号を減衰させ又は単一帯域信号に雑音を導入し得る。いくつかの実装において、多重帯域信号をサポートするべく
図3の増幅器314a〜314dのような多重増幅器が同時にイネーブルにされる場合、各増幅器はそれぞれ、帯域内雑音のみならず、他の多重帯域のそれぞれに対する帯域外雑音も導入し得る。
【0060】
図5のDRxモジュール510が、これらの課題のいくつかに対処する。DRxモジュール510は、第1経路を第2経路に結合する単極/単投(SPST)スイッチ519を含む。第1周波数帯域に対する単一帯域モードで動作するべく、スイッチ519が開位置に置かれ、第1増幅器514aがイネーブルにされ、及び第2増幅器514bがディセーブルにされる。すなわち、第1周波数帯域にある単一帯域信号は、スイッチング損失なしに、アンテナ140から送信線135へと第1経路に沿って伝播する。同様に、第2周波数帯域に対する単一帯域モードで動作するべく、スイッチ519が開位置に置かれ、第1増幅器514aがディセーブルにされ、及び第2増幅器514bがイネーブルにされる。すなわち、第2周波数帯域にある単一帯域信号は、スイッチング損失なしに、アンテナ140から送信線135へと第2経路に沿って伝播する。
【0061】
第1周波数帯域及び第2周波数帯域に対する多重帯域モードで動作するべく、スイッチ519が閉位置に置かれ、第1増幅器514aがイネーブルにされ、及び第2増幅器514bがディセーブルにされる。すなわち、多重帯域信号の第1周波数帯域部分は、第1位相シフト部品527a、第1インピーダンス整合部品526a及び第1増幅器514aを通る第1経路に沿って伝播する。第1周波数帯域部分は、スイッチ519を横切って第2位相シフト部品527bにより第2経路に沿って逆方向に伝播することが防止される。特に、第2位相シフト部品527aは、第2位相シフト部品527bを通過する信号の第1周波数帯域部分を位相シフトして、当該第1周波数帯域においてインピーダンスを最大化(又は少なくとも増加)させるべく構成される。
【0062】
多重帯域信号の第2周波数帯域部分は、第2位相シフト部品527bを通る第2経路に沿って伝播し、スイッチ519を横切り、並びに、第1インピーダンス整合部品526a及び第1増幅器314aを通る第1経路に沿って伝播する。第2周波数帯域部分は、第1位相シフト部品527aによって第1経路に沿って逆方向に伝播することが防止される。特に、第1位相シフト部品527aは、第1位相シフト部品527aを通過する信号の第2周波数帯域部分を位相シフトして、当該第2周波数帯域においてインピーダンスを最大化(又は少なくとも増加)させるべく構成される。
【0063】
各経路は、雑音指数及び利得によって特徴付けることができる。各経路の雑音指数は、経路に沿って設けられた増幅器及びインピーダンス整合部品526a〜526bが引き起こす信号対雑音比(SNR)劣化の表現である。特に、各経路の雑音指数は、インピーダンス整合部品526a〜526bの入力におけるSNRと、増幅器314a〜314bの出力におけるSNRとのデシベル(dB)差である。すなわち、雑音指数は、増幅器の雑音出力と、同じ利得の(雑音を生じない)「理想」増幅器の雑音出力との差の尺度である。
【0064】
各経路の雑音指数及び利得は、異なる周波数帯域に対して異なり得る。例えば、第1経路は、第1周波数帯域に対する第1雑音指数と、第2周波数帯域に対する第2雑音指数とを有し得る。(各周波数帯域における)各経路の雑音指数及び利得は、少なくとも部分的には、インピーダンス整合部品526a〜526bの(各周波数帯域における)インピーダンスに依存する。したがって、インピーダンス整合部品526a〜526bのインピーダンスが、各経路の雑音指数を最小化(又は低減)するようになれば有利となり得る。
【0065】
いくつかの実装において、第2インピーダンス整合部品526bは、第2周波数帯域に対する雑音指数を最小化(又は低下)させるインピーダンスを表す。いくつかの実装において、第1インピーダンス整合部品526aは、第1周波数帯域に対する雑音指数を最小化(又は低下)させる。多重帯域信号の第2周波数帯域部分が部分的に第1部分に沿って伝播し得るので、いくつかの実装において、第1インピーダンス整合部品526aは、第1帯域に対する雑音指数及び第2帯域に対する雑音指数を含むメトリックを最小化(又は低下)させる。
【0066】
インピーダンス整合部品526a〜526bは、受動回路として実装することができる。特に、インピーダンス整合部品526a〜526bはRLC回路として実装され、抵抗器、インダクタ及び/又はキャパシタのような一以上の受動部品を含む。これらの受動部品は、並列及び/又は直列に接続して位相シフト部品527a〜527bの出力と増幅器514a〜415bの入力との間に接続し又は位相シフト部品527a〜527bの出力と接地電圧との間に接続することができる。
【0067】
同様に、位相シフト部品527a〜527bも受動回路として実装することができる。特に、位相シフト部品527a〜527bはLC回路として実装され、インダクタ及び/又はキャパシタのような一以上の受動部品を含み得る。これらの受動部品は、並列及び/又は直列に接続してダイプレクサ511の出力とインピーダンス整合部品526a〜526bの入力との間に接続し又はダイプレクサ511の出力と接地電圧との間に接続することができる。
【0068】
図6は、いくつかの実施形態において、ダイバーシティ受信器構成600が、チューニング可能位相シフト部品627a〜627dを備えたDRxモジュール610を含み得ることを示す。チューニング可能位相シフト部品627a〜627dのそれぞれは、当該チューニング可能位相シフト部品を通過する信号を、制御器から受信した位相シフトチューニング信号によって制御される量だけ位相シフトするべく構成することができる。
【0069】
ダイバーシティ受信器構成600は、アンテナ140に結合された入力と送信線135に結合された出力とを有するDRxモジュール610を含む。DRxモジュール610は、DRxモジュール610の入力及び出力間に一定数の経路を含む。各経路は、マルチプレクサ311、帯域通過フィルタ313a〜313d、チューニング可能位相シフト部品627a〜627d、スイッチングネットワーク612、チューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626d及び増幅器314a〜314dを含む。上述のように、増幅器314a〜314dは、可変利得増幅器及び/又は可変電流増幅器とすることができる。
【0070】
チューニング可能位相シフト部品627a〜627dは、インダクタ及びキャパシタのような一以上の可変部品を含み得る。これらの可変部品は、並列及び/又は直列に接続してマルチプレクサ311の出力とスイッチングネットワーク612の入力との間に接続し又はマルチプレクサの出力と接地電圧との間に接続することができる。
【0071】
チューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626dは、チューニング可能T型回路、チューニング可能π型回路又は任意の他のチューニング可能整合回路とすることができる。チューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626dは、抵抗器、インダクタ及びキャパシタのような一以上の可変部品を含み得る。これらの可変部品は、並列及び/又は直列に接続してスイッチングネットワーク612の出力と増幅器314a〜314dの入力との間に接続し又は当該スイッチングネットワーク612の出力と接地電圧との間に接続することができる。
【0072】
DRx制御器602は、入力及び出力間の複数の経路の一以上を選択的にアクティブにするべく構成される。いくつかの実装において、DRx制御器602は、DRx制御器602が(例えば通信制御器から)受信した帯域選択信号に基づいて複数の経路の一以上を選択的にアクティブにするべく構成される。DRx制御器602は、例えば、増幅器314a〜314dのイネーブル又はディセーブルにより、マルチプレクサ311及び/若しくはスイッチングネットワーク612の制御により、又は他のメカニズムを介して当該経路を選択的にアクティブにすることができる。
【0073】
いくつかの実装において、DRx制御器602は、帯域選択信号に基づいてスイッチングネットワーク612を制御する。スイッチングネットワークは複数のSPSTスイッチを含む。各スイッチは、複数の経路の2つを結合する。DRx制御器602は、複数のSPSTスイッチを開閉するべくスイッチングネットワークにスイッチング信号(又は多重スイッチング信号)を送信することができる。例えば、入力信号が第1周波数帯域及び第2周波数帯域を含むことを帯域選択信号が指示する場合、DRx制御器602は、第1経路及び第2経路間のスイッチを閉にし得る。入力信号が第2周波数帯域及び第4周波数帯域を含むことを帯域選択信号が指示する場合、DRx制御器602は、第2経路及び第4経路間のスイッチを閉にし得る。入力信号が第1周波数帯域、第2周波数帯域及び第4周波数帯域を含むことを帯域選択信号が指示する場合、DRx制御器602は、双方のスイッチを閉にし得る(並びに/又は第1経路及び第2経路間のスイッチと第1経路及び第4経路間のスイッチとを閉にし得る)。入力信号が第2周波数帯域、第3周波数帯域及び第4周波数を含むことを帯域選択信号が指示する場合、DRx制御器602は、第2経路及び第3経路間のスイッチと第3経路及び第4経路間のスイッチとを閉にし得る(並びに/又は第2経路及び第3経路間のスイッチと第2経路及び第4経路間のスイッチとを閉にし得る)。
【0074】
いくつかの実装において、DRx制御器602は、チューニング可能位相シフト部品627a〜627dをチューニングするべく構成される。いくつかの実装において、DRx制御器602は、帯域選択信号に基づいてチューニング可能位相シフト部品627a〜627dをチューニングする。例えば、DRx制御器602は、チューニング可能位相シフト部品627a〜627dを、帯域選択信号が指示する複数の周波数帯域(又は複数組の周波数帯域)をチューニングパラメータに関連付けるルックアップテーブルに基づいてチューニングすることができる。したがって、DRx制御器602は帯域選択信号に応答して位相シフトチューニング信号を各アクティブ経路のチューニング可能位相シフト部品627a〜627dへと送信し、チューニングパラメータに従って当該チューニング可能位相シフト部品(又はその可変部品)をチューニングすることができる。
【0075】
DRx制御器602は、各アクティブ経路のチューニング可能位相シフト部品627a〜627dを、他のアクティブ経路に対応する周波数帯域においてインピーダンスを最大化(又は少なくとも増加)させるようにチューニングするべく構成することができる。すなわち、第1経路及び第3経路がアクティブの場合、DRx制御器602は、第3周波数帯域においてインピーダンスを最大化(又は少なくとも増加)させるように第1位相シフト部品627aをチューニングする一方、第1経路及び第4経路がアクティブの場合、DRx制御器602は、第4周波数帯域においてインピーダンスを最大化(又は少なくとも増加)させるように第1位相シフト部品627aをチューニングすることができる。
【0076】
いくつかの実装において、DRx制御器602は、チューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626dをチューニングするべく構成される。いくつかの実装において、DRx制御器602は、帯域選択信号に基づいてチューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626dをチューニングする。例えば、DRx制御器602は、チューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626dを、帯域選択信号が指示する複数の周波数帯域(又は複数組の周波数帯域)をチューニングパラメータに関連付けるルックアップテーブルに基づいてチューニングすることができる。したがって、DRx制御器602は帯域選択信号に応答してインピーダンスチューニング信号を、チューニングパラメータに従うアクティブ増幅器を有する経路のチューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626dへと送信することができる。
【0077】
いくつかの実装において、DRx制御器602は、各アクティブ経路の対応周波数帯域に対する雑音指数を含むメトリックを最小化(又は低減)させるべく、アクティブ増幅器を有する経路のチューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626dをチューニングする。
【0078】
様々な実装において、チューニング可能位相シフト部品627a〜627d又はチューニング可能インピーダンス整合部品626a〜626dの一以上は、DRx制御器602によって制御されることのない固定部品に置換することができる。
【0079】
図7は、RF信号を処理する方法700のフローチャート表現の一実施形態を示す。いくつかの実装において(及び一例では以下に詳述されるように)、方法700は、
図6のDRx制御器602のような制御器によって行われる。いくつかの実装において、方法700は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせを含む処理ロジックによって行うことができる。いくつかの実装において、方法700は、非一時的コンピュータ可読媒体(例えばメモリ)に記憶されたコードを実行するプロセッサによって行われる。簡潔には、方法700は、帯域選択信号を受信することと、受信RF信号を一以上の経路へと引き回して当該受信RF信号を処理することとを含む。
【0080】
方法700は、ブロック710において、制御器が帯域選択信号を受信することから始まる。制御器は、他の制御器から帯域選択信号を受信し、又はセルラー基地局若しくは他の外部ソースから帯域選択信号を受信することができる。帯域選択信号は、無線デバイスがRF信号を送受信する一以上の周波数帯域を指示することができる。いくつかの実装において、帯域選択信号は、キャリアアグリゲーション通信のための一組の周波数帯域を指示する。
【0081】
ブロック720において、制御器は、帯域選択信号に基づいて増幅器イネーブル信号をDRxモジュールの増幅器に送信する。いくつかの実装において、帯域選択信号は単一周波数帯域を指示し、制御器は、当該単一周波数帯域に対応する経路に沿って設けられた増幅器をイネーブルにする増幅器イネーブル信号を送信する。制御器は、他の周波数帯域に対応する他の経路に沿って設けられた他の増幅器をディセーブルにする増幅器イネーブル信号を送信することができる。いくつかの実装において、帯域選択信号が多重周波数帯域を指示し、かつ、制御器は、多重周波数帯域の一つに対応する一つの経路に沿って設けられた増幅器をイネーブルにする増幅器イネーブル信号を送信する。制御器は、他の増幅器をディセーブルにする増幅器イネーブル信号を送信することができる。いくつかの実装において、制御器は、最低周波数帯域に対応する経路に沿って設けられた増幅器をイネーブルにする。
【0082】
ブロック730において、制御器は、帯域選択信号に基づいて単極/単投(SPST)スイッチのスイッチングネットワークを制御するスイッチング信号を送信する。スイッチングネットワークは、複数の周波数帯域に対応する複数の経路を結合する複数のSPSTスイッチを含む。いくつかの実装において、帯域選択信号が単一周波数帯域を示し、制御器は、SPSTスイッチのすべてを開にするスイッチング信号を送信する。いくつかの実装において、帯域選択信号が多重周波数帯域を指示し、制御器は、多重周波数帯域に対応する経路を結合するべくSPSTスイッチの一以上を閉とするスイッチング信号を送信する。
【0083】
ブロック740において、制御器は、帯域選択信号に基づいてチューニング信号を一以上のチューニング可能部品へと送信する。チューニング可能部品は、複数のチューニング可能位相シフト部品又は複数のチューニング可能インピーダンス整合部品の一以上を含み得る。制御器は、チューニング可能部品を、帯域選択信号が指示する複数の周波数帯域(又は複数組の周波数帯域)をチューニングパラメータに関連付けるルックアップテーブルに基づいてチューニングすることができる。したがって、DRx制御器は帯域選択信号に応答してチューニング信号を(アクティブ経路の)チューニング可能部品へと送信し、チューニングパラメータに従って当該チューニング可能部品(又はその可変部品)をチューニングすることができる。
【0084】
図8は、いくつかの実施形態において、ダイバーシティ受信器構成(例えば
図3、4、5及び6に示されるもの)のいくつか又はすべてが、一モジュールに全体的に又は部分的に実装可能であることを示す。かかるモジュールは、例えばフロントエンドモジュール(FEM)とすることができる。かかるモジュールは、例えばダイバーシティ受信器(DRx)FEMとすることができる。
図8の例において、モジュール800はパッケージング基板802を含み得る。かかるパッケージング基板802には一定数の部品が搭載され得る。例えば、(フロントエンド電力管理集積回路[FE−PIMC]を含み得る)制御器804、(一以上の可変利得増幅器を含み得る)低雑音増幅器アセンブリ806、(一以上の固定又はチューニング可能位相シフト部品831と一以上の固定又はチューニング可能インピーダンス整合部品832とを含み得る)整合部品808、(SPSTスイッチのスイッチングネットワーク833を含み得る)マルチプレクサアセンブリ810、及び(一以上の帯域通過フィルタを含み得る)フィルタバンク812を、パッケージング基板802上に及び/又はパッケージング基板802内に搭載及び/又は実装可能である。一定数のSMTデバイス814のような他の部品もまた、パッケージング基板802に搭載することができる。様々な部品のすべてがパッケージング基板802上にレイアウトされるように描かれるにもかかわらず、何らかの部品(複数可)が、他の部品(複数可)の上に実装できることが理解される。
【0085】
いくつかの実装において、ここに記載される一以上の特徴を有するデバイス及び/又は回路は、無線デバイスのようなRF電子デバイスに含まれ得る。かかるデバイス及び/又は回路は、無線デバイスに直接、ここに記載されるモジュラー形態で、又はこれらの何らかの組み合わせで実装可能である。いくつかの実施形態において、かかる無線デバイスは、例えば、セルラー電話、スマートフォン、電話機能あり又はなしのハンドヘルド無線デバイス、無線タブレット等を含み得る。
【0086】
図9は、ここに記載される一以上の有利な特徴を有する代表的な無線デバイス900を描く。ここに記載される一以上の特徴を有する一以上のモジュールの文脈において、かかるモジュールは一般に、破線枠901(例えばフロントエンドモジュールとして実装可能)、ダイバーシティRFモジュール911(例えば下流側モジュールとして実装可能)、及びダイバーシティ受信器(DRx)モジュール800(例えばフロントエンドモジュールとして実装可能)によって描くことができる。
【0087】
図9を参照すると、電力増幅器(PA)920は、その各RF信号を、増幅及び送信対象のRF信号を周知の態様で発生させるべく構成かつ動作可能な送受信器910から受信し、受信信号を処理することができる。送受信器910は、ユーザに適したデータ及び/又は音声信号と送受信器910に適したRF信号との間の変換を与えるべく構成されたベース帯域サブシステム908と相互作用をするように示される。送受信器910はまた、無線デバイス900の動作のために電力を管理するべく構成された電力管理部品906と通信することもできる。かかる電力管理はまた、ベース帯域サブシステム908並びにモジュール 901、911及び800の動作を制御することもできる。
【0088】
ベース帯域サブシステム908は、ユーザに与えられ及びユーザから受けた音声及び/又はデータの様々な入出力を容易にするべく、ユーザインタフェイス902に接続されるように示される。ベース帯域サブシステム908はまた、無線デバイスの動作を容易にする及び/又はユーザのための情報記憶を与えるデータ及び/又は命令を記憶するべく構成されたメモリ904に接続することもできる。
【0089】
代表的な無線デバイス900において、PA920の出力は、(対応整合回路922を介して)対応デュプレクサ924に整合され及び引き回されるように示される。かかる増幅されかつフィルタリングを受けた信号は、送信を目的としてアンテナスイッチ914を介して一次アンテナ916へと引き回すことができる。いくつかの実施形態において、デュプレクサ924により、共通アンテナ(例えば一次アンテナ916)を使用して送受信動作を同時に行うことができる。
図9において、受信された信号は、例えば低雑音増幅器(LNA)を含み得る「Rx」経路へと引き回されるように示される。
【0090】
無線デバイスはまた、ダイバーシティアンテナ926と、ダイバーシティアンテナ926から信号を受信するダイバーシティ受信器モジュール800とを含む。ダイバーシティ受信器モジュール800は、受信信号を処理し、処理された信号を、ケーブル935を介してダイバーシティRFモジュール911へと送信する。ダイバーシティRFモジュール911は、当該信号をさらに処理した後に送受信器910に供給する。
【0091】
本開示の一以上の特徴には、ここに記載される様々なセルラー周波数帯域を実装することができる。かかる帯域の例が表1に列挙される。理解されることだが、帯域の少なくともいくつかは、サブ帯域に分割することができる。またも理解されることだが、本開示の一以上の特徴は、表1の例のような指示を有しない周波数範囲も実装することができる。
【表1】
【0092】
本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、文脈上そうでないことが明らかでない限り、「含む」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「〜を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される用語「結合」は、直接接続されるか又は一以上の中間要素を介して接続されるかいずれかとなり得る2以上の要素を言及する。加えて、用語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の用語は、本願において使用される場合、本願全体を言及し、本願の任意の特定部分を言及するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する上述の詳細な説明における用語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。2以上の項目のリストを参照する用語「又は」及び「若しくは」について、当該用語は以下の解釈のすべてをカバーする。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストのすべての項目、及び当該リストの項目の任意の組み合わせである。
【0093】
本発明の実施形態の上記詳細な説明は、排他的であることすなわち本発明を上記開示の正確な形態に制限することを意図しない。本発明の及びその例の特定の実施形態が例示を目的として上述されたが、当業者が認識するように、本発明の範囲において様々な均等の修正も可能である。例えば、プロセス又はブロックが所与の順序で提示されるが、代替実施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを行うこと又はブロックを有するシステムを用いることができ、いくつかのプロセス又はブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらのプロセス又はブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。また、プロセス又はブロックが直列的に行われるように示されることがあるが、これらのプロセス又はブロックは、その代わりに、並列して行い又は異なる時に行うこともできる。
【0094】
ここに与えられた本発明の教示は、必ずしも上述のシステムに限られることがなく、他のシステムにも適用することができる。上述の様々な実施形態要素及び行為は、さらなる実施形態を与えるべく組み合わせることができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態が記載されたが、これらの実施形態は、例のみとして提示されており、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際、ここに記載される新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここに記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。