特許第6181784号(P6181784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181784
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ロータ及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/22 20060101AFI20170807BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H02K1/22 A
   H02K1/27 501A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-10843(P2016-10843)
(22)【出願日】2016年1月22日
(62)【分割の表示】特願2011-239507(P2011-239507)の分割
【原出願日】2011年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-54647(P2016-54647A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2016年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋次
(72)【発明者】
【氏名】森田 智恵
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−043749(JP,U)
【文献】 特開2002−044921(JP,A)
【文献】 特開2010−213455(JP,A)
【文献】 特開2004−194442(JP,A)
【文献】 特開2002−136004(JP,A)
【文献】 特開2006−304539(JP,A)
【文献】 特開平07−298585(JP,A)
【文献】 特開昭54−116610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00−1/34
H02K 19/00−19/38
H02K 21/00−21/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ略円板状のコアベースの外周部に、等間隔に複数の爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されており、互いのコアベースが対向されつつ爪状磁極が周方向に交互に配置された第1及び第2ロータコアと、
前記コアベース同士の軸方向の間に配置されており、前記第1ロータコアの前記爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2ロータコアの前記爪状磁極を第2の磁極として機能させる軸方向に磁化された界磁磁石と
を備えたロータであって、
前記爪状磁極同士の周方向の間に配置された極間磁石、及び、前記爪状磁極の径方向内側に配置された背面磁石からなる補助磁石が設けられ、
前記補助磁石と前記界磁磁石とを異なる特性の磁石より構成しており、
前記界磁磁石をフェライト磁石より構成するとともに、前記補助磁石を、SmFeN磁石より構成したことを特徴とするロータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータにおいて、
前記補助磁石、前記界磁磁石よりも保磁力大きいことを特徴とするロータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータにおいて、
前記補助磁石、前記界磁磁石よりも残留磁束密度大きいことを特徴とするロータ。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のロータにおいて、
前記補助磁石を、シート状磁石より構成したことを特徴とするロータ。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のロータを備えたことを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ及びモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータに使用されるロータとしては、周方向に複数の爪状磁極をそれぞれ有して組み合わされる2つのロータコアと、それらの間に配置された界磁磁石とを備え、各爪状磁極を交互に異なる磁極に機能させるいわゆる永久磁石界磁のランデル型構造のロータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、特許文献1のロータでは、爪状磁極の径方向内側の面に補助磁石が固着されることで、ロータでの漏れ磁束が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−43749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなロータを使用したモータでは、補助磁石により漏れ磁束が低減されるものの製品化するにあたりロータとして更なる適正化(高耐久性化や、低コスト化や、高出力化等)が求められている。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、補助磁石を備えつつ更なる適正化を図ることができるロータ及びそのロータを備えたモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、それぞれ略円板状のコアベースの外周部に、等間隔に複数の爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されており、互いのコアベースが対向されつつ爪状磁極が周方向に交互に配置された第1及び第2ロータコアと、前記コアベース同士の軸方向の間に配置されており、前記第1ロータコアの前記爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2ロータコアの前記爪状磁極を第2の磁極として機能させる軸方向に磁化された界磁磁石とを備えたロータであって、前記爪状磁極同士の周方向の間に配置された極間磁石、及び、前記爪状磁極の径方向内側に配置された背面磁石からなる補助磁石が設けられ、前記補助磁石と前記界磁磁石とを異なる特性の磁石より構成しており、前記界磁磁石をフェライト磁石より構成するとともに、前記補助磁石を、SmFeN磁石より構成したことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、爪状磁極同士の周方向の間に配置された極間磁石、及び、爪状磁極の径方向内側に配置された背面磁石からなる補助磁石が設けられるため、ロータでの漏れ磁束を低減することができる。しかも、補助磁石と、コアベース同士の軸方向の間に配置された界磁磁石とは、異なる特性の磁石より構成されるため、例えば、高耐久性化や、低コスト化や、高出力化が可能となる。
【0009】
また、界磁磁石をフェライト磁石より構成することで、例えば、容易に低コスト化が可能となる。この構成を適用することで、容易に上記段落[0008]に記載の効果を得ることができる。
また、補助磁石を、SmFeN磁石より構成することで、例えば、ネオジム磁石より構成した場合等と比べて安価としながら、容易に高耐久性化や高出力化が可能となる。この構成を適用することで、容易に上記段落[0008]に記載の効果を得ることができる。
請求項2に記載の発明では、前記補助磁石、前記界磁磁石よりも保磁力大きいことを要旨とする。
同構成によれば、ロータの外周側に設けられ外部の磁界の影響を受け易い極間磁石を含む補助磁石、界磁磁石よりも保磁力大きいため、極間磁石が早期に減磁してしまうことを抑制することができ、耐久性を向上させることができる。又、ロータの内部に設けられ外部の磁界の影響を受け難い(減磁させる磁力が到達し難い)界磁磁石、極間磁石よりも保磁力小さいことで、界磁磁石を極間磁石と同じ保磁力の磁石より構成した場合に比べて、安価とすることができる。これにより、高耐久性化を図りながら低コスト化を図ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、前記補助磁石、前記界磁磁石よりも残留磁束密度大きいことを要旨とする。
同構成によれば、自身の磁力に基づく磁路長が(界磁磁石等に比べて)短い極間磁石を含む補助磁石、界磁磁石よりも残留磁束密度大きいため、残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用でき、ひいては効率良く高出力化が可能となる。即ち、自身の磁力に基づく磁路長が長い界磁磁石を、残留磁束密度の大きい磁石より構成すると、磁気抵抗及び漏れ磁束が多くなることから、残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用できず、ひいては効率良く高出力化ができないことになるが、これとは逆に残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用でき、効率良く高出力化が可能となる。
【0015】
請求項に記載の発明では、請求項1乃至のいずれか1項に記載のロータにおいて、前記補助磁石を、シート状磁石より構成したことを要旨とする。
同構成によれば、補助磁石を、シート状磁石より構成することで、例えば、立方体に焼き固めた専用の極間磁石を製造する場合に比べて、その製造を容易とし、低コスト化を図ることができる。
【0017】
請求項に記載の発明では、請求項1乃至のいずれか1項に記載のロータを備えたモータを要旨とする。
同構成によれば、モータにおいて、請求項1乃至のいずれか1項に記載の発明の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、補助磁石を備えつつ更なる適正化を図ることができるロータ及びモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態におけるモータの断面図。
図2】一実施形態におけるロータの斜視図。
図3】一実施形態におけるロータの斜視図。
図4】一実施形態におけるロータの断面図。
図5】(a)図4におけるa−a断面図。(b)図4におけるb−b断面図。(c)図4におけるc−c断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図5に従って説明する。
図1に示すように、モータ1のモータケース2は、有底筒状に形成された筒状ハウジング3と、該筒状ハウジング3のフロント側(図1中、左側)の開口部を閉塞するフロントエンドプレート4とを有している。また、筒状ハウジング3のリア側(図1中、右側)の端部には、回路基板等の電源回路を収容した回路収容ボックス5が取着されている。
【0021】
筒状ハウジング3の内周面にはステータ6が固定されている。ステータ6は、径方向内側に延びる複数のティースを有する電機子コア7と、電機子コア7のティースに巻装されたセグメントコンダクタ(SC)巻線8とを有する。
【0022】
モータ1のロータ11は回転軸12を有し、ステータ6の内側に配置されている。回転軸12は非磁性体の金属シャフトであって、筒状ハウジング3の底部3a及びフロントエンドプレート4に支持された軸受13,14により回転可能に支持されている。
【0023】
ロータ11は、図2図4に示すように、第1及び第2ロータコア21,22と、界磁磁石としての環状磁石23(図4参照)と、補助磁石及び背面磁石としての第1及び第2背面補助磁石24,25と、補助磁石及び極間磁石としての第1及び第2極間磁石26,27とを備える。
【0024】
第1ロータコア21は、略円板状のコアベースとしての第1コアベース21aの外周部に、等間隔に複数(本実施の形態では7つ)の爪状磁極としての第1爪状磁極21bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。第1爪状磁極21bの周方向端面21c,21dは径方向に延びる(軸方向から見て径方向に対して傾斜していない)平坦面とされ、第1爪状磁極21bは軸直交方向断面が扇形状とされている。又、各第1爪状磁極21bの周方向の幅(角度)、即ち前記周方向端面21c,21dの幅(角度)は、周方向に隣り合う第1爪状磁極21b同士の隙間の幅(角度)より小さく設定されている。
【0025】
又、第2ロータコア22は、第1ロータコア21と同形状であって、略円板状のコアベースとしての第2コアベース22aの外周部に、等間隔に複数(本実施の形態では7つ)の爪状磁極としての第2爪状磁極22bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。又、第2爪状磁極22bの周方向端面22c,22dは径方向に延びる(軸方向から見て径方向に対して傾斜していない)平坦面とされ、第2爪状磁極22bは軸直交方向断面が扇形状とされている。又、各第2爪状磁極22bの周方向の幅(角度)、即ち前記周方向端面22c,22dの幅(角度)は、周方向に隣り合う第2爪状磁極22b同士の隙間の幅(角度)より小さく設定されている。そして、第2ロータコア22は、各第2爪状磁極22bがそれぞれ対応する各第1爪状磁極21b間に(即ち、第1爪状磁極21bと周方向に交互に)配置され、又、図4に示すように、対向する第1コアベース21aと第2コアベース22aとの軸方向の間に環状磁石23が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア21に対して組み付けられる。
【0026】
環状磁石23は、その外径が第1及び第2コアベース21a,22aの外径と同じに設定され、第1爪状磁極21bを第1の磁極(本実施の形態ではN極)として機能させ、第2爪状磁極22bを第2の磁極(本実施の形態ではS極)として機能させるように、軸方向に磁化されている。
【0027】
又、図3図4及び図5(c)に示すように、各第1爪状磁極21bの背面(径方向内側の面)と第2コアベース22aの外周面との間には、第1背面補助磁石24が配置されている。第1背面補助磁石24は、その軸直交方向断面が扇形状とされ、第1爪状磁極21bの背面に当接する側が第1爪状磁極21bと同極のN極に、第2コアベース22aに当接する側が同第2コアベース22aと同極のS極となるように径方向に磁化されている。
【0028】
又、図2図4及び図5(a)に示すように、各第2爪状磁極22bの背面(径方向内側の面)と第1コアベース21aの外周面との間には、第2背面補助磁石25が配置されている。第2背面補助磁石25は、その軸直交方向断面が扇形状とされ、第2爪状磁極22bの背面に当接する側が第2爪状磁極22bと同極のS極に、第1コアベース21aに当接する側が同第1コアベース21aと同極のN極となるように径方向に磁化されている。
【0029】
又、第1背面補助磁石24と第2背面補助磁石25とは、図4に示すように、環状磁石23が配置される軸方向位置で互いに軸方向に重なるように、言い換えると環状磁石23が配置される軸方向位置にも配置されるように設定されている。
【0030】
つまり、図2に示すA1の範囲では、図5(a)に示すように、第2背面補助磁石25から矢印に向かって磁束が流れるロータ構造となる。又、図2に示すA2の範囲では、図5(b)に示すように、第1及び第2背面補助磁石24,25によって、通常の(周方向に交互に異なる磁極の永久磁石が配置された)ロータと同様の構造となる。又、図2に示すA3の範囲では、図5(c)に示すように、第1背面補助磁石24から矢印に向かって磁束が流れるロータ構造となる。
【0031】
又、第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの周方向の間には、第1及び第2極間磁石26,27が配置されている。詳しくは、本実施の形態の第1極間磁石26は、第1爪状磁極21bの一方の周方向端面21cと前記第1背面補助磁石24の周方向端面とで形成される平坦面と、第2爪状磁極22bの他方の周方向端面22dと前記第2背面補助磁石25の周方向端面とで形成される平坦面との間に(隙間を全て満たすように)配置されている。又、本実施の形態の第2極間磁石27は、第1爪状磁極21bの他方の周方向端面21dと前記第1背面補助磁石24の周方向端面とで形成される平坦面と、第2爪状磁極22bの一方の周方向端面22cと前記第2背面補助磁石25の周方向端面とで形成される平坦面との間に(隙間を全て満たすように)配置されている。そして、第1及び第2極間磁石26,27は、第1及び第2爪状磁極21b,22bとそれぞれ同じ磁極となるように(第1爪状磁極21b側がN極で、第2爪状磁極22b側がS極となるように)周方向に磁化されている。
【0032】
そして、前記補助磁石(第1及び第2背面補助磁石24,25と、第1及び第2極間磁石26,27)の少なくとも1つと前記環状磁石23とは、異なる特性の磁石より構成されている。
【0033】
詳しくは、本実施の形態の第1及び第2極間磁石26,27は、環状磁石23よりも保磁力及び残留磁束密度(起磁力)の大きい磁石より構成されている。具体的には、環状磁石23はフェライト磁石より構成されている。又、第1及び第2極間磁石26,27は希土類磁石であって、より具体的にはネオジム磁石より構成されている。
【0034】
又、本実施の形態の第1及び第2背面補助磁石24,25は、環状磁石23と同じ保磁力及び残留磁束密度のフェライト磁石より構成されている。
次に、上記のように構成されたモータ1の作用について説明する。
【0035】
ロータ11では、補助磁石(第1及び第2背面補助磁石24,25と、第1及び第2極間磁石26,27)が設けられることで、それぞれの配置箇所で漏れ磁束が低減され、ひいては環状磁石23の磁束をモータ1の出力に有効利用することができる。
【0036】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)ロータ11の外周側に設けられ外部の磁界の影響を受け易い第1及び第2極間磁石26,27を、環状磁石23(フェライト磁石)よりも保磁力の大きい磁石(ネオジム磁石)より構成したため、第1及び第2極間磁石26,27が早期に減磁してしまうことを抑制することができ、耐久性を向上させることができる。又、ロータ11の内部に設けられ外部の磁界の影響を受け難い(減磁させる磁力が到達し難い)環状磁石23を、第1及び第2極間磁石26,27(ネオジム磁石9)よりも保磁力の小さい磁石(フェライト磁石)より構成することで、環状磁石23を第1及び第2極間磁石26,27と同じ保磁力の磁石より構成した場合に比べて、安価とすることができる。これにより、高耐久性化を図りながら低コスト化を図ることができる。
【0037】
(2)自身の磁力に基づく磁路長が(環状磁石23等に比べて)短い第1及び第2極間磁石26,27を、環状磁石23(フェライト磁石)よりも残留磁束密度の大きい磁石(ネオジム磁石)より構成したため、残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用でき、ひいては効率良く高出力化が可能となる。即ち、自身の磁力に基づく磁路長が長い環状磁石23を、残留磁束密度の大きい磁石より構成すると、磁気抵抗及び漏れ磁束が多くなることから、残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用できず、ひいては効率良く高出力化ができないことになるが、これとは逆に残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用でき、効率良く高出力化が可能となる。
【0038】
(3)第1及び第2背面補助磁石24,25を、第1及び第2極間磁石26,27(ネオジム磁石)よりも保磁力の小さい磁石(フェライト磁石)より構成したため、例えば、第1及び第2背面補助磁石24,25を第1及び第2極間磁石26,27と同じ保磁力の磁石(ネオジム磁石)より構成した場合に比べて、安価とすることができる。
【0039】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、環状磁石23と第1及び第2背面補助磁石24,25とを同じ特性の磁石であるフェライト磁石より構成し、第1及び第2極間磁石26,27をネオジム磁石より構成したが、それらを構成する磁石(種類や特性)を変更してもよい。
【0040】
例えば、上記実施形態の第1及び第2極間磁石26,27をネオジム磁石以外の希土類磁石(例えばサマリウムコバルト系磁石等)より構成してもよい。このようにしても、上記実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0041】
又、例えば、上記実施形態の第1及び第2極間磁石26,27をSmFeN磁石より構成してもよい。このようにしても、上記実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。又、第1及び第2極間磁石26,27をネオジム磁石より構成した場合に比べて、安価とすることができる。
【0042】
又、例えば、上記実施形態の第1及び第2極間磁石26,27をシート状磁石より構成してもよい。尚、シート状磁石とは、シート状の所謂ラバーマグネットやマグネットシートであって、重ねることで厚みを増して第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの間に配置してもよいし、特に小型のモータ1に具体化した場合等では1枚を第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの間に配置してもよい。このようにすると、例えば、立方体に焼き固めた専用の極間磁石(第1及び第2極間磁石26,27)を製造する場合に比べて、その製造を容易とし、低コスト化を図ることができる。
【0043】
又、例えば、上記実施形態の第1及び第2背面補助磁石24,25を、環状磁石23よりも残留磁束密度の大きい磁石より構成してもよい。具体的には、第1及び第2背面補助磁石24,25を、例えば、環状磁石23よりも残留磁束密度の大きい(グレードの高い)フェライト磁石より構成してもよいし、希土類磁石(ネオジム磁石やサマリウムコバルト系磁石やSmFeN磁石等)より構成してもよい。このようにすると、例えば、第1及び第2背面補助磁石24,25を環状磁石23と同じ残留磁束密度の磁石より構成した場合(上記実施形態)に比べて、高出力とすることができる。
【0044】
又、例えば、上記各実施形態の第1及び第2背面補助磁石24,25を、第1及び第2極間磁石26,27(ネオジム磁石やサマリウムコバルト系磁石やSmFeN磁石等)と同じ特性の磁石より構成してもよい。
【0045】
又、例えば、第1及び第2極間磁石26,27と環状磁石23とを同じ特性の磁石より構成するとともに、第1及び第2背面補助磁石24,25のみを、異なる特性の磁石より構成してもよい。
【0046】
又、例えば、上記各実施形態の環状磁石23を、フェライト磁石以外の磁石より構成してもよい。例えば、第1及び第2極間磁石26,27(ネオジム磁石)よりも保磁力や残留磁束密度の小さい(グレードの低い)ネオジム磁石より構成してもよい。
【0047】
又、上記各実施形態(上記実施形態及び別例)の組み合わせに限らず、目的(例えば、望まれるコストと出力のバランス)に応じて、環状磁石23、第1及び第2背面補助磁石24,25、第1及び第2極間磁石26,27の少なくとも1つを構成する磁石を異なる特性のものに変更して実施してもよい。
【0048】
・上記実施の形態では、補助磁石として、背面磁石(第1及び第2背面補助磁石24,25)と極間磁石(第1及び第2極間磁石26,27)とを備えるロータ11としたが、これに限定されず、背面磁石と極間磁石のいずれか一方のみを備えたロータに変更してもよい。尚、勿論、この場合、その補助磁石(背面磁石又は極間磁石)と環状磁石23とを異なる特性の磁石より構成する。
【0049】
上記実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)前記爪状磁極の径方向内側に設けられた前記補助磁石としての背面磁石を、前記極間磁石よりも保磁力の小さい磁石より構成したことを特徴とする。
【0050】
同構成によれば、爪状磁極の径方向内側に設けられた補助磁石としての背面磁石を、前記極間磁石よりも保磁力の小さい磁石より構成したため、例えば、背面磁石を極間磁石と同じ保磁力の磁石より構成した場合に比べて、安価とすることができる。
【0051】
(ロ)前記爪状磁極の径方向内側に設けられた前記補助磁石としての背面磁石を、前記界磁磁石よりも残留磁束密度の大きい磁石より構成したことを特徴とする。
同構成によれば、爪状磁極の径方向内側に設けられた補助磁石としての背面磁石を、前記界磁磁石よりも残留磁束密度の大きい磁石より構成したため、例えば、背面磁石を界磁磁石と同じ残留磁束密度の磁石より構成した場合に比べて、高出力とすることができる。
【0052】
・それぞれ略円板状のコアベースの外周部に、等間隔に複数の爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、互いのコアベースが対向されつつ爪状磁極が周方向に交互に配置された第1及び第2ロータコアと、前記コアベース同士の軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、第1ロータコアの前記爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2ロータコアの前記爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石とを備えたロータであって、前記爪状磁極同士の周方向の間には、補助磁石としての極間磁石が設けられ、前記極間磁石を、前記界磁磁石よりも保磁力の大きい磁石より構成したことを要旨とする。
【0053】
同構成によれば、爪状磁極同士の周方向の間には、補助磁石(極間磁石)が設けられるため、ロータでの漏れ磁束を低減することができる。しかも、極間磁石と、コアベース同士の軸方向の間に配置された界磁磁石とは、異なる特性の磁石より構成されるため、例えば、高耐久性化や、低コスト化や、高出力化が可能となる。
【0054】
同構成によれば、ロータの外周側に設けられ外部の磁界の影響を受け易い極間磁石を、界磁磁石よりも保磁力の大きい磁石より構成したため、極間磁石が早期に減磁してしまうことを抑制することができ、耐久性を向上させることができる。又、ロータの内部に設けられ外部の磁界の影響を受け難い(減磁させる磁力が到達し難い)界磁磁石を、極間磁石よりも保磁力の小さい磁石より構成することで、界磁磁石を極間磁石と同じ保磁力の磁石より構成した場合に比べて、安価とすることができる。これにより、高耐久性化を図りながら低コスト化を図ることができる。
【0055】
・それぞれ略円板状のコアベースの外周部に、等間隔に複数の爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、互いのコアベースが対向されつつ爪状磁極が周方向に交互に配置された第1及び第2ロータコアと、前記コアベース同士の軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、第1ロータコアの前記爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2ロータコアの前記爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石とを備えたロータであって、前記爪状磁極同士の周方向の間には、補助磁石としての極間磁石が設けられ、前記極間磁石を、前記界磁磁石よりも残留磁束密度の大きい磁石より構成したことを要旨とする。
【0056】
同構成によれば、爪状磁極同士の周方向の間には、補助磁石(極間磁石)が設けられるため、ロータでの漏れ磁束を低減することができる。しかも、極間磁石と、コアベース同士の軸方向の間に配置された界磁磁石とは、異なる特性の磁石より構成されるため、例えば、高耐久性化や、低コスト化や、高出力化が可能となる。
【0057】
同構成によれば、自身の磁力に基づく磁路長が(界磁磁石等に比べて)短い極間磁石を、界磁磁石よりも残留磁束密度の大きい磁石より構成したため、残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用でき、ひいては効率良く高出力化が可能となる。即ち、自身の磁力に基づく磁路長が長い界磁磁石を、残留磁束密度の大きい磁石より構成すると、磁気抵抗及び漏れ磁束が多くなることから、残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用できず、ひいては効率良く高出力化ができないことになるが、これとは逆に残留磁束密度の大きい磁石を効率的に利用でき、効率良く高出力化が可能となる。
【0058】
・前記爪状磁極の径方向内側には、補助磁石としての背面補助磁石が設けられ、前記背面補助磁石を、前記極間磁石と同じ特性の磁石より構成したことを要旨とする。
【符号の説明】
【0059】
11…ロータ、21…第1ロータコア、21a…第1コアベース(コアベース)、21b…第1爪状磁極(爪状磁極)、22…第2ロータコア、22a…第2コアベース(コアベース)、22b…第2爪状磁極(爪状磁極)、23…環状磁石(界磁磁石)、24…第1背面補助磁石(補助磁石)、25…第2背面補助磁石(補助磁石)、26…第1極間磁石(補助磁石及び極間磁石)、27…第2極間磁石(補助磁石及び極間磁石)。
図1
図2
図3
図4
図5