特許第6181787号(P6181787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181787
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】医療情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20170807BHJP
   G06Q 50/24 20120101ALI20170807BHJP
【FI】
   G06Q30/02 310
   G06Q50/24
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-23572(P2016-23572)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-142658(P2017-142658A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年1月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515169979
【氏名又は名称】日光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 京子
【審査官】 山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−44591(JP,A)
【文献】 特開2004−302593(JP,A)
【文献】 特開2002−149819(JP,A)
【文献】 特開2002−163443(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0178929(US,A1)
【文献】 特開2002−245171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関で発行される処方箋にて指定される薬剤の処方情報を管理する管理部を備えた医療情報管理システムであって、
前記処方情報は、処方する薬剤を特定する薬剤名称情報と、前記薬剤名称情報にかかる前記薬剤の数量を特定する薬剤数量情報と、を含み、
前記管理部は、一又は複数の管理対象の医療機関において発行された前記処方箋における前記処方情報を格納する処方情報格納部を備え、
前記管理部は、さらに、前記処方情報格納部に格納された前記処方情報における前記薬剤数量情報に基づいて、設定期間内に前記管理対象の医療機関によって発行された処方箋にて指定される薬剤の総数である薬剤総数情報を算出する需要量算出部と、
前記薬剤総数情報に基づいて、前記管理対象の医療機関における薬剤の将来の需要量を予測する需要量予測部と、
前記需要量予測部によって予測された薬剤の将来の需要量に基づいて薬剤生産者における薬剤の生産量を決定する生産量決定部と、を備え、
前記処方情報は、患者を特定する患者識別情報と、前記処方箋にかかる診療行為についての傷病名を特定する傷病名情報と、前記薬剤名称情報にかかる前記薬剤の投薬期間を特定する投薬期間情報と、をさらに含み、
前記管理部は、異なる複数の前記処方情報において、前記患者識別情報が同一でありかつ前記傷病名情報が同一であって、さらに、前記投薬期間情報における前記薬剤の投薬期間に重複期間がある不適切処方状態であると判別した場合には、当該異なる複数の処方情報における最先の前記処方情報以外の前記処方情報である後発処方情報について、前記重複期間にかかる薬剤の処方が不適切であることを示す不適切処方情報を生成する不適切処方情報生成処理を実行する医療情報管理システム。
【請求項2】
前記生産量決定部は、前記薬剤生産者における前記薬剤の総在庫量が、当該薬剤に対して設定された余剰量を少なくとも含む状態で前記薬剤の生産量を決定する請求項1に記載の医療情報管理システム。
【請求項3】
前記管理部は、前記不適切処方情報生成処理として、前記後発処方情報にかかる前記薬剤数量情報で指定される前記薬剤の数量を、当該後発処方情報にかかる前記投薬期間を前記重複期間分だけ減算した数量に変更して、当該後発処方情報にかかる処方箋を発行する処方箋発行システムに当該変更後の数量での処方箋の発行を指示する請求項1または2に記載の医療情報管理システム。
【請求項4】
患者の個人的特性に係る情報である患者パーソナリティー情報を格納する患者パーソナリティー情報格納部と、
前記医療機関に所属する医師の個人的特性に係る情報である医師パーソナリティー情報を格納する医師パーソナリティー情報格納部と、が設けられ、
前記管理部と前記患者パーソナリティー情報格納部とが前記患者パーソナリティー情報を通信自在であり、かつ、前記管理部と前記医師パーソナリティー情報格納部とが前記医師パーソナリティー情報を通信自在であり、
前記管理部は、前記患者パーソナリティー情報と前記医師パーソナリティー情報とに基づいて、前記患者と前記医師との適合性を評価する適合性評価部と、前記適合性評価部が評価した前記適合性を示す評価情報を被提供部に提供する評価情報提供部と、を備えている請求項1〜3の何れか1項に記載の医療情報管理システム。
【請求項5】
前記患者を救急搬送する救急搬送移動体において前記評価情報を表示する評価表示部をさらに備え、
前記管理部は、前記患者が前記救急搬送移動体にて救急搬送される場合において、救急搬送先の前記医療機関に所属する前記医師と当該患者との前記評価情報を前記評価表示部に表示する請求項4に記載の医療情報管理システム。
【請求項6】
前記管理部は、前記患者の主観による前記医師に対する適合性を示す主観評価値を格納する主観評価値格納部を備え、前記適合性評価部は、前記主観評価値格納部が格納する情報にも基づいて前記患者と前記医師との適合性を評価する請求項4又は5に記載の医療情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関で発行される処方箋にて指定される薬剤の処方情報を管理する管理部を備えた医療情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
処方箋は、患者に対して処方する薬剤の種別、数量、処方期間等を、医師が調剤薬局等の薬剤師に対して指示するための文書であり、医療機関における医師の診療行為に伴って医療機関にて発行される。このような処方箋にて指定される薬剤の処方情報を管理する管理部を備えた医療情報管理システムの例が、特開2002−245171号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
上記特許文献1では、患者が最初に診療行為を受けた医師の診断や処方に不満を持つ等して、他の医療機関にて診療行為を受けた場合(以下、重複受診と称する)に、最初の診療行為において処方された薬剤と併用することが禁忌となっている薬剤(禁忌薬剤と称する)が後の診療行為を担当する医師により処方される事態を防止する医療情報管理システムが記載されている。
具体的には、特許文献1の医療情報管理システムでは、処方箋の情報を管理する医療情報管理装置(管理部)を備えており、重複受診となる診療行為において禁忌薬剤を医師が処方しようとした場合には、医療情報管理装置が警告を表示端末に出力するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−245171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、上記のように、同一の患者に対して異なる医療機関にて発行された処方箋の情報を管理しているものの、処方箋にて指定される薬剤の総量を管理している訳ではない。このため、薬剤生産者は、薬剤の需要量を正確に把握することができず、大まかな需要予測に基づき薬剤を生産することになる。このような生産方式であると、薬剤の実際の消費量と薬剤の生産量とが適切に対応しない事態が発生し得る。このような事態になると、薬剤の供給不足や供給過剰を生じ、患者に適切に薬剤を提供できなくなる虞がある。
【0006】
そこで、医療機関で処方される薬剤の量に対して適正な量の薬剤を生産することを支援可能な医療情報管理システムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる医療情報管理システムは、医療機関で発行される処方箋にて指定される薬剤の処方情報を管理する管理部を備えたものであって、
前記処方情報は、処方する薬剤を特定する薬剤名称情報と、前記薬剤名称情報にかかる前記薬剤の数量を特定する薬剤数量情報と、を含み、前記管理部は、一又は複数の管理対象の医療機関において発行された前記処方箋における前記処方情報を格納する処方情報格納部を備え、前記管理部は、さらに、前記処方情報格納部に格納された前記処方情報における前記薬剤数量情報に基づいて、設定期間内に前記管理対象の医療機関によって発行された処方箋にて指定される薬剤の総数である薬剤総数情報を算出する需要量算出部と、前記薬剤総数情報に基づいて、前記管理対象の医療機関における薬剤の将来の需要量を予測する需要量予測部と、前記需要量予測部によって予測された薬剤の将来の需要量に基づいて薬剤生産者における薬剤の生産量を決定する生産量決定部と、を備え、
前記処方情報は、患者を特定する患者識別情報と、前記処方箋にかかる診療行為についての傷病名を特定する傷病名情報と、前記薬剤名称情報にかかる前記薬剤の投薬期間を特定する投薬期間情報と、をさらに含み、前記管理部は、異なる複数の前記処方情報において、前記患者識別情報が同一でありかつ前記傷病名情報が同一であって、さらに、前記投薬期間情報における前記薬剤の投薬期間に重複期間がある不適切処方状態があると判別した場合には、当該異なる複数の処方情報における最先の前記処方情報以外の前記処方情報である後発処方情報について、前記重複期間にかかる薬剤の処方が不適切であることを示す不適切処方情報を生成する不適切処方情報生成処理を実行する点に特徴を有する。
【0008】
すなわち、設定期間内に管理対象の医療機関によって発行された処方箋にて指定される薬剤の総数である薬剤総数情報に基づいて管理対象の医療機関における薬剤の将来の需要量が予測される。そのため、薬剤の将来の需要量が精度よく予測される。そして、精度よく予測された将来の需要量に基づいて、薬剤の生産量が決定される。
【0009】
このようにして決定された薬剤の生産量を薬剤生産者の生産管理システムにおける生産計画に反映させて、生産量決定部が決定した薬剤の生産量に基づいて薬剤生産者が薬剤を生産するようにすれば、薬剤生産者による薬剤の生産量が将来の需要量を大幅に超過する事態を回避することができる。
したがって、医療機関で処方される薬剤の量に対して適正な量の薬剤を生産することを支援することができる。
【0010】
ただし、同一の患者が、同一の傷病で同じ時期に異なる医療機関の夫々で診療行為を受け、夫々の診療行為について発行された処方箋に基づいて重複して薬剤を受け取る場合がある。上記夫々の処方箋における薬剤の投与期間に重複が存在する場合、当該重複期間について、何れかの処方箋に係る薬剤が使用されないため、患者に引き渡された薬剤に無駄が生じることになる。
【0011】
本特徴構成によれば、後発処方情報に係る診療行為において、重複期間を避けて薬剤を処方することができる。このため、処方される薬剤の無駄を削減することができる。
【0012】
本発明に係る医療情報管理システムにおいては、前記生産量決定部は、前記薬剤生産者における前記薬剤の総在庫量が、当該薬剤に対して設定された余剰量を少なくとも含む状態で前記薬剤の生産量を決定することが好ましい。
【0013】
すなわち、生産量決定部が決定する薬剤の生産量を薬剤総数情報そのものに基づいて決定すると、薬剤が多く消費される方向に急激に需要が変動した場合に、供給が追い付かなくなるおそれがある。また、薬剤によっては、感染症等の流行や災害の発生に備えて備蓄をしておくべきものもある。
【0014】
本特徴構成によれば、薬剤生産者が薬剤を生産した場合における総在庫量に余剰量が含まれることになるから、薬剤生産者が生産する薬剤の無駄を削減しながらも、薬剤の需要の急な増加に対応することが可能となる。
【0015】
本発明に係る医療情報管理システムにおいては、前記管理部は、前記不適切処方情報生成処理として、前記後発処方情報にかかる前記薬剤数量情報で指定される前記薬剤の数量を、当該後発処方情報にかかる前記投薬期間を前記重複期間分だけ減算した数量に変更して、当該後発処方情報にかかる処方箋を発行する処方箋発行システムに当該変更後の数量での処方箋の発行を指示することが好ましい。
【0016】
すなわち、異なる複数の処方情報において不適切処方情報が生成された場合は、上述のように後発処方情報にかかる投薬期間を重複期間分だけ減算して、処方箋を発行する処方箋発行システムに当該変更後の数量での処方箋の発行を指示することで、薬剤の無駄が発生しない状態とした適切な方箋を発行することができる。
【0017】
本発明に係る医療情報管理システムにおいては、患者の個人的特性に係る情報である患者パーソナリティー情報を格納する患者パーソナリティー情報格納部と、前記医療機関に所属する医師の個人的特性に係る情報である医師パーソナリティー情報を格納する医師パーソナリティー情報格納部と、が設けられ、前記管理部と前記患者パーソナリティー情報格納部とが前記患者パーソナリティー情報を通信自在であり、かつ、前記管理部と前記医師パーソナリティー情報格納部とが前記医師パーソナリティー情報を通信自在であり、前記管理部は、前記患者パーソナリティー情報と前記医師パーソナリティー情報とに基づいて、前記患者と前記医師との適合性を評価する適合性評価部と、前記適合性評価部が評価した前記適合性を示す評価情報を被提供部に提供する評価情報提供部と、を備えていることが好ましい。
【0018】
すなわち、患者の個人的特性(例えば性格)に係る情報である患者パーソナリティー情報と、医師の個人的特性(例えば性格)に係る情報である医師パーソナリティー情報と、に基づいて患者と前記医師との適合性(相性)を評価し、その評価情報を被提供部に提供することができる。このため、例えば患者にとっては、被提供部(例えば、自宅のパーソナルコンピュータ等の表示端末)に提供された情報を参考にして、受診する医師やその意思が所属する医療機関を選ぶこと等ができるようになる。また、医療機関にとっては、特定の患者に対する主治医の選択の参考にすること等ができるようになる。
そして、患者が受診する前に患者と医師との適合性の評価情報を患者又は医師に提供することによって、患者と医師との適合性が低いことに起因して患者が異なる医療機関を重複受診することによって重複処方が発生する事態を事前に回避し易くできる。
【0019】
本発明に係る医療情報管理システムにおいては、前記患者を救急搬送する救急搬送移動体において前記評価情報を表示する評価表示部をさらに備え、前記管理部は、前記患者が前記救急搬送移動体にて救急搬送される場合において、救急搬送先の前記医療機関に所属する前記医師と当該患者との前記評価情報を前記評価表示部に表示することが好ましい。
【0020】
すなわち、救急搬送移動体の評価表示部に患者と医師との適合性についての評価情報を表示できるから、救急搬送時に、当該救急搬送に係る患者との適合性が高い医師を選択して患者を搬送することができる。
【0021】
本発明に係る医療情報管理システムにおいては、前記管理部は、前記患者の主観による前記医師に対する適合性を示す主観評価値を格納する主観評価値格納部を備え、前記適合性評価部は、前記主観評価値格納部が格納する情報にも基づいて前記患者と前記医師との適合性を評価することが好ましい。
【0022】
すなわち、患者の主観による医師に対する適合性を示す主観評価値を格納しておくことによって、適合性評価部による患者と医師との適合性の評価を、患者の意向に沿ったものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】医療情報管理システムの構成要素及び構成要素相互の情報の流れを示す概略構成図
図2】医療情報管理システムの各構成要素のシステム構成及びネットワーク接続形態を示す図
図3】診療行為情報を示す図
図4】処方情報を示す図
図5】処方期間の重複状態を示すガントチャート
図6】情報の流れと管理部の動作についてのシーケンス図
図7】第2情報管理部が実行する処理のフローチャート
図8】パーソナリティー情報格納部に格納されるデータ、及び、患者との適合性の評価方法を説明する図
図9】情報の流れと管理部の動作の別の例についてのシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の医療情報管理システムの実施形態を説明する。
図1は、医療情報管理システムの構成要素及び構成要素相互の情報の流れを示す概略構成図である。
医療機関Mは、病院や診療所等、医師が診療活動を行う拠点である。医療機関Mには、患者Pに各別に付与された識別番号である患者IDごとに、当該患者の診療履歴を記録する電子カルテシステムH3が設けられる。電子カルテシステムH3は、後述する第1情報管理部H1と通信可能に接続することで、当該電子カルテシステムH3に入力した診療情報のうち必要なものを第1情報管理部H1に送信するように構成することができる。なお、第1情報管理部H1はWebサーバ機能を備えて構成されてもよく、電子カルテシステムH3に代えて、第1情報管理部H1の入出力フロントエンドとして、ウェブブラウザを用いることができる。また、第1情報管理部H1への入力フロントエンド専用の端末を医療機関Mに設置するようにしてもよい。
【0025】
薬局Dは、医療機関Mで発行された処方箋に基づいて、薬剤を調剤し、患者Pに販売又は授与する(以降、薬剤の引渡と称する)施設である。薬局Dには、調剤した薬剤が処方箋の指定通りのものであるか否かを監査する処方監査システムH4が設けられている場合がある。この場合、処方監査システムH4は、トレーサビリティーを高めるために、調剤された薬剤の内容を処方箋IDに対応付けて記録しておくことができる。処方監査システムH4は、後述する第1情報管理部H1と通信可能に接続することで、当該処方監査システムH4に記録した情報のうち必要なものを第1情報管理部H1に送信することができるように構成することができる。なお、処方監査システムH4が設けられていない薬局Dについては、第1情報管理部H1の入出力フロントエンドとして、ウェブブラウザを用いることができる。また、第1情報管理部H1への入力フロントエンド専用の端末を薬局Dに設置するようにしてもよい。
【0026】
本実施形態において、第1情報管理部H1は、例えば、ある地域(自治体等)に属する複数の医療機関Mが共同で運営するデータセンター等に設置され、後述する所定の機能を実現するプログラムを実行するサーバーコンピュータによって構成されている。また、本実施形態において、第2情報管理部H2は、例えば自治体の消防指令センター等に設置され、後述する所定の機能を実現するプログラムを実行するサーバーコンピュータによって構成されている。
なお、第1情報管理部H1として機能するサーバーコンピュータ及び第2情報管理部H2として機能するサーバーコンピュータは、同一の設置場所に設置することもできる。設置場所は特に限定されないが、物理的なセキュリティ性を考慮することが好ましい。また、第1情報管理部H1と第2情報管理部H2とを同一のサーバーコンピュータで実現してもよい。
【0027】
本実施形態では、上記自治体等の地域に存在する複数の医療機関Mが管理対象の医療機関に相当する。また、本実施形態では、管理部が第1情報管理部H1と第2情報管理部H2とを備えて構成される。
なお、管理対象の医療機関の所属範囲は、上記のように自治体に限定されるものではなく、例えば医療法人単位や診療科の共通するグループ単位としたり、国等のより広域な範囲としてもよい。
【0028】
なお、第1情報管理部H1と第2情報管理部H2とは、同一のサーバーコンピュータで構成してもよいし、互いに異なるサーバーコンピュータで構成してもよい。また、上記の例では、第1情報管理部H1と第2情報管理部H2とを異なるサーバーコンピュータとした場合、当該2つのサーバーコンピュータを地理的に離れた場所に分散させて設置してもよい。また、第1情報管理部H1及び第2情報管理部H2の一方又は双方を、複数の医療機関M及び複数の薬局Dの夫々に備えて、ネットワークを介してデータを連携する形態としてもよい。
【0029】
図2は、医療情報管理システムの各構成要素のシステム構成及びネットワーク接続形態を示す図である。図2に示すように、第1情報管理部H1は、医療機関Mの電子カルテシステムH3、薬局Dの処方監査システムH4、及び、第2情報管理部H2に、インターネットや専用線等の通信回線で接続されている。第2情報管理部H2は、第1情報管理部H1、及び、製薬会社Sの生産管理システムH5に、インターネットや専用線(仮想専用線(VPN)を含む)等の通信回線で接続されている。なお、図2では、各構成要素の間の通信回線がピアツーピアで接続されている形態を例示しているが、通信回線の接続形態はスター型であってもよい。
【0030】
図2に示すように、第1情報管理部H1は、患者データベースHD1、診療行為データベースHD2、傷病名データベースHD3、及び処方情報データベースHD4を備えている。これらの各データベースは、同一のデータベースプログラムにおける異なるテーブルとして管理されており、データ操作命令によって所望のレコードを取得できるようになっている。データベースプログラムは第1情報管理部H1のサーバーコンピュータにインストールされており、他のコンピュータや他のプログラムと通信して、テーブルからのレコードの取出しやテーブルへのレコードの追加及びテーブルにおける既存レコードの変更が可能となっている。
【0031】
患者データベースHD1は、患者ごとに付与された識別情報(患者ID)を主キーとしたレコードを有するテーブルで構成される。患者データベースHD1の各レコードは、患者IDに加えて、例えば患者の姓名、性別、年齢、住所や電話番号、既往症歴、処方禁忌情報等を含んでいる。なお、患者データベースHD1の各レコードに含まれる項目内容としては、主キーの患者ID以外は上記に限定されるものではない。
【0032】
診療行為データベースHD2は、図3に示すように、1回の診療行為ごとに付与された識別情報(診療行為ID)を主キーとしたレコードを有するテーブルで構成される。1回の診療行為とは、医療機関における1度の受付により実施された診療行為のことであり、単一の日における単一症状に対する単一医療機関での診療に相当する。1回の診療行為には、例えば、問診、視診、触診、聴診、注射や点滴の実施、X線写真撮影、血液検査等の各種検査、及び、薬剤処方箋の発行といった、単一の傷病に係る一連の医療行為を含む。診療行為データベースHD2の各レコードは、診療行為IDに加えて、患者ID、当該医療行為を行った医療機関Mごとに付与された医療機関ID、後述する傷病名ID、当該診療行為IDに係る処方箋情報に対して付与された処方箋ID等を含んでいる。なお、診療行為データベースHD2の各レコードに含まれる項目内容としては、主キーの診療行為ID以外は上記に限定されるものではない。
【0033】
傷病名データベースHD3は、傷病の種別ごとに付与された識別情報(傷病名ID)を主キーとしたレコードを有するテーブルで構成される。傷病名データベースHD3の各レコードは、傷病名IDに加えて、適応医薬品情報等を含んでいる。なお、傷病名データベースHD3の各レコードに含まれる項目内容としては、主キーの傷病名ID以外は上記に限定されるものではない。
【0034】
処方情報データベースHD4は、図4に示すように、1回の診療行為にて発行される処方箋ごとに付与された識別情報(処方箋ID)を主キーとしたレコードを有するテーブルで構成される。処方情報データベースHD4の各レコードは、処方箋ID、患者ID、当該処方箋IDに係る診療行為についての傷病名を特定する傷病名ID、処方薬の種別ごとに付与された処方薬ID、処方薬IDにかかる薬剤の数量を特定する薬剤数量情報、薬剤の処方期間(開始日(From)と完了日(To))、処方日数(上記開始日と完了日との間の日数)の情報等を含んでいる。なお、処方薬IDとしては、同一名称であっても製造会社が異なれば異なるIDが付与される。また、同一名称であっても成分含有量や剤型の異なる薬剤には異なるIDが付与される。なお、処方情報データベースHD4の各レコードに含まれる項目内容としては、主キーの処方箋ID、患者ID、傷病名ID、処方期間以外は上記に限定されるものではない。
【0035】
本実施形態においては、第1情報管理部H1が医療機関Mで発行される処方箋にて指定される薬剤の処方情報を管理する管理部Hに相当する。また、本実施形態では、処方情報データベースHD4が処方情報格納部に相当し、処方情報データベースHD4に格納されるレコードの夫々が処方情報に相当し、患者IDが患者識別情報に相当し、処方薬IDが薬剤名称情報に相当し、傷病名IDが傷病名情報に相当し、薬剤の処方期間が投薬期間情報に相当する。すなわち、管理部H(第1情報管理部H1)は、複数の管理対象の医療機関Mにおいて発行された処方箋における処方情報を格納する処方情報データベースHD4を備え、処方情報は、処方する薬剤を特定する処方薬IDと、薬剤名称情報にかかる薬剤の数量を特定する薬剤数量情報と、患者を特定する患者IDと、処方箋にかかる診療行為についての傷病名を特定する傷病名IDと、薬剤名称情報にかかる薬剤の投薬期間を特定する処方期間と、を含んでいる。
【0036】
図2に示すように、第2情報管理部H2は、サーバーコンピュータにて実行するプログラムとして、需要量算出部H21、需要量予測部H22、生産量決定部H23、不適切処方状態判別部H24、不適切処方情報生成部H25、適合性評価部H26、及び、評価情報提供部H27を備えている。また、第2情報管理部H2は、医師パーソナリティーデータベースHD5及び患者パーソナリティーデータベースHD6を備えている。医師パーソナリティーデータベースHD5及び患者パーソナリティーデータベースHD6は、データベースプログラムにおける異なるテーブルとして管理されており、データ操作命令によって所望のレコードを取得できるようになっている。データベースプログラムは第2情報管理部H2のサーバーコンピュータにインストールされており、他のコンピュータや他のプログラムと通信して、APIを介してテーブルからのレコードの取出しやテーブルへのレコードの追加及びテーブルにおける既存レコードの変更が可能となっている。
【0037】
需要量算出部H21は、処方情報データベースHD4に格納された処方情報における薬剤数量情報に基づいて、設定期間内(例えば3箇月間)に管理対象の医療機関Mによって発行された処方箋にて指定される薬剤の総数である薬剤総数情報を算出するプログラムである。
需要量予測部H22は、需要量算出部H21が算出した薬剤総数情報に基づいて、管理対象の医療機関Mにおける薬剤の将来の需要量(例えば次の3箇月間の需要量)を予測するプログラムである。
生産量決定部H23は、需要量予測部H22によって予測された薬剤の将来の需要量に基づいて薬剤生産者(製薬会社S)における薬剤の生産量を決定するプログラムである。
【0038】
生産量決定部H23が決定した薬剤の生産量は、通信回線を介して製薬会社Sの生産管理システムH5に送信される。生産管理システムH5は、生産量決定部H23が決定した薬剤の生産量に基づいて、生産の実行を管理することになる。なお、生産管理システムH5による生産の実行及び管理には、資材調達、物流、人員配置、生産装置の稼働管理等を含む。製薬会社Sは、生産量決定部H23が決定した生産量の薬剤の全て又は一部を、需要量予測部H22の予測に係る時期までに所定の医療機関M、備蓄倉庫、共同仕入倉庫、又は自社の商品倉庫等に納入するとともに、納入した薬剤の総量は、第2情報管理部H2で管理される。つまり、納入した薬剤の総量と、処方情報に基づく払出量とが、第2情報管理部H2に保持する総在庫情報にリアルタイムに反映されて管理される。
【0039】
なお、図1の製薬会社S1、製薬会社S2、製薬会社S3・・・のように、製薬会社Sが複数存在する場合には、第2情報管理部H2が、複数の製薬会社Sの夫々に薬剤の生産量を割り振るようにすることができる。また、複数の製薬会社Sに薬剤の生産量を割り振るための生産量割り振りシステムを、第2情報管理部H2と複数の製薬会社S夫々の生産管理システムH5との間に介在させる構成としてもよい。
【0040】
本実施形態では、製薬会社Sが薬剤生産者に相当する。すなわち、管理部H(第2情報管理部H2)は、処方情報データベースHD4に格納された処方情報における薬剤数量情報に基づいて、設定期間内に管理対象の医療機関Mによって発行された処方箋にて指定される薬剤の総数である薬剤総数情報を算出する需要量算出部H21と、薬剤総数情報に基づいて、管理対象の医療機関Mにおける薬剤の将来の需要量を予測する需要量予測部H22と、需要量予測部H22によって予測された薬剤の将来の需要量に基づいて製薬会社Sにおける薬剤の生産量を決定する生産量決定部H23と、を備えている。
【0041】
生産量決定部H23は、実際に処方箋で指定される薬剤の総数である薬剤総数情報に基づいて生産量を決定するから、実際の使用に供されない薬剤が無駄に生産される事態を抑制できる。また、生産量決定部H23は、製薬会社Sにおける薬剤の総在庫量が、当該薬剤に対して設定された余剰量を少なくとも含む状態で薬剤の生産量を決定するようになっている。このため、生産される薬剤の無駄を極力少なくしながら、緊急時に備えた備蓄を確保することができる。
【0042】
不適切処方状態判別部H24は、投薬期間情報における薬剤の投薬期間に重複がある不適切処方状態の有無を判別する不適切処方状態判別処理を実行するように構成されている。また、不適切処方情報生成部H25は、不適切処方状態判別部H24の判別情報に基づいて、重複期間にかかる薬剤の処方が不適切であることを示す不適切処方情報を生成する不適切処方情報生成処理を実行するように構成されている。
【0043】
不適切処方状態判別部H24及び不適切処方情報生成部H25の処理について、図6のシーケンス図、及び、図7のフローチャートに基づいて説明する。患者Pが医療機関Mを受診し、第1情報管理部H1の診療行為データベースHD2に新たな診療行為に係るレコードが登録されると、診療行為情報が第2情報管理部H2に送信される。第2情報管理部H2の不適切処方状態判別部H24は、第1情報管理部H1から新たなレコードが送信されると(ステップ#1)、既に診療行為データベースHD2に登録されている特定の期間のレコード(例えば、新薬等の処方期間の最長日数である90日前以降の全レコード)において、患者IDが同一であり且つ傷病名IDが同一であるレコードを抽出し、対比する(ステップ#2)。続いて、第2情報管理部H2の不適切処方状態判別部H24は、抽出したレコードにおいて、患者ID及び傷病名IDが同じレコードが存在するか否かを判別する(ステップ#3)。ステップ#3において、患者ID及び傷病名IDが同じレコードが存在すると判別した場合(図3の診療行為ID123456のレコードと診療行為ID123460のレコードを参照)、つづいて、不適切処方状態判別部H24は、抽出した上記レコードから処方箋IDを取得する(図4を参照)。そして、不適切処方状態判別部H24は、これらの処方箋IDにおける処方期間の項目に基づいて、処方期間に重複がある不適切処方状態であるか否かを判別する(ステップ#4。重複期間をガントチャートとして視覚化した図を図5に示す)。
【0044】
不適切処方状態判別部H24が不適切処方状態であると判別した場合(ステップ#4:Yes)には、不適切処方情報生成部H25は、当該異なる複数の処方情報における最先の処方情報以外の処方情報である後発処方情報について、重複期間にかかる薬剤の処方が不適切であることを示す不適切処方情報を生成する不適切処方情報生成処理を実行する(ステップ#5)。第2情報管理部H2は、不適切処方情報生成部H25が不適切処方情報生成処理にて生成した不適切処方情報を、第1情報管理部H1に送信する。第1情報管理部H1は、不適切処方情報を医療機関Mに備える電子カルテシステムH3や第1情報管理部H1のフロントエンドとして機能しているウェブブラウザの表示部に表示し、医師に重複期間を削除した処方情報の入力を促す(ステップ#6)。
【0045】
ステップ#6の処理が終了すると、続いて不適切処方状態判別部H24はステップ#4の処理に戻る。ステップ#6にて入力された処方情報の処方期間について、処方期間に重複なしと判別すると(ステップ#4:No)、続いて、不適切処方状態判別部H24は、処方箋の発行を処方箋発行システム(例えば電子カルテシステムH3等)に指示すべく、処方箋発行可否判別情報として、「処方箋発行可」を示す情報を第1情報管理部H1に送信する(ステップ#7)。なお、ステップ#6の重複期間を削除した処方情報の入力処理を、第2情報管理部H2が行うようにすることができる。この場合、重複期間を削除した処方情報に変更してよいか否かを問合せるようにしてもよい。
【0046】
上記のようにして発行された処方箋に基づいて、薬局Dの薬剤師が処方箋に基づく調剤を行い、実際に調剤した薬剤の情報を処方監査システムH4に入力すると、当該処方実績情報(実処方期間の情報)が第1情報管理部H1に送信され、処方情報データベースHD4に実処方情報として登録される。このような処理が、第1情報管理部H1の診療行為データベースHD2に新たな診療行為に係るレコードが登録される度に実行されることになる。
【0047】
すなわち、管理部Hは、異なる複数の処方情報において、患者IDが同一でありかつ傷病名IDが同一であって、さらに、処方期間に重複期間がある不適切処方状態であると判別した場合には、当該異なる複数の処方情報における最先の処方情報以外の処方情報である後発処方情報について、重複期間にかかる薬剤の処方が不適切であることを示す不適切処方情報を生成する不適切処方情報生成処理を実行し、不適切処方情報生成処理として、後発処方情報にかかる薬剤数量情報で指定される薬剤の数量を、当該後発処方情報にかかる投薬期間を重複期間分だけ減算した数量に変更して、当該後発処方情報にかかる処方箋を発行する処方箋発行システムに当該変更後の数量での処方箋の発行を指示するように構成される。
【0048】
次に、適合性評価部H26、評価情報提供部H27、医師パーソナリティーデータベースHD5、及び患者パーソナリティーデータベースHD6について説明する。これらは、患者Pと医師との性格的な適合性(相性)の評価に用いられるものである。このように適合性を評価し、評価情報に基づいて患者Pが受診する医師(及びその医師が在籍する医療機関M)を受診することで、患者Pと医師との性格的な相性が悪いことに起因して重複受診が行われる事態を抑制できる。
【0049】
医師パーソナリティーデータベースHD5のレコード及び患者パーソナリティーデータベースHD6のレコードは、図8に示すように、パーソナリティー傾向を数値化したマトリクスで構成されている。医師パーソナリティーデータベースHD5及び患者パーソナリティーデータベースHD6は、第2情報管理部H2が備える適合性評価部H26と情報を通信可能に構成されている。なお、ここで、医師パーソナリティーデータベースHD5及び患者パーソナリティーデータベースHD6と適合性評価部H26との通信とは、単にデータのやり取りを行うことを指しているが、医師パーソナリティーデータベースHD5及び患者パーソナリティーデータベースHD6を第2情報管理部H2とは別のコンピュータに備えさせる場合には、通信回線を介した通信を行う構成としてもよい。
【0050】
本実施形態において、医師パーソナリティーデータベースHD5が医師パーソナリティー情報格納部に相当し、医師パーソナリティーデータベースHD5における各レコードが医師パーソナリティー情報に相当する。また、患者パーソナリティーデータベースHD6が患者パーソナリティー情報格納部に相当し、患者パーソナリティーデータベースHD6における各レコードが患者パーソナリティー情報に相当する。
すなわち、患者の個人的特性に係る情報である患者パーソナリティー情報を格納する患者パーソナリティーデータベースHD6と、医療機関に所属する医師の個人的特性に係る情報である医師パーソナリティー情報を格納する医師パーソナリティーデータベースHD5と、が設けられ、管理部Hと患者パーソナリティーデータベースHD6とが患者パーソナリティー情報を通信自在であり、かつ、管理部Hと医師パーソナリティーデータベースHD5とが医師パーソナリティー情報を通信自在に構成されている。
【0051】
適合性評価部H26は、例えばウェブサーバ機能を有して構成され、患者Pが所持するインターネット接続端末(パーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン等)からの要求に基づき、患者パーソナリティーデータベースHD6のレコードと医師パーソナリティーデータベースHD5のレコードとから患者Pと医師との適合性を評価するように構成されている。
【0052】
ここで、患者Pと医師との適合性の評価方法の一例を図8に基づいて説明する。図8は、5因子モデルと呼ばれる分析手法のうち、FFPQ研究会によるFFPQと称される性格分類手法であり、5つの性格傾向項目(情動性−非情動性、外向性−内向性、遊戯性−現実性、愛着性−分離性、統制性−自然性)について例えば−2から2までの5段階で個人のパーソナリティーを数値化している。適合性評価部H26は、患者IDが指定されると、そのIDに対応する患者Pと医師(図8では医師A、医師Bの2人)について、性格傾向項目(図8の表における行に相当)ごとの数値の差分値(マッチング評価)を算出する。次に、各性格傾向項目のマッチング評価の総和(総合評価)を算出する。評価情報提供部H27は、医師ごとの上記総合評価を、患者Pが所持するインターネット接続端末に送信する。なお、上記の例については、総合評価が0に近いほど、パーソナリティー傾向に共通性が見出せることになるので、総合評価が0に近い医師を上位に表示し、総合評価の絶対値が0から離れる医師ほど下位に表示するように構成することが考えられる。
【0053】
本実施形態では、上記総合評価が評価情報に相当し、患者Pが所持するインターネット接続端末が被提供部に相当する。すなわち、管理部Hは、患者パーソナリティー情報と医師パーソナリティー情報とに基づいて、患者Pと医師との適合性を評価する適合性評価部H26と、適合性評価部H26が評価した適合性を示す評価情報を患者Pが所持するインターネット接続端末に提供する評価情報提供部H27と、を備えている。なお、上記の例では、被提供部を患者Pが所持するインターネット接続端末としたが、このような構成に限定されるものではなく、被提供部をプリンタやファクシミリ等の情報出力端末等、提供された情報を被提供者に知覚させ得る各種のデバイスを使用可能である。
【0054】
また、救急車Kに評価情報提供部H27が送信する情報を表示可能なディスプレイ装置Kdを備える構成とし(図2参照)、第2情報管理部H2の評価情報提供部H27が、患者Pが救急車Kにて救急搬送される場合において、救急搬送先の医療機関Mに所属する医師と当該患者Pとの評価情報をディスプレイ装置Kdに表示するように構成することができる。この場合、評価情報提供部H27が救急車Kに備える評価要求部からの要求に応じて救急車Kのディスプレイ装置Kdに評価情報を送信する構成としてもよいし、地域の消防指令センターに備える評価要求部からの要求に基づき、その要求に係る患者Pについての医師との評価情報を救急車Kのディスプレイ装置Kdに送信する構成としてもよい。
【0055】
本実施形態では、救急車Kが救急搬送移動体に相当し、ディスプレイ装置Kdが評価表示部に相当する。すなわち、患者Pを救急搬送する救急車Kにおいて評価情報を表示するディスプレイ装置Kdをさらに備え、管理部Hは、患者Pが救急車Kにて救急搬送される場合において、救急搬送先の医療機関Mに所属する医師と当該患者Pとの評価情報をディスプレイ装置Kdに表示することができる。
【0056】
なお、図7に示すパーソナリティー傾向の分析方法は、上記のFFPQに基づくものに限定されるものではなく、他の分析手法(例えばエーリヒ・フロムの分類やエニアグラムの分類による分析手法)を用いてもよい。なお、医師パーソナリティーデータベースHD5や患者パーソナリティーデータベースHD6に格納するレコードのデータは、パーソナリティー傾向に限るものではない。例えば、医師パーソナリティーデータベースHD5に医師の技能レベルや治療実績、年齢等の属性を数値化したデータを格納し、患者パーソナリティーデータベースHD6に、患者Pが医師に要請する技能や治療実績、年齢等のデータを格納するようにしてもよい。また、医師パーソナリティーデータベースHD5及び患者パーソナリティーデータベースHD6に、夫々のパーソナリティーを表す文章(自己紹介等)を格納しておき、構文解析及び意味分析によって適合性を評価してもよい。
【0057】
また、患者Pのパーソナリティー情報をデータベースのテーブルに格納しない構成とすることもできる。この場合、第2情報管理部H2は、患者Pがインターネット接続端末等を通じて適合性評価を要求する度に、患者Pに患者パーソナリティー情報の入力を要求するように構成することができる。第2情報管理部H2は、入力された患者パーソナリティー情報を一時記憶領域に保存し、評価情報提供部H27が評価情報をインターネット接続端末等に送信する。第2情報管理部H2はが評価情報を患者Pのインターネット接続端末等に送信した後、当該インターネット接続端末等とのセッションが解放されると、一時記憶領域に保存した患者パーソナリティー情報を消去するように構成する。このような構成においては、一時記憶領域が患者パーソナリティー情報格納部に相当する。
【0058】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、製薬会社Sにおける薬剤の総在庫量が当該薬剤に対して設定された余剰量を少なくとも含む状態で、生産量決定部H23が薬剤の生産量を決定する構成を説明したが、生産量決定部H23が薬剤の生産量を決定するに当たり、薬剤の総在庫量を、当該薬剤に対して設定された余剰量を含まない量とするようにしてもよい。
【0059】
(2)上記実施形態では、処方情報として、患者IDと傷病名IDと処方期間と、を含む構成を説明したが、処方情報に上記の情報を含まない構成としてもよい。この場合、管理部Hは、処方期間に重複がある不適切処方状態であるか否かを判別しないように構成してもよい。
【0060】
(3)上記実施形態では、図6に示すように、処方期間に重複がある場合に、管理部Hが、重複期間を排除した処方期間の処方箋の発行を指示する構成を示したが、図9に示すように、重複期間の存在する状態の処方箋の発行を許容した上で、管理部Hが、薬局Dに対して、重複期間分の薬剤を減算した数量の薬剤を調剤するように指示する構成としてもよい。
【0061】
(4)上記実施形態では、第1情報管理部H1及び第2情報管理部H2を、サーバーコンピュータ上で所定のプログラムを実行することで実現する例を示したが、このような構成に限定されるものではなく、第1情報管理部H1及び第2情報管理部H2の一方又は双方を、所定の機能を実現するように論理回路が形成された集積回路で構成してもよい。この場合、集積回路のパッケージは単体でも複数でもよい。また、上記実施形態においては、第1情報管理部H1及び第2情報管理部H2を実現するコンピュータをサーバーコンピュータとしたが、これをパーソナルコンピュータや大型汎用コンピュータ(メインフレーム)としてもよい。
【0062】
(5)上記実施形態では、第2情報管理部H2に備えるデータベースを、医師パーソナリティーデータベースHD5及び患者パーソナリティーデータベースHD6の2つとする例を示したが、これに加えて、第2情報管理部H2に患者Pの主観による医師に対する適合性を示す主観評価値(例えば医師との相性が良かったか否かを示すアンケートや、医師に対する印象を記述した文章等)を格納する主観評価値格納部を備える構成としてもよい。
この場合、適合性評価部H26は、主観評価値格納部が格納する情報にも基づいて患者Pと医師との適合性を評価することができる。なお、適合性評価部H26による主観評価値格納部が格納する情報の評価方法としては、上述のアンケートの場合には、アンケートの回答項目を段階的に選択させるように設定し、それらの段階ごとに付与した数値を評価する構成とすることができる。また、文章による記述とした場合には、構文解析や意味分析によって、患者Pの医師に対する好印象度を数値化して評価すること等が考えられる。
【符号の説明】
【0063】
K 救急車(救急搬送移動体)
Kd 評価表示部(ディスプレイ装置)
H 管理部
H1(H) 第1情報管理部(管理部)
H2(H) 第2情報管理部(管理部)
H21 需要量算出部
H22 需要量予測部
H23 生産量決定部
H26 適合性評価部
H27 評価情報提供部
HD4 処方情報データベース(処方情報格納部)
HD5 医師パーソナリティーデータベース(医師パーソナリティー情報格納部)
HD6 患者パーソナリティーデータベース(患者パーソナリティー情報格納部)
M 医療機関
P 患者
S1〜S3、S 製薬会社(薬剤生産者)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9