(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6181835
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ガス回収濃縮装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20170807BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20170807BHJP
B01D 53/62 20060101ALN20170807BHJP
B01D 53/83 20060101ALN20170807BHJP
C01B 32/50 20170101ALN20170807BHJP
【FI】
B01D53/14 100
B01D53/18 120
!B01D53/62ZAB
!B01D53/83
!C01B32/50
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-199665(P2016-199665)
(22)【出願日】2016年10月11日
【審査請求日】2017年1月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390020215
【氏名又は名称】株式会社西部技研
(72)【発明者】
【氏名】岡野 浩志
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−507527(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/208038(WO,A1)
【文献】
特開2016−175014(JP,A)
【文献】
実開昭61−083433(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14−53/18
B01D 53/34−53/85
B01J 20/00−20/34
C01B 32/00−32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性ガスの収着能力を有する非水溶性の収着材で構成したロータの、ロータの回転方向に対し、収着ゾーン、ハニカム内に温水が導入され、ハニカム空隙に含まれる原料ガスを置換排気するガス排出ゾーン、温水脱着ゾーン、ハニカム空隙に含まれる温水を排水する液排出ゾーンを経て再び前記収着ゾーンに戻るように構成し、前記収着ゾーンに酸性ガスを含む原料ガスを流して酸性ガスを収着させ、前記脱着ゾーンでは温水を流入させて収着材に収着した酸性ガスを脱着させて、高濃度の酸性ガスとして外部に取り出すようにしたことを特徴とするガス回収濃縮装置。
【請求項2】
前記ロータの回転方向に対し、収着ゾーン、ガス排出ゾーン、温水脱着ゾーン、液排出ゾーンを経て再び前記収着ゾーンに戻るように構成したことを特徴とする請求項1のガス回収濃縮装置。
【請求項3】
前記ロータの回転方向に対し、収着ゾーン、ガス排出ゾーン、温水脱着ゾーン、液排出ゾーン、プレ乾燥ガスにより収着材の表面の水膜が少なくなるまでプレ乾燥するプレ乾燥ゾーンを経て再び前記収着ゾーンに戻るように構成したことを特徴とする請求項1のガス回収濃縮装置。
【請求項4】
二酸化炭素の脱着に使用した温水を再熱ヒータにて再熱するに当たって、温水に溶解した二酸化炭素の溶解度が低下することにより放出された二酸化炭素ガスを回収し、先にガスとして回収された二酸化炭素ガスと合流回収することを含む、請求項1、2、3記載のガス回収濃縮装置。
【請求項5】
前記ロータが、ガラス繊維等無機繊維主体のPET繊維などプラスチック繊維を含む多孔質ペーパを基材としたハニカムに、固体アミン微粉末を担持させたハニカムロータであることを特徴とする請求項1、2、3記載のガス回収濃縮装置。
【請求項6】
前記ロータが、金属箔又は合成樹脂シート等シート材料の表裏に、耐熱、耐水性の接着剤を介して、粒状の水に溶解しない固体アミンを接着されたシートをコルゲート加工し、さらに巻き付け又は積層したロータであることを特徴とする、請求項1、2、3記載のガス回収濃縮装置。
【請求項7】
前記ロータが、粒状の二酸化炭素収着材をバケット状の容器に分割して収納した円筒形状容器のロータであることを特徴とする、請求項1、2、3記載のガス回収濃縮装置。
【請求項8】
原料ガスの前処理にて水スクラバー及び脱硫装置にて処理した後、ハニカムロータに投入する前の前処理として、廃熱利用型吸収式冷凍機、吸着式冷凍機にて発生させた冷熱で20℃以下に冷却して処理することを特徴とする請求項1〜7記載のガス回収濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い回収率で回収し、高い濃度に濃縮でき、小型化でき、耐久性が高く、100℃以下の廃熱を利用でき、かつ消費エネルギーの少ない、サーマルスイング二酸化炭素回収濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策として、産業や自動車及び家庭から排出される二酸化炭素をできるだけ削減しようとする取り組みが世界レベルで行われている。これには、エネルギーを消費する機器を省エネルギーとなるように改良し、古い機器と置き換えるという取り組みをしている。また、発電などのエネルギーを生み出す機器としては、太陽光や風力等再生可能エネルギーを利用したものを用いたり、火力発電所の発電効率を上げる改良を行ったり、将来的には火力発電所から排出される二酸化炭素を回収濃縮して、地中や深海に貯留する技術等も研究開発されている。
【0003】
以上のような取り組みの中で、本件発明は特に火力発電所や燃焼炉等から排出されるガスから、二酸化炭素を回収して濃縮する技術に関する。
【0004】
火力発電所としては、燃料に石油や天然ガスや石炭を用いるものが最も普及しており、これ以外には都市より排出されるゴミを焼却するもの等がある。このような火力発電所の中で、石炭を燃料として使用するものは、次のような特徴がある。即ち燃料が安価であり、石炭の世界的な埋蔵量は石油よりも遥かに多く、埋蔵場所も世界各地にあるため入手が容易であり、よって安定して電力を供給できるという特徴がある。
【0005】
しかし、石炭は燃焼時に排出する二酸化炭素が石油や天然ガスと比較して多く、さらに硫化物も多いという問題が有る。さらに石炭だけでなく、重質の石油も石炭と同様の問題があった。このため、石炭や重質油を燃料とする発電所などでは、硫黄酸化物や窒素酸化物を除去する装置を設けて、環境汚染を防止している。
【0006】
しかし硫黄酸化物や窒素酸化物を除去して環境汚染を防止しても、依然として二酸化炭素を多量に排出し、地球の温暖化を促進するという問題があった。
【0007】
この改善策として、排ガス中の二酸化炭素を分離回収濃縮し、回収した二酸化炭素を地中や深海に貯留するという技術が研究開発されている。この二酸化炭素の分離回収濃縮手段としては、深冷法、吸収法、吸着法、膜分離法等種々提案されている。
【0008】
深冷法は原料ガスを加圧して、加圧下での各ガスの液化温度の差を利用して、二酸化炭素を液化分離する方法である。ガスを圧縮するコンプレッサの電力と、深冷する冷凍機の電力が必要で、例えば二酸化炭素濃度が10%前後の場合、二酸化炭素以外の、回収する必要のないその他90%のガスも一緒に圧縮、深冷しなくてはならない為、エネルギー消費が過大になる欠点が有る。
【0009】
吸収法は、二酸化炭素をモノエタノールアミン等アミン系のアルカリ液に吸収させて回収し、加熱することで二酸化炭素を脱離させて濃縮する方法で、すでに実用化されているが、アルカリ液を取り扱うことで耐蝕性の高価な材料が必要で高コストである。また、アミン水溶液の濃度は30%前後で、70%前後が水であり、取り扱う液体の熱容量が膨大なため、要所に熱交換器を配置して熱回収しても省エネルギー化の限界に近づいている。(非特許文献2)さらには、モノエタノールアミン等は蒸気化する薬品なので、大気中に排気されての二次汚染も懸念されるなどの問題が有る。
【0010】
吸着法はゼオライトや活性炭などのガス吸着材を用いるもので、圧力差を利用して吸・脱着するプレッシャースイング法(以下PSA法)と温度差を利用して吸・脱着するサーマルスイング法(以下TSA法)とがある。PSA法は圧力により二酸化炭素の吸着量が変わる原理を利用して、加圧して二酸化炭素のみを分離吸着させ、減圧して二酸化炭素を脱着回収する方法なので耐圧力容器が必要で、周辺機器として電磁弁やコンプレッサ、真空ポンプ等精密機械も必要となり大型化が困難という問題が有る。
【0011】
TSA法は摂氏50℃(以降、温度は全て「摂氏」とする)以下の温度で二酸化炭素を吸着させ、100〜200℃前後の温度に加熱して二酸化炭素を脱着させて回収する方法である。二酸化炭素吸着材を充填した複数の吸着塔を吸着と再生と交互に切り替える多塔式では、ガスの圧力損失が高く、塔の切り替えによる濃度、圧力の変動が避けられない、大型化が困難などの欠点が有る。
【0012】
TSA法の中でも、回転型吸着ハニカムロータを用いることにより、低圧力損失化や大型化の可能な方法が特許文献3〜5に示されている。しかしながら、二酸化炭素の回収率、濃縮濃度、回収エネルギーの省エネ性の点で不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平4−83509号公報
【特許文献2】特開平6−91128号公報
【特許文献3】特開2001−205045号公報
【特許文献4】特開2003−181242号公報
【特許文献5】特開2004−344703号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「ハニカム吸着剤を用いた燃焼排ガス中のCO2除去・濃縮システム最適化方法の検討」化学工学論文集,第33巻,pp.218~229,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は二酸化炭素回収濃縮方法に関するもので、高い回収率で回収し、高濃度に濃縮でき、小型化でき、耐久性が高く、100℃以下の廃熱を再生に利用でき、かつ消費エネルギーの少ない、サーマルスイング二酸化炭素回収濃縮装置を提案するものである。また、本発明の原理を応用して、より実用的なロータ式も実現できる。
【0016】
特許文献1、2に開示されたものは、粒状の二酸化炭素吸着材をバケット状の容器に分割して収納した円筒形状容器のロータを用いて、ロータを回転させるか、またはダクト装置を回転させて、吸着ゾーンで二酸化炭素を吸着して、脱着ゾーンで加熱ガスにより高濃度の二酸化炭素を脱着回収する方法が示されている。
【0017】
この技術ではガスの圧力損失が高く、省エネルギー性も考慮されていない。特許文献2では、原料ガスの熱を二酸化炭素の脱着ガスの熱源に利用する方法が開示されているが、回収濃縮装置そのものの省エネルギー性については考慮されていない。
【0018】
特許文献3にはハニカム構造のロータが提案され、圧力損失の低減がなされている。またロータが回転に伴って順次吸着ゾーンと、加熱二酸化炭素ガスによる脱着ゾーンと、ガスパージゾーンと、再生冷却ゾーン(以下冷却ゾーンと表示)を経て再び吸着ゾーンに戻るフローが開示されている。脱着ゾーンを通過して次のゾーンに移る段階で、ハニカム空隙に内包する高濃度二酸化炭素ガスが、ロータの回転に伴って次のゾーンに移動、次のゾーンが冷却ゾーンである場合には高濃度ガスが冷却ガス中に放出されて二酸化炭素回収率を減ずる。この対策としてパージゾーンを設けている。
【0019】
また脱着ゾーンの次にパージゾーンを通過して後も、ハニカムは蓄熱により高温のままなので二酸化炭素の吸着力が弱く、ここに原料ガスを流しても二酸化炭素ガスは吸着されずに流出してしまう。そこで吸着ゾーンの前に冷却ゾーンを設けて、ハニカムを冷却した後吸着ゾーンに移るように構成されている。これにより二酸化炭素の回収率を高めることができるとしている。
【0020】
脱着ゾーンでは、ガス加熱コイルと脱着ゾーンとの循環回路を構成し、ボイラ等から排出される高温ガスの熱を回収利用して、省エネ性を向上させる工夫がされている。また冷却ゾーンではガス冷却コイルと冷却ゾーンとの循環回路を構成し、冷却効果を高めるよう工夫されている。しかし夫々の循環ガス量が多いため、より大型のハニカムロータが必要という欠点がある。
【0021】
特許文献4は、ボイラ、脱硫装置、エリミネータ、ハニカムロータ除湿装置、ハニカムロータ二酸化炭素回収濃縮装置を一体システムとして、全体システムの最適化を提案しているが、二酸化炭素回収濃縮装置に関しては特許文献3からの進歩性は無い。
【0022】
特許文献5は、二酸化炭素吸着ロータの吸着材として、Li、Mg、Na、Ca、SrをカチオンとするSiO
2/Al
2O
3比が2〜2.5の範囲のX型ゼオライトを用いることが開示されているが、二酸化炭素濃縮装置に関しては特許文献3からの進歩性は無い。
【0023】
非特許文献1に開示されている
図1の二酸化炭素回収濃縮装置は、特許文献3〜5に関連するもので二酸化炭素吸着ハニカムロータ1を、ロータ駆動モータ2によって、ロータ駆動ベルト(又はチェーン)3を介して、1時間に数〜十数回転の速度で回転させる。ロータ1の回転方向に従って吸着ゾーン4、脱着ゾーン5、ガスパージゾーン6、冷却ゾーン7を経て吸着ゾーン4に戻るサイクルで構成されている。冷却ゾーン7とガス冷却コイル8と冷却ガスブロア9との循環回路が構成されている。脱着ゾーン5と脱着ガス加熱コイル10と脱着ガス循環ブロア11とは、循環回路が構成されている。
【0024】
特許文献3〜5及び、非特許文献1に開示されている二酸化炭素回収濃縮システムの構成について説明する。煙道ガスは高温高湿度で、硫黄酸化物、窒素酸化物、粉塵等の汚染ガスも含まれるため、脱硝装置、ウェットスクラバー、脱硫装置、バグフィルタ等特許文献4に開示されているような前処理装置を設けて、有害なガスや粉塵を除去処理する。二酸化炭素濃縮にゼオライト系吸着材を担持したハニカムロータを用いるので、ゼオライトが二酸化炭素よりも水蒸気を優先的に吸着して、二酸化炭素吸着能力が低下することから、特許文献4に開示されているように、ハニカムロータ除湿機による前処理にて、露点温度−20〜−60℃程度に除湿して導入する必要がある。
【0025】
以上の構成の従来例の動作を以下説明する。煙道ガスを前処理した原料ガスは吸着ゾーン4に導入され、ハニカムが二酸化炭素を吸着して濃度が減少し、冷却ゾーン7の出口空気と合流混合する。合流したガスは冷却ガス循環ブロア9でガス冷却コイル8を通過して冷却され、冷却ゾーン7に導入される。冷却ゾーン7では脱着ゾーン5からパージゾーン6を回転移動してきて、いまだに高温のため二酸化炭素吸着能力の回復していないハニカムの吸着能力を回復するため、冷却ゾーン7にてハニカムを冷却する。
【0026】
冷却ゾーン7でも二酸化炭素の吸着は進行する。冷却ゾーン7を循環するガスは、吸着ゾーン4から導入される原料ガスから、回収した二酸化炭素を除いた容積分のガスが余剰となり、系外に排出、大気中に排気される。
【0027】
脱着ガス循環回路では、高濃度二酸化炭素ガスが脱着ガス加熱コイル10にて、140〜220℃に加熱されて脱着ゾーン5に導入され、ハニカムを加熱してハニカムに吸着した二酸化炭素を脱着させる。つまり脱着ゾーン5を出たガスは、脱着ガス循環ブロア11にて再度脱着ガス加熱コイル10に戻って循環するが、循環回路内のガスは脱着した二酸化炭素ガスで増量し、増量した容積分は循環回路外に取り出し回収される。この方式は加熱した二酸化炭素ガスで、二酸化炭素ガスを脱着するため完全脱着が困難で、このこともロータ大型化の要因になっている。
【0028】
ハニカムロータ除湿機やハニカムロータ有機溶剤濃縮装置では、加熱した空気を脱着ゾーンに導入して、ハニカムに吸着している水蒸気、あるいはVOCをキャリアガスである空気にのせて脱着するが、二酸化炭素濃縮装置でキャリアガスを用いると回収二酸化炭素濃度を減じることになる。そのため脱着に高濃度二酸化炭素ガスを用いる。ハニカムロータ除湿機やハニカムロータ有機溶剤濃縮装置とは全く異なる考え方が必要になる。
【0029】
パージゾーン6では、脱着ゾーン5から回転移動してきたハニカムの空隙に内包される高濃度二酸化炭素ガスを、パージして脱着ゾーン5に戻すことで回収した二酸化炭素の流失を防ぐ。パージガスには冷却ガスの一部が使われるが、原料ガスを用いることも可能である。このガスパージにより、二酸化炭素回収率を高める効果が有る。
【0030】
パージガス量をさらに増量すると、予熱を利用してガスパージゾーン6にて披吸着質の脱着が促進され、さらにパージゾーン6にて熱回収して脱着ゾーン5にて再利用することによる省エネルギー効果が有り、ロータ式除湿機、ロータ式有機溶剤濃縮装置では多用されるフローである。しかし本発明が対象とする二酸化炭素濃縮装置の場合、二酸化炭素濃度の低いガスが脱着回路に導入されて二酸化炭素回収濃度を減じてしまうので、パージガス量を増量して省エネ効果を出すという使い方は成り立たない。
【0031】
さらに別の問題として、冷却ゾーンでは、再生直後のハニカムの冷却と、冷却ゾーン通過時に二酸化炭素の吸着により発生した吸着熱を除去するために、処理ガス量の4〜6倍の循環冷却ガスを流さなくてはならず、ガス冷却器に供給する冷水量や循環ブロアの動力消費が大きくかつロータが大型化するという欠点が有る。
【0032】
また脱着ガスも原料ガス量に対して約2倍量循環させなくてはならず、表1のようにハニカムロータ有機溶剤濃縮装置のロータ径と比較して、同じ処理(原料)ガス量に対してボリュームで5倍以上、ロータ直径で2.2倍以上の大型のロータが必要になるという問題がある。
【0033】
【表1】
以上のように二酸化炭素回収濃縮装置としては、濃縮濃度と回収率を同時に向上させることと、ロータの小型化と、消費エネルギーを劇的に下げなくてはならないという4つの課題が有る。先述のように、二酸化炭素回収濃縮装置の小型化と高性能化のために、いかにして効果的にハニカムを冷却するかという大きな課題が有る。ハニカムロータ式の有機溶剤濃縮装置や、除湿機でもパージゾーンを設けてハニカムを予冷却することで、性能向上できることは常識であるが、冷却除去しなければならない熱量のレベルにおいて別物と考える必要が有る。
【0034】
その理由の一つ目は吸着容量の問題である。有機溶剤や水蒸気よりはるかに高濃度のガスを吸着しなくてはならない為、処理ガス量に対する吸着ゾーンへの吸着材投入量が有機溶剤濃縮装置や除湿機の数倍〜十数倍になる。言い換えれば原料ガス量に対して、従来装置の数倍から〜数十倍の体積のロータが必要になる。そのためにロータ回転数を早くして、吸着処理量に対処しようとしているが、脱着の終わったハニカムの蓄熱を除去するために、原料ガスによるパージ冷却効果では全く不十分で、そのために吸着ゾーンより何倍も広い冷却ゾーンを設け、吸着ガスの何倍もの冷却ガスを循環させて冷却しなくてはならない。
【0035】
二つ目は二酸化炭素の吸着熱である。ハニカムを通過するガスから二酸化炭素を吸着すると吸着熱が発生し、吸着熱によりガスやハニカムが昇温することで吸着材の吸着力が低下する。二酸化炭素の吸着熱は水蒸気の吸着熱の6〜7分の1程度であるが、有機溶剤濃縮装置やハニカムロータ除湿機と比較してはるかに高濃度の二酸化炭素を吸着しなくてはならないため多くの吸着熱が発生する。ハニカムロータ式除湿機では、高湿度の場合は前段にて冷却式除湿機でプレ除湿した後、ハニカムロータ除湿機で除湿するという2段階で対応できるが、二酸化炭素濃縮の場合はこのような方法は不可能である。
【0036】
そのため冷却ゾーンで十分に冷却しても、吸着ゾーンでの二酸化炭素吸着が不十分になり、回収率及び濃縮濃度が上がらない。以上二つの理由から蓄熱と吸着熱を除去するために比較的大きい冷却ゾーンを設けて循環冷却しているが、冷却のためのエネルギー増やロータ径の大径化や、装置が過大になるという問題がある。
【0037】
試験結果や非特許文献1のシミュレーション結果を分析すると、ハニカムロータ二酸化炭素回収濃縮装置の二酸化炭素回収エネルギーは、二酸化炭素脱着エネルギーの目安と考えられる二酸化炭素の気化潜熱369.9kJ/kgの約15倍にもなっており、脱着ゾーンに投入される熱エネルギーの約8〜9割が、ハニカム(ハニカム基材と吸着材と吸着材を固定しているバインダー)を温めるだけに投入されていると考えられる。冷却ゾーンではこのときの膨大な蓄熱を厄介者として除去するために、さらにエネルギー消費が増加するという悪循環が有る。
【0038】
吸収法では、30%前後のアミン水溶液と原料ガスを接触させて二酸化炭素を吸収させるが、アミン液は70%前後が水であり、しかも水の密度は原料ガスの主成分である窒素の約800倍(1.251:1000 kg/m3)で、比熱は約4倍(4.187:1.038 kJ/kg・k)なので体積あたりの熱容量は約3200倍と熱容量が非常に大きいため、二酸化炭素の吸収熱は水に吸収され前述の吸着式よりもはるかに温度上昇が少なく、従って原料ガス及び吸収液の温度が上昇して吸収量が低下するという影響は少ないため、原料ガスを吸収液に1回接触させるだけでガス中の二酸化炭素のほとんどが吸収できる。これが吸収法のメリットであるが、逆に吸収液の熱容量が膨大であるために、加熱と冷却によるロスも大きくなるというデメリットにもなっている。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明は、固体で非水溶性のアミン系二酸化炭素収着材を用いて二酸化炭素ガスを回収濃縮する技術に関するもので、収着材に原料ガスを接触させ、ガス中の二酸化炭素を収着濃縮する。次の二酸化炭素脱着工程では、固体収着材を温水に直接接触させて収着材を加熱して二酸化炭素を脱離させ回収する。二酸化炭素ガスを脱離させた収着材は再び収着工程に戻るというサイクルで二酸化炭素ガスを高効率に回収濃縮する技術である。収着材の表面は濡れたまま収着工程に戻るが、水の気化冷却現象によって収着材の冷却を促進し、かつ二酸化炭素ガスの収着熱を除去冷却することで高効率に二酸化炭素ガスを収着できるという効果を発揮する。固体非水溶性のアミン系二酸化炭素収着材としてはアミン基を有する塩基性イオン交換樹脂の他に細孔内にアミン系二酸化炭素吸収剤又はイオン液体などを細孔内に担持して、細孔内に浸水しないように材の表面を撥水性にした収着剤を用いることもできる。収着と吸収現象は異なるが似た現象で、両方の要素がある場合には収着という言葉を用いることもある。イオン交換樹脂は含水により水で満たされた細孔が存在し、その細孔内を拡散して細孔表面のアミン基に二酸化炭素が収着すると考えれば収着現象とするのが相応しく、また多孔質固体収着材の細孔内にアミン液やイオン液体などを有する材も収着材なので、文中では収着材と説明しているが、何れであっても非水溶性で固体であることが本発明の要点であることは変わらない。
【0040】
実施形体としては多塔式、ロータ回転式、流動相方式にも応用可能である。大型化が容易というメリットがあるロータ回転式の例について説明すると、無機繊維シート、又は金属シート、又はプラスチックシート等で出来たハニカムに、アミン基を有するイオン交換樹脂等、非水溶性固体アミンを担持したロータを用い、
図2に示すようにロータの回転方向に沿って、原料ガスを導入する収着ゾーン13と、温水を用いた二酸化炭素脱着ゾーン14を経て、再び収着ゾーン13に戻る構成にしている。
【0041】
収着ゾーン13に原料ガスを導入して二酸化炭素ガスを収着させ、次にロータが回転してハニカムが脱着ゾーンに移動し、温水を導入加熱して二酸化炭素を脱着させる。次いでハニカムは脱着ゾーン14から収着ゾーンに回転し、収着ゾーン13ではハニカム流路に流れ込んでいた温水は排水され、再び原料ガスが流入し二酸化炭素の収着が始まる。
【発明の効果】
【0042】
収着ゾーンに二酸化炭素を含む原料ガスを流してハニカムに二酸化炭素を収着させるときに、ハニカムは後述する理由で水に濡れているため、原料ガスの通過による気化冷却現象で強力に冷却されるため、収着能力が促進される。
【0043】
二酸化炭素を収着したハニカムはロータの回転によって脱着ゾーンに移動し、脱着ゾーンでは温水が導入され、ハニカム空隙にある原料ガスは温水で置換排出され、ハニカムは温水で直接加熱される。加熱により脱着された二酸化炭素ガスを気体として回収し、又は一部水中に溶解した二酸化炭素は温水ヒータ部で回収する。
【0044】
収着ゾーンでハニカム空隙を満たしていた原料ガスは脱着ゾーンに移動する際に温水で置換され、置換された原料ガスは原料ガス流路へと排気されるので、原料ガスが回収二酸化炭素ガスに混入して二酸化炭素ガスの回収濃度を減ずることがない。従って高濃度の二酸化炭素ガスを回収することが出来る。脱着ゾーンでは、温水がハニカム内に流入してハニカムに含有する固体アミンに直接接するので効率よく加熱される。水と気体を比較すると水の密度は二酸化炭素の約500倍(1.977:1000 kg/m3)で、比熱は約5倍(4.187:0.817 kJ/kg・k)なので体積あたりの熱容量は約2500倍になるので、実施例3のように、二酸化炭素ガスを脱着させるために二酸化炭素ガスを何度も再加熱しながら循環させる必要がない。温水導入量はハニカム空隙の数倍あれば良いので脱着ゾーンは小さくでき、また脱着ガスを循環させるための動力ロスが削減される。
【0045】
ロータの回転によりハニカムが脱着ゾーンから収着ゾーンに移動するときに、ハニカム内を満たしていた温水は排水され、排水は再び温水ヒータに戻って、再加熱して循環利用される。
【0046】
脱着ゾーンでは、温水温度の低下に伴って二酸化炭素溶解量が増加して一部が温水に溶解する。例えば温水の温度が40℃に低下した場合、二酸化炭素ガスの水への溶解量は1容の水に対し約0.6容溶解する。二酸化炭素の溶解した低温温水は
図6のように温水ヒータに戻って再加熱し、再度脱着ゾーンに導入されるが、加熱により二酸化炭素ガスの溶解度が低下するので、二酸化炭素ガスが温水から脱離回収される。例えば80℃温水への二酸化炭素溶解量は0.2容以下になるので、その差0.4容がこの工程で回収できる計算になる。
【0047】
収着ゾーンに移動した直後のハニカムは温水で温まって濡れているが、原料ガスが流入すると水の気化冷却現象により強力に冷却され、二酸化炭素ガスの収着が始まる。原料ガスの気化冷却効果を効果的に利用するためは、原料ガスを外気温湿度付近にまで冷却減湿する事が望ましいが、合成ゼオライトを用いる場合のように、マイナス露点まで除湿する必要はなく、10〜20℃D.P.以下で良い。従って原料ガスの前処理装置はシンプルで良くイニシャルコスト、ランニングコストも下げられる。
【0048】
特許文献3〜5、非特許文献1の方法では、二酸化炭素の吸着により吸着熱が発生し、ガス及びハニカムが高温になって吸着量が低下するが、本発明の方法によると、ハニカムは水に濡れている限り原料ガスによる気化冷却現象が続くので、収着熱は気化熱に変換して効果的に冷却され、高い収着性能を維持することが出来る。ちなみに二酸化炭素の収着熱の目安と考えられる気化潜熱369.9kJ/kg〜昇華潜熱573kJ/kgに対し、水の気化潜熱は2500kJ/kgなのでハニカムに含まれている水1kgの蒸発によって、二酸化炭素約4〜5kgの収着熱を除去することが出来る計算になる。
【0049】
図1では、吸着熱による温度上昇により1パス当たりの吸着量が低下するため、処理ガスを再冷却しながら4〜7回パスさせなくてはならないが、本発明の方法によると、収着熱は水の気化冷却現象により強力に冷却されるので、1回パスで大部分の二酸化炭素を収着でき、収着ゾーンは非特許文献1の4分の1以下になり、従ってロータサイズを飛躍的に小径化できることになる。 また処理ガス循環ブロアの動力費やイニシャルコストも飛躍的に削減できる。
【0050】
また長期運用上の効果として耐久性の向上がある。固体アミン系二酸化炭素収着材は水中では酸素が少ないこともあり耐熱性は100℃まで耐えるものがあるが、酸素のあるガス中では40〜50℃程度でも著しく劣化する。本発明の方法では、収着時のアミン系収着材の温度は40℃以下に抑えられ、脱着時は温水中なので酸素は少なく、従って劣化が防止され耐久性が向上する。
【0051】
また原料ガスには前処理で除去できなかった硫黄酸化物や窒素酸化物等の汚染ガスが存在し、そのためにアミン法では、汚染ガスにより劣化した高価なアミン液を年単位で更新しなくてはならない。本発明の方法では、温水で脱着するので、汚染ガスは温水に溶解して、固体アミン系収着材の劣化が軽減されると共に、定期的に温水を精浄水に入れ替えることで汚染物質の除去ができる。また必要であれば精浄水による洗浄や、純水による洗浄、アルカリ性再生液による洗浄再生も可能なので、ハニカムロータの耐用年数を高めることが出来るという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は非特許文献1に示される二酸化炭素回収濃縮装置の従来例のフロー図である。
【
図2】
図2は本発明の二酸化炭素回収濃縮装置の実施例1のフロー図である。
【
図3-a】
図3−aは本発明の二酸化炭素回収濃縮装置の実施例2のフロー図である。
【
図3-b】
図3−bは
図3−aのA−A断面での矢視図である。
【
図3-c】
図3−cは
図3−aのB−B断面での矢視図である。
【
図4】
図4は本発明の二酸化炭素回収濃縮装置の実施例3のゾーン分割図である。
【
図5】
図5は本発明の二酸化炭素回収濃縮装置の実施例4のフロー図である。
【
図6】
図6は二酸化炭素回収濃縮装置の構成図である。
【
図7】
図7は固体アミン系収着材の二酸化炭素収着等温線である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明を大型化の容易なロータ回転式二酸化炭素回収濃縮装置に応用した場合について説明する。またロータ式の中でも低圧損失で取り扱いの容易なハニカムロータ式で説明する。無機繊維シート、又は金属シート、又はプラスチックシート等で出来たハニカムにアミン基を有するイオン交換樹脂等、非水溶性固体アミンを担時したロータを用い、ロータの回転方向に沿って収着ゾーンと、温水による二酸化炭素脱着ゾーンを経て、再び収着ゾーンに戻る構成にしている。
【0054】
煙道ガスは高温高湿度で、硫黄酸化物、窒素酸化物、粉塵等の汚染ガスも含まれるため、脱硝装置、ウェットスクラバー、脱硫装置、バグフィルタ等特許文献4に開示されているような前処理装置を設けて、有害なガスや粉塵を除去処理する。
【0055】
収着ゾーンに二酸化炭素を含む原料ガスを流してハニカムに二酸化炭素を収着させる。二酸化炭素を収着したハニカムはロータの回転によって脱着ゾーンに移動して温水が導入され、ハニカムは温水で直接加熱され脱着された二酸化炭素ガスを回収する。次にハニカムロータは脱着ゾーンから再度収着ゾーンに回転し、収着ゾーンではハニカム流路に流れ込んでいた温水は排水され、再び原料ガスが流入して二酸化炭素ガスの収着が始まる。
【0056】
吸着法では、例えば二酸化炭素吸着性に優れた合成ゼオライトや活性炭等、大小はあるが何れも処理ガス中の水蒸気を優先吸着して二酸化炭素の吸着率を減じ、かつ再生脱着側では吸着した水蒸気を脱着するために多くのエネルギーを必要とするという欠点がある。また定期的に吸着蓄積した水蒸気を脱着するための専用の工程を設ける必要がある。
【0057】
これに対し、本発明の方法では収着材は、脱着から収着に切り替わった直後は温水で濡れているが、その水分は処理ガスの通過によって蒸発し、脱着直後のハニカムの蓄熱を冷却する効果と、二酸化炭素の収着熱を冷却する効果に寄与するため、ハニカム中の水はマイナス効果ではなく、むしろプラス効果に転ずることが出来るという特徴を有する。
【0058】
二酸化炭素濃縮にゼオライト系吸着材を担持したハニカムロータを用いる場合は、ゼオライトが二酸化炭素よりも水蒸気を優先的に吸着して、二酸化炭素吸着能力が低下することから、特許文献4に開示されているように、ハニカムロータ除湿機による前処理にて、露点温度−20〜−60℃程度に除湿して導入する必要があるが、本考案では必要が無い。しかし収着ゾーンで前述する気化冷却効果を利用するには、ある程度冷却減湿したほうが良いが、マイナス露点温度は不要で、成り行きでよい。
【0059】
処理ガスを冷却減湿するには、冷熱機器が必要で、エネルギー消費も増加するが、収着ガス温度を低温化すると
図7のように固体アミンの収着容量は飛躍的に増加できる。収着材の収着容量を2倍に向上することは現実的には不可能に近いが、ガス温度を下げること、また収着中の温度上昇を気化冷却効果で抑えることで、実質的な収着容量を2倍にすることは可能である。以上のように原料ガスを冷却することで二酸化炭素回収濃縮装置が大幅に高性能化、小型化でき、結果的に全システムの小型化、省エネ化が図れる。
【0060】
発電所やごみ焼却場では、出来るだけ廃熱を回収再利用して省エネを図っているが、温水等の低温排熱は用途が限られる。この低温排熱を利用してシステム全体の能力を倍増させる方法は、総合的な省エネ面でも優位性がある。処理空気の冷却減湿には、吸収式冷凍機、吸着式冷凍機を使って、余剰の低温排熱を利用すればよい。これらの冷凍機はアミン式及びTSA方式の脱着には利用できないような低温排熱を利用できることでも、二酸化炭素回収濃縮コストの低減が図れる。
【実施例1】
【0061】
図2に実施例1を示す。ハニカムロータ12は、ガラス繊維等無機繊維主体のPET繊維などプラスチック繊維を含む多孔質ペーパを用いてコルゲート加工し、それを巻きつけてロータ化し、固体アミンの微粉末と、耐熱、耐水性のバインダーとを分散させたスラリーに浸漬して、固体アミン微粉末を担持させたハニカムロータ12を得る。本発明では、収着した二酸化炭素の脱着に温水を使用するため、ハニカムロータ12の不燃化と耐熱性向上のための焼成工程は不要で、逆にパルプ繊維は温水による劣化があるため使用出来ない。温水中での保形成、強度確保のためガラス繊維等の無機繊維やPET等の合成繊維を混抄することもある。耐熱水性、保形性、強度を有する合成繊維の不織布等であれば無機繊維の介在は必須ではない。
【0062】
前記ロータ12を搭載した二酸化炭素回収濃縮装置は収着ゾーン13、脱着ゾーン14が設けられ、ハニカムロータ12は、収着ゾーン13から、脱着ゾーン14を経て収着ゾーン13に戻るように構成されている。
【0063】
収着ゾーン13に、発電所等から排出される排ガスを脱硝、脱硫、脱塵処理した原料ガスを導入すると、ハニカムに担持した粒状固体アミン層に二酸化炭素が収着される。
【0064】
二酸化炭素が収着する際に収着熱が発生し、ガス温度の上昇によって二酸化炭素収着能力が阻害されるが、本発明のロータ12の二酸化炭素収着ハニカムは、後述する理由で水で湿っているため、原料ガスの通過により水が蒸発して気化冷却現象を生じて温度上昇は抑えられ、従って収着性能が飛躍的に向上する。
【0065】
水の蒸発潜熱は2500kJ/kg・Kで二酸化炭素の気化潜熱369.9kJ/kg・Kに対し、6倍以上の潜熱で収着熱を水の蒸発潜熱に変えて効果的に除去することができるので、非特許文献1の
図1の技術では、処理ゾーン4及び冷却ゾーン7にて原料ガスを冷却しながら何度も循環させないと二酸化炭素の回収率を向上させることが出来ないが、本発明では1〜数回の循環で十分な回収率を達成することが出来、従って装置の小型化と、ブロアの動力削減、つまり省エネ性を同時に達成できる。
【0066】
二酸化炭素を収着したハニカムはロータの回転によって脱着ゾーン14に移動し、脱着ゾーン14ではハニカム内に温水が導入される。ハニカムは温水によって加熱され、ハニカムの固体アミンに収着された二酸化炭素ガスが脱着され、または水に溶解して回収され、脱着が終わったハニカムは再び収着ゾーン13に戻ることで、連続的に二酸化炭素ガスの回収濃縮をすることが出来る。
【0067】
ハニカム内に流入した温水がハニカムを加熱した結果二酸化炭素ガスが脱着されるが、温水温度の低下に伴って、温水への二酸化炭素溶解量が増加して一部が溶解する。例えば温水の温度が40℃に低下した場合、二酸化炭素ガスの水への溶解量は1容の水に対し約0.6容溶解する。
図6に示すように、二酸化炭素の溶解した低温温水は温水ヒータなどの温水再熱器に戻って再加熱し、再度脱着ゾーン14に導入されるが、加熱により溶解度の低下した二酸化炭素ガスは温水から脱離回収される。例えば80℃温水への二酸化炭素溶解量は0.2容以下になるので、その差0.4容がこの工程で回収できる計算になる。
【実施例2】
【0068】
図3−a,b,c に実施例2を示す。なお、
図3−bは、
図3−aのA−A断面での矢視図で、
図3−cは、
図3−aのB−B断面での矢視図である。金属箔又は合成樹脂シート等シート材料の表裏に、耐熱、耐水性の接着剤を塗布し、0.1〜1mmの粒状の水に溶解しない固体アミンを分布接着させたシートを用いてコルゲート加工し、さらに巻き付け又は積層して、二酸化炭素濃縮ハニカムロータ12を得る。
【0069】
粒子状固体アミンを分布接着したシートは、例えば特公平7-16576のような方法で製作することができるが、この方法に限定されるものではない。
【0070】
二酸化炭素回収濃縮装置は、ハニカムロータ12の回転方向に収着ゾーン13、ガス排出ゾーン15、脱着ゾーン14、液排出ゾーン16を経て収着ゾーン13に戻る。収着ゾーン13に、発電所等から排出される排ガスを前処理した二酸化炭素ガスを含む原料ガスを導入すると、ハニカムに接着した粒状固体アミン層に二酸化炭素が収着される。
【0071】
二酸化炭素が収着する際に収着熱が発生し、ガス温度が上昇することで二酸化炭素収着能力が阻害されるが、本発明のロータ12の二酸化炭素収着ハニカムは、実施例1と同じ理由で、水で湿っているため、原料ガスの通過により水が蒸発して気化冷却現象を生じるため温度上昇は抑えられ、従って収着性能は向上する。
【0072】
水の蒸発潜熱は2500kJ/kg・Kで二酸化炭素の気化潜熱369.9kJ/kg・Kに対し、6倍以上の潜熱で、収着熱を水の蒸発潜熱に変換して効果的に除去することができるので、非特許文献1のように処理ゾーンにて原料ガスを冷却しながら何度も循環させないと二酸化炭素の回収率を向上させることが出来ないが、本発明では1〜2回の循環で十分な回収率を達成することが出来、従って装置の小型化と、ブロアの動力削減つまり省エネ性を同時に達成できる。
【0073】
ガス排気ゾーン15ではハニカム内に温水が導入され、ハニカム空隙に含まれる原料ガスを置換排気した後、脱着ゾーン14にロータが移動するので、原料ガスが脱着ゾーン14に混入して、回収二酸化炭素ガスの濃度を減じることが防止され、従って高濃度の二酸化炭素が得られる。
【0074】
脱着ゾーン14ではハニカムにさらに温水が導入加熱され、ハニカムの固体アミンに収着された二酸化炭素が脱着され回収されることは実施例1と同様である。脱着が終わったハニカムは液排水ゾーン16に移動して、ハニカム空隙に含まれる温水を排水した後、ハニカムは再び収着ゾーン13に移動する。このように連続的に二酸化炭素ガスの収着濃縮をすることが出来る。
【0075】
以上の作用にて、実施例1と比較して、脱着ゾーン14に原料ガスが持ち込まれて回収二酸化炭素ガスの濃度を減じる事を防止し、同時に高濃度二酸化炭素ガスが脱着ゾーン14から収着ゾーン13に持ち去られるのを防止して、回収濃度の向上と、回収率の向上という目的を同時に達成する。
【0076】
同じように液体を用いるアミン法では、二酸化炭素ガスを加熱脱着した後の温度の高いアミン液と、脱着前のアミン液とを熱交換して吸収工程に投入するが、本発明の方法では脱着に使用した温水はそのまま再度加熱コイルに戻して再熱利用するので高価な熱交換器が不要で、また熱的な無駄も無い。
【実施例3】
【0077】
図4に実施例3を示す。二酸化炭素回収濃縮装置は、ハニカムロータ12の回転方向に収着ゾーン13、ガス排出ゾーン15、脱着ゾーン14、液排出ゾーン16を経て収着ゾーン13に戻るところは同じであるが、液排出ゾーン16と収着ゾーン13の間にプレ乾燥ゾーン17を設けている。液排出ゾーン16を出たハニカムは水に濡れており、原料ガスの通過により気化冷却現象により水が蒸発するが、初期状態では固体アミンの表面や細孔に水膜が存在して二酸化炭素の収着が阻害される。この初期状態にプレ乾燥ゾーン17で水膜が少なくなるまでプレ乾燥してから収着ゾーン13にハニカムが移動するように構成している。プレ乾燥ガスとして原料ガスを用いる場合はプレ乾燥ゾーン17出口ガスを前工程に戻すことで二酸化炭素回収率を高めることが出来る。またプレ乾燥ゾーン17のみ外気を用いることも可能で、その場合はプレ乾燥出口空気はそのまま外気に排出可能である。ハニカムロータ12は実施例1又は2の何れでもよく、また粒状の二酸化炭素収着材をバケット状の容器に分割して収納した円筒形状容器のロータでも可能である。
【実施例4】
【0078】
図5に実施例4を示す。脱着ゾーン14では温水をハニカムに導入させて加熱する事で二酸化炭素ガスを脱着させる。温水は望ましくはハニカムの下方から上方に流すことが、二酸化炭素ガス気泡がハニカムから脱離し易くするので望ましい方法である。ハニカムから脱離した高濃度二酸化炭素ガスを回収する。
【0079】
前記実施例1〜4では、酸性ガスである二酸化炭素ガスで説明したが、本発明は二酸化炭素ガスに限定されるものではなく、収着ハニカムロータに担持する収着剤を適宜変更することにより、他の酸性ガスやアルカリ性ガスなどにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の二酸化炭素回収濃縮装置は、回収濃度と回収率を同時に高めることができ、低温排熱を利用して、少ない消費エネルギーで効果的に二酸化炭素の濃縮を行うことができるため、発電所などの排ガスから二酸化炭素を濃縮除去する場合に適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 二酸化炭素吸着ハニカムロータ
2 ロータ駆動モータ
3 ロータ駆動ベルト(又はチェーン)
4 吸着ゾーン
5 脱着ゾーン
6 パージゾーン
7 冷却ゾーン
8 ガス冷却コイル
9 冷却ガス循環ブロア
10 脱着ガス加熱コイル
11 脱着ガス循環ブロア
12 二酸化炭素収着ハニカムロータ
13 収着ゾーン
14 脱着ゾーン
15 ガス排出ゾーン
16 液排出ゾーン
【要約】
【課題】煙道ガス等から二酸化炭素などのガスを回収するハニカムロータ回収濃縮装置において、出来るだけ高い回収率で回収し、出来るだけ高い濃度に濃縮し、小型化でき、100℃以下の低温廃熱を利用でき、かつ回収濃縮のためのエネルギー量を出来るだけ少なくすることができ、耐久性の高いサーマルスイング二酸化炭素回収濃縮装置に関するものである。
【解決手段】酸性ガスの収着能力を有する非水溶性の収着材(固体アミン等)を、湿った状態で二酸化炭素を含む混合ガスと接触させて二酸化炭素を収着する工程と、二酸化炭素を収着した前記収着材(固体アミン等)と温水とを接触させて高濃度の二酸化炭素を脱着させる工程と、二酸化炭素を脱着し前記収着材(固体アミン等)と温水とを分離して、再度収着工程に戻すことで連続的に酸性ガス(二酸化炭素)の回収率及び回収濃度を飛躍的に高めることができる。
【選択図】
図2