特許第6181852号(P6181852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181852
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】シート搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/56 20060101AFI20170807BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B65H3/56 330S
   B65H3/06 340E
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-510080(P2016-510080)
(86)(22)【出願日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】JP2015051664
(87)【国際公開番号】WO2015146255
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-66310(P2014-66310)
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】上原 雅和
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−72269(JP,A)
【文献】 特開平7−133034(JP,A)
【文献】 特開2005−8379(JP,A)
【文献】 特開平6−144624(JP,A)
【文献】 特開平10−120224(JP,A)
【文献】 特開2007−230782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H1/00−3/68、11/00−11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される給送トレイと、
前記シートを給送する給送ユニットと、
前記給送ユニットに回転可能に支持され、前記給送トレイに挿入された前記シートに押されて回転するストッパーと、
前記ストッパーの回転に伴って前記ストッパーが当接する第1被当接部と、
前記ストッパーによる前記第1被当接部への衝撃を緩和する衝撃緩和機構と
を備え、
前記ストッパーは、前記ストッパーの回転に伴って前記第1被当接部に当接する第1当接部を含み、
前記衝撃緩和機構は、
第2被当接部と、
前記ストッパーに形成され、前記ストッパーが規定の押圧力を超えて前記シートに押圧された場合、前記ストッパーが変形することによって前記第2被当接部に当接する第2当接部と
を含む、シート搬送装置。
【請求項2】
前記第1被当接部の第1幅は前記第1当接部の第2幅と同一、又は前記第1幅は前記第2幅より広く、
前記第1幅及び前記第2幅の各々は、前記ストッパーの回転軸に沿った幅を示す、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
シートが積載される給送トレイと、
前記シートを給送する給送ユニットと、
前記給送ユニットに回転可能に支持され、前記給送トレイに挿入された前記シートに押されて回転するストッパーと、
前記ストッパーの回転に伴って前記ストッパーが当接する第1被当接部と、
前記ストッパーによる前記第1被当接部への衝撃を緩和する衝撃緩和機構と
を備え、
前記ストッパーは、前記ストッパーの回転に伴って前記第1被当接部に当接する第1当接部を含み、
前記衝撃緩和機構は、前記第1当接部に向かって前記第1被当接部を付勢する付勢部材を含む、シート搬送装置。
【請求項4】
前記付勢部材の付勢力は、前記ストッパーが規定の押圧力を超えて前記シートに押圧された場合、前記第1被当接部が前記シートの給送方向の反対方向に移動する大きさに設定される、請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送された前記シートの画像を形成し、又は前記シート搬送装置によって搬送された前記シートに画像を形成する画像形成部と
を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には原稿搬送装置が記載されている。この原稿搬送装置と同様の構成を有する一般的な原稿搬送装置について図12を参照して説明する。原稿搬送装置500は、ストッパー501、ガイドとしてのリブ505、及びストッパー501を軸支する給送ユニット504を備える。リブ505の端面が被当接部503として機能する。ストッパー501は、給送トレイに挿入された原稿(シートの一例)に押されて回転し、ストッパー501の当接部502は被当接部503に当接する。そして、給送ユニット504は、原稿に当接する位置まで下降し、原稿の給送を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−230782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原稿が給送トレイに強制挿入されたことによる当接部502から被当接部503への衝撃によって、被当接部503が、損傷したり、削れたりする可能性がある。従って、被当接部503に切込み又は欠損が発生する可能性があり、当接部502の先端が被当接部503の切込み等に引っ掛かる場合がある。その結果、給送ユニット504の下降が阻害され、原稿の給送不良が発生する可能性がある。特に、被当接部503は、薄板状のリブ505の端面であり、損傷を受け易い。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、シートの給送不良を抑制できるシート搬送装置および画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点によれば、シート搬送装置は、給送トレイと、給送ユニットと、ストッパーと、第1被当接部と、衝撃緩和機構とを備える。給送トレイは、シートが積載される。給送ユニットは、前記シートを給送する。ストッパーは、前記給送ユニットに回転可能に支持され、前記給送トレイに挿入された前記シートに押されて回転する。第1被当接部には、前記ストッパーの回転に伴って前記ストッパーが当接する。衝撃緩和機構は、前記ストッパーによる前記第1被当接部への衝撃を緩和する。
【0007】
本発明の第2の観点によれば、画像形成装置は、本発明の第1の観点に係るシート搬送装置と画像形成部とを備える。画像形成部は、前記シート搬送装置によって搬送された前記シートの画像を形成し、又は前記シート搬送装置によって搬送された前記シートに画像を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、衝撃緩和機構はストッパーによる第1被当接部への衝撃を緩和する。従って、第1被当接部の損傷が抑制され、給送ユニットの下降が阻害されることを抑制できる。その結果、給送ユニットの下降が円滑になりシートの給送不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置のストッパー及びその周辺を示す模式的断面図である。
図2A】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置の給送ユニットが退避位置に退避し、給送トレイに原稿がセットされた状態を示す図である。
図2B】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置の給送ユニットが給送位置まで下降した状態を示す図である。
図3A】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置の給送トレイに原稿が強制挿入された状態を示す図である。
図3B】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置の給送トレイに原稿が強制挿入された場合に給送ユニットが下降した状態を示す図である。
図4A】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置のカバーが閉じた状態の斜視図である。
図4B】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置のカバーが開いた状態の斜視図である。
図5】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置を示す模式的断面図である。
図6A】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置の給送ユニットを上からみた斜視図である。
図6B】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置の給送ユニットを下からみた斜視図である。
図7】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置の駆動源に接続された給送ユニットを示す図である。
図8A】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置のストッパーが有する第1当接部と第1被当接部とが当接している状態を示す拡大図である。
図8B】本発明の実施形態1に係るシート搬送装置のストッパーが有する第1被当接部の拡大図である。
図9】本発明の実施形態2に係るシート搬送装置のストッパー及びその周辺を示す模式的断面図である。
図10A】本発明の実施形態2に係るシート搬送装置の給送トレイに原稿が強制挿入された状態を示す図である。
図10B】本発明の実施形態2に係るシート搬送装置の給送トレイに原稿が強制挿入された場合に給送ユニットが下降した状態を示す図である。
図11】本発明の実施形態3に係る画像形成装置の概略を説明するための模型的断面図である。
図12】一般的なシート搬送装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
(実施形態1)
図1を参照して、本発明の実施形態1に係る原稿搬送装置1の基本原理を説明する。図1は、原稿搬送装置1を示す。原稿搬送装置1は、給送トレイ20と、給送ユニット50と、ストッパー30と、第1被当接部41と、衝撃緩和機構10とを備える。原稿搬送装置1は、シート搬送装置として機能する。
【0012】
給送トレイ20には、原稿が積載される。給送ユニット50は、原稿を給送する。ストッパー30は、給送ユニット50に回転可能に支持され、給送トレイ20に挿入された原稿に押されて回転する。第1被当接部41には、ストッパー30の回転に伴ってストッパー30が当接する。衝撃緩和機構10は、ストッパー30による第1被当接部41への衝撃を緩和する。原稿はシートの一例である。シートは、例えば、普通紙、再生紙、薄紙、厚紙、又はOHP(Overhead Projector)シートである。
【0013】
実施形態1によれば、衝撃緩和機構10はストッパー30による第1被当接部41への衝撃を緩和する。従って、第1被当接部41の損傷が抑制され、給送ユニット50の下降が阻害されることを抑制できる。その結果、給送ユニット50の下降が円滑になり原稿の給送不良が抑制される。
【0014】
[原稿搬送装置1の詳細]
図1図3を参照して、原稿搬送装置1の詳細について説明する。図1に示すように、衝撃緩和機構10は、第2当接部33及び第2被当接部43を含む。第2当接部33は、ストッパー30に形成される。第2被当接部43は、ガイド部材40に形成される。ストッパー30は、第1当接部31、ストッパー片35、及び装着部37を含む。ストッパー30は、円筒状の装着部37を介して給送ユニット50に回転可能に支持される。第1当接部31は、装着部37の周面から上方に突出する突起である。ストッパー片35は、板形状であり、第1当接部31と共に装着部37を挟むように配置され、装着部37の周面から下方に延びる。第2当接部33は、板形状であり、第1当接部31からストッパー片35の基端部にわたって形成される。第2当接部33は略直角状の角部33aを有する。
【0015】
原稿搬送装置1に対して原稿Pは、例えば、通常挿入又は強制挿入される。原稿Pが、通常挿入されたときの原稿搬送装置1の動作を説明する。図2Aは、給送ユニット50が退避位置に退避し、給送トレイ20に原稿Pがセットされた状態を示す図である。図2Aでは、原稿Pが通常挿入されている。退避位置とは、給送ユニット50が給送トレイ20に対して上方に退避した位置のことである。ストッパー片35は給送トレイ20に挿入された原稿Pを受け止める。すなわち、原稿Pが原稿給送方向(以下、「給送方向D」と記載する。)に挿入され、ストッパー片35が原稿Pに押されると、ストッパー30が時計回りに(矢印rが示す方向に)回転する。そして、第1当接部31は、ストッパー30の回転に伴って第1被当接部41に当接する。従って、ストッパー30の回転が停止し、ストッパー片35によって原稿Pの先端縁が給送方向Dに直交するように整えられる。その結果、原稿Pを斜め姿勢で搬送路5に給送されることが抑制される。
【0016】
図2Bは、給送ユニット50が給送位置まで下降した状態を示す。原稿Pの給送動作が開始されると、給送ユニット50は退避位置から原稿Pに当接する給送位置まで下降する。給送位置は、給送ユニット50が原稿Pに当接する位置である。そして、ピックアップローラー51が回転することによって原稿Pが給送方向Dに給送される。
【0017】
次に、原稿Pが強制挿入されたときの原稿搬送装置1の動作を説明する。図3Aは、原稿Pが強制挿入された状態を示す。原稿Pが給送トレイ20に強制挿入されると、第2当接部33は第2被当接部43に当接する。
【0018】
具体的には、ストッパー30が規定の押圧力を超えて原稿Pに押圧された場合、ストッパー30が変形することによって、第2当接部33は第2被当接部43に当接する。つまり、原稿Pが強制挿入されると、第1当接部31が第1被当接部41に当接し、さらにストッパー30が原稿Pによって押圧される。ストッパー30は弾性体で形成されるため、ストッパー30の形状は変形し、第2当接部33の角部33aが第2被当接部43に当接する。
【0019】
従って、強制挿入に基づくストッパー30から第1被当接部41への衝撃(又は荷重)は、第1被当接部41だけに加えられるのではなく、第1被当接部41と第2被当接部43とで分散される。その結果、ストッパー30から第1被当接部41への衝撃(又は荷重)が緩和される。なお、規定の押圧力は、例えば、ストッパー30の材質、第2当接部33の形状、及びストッパー片35のサイズのようなストッパー30の特性、角部33aと第2被当接部43との位置関係、並びに/又は第1当接部31と第1被当接部41との位置関係に基づいて、任意の値に設定され得る。
【0020】
図3Bは、原稿Pが強制挿入された場合に給送ユニット50が下降した状態を示す。衝撃緩和機構10が第1当接部31から第1被当接部41への衝撃を緩和したあと、給送ユニット50は、退避位置から原稿Pに当接する給送位置まで下降する。つまり、給送ユニット50は衝撃によって下降する。そして、ピックアップローラー51は、原稿Pが強制挿入された状態のままで回転を開始する。従って、原稿Pの重送が発生し、原稿Pが搬送路5に詰まるため、原稿Pの給送動作が停止される。その結果、原稿Pを強制挿入することによって原稿搬送装置1の給送動作が停止することをユーザーに認識させ、原稿Pを強制挿入することに対する警告をユーザーに促すことができる。
【0021】
また、給送ユニット50の下降によって、第1当接部31と第1被当接部41との当接が解除される。従って、ストッパー30は、ストッパー30の機能を果たさない。その結果、第1被当接部41にはストッパー30からの荷重が継続して加わらない。つまり、第1当接部31から第1被当接部41への衝撃による第1被当接部41の損傷が抑制される。
【0022】
次に、図4を参照して原稿搬送装置1の全体構成を説明する。図4Aは、カバー3を閉じたときの原稿搬送装置1を示す。原稿搬送装置1は画像形成装置の画像読取部の上面に配置される。図4Bは、カバー3を開いたときの原稿搬送装置1を示す。原稿搬送装置1はカバー3及び排出トレイ7をさらに備える。カバー3は、原稿搬送装置1の上部を構成し、開閉可能である。カバー3は、閉じた状態で、給送トレイ20の基端部及び給送ユニット50を覆う。給送ユニット50は、給送トレイ20の基端部よりも給送方向Dの下流に配置される。
【0023】
排出トレイ7は、給送トレイ20の下方に配置される。排出トレイ7には、原稿搬送装置1の内部を搬送された原稿Pが排出される。給送トレイ20には、一対のカーソル21が配置される。一対のカーソル21は、給送トレイ20に積載された原稿Pを挟み、斜め姿勢で原稿Pが挿入されることを抑制する。
【0024】
図1及び図4Bに示すように、カバー3の裏面にはガイド部材40が配置される。ガイド部材40に第1被当接部41及び第2被当接部43が形成される。具体的には、ガイド部材40には、給送方向Dに沿って複数の板状のリブ42が形成される。複数のリブ42が原稿Pをピックアップローラー51に案内する。複数のリブ42のうちリブ42aの給送方向Dの下流端に第1被当接部41が形成される。第1被当接部41の被当接面は、給送方向Dの下流に向かって上方に傾斜する。被当接面に第1当接部31が当接する。ガイド部材40のうち第1被当接部41よりも給送方向Dの下流に第2被当接部43が形成される。第2被当接部43は、給送方向Dに沿った平坦面を有し、平坦面に角部33aが当接する。
【0025】
次に、図5を参照して原稿搬送装置1の内部構造について説明する。図5は、原稿搬送装置1の断面図である。原稿搬送装置1は、排出ローラー対8及び複数の搬送ローラー対9をさらに備える。原稿Pは搬送経路Aに沿って搬送される。具体的には、原稿Pは、ピックアップローラー51及び給送ローラー53によって搬送路5に給送され、さらに搬送ローラー対9によって搬送路5を搬送され、さらに排出ローラー対8によって排出トレイ7に排出される。原稿Pは、搬送路5に配置されたコンタクトガラス111を経由する。そして、原稿Pの画像は、コンタクトガラス111を介して、画像読取部によって読み取られる。
【0026】
次に、図6及び図7を参照して給送ユニット50について詳細に説明する。図6Aは、給送ユニット50を上から見た斜視図である。給送ユニット50はフレーム50aを含む。フレーム50aの両側面から、一対の十字軸59が突出する。一対の十字軸59は一対のストッパー30に対応する。ストッパー30は十字軸59に回転自在に支持される。ストッパー30は自重によって回転可能である。具体的には、十字軸59は、装着部37に形成された円筒状の穴に挿通される。
【0027】
図6Bは、給送ユニット50を下方から見た斜視図である。図7は、駆動源71に接続された給送ユニット50を示す。給送ユニット50は、ピックアップローラー51、給送ローラー53、ワンウェイクラッチ55a、ワンウェイクラッチ55b、複数のギヤ61、及びコイルバネとしての捻りコイルバネ65をさらに含む。駆動源71は、複数のギヤ67及びモーター70を含む。
【0028】
ピックアップローラー51及び給送ローラー53はフレーム50aに回転可能に支持される。ピックアップローラー51と給送ローラー53とは、複数のギヤ61を介して連結される。給送ローラー53は、複数のギヤ67及び軸57を介してモーター70に連結される。
【0029】
制御部80は、軸57が回転方向Rに回転するようにモーター70を駆動する。回転方向Rは給送方向Dに対応する。軸57が回転方向Rに回転する場合、ワンウェイクラッチ55aはモーター70の駆動力を給送ローラー53に伝達し、ワンウェイクラッチ55bは、モーター70の駆動力をピックアップローラー51に伝達する。従って、ピックアップローラー51及び給送ローラー53は、給送方向Dに対応して回転し、原稿Pを給送方向Dに給送する。
【0030】
一方、制御部80は、軸57が回転方向Rの反対方向に回転するようにモーター70を駆動する。軸57が回転方向Rの反対方向に回転する場合、ワンウェイクラッチ55aはモーター70の駆動力を給送ローラー53に伝達しないし、ワンウェイクラッチ55bは、モーター70の駆動力をピックアップローラー51に伝達しない。
【0031】
捻りコイルバネ65は軸57に挿通される。捻りコイルバネ65は、ピックアップローラー51が退避位置に配置されるようにフレーム50aを回転方向Rの反対方向に付勢する。モーター70によって軸57が回転方向Rに回転すると、捻りコイルバネ65の付勢力に抗して、フレーム50aが軸57の回りに回転方向Rに回転する。その結果、フレーム50aの先端部が下降し、ピックアップローラー51が退避位置から給送位置に移動する。一方、モーター70によって軸57が回転方向Rの反対方向に回転すると、フレーム50aが軸57の回りに反対方向に回転する。その結果、フレーム50aの先端部が上昇し、ピックアップローラー51が給送位置から退避位置に移動する。
【0032】
捻りコイルバネ65の付勢力は、フレーム50aの先端部(ピックアップローラー51及びギヤ61を含む。)の自重によってフレーム50aの先端部が下降しようとする力(自重による下降力)より大きい。従って、回転方向Rの反対方向の駆動力が解除されても、ピックアップローラー51は退避位置に滞在する。一方、捻りコイルバネ65の付勢力は、自重による下降力と第2当接部33が第2被当接部43に当接した時の衝撃力との合力より小さい。従って、第2当接部33が第2被当接部43に当接した時の衝撃によって、フレーム50aの先端部は下降し、ピックアップローラー51は退避位置から給送位置に移動する。
【0033】
次に、図8を参照して第1被当接部41の形状について説明する。図8Aは、第1当接部31と第1被当接部41とが当接している状態を示す拡大図であり、図8Bは、第1被当接部41を示す拡大図である。図8Bでは、ストッパー30の図示を省略している。
【0034】
第1被当接部41の第1幅L10は、第1当接部31の第2幅L20より広い。第1幅L10及び第2幅L20の各々は、ストッパー30の十字軸59(回転軸)に沿った幅を示す。
【0035】
第1幅L10が第2幅L20より広いため、第1当接部31と第1被当接部41との当接面積が、一般的な当接部502と一般的な被当接部503(図12参照)との当接面積より大きくなる。従って、第1当接部31から第1被当接部41が受ける単位面積当たりの衝撃が小さくなる。その結果、第1被当接部41の損傷がさらに抑制され、原稿Pの給送不良がさらに抑制される。なお、第1幅L10は第2幅L20と同一であってもよい。また、第1幅L10は第2幅L20より狭くてもよい。
【0036】
以上、図1図8を参照して説明したように、実施形態1によれば、原稿Pの強制挿入による第1当接部31から第1被当接部41への衝撃は、衝撃緩和機構10としての第2当接部33と第2被当接部43とによって緩和される。従って、衝撃による第1被当接部41の損傷が抑制され、原稿Pを給送するときの給送ユニット50が第1被当接部41にひっかかることによって下降が阻害されることを抑制できる。その結果、給送ユニット50の下降が円滑になり原稿Pの給送不良が抑制される。
【0037】
(実施形態2)
図9及び図10を参照して、本発明の実施形態2に係る原稿搬送装置1について説明する。実施形態2に係る原稿搬送装置1の構成は、実施形態1に係る原稿搬送装置1の構成と同様である。ただし、実施形態2に係る原稿搬送装置1の衝撃緩和機構10は、第2当接部33及び第2被当接部43に代えて、付勢部材90を含む。以下、主に実施形態2と実施形態1との相違点を説明する。原稿搬送装置1は、シート搬送装置として機能する。
【0038】
図9は、原稿搬送装置1のストッパー30及びその周辺を示す。図9では、ストッパー30は、原稿に当接していない基本姿勢をとっている。ストッパー30の構成は、第2当接部33が形成されない点を除き、実施形態1のストッパー30の構成と同様である。すなわち、ストッパー30は、第1当接部31、装着部37、及びストッパー片35を含む。ガイド部材40に第1被当接部41が配置される。付勢部材90は、第1当接部31に向かって(給送方向Dに)第1被当接部41を付勢する。付勢部材90は、例えば、ばねである。
【0039】
具体的には、衝撃緩和機構10は、突出部200、ガイド溝201、基底部材202、支持部203、及びストッパー204をさらに含む。第1被当接部41の上部には、突出部200が形成される。一方、ガイド部材40には給送方向Dに沿って延びるガイド溝201が形成される。突出部200はガイド溝201に挿入される。また、第1被当接部41の被当接面は、給送方向Dの下流に向かって上方に傾斜する。被当接面に第1当接部31が当接する。第1被当接部41には基底部材202が形成される。基底部材202は、被当接面に対向する面から給送方向Dに沿って延びる。基底部材202は、ガイド部材40に形成された支持部203に支持される。
【0040】
第1被当接部41は、ガイド溝201及び支持部203に沿ってスライド可能である。つまり、第1被当接部41は、給送方向Dに沿ってスライド可能である。ストッパー30が基本姿勢を取っている場合及び原稿が通常挿入された場合、第1被当接部41の突出部200は、付勢部材90の付勢力によって、ガイド部材40に形成されたストッパー204に当接している。ストッパー204は、ガイド溝201のうち給送方向Dの下流端に配置される。
【0041】
付勢部材90の付勢力は、原稿Pが通常挿入された場合に、つまり、規定の押圧力以下の押圧力で原稿Pがストッパー30を押した場合に、第1被当接部41が給送方向Dの反対方向に移動しない大きさに設定される。すなわち、付勢部材90の付勢力は、原稿Pが強制挿入された場合に、つまり、規定の押圧力を超えて原稿Pがストッパー30を押圧した場合、第1被当接部41が給送方向Dの反対方向に移動する大きさに設定される。
【0042】
第1被当接部41の第1幅L10は、第1当接部31の第2幅L20(図8A参照)より広い。第1幅L10及び第2幅L20の各々は、ストッパー30の十字軸59(回転軸)に沿った幅を示す。実施形態1と同様に、第1当接部31から第1被当接部41が受ける単位面積当たりの衝撃が小さくなり、第1被当接部41の損傷、ひいては給送不良が抑制される。なお、第1幅L10は第2幅L20と同一であってもよい。また、第1幅L10は第2幅L20より狭くてもよい。
【0043】
原稿が通常挿入されたときの給送ユニット50及びストッパー30の動作は、実施形態1と同様であり、説明を省略する。原稿が強制挿入されたときの給送ユニット50及びストッパー30の動作について説明する。
【0044】
図10Aは、原稿Pが強制挿入された状態を示す。給送トレイ20に原稿Pが強制挿入されると、つまり、原稿Pが規定の押圧力を超えてストッパー30を押圧すると、第1当接部31は、第1被当接部41に当接し、さらに付勢部材90の付勢力に抗して、第1被当接部41を給送方向Dの反対方向に押圧する。その結果、第1被当接部41は給送方向Dの反対方向に移動し、第1当接部31からの衝撃が吸収される。つまり、衝撃緩和機構10としての付勢部材90が衝撃を緩和する。
【0045】
図10Bは、原稿Pが強制挿入された場合に給送ユニット50が下降した状態を示す。衝撃緩和機構10が第1当接部31から第1被当接部41への衝撃を緩和したあと、給送ユニット50は退避位置から原稿Pに当接する給送位置まで下降する。つまり、第1被当接部41が給送方向Dの反対方向に移動するため、第1当接部31と第1被当接部41との当接が解除され、第1当接部31から第1被当接部41への衝撃と給送ユニット50の先端部(ピックアップローラー51及びギヤ61を含む。)の自重とによって給送ユニット50が下降する。
【0046】
そして、ピックアップローラー51は、原稿Pが強制挿入された状態のままで回転を開始する。従って、原稿Pの重送が発生し、原稿Pが搬送路5に詰まるため、原稿Pの給送動作が停止される。その結果、実施形態1と同様に、原稿Pを強制挿入することに対する警告をユーザーに促すことができる。
【0047】
また、給送ユニット50の下降によって、第1当接部31と第1被当接部41との当接が解除される。従って、ストッパー30は、ストッパー30の機能を果たさない。その結果、実施形態1と同様に、ストッパー30から第1被当接部41への継続した荷重による第1被当接部41の損傷が抑制される。
【0048】
以上、図9及び図10を参照して説明したように、実施形態2によれば、原稿Pの強制挿入による第1当接部31から第1被当接部41への衝撃は、衝撃緩和機構10として付勢部材90によって緩和される。従って、衝撃による第1被当接部41の損傷が抑制され、原稿Pを給送するときの給送ユニット50が第1被当接部41にひっかかることによって下降が阻害されることを抑制できる。その結果、給送ユニット50の下降が円滑になり原稿Pの給送不良が抑制される。
【0049】
(実施形態3)
図11を参照して、本発明の実施形態3に係る画像形成装置100について説明する。図11は、画像形成装置100の概略を説明するための模型的断面図である。画像形成装置100は、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ、又は複合機である。複合機は、例えば、複写機、プリンター、及びファクシミリのうち少なくとも2つの機器を備える。
【0050】
画像形成装置100は、原稿搬送装置1、制御部80、画像読取部110、給送部120、搬送部130、画像形成部140、定着部150、及び排出部160を備える。制御部80は画像形成装置100の各要素を制御する。また、制御部80は、実施形態1又は実施形態2に係る制御部80として機能する。
【0051】
原稿搬送装置1は、実施形態1又は実施形態2に係る原稿搬送装置1である。原稿搬送装置1は、画像読取部110に向けて原稿Pを搬送する。画像読取部110は、原稿Pの画像を読み取って画像データを生成する。給送部120は、カセット121又は手差しトレイ123(シート搬送装置)に積載されたシートTを搬送部130に給送する。なお、実施形態1又は実施形態2に係る原稿搬送装置1の各構成を、手差しトレイ123からシートTを給送する機構に適用できる。つまり、本発明に係る衝撃緩和機構10は、手差しトレイ123にシートTを挿入する場合にも適用できる。
【0052】
搬送部130は、シートTを画像形成部140に搬送する。画像形成部140は、画像データに基づいてシートTに画像を形成する。画像データは、例えば、画像読取部110が生成した画像データである。この場合、画像形成部140は、原稿搬送装置1によって搬送された原稿Pの画像をシートTに形成する。具体的には、画像形成部140は、感光体ドラム141、帯電部142、露光部143、現像部144、及び転写部145によって、シートTに画像を形成する。また、画像形成部140は、クリーニング部146及び除電部147を含む。
【0053】
画像が形成されたシートTは定着部150に向けて搬送される。定着部150は、シートTを加熱及び加圧して、シートTに画像を定着させる。画像が定着されたシートTは排出部160に向けて搬送される。排出部160はシートTを排出する。
【0054】
以上、図11を参照して説明したように、実施形態3によれば、実施形態1又は実施形態2に係る原稿搬送装置1を有するため、実施形態1又は実施形態2と同様に、シートTの給送不良を抑制できる。その他、実施形態1又は実施形態2と同様の効果を奏する。
【0055】
以上、図面(図1図12)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置の分野に利用可能である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12