(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とが、LDPE:LLDPE=1:9〜9:1の質量比でブレンドされている請求項1に記載の加飾用樹脂組成物。
前記低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、何れも1.0g/10min以下のメルトフローレート(190℃)を有している請求項1に記載の加飾用樹脂組成物。
前記金属顔料が、前記低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)との合計量100質量部当り0.1〜30.0質量部の量で分散されている請求項1に記載の加飾用樹脂組成物。
請求項1に記載の加飾用樹脂組成物を、押出機内での溶融混合により調製し、該押出機内で調製された樹脂組成物を用いての共押出により、該組成物による層が外面側から視認される位置に形成されたパイプ形状のプリフォームを成形し、該プリフォームの一端部を閉じた状態でブロー流体を吹き込んでボトル形状に賦形することを特徴とする多層ダイレクトブローボトルの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、極めて安価な手段によりメタリック調に加飾され、しかも著しく優れたメタリック感を付与することが可能な加飾用樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の加飾用樹脂組成物を用いて形成されたメタリック層を備えた多層ダイレクトブローボトル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、密度が0.910g/cm
3以上、0.930g/cm
3未満の低密度ポリエチレン(LDPE)と密度が0.910〜0.925g/cm
3の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とのブレンド物に、平均厚みが600nm以下の金属顔料が分散されていることを特徴とする加飾用樹脂組成物が提供される。
【0008】
本発明の加飾用樹脂組成物においては、
(1)前記低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とが、LDPE:LLDPE=1:9〜9:1の質量比でブレンドされていること、
(2)前記低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、何れも1.0g/10min以下のメルトフローレート(190℃)を有していること、
(3)前記金属顔料が、前記低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)との合計量100質量部当り0.1〜30.0質量部の量で分散されていること、
(4)前記金属顔料がアルミ顔料であること、
が好適である。
【0009】
本発明によれば、また、上記加飾用樹脂組成物によるメタリック層が、外面側から視認できる位置に形成されていることを特徴とする多層ダイレクトブローボトルが提供される。
この多層ダイレクトブローボトルは、
(5)多角度測色計を使用し、ボトル壁の外面に45度で光を入射したとき、正反射光に対して15度方向の反射光による明度L
*15(L
*a
*b
*表色系)が150以上であること、
という特性を示す。
また、該多層ダイレクトブローボトルは、一般に、
(6)前記メタリック層が、外表面層または外表面透明樹脂層の下側に形成されていること、
という構造を有しており、さらに、
(7)前記メタリック層に対して内層側に隣接する層を形成している樹脂について、210℃の温度で測定したときの剪断速度6s
−1及び30s
−1での剪断粘度(Pa・s)をそれぞれV
6、V
30とした時、前記メタリック層の形成に使用されている前記ブレンド物は、下記粘度条件式(1)及び(2):
η
6≧V
6−2000 (1)
η
30≧V
30−2000 (2)
上記式(1)及び(2)中、
η
6及びη
30は、それぞれ、210℃の温度で測定したときの剪断速度
6s
−1及び30s
−1での剪断粘度(Pa・s)を示す、
を満足していること、
が好適である。
【0010】
本発明によれば、さらに、上記加飾用樹脂組成物を、押出機内での溶融混合により調製し、該押出機内で調製された樹脂組成物を用いての共押出により、該組成物による層が外面側から視認される位置に形成されたパイプ形状のプリフォームを成形し、該プリフォームの一端部を閉じた状態でブロー流体を吹き込んでボトル形状に賦形することを特徴とする多層ダイレクトブローボトルの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加飾用樹脂組成物では、平均厚みが600nm以下の金属顔料が樹脂中に分散されており、この金属顔料によりメタリックな外観が発現し、加飾がなされるのであるが、特に重要な特徴は、この金属顔料が低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とのブレンド物中に分散されている点にある。
【0012】
即ち、LDPEは、ラジカル開始剤を触媒とし、高圧(1000〜4000気圧程度)、高温(100〜350℃程度)の環境下で、エチレンを重合して得られるものであり、高圧法ポリエチレンと呼ばれることもある。このような方法で得られるLDPEは、エチレン鎖が長鎖の分岐を含むようになり、このような構造により、密度の低下や柔軟性がもたらされる。これに対してLLDPEは、繰り返し単位のエチレンに若干量のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテンなど)の複数種を共重合させたものであり、短い分岐がランダムに導入されており、これにより密度の低下が持たされるのであるが、LDPEに比して分岐が短く、分子の直線性が高いという性質を有している。
本発明では、上記のような構造を有するLDPEとLLDPEとのブレンド物中に、厚みの薄い金属顔料が分散されているため、このような樹脂組成物が溶融押出されたとき、金属顔料が押出方向に速やかに配向し、この結果として、このような樹脂組成物の押出により形成される層が外部から視認される位置に存在するダイレクトブロー成形容器では、乱反射光が極めて少なく、その多くが正反射光となり、優れたメタリック感が発現するのである。
【0013】
例えば、LDPEのみに金属顔料が分散されている場合には、溶融押出により、金属顔料をある程度押出方向に配向することができるのであるが、その配向は十分でなく、配向していない金属顔料も多く存在することとなり、そのメタリック感は十分ではない。このLDPEは、長い分岐を多く含んでいるため、溶融押出に際して、押出方向以外の方向にも金属顔料に応力が加わってしまうためではないかと思われる。しかるに、LDPEにLLDPEがブレンドされている場合には、LLDPEの直線性が高いため、溶融押出に際して、金属顔料に押出方向以外の方向に加わる応力を有効に緩和することができ、この結果として、より多くの金属顔料を押出方向に配向することが可能となり、より優れたメタリック感が発現するものと思われる。
尚、LLDPEのみに金属顔料を分散させた場合には、流動性が悪いため、シャークスキンや周方向の厚みムラによるダイラインが生じるようになるばかりか、金属顔料の配向も不十分となってしまう。LLDPEは、分子の直線性が高いため、その流動により金属顔料を配向させることが困難になるためではないかと思われる。
【0014】
このように、本発明の加飾用樹脂組成物により形成された層(メタリック層)が外部から視認できる位置に形成されている多層ダイレクトブロー成形容器では、優れたメタリック感を示す。例えば、後述する実施例に示されているように、多角度測色計を使用し、ボトル壁の外面に45度で光を入射したとき、正反射光に対して15度方向の反射光による明度L
*15が150以上と極めて高い。この明度が高い値を示すほど正反射光が多く、より優れたメタリック感が発現していることとなる。
尚、このL
*15は、L
*a
*b
*表色系(CIE1976色空間)によるL
*値である。
【0015】
また、上記のようなメタリック層を備えた多層ダイレクトブローボトルは、メタリック層により高い加飾性(メタリック感)を示し、しかも、スプレー塗装やシュリンクフィルムによる処理などの後処理を行うことなく、メタリック感が発現するため、極めて安価であるという大きな利点を有している。
即ち、本発明の多層ダイレクトブローボトルは、高価な化粧品用途に限らず、シャンプー、リンスなどのヘアケア製品、液体洗剤などに代表される低価格商品の包装に有効に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<加飾用樹脂組成物>
本発明の加飾用樹脂組成物は、金属顔料を、マトリックスとなるベース樹脂中に分散させたものであり、ベース樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とが使用される。
【0018】
ベース樹脂に分散させる金属顔料は、メタリック感を発生させるためのものであり、金属光沢を発現するもの、例えば、アルミ顔料、銅顔料、銅亜鉛(真鍮)顔料、銅錫(ブロンズ)顔料や、雲母などの表面をアルミ、酸化鉄、酸化チタンなどでコートした光輝顔料などを使用することができるが、特に金属光沢という観点で、アルミ顔料やアルミ製光輝顔料が好適である。
【0019】
本発明においては、上述したような金属顔料の中でも特に、平均厚みが600nm以下、好ましくは100〜500nmの範囲にある薄い金属顔料が使用される。即ち、このような平均厚みの薄い金属顔料を用いた場合、後述する溶融押出に際して、ベース樹脂の流動方向(押出方向)に沿って金属顔料が速やかに配向することとなり、乱反射光が少なく、優れたメタリック調を発現することが可能となる。例えば、平均厚みが上記範囲よりも大きい金属顔料を用いた場合には、反射光の指向性が低くなり、乱反射光が増加するため、メタリック感が不十分となってしまう。また、この金属顔料の厚みが過度に薄いと、強度が低下するため、溶融押出の際に破損が生じて、メタリック感がやや低下する傾向がある。
【0020】
また、上記金属顔料の平均粒径は、一般に、1〜50μm、特に5〜30μmの範囲にあるものが好ましく、アスペクト比(粒径と厚みとの比率:粒径(μm)/厚み(μm))が10以上の範囲にあるものが好ましい。このように、厚みに比して粒径の大きい偏平形状のものは、配向したときの反射光の指向性が極めて高く、メタリック感を与える上で極めて有利である。
【0021】
さらに、金属顔料は、ボールミルなどを用いて機械的に金属粉末をフレーク状に偏平加工した金属顔料が好適である。即ち、このような金属顔料は、通常、厚みが100nm以上と厚く、溶融押出の際に破損しにくいからである。
【0022】
尚、上述した金属顔料は、一般に、分散剤に分散させた状態でベース樹脂に混合される。このような分散剤としては、ベース樹脂の押出成形性を損なわずに金属顔料のベース樹脂に対する分散性を高めるものが好適に使用され、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素系ワックスや、高級脂肪酸ワックスが好適に使用される。
このような分散剤は、一般に、金属顔料100質量部当り10〜50質量部程度の量で使用される。
【0023】
本発明において、上述した金属顔料は、後述するベース樹脂100質量部当り0.1〜30.0質量部、特に0.5〜10.0質量部、より好ましくは1.0〜5.0質量部の量でベース樹脂に混合することが、良好なメタリック感を与える上で好適である。即ち、金属顔料の量が少なすぎる場合には、メタリック感を十分に発現することが困難となり、また、金属顔料が過剰に使用されている場合には、この金属顔料の配向が不十分となり、やはりメタリック感が不満足となるおそれがある。
【0024】
また、上記の金属顔料を分散させるベース樹脂としては、ダイレクトブロー成形によりボトル形状に賦形可能なポリエチレンが使用されるが、本発明においては、特に、密度が0.910g/cm
3以上、0.930g/cm
3未満の低密度ポリエチレン(LDPE)と密度が0.910〜0.925g/cm
3の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とのブレンド物が、ベース樹脂として使用される。このような直線性の低い(分岐の大きい)LDPEと分岐が短く直線性の高いLLDPEとのブレンド物からなるベース樹脂中に上記金属顔料を配合することにより、この金属顔料をベース樹脂の押し出し方向に効果的に配向することが可能となり、優れたメタリック感を発現することが可能となるわけである。
【0025】
本発明において、上記のようなLDPEとLLDPEとは、通常、1:9〜9:1の質量比で混合されるが、特に高いメタリック感を得るためには、LDPEとLLDPEとの合計量100質量部当り、LDPEを50〜85質量部、最も好ましくは50〜75質量部の量で使用することが望ましい。即ち、金属顔料を押出方向に配向させるためには、分岐の長いLDPEを主体とすることが必要であり、LDPEの流動による金属顔料の配向を適度に抑えるために、直線性の高いLLDPEを、LDPE以下の量で使用することにより、最も効果的に金属顔料を配向させ、最も高いメタリック感を発現させることができる。
【0026】
また、上記のようなLDPE及びLLDPEとしては、所謂押出グレードのものが使用されるが、特に金属顔料を効果的に押出方向に配向させるという観点から、何れも、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が1.0g/10min以下、特に0.3〜1.0g/10minの範囲にあるものが好適である。即ち、MFRが大きなものを使用した場合には、溶融押出に際しての流動による金属顔料の配向性が低くなる傾向にある。
【0027】
さらに、上記のブレンド物に金属顔料が分散されている加飾用樹脂組成物は、ダイレクトブローボトルのメタリック層の形成に使用されるが、このメタリック層は、通常、内容物と接触する位置には設けられないため、このメタリック層の内側には、これと隣接する層が存在することとなる。
本発明では、上記のような位置にメタリック層が形成されるという観点から、上記LDPEとLLDPEとのブレンド物は、メタリック層の内側に隣接する層を形成する樹脂に近い溶融粘度を有していることが好ましい。具体的には、前記メタリック層に対して内層側に隣接する層を形成している樹脂について、210℃の温度で測定したときの剪断速度6s
−1及び30s
−1での剪断粘度(Pa・s)をそれぞれV
6、V
30とした時、該メタリック層の形成に使用されている前記ブレンド物は、下記粘度条件式(1)及び(2):
η
6≧V
6−2000 (1)
η
30≧V
30−2000 (2)
上記式(1)及び(2)中、
η
6及びη
30は、それぞれ、210℃の温度で測定したときの剪断速度
6s
−1及び30s
−1での剪断粘度(Pa・s)を示す、
を満足していることがより好ましい。
また、上記のブレンド物は、さらに、下記粘度条件式(3):
η
10≧V
10−2000 (3)
上記式中、
V
10はメタリック層の内層側に隣接する樹脂の剪断速度10s
−1での
剪断粘度(Pa・s)であり、
η
10はメタリック層の形成に用いるポリエチレンの剪断速度10s
−1
での剪断粘度(Pa・s)である、
を満足していることが最適である。
このような粘度条件を満足するように、LDPEとLLDPEとのブレンド物が調製されていることにより、押出成形に際しての金属顔料の変形を有効に防止することができる。
尚、ブレンド物に要求される粘度条件については後述する。
【0028】
本発明において、金属顔料がベース樹脂(LDPE及びLLDPE)に分散されている加飾用樹脂組成物中には、金属顔料の配向性が損なわれない限りにおいて、他の成分が配合されていてもよく、例えば前述したように金属顔料を均一に分散させる分散剤が配合されることがある。
【0029】
<多層ダイレクトブローボトル>
上述した本発明の加飾用樹脂組成物は、押出成形を利用して成形される多層ダイレクトブローボトルの製造に使用される。即ち、このボトルは、押出成形により所定の多層構造を有するパイプ形状のプリフォーム(パリソン)を成形し、このプリフォームの一方側端部をピンチオフし、この状態で空気等のブロー流体をプリフォーム内に吹き込んでボトル形状に賦形することにより製造される。かかるボトルにおいて、本発明の加飾用樹脂組成物は、外部から視認される位置に存在するメタリック層の形成に使用されるものであり、押出成形時に金属顔料が押出方向に配向し、優れたメタリック感が発現することとなる。
【0030】
例えば、上記の多層ダイレクトブローボトルの層構造を示す
図1を参照して、このボトル(全体として10で示す)では、本発明の加飾用樹脂組成物から形成されているメタリック層は1で示されている。
即ち、
図1(a)の態様では、外表面に金属顔料が分散されたメタリック層1が形成されており、その下側に隣接して、内容物と接触する内表面側に位置する内層3が設けられている。
また、
図1(b)の態様では、外表面には透明樹脂層2が形成されており、この透明樹脂層2の下側にメタリック層1が形成されており、この態様でも、隣接して、内容物と接触する内表面側に位置する内層3が設けられている。このようなメタリック層1は、外面から視認される位置に形成されていればよいので、この透明樹脂層2には、メタリック層1の視認性が確保される限りにおいて、メタリック層1に配合される顔料とは異なる顔料が配合されて加飾されていてもよい。
さらに、メタリック層1の視認性が確保される限りにおいて、
図1(c)に示されているように、外表面の透明樹脂層2とメタリック層1との間に、透明樹脂に顔料が配合された加飾樹脂層5を形成することもできる。この加飾樹脂層5に配合される顔料も、メタリック層1に配合される顔料とは異なるものであり、例えば、平均厚みが1μmを超える金属顔料(例えばパール顔料など)であってよい。何れの層構造においても、メタリック層1は、内容物と接触する内表面側に位置する内層3に隣接して形成される。
このように、何れの態様においても、メタリック層1による加飾がなされている。
【0031】
メタリック層1;
メタリック層1は、上記で述べたように、前述した本発明の加飾用樹脂組成物から形成されている層であり、該ボトル10を成形するためのプリフォーム成形時の押出方向(ボトル10の高さ方向)に沿って、金属顔料が配向しており、これにより、良好なメタリック感が付与されている。
【0032】
このようなメタリック層1の胴部の厚みは、ボトルの大きさなどによっても異なるが、適度な厚みを有していることが望ましく、例えば10μm以上の厚みを有していることが好ましい。即ち、メタリック層1の厚みが薄すぎると、押出成形に際してのベース樹脂の流動が乱流となり易く、この結果、金属顔料の配向が不十分となってしまい、メタリック感が低下するおそれがあるからである。
【0033】
透明樹脂層2;
本発明において、
図1(b)に示されているように、外表面の透明樹脂層2の下側にメタリック層1が形成されている場合、かかる透明樹脂としては、下層のメタリック層1が示すメタリック感が損なわれない限りの透明性を有していることを条件として、ダイレクトブローボトルの成形に使用し得る種々の熱可塑性樹脂を用いることができる。
このような熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、一般的には、押出成形用グレードのオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂が好適に使用される。
【0034】
オレフィン系樹脂の例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)などのポリエチレンや、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)などを挙げることができる。また、非環状オレフィンと環状オレフィンとの非晶質乃至低結晶性の共重合体(COC)も、透明樹脂層2を形成するための透明樹脂として使用することができる。
【0035】
ポリエステル樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、或いはエチレンテフタレート単位に少量のコポリエステル単位が導入されている非晶性ポリエステル樹脂を挙げることができる。
尚、上記のコポリエステル形成用の共重合成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸またはこれらジカルボン酸のアルキルエステル誘導体などのジカルボン酸成分;プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール成分を挙げることができる。
【0036】
本発明においては、特に、耐傷付き性や柔軟性、光沢性などの観点から、オレフィン系樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂が好適である。
【0037】
また、このような透明樹脂層2の胴部の厚みは、このダイレクトブローボトル10の大きさや要求される柔軟性、スクイズ性などによって適宜の範囲に設定することができるが、一般的には、10〜200μm程度の厚みに設定される。
【0038】
さらに、
図1(b)に示すように、外表面の透明樹脂層2の下側にメタリック層1が形成されている場合、透明樹脂層2とメタリック層1との接着性が乏しい場合には(例えば、透明樹脂層2がポリエステル樹脂で形成されている場合)、適宜、接着樹脂層を間に介在させることもできる。
【0039】
このような接着樹脂層の形成に使用される接着剤樹脂は、それ自体公知であり、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合樹脂及びそれらの酸変性樹脂、オレフィンと酸の共重合樹脂、グリシジル基含有樹脂などが使用できる。また、接着性を向上させるために、それらの樹脂に公知の粘着付与剤を添加してもよい。
【0040】
共重合樹脂としては、ランダム、ブロック、グラフトなど、どのような結合様式で製造されたものでも使用できる。酸変性樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸、又はこれらの無水物でグラフト変性した樹脂が用いられる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上のブレンド樹脂として、あるいは他樹脂とのブレンド樹脂として使用できる。粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂などがあげられる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0041】
また、接着樹脂層には、公知の添加物を添加してもよい。添加物としては、例えば、熱可塑性エラストマー、他の熱可塑性樹脂、ゴム樹脂、無機フィラー、顔料、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、アンチブロッキング剤などを使用できる。特に、ポリオレフィン樹脂(特にポリエチレン系樹脂)に粘着付与剤を添加した樹脂が好ましい。また、熱可塑性エラストマーは、層界面の凹凸の低減のため、スチレン系のエラストマーを使用することが好ましい。
さらに、接着樹脂層にメタリック層の項で挙げた金属顔料を配合して、更にメタリック感を向上させることもできる。
【0042】
かかる接着樹脂層の厚みは、適宜の接着力が得られる程度でよく、一般的には、10〜200μm程度である。
【0043】
内層3;
図1(a)及び
図1(b)の層構造において、内表面に面する内層としては、この種のダイレクトブローボトルの成形に使用される公知の熱可塑性樹脂、例えば、前述したオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂が使用される。特に、内表面に面する内層は、密度が0.930g/cm
3以上の高密度ポリエチレン(HDPE)により形成することが望ましい。このようなHDPEにより形成される内層の厚みは、通常、50〜200μm程度である。
【0044】
また、上記の内層は、複数の樹脂層からなる多層構造とすることも可能であり、例えば、ボトル10の内面に面していないことを条件として、このボトル10を成形する際に発生するバリなどのスクラップをバージンの樹脂と混合したリグラインド層を中間層として設けることもできる。
【0045】
さらに、内面に面していない中間層として、ガスバリア性樹脂層を設けることもできる。
このようなガスバリア性樹脂層は、形成するガスバリア性樹脂としては、例えば37℃−0%RHにおける酸素透過係数が5.5×10
−12cc・cm/cm
2・sec・cmHg以下の樹脂、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアミドが代表的であり、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体が好適である。
かかるエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物)としては、具体的には、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適に使用される。このエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと呼ぶことがある)は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール/水の重量比が85/15の混合溶媒中、30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の固有粘度を有している。
上記のガスバリア性樹脂層は、その優れた酸素バリア性が損なわれない限りにおいて、酸素バリア性樹脂に他の熱可塑性樹脂がブレンドされていてもよい。
【0046】
さらに、内面に面していない中間層として、それ自体公知の酸素吸収性樹脂層を含んでいてもよい。この酸素吸収性樹脂層は、酸素バリア性を補足するものであり、特開2002−240813号等に記載されているように、酸化性重合体及び遷移金属系触媒を含む層であり、遷移金属系触媒の作用により酸化性重合体が酸素による酸化を受け、これにより、酸素を吸収して酸素の透過を遮断する。このような酸化性重合体及び遷移金属系触媒は、上記の特開2002−240813号などに詳細に説明されているので、その詳細は省略するが、酸化性重合体の代表的な例は、第3級炭素原子を有するオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレンやポリブテン−1など、或いはこれらの共重合体)、熱可塑性ポリエステル若しくは脂肪族ポリアミド;キシリレン基含有ポリアミド樹脂;エチレン系不飽和基含有重合体(例えばブタジエンなどのポリエンから誘導される重合体);などである。また、遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの遷移金属の無機塩、有機酸塩或いは錯塩が代表的である。
【0047】
上記のような中間層として使用されるガスバリア性樹脂層や酸素吸収性樹脂層は、ボトル10の大きさや内容物の種類に応じて要求される酸素バリア性が発現する程度の厚みに設定されていればよく、また、ガスバリア性樹脂層と酸素吸収性樹脂層との両方を中間層として設けることもできる。
【0048】
また、上述したように内層3を多層構造とする場合において、互いに隣接する層同士の接着性が乏しい場合、或いは内層3とメタリック層1との接着性が乏しい場合には、間に前述した接着剤樹脂の層を介在させることもできる。
【0049】
本発明において、上記のような内層3のトータル厚みは、その層構造や用いる樹脂の種類などやボトル10の大きさ(内容積)に応じて、ボトル10に要求される特性が発現するように設定されていればよい。
【0050】
加飾樹脂層5;
本発明において、
図1(c)で示されているように、外表面の透明樹脂層2とメタリック層1との間に適宜形成される加飾樹脂層5は、透明樹脂に顔料が配合されたものであり、ベースの透明樹脂としては、前述したメタリック層1や透明樹脂層2について例示した各種の樹脂、或いは接着樹脂層で例示した接着樹脂などを挙げることができる。
また、加飾のために配合する顔料は、メタリック層1の視認性が損なわれない限りにおいて、メタリック層1に配合される金属顔料とは異なる顔料であればよく、例えば、種々の無機或いは有機顔料に加え、メタリック層1で用いる金属顔料として例示されたもののうち、平均厚みが1μmを超えるものや、天然の雲母に酸化チタンや酸化鉄をコートしたパール顔料などが使用される。
【0051】
上述した層構造を有する本発明の多層ダイレクトブローボトル10においては、これを構成する各層には、メタリック感が損なわれない限りにおいて、滑剤、各種改質剤、紫外線吸収剤などが配合されていてもよい。
【0052】
<多層ダイレクトブローボトル10の製造>
上述した多層ダイレクトブローボトル10は、層の数に応じた数の押出機を用いての共押出によりパイプ状の多層プリフォーム(パリソン)を成形し、このプリフォームの一端部をピンチオフし、内部に圧縮エアなどのブロー流体を吹き込んでボトル形状に賦形することにより、製造される。
【0053】
ところで、メタリック層1中には、前述した金属顔料が分散されているため、上記のような押出成形に際しては、メタリック層1を形成するベース樹脂に金属顔料を混合した樹脂組成物が押出機より押し出されるが、本発明においては、かかる金属顔料とベース樹脂との混合を、ベース樹脂が可塑化された状態で行われることが望ましい。具体的には、押出機の混練部にベース樹脂を投入し、このベース樹脂が溶融した状態で、金属顔料(具体的には、金属顔料が前述した分散剤に分散されたもの)を投入して混練し、この状態で押出機から押し出して多層プリフォーム中にメタリック層1を形成する。
このような手段を採用することにより、押出機のスクリューにより金属顔料に加わる剪断力が有効に緩和され、押出成形時の金属顔料の破損や変形が有効に防止され、この状態で金属顔料が押出方向に沿って揃って配向し、この配向状態がブロー後もそのまま保持されるため、良好なメタリック感が安定して発現することとなる。
例えば、ベース樹脂が可塑化する前の段階で金属顔料を投入すると、押出スクリューにより金属顔料に加わる剪断力が大きくなるため、金属顔料の破損や変形が生じ易く、メタリック感にバラつきを生じ易くなるおそれがあるからである。
【0054】
また、上記のような押出成形は、押出機先端に多層用ダイを取り付け、ダイ内の環状空間を各層に対応する樹脂(もしくは樹脂組成物)を筒状に溶融押出していくことにより行われるが、例えば、
図2に示されているように、内層3に隣接してメタリック層1を設ける場合、内層3の樹脂流は、ストレートな筒状形態を維持して押し出され、多層用ダイの隣の環状空間からは、内層3に隣接するメタリック層1の樹脂流(本発明の加飾用樹脂組成物の樹脂流)が内方に縮径して押し出されて内層3の樹脂流に合流し、合流した樹脂流は、内層3の樹脂流とメタリック層1の樹脂流との層状構造でストレートな筒状形状を維持して下方に押し出されていく。
図2中、内層3の樹脂流とメタリック層1の樹脂流との合流部領域はXで示されている。この合流部領域Xでは、溶融した樹脂の流速が最も速く、従って、メタリック層1の樹脂流は、この合流部領域Xで最も大きな剪断力を受けることとなる。
また、メタリック層1の外面に位置する樹脂は、
図2では省略されているが、合流した樹脂流が安定した層流となった下方部分で、外面側から縮径するように押し出されて、合流するように設計されている。
【0055】
上記のようにして押出成形が行われるとき、メタリック層1の外面側に位置する層の樹脂は、メタリック層1を形成する加飾用樹脂組成物の樹脂流が安定した層流となった時点で合流するため、加飾用樹脂組成物の樹脂流に与える影響はほとんどないが、メタリック層1の内側に隣接する内層3の樹脂流は、合流部領域Xでメタリック層1の樹脂流(加飾用樹脂組成物の樹脂流)で合流する。このため、この加飾用樹脂組成物の樹脂流の剪断粘度(即ち、前記ブレンド物の剪断粘度)が、内層3の樹脂流の剪断粘度に比して小さ過ぎると、合流部領域Xで内層3の樹脂流とメタリック層1の樹脂流との界面が乱れ、メタリック層1の厚みムラが発生し、シャークスキンの要因となるおそれがあるばかりか、この樹脂流(加飾用樹脂組成物)に含まれる金属顔料の変形を引き起こし、メタリック感を低下させるおそれが生じる。この金属顔料は、厚みが薄く、粘度差による剪断力によって変形を生じ易いからである。
【0056】
しかるに、本発明では、先にも述べたように、加飾用樹脂組成物の形成に使用されるLDPEとLLDPEとのブレンド物を、下記式(1)及び(2):
η
6≧V
6−2000 (1)
η
30≧V
30−2000 (2)
式(1)及び(2)中、
V
6及びV
30は、それぞれ、210℃の温度で測定したときの剪断速度
6s
−1及び30s
−1でのメタリック層1の内層側に隣接する層を形成す
る樹脂の剪断粘度(Pa・s)を示し、
η
6及びη
30は、それぞれ、210℃の温度で測定したときの剪断速度
6s
−1及び30s
−1での上記ブレンド物の剪断粘度(Pa・s)を示す、
で規定される剪断粘度条件を満足するように調製することにより、上記のようなメタリック層1に隣接する内層との粘度差による不都合を抑制することができる。
尚、
図2の例では、メタリック層1の内層側に隣接する層は、ボトル内面に面している内層3(例えばHDPE等のポリエチレンにより形成されている層)を意味するが、この内層3自体が多層構造を有する場合には、その層構造に応じて、メタリック層1に隣接しているリグラインド層、ガスバリア層、酸素吸収層或いは接着剤層であり、これらの樹脂層を形成している樹脂に対して、メタリック層1の形成に使用されているブレンド物が上記式(1)及び(2)の条件を満足するように調製される。
【0057】
即ち、ポリエチレンにより内層を形成する場合、その溶融押出温度は、大まかではあるが、150〜230℃程度であり、210℃の近傍の温度であり、また、ダイヘッド内での剪断速度(特に上記合流部領域Xでの剪断速度)は、おおよそ6〜30s
−1の範囲である。このことから理解されるように、上記の粘度条件は、押出機のダイヘッド内、特に上記合流部領域Xにおいて、メタリック層1の内層側に隣接する樹脂の粘度が、メタリック層の形成に使用するポリエチレンの粘度に比して過度に大きくないことを意味している。
メタリック層1の形成に用いるブレンド物が上記条件式(1)及び(2)を満足していることにより、上記合流部領域Xでメタリック層1の樹脂流に生じる応力が有効に緩和され、結果として、メタリック顔料の変形が有効に防止され、前述した金属顔料の配向性と相俟って、より優れたメタリック感を発現させることができ、さらにはメタリック層1の厚みムラやシャークスキンの生成もより有効に抑制されるのである。
【0058】
図3には、内層3の形成に使用されている樹脂の剪断粘度曲線y=V(x)が示されている。この曲線において、縦軸yが剪断粘度(Pa・s)であり、横軸xが剪断速度(s
−1)である。この剪断粘度曲線から、この内層3に隣接してメタリック層1を設ける場合、メタリック層の形成に用いる前記ブレンド物が満足すべき剪断粘度の下限値を示す曲線は、
図3においてy=η(x)で示されている。
【0059】
粘度条件式(1)及び(2)は、剪断速度6s
−1及び30s
−1での剪断粘度が所定の範囲となるように設定されているものであり、
図2中、αが、式(1)中の(V
6−η
6)に相当する値(2000Pa・s)であり、βが式(2)中の(V
30−η
30)に相当する値(2000Pa・s)である。
【0060】
本発明において、メタリック層1の形成に用いる前述したブレンド物は、さらに、下記粘度条件式(3):
η
10≧V
10−2000 (3)
上記式中、
V
10は、メタリック層1の内層側に隣接する樹脂の剪断速度10s
−1
での剪断粘度(Pa・s)であり、
η
10は、メタリック層1の形成に使用されているブレンド物の剪断速度
10s
−1での剪断粘度(Pa・s)である、
を満足していることが望ましい。
【0061】
即ち、
図3では、剪断粘度曲線がほぼ直線で示されているが、用いるブレンド物によっては、この曲線は、剪断速度6s
−1〜30s
−1での領域で上に凸の曲線であったり、或いは下に凸の曲線であることもある。従って、剪断速度6s
−1での剪断粘度及び剪断速度30s
−1での剪断粘度が、式(1)及び式(2)の条件を満足していたとしても、剪断速度6s
−1と剪断速度30s
−1との中間の領域でのブレンド物の剪断速度が、内層側に隣接する層の樹脂の剪断速度を大幅に下回ってしまうことがある。しかるに、上記粘度条件式(3)で示すように、剪断速度が10s
−1のときにもメタリック層1用のブレンド物の剪断粘度が、隣接する層の樹脂の剪断粘度に近いものとなるように、該ブレンド物を調製しておけば、剪断速度6s
−1〜30s
−1での領域(ダイヘッド内での樹脂の剪断速度に相当)の全体にわたって、該ブレンド物の剪断粘度が、隣接する層の樹脂の剪断粘度に近いものとなる。即ち、メタリック層1用のブレンド物と、メタリック層1の内層側に隣接する層の樹脂との剪断粘度が、剪断速度が一様でない前記合流部領域Xにおいて近似したものとなり、該合流部領域Xでの剪断粘度差によるメタリック顔料の変形をより確実に抑制することができる。
尚、
図3中、γが式(3)中の(V
10−η
10)に相当する値(2000Pa・s)である。
【0062】
尚、上記のように粘度条件式(1)及び(2)、或いはさらに粘度条件式(3)を満足させるためには、予め調製されたLDPEとLLDPEとのブレンド物について、剪断粘度を後述する実施例で示されている方法により測定し、上記の条件式(1)〜(3)を満足していない場合には、前述した範囲内でLDPEとLLDPEとのブレンド物を変更し、或いはブレンドに使用するLDPE或いはLLDPEの種類を適宜変更すればよい。
【0063】
このようにして得られる多層ダイレクトブローボトル10は、メタリック調に加飾するためのメタリック層1が、成形と同時に得られ、成形後の塗装や加飾されたシュリンクフィルムによる処理を必要とせず、しかも、既存の押出成形機を利用して製造できるため、メタリック加飾のためのコストの増大を有効に回避することができ、しかも、メタリック加飾されたシュリンクフィルムのように、ボトルの形態(特に胴部の形態)に制限を受けることもない。さらには、押出成形により金属顔料が分散されたメタリック層1が形成されるにもかかわらず、金属顔料の破損や変形が有効に防止されているため、安定して良好なメタリック感が付与される。
【0064】
例えば、多層ダイレクトブローボトル10では、メタリック層1中の金属顔料が押出方向に効果的に配向しているため、多角度測色計を使用し、ボトル壁の外面に45度で光を入射したとき、正反射光に対して15度方向の反射光による明度L
*15が150以上であり、最も高いものでは160以上となる。
また、このような高い明度L
*15に伴い、下記式で示されるフリップフロップ(FF)値も15以上と高い値を示す。
FF=(L
*15−L
*110)/L
*45
式中、
L
*15は、ボトル壁の外面に45度で光を入射したとき、正反射光に
対して15度方向の反射光による明度であり、
L
*110は、上記正反射光に対して110度方向の反射光の明度で
あり、
L
*45は、上記正反射光に対して45度方向(反射面に対して90度)
の反射光の明度である。
即ち、明度L
*15及びFF値が高いことは、非常に優れたメタリック感が発現していることを示す。
尚、上述した各反射光の明度を示すL
*値は、何れもL
*a
*b
*表色系(CIE1976色空間)によるL
*値である。
【0065】
本発明において、上記の多層ダイレクトブローボトル10は、
図1に示す種々の層構成を有していてよいが、最も一般的に採用される層構成は、以下のとおりである。
最外層(透明層):
非晶性ポリエステル樹脂層
厚み10〜200μm、特に25〜100μm
接着剤層:
接着剤樹脂
厚み20〜200μm
メタリック層:
金属顔料(特にフレーク状アルミ顔料)
LDPE:LLDPE=15:85〜85:15(質量比)
厚み10〜200μm、特に30〜100μm
リグラインド層:
ボトル成形時のバリ及びHDPE
厚み500〜1000μm
最内層:
HDPE
厚み50〜200μm
【0066】
本発明の加飾用樹脂組成物によるメタリック層を備えた多層ダイレクトブローボトルは、メタリック加飾によるコストの増大が有効に回避されているため、化粧品などの高価格製品は勿論のこと、シャンプーやリンス、液体洗剤、或いは柔軟剤などの低価格製品用の包装ボトルとしても使用でき、メタリック加飾による商品価値の向上を図ることができる。
【実施例】
【0067】
本発明の多層ダイレクトブローボトルの優れた効果を、次の実験例により説明するが、以下の実験例は、本発明を限定するものではない。
【0068】
尚、以下の実験例において、用いた樹脂の剪断粘度の測定は、以下のようにして行った。
<剪断粘度の測定>
(株)東洋精機製作所製CAPILOGRAPHを用い、JIS K7199:1999に準拠して行った。測定条件は、キャピラリー長10mm、キャピラリ−径1.0mmのキャピラリ−ダイを使用し、試験温度は210℃、予熱時間5分、滞留時間15分、剪断速度を順次減少させて試験を行った。
【0069】
[実施例1〜10、比較例1〜4]
下記ダイレクトブロー成形機、押出し機を用いて500ml多層ボトル(50g)を成形した。
成形機:タハラ社製シャトル型成形機
押出し機:第1層φ30−FF L/D=22
第2層φ30−FF L/D=22
第3層φ30−FF L/D=22
第4層φ55−FF L/D=28
第5層φ40−FF L/D=28
【0070】
ボトルの層構成及び材料を下記に示す。
層構成:5種5層
(外側)PET/AD/メタリック層(ベース樹脂+アルミ顔料)
/HDPE/HDPE(内側)
(外側)5/7/10/68/10(単位:wt%)(内側)
材料:
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET):
イーストマン社イースターGN001
接着剤樹脂(AD):三菱化学社モディックF573
メタリック層ベース樹脂
低密度ポリエチレン(LDPE)
LDPE−A:住友化学社スミカセンF108−2
密度:0.921g/cm
3
MFR(190℃):0.4g/10min
LDPE−B:日本ポリエチレン社ノバテックLB420M
密度:0.922g/cm
3
MFR(190℃):0.7g/10min
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE):
日本ポリエチレン社ノバテックUF230
密度:0.921g/cm
3
MFR(190℃):1.0g/10min
メタリック層アルミ顔料
アルミ顔料A:
平均厚み300nm、平均粒径11μm、アスペクト比37
アルミ顔料B:
平均厚み200nm、平均粒径 7μm、アスペクト比35
アルミ顔料C:
平均厚み400nm、平均粒径15μm、アスペクト比38
アルミ顔料D:
平均厚み700nm、平均粒径50μm、アスペクト比71
アルミ顔料E:
平均厚み 30nm、平均粒径 8μm、アスペクト比270
(アルミ顔料は分散剤としてポリエチレンワックスを含むペレットとして使用した。)
高密度ポリエチレン(HDPE):
プライムポリマー社ハイゼックス6700B
剪断粘度:6196Pa・s(6s
−1)
2593Pa・s(30s
−1)
4555Pa・s(10s
−1)
【0071】
表1に各実施例及び比較例で使用したメタリック層のベース樹脂の種類とブレンド比率、及びアルミ顔料の種類と含有量を示す。
作成した多層ボトルの明度L
*15、フリップフロップ(FF)値、メタリック感を評価した。結果を表1に示す。
以下に評価方法を記載する。
(アルミ顔料の平均厚み及び平均粒径)
アルミ顔料の平均厚みは、不作為に選択した50個のアルミ顔料を走査型電子顕微鏡で測定した平均値であり、平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定器で測定した際の体積累積粒度分布曲線において累積度50%の粒子径であるD
50で表した。
【0072】
(L
*15、FF値)
作製した多層ボトルの胴部の中央部分を90°間隔で4箇所を切り開いて試験片とした。X―Rite社製MA94JP多角度分光測色計を用いて、波長範囲400〜700nmの光を、平面とした試験片の試験面の垂直方向を0°基準として入射角45°で試験面に照射し、正反射方向から入射光側へのオフセット角が15°、45°、110°方向の反射光の明度(L
*a
*b
*表色系のL
*値)をそれぞれL
*15、L
*45、L
*110として測定する。
測定したL
*値(L
*15、L
*45、L
*110)を用い、オフセット角15°から110°間のL
*値の変化の度合いを下記に示すFF値として算出する。
FF値=2.69*(L
*15−L
*110)
1.11/L
*450.86
(総合評価)
目視によるメタリック感及び外観不良(ダイライン、ミゲル)の有無を合わせた総合評価結果を表1に示す。評価は比較例1を基準とした相対評価で示し、+++は非常に優れている、++は優れている、+は良好である、±は基準と同等を表している。
【0073】
【表1】
【0074】
尚、実施例2及び3においてメタリック層の形成に用いたブレンド物の210℃の温度で測定したときの剪断速度6s
−1、30s
−1及び10s
−1における剪断粘度η(Pa・s)は、以下のとおりであった。
実施例2:6804Pa・s(6s
−1)
4053Pa・s(30s
−1)
5400Pa・s(10s
−1)
実施例3:7451Pa・s(6s
−1)
3943Pa・s(30s
−1)
5456Pa・s(10s
−1)
メタリック層の形成に用いたブレンド物の剪断粘度と、隣接する内層の形成に用いたHDPEの剪断粘度の関係は粘度条件式(1)(2)(3)を満足するものである。