(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6181902
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】無呼吸検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20170807BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20170807BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/10 310A
A61B5/10 315
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-516788(P2017-516788)
(86)(22)【出願日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】JP2016058926
【審査請求日】2017年3月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514266851
【氏名又は名称】株式会社E3
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】姚 秉偉
【審査官】
松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−223532(JP,A)
【文献】
特開2013−111266(JP,A)
【文献】
特開2005−230511(JP,A)
【文献】
IBM News room,2016年 3月 2日,URL,https://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/49275.wss
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/08
A61B5/11−5/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠の期間中に使用者の身体に装着して無呼吸状態を検出するための無呼吸検出装置であって、
上記身体の動きを加速度として検出する加速度センサと、
上記身体の動きを角速度として検出する角速度センサと、
上記加速度センサにより測定される加速度情報および上記角速度センサにより測定される角速度情報の相関に基づいて、使用者の無呼吸状態を検出する検出部とを備え、
上記検出部は、上記加速度の値が閾値以下で、かつ、上記角速度の値が閾値以下となっていて、上記加速度と上記角速度との両方が上記無呼吸状態を示している期間を上記無呼吸状態として検出することを特徴とする無呼吸検出装置。
【請求項3】
上記加速度センサにより上記使用者の体厚方向の加速度を検出し、上記角速度センサにより上記使用者の体幅方向を回転軸とする角速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の無呼吸検出装置。
【請求項4】
上記検出部により上記無呼吸状態が検出されたときにアラームを出力するアラーム出力部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の無呼吸検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠の期間中に使用者の身体に装着して無呼吸状態を検出するための無呼吸検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる病気である。この病気は自覚症状が弱い場合が多い。これに対して従来、睡眠中の体動または加速度を検出して無呼吸状態を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1〜3に記載の睡眠時無呼吸検査装置は、三次元の加速度センサと、加速度センサから得られるDC成分から患者の寝姿勢を検出するとともに、加速度センサから得られるAC成分から患者の呼吸数や心拍数を検出する信号処理手段とを備え、1台の加速度センサから、睡眠検査や睡眠時無呼吸検査に必要な情報を得ることができるようになされている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−247374号公報
【特許文献2】特開2006−320733号公報
【特許文献3】特開2006−320734号公報
【発明の開示】
【0005】
特許文献1〜3では、加速度センサから得られるAC成分に対して所定の演算を行うことによって算出される呼吸に基づく体動データを、データベースに格納されている呼吸中の体動データおよび無呼吸中の体動データと比較し、呼吸状態か無呼吸状態かのどちらかを推定するようになされている。
【0006】
しかしながら、呼吸によって得られる加速度はそれほど大きな値ではないため、上述のように単純なデータ比較による判定方法では、呼吸状態か無呼吸状態かのどちらかを誤って推定してしまうことがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、睡眠中の無呼吸をより正確に検出できるようにすることを目的とする。
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、身体の動きを加速度として検出する加速度センサにより測定される加速度情報と、身体の動きを角速度として検出する角速度センサにより測定される角速度情報との相関に基づいて、使用者の無呼吸状態を検出するようにしている。
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、加速度センサにより測定される加速度だけでなく、角速度センサにより測定される角速度の両方が無呼吸状態を示している場合にのみ、無呼吸状態であると判定されるので、睡眠中の無呼吸をより正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による無呼吸検出装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による無呼吸検出装置の外観構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による無呼吸検出装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2は、本実施形態による無呼吸検出装置の外観構成例を示す図である。
【0012】
本実施形態による無呼吸検出装置10は、睡眠の期間中に使用者の身体に装着して無呼吸状態を検出するためのものである。
図2に示すように、本実施形態の無呼吸検出装置10は携帯型に構成されており、例えばこれを使用者の胸部または腹部に装着して、使用者の無呼吸状態を検出する。
【0013】
なお、睡眠中に無呼吸検出装置10が身体からずれ落ちないように、無呼吸検出装置10を身体に固定するためのベルト21が備えられている。ここではベルト21を用いているが、固定方法はこれに限定されない。例えば、テープ等を使って無呼吸検出装置10を身体に固定するようにしてもよい。
【0014】
図1に示すように、本実施形態による無呼吸検出装置10は、その機能構成として、加速度センサ11、角速度センサ12、検出部13およびアラーム部14を備えている。このうち、検出部13およびアラーム部14は、その機能の一部または全部をハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。
【0015】
例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック13,14は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0016】
加速度センサ11は、使用者の身体の動きを加速度として検出する。使用者の左右方向(体幅方向)をX軸、使用者の前後方向(身長方向)をY軸、使用者の上下方向(腹部および背部を結ぶ体厚方向)をZ軸として、加速度センサ11は、1軸〜3軸の何れのタイプを用いてもよいが、Z軸方向(体厚方向)の加速度を少なくとも検出するものとする。使用者が呼吸をすると、胸部または腹部に固定された無呼吸検出装置10は、体厚方向に上下動するからである。
【0017】
角速度センサ12は、使用者の身体の動きを角速度として検出する。この角速度センサ12は、1軸〜3軸の何れのタイプを用いてもよいが、X軸を回転軸とする角速度(Y−Z平面上の回転角の角速度)を少なくとも検出するものとする。使用者が呼吸をすると、胸部または腹部に固定された無呼吸検出装置10は、前後方向に傾きながら体厚方向に上下動するからである。
【0018】
なお、加速度センサ11による加速度の検出および角速度センサ12による角速度の検出は、使用者の睡眠中に継続して行う。
【0019】
検出部13は、加速度センサ11により測定される加速度情報および角速度センサ12により測定される角速度情報の相関に基づいて、使用者の無呼吸状態を検出する。具体的には、検出部13は、加速度の値が閾値以下で、かつ、角速度の値が閾値以下となっている期間を無呼吸状態として検出する。ここで、加速度センサ11または角速度センサ12が複数軸方向の値を検出している場合、検出部13は、複数軸方向の値が全て閾値以下となっているときに、無呼吸状態であると判定する。
【0020】
アラーム部14は、検出部13により無呼吸状態が検出されたときにアラームを出力する。アラームは、例えばバイブレータを振動させることによって行う。あるいは、所定のアラーム音をスピーカから出力するようにしてもよい。
【0021】
以上詳しく説明したように、本実施形態の無呼吸検出装置10では、身体の動きを加速度として検出する加速度センサ11により測定される加速度情報と、身体の動きを角速度として検出する角速度センサ12により測定される角速度情報との相関に基づいて、使用者の無呼吸状態を検出するようにしている。
【0022】
このように構成した本実施形態の無呼吸検出装置10によれば、加速度センサ11により測定される加速度だけでなく、角速度センサ12により測定される角速度の両方が無呼吸状態を示している場合にのみ、無呼吸状態であると判定されるので、睡眠中の無呼吸をより正確に検出することができる。
【0023】
使用者の寝方によっては体動が微弱になり、加速度センサ11により検出される加速度の値が小さくなる。そのような場合でも、本実施形態では角速度センサ12により角速度も検出しているため、検出される値が小さくても両者の相関から無呼吸を検出することができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、アラーム部14を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、アラーム部14に代えて情報記録部を設け、睡眠中に加速度センサ11により測定される加速度情報および角速度センサ12により測定される角速度情報を記憶媒体に記録するようにしてもよい。このようにすれば、記録した情報を図示しない外部コンピュータに出力して利用することが可能である。あるいは、無呼吸検出装置10自体にディスプレイを設け、記憶媒体に記録された情報をグラフィック的に可視化して表示できるようにしてもよい。
【0025】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 無呼吸検出装置
11 加速度センサ
12 角速度センサ
13 検出部
14 アラーム部
【要約】
身体の動きを加速度として検出する加速度センサ11により測定される加速度情報と、身体の動きを角速度として検出する角速度センサ12により測定される角速度情報との相関に基づいて、使用者の無呼吸状態を検出する検出部13を備え、加速度センサ11により測定される加速度だけでなく、角速度センサ12により測定される角速度の両方が無呼吸状態を示している場合にのみ、無呼吸状態であると判定するようにすることで、睡眠中の無呼吸をより正確に検出できるようにする。