(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181928
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】モーフィングパネル構造のための適応型構造コア
(51)【国際特許分類】
B64C 3/38 20060101AFI20170807BHJP
B64C 1/12 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
B64C3/38
B64C1/12
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-538816(P2012-538816)
(86)(22)【出願日】2010年9月22日
(65)【公表番号】特表2013-510763(P2013-510763A)
(43)【公表日】2013年3月28日
(86)【国際出願番号】US2010049837
(87)【国際公開番号】WO2011059571
(87)【国際公開日】20110519
【審査請求日】2013年9月9日
【審判番号】不服2016-3929(P2016-3929/J1)
【審判請求日】2016年3月15日
(31)【優先権主張番号】61/260,950
(32)【優先日】2009年11月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/699,285
(32)【優先日】2010年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー, クリストファー, ピー.
(72)【発明者】
【氏名】マクナイト, ジェフリー, ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, スローン, ピー.
【合議体】
【審判長】
和田 雄二
【審判官】
氏原 康宏
【審判官】
尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許発明第19709917(DE,C)
【文献】
米国特許出願公開第2006/145030(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/226291(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/38-3/56
B64C 1/00,1/12,3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面的な繰り返しパターンで配置された複数のコア部材と;
前記複数のコア部材上に設けられた複数のアクチュエータ取付け位置と;
前記複数のアクチュエータ取付け位置と係合する少なくとも1つのアクチュエータと
を含み、
前記繰り返しパターンが、各辺が前記複数のコア部材の1つにより形成される矩形パターンを含み、
前記複数のコア部材が複数のセル壁を有する複数のコアセルを規定し、
各前記コアセルの対角線方向に前記少なくとも1つのアクチュエータが2つ互いに交差するように設けられており、各前記少なくとも1つのアクチュエータは前記少なくとも1つのアクチュエータの両端に係合された前記複数のアクチュエータ取付け位置を介して前記コア部材に接続され、各前記複数のアクチュエータ取付け位置が、隣合う2つの前記コア部材に接続されている、モーフィングパネル構造のための適応型構造コア。
【請求項2】
前記繰り返しパターンがひし形パターンを含む、請求項1に記載の適応型構造コア。
【請求項3】
前記繰り返しパターンが平行四辺形パターンを含む、請求項1に記載の適応型構造コア。
【請求項4】
前記複数のアクチュエータ取付け位置の各々がアクチュエータ取付け開口部を含む、請求項1に記載の適応型構造コア。
【請求項5】
前記複数のコアセルの各々の前記複数のセル壁の対向する壁に取付けられた複数のアクチュエータをさらに含む、請求項1に記載の適応型構造コア。
【請求項6】
前記複数のアクチュエータの各々が協調的な方法で前記セル壁に力を及ぼすように構成された、請求項5に記載の適応型構造コア。
【請求項7】
前記複数のアクチュエータの各々が拮抗的な方法で前記セル壁に力を及ぼすように構成された、請求項5に記載の適応型構造コア。
【請求項8】
前記複数のコア部材が複数の金属コア部材又は複合コア部材を含む、請求項1に記載の適応型構造コア。
【請求項9】
複数のコア部材を提供するステップと;
前記複数のコア部材を平面的な繰り返しパターンで配置するステップと;
前記複数のコア部材上に複数のアクチュエータ取付け位置を設けるステップと
を含み、
前記繰り返しパターンが、各辺が前記複数のコア部材の1つにより形成される矩形パターンを含み、
前記複数のコア部材を繰り返しパターンで配置する前記ステップが、複数のセル壁を有する複数のコアセルに前記複数のコア部材を配置するステップを含み、又、前記複数のコア部材上に複数のアクチュエータ取付け位置を設ける前記ステップが、隣合う2つの前記コア部材に接続するように各前記コアセルの対角線方向に取付け位置を設けるステップを含み、
前記複数のコアセルの各々に一対のアクチュエータを設けるステップと、前記取付け位置に前記一対のアクチュエータを取付けるステップとをさらに含み、
各前記コアセルの対角線方向に前記一対のアクチュエータが互いに交差するように設けられており、各前記一対のアクチュエータは前記一対のアクチュエータの各々の両端に係合された前記複数のアクチュエータ取付け位置を介して前記コア部材に接続されている、適応型構造コアの製造方法。
【請求項10】
前記複数のコア部材上に少なくとも1つの複合表面板をさらに含む、請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空力応用に好適なモーフィングパネル構造に関する。より詳しくは、本発明は航空宇宙及びその他の応用に好適なモーフィングパネル構造のための適応型構造コアに関する。
【背景技術】
【0002】
モーフィングパネル構造は、翼又はその他の表面に大きな圧力及び温度勾配又は負荷が印加される空力応用で有用となることがある。モーフィングパネル構造の空力機能は、構造体の柔軟性と構造支持能力との間に微妙なバランスを必要とすることがある。したがって、空力応用に好適なモーフィングパネル構造は、面内変形を受けやすく、面外曲げ又は屈曲変形に対しては耐性があることが望ましい。
【0003】
構造体の面内変形を可能にする一方で、面外曲げ又は屈曲変形に対して耐性を促すためには、モーフィングパネル構造のための適応型構造コアが必要となる。
【0004】
本発明は概して、構造体の面内変形を可能にする一方で、面外曲げ又は柔軟な変形に対しては耐性を促すモーフィングパネル構造のための適応型構造コアを対象とする。適応型構造コアの例示的な実施形態は、繰り返しパターンで配置された複数のコア部材、複数のコア部材に設けられた複数のアクチュエータ取付け位置、及び複数のアクチュエータ取付け位置に係合する少なくとも1つのアクチュエータを含む。
【0005】
幾つかの実施形態では、適応型構造コアは、各コアセルがセル空間を有する繰り返しパターンで配置された複数のコア部材;セル空間内の複数のコア部材に設けられた複数のアクチュエータ取付け位置;セル空間内に設けられ、複数のアクチュエータ取付け位置の1番目の対と係合する第1アクチュエータ;及びセル空間内に設けられ、複数のアクチュエータ取付け位置の2番目の対と係合する第2アクチュエータを含むことができる。
【0006】
本発明はさらに概して、適応型構造コアメソッドを目的とする。この方法の例示的な実施形態は、複数のコア部材を提供するステップ、繰り返しパターンで複数のコア部材を配置するステップ及び複数のコア部材上にアクチュエータ取付け位置を設けるステップを含む。
【0007】
幾つかの実施形態では、モーフィングパネル構造のための適応型構造コアは、セル空間を有する各コアセルとセル空間に面する複数のセル壁の平面的な繰り返しパターンで配置された複数の交差するコア部材;セル空間内の複数のコア部材に設けられた複数のアクチュエータ取付け開口部;セル空間内の対角線上に設けられ、複数のアクチュエータ取付け位置の1番目の対と係合する第1アクチュエータ;及びセル空間内で対角線上に設けられ、複数のアクチュエータ取付け位置の2番目の対と係合する第2アクチュエータを含むことができる。第1アクチュエータ及び第2アクチュエータはそれぞれ、協調的な方法及び拮抗的な方法から選択したいずれかの方法でセル壁に力を及ぼすように適応される。
【0008】
幾つかの実施形態では、適応型構造コアの方法は、複数のコア部材の提供;複数のコア部材を繰り返しパターンで配置することによる適応型構造コアの形成;コア部材の取付け位置へのアクチュエータの取付け;複数のコア部材への少なくとも1つの複合表面板の設定;協調的な方法でアクチュエータを操作することによる適応型構造コアの変形;及び拮抗的な方法でアクチュエータを操作することによる適応型構造コアの強化を含むことができる。
【0009】
繰り返しパターンで配置された複数のコア部材と
、前記複数のコア部材上に設けられた複数のアクチュエータ取付け位置と
、前記複数のアクチュエータ取付け位置と係合する少なくとも1つのアクチュエータとを含むモーフィングパネル構造のための適応型構造コア。
【0010】
前記複数のコア部材が平面的な繰り返しパターンで配置されている、
前記適応型構造コア。
【0011】
前記繰り返しパターンがひし形パターンを含む、
前記適応型構造コア。
【0012】
前記繰り返しパターンが平行四辺形パターンを含む、
前記適応型構造コア。
【0013】
前記複数のコア部材が複数のセル壁を有する複数のコアセルを規定する、
前記適応型構造コア。
【0014】
前記複数のアクチュエータ取付け位置が、前記コアセルの各々の前記複数のセル壁の対向する壁の上に設けられた一対のアクチュエータ取付け位置を含む、
前記適応型構造コア。
【0015】
前記複数のアクチュエータ取付け位置の各々がアクチュエータ取付け開口部を含む、
前記適応型構造コア。
【0016】
前記複数のコアセルの各々の前記複数のセル壁の対向する壁に取付けられた複数のアクチュエータをさらに含む、
前記適応型構造コア。
【0017】
前記複数のアクチュエータの各々が協調的な方法で前記セル壁に力を及ぼすように構成された、
前記適応型構造コア。
【0018】
前記複数のアクチュエータの各々が拮抗的な方法で前記セル壁に力を及ぼすように構成された、
前記適応型構造コア。
【0019】
前記複数のコア部材が複数の金属コア部材を含む、
前記適応型構造コア。
【0020】
前記複数のコア部材が複数の複合コア部材を含む、
前記適応型構造コア。
【0021】
各々がセル空間を有するコアセルの繰り返しパターンで配置された複数のコア部材と
、前記セル空間内の前記複数のコア部材上に設けられた複数のアクチュエータ取付け位置と
、前記セル空間内に設けられ、前期複数のアクチュエータ取付け位置の1番目の対と係合する第1アクチュエータと
、前記セル空間内に設けられ、前期複数のアクチュエータ取付け位置の2番目の対と係合する第2アクチュエータとを含むモーフィングパネル構造のための
他の適応型構造コア。
【0022】
前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータが前記セル空間内で対角線方向に配置されている、
前記他の適応型構造コア。
【0023】
前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータが前記セル空間内で互いに交差する位置関係で配置されている、
前記他の適応型構造コア。
【0024】
前記複数のコア部材が交差する平面内の繰り返しパターンで配置されている、
前記他の適応型構造コア。
【0025】
複数のコア部材を提供するステップと
、前記複数のコア部材を繰り返しパターンで配置するステップと
、前記複数のコア部材上に複数の取付け位置を設けるステップとを含む適応型構造コア
の方法。
【0026】
前記複数のコア部材の繰り返しパターンでの前記配列が、複数のセル壁を有する複数のコアセルへの前記複数のコア部材の配列を含み、前記複数のコア 部材上への複数のアクチュエータ取付け位置の設定が、それぞれ前記複数のセル壁の対向する壁に取付け位置の設定を含む、
前記適応型構造コアの方法。
【0027】
前記複数のコアセルの各々に一対のアクチュエータを提供するステップと、前記取付け位置に前記一対のアクチュエータを取付けるステップとをさらに含む、
前記適応型構造コアの方法。
【0028】
前記複数のコア部材上に少なくとも1つの複合表面板をさらに含む、
前記適応型構造コアの方法。
【0029】
各々がセル空間及び前記セル空間に向かい合う複数のセル壁を有するコアセルの平面的な繰り返しパターンで配置された複数の交差するコア部材と
、前記セル空間内の前記複数のコア部材に設けられた複数のアクチュエータ取付け開口部と
、前記セル空間に対角線上に設けられ、前記複数のアクチュエータ取付け位置の1番目の対に係合する第1アクチュエータと
、前記セル空間に対角線上に設けられ、前記複数のアクチュエータ取付け位置の2番目の対に係合する第2アクチュエータと
、協調的な方法及び拮抗的な方法から選択したいずれかの方法で前記セル壁に力を及ぼすように適応される、各々の前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータとを含む、モーフィングパネル構造のための
さらに他の適応型構造コア。
【0030】
複数のコア部材を提供するステップと
、前記複数のコア部材を繰り返しパターンで配置することにより、適応型構造コアを形成するステップと
、前記複数のコア部材上に複数のアクチュエータ取付け位置を設けるステップと
、複数のアクチュエータを提供するステップと
、前記アクチュエータを前記コア部材上の前記アクチュエータ取付け位置に取付けるステップと
、前記複数のコア部材上に少なくとも1つの複合表面板を提供するステップと
、協調的な方法で前記アクチュエータを操作することにより、前記適応型構造コアの形状を変更するステップと
、拮抗的な方法で前記アクチュエータを操作することにより、前記適応型構造コアを強化するステップとを含む、
他の適応型構造コアの方法。
【0031】
複数のコアセルを有する適応型構造コアを提供するステップ
、前記適応型構造コアの前記コアセルに少なくとも1つのアクチュエータを提供するステップ
、前記少なくとも1つのアクチュエータの作動によって前記適応型構造コアを適応させるステップとを含む、モーフィングパネル構造の適応型構造コアの方法。
【0032】
前記少なくとも1つのアクチュエータの作動によって前記適応型構造コアを適応させる前記ステップが、前記少なくとも1つのアクチュエータの拮抗的な方法での作動によって前記コアセルを強化するステップを含む、
前記モーフィングパネル構造の適応型構造コアの方法。
【0033】
前記少なくとも1つのアクチュエータの作動によって前記適応型構造コアを適応させる前記ステップが、前記少なくとも1つのアクチュエータの協調的な方法での作動によって前記コアセルの形状を変更するステップを含む、
前記モーフィングパネル構造の適応型構造コアの方法。
【0034】
複数のコアセルを有する適応型構造コアを提供する前記ステップが、複数の交差するコア部材を有する適応型構造コアを含み、前記コアセルが前記コア部材によって規定される、
前記モーフィングパネル構造の適応型構造コアの方法。
【0035】
前記適応型構造コアの前記コアセルに少なくとも1つのアクチュエータを提供する前記ステップが、前記コア部材に少なくとも1つのアクチュエータを取付けるステップを含む、
前記モーフィングパネル構造の適応型構造コアの方法。
【0036】
前記適応型構造コアの前記コアセルに少なくとも1つのアクチュエータを提供する前記ステップが、前記コアセル内で互いに対角して交差する関係にある一対のアクチュエータを提供するステップを含む、
前記モーフィングパネル構造の適応型構造コアの方法。
【0037】
本発明はさらに概して、モーフィングパネル構造の構造コアに適応する方法を目的とする。この方法の例示的な実施形態は、複数のコアセルを有する適応型構造コアを提供するステップと、適応型構造コアのコアセルに少なくとも1つのアクチュエータを提供するステップと、少なくとも1つのアクチュエータを作動させて適応型構造コアを適応するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は適応型構造コアの実施形態を利用するモーフィングパネル構造の断面図である。
【
図2】
図2はコア内の複数のコアセルの各々にアクチュエータ取付け位置を設けた、適応型構造コアの実施形態の部分断面斜視図である。
【
図3】
図3は適応型構造コアの一実施形態の上部断面図で、より詳しくは、適応型構造コアの複数のコアセルの各々で、アクチュエータの典型的な方向を1つは実線でもう1つは仮想線で図解している。
【
図4】
図4は適応型構造コアの一実施形態のコアセルの上面図で、より詳しくは、コアの形状の変化をもたらす協力的な方法でのアクチュエータの操作を図解している。
【
図5】
図5は適応型構造コアの一実施形態でのコアセルの上面図で、より詳しくは、コアの硬化に影響を及ぼす競合的な方法でのアクチュエータの操作を図解している。
【
図6】
図6は各コアセルのアクチュエータによる適応型構造コアの実施形態の各コアセルに与えられる応力及び張力を図解する模式図である。
【
図6A】
図6Aは適応型構造コアの平面的な繰り返し構造のひし形配列を図解する模式図である。
【
図6B】
図6Bは適応型構造コアの平面的な繰り返し構造の平行四辺形配列を図示する模式図である。
【
図6C】
図6Cはワインボトルケースの構成に配置された一対のコア部材の上部断面図である。
【
図6D】
図6Dは互いにかみ合う構成となるように取付けられた一対のコア部材の上部断面図である。
【
図6E】
図6Eは互いに接着された一対のコア部材の上部断面図である。
【
図6F】
図6Fは溶接によって互いに取付けられた一対のコア部材の上部断面図である。
【
図6G】
図6Gは接合によって互いに取付けられた一対のコア部材の上部断面図である。
【
図6H】
図6Hはろう付けによって互いに取付けられた一対のコア部材の上部断面図である。
【
図6I】
図6Iは適応型構造コアの一実施形態でのコアセルのブロック図である。
【
図7】
図7は適応型構造コアの一実施形態に結合されたアクチュエータ制御システムを図解する模式図である。
【
図8】
図8は125psi(ポンド/平方インチ)での第1アクチュエータの差分加圧に対する10psi以下での第2アクチュエータの加圧から、剛性が13.9N/mmとなることを図解している。
【
図9】
図9は125psiでの第1アクチュエータの差分加圧に対する125psiでの第2アクチュエータの加圧から、剛性が19.4N/mmとなることを図解している。
【
図10】
図10は適応型構造コアが部品となっているモーフィングパネル構造の実施態様の微分面内ねじり変形能を図解する線図である。
【
図11】
図11は適応型構造コアが部品となっているモーフィングパネル構造の実施態様の微分面内せん断変形能を図解する線図である。
【
図12】
図12は適応型構造パネルの実施態様を利用する航空機の外板を伴う典型的な航空機の斜視図である。
【
図13】
図13は有効なセミスパンねじり剛性、GJを、有効な航空機の外板弾性モジュール及び航空機外板厚みの関数としてプロットした輪郭線を示している。
【
図14】
図14は適応型構造コアの実施方法のフロー図である。
【
図14A】
図14Aはモーフィングパネル構造の構造コアの適応方法のフロー図である。
【
図16】
図16は
図15に示したモーフィングパネル構造に好適な適応型構造コアの部分断面斜視図である。
【
図17】
図17は
図16に示した適応型構造コアのコアセルに設けたマッキベン型アクチュエータによる適応型構造コアの斜視図である。
【
図18】
図18は航空機の製造及び保守の方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の詳細な説明は本来的に単なる典型例であって、記載した実施形態又は記載した実施形態の応用及び使用を制限することを意図していない。本明細書で使用されているように、「典型的な」又は「例示的な」という用語は、「一例として、事例、又は例示」を意味する。本明細書に「典型的な」又は「例示的な」と記載されている任意の実装は、他の実装に対して好ましい又は有利と解釈しなければならないわけではない。以下に記載するすべての実装は、当業者が本発明を実施することを可能にするために提供される典型的な実装であって、添付の請求項の範囲を限定することを意図していない。さらに、先行する技術分野、背景、概要又は以下の詳細な説明で明示的又は暗示的に提示されている任意の理論によって拘束されることを意図していない。
【0040】
はじめに
図1から7を参照して、モーフィングパネル構造のための適応型構造コア(以下適応型構造コア)の例示的な実施形態は、一般的に参照番号1で示される。
図1に示したように、幾つかの応用では適応型構造コア1はモーフィングパネル構造28の一部となることがある。本明細書に記載されるように、適応型構造コア1はモーフィングパネル構造28に剛性を付与するため又はその形状を変えるために適応することができる。適応型構造コア1の上に少なくとも1つの複合表面材29を提供することができる。幾つかの実施形態では、
図1に示したように、適応型構造コア1を一対の複合表面材29の間に挟み込むことができる。モーフィングパネル構造28は各種の応用に適することがある。幾つかの応用では、モーフィングパネル構造28を、航空機94の主翼外板40(
図19)の一部とすることができる。モーフィングパネル構造28は、例えば限定するものではないが、ウィングレット、ベイドア、サイズ可変式コンパートメント、安定板、操縦翼面及びタービン吸気口、排気口ノズルなどの他の応用、さらには航空機以外の応用にも適することがある。
【0041】
図2及び3に示したように、適応型構造コア1は、例えば限定しないが、金属又は複合材料で構成されている複数のコア部材3を含むことができる。幾つかの実施形態では、適応型構造コア1はコア部材3がコア部材接合部5(
図3)で交差するクモの巣状の構成で構築することができる。
図6A及び6Bに示したように、適応型構造コア1は、ひし形配列42a(
図6A)又は平行四辺形配列42b(
図6b)の平面的繰り返しユニット構造42を含むことができる。それぞれセル空間6を有する複数のコアセル2は、交差するコア部材3の間で定義することができる。コア部材3は、コアセル2のそれぞれのコア空間6に面するコア壁4を有することができる。
【0042】
コア部材3は、一連の積層又は織込構造で作られること、又は細長い断片方向に沿って狭い周期的な配置で結合される一連の拡張された細長い断片として作られることがある。
図6Cに示したように、幾つかの実施形態では、コア部材3は「ワインケースパーティション」44(垂直に挟み込まれた細長い断片)として構成されることがある。コア部材3は、かみ合わせること46(
図6D)、接着すること47(
図6E)、溶接すること48(
図6F)、ろう付けすること49(
図6G)、及び/又は他の方法で互いに取付けることができる。適応型構造コア1は、例えば限定しないが、機械加工、レーザー切断、ウォータージェット切断、EDM又はエッチングによって、例えば限定しないが、金属合金又は複合材料から一体部品又は組立可能な部品として、作成することができる。複合コア部材3に関しては、レーザー切断又はウォータージェット切断を使用して細長い断片又はコア一体部品として切断することができる。小型のコアウェブ又はコア構造の組立可能部品を作成するために、既存の多層織り上げ技術及び樹脂注入技術を様々に使用することができる。
【0043】
図2及び
図6Iに示したように、幾つかの実施形態では、アクチュエータ12、12a及び/又は電気配線又は他の機能コンポーネント(図示せず)のコア部材3への取付けを容易にし、これらのコンポーネントと適合型構造コア1とを機械的に接続するため、アクチュエータ取付け位置8をコア部材3の中に設けることができる。幾つかの実施形態では、アクチュエータ取付け位置8は、
図2に示したようにコア部材3に設けた開口部であってもよい。幾つかの実施形態では、第1アクチュエータ12は、各コアセル2のセル空間6内の第1の対角線方向に向けることができる。第2アクチュエータ12aは、第1アクチュエータ12に対して交差する関係にある各コアセル2のセル空間6内の第2の対角線方向に向けることができる。他の実施形態では、アクチュエータ12、12aに対して代替的な方向づけが可能である。
【0044】
幾つかの実施形態では、アクチュエータ12、12aは、限定しないが、形状記憶ニッケルチタン(NiTi)合金ワイヤ、磁歪鉄ガリウム合金ロッド、小型化した空気圧式又は油圧式マッキベン型アクチュエータ、小型超音波圧電型モーター又は電歪PVDF(ポリフッ化ビニリデン)高分子ストリップであってもよい。各アクチュエータ12、12aは制御力/原動力信号に関して離散的又は連続的であってもよい。構成を支援し、複雑な制御を軽減し、質量と体積を低減するため、アクチュエータ12、12aは、適応型構造コア1の多数のコアセル2にわたって連続的であってもよい。例えば限定しないが、アクチュエータ取付け位置8(
図2)は、アクチュエータ挿入、センサー又は電子部品の配線用の適応型構造コア1のせん断強度に影響を及ぼすことなく、コア部材3に沿ったノードの位置又は他の位置に設けられた孔又は間隙であってもよい。幾つかの実施形態では、機械的な接続が適応型構造コア1で行われるが、各アクチュエータ12、12aのチューブ(図示せず)がアクチュエータ取付け位置を経由して連続するように、マッキベン型アクチュエータ12をコアノード5のアクチュエータ取付け位置8に組み込むことができる。これにより、アクチュエータ12、12aは液体を移動することができる。空気圧式又は油圧式マッキベン型アクチュエータ12、12a又は非油圧式アクチュエータ12、12aは、例えば限定しないが、単一の列(すなわちアクチュエータ方向)、複数の列で多数のコアセル2に沿って流体的に連続、又は適応型構造コア1の行と列の間で連続であってもよい(いずれもアクチュエータ方向)。これにより、流体バルブ(図示せず)及び分配マニホールド(図示せず)の遠隔操作が可能になる。アクチュエータ12、12a及び/又は他のコンポーネントを取付けた後、モーフィングパネル構造28(
図1)を製造するため、接合、溶接、ろう付け及び/又は他の代替技術によって複合表面板29を適応型構造コア1に取付けることができる。
【0045】
アクチュエータ12、12aは、ガスあるいは非圧縮性又は略非圧縮性の油圧作動流体によって作動させることができる。幾つかの実施形態では、歪みセンサー(図示せず)をモーフィングパネル構造28(
図1)の複合表面板29に組み込むことができる。歪みセンサーはアクチュエータ制御システム20(
図7)の制御ソフトウェアにフィードバックすることが可能で、又バルブの制御及び油圧制御アクチュエータへの注入に使用することができる。
【0046】
アクチュエータ12、12aは、剛性、変位、質量、制御許可エネルギー、製造の容易さなどの様々な性能値を最適化するように、適応型構造コア1のコアセル2の中に分布させることができる。
図7に示したように、幾つかの実施形態では、遠隔アクチュエータ制御システム20はアクチュエータ12、12a(
図6)のそれぞれに接続することができる。アクチュエータ制御システム20からの接続を適切に設計することにより、アクチュエータ12、12aの微分制御が可能になる。この微分制御は、異なる方向でのアクチュエータ12、12aの操作、空間領域(内側対外側翼位置、又は後縁対前縁翼位置)又はアクチュエータの状態の違いを含むことができる。アクチュエータ12、12aをコアセル2内の異なる方向に接続して操作した場合、
図4に示したように、協調的構成を実現してコアセル2の形状を変えることができる。この図では、コアセル2の元の形状は仮想線で示され、変化した形状は実線で示されている。別の態様では、アクチュエータ12、12aを拮抗的な構成で操作して、
図5に示したようにコアセル2を強化することができる。
図4に示したようにアクチュエータ12、12aを拮抗的な構成で操作した場合には、コアセル2の形状を同じ状態に保ったまま、各コアセル2のコア部材3を強化することができる。
【0047】
図6には、各コアセル2内のアクチュエータ12、12aによる適応型構造コア1の例示的な実施形態で、各コアセル2に与えられる応力14及び歪み15の模式図を示す。コアセル2は、適応型構造コア1のコンプライアンス方向14、15を強化する位置にアクチュエータ12、12aが取付けられるように設計することができる。
図4に示すように、アクチュエータ12、12aを異なる方向で協調的な方法54(例えば、押込み−引張り54)で動作させた場合には、変形機構14、15によりコアセル2及び適応型構造コア1を変形させることができる。逆に、
図5に示すように、アクチュエータ12、12aを拮抗的な方法55(例えば、引張り−引張り55)で動作させた場合には、変形機構14、15はアクチュエータ12、12aの競合的動作により遮断され、適応型構造コア1を強化する。
【0048】
ひし形42a(
図6A)又は平行四辺形42b(
図6B)を形成する4個の静的圧縮部材(C4)及び対角線上で平行四辺形と交差する2個の張力作動部材(T2)による、拮抗的に作動するコアユニットセル形状の幾何学的定義は、以下の方程式1及び方程式2によって表すことができる。テンセグリティの命名法では、この構造はC4T2として知られている。他のテンセグリティ形状が平面的アクチュエーションスキームに適することもある。方程式1は、アクチュエータの設計変数に従い、各アクチュエータ12、12aによって生成される断面積で正規化された力を表わす応力方程式である。方程式2は、コア設計変数に基づく1方向の運動学的歪みを表わす。
方程式1:σ
McKibben,1=(P+δP)[3/tan
2(α
10)(1−κε)
2−1/sin
2(α
10)]
方程式2:ε
1=ΔL
1/L
10=2s[sin(π/4−Δθ
design/2+δθ)−sin(π/4−Δθ
design/2)]/2s sin(π/4−Δθ
design/2)
【0049】
上述の方程式1及び方程式2に基づくと、アクチュエータ12、12a及びコアセル2の歪み及び応力を使用して、アクチュエータ及び拮抗的構成の剛性を計算することができる。所定の入力δ、P及びδPに対して、アクチュエータ12、12aがコアセル2に及ぼす応力と歪みを計算することができる。アクチュエータ12、12aをコアセル2内に配置した場合には、アクチュエータ12、12aによって生成される歪み14と応力15の運動学的関係を使用して、以下の方程式3に従ってアクチュエータ12、12aの様々な圧力レベルでコアセル2が角度摂動に曝露される場合、歪み15に対する応力14の比率である実効作動係数を計算することができる。
方程式3:E
McKibben,1=σ
McKibben,1/ε
1,E
McKibben,2=σ
McKibben,2/ε
2
【0050】
コア剛性の追加損失がない場合には、平行に寄与している2つのアクチュエータ12、12aによって拮抗的作動設定の実効係数を決定することができる。したがって、アクチュエータ12、12aによる総実効係数は方程式4によって表わすことができる。
方程式4:E
actuator=E
McKibben,1+E
McKibben,2
【0051】
コアセル2のコア部材3には事前負荷によって張力を与えることができる。協調的な作動中には、アクチュエータ12、12aのいずれか一方の収縮(したがって、圧力の増加、+δP)の後には、アクチュエータ12、12aの他方の伸張(わずかな減圧、−δP)が伴うことがある。したがって、マッキベン型アクチュエータ12、12aのそれぞれの剛性は同時作動中に変化することがあるが、剛性の変化は互いに補償し合い、実効剛性は所定のバイアス圧力Pで比較的一定に保たれる。但し、所定のバイアス圧力Pに対して剛性をわずかに高めるためには、アクチュエータ12、12aの双方の圧力を+δPだけ高めて、既存の位置を維持することができる。これによって、アクチュエータ12、12aがコア部材に取付けられるノード5を運動学的にロックし、2δP/Pに比例する既存のアクチュエータ剛性を高めることができる。
【0052】
幾つかの応用では、適応型構造コア1は、主翼の外板及び航空機の他の表面の製造に使用されるモーフィングパネル構造28(
図1)の一部であってもよい。モーフィングパネル構造28のコンプライアンス方向(又は機構)を強化するような方法で、アクチュエータ12、12aを適応型構造コア1のコアセル2に取付けることができる。したがって、
図4に示すように、アクチュエータ12、12aを協調的な方法54(例えば、押込み−引張り54)で動作させた場合には、実線及び仮想線で示したコアセル2の差によって示されているように、各コアセル2及び適応型構造コア1は形状を変えることができる。これは、飛行前後又は飛行中の航空機の主翼又はその他の表面における好適な形態額的な変化を引き起こすことがある。
図5に示すように、アクチュエータ12、12aを拮抗的な方法55(引張り−引張り55)で動作させた場合には、変形機構14、15はアクチュエータ12、12aの競合的動作により遮断され、コア部材3に自己応力を引き起こし、適応型構造コア1及び飛行前後又は飛行中の航空機の主翼又はその他の表面を強化する。適応型構造コア1がその一部となっているモーフィングパネル構造28は、調整済みの基礎構造、アクチュエーションスキーム、感覚フィードバック及び航空機の主翼を可逆的かつ制御可能に好適な形状に変形する制御システムと併せて使用可能である。幾つかの応用では、アクチュエータ12、12aを所定の位置に固定すること及びアクチュエータ12、12aに油圧を供給する油圧ポンプを止めることによって、モーフィングパネル構造1を変形した形状に保つことが可能である。幾つかの応用では、油圧ポンプを動作させたままにして、アクチュエータ12、12aへの油圧の印加を維持することができる。適応型構造コア1は、例えば限定するものではないが、ウィングレット、フラップ、ベイドア、シール、サイズ可変式コンパートメント、タービン吸気口及び排気口ノズルなどを含む他の様々な航空宇宙応用、さらには航空宇宙以外の応用にも適することがある。
【0053】
適応型構造コア1の利点により、空力安定性に要求される剛性、及び構造変位の制御に必要なエネルギーの低減(結果的にアクチュエータの作動及び電源質量の低減)に対応できることができる。航空機のモーフィングは飛行制御、耐久時間を向上させ、飛行時の多目的な応用を促進することができる。
【0054】
適応型構造コア1の厚み17(
図1)は、モーフィングパネル構造28の全体的な厚み18の相当な割合を占めることがあり、サンドイッチパネル表面板29の厚み19の1〜10倍、一般的には0.02〜4インチの間の値となることがある。組み込まれたアクチュエータ12は、直径又は厚み13(
図4)が0.01〜1インチの間の値となり、長さ13a(
図5)は各コアセル2の内側に適合するよう十分に短くてもよい。幾つかの応用では、適応型構造コア1は0.10インチで、アクチュエータ12、12aは直径13が0.04インチであってもよい。モーフィング翼応用に関しては、航空機外板の質量と厚みはコンポーネント(例えば主翼)全体の厚みのほんのわずかとなることがある。本明細書で既に述べたように、十分な形状忠実性を実現できる十分な限界内にあるのであれば、セルの大きさ及びコアの繰り返しユニットの距離はコアの厚みと同程度であってもよい。
【0055】
図8及び9は、拮抗的なアクチュエータ12、12aを有する適応型構造コア1の拡大したユニットセル2と関連する剛性定数(剛性=Δ力58/Δ変位59)を示している。
図8は、125psi(ポンド/平方インチ)での第1アクチュエータ12の差分加圧61に対する10psi以下での第2アクチュエータ12aの加圧62を示す直線グラフ60で、剛性は13.9N/mmとなる。
図9は、125psiでの第1アクチュエータ12の差分加圧65に対する125psiでの第2アクチュエータ12aの加圧66を示す直線グラフ64で、剛性は19.4N/mmとなる。
【0056】
次に
図10及び11を参照すると、適応型構造コア1の例示的な実施形態による実装での、モーフィングパネル構造28の面内での変形能力を示している。
図10はモーフィングパネル構造28の微分面内での大域的なねじり変形能力68を示している。構造28のコンプライアンス軸をスパン軸70に対して正(反時計回り)の角度71及び負(時計回り)の角度72に方向づけし、閉じられた全体の形状73の周りの時計回りの角度72に対する反時計回りの角度71の微分変形によって、可逆的せん断変形の設計は、閉じられた翼の形状で主翼のねじりを可能にする。この形状の変化により、結果的に
図10に示したような軸70の周りのねじりが可能になる。
図11は構造28の微分面内せん断変形能力76を示す。構造28の上面77と底面78との間で微分変形76が対称に発生する場合、スイープの変化79とこれに対応する翼弦と翼幅での部分的な変化が発生することがある。プラットフォームでのアスペクト比(翼弦/キャンバの変化又は面積の変化)は、上述の微分変形を面積変化平面80に対して鏡面対称にすることで、せん断変形設計76によって達成される。
【0057】
図12及び13を参照すると、幾つかの応用では適応型構造コア1は航空機24の主翼外板25に使用することができる。
図13は、
図12の適応型構造コア1を利用する主翼外板25の実効外板係数及び外板厚み84の関数とした、実効セミスパンねじり剛性、GJ(
図13の参照番号83)の輪郭のプロット82である。研究応用の要件は594 Pa−m
4である。適応型構造コア1で拮抗的作動86を有する航空機外板のサンドイッチパネル構造85のねじり特性を合成することによって、主翼外板でのねじり剛性83が満たされることがある。
【0058】
適応型構造コア1は、各コアセル2の内部に2つのアクチュエータ12、12aを有するひし形配列のコアセル2にコア部材3を組み込むことによって製造することができる。液分配マニホールドを取付けると、空気圧式又は油圧式システムを用いることにより、両方向のアクチュエータ12、12aに加圧することができる。独立な平面自由度の数は、形成される独立な空気圧式又は油圧式回路の数に直接左右されることがある。幾つかの応用では、せん断アクチュエーション制御又は剛性向上に必要となる拮抗的アクチュエーションモードを使用するためには、少なくとも2個の独立な空気圧式又は油圧式回路が必要となることがある。空間的な自由度が異なる場合には、2個以上の独立な空気圧式又は油圧式回路で信頼性、冗長性、平面領域を付け加えることができるが、より高機能な(かつ容積の大きい)ハードウェア及びソフトウェアが必要になることがある。2つの空気圧式又は油圧式回路が加圧されており、せん断変形が好適な場合には、一方のアクチュエータをわずかに減圧しながら、他方のアクチュエータをわずかに加圧することによって、協調的なアクチュエーションを実現することができる。補剛効果を高めるためには、アクチュエータ12、12aはどちらも個別に加圧することはできないが、せん断変位や変形が起こらないようそれぞれの圧力を維持又は高めることができる。これによりコア部材3条に付加的な圧力を印加し、適応型構造コア1の強度及び剛性を高めることができる。この拮抗的な操作形態は、ひし形の繰り返しユニットコアセル2を締めつけることができる。センサー(図示せず)はせん断変形、締め付け操作を実証し、ソフトウェア制御システムにフィードバック信号を供給しなければならないことがある。
【0059】
2つの異なるアクチュエータ制御信号回路はコア部材3に接続することができるが、動作しているときには、コアセル2は統計学的に予測できない(すべてのコア部材に自己応力状態が存在する)。制御信号は、マニホールド及びバルブ又はコア部材3に結合された柔軟な電子回路などの電線用導管又は流体導管によって提供することができる。センサーは圧力センサー、ロードセル、変位センサー又は角度センサー、リニアポテンショメータ又は角度ポテンショメータであってもよい。
【0060】
次に
図14を参照すると、適応型構造コア方法の例示的な実施形態のフロー
図1400が示されている。ブロック1402では、コア部材3が準備される。ブロック1404では、コア部材3を繰り返しパターンで配置することにより、適応型構造コア1が形成される。ブロック1406では、コア部材3の上にアクチュエータ取付け位置8が設けられる。ブロック1408では、アクチュエータ12、12aが準備される。ブロック1410では、コア部材3の上にアクチュエータ取付け位置8にアクチュエータ12、12aが取付けられる。ブロック1412では、適応型構造コア1の上に少なくとも1つの複合表面板29が設けられる。ブロック1414では、幾つかの応用で協調的な方法54によりアクチュエータ12を操作することでコア1の形状を変えることができる。ブロック1416では、幾つかの応用で拮抗的な方法55によりアクチュエータ12、12aを操作することでコア1を強化することができる。幾つかの航空宇宙応用では、航空機のオペレータは、コア1を利用する主翼外板25(
図12)にモーフィング形状を選択することができる。航空機のオペレータは、
図4に関して既に述べたように、コア1の各コアセル2のアクチュエータ12、12aを操作して各コアセル2の形状を変えることができる。コア1は主翼外板25の形状を変更又は変形することができる。主翼外板25に対して選択した形状が航空機のオペレータによって選択された形状と一致するかどうかを確認するため、航空機のオペレータに対して準備を行うことができる。
【0061】
次に
図14Aを参照すると、モーフィングパネル構造の構造コアを適応する方法を図解するフロー
図1400aが示されている。ブロック1402aでは、交差するコア部材3とコア部材3によって規定されるコアセル2とを有する適応型構造コア1を設定することができる。ブロック1404aでは、コアセル2に少なくとも1つのアクチュエータ12、12aを設定することができる。幾つかの実施形態では、一対のアクチュエータ12、12aを各コアセル2内で互いに対角する及び交差する関係で設定することができる。ブロック1406aでは、アクチュエータ12、12aはコア部材3に取付けることができる。ブロック1408aでは、アクチュエータ12、12aの作動54、55によって、構造コア1を適応することができる。アクチュエータ12、12aを拮抗的な方法55で作動させて、コアセル2を強化することができる。アクチュエータ12、12aを協調的な方法54で作動させて、コアセル2の形状を変えることができる。
【0062】
次に
図15〜17を参照するに、例示的なモーフィングパネル構造31を
図15に示す。モーフィングパネル構造31は、
図16に示す適応型構造コア34を含むことができる。適応型構造コア34は、コアセル36の複数の行及び列を定義するように交差するコア部材35のネットワークを含むことができる。適応型構造コア34は、フレーム取付け開口部33に適合するコアフレーム32に取付けることが可能で、ボルト又は他の留め具(図示せず)を使用する構造(図示せず)へのコアフレーム32の取付けを容易にすることができる。2組のマッキベン型アクチュエータ37は、互いに交差する関係にある適応型構造コア34の各コアセル36を介して、対角線上に伸びることができる。幾つかの実施形態では、各マッキベン型アクチュエータ37は、
図17に示すように、複数のコアセル36に連続的に交差してもよい。
図15に示すように、適応型構造コア34の少なくとも1つの表面に複合表面板38を設けてもよい。幾つかの実施形態では、適応型構造コア34の対向する面上に設けた一対の複合表面板38の間に適応型構造コア34を挟み込むことができる。
【0063】
次に
図18及び19を参照して、本発明の実施形態は、
図18に示す航空機の製造及び保守方法78及び
図19に示す航空機94との関連で使用することができる。製造前の段階では、典型的な方法78は、航空機94の仕様及び設計80と、材料の調達82とを含むことができる。製造段階では、航空機94のコンポーネント及びサブアセンブリの製造84及びシステムインテグレーション86が行われる。その後、航空機94は認可及び納品88を経て運航90される。顧客により運航される間に、航空機94は定期的な整備及び保守92(改造、再構成、改修なども含みうる)を受けることができる。
【0064】
方法78の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実施又は実行されうる。この説明の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0065】
図19に示したように、典型的な方法78によって製造される航空機94は、複数のシステム96及び内装100を有する機体98を含むことができる。高水準のシステム96の例は、一又は複数の推進システム102、電気システム104、油圧システム106、及び環境システム108を含む。任意の数の他のシステムを含み得る。航空宇宙の例を示しているが、本発明の原理は自動車産業などの他の産業に応用することができる。主翼外板40は機体98の上に設けることができる。少なくとも1つのモーフィングパネル構造28を主翼外板40に組み込むことができる。
【0066】
本明細書に記載した態様の装置は、製造及び保守78の任意の一又は複数の段階で使用されることがある。例えば、製造プロセス84に対応するコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機94の運航中に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリと同様の方法で組立又は製造することができる。また、製造段階84及び86の間に、例えば、航空機94の組立を大幅に促進する又はコストを削減することによって、一又は複数の装置の実施形態を利用することができる。同様に、航空機94の運航中に、例えば限定しないが、整備及び保守92を行うために一又は複数の装置の実施形態を利用することができる。
【0067】
本発明の実施形態は特定の典型的な実施形態について記述されているが、当業者は他の変形に想到することができるため、該特定の実施形態は説明を目的としたものであって限定するものではないと理解すべきである。