特許第6181929号(P6181929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181929
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】屋内空調システム
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/02 20060101AFI20170807BHJP
   F24F 13/32 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   E04F11/02
   !F24F1/00 411
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-5926(P2013-5926)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-136905(P2014-136905A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】七岡 寛
(72)【発明者】
【氏名】本間 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】黒木 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 香織
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−039216(JP,A)
【文献】 特開平07−180898(JP,A)
【文献】 特開平10−220830(JP,A)
【文献】 実開平03−090707(JP,U)
【文献】 特開2010−223460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00−11/16
E04B 1/70
F24F 1/00、5/00、7/10、13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋内の階段の下空間に置かれた空調機と、
上記階段の蹴込み板または踏み板に形成された空気入口および空気出口と、
上記階段の下空間を、上記空気入口と上記空調機の吸気口とが位置する第1の空間と、上記空気出口と上記空調機の吹出口とが位置する第2の空間とに仕切る仕切り板とを備えており、
上記第1の空間と上記第2の空間は、上記仕切り板によって、上下に仕切られており、この仕切り板は取り外せるように設けられるとともに、上記階段側に上記仕切り板の一端側が取り付けられ、上記空調機側に上記仕切り板の他端側が取り付けられることを特徴とする屋内空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の屋内空調システムにおいて、上記仕切り板と略平行に上記空気入口から吸い込まれた空気が移動し、上記仕切り板と略平行に上記空調機の吹出口から空気が吹き出ることを特徴とする屋内空調システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の屋内空調システムにおいて、上記階段の蹴込み板または踏み板に形成された空気入口および空気出口は、上記階段の蹴込み板または踏み板に形成された開口および視線上の障壁となる板部からなることを特徴とする屋内空調システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の屋内空調システムにおいて、上記仕切り板は、折り畳み、捲回、或いは分解して再組立て可能であることを特徴とする屋内空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋内を空調する屋内空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外気を家屋の床下から階段の下空間に取り入れ、この取り入れた外気を上記階段の蹴込み板に形成された開口部を通じて屋内に導入する空調システムが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、外気を家屋の側壁から階段の下空間に取り入れ、この取り入れた外気を上記階段の蹴込み板や踊り場に形成された開口部を通じて屋内に導入する空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−87487号公報
【特許文献2】特開2004−76993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記いずれの空調システムも、外気を取り込むことによって換気を行うものであり、いわゆるヒートショック対策として居室外の空調を効果的に行うものではなかった。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、ヒートショック対策として居室外の空調を階段の利用によって効果的に行う屋内空調システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の屋内空調システムは、上記の課題を解決するために、家屋内の階段の下空間に置かれた空調機と、上記階段の蹴込み板または踏み板に形成された空気入口および空気出口と、上記階段の下空間を、上記空気入口と上記空調機の吸気口とが位置する第1の空間と、上記空気出口と上記空調機の吹出口とが位置する第2の空間とに仕切る仕切り板とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記空調機が上記家屋内の階段の下空間に置かれるので、居住者の階段使用に何ら支障を与えない。そして、屋内の空気を上記空調機が取り込み、調整した空気を屋内に戻すので、階段や廊下などの空間の室温を居室の室温に近づけることが効率的に行えるようになる。すなわち、ヒートショック対策として居室外の空調を上記階段の利用によって効果的に行うことができる。また、階段の下空間を、上記空気入口と上記空調機の吸気口とが位置する第1の空間と、上記空気出口と上記空調機の吹出口とが位置する第2の空間とに仕切るので、当該階段の下空間内で調整空気が循環するショートサーキットを防止できる。
【0009】
上記第1の空間と上記第2の空間は、上記仕切り板によって、上下に仕切られていてもよい。これによれば、例えば、冬期において階段の上側の空気を上記仕切り板の上側となる上記第1の空間に取り込み、この取り込んだ空気を上記空調機で温め、この温めた空気を上記仕切り板の下側となる上記第2の空間から階段の下側に戻すことができ、効果的な居室外暖房が行えるようになる。
【0010】
上記階段の蹴込み板または踏み板に形成された空気入口および空気出口は、上記階段の蹴込み板または踏み板に形成された開口および視線上の障壁となる板部からなっていてもよい。これによれば、居住者の階段の使用に際して階段の上側から階段の下空間が見えてしまうのを極力防止することができる。
【0011】
上記仕切り板を取り外せるようにしてもよい。これによれば、上記屋内空調システムのメンテナンスが容易に行える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の屋内空調システムであれば、ヒートショック対策として居室外の空調を階段の利用によって効果的に行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の屋内空調システムを示した側面視の説明図である。
図2図1の屋内空調システムにおける階段の構造例を示した説明図である。
図3図2の階段の蹴込み板を示した図であり、同図(A)は開口板を示した正面図であり、同図(B)は遮り板を示した正面図であり、同図(C)は開口板と遮り板を向かい合わせた状態の正面図である。
図4図1の階段の他の構造例を示した説明図である。
図5図4の階段の正面側を示した説明図である。
図6図1の階段の他の構造例を示した説明図である。
図7図1の屋内空調システムにおける仕切り板を例示した図であり、同図(A)は斜視図であり、同図(B)は側面視の説明図、同図(C)は折り畳んだ状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態では、家屋内の階段1の下空間が、屋内空調システムで使用するシステム使用空間10と、階段下収納部20とに区分されている。上記システム使用空間10は、上記階段下収納部20を形成する階段部よりも下側の階段部を利用して閉状態に設けられている。なお、図1では、階段1の側壁板を省略して示しており、また、上記側壁板には階段の下空間への出入りのための扉が設けられる。或いは、階段1の側部にカーテンなどを配置することでも上記システム使用空間10を閉状態に構築することができる。
【0015】
そして、この実施形態の屋内空調システムは、上記階段1における上記システム使用空間10内に置かれた空調機2と、上記階段1の蹴込み板11に形成された空気入口12と、上記蹴込み板11に形成された空気出口13と、上記使用空間10を、上記空気入口12と上記空調機2の吸気口21とが位置する第1の空間14と上記空気出口13と上記空調機2の吹出口22とが位置する第2の空間15とに仕切る仕切り板16とを備える。
【0016】
上記空調機2は、室外機を持つ構成としてもよいが、この実施形態では、室外機を持たない構成としており、例えば内部に発熱セラミックや送風ファンを備え、上記吸気口21から取り込んだ空気を温めて上記吹出口22から吹き出すようになっている。
【0017】
上記階段1の蹴込み板11は、例えば、図2に示すように、開口板111と遮り板112とからなる。上記開口板111と遮り板112とは釘3によって下側の踏み板に固定される。上記開口板111には、図3(A)に示すように、上記空気入口12或いは上記空気出口13となる開口111aが複数形成されている。そして、上記遮り板112は、図3(B)に示すように、凸板部112aを複数有している。上記凸板部112aの形成ピッチは上記開口111aの形成ピッチに一致しており、また、上記凸板部112aの大きさは上記開口111aよりも大きくされている。すなわち、上記空気入口12および空気出口13は、上記開口111aを有する上記開口板111および視線上の障壁となる上記遮り板112からなっており、上記蹴込み板11を正面側から見ると、図3(C)に示すように、上記開口111aを通して上記凸板部112aを見ることになる。
【0018】
或いは、上記階段1の蹴込み板11は、図4及び図5に示すように、開口板113と遮り板114とからなる。開口板113には、上記空気入口12或いは上記空気出口13となる開口113aが形成されている。そして、上記遮り板114は、上記開口113aにおいて間隔をあけて水平に配置される。すなわち、上記空気入口12および空気出口13は、上記開口111aを有する上記開口板113および視線上の障壁となる上記遮り板114からなっており、上記蹴込み板11を正面側から見ると、上記開口113a内に上記遮り板114を見ることになる。
【0019】
また、図6に示すように、上記遮り板114を、上記開口113aにおいて斜め状に配置してもよい。なお、階段1の最も下の段の蹴込み板11において上記図4に示した構造を採用し、それ以外の蹴込み板11において図6に示した構造を採用するようにしてもよい。
【0020】
上記仕切り板16は、例えば、図7に示すように、3枚の分割板部16aを有している。上記分割板部16aは例えばポリスチレンやポリカーボネートなどからなり、断熱性を有する。上記仕切り板16は、折り畳めるように、上記3枚の分割板部16aが防湿シートや紙などの薄手の変形容易なシート16bによって一体化されている。さらに、上記分割板部16aの縁には、例えば、緩衝性や柔軟性に優れた独立気泡構造を有するシート16cが取り付けられており、階段1の壁面等と当該分割板部16aとの間にできる隙間を塞ぐことができるようにしている。
【0021】
そして、上記仕切り板16の一端側にはフック16dが設けられており、上記階段1の裏に設けられた係止部11a(図1参照)に上記仕切り板16の一端側を掛けることができ、また、上記仕切り板16の他端側は例えば磁石などによって上記空調機2の上端面に装着できるようになっている。すなわち、上記仕切り板16を折り畳んで取り外せるようになっている。
【0022】
上記の構成であれば、上記空調機2が上記家屋内の階段1の下空間に置かれるので、居住者の階段使用に何ら支障を与えない。そして、屋内の空気を上記空調機2が取り込み、調整した空気を屋内に戻すので、階段1や2階廊下などの空間の室温を居室の室温に近づけることが効果的に行えるようになる。すなわち、ヒートショック対策としての居室外の空調を上記階段1の利用によって効果的に行うことができる。また、上記階段1の下空間を、上記空気入口12と上記空調機2の吸気口21とが位置する第1の空間14と上記空気出口13と上記空調機2の吹出口22とが位置する第2の空間15とに仕切るので、当該階段1の下空間内で調整空気が循環するショートサーキットを防止することができる。
【0023】
上記第1の空間14と上記第2の空間15とが上下に仕切られていると、例えば、冬期において、階段1の上側の空気を上記仕切り板16の上側となる上記第1の空間14に取り込み、この取り込んだ空気を上記空調機2で温め、この温めた空気を上記仕切り板16の下側となる上記第2の空間15から上記階段1の下側に戻すことができ、効果的な居室外暖房が行える。
【0024】
ここで、リビング階段においては、階段部分でのコールドドラフトによって寒さを感じることがあるが、上記のように居室外暖房が行われることで、上記コールドドラフトも緩和できるようになる。
【0025】
上記第1の空間14と上記第2の空間15を上下に仕切ることに限定するものではなく、左右に仕切ることも可能である。この左右仕切りの場合には、上記空調機2の吸気口21と上記吹出口22は左右に離間した配置になる。また、この左右仕切りの場合の仕切り板は、階段1に沿った段形状を備える。なお、先述の上下式の仕切りであれば、仕切り板16の形状をシンプルにできる利点がある。
【0026】
上記空気入口12および上記空気出口13が、上記蹴込み板11に形成された開口(111a、113a)および視線上の障壁となる板部(遮り板112、114)からなっていると、居住者の階段の使用に際して、階段1の側から階段の下空間が見えてしまうのを防止することができる。なお、図6に示したように、上からの目線を遮るように上記遮り板114を傾斜させると、階段1の下空間を一層見えにくくできる。
【0027】
上記仕切り板16を取り外せるようにすると、上記階段1の下空間で屋内空調システムのメンテナンスが容易に行えるようになる。そして、上記仕切り板16が折り畳み可能に構成されていると、上記仕切り板16の外への取り出しが容易に行えるようになる。なお、上記仕切り板16は、3枚に限らず、2枚或いは4枚の分割板部16aで構成することができる。また、折り畳みの他、捲回可能な構成や分解・再組み立て可能な構成とすることもできる。また、上記階段1や上記空調機2への取り付けは、フックや磁石に限らず、面ファスナーなどを利用して行ってもよい。また、引っ掛けによる上記仕切り板16の設置に限らず、可動に設けた脚部によって上記仕切り板16をテーブルのように設置することもできる。
【0028】
また、図1に示した屋内空調システムでは、空調機2を階段1から幾分離れた箇所に配置したが、空調機2を階段1に極力近づけて配置してもよい。
【0029】
また、上記の例では、空気入口12や空気出口13を階段1の蹴込み板11に設けたが、空気入口12や空気出口13を階段1の踏み板に設けてもよく、また、空気入口12と空気出口13の一方を蹴込み板11に設け、他方を踏み板に設ける構造としてもよい。なお、上記踏み板には踊り場が含まれる。また、上記踏み板に形成された空気入口および空気出口についても、当該踏み板に形成された開口および視線上の障壁となる板部からなっていてもよい。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 階段
10 システム使用空間
11 蹴込み板
111 開口板
111a開口
112 遮り板
113 開口板
113a開口
114 遮り板
12 空気入口
13 空気出口
14 第1の空間
15 第2の空間
16 仕切り板
2 空調機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7