特許第6181930号(P6181930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181930
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20170807BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20170807BHJP
   B07C 5/36 20060101ALI20170807BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20170807BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   B65G1/137 A
   B07C5/36
   G06Q50/04
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-10250(P2013-10250)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-142772(P2014-142772A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】302046001
【氏名又は名称】アンリツインフィビス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】野崎 隆次
(72)【発明者】
【氏名】上萬 直哉
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英治
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−156645(JP,A)
【文献】 特開2008−296202(JP,A)
【文献】 特開2009−271771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B07C 5/36
B65G 1/137
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段(3)によって搬送される被検査物(W)の品質データを取得し、予め設定された基準値と前記品質データとを比較して前記被検査物の品質の良否を検査する物品検査装置において、
作業者が操作する操作手段(14)と、
前記操作手段を操作する第1作業者の作業者名と前記第1作業者に加えて該操作手段を操作するための第2作業者の作業者名とを予め設定して記憶する記憶手段(7)と
前記第1作業者が認証されてログインしている状態で、前記第2作業者を認証する作業者識別手段(8)と、
前記作業者識別手段により認証されてログインしている作業者の作業者名を表示する表示手段(6)と、を備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第2作業者が前記第1作業者に優先して作業を行うことができるように各作業者の優先順位を記憶していることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記作業者識別手段は、前記第1作業者の作業中に割り込んで作業を行おうとする前記第2作業者が、前記第1作業者に優先して作業を行うことができる優先作業者であるか否かを識別
前記表示手段は、前記作業者識別手段により前記第2作業者が前記優先作業者であることが識別されたとき、前記第2作業者の作業者名を前記第1作業者の作業者名と同時に表示する一方、前記作業者識別手段により前記第2作業者が前記優先作業者でないことが識別されたとき、前記第1作業者の作業者名に代えて前記第2作業者の作業者名を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記第1作業者の操作のための情報を表示する第1表示画面と、前記第2作業者の操作のための情報を表示する第2表示画面とを所定の表示形態で表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つの請求項に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記第1表示画面および前記第2表示画面のいずれか一方が、いずれか他方の表示画面の一部を覆うようにして表示することを特徴とする請求項に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記第2表示画面を表示した状態で、前記操作手段からの所定操作入力がなく所定時間が経過したときに前記第1表示画面および前記第2表示画面の表示状態を変えて表示することを特徴とする請求項に記載の物品検査装置。
【請求項7】
前記表示手段は、複数のモニタからなり、前記モニタのうち少なくとも1つが前記第1表示画面および前記第2表示画面を表示可能であることを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか1つの請求項に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬などの被検査物の品質を検査する物品検査装置に関し、特に、作業者が簡単に操作できるようにした物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査物の品質を検査する物品検査装置として、重量選別機、X線異物検出装置、金属検出装置などの検査装置が知られている。
このような従来の重量選別機は、搬送される被検査物の質量を測定し、得られた測定値が基準範囲内にあるか否かを判定し、基準範囲内の良品とそれ以外の不良品とを選別している。また、従来のX線異物検出装置は、搬送される被検査物にX線を照射し、この照射したX線の透過量から被検査物中に異物が混入しているか否かを検出している。また、従来の金属検出機は、搬送ラインに交番磁界を発生させておき、交番磁界中を各品種の被検査物を通過させ、磁界を通過しているときの検波出力から金属が混入しているか否かを検出している。
【0003】
この種の物品検査装置に対して、多くの作業者が作業をすることができるので、作業経験の少ない作業者により不良品となった被検査物が良品の搬送路に混入してしまうことを防止したり、悪意ある作業者が、搬送路を覆うカバーを開けて被検査物を不正に工場の外に持ち出してしまうことを防止したりするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−296202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の物品検査装置においては、不良品の良品中への混入や、被検査物の不正な持ち出しを防止するなど、多くの作業者が作業する生産ラインの下で不良品を適切に管理することはできるものの、作業者に対する作業性の考慮が十分とは言えず、効率的な作業が促進できないという課題があった。
この物品検査装置に対して、多くの作業者が作業をすることができるので、例えば、複数の作業者が物品検査装置で作業をしようとするときに、面倒な作業が生じてしまうことがある。
【0006】
具体的には、作業者が物品検査装置にログインし、被検査物の品質を検査している最中に、物品検査装置の点検などの管理作業をする管理者が割り込んで作業をする場合に面倒な作業が生じてしまう。
このような管理者が割り込んで作業をする場合、作業者が一旦物品検査装置からログアウトし、その後に割り込んで作業をしようとする管理者がログインする必要があり、ログアウトおよびログインの作業が面倒となってしまうという問題があった。
【0007】
また、管理者の作業が終了すると、すなわち割り込み作業が終了すると、管理者がログアウトすることになるが、その際に、割り込まれた元の担当者が再度ログインする必要があり、ログインの作業が面倒となってしまう。元の担当者がログアウトしているので、元の担当者が誰であるか確認に手間が掛ってしまい、特に、元の担当者が不在となっている場合など、元の担当者に戻すことが容易でないことがあるという問題があった。
【0008】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、作業者の作業中に他の作業者が作業を行う割り込み作業の際に手間が掛らず、作業を円滑に進めることができるだけでなく、生産ラインの一部として管理上有用な作業者情報を記憶し、出力することができる物品検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る物品検査装置においては、上記課題を解決するため、(1)搬送手段によって搬送される被検査物の品質データを取得し、予め設定された基準値と前記品質データとを比較して前記被検査物の品質の良否を検査する物品検査装置において、作業者が操作する操作手段と、前記操作手段を操作する第1作業者の作業者名と前記第1作業者に加えて該操作手段を操作するための第2作業者の作業者名とを予め設定して記憶する記憶手段と、前記第1作業者が認証されてログインしている状態で、前記第2作業者を認証する作業者識別手段と、前記作業者識別手段により認証されてログインしている作業者の作業者名を表示する表示手段とにより構成する。
【0010】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、操作手段を操作する第1作業者の作業者名と第1作業者に加えて操作するための第2作業者の作業者名とを予め設定し、記憶手段に記憶することができるので、物品検査装置にログイン済の複数の作業者の作業者名を、例えば他の管理コンピュータ、物品検査装置の近傍に設置された管理用モニタなどの周辺機器に対して出力することが可能となる。このような複数の作業者名の周辺機器に対する出力により、生産工場や生産ラインの管理面における必要性や重要性に応じて、様々な管理形態での管理を実現することができるようになる。
なお、本発明に係る物品検査装置においては、被検査物の検査に関する行動全般を「作業」とし、その作業にあたる者を「作業者」として示す。他方、被検査物の検査に関する作業のうち、特に物品検査装置の取扱いに関する行動を「操作」として示すが、物品検査装置を操作する者を、「操作する作業者」ということがある。
【0011】
また、本発明に係る物品検査装置においては、(2)前記記憶手段は、前記第2作業者が前記第1作業者に優先して作業を行うことができるように各作業者の優先順位を記憶するよう構成する。
【0012】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、記憶手段より第2作業者が第1作業者に優先して作業を行うことができるように各作業者の優先順位が記憶されるので、設定された優先順位に対応する担当者、責任者、管理者といった役割や立場を示すアクセスレベルを物品検査装置の制御部、外部のコンピュータ、生産管理用モニタなどに対して、作業者名と関連付けて出力することが可能となる。このような作業者名と関連付けたアクセスレベルの出力により、管理上の必要性や重要性に応じて、さらに多様な管理形態での管理を実現することができるようになる。
【0013】
また、本発明に係る物品検査装置においては、(3)前記第1作業者の作業者名と前記第2作業者の作業者名とを表示する表示手段を備えるよう構成してもよい。
【0014】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、第1作業者の作業者名と第2作業者の作業者名とを表示することができるので、物品検査装置にログイン済みの複数の作業者の作業者名を、物品検査装置を操作している作業者自身が容易に確認できるようになり、例えば、作業の引継ぎや連絡を円滑に進めることができる。
【0015】
また、本発明に係る物品検査装置においては、(4)前記作業者識別手段は、前記第1作業者の作業中に割り込んで作業を行おうとする前記第2作業者が、前記第1作業者に優先して作業を行うことができる優先作業者であるか否かを識別、前記表示手段は、前記作業者識別手段により前記第2作業者が前記優先作業者であることが識別されたとき、前記第2作業者の作業者名を前記第1作業者の作業者名と同時に表示する一方、前記作業者識別手段により前記第2作業者が前記優先作業者でないことが識別されたとき、前記第1作業者の作業者名に代えて前記第2作業者の作業者名を表示するよう構成してもよい。
【0016】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、第1作業者の作業中に割り込んで作業を行おうとする第2作業者が、優先作業者であるか否かが識別されるので、第2作業者の行う割り込み作業の際に手間が掛らず、作業を円滑に進めることができる。すなわち、作業者識別手段により第2作業者が優先作業者であることが識別されたときは、第2作業者の作業者名が第1作業者の作業者名と同時に表示されるので、第2作業者自身が優先作業者であることを認識することができる。また、第2作業者が優先作業者でないことが識別されたときは、第1作業者の作業者名に代えて第2作業者の作業者名が表示されるので、第2作業者自身が優先作業者ではなく、第1作業者から第2作業者に交代したことを認識することができる。
【0017】
また、本発明に係る物品検査装置においては、(5)前記表示手段は、前記第1作業者の操作のための情報を表示する第1表示画面と、前記第2作業者の操作のための情報を表示する第2表示画面とを所定の表示形態で表示するよう構成してもよい。
【0018】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、第1表示画面と第2表示画面とが所定の表示形態で表示されるので、アクセスレベルの異なる複数の作業者が物品検査装置にログインしていても、各作業者のアクセスレベルに応じた操作や管理を行うための情報を適切に表示することができる。その結果、作業者の誤操作を少なくすることができ、作業者の操作の煩わしさをなくすことができる。
【0019】
また、本発明に係る物品検査装置においては、(6)前記表示手段は、前記第1表示画面および前記第2表示画面のいずれか一方が、いずれか他方の表示画面の一部を覆うようにして表示するよう構成してもよい。
【0020】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、第1表示画面および第2表示画面のいずれか一方が、他方の表示画面の一部を覆うようにして表示されるので、各作業者のアクセスレベルに応じた複数の表示画面を、サイズの小さなモニタであっても視認性を損なうことなく表示することができる。
【0021】
また、本発明に係る物品検査装置においては、(7)前記表示手段は、前記第2表示画面を表示した状態で、前記操作手段からの所定操作入力がなく所定時間が経過したときに前記第1表示画面および前記第2表示画面の表示状態を変えて表示するよう構成してもよい。
【0022】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、第2表示画面を表示した状態で、所定操作入力がなく所定時間経過により第1表示画面および第2表示画面の表示状態が変わるので、管理者の操作終了時のログアウト忘れなどで管理者画面が表示された状態が長時間放置されることがなくなり、管理面での安全性が高まる。
【0023】
また、本発明に係る物品検査装置においては、(8)前記表示手段は、複数のモニタからなり、前記モニタのうち少なくとも1つが前記第1表示画面および前記第2表示画面を表示可能とするよう構成してもよい。
【0024】
以上の構成により、本発明に係る物品検査装置においては、複数のモニタのうち少なくとも1つが第1表示画面および第2表示画面を表示できるので、複数の作業者のアクセスレベルに応じた表示画面を適切な操作位置に複数配置する場合にも、各操作位置において複数の作業者がログインしている状態を表示することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る物品検査装置によれば、作業者の作業中に他の作業者が作業を行う割り込み作業の際に手間が掛らず、作業を円滑に進めることができるだけでなく、生産ラインの一部として管理上有用な作業者情報を記憶し、出力することができる物品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る重量選別機を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る重量選別機を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る重量選別機の表示部における作業者IDのログイン画面の表示例を示す平面図である。
図4】実施形態に係る重量選別機の表示部のシングルモニタの表示を示す平面図であり、(a)は、担当者向け画面の表示例を示し、(b)は、管理者向け画面の表示例を示す。
図5】実施形態に係る重量選別機の表示部のシングルモニタの表示を示す平面図であり、(a)は、担当者向け画面の表示例を示し、(b)は、管理者向け画面の表示例を示す。
図6】実施形態に係る重量選別機の表示部のシングルモニタの表示を示す平面図であり、(a)は、担当者向け画面の表示例を示し、(b)は、管理者向け画面の表示例を示す。
図7】実施形態に係る重量選別機の表示部の表示を示す平面図であり、(a)は、ユーザーリストの表示例を示し、(b)は、管理認証のログイン画面の表示例を示す。
図8】実施形態に係る重量選別機の表示部のデュアルモニタの表示を示す平面図であり、(a)は、担当者1向け画面および担当者2向け画面の表示例を示し、(b)は、担当者1向け画面および管理者向け画面の表示例を示す。
図9】実施形態に係る重量選別機の表示部のシングルモニタの表示を示す平面図であり、(a)は、担当者がログイン中の画面の表示例を示し、(b)は、管理者が割り込みログイン中の画面の表示例を示し、(c)は、管理者がログアウトした際の画面の表示例を示す。
図10】実施形態に係る重量選別機における作業者の操作および表示部への表示の一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態に係る重量選別機における作業者の操作および表示部への表示の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る物品検査装置の実施形態について図面を参照して説明する。
(実施形態)
図1図11は、本発明に係る物品検査装置を重量選別機1に適用した実施形態の一例を示している。
なお、本発明に係る物品検査装置は、実施形態に係る重量選別機1だけでなく、重量選別機1以外の他の装置で構成されていてもよい。例えば、搬送ラインに交番磁界を発生させておき、交番磁界中を各品種の被検査物を通過させ、磁界を通過しているときの検波出力から金属が混入しているか否かを検出する金属検出機で構成されていてもよい。また、搬送される被検査物にX線を照射し、この照射したX線の透過量から被検査物中に異物が混入しているか否かを検出するX線異物検出装置で構成されていてもよい。
【0028】
図1図2に示すように、重量選別機1は、装置本体2と、搬送手段としての搬送部3と、投受光部4と、選別部5とにより構成されている。
【0029】
重量選別機1は、生産ラインの一部を構成するベルトコンベアBCの後端部に設置され、所定間隔をおいて矢印A方向に順次搬送されてくる被検査物Wの質量を測定するよう構成されている。そして、測定により得られた測定値を予め設定された上限値および下限値で規定される基準範囲内にあるか否かで判定し、基準範囲内のものを良品とし、それ以外のものを不良品として選別するよう構成されている。
【0030】
装置本体2は、表示手段としての表示部6と、記憶手段としての記憶部7と、作業者識別手段としての識別部8と、電源部9と、搬送制御部11と、重量選別部12と、重量選別機1の各種操作や各種設定を入力する操作手段としての操作部14と、これらの各部を収納する収納筐体16とを含んで構成される。
【0031】
搬送部3は、図1に示すように、助走コンベア3aおよび秤量コンベア3bにより構成される。助走コンベア3aは2つのローラ3c、3dとこれらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト3eとを含んで構成される。秤量コンベア3bは2つのローラ3f、3gとこれらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト3hとを含んで構成される。
搬送部3は、ベルトコンベアBCから矢印A方向に流れてくる包装された生肉、魚、加工食品、医薬品などの各種の被検査物Wを搬送するようになっている。搬送されてくる被検査物Wは助走コンベア3aにより、姿勢などが安定状態になり、秤量コンベア3bにより荷重センサに載荷され、さらに選別部5に搬送されるようになっている。
【0032】
表示部6は、図1に示すように、装置本体2の搬送部3側の上端部に設けられており、例えば、液晶ディスプレイなどのタッチパネルで構成されていて、操作部14としても機能する。すなわち、このタッチパネルは、表示機能と入力機能の2つの機能を備えており、表示部6の外部から入力された画像情報を液晶ディスプレイの画面に表示するとともに、作業者がその画面に表示された文字や絵などの点または領域に手で触れた際に、触れられた画面位置の情報を感知して外部へ情報信号として出力するよう構成されている。
【0033】
表示部6においては、重量選別機1に電源が投入された後、操作部14での作業者の操作に応じて種々の表示画面が表示される。この表示部6は、表示画面が単一のシングルモニタで構成されているが、後述するデュアルモニタで構成するようにしてもよい。
表示部6および操作部14においては、例えば、重量選別機1の電源投入後、重量選別機1を操作する作業者を認証するためのログイン画面を表示するようになっている。
このログイン画面には、作業者ID、パスワード入力を要求するメッセージが表示され、入力された内容は記憶部7に記憶している作業者情報と照合される。表示部6をタッチパネルで構成した場合には、表示部6には、図3に示すように、作業者IDおよびパスワードを入力するための入力欄および各入力欄に数字や文字を入力するためのテンキーやキーボードが表示される。
【0034】
また、適正なパスワードが入力されると、記憶部7において、入力された作業者IDと関連付けられたログインフラグをログイン済みに更新するとともに、例えば、図4(a)、図5(a)、図6(a)に示すように、画面の右上部分にログイン済みの作業者の名前「山田○子」と、その下側に「山田○子」が「担当者」であることが示される第1表示画面としての担当者向け画面が表示部6に表示される。
【0035】
また、担当者の検査の作業中に、重量選別機1に対する保守、点検などの管理作業が、担当者よりも権限の高い管理者により割り込んで管理者の作業がなされる、いわゆる割り込みがなされることがある。この場合、記憶部7において、割り込んだ作業者IDと関連付けられたログインフラグをログイン済みに更新するとともに、表示部6には、作業中の担当者と割り込んだ管理者の各作業者の名前、すなわち作業者名が表示される。また、担当者が被検査物Wの検査の作業中に、同じ権限の他の担当者が割り込もうとした場合に、作業者の交代とみなして先の担当者を強制的にログアウトするようにして、先の担当者のログアウト操作を省略し、担当者同士の交代を円滑にできるようにしてもよい。
なお、検査作業中の担当者は本発明における第1作業者に対応し、割り込んで作業を行う管理者または割り込もうとした他の担当者は本発明における第2作業者に対応している。
【0036】
表示部6に表示されるログイン済の作業者名は、ユーザリストから読み出される。
このユーザーリストは、予め設定され記憶部7に記憶されたリストで、図7(a)に示すように、作業者ID、作業者名、前述のように担当者、責任者、管理者といった役割や立場を示すアクセスレベル、ログインフラグという項目が含まれる。作業者IDは2、5、7、11のように重複しない番号が割り当てられている。
作業者名は、入力された作業者の名前を示している。アクセスレベルとして、具体的には、「担当者」、「管理者」が設定されている。ログインフラグは、図示しないが、例えば、既にログイン済みで同一作業者のログインができないような表示ができるように、各作業者が物品検査装置にログインしているか否かを示している。また、このログインフラグは、ログイン状態によって、例えば、「済」、「未」とが逐次書き換えられるようになっている。ログイン済みの作業者名は、ログインフラグが「済」となっている作業者の作業者名を記憶部7から読み出すことで表示することができる。
【0037】
このアクセスレベルは、言い換えると、重量選別機1を操作可能な範囲をレベルで表したグループ名で、各作業者が担当者や管理者といったグループのいずれに属するかを示している。
担当者は、例えば、運転停止、品種切替および動作確認などの権限による操作項目や、誰でも可能な種々の操作が含まれる一般的な操作項目を実行することができる者のグループを示している。
【0038】
管理者は、例えば、運転停止、品種切替、動作確認、検出感度変更、品種登録および保守などの権限による操作項目や、誰でも可能な種々の操作が含まれる一般的な操作項目を実行することができる者のグループを示している。
したがって、管理者は担当者よりもより高い操作権限を有した優先作業者であり、担当者の検査の作業中に、割り込んで管理者の作業を行うことができる。
【0039】
管理者が、担当者のログイン状態で割り込みログインをするためには、操作部14からログイン操作を行う必要がある。例えば、タッチパネルの作業者名が表示されている部分をタッチすると、ユーザリストに設定されている作業者名の一覧がボタン表示される。
この中から自己の作業者名をタッチすると、パスワード入力欄とパスワード入力のためのテンキーやキーボードが表示される。そして、適正なパスワードが入力されると、例えば、図4(b)、図5(b)、図6(b)に示すように、第2表示画面としての管理者向け画面が表示部6に表示される。
【0040】
図4(b)に示す管理者向け画面には、画面の右上部分に管理者の名前「佐藤○雄」が担当者の名前「山田○子」の横に並んで表示される。この表示により、担当者「山田○子」の作業中に管理者「佐藤○雄」が割り込んで作業をしていることが把握可能となる。
この管理者向け画面を、図5(b)に示すように、画面の右上部分の名前「山田○子」の横に名前「佐藤○雄」を表示し、各下側に「担当者」および「管理者」を示す形態で表示するようにしてもよい。また、管理者向け画面を、図6(b)に示すように、「担当者」「山田○子」の担当者向け画面の上に、表示位置を少し移動して、すなわち、担当者向け画面の一部を覆うようにして「管理者」「佐藤○雄」の表示画面を重ねて示す形態で表示してもよい。
【0041】
また、検査作業中の担当者の担当者向け画面を、タッチパネル1からなるモニタ1、タッチパネル2からなるモニタ2を備えたデュアルモニタで構成される表示部6の表示画面に表示するようにしてもよい。
例えば、図8(a)に示すように、重量選別機1を操作する担当者1向け画面をタッチパネル1に表示し、担当者2向け画面をタッチパネル2に表示して、同じ操作項目を実行する権限をもつ担当者1と担当者2がそれぞれのタッチパネルで操作して作業をしていることを表示するようにしてもよい。
また、この状態で、タッチパネル2から管理者が割り込んで作業を行う場合、図8(b)に示すように、タッチパネル1には、担当者1向け画面をそのまま表示し、タッチパネル2には、管理者向け画面を表示して、管理者が担当者2に割り込んで作業をしていることを表示するようにしてもよい。この場合、例えば、タッチパネル2側で管理者が割り込みログインしたとき、タッチパネル2側に担当者2と管理者の作業者名を表示し、割り込み中であることが、表示されるようになっているとよい。
【0042】
また、図8(a)の状態で、タッチパネル2から他の担当者である担当者3が作業を行う場合、担当者3が担当者2より優先して作業を行うことができる優先作業者であるときは、管理者と同様に、担当者2と担当者3の作業者名を表示した担当者3向け画面を表示し、担当者3が担当者2より優先して作業を行うことができる優先作業者でないときは、担当者2に代わって担当者3の作業者名を表示した担当者3向け画面を表示するようになっているとよい。
【0043】
なお、ここで、担当者3が優先作業者であるときは、担当者は、例えば、運転停止、品種切替および動作確認などの権限による操作項目を行うことができる通常の担当者であるのに対し、担当者3は、運転停止、品種切替および動作確認に加えて検出感度変更などの追加で設定された操作項目を実行することができる担当者であることを示し、通常の担当者よりも権限が高く、通常の担当者の作業中に割り込んで作業をすることができる。
【0044】
また、担当者が重量選別機1にログインして表示される表示部6の担当者向け画面を、図9(a)の中央部に担当者のテーブルで示すようにしてもよい。このテーブルには、「作業者ID」、作業中の担当者の「名前」、担当者のログインした日時が示される「ログイン時」、担当者のアクセスレベルが数字で示される「レベル」が表示されるので、担当者の情報を一覧することができる。
【0045】
また、管理者が重量選別機1に割り込みログインして表示される表示部6の管理者向け画面を、図9(b)の中央部に管理者のテーブルで示すようにしてもよい。このテーブルには、「作業者ID」、作業中の担当者および割り込みした管理者の「名前」、担当者および管理者のログインした日時が示される「ログイン時」、担当者および管理者のアクセスレベルが数字で示される「レベル」が表示されるので、担当者および管理者の情報を一覧することができる。
また、管理者の重量選別機1における割り込み作業が終了し、管理者がログアウトした際に、図9(c)に示すように、図9(a)の担当者向け画面の表示に復帰させるようにしてもよい。
【0046】
この表示部6においては、被検査物Wの質量などの計量値を含む検査結果が表示されるとともに、他の必要な表示がなされる。例えば、被検査物Wの品種、測定範囲、測定速度、測定精度、検出感度、選択項目の待受け表示、重量選別機1に異常が発生した場合の警告や、点検要求などが必要に応じて表示される。
【0047】
記憶部7は、書き換え可能なメモリとしての記録媒体の記録領域で構成され、前述のユーザーリストの他にも、重量選別機1の制御に必要な各種パラメータや、被検査物Wの検査に関する情報が記憶されている。記憶部7に記憶されている情報には、操作部14からの操作時に更新された情報、被査物Wの検査中に逐次更新された情報、あるいは読み出し専用で書き換えのできない装置固有の情報が、それぞれ記憶されており、必要に応じて読み出されて活用されるようになっている。また、記憶部7は、操作部14を操作する作業者(第1作業者)に加えて他の作業者(第2作業者)が操作するための情報として、検査作業中の担当者に加えて操作することができる管理者等の優先作業者を識別するためのアクセスレベルが作業者名、作業者IDとともに予め設定され、記憶するよう構成されている。また、記憶部7は、アクセスレベルが示す役割や立場に応じたアクセスレベルの優先順位を記憶するよう構成されている。
【0048】
識別部8は、図3および図7(b)に示すパスワードが入力されたとき、図7(a)に示されるユーザリストの管理者選択の画面タッチによる管理者名が入力されたとき、入力された情報が、記憶部7に記憶されている情報と照合して適切な情報が入力されたか否かを識別するよう構成されている。なお、識別部8は、タッチパネルへのタッチ操作により入力された情報に限定されず、操作部14としてテンキーやキーボードなどの入力手段から入力された情報や、認証カードなどの他の認証システムにより入力された情報に基づいて識別するようにしてもよい。
この識別部8は、担当者の作業中に割り込んで作業を行おうとする他の担当者が、作業中の担当者に優先して作業を行うことができる優先作業者であるか否かを識別するよう構成されている。識別部8による識別結果は、必要に応じて表示部6に出力され、表示部6のタッチパネルに表示されるようになっている。
【0049】
電源部9は、収納筐体16に装着され、重量選別機1の各構成要素に電源を供給する公知の電源ユニットで構成されている。
【0050】
投受光部4は、一対の投光部4aおよび受光部4bにより構成され、助走コンベア3aと秤量コンベア3bとの間に配置されている。例えば、投光部4aは搬送ベルト3hの装置本体2側に位置し、受光部4bは搬送ベルト3hの他の側面で投光部4aに対向するように位置し、被検査物Wが投光部4aおよび受光部4bの間を通過すると被検査物Wにより受光部4bが遮光され、被検査物Wが搬入されたことを検出するようになっている。
また、検出信号を後述する質量検出セクション12bおよび荷重センサ12aに出力するようになっている。
【0051】
選別部5は、選別機構部5aと、搬送コンベア5bとを含んで構成される。搬送コンベア5bは、ローラ5cおよびローラ5cに対向して配置される図示しないローラと、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト5dとを含んで構成される。
選別機構部5aは、例えば、押し出し型の選別機構により構成されている。選別機構部5aは、良品と不良品とを選別できるものであればよく、フリッパ機構、エアジェット機構およびドロップアウト機構などのいずれかの選別機構で構成してもよい。
選別機構部5aは、上流の秤量コンベア3bから搬送される被検査物Wを搬送コンベア5bで矢印B方向に搬送している間に、後述する判定セクション12dの判定結果に基づいて被検査物Wに対して搬送ベルト5dの側面方向への押し出しやジェットエアーの吹き付けを行うようになっている。この選別機構部5aは、判定結果が不良品の被検査物Wを搬送ベルト5d上から排出し、判定結果が良品の被検査物Wと区別することにより選別を行っている。
【0052】
搬送制御部11は、図2に示すように、駆動モータ11aと、制御セクション11bとを含んで構成される。制御セクション11bは、検査結果に基づいて駆動モータ11aの駆動速度を調節できるようになっている。
【0053】
重量選別部12は、品質データを取得するための荷重センサ12aと、質量検出セクション12bと、記録セクション12cと、品質の良否を判定する判定セクション12dとを含んで構成される。
荷重センサ12aは、電磁平衡機構、差動トランス機構および歪ゲージ機構などのいずれかのはかり機構で構成される。電磁平衡機構では、天びんの片側に被検査物W、もう片側におもりとなる分銅を載せる代わりに、電気の力、すなわち電磁力を加えて、天びんを釣り合わせるようになっている。被検査物Wの重さにより、釣り合わせるのに必要な電気の量が変化することを利用し、天びんが釣り合ったとき、荷重センサ12aに生ずる電流を検知し、この電流の大きさに応じた信号を出力するようになっている。
【0054】
電磁力は、投受光部4によって被検査物Wの秤量コンベア3bへの搬入が検知されてから所定時間tが経過したタイミングで加えられる。所定時間tは被検査物Wが秤量コンベア3bに搬入を開始してから秤量コンベア3bに完全に乗り移り、さらに荷重センサ12aから出力された信号が安定するまでに必要な時間で設定されている。例えば、所定時間tは、操作部14からの入力により設定された秤量コンベア3bの搬送速度(m/min)および被検査物Wの搬送方向である矢印B方向に沿った長さ(mm)などの基準に基づいて決定される。
【0055】
出力された信号は、質量検出セクション12bに入力され、質量検出セクション12bにおいて被検査物Wの質量が検出され、検出された質量は、質量信号として判定セクション12dに出力される。
【0056】
記録セクション12cは、記録媒体の記録領域で構成され、被検査物Wの品種に対応した被検査物Wの選別に必要な情報(例えば、質量の上限基準値および下限基準値、助走コンベア3aおよび秤量コンベア3bの各速度(m/s)および搬送方向に沿った長さ(mm)、被検査物Wの搬送方向に沿った長さ(mm)秤量コンベア3bの搬出端から選別部5までの距離、被検査物Wの搬入間隔(mm)など)や荷重センサ12aによって取得された被検査物Wの品質データ、統計データ、アラーム来歴および点検来歴などのデータを記録するようになっている。なお、このようなデータは、重量選別機1が設置される生産ラインの稼働状況や生産される物品、すなわち被検査物Wの生産品質を管理するための情報として管理者により収集される。
【0057】
判定セクション12dは、質量検出セクション12bから出力された被検査物Wの質量の信号を受け、記録セクション12cに予め記録されている質量の上限基準値および下限基準値を読み出し、被検査物Wの質量と上限基準値および下限基準値とを比較し上限基準値および下限基準値で決定される質量の許容範囲内に被検査物Wの質量が入っているか否かを判定する。判定した結果は、選別部5に出力される。さらに表示部6に出力され判定結果が表示され、記録セクション12cに出力され判定結果が記録されるようになっている。なお、このような判定結果も前述のデータと同様、生産される物品、すなわち被検査物Wの生産品質を管理するための情報として管理者により収集される。
【0058】
操作部14は、図1に示すように、表示部6とともに装置本体2の搬送部3側の上端部に設けられ、表示部6の表示画面の下側部分にタッチパネルとして形成してもよい。またタッチパネルとして表示した操作部14の左下側部分に「画面切換」の操作ボタンを表示し、この画面切換の操作ボタンをタッチすることにより表示部6の表示画面の一部に入力用のボタンからなる操作ボタンを表示してもよい。この操作ボタンから作業者IDおよびパスワードなどの情報を入力することができる。
【0059】
この操作部14においては、被検査物Wの選別に必要な情報、例えば、助走コンベア3aおよび秤量コンベア3bの各速度(m/s)および搬送方向に沿った長さ(mm)、被検査物Wの搬送方向に沿った長さ(mm)、被検査物Wに対する許容範囲の上限値Gaと下限値Gb、秤量コンベア3bの搬出端から選別部5までの距離、被検査物Wの搬入間隔(mm)などの選別情報を判定セクション12d、質量検出セクション12bなどに設定させるよう操作ボタンなどの入力部位から入力できるようになっている。
【0060】
本発明の実施形態に係る重量選別機1においては、各構成部分を制御する図示しないCPUおよびこれらに構成要素を接続する構造で構成するようにしてもよい。例えば、重量選別機1における搬送部3、投受光部4、選別部5、表示部6、搬送制御部11、重量選別部12、操作部14などの各構成要素はCPUによって動作するよう構成してもよい。このCPUの指令に基づいて、装置本体2内に格納された各構成要素に対応するよう設けられた制御プログラムを実行し、各構成要素を動作させるよう構成してもよい。
【0061】
次いで、重量選別機1に対する作業者の操作および表示部6への表示について、図10図11のフローチャートを参照して説明する。
【0062】
図10に示すように、作業者により重量選別機1の電源が投入されると(S1)、重量選別機1を操作しようとする作業者の認証操作が可能となる。そして、この作業者が表示部6のタッチパネルに表示された作業者一覧から自己の作業者名を選択するか、あるいは、図1に示す識別部8での認証カード読み取りなどの認証操作が行われると、識別部8により、認証操作をした作業者が適切な作業者IDを有していることおよび適切な担当者であることが識別される(S2)。
そして、重量選別機1の操作を可能とするための、すなわちログインするためのパスワード入力画面が図3に示すように表示部6に表示される(S3)。この表示部6のタッチパネルには、パスワードを入力するための文字入力ボタンが表示され、適正なパスワードが入力されると(S4)、重量選別機1にログインした状態となり、例えば、図4(a)、図5(a)、図6(a)に示すように、画面の右上部分に検査作業する者の名前「山田○子」と、その下側に「山田○子」のアクセスレベルが「担当者」であることが示される担当者向け画面が表示される。そして、重量選別機1における検査作業が開始される(S5)。
【0063】
この担当者の検査の作業中に、重量選別機1に対する保守、点検などの管理作業が、担当者よりも権限の高いアクセスレベルの管理者により行われることがある。
この場合、担当者の作業中に管理者が割り込んで操作する割り込みログイン要求がなされる(S6)。この割り込みログイン要求は、例えば、図7(a)に示す表示部6の表示画面右上の名前「山田○子」またはアクセスレベル「担当者」のいずれかの表示領域をタッチすることにより行われる。この割り込みログイン要求により、タッチパネルの中央部には、記憶部7に記憶されたユーザーリストに設定されている作業者名がボタン表示される(S7)。このとき、すでにログインしている担当者の作業者名を省略したり、すなわち非表示にしたりして、作業者名のボタンを押せないようにして、ログイン済みであることを認識させ、不要な作業者名を表示せずに表示領域を効率よく活用できるように構成することがより好ましい。
そして、このボタン表示の中から割り込みログインする管理者が選択されるのを待つ、管理者選択の待ち受け状態となる(S8)。
【0064】
割り込みしようとする管理者により、例えば、ボタン表示された作業者名にタッチすると、その作業者がログイン要求者として設定される(S9)。作業者名が選択されると、表示部6のタッチパネルには、図7(b)に示すように、重量選別機1にログインするためのパスワード入力画面が表示され、パスワード入力の待ち受け状態となる(S10)。このパスワード入力画面に表示された文字入力ボタンから、適正なパスワードが入力されると(S11)記号Aで示すように、図11のステップS12に進み、例えば、図4(b)に示すように、タッチパネルの右上部分に管理作業をする者の名前「佐藤○雄」が担当者の名前「山田○子」の横に並んで表示される。
【0065】
また、名前「佐藤○雄」の下側に「佐藤○雄」のアクセスレベルが「管理者」であることが表示され、管理者向け画面に切り替わる。この管理者向け画面により検査作業中の担当者「山田○子」および割り込んだ管理者「佐藤○雄」の双方が同一画面に表示されるので、この表示画面から検査作業中の担当者および割り込んだ管理者が誰であるかが容易に把握される。
【0066】
この管理者向け画面を、例えば、図5(b)に示すように、画面の右上部分の名前「山田○子」の横に名前「佐藤○雄」を表示し、各下側に「担当者」および「管理者」を示す形態で表示してもよい。また、管理者向け画面を、図6(b)に示すように、「担当者」「山田○子」の表示画面に上に、表示位置を少し移動して、「管理者」「佐藤○雄」の表示画面を重ねて示す形態で表示してもよい。
【0067】
次いで、図2に示すように、管理者のログアウト操作が行われたか、すなわち、タッチパネルの終了ボタンが押されたか否かが判断される(S13)。すなわち、重量選別機1の保守、点検などの管理の割り込み作業が終了したか否かが判断される。この終了の判断は、図2に示す操作部14の終了ボタンが押されたか否かで判断してもよく、表示部6の表示画面に表示された管理作業の終了をタッチされたか否かで判断してもよい。
【0068】
ステップS13で、管理者によるログアウト操作がされていないと判断された場合は、ステップS12で表示画面が表示されてから、管理者によるタッチパネルへの操作などの所定操作入力がなく、所定時間が経過したか否かが判断される(S14)。ステップS14で、所定時間が経過していないと判断された場合には、一定時間間隔で管理者によるログアウト操作が監視される。
【0069】
ステップS14で、所定時間が経過したと判断された場合およびステップS13で、管理者によるログアウト操作がされたと判断された場合は、重量選別機1における割り込まれた元の担当者「山田○子」に表示画面が復帰する(S15)。例えば、図4(a)、図5(a)、図6(a)に示すように、元の表示画面が表示される。
次いで、一定時間間隔で担当者「山田○子」の作業が終了したか否かが判断される(S16)。作業が終了したと判断された場合には、続いて、作業内容および作業結果が装置本体2に記録される(S17)。そして、他の作業項目の作業を行うか否かが判断される(S18)。例えば、作業者の表示部6へのタッチにより、他の作業を行うと判断された場合には、ステップS16に戻る。ステップS18で、他の作業を行わないと判断された場合には、作業は終了する。
【0070】
以上説明したように、実施形態に係る重量選別機1は構成されているので、以下のような効果が得られる。
すなわち、実施形態に係る重量選別機1は、搬送部3によって搬送される被検査物Wの品質データを取得し、予め設定された基準値と品質データとを比較して被検査物Wの品質の良否を検査するよう構成されている。そして、操作部14と、操作部14を操作する担当者の作業者名と担当者に加えて操作を行うことができる管理者等(作業中の担当者に対して優先して作業者を行うことができる優先作業者)の作業者名とを予め設定して記憶する記憶部7とにより構成されている。
【0071】
実施形態に係る重量選別機1においては、予め設定された担当者の作業者名と管理者等の作業者名とを記憶部7に記憶することができるので、重量選別機1にログイン済の複数の作業者の作業者名を、例えば他の管理コンピュータ、重量選別機1の近傍に設置された管理用モニタなどの周辺機器に対して出力することが可能となるという効果が得られる。
このような複数の作業者名を周辺機器に出力できるので、生産工場や生産ラインの管理面における必要性や重要性に応じて、様々な管理形態での管理を実現することができるという効果が得られる。
【0072】
また、記憶部7に、管理者等が担当者に優先して作業することができるように各作業者の優先順位が記憶されるので、設定された優先順位に対応する担当者、責任者、管理者といった役割や立場を示すアクセスレベルを重量選別機1の制御部、外部のコンピュータ、生産管理用モニタなどに対して、作業者名と関連付けて出力することが可能となるという効果が得られる。このような作業者名と関連付けたアクセスレベルが出力されると、管理上の必要性や重要性に応じて、さらに多様な管理形態での管理を実現することができるようになるという効果が得られる。
【0073】
また、表示部6は、担当者の作業者名と管理者等の作業者名とを表示することができるので、重量選別機1にログイン済みの複数の作業者の作業者名を、重量選別機1を操作している作業者自身が容易に確認できるようになり、例えば、作業の引継ぎや連絡を円滑に進めることができるという効果が得られる。
【0074】
また、表示部6は、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)、図6(a)、(b)に示すように、担当者の操作のための情報を表示する担当者向け画面と、管理者等の操作のための情報を表示する管理者向け画面とを表示することができるので、以下の効果が得られる。すなわち、アクセスレベルの異なる複数の作業者が重量選別機1にログインしていても、各作業者のアクセスレベルに応じた操作や管理を行うための情報が適切に表示されるので、作業者の誤操作を少なくすることができ、作業者の操作の煩わしさをなくすことができるという効果が得られる。特に、図6(a)、(b)に示す表示形態においては、担当者向け画面を覆うようにして管理者向け画面が表示されるので、各作業者のアクセスレベルに応じた複数の表示画面を、サイズの小さなモニタであっても視認性を損なうことなく表示することができるという効果が得られる。
【0075】
また、表示部6は、管理者向け画面を表示した状態で、操作部14からの所定操作入力がなく所定時間が経過したときに、元の担当者向け画面に変えて表示するよう構成されているので、管理者等の操作終了時のログアウト忘れなどで管理者向け画面が表示された状態が長時間放置されることがなくなり、管理面での安全性が高まるという効果が得られる。
また、表示部6は、モニタ1およびモニタ2のように複数のモニタで構成することもでき、モニタ1には担当者向け画面を、モニタ2には管理者向け画面を表示することができる。その結果、複数の作業者のアクセスレベルに応じた表示画面を適切な操作位置に複数配置する場合にも、各操作位置において複数の作業者がログインしている状態を表示することができるという効果が得られる。
【0076】
実施形態に係る重量選別機1においては、担当者の作業中に割り込んで作業を行おうとする他の担当者が、管理者等であるか否かを識別する識別部8を備えている。そして、表示部6は、識別部8により他の担当者が管理者等であることが識別されたとき、管理者等の作業者名を作業中の担当者の作業者名と同時に表示する一方、識別部8により他の担当者が管理者等でないことが識別されたとき、作業中の担当者の作業者名に代えて他の担当者の作業者名を表示するよう構成されている。
【0077】
その結果、担当者の作業中に割り込もうとする他の担当者が、管理者等であるか否かが識別されるので、担当者の作業中に他の担当者が作業を行う割り込み作業の際に手間が掛らず、作業を円滑に進めることができる。すなわち、識別部8により割り込もうとする他の担当者が管理者等であることが識別されたときは、管理者等の作業者名が作業中の担当者の作業者名と同時に表示されるので、割り込もうとする担当者自身が管理者等であることを認識することができる。また、割り込もうとする他の担当者が管理者等でないことが識別されたときは、作業中の担当者の作業者名に代えて割り込もうとする他の担当者の作業者名が表示されるので、割り込もうとする担当者自身が管理者等ではなく、作業中の担当者から割り込もうとする他の担当者に交代したことを認識することができるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本発明によれば、作業者の作業中に他の作業者が作業を行う割り込み作業の際に手間が掛らず、作業を円滑に進めることができるだけでなく、生産ラインの一部として管理上有用な作業者情報を記憶し、出力することができる物品検査装置を提供することができ、広く物品の品質を検査する装置、例えば、各種の重量選別機、X線異物検出装置、金属検出装置などの品質を維持する検査装置に有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 重量選別機(物品検査装置)
2 装置本体
3 搬送部(搬送手段)
4 投受光部
5 選別部
6 表示部(表示手段)
7 記憶部(記憶手段)
8 識別部(作業者識別手段)
9 電源部
11 搬送制御部
12 重量選別部
14 操作部(操作手段)
16 収納筐体
図1
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図11