特許第6181958号(P6181958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

特許6181958帯電防止性粘着シート、及び、光学フィルム
<>
  • 特許6181958-帯電防止性粘着シート、及び、光学フィルム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181958
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】帯電防止性粘着シート、及び、光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20170807BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20170807BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20170807BHJP
   C09K 3/16 20060101ALI20170807BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20170807BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20170807BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J133/00
   C09J9/02
   C09K3/16 102J
   C09K3/16 104C
   C09K3/16 106E
   C09K3/16 108C
   B32B27/00 M
   B32B27/30 A
   B32B27/18 D
【請求項の数】8
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-69807(P2013-69807)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189787(P2014-189787A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山形 真人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昌之
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−117046(JP,A)
【文献】 特開2010−177542(JP,A)
【文献】 特開2011−202161(JP,A)
【文献】 特開2013−185007(JP,A)
【文献】 特開2009−040996(JP,A)
【文献】 特開2006−116809(JP,A)
【文献】 特開2012−111937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電防止性基材フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を有する帯電防止性粘着シートであって、
前記粘着剤層が、少なくとも、反応性イオン液体をモノマー単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーを含有する帯電防止性粘着剤組成物から形成されるものであり、
前記帯電防止性粘着剤組成物が、ポリエーテル変性シロキサン化合物を含まず、
前記反応性イオン液体が、下記一般式(1)、及び/又は、(2)で示される反応性イオン液体であり、
引張速度30m/min、剥離角度が180°で剥離した時の粘着力が、6.0N/25mm未満であり、
飽和帯電圧(絶対値)が、0.6kV以下であり、
前記帯電防止性基材フィルムが、基材層の少なくとも片面に帯電防止層を有するものであり、
前記帯電防止層が、金属膜、導電性フィラー、電子伝導性ポリマー、及び、イオン伝導性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含有する層であることを特徴とする帯電防止性粘着シート。
CH=C(R)COOZX (1)
CH=C(R)CONHZX (2)
[式(1)及び(2)中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Xは、カチオン部、Yは、アニオンである。Zは、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。]
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位中、前記反応性イオン液体を0.1〜50質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性粘着シート。
【請求項3】
前記カチオン部が、第4級アンモニウム基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電防止性粘着シート。
【請求項4】
前記アニオンが、含フッ素系アニオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着シート。
【請求項5】
前記イオン伝導性ポリマーが、反応性イオン液体をモノマー単位として含むポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの1項に記載の帯電防止性粘着シート。
【請求項6】
前記基材層が、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着シート。
【請求項7】
表面保護用途に使用することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着シート。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着シートを、光学フィルムに貼付することを特徴とする帯電防止性粘着シート付き光学フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性粘着シート、及び、光学フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、帯電防止性、粘着特性、及び、低汚染性に優れ、特に、ゴミやホコリなどの付着、静電気による電子部品の破壊を抑制することができる粘着剤層を有する帯電防止性粘着シート、及び、前記粘着シートを貼付した光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックなどの絶縁抵抗性の高い製品は、プラスチック同士又は他の物体との摩擦、あるいは、貼付後、剥離する際などに発生した静電気を漏洩することができず、蓄積する(帯電する)性質を有している。このため、空気中のゴミやホコリなどの吸着が生じたり、紙同士やフィルム同士の貼付きが生じたり、あるいは電撃による不快感のほか、電子・電気機器やOA機器などでは、静電気による誤作動やメモリー破壊などの様々な静電気障害を引き起こす恐れがある。このような障害を避けるには、被帯電体の表面固有抵抗を制御することが必要であり、そのために、通常、帯電防止剤が使用される。
【0003】
一般に、プラスチック製品の帯電防止方法としては、帯電防止剤を内部添加(練り込み)する方法と、表面に塗布する方法とが知られている。また、帯電防止性が要求される粘着シート(粘着テープ)や表面保護フィルムなどは、帯電防止剤を内部添加したプラスチック基材フィルムの片面に粘着剤層を設けるか、あるいは、プラスチック基材フィルムの片面に粘着剤層を設け、その反対面に帯電防止層を設けるか、あるいは、粘着剤層に帯電防止剤を添加する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、帯電防止剤を内部添加したプラスチック基材フィルムは、本来の特性が損なわれるおそれがあり、また、粘着剤層の反対面に帯電防止層を設けた場合は、前記帯電防止層上に、例えば、易印刷性層やハードコート層を形成する場合、密着性が低下するという問題が生じるおそれがある。また、摩擦や擦れ、浸水によって帯電防止層が脱落し、帯電防止性が維持できない可能性も生じる。また、粘着剤層中に帯電防止剤を添加する場合、帯電防止剤が、粘着剤層と接触する被着体(被保護体)側に、ブリードアウトし、前記被着体を汚染したり、粘着特性を低下させる恐れがある(特許文献1)。
【0005】
その他、粘着シート等に帯電防止性を付与する方法として、基材フィルムと粘着剤層の間に、帯電防止性を有する中間層(帯電防止層)を設ける方法が知られている(特許文献2)。前記帯電防止層は、中間層であるため、基材フィルムの外表面に設けた帯電防止層のように、脱落したり、帯電防止剤が被着体側にブリードアウトする問題を解消することができる。しかし、前記帯電防止層の場合、帯電防止剤であるイオン性バインダー樹脂を構成するイオン性官能基の対アニオンが、塩素イオンであるため、これが作用して耐熱性が劣り、腐食を発生させる恐れがある。また、帯電防止層が、最外層ではないため、電荷の漏えい効果(帯電防止効果)が十分ではなく、問題が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−128539号公報
【特許文献2】特開2007−31534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、従来の帯電防止性粘着シートにおける問題点を解消すべく、帯電防止性、粘着特性、及び、低汚染性に優れ、特に、ゴミやホコリなどの付着、静電気による電子部品の破壊を抑制することができる粘着剤層を有する帯電防止性粘着シート、及び、光学フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の帯電防止性粘着シートは、帯電防止性基材フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を有する帯電防止性粘着シートであって、前記粘着剤層が、少なくとも、反応性イオン液体をモノマー単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーを含有する帯電防止性粘着剤組成物から形成されるものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の帯電防止性粘着シートは、前記(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位中、前記反応性イオン液体を0.1〜50質量%含有することが好ましい。
【0010】
本発明の帯電防止性粘着シートは、前記反応性イオン液体が、下記一般式(1)、及び/又は、(2)で示される反応性イオン液体であることが好ましい。
CH=C(R)COOZX (1)
CH=C(R)CONHZX (2)
[式(1)及び(2)中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Xは、カチオン部、Yは、アニオンである。Zは、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。]
【0011】
本発明の帯電防止性粘着シートは、前記カチオン部が、第4級アンモニウム基であることが好ましい。
【0012】
本発明の帯電防止性粘着シートは、前記アニオンが、含フッ素系アニオンであることが好ましい。
【0013】
本発明の帯電防止性粘着シートは、前記帯電防止性基材フィルムが、基材層の少なくとも片面に帯電防止層を有するものであり、前記帯電防止層が、金属膜、導電性フィラー、電子伝導性ポリマー、及び、イオン伝導性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含有する層であることが好ましい。なお、帯電防止性基材フィルムとは、帯電防止処理フィルムを意味する場合がある。
【0014】
本発明の帯電防止性粘着シートは、前記イオン伝導性ポリマーが、反応性イオン液体をモノマー単位として含むポリマーであることが好ましい。
【0015】
本発明の帯電防止性粘着シートは、前記基材層が、プラスチックフィルムであることが好ましい。
【0016】
本発明の帯電防止性粘着シートは、表面保護用途に使用することが好ましい。
【0017】
本発明の帯電防止性粘着シートは、電子部品製造・出荷工程で使用することが好ましい。
【0018】
本発明の帯電防止性粘着シート付き光学フィルムは、前記帯電防止性粘着シートを、光学フィルムに貼付することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】帯電防止性粘着シートの構成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
<帯電防止性粘着シート>
本発明の帯電防止性粘着シート(以下、単に、「粘着シート」という場合がある。)は、帯電防止性基材フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を有する帯電防止性粘着シートであって、前記粘着剤層が、少なくとも、反応性イオン液体をモノマー単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーを含有する帯電防止性粘着剤組成物(以下、単に、粘着剤組成物という場合がある。)から形成されるものであることを特徴とする。具体的に前記帯電防止性粘着シートとして、典型的な構成例を図1に模式的に示す。ここで、帯電防止性粘着シート10は、基材層(例えばポリエステルフィルム)14、その片面に設けられた帯電防止層13、更に、前記帯電防止層13上に粘着剤層12とを備えるものが挙げられる。前記帯電防止性粘着シート10は、前記粘着剤層12を被着体(保護対象、例えば偏光板等の光学部品の表面)に貼り付けて使用される。使用前(すなわち、被着体への貼付前)の前記帯電防止性粘着シート10は、図1に示すように、粘着剤層12の表面(被着体への貼付面)が、少なくとも前記粘着剤層12側が剥離面となっているセパレーター11によって保護された形態で存在してもよい。以下に、前記帯電防止性粘着シートの構成について、詳細に説明する。なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0022】
<粘着剤組成物、及び、粘着剤層>
本発明の帯電防止性粘着シートを構成する粘着剤層は、少なくとも、反応性イオン液体を、モノマー単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーを必須成分として含有する。なお、本発明における「反応性イオン液体」とは、重合性(反応性の二重結合)を有する官能基をイオン液体を構成するカチオン部、及び/又は、アニオン部(いずれか、又は両方)を有するイオン液体であり、0〜150℃の範囲内のいずれかで液体(液状)であり、かつ、不揮発性の溶融塩で、透明性を有するものを意味する。また、前記重合性を有する官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等があげられる。中でも、共重合性の観点から、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
【0023】
前記反応性イオン液体のカチオン部としては、特に制限なく使用できるが、第4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリニジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、第4級ホスホニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、ピロールカチオン、ピラゾリウムカチオン、グアニジウムカチオン等があげられ、中でも、第4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリニジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、第4級ホスホニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオンを使用することがより好ましい
【0024】
また、前記反応性イオン液体を構成するアニオン部の内、前記アニオンとしては、SCN、BF、PF、NO、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、(FSO、(CFSO、(CFSO、AsF、SbF、NbF、TaF、F(HF)、(CN)、CSO、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N、B(CN)、C(CN)、N(CN)、CHOSO、COSO、COSO、C13OSO、C17OSO、p−トルエンスルホネートアニオン、2−(2−メトキシエチル)エチルサルフェートアニオン、(CPFなどが挙げられ、特に、フッ素原子を含むアニオン成分(含フッ素系アニオン)は、低融点のイオン液体を得られ、帯電防止性に優れる点で好ましい。なお、アニオンとして、塩素イオン、臭素イオンなどは、腐食性を有する点で、使用しないことが好ましい。
【0025】
前記反応性イオン液体としては、上記カチオン部、アニオン部の組み合わせから適宜選択して用いられるものであるが、具体的には、下記に示す各種イオン液体があげられる。
【0026】
イミダゾリウムカチオン系イオン液体としては、
1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムジシアンアミド、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムチオシアネート、等の1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
1,2−ジアルキル−3−ビニルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1,2−ジアルキル−3−ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジアルキル−3−ビニルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジアルキル−3−ビニルイミダゾリウムチオシアネート、等の1,2−ジアルキル−3−ビニルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
2−アルキル−1,3−ジビニルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2−アルキル−1,3−ジビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−アルキル−1,3−ジビニルイミダゾリウムジシアンアミド、2−アルキル−1,3−ジビニルイミダゾリウムチオシアネート、等の2−アルキル−1,3−ジビニルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
1−ビニルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ビニルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ビニルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ビニルイミダゾリウムチオシアネート、等の1−ビニルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムチオシアネート、等の1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムチオシアネート、等の1−アルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムチオシアネート、等の1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムチオシアネート、等の1,2−ジアルキル−3−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシイミダゾリウムチオシアネート、等の2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルアミノイミダゾリウムチオシアネート、等の2−アルキル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムチオシアネート、等の1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、
1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムジシアンアミド、1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムチオシアネート、等の1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルイミダゾリウムカチオン含有イオン液体、があげられる。
なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1〜16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6である。
【0027】
ピリジニウムカチオン系イオン液体としては、
1−ビニルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ビニルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ビニルピリジニウムジシアンアミド、1−ビニルピリジニウムチオシアネート、等の1−ビニルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムジシアンアミド、1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムチオシアネート、等の1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムジシアンアミド、1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムチオシアネート、等の1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
2−アルキル−1−ビニルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2−アルキル−1−ビニルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−アルキル−1−ビニルピリジニウムジシアンアミド、2−アルキル−1−ビニルピリジニウムチオシアネート、等の2−アルキル−1−ビニルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムジシアンアミド、2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムチオシアネート、等の2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムジシアンアミド、2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムチオシアネート、等の2−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
3−アルキル−1−ビニルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−アルキル−1−ビニルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アルキル−1−ビニルピリジニウムジシアンアミド、3−アルキル−1−ビニルピリジニウムチオシアネート、等の3−アルキル−1−ビニルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムジシアンアミド、3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムチオシアネート、等の3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムジシアンアミド、3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムチオシアネート、等の3−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
4−アルキル−1−ビニルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4−アルキル−1−ビニルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−アルキル−1−ビニルピリジニウムジシアンアミド、4−アルキル−1−ビニルピリジニウムチオシアネート、等の4−アルキル−1−ビニルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムジシアンアミド、4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムチオシアネート、等の4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピリジニウムカチオン含有イオン液体、
4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムジシアンアミド、4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムチオシアネート、等の4−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピリジニウムカチオン含有イオン液体、があげられる。
なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1〜16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6である。
【0028】
ピペリニジニウムカチオン系イオン液体としては、
1−アルキル−1−ビニルアルキルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アルキル−1−ビニルアルキルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−1−ビニルアルキルピペリジニウムジシアンアミド、1−アルキル−1−ビニルアルキルピペリジニウムチオシアネート、等の1−アルキル−1−ビニルアルキルピペリジニウムカチオン含有イオン液体、
1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムジシアンアミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムチオシアネート、等の1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピペリジニウムカチオン含有イオン液体、
1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムジシアンアミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムチオシアネート、等の1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピペリジニウムカチオン含有イオン液体、があげられる。
なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1〜16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6である。
【0029】
ピロリジニウムカチオン系イオン液体としては、
1−アルキル−1−ビニルアルキルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アルキル−1−ビニルアルキルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−1−ビニルアルキルピロリジニウムジシアンアミド、1−アルキル−1−ビニルアルキルピロリジニウムチオシアネート、等の1−アルキル−1−ビニルアルキルピロリジニウムカチオン含有イオン液体、
1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムジシアンアミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムチオシアネート、等の1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルオキシアルキルピロリジニウムカチオン含有イオン液体、
1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムジシアンアミド、1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムチオシアネート、等の1−アルキル−1−(メタ)アクリロイルアミノアルキルピロリジニウムカチオン含有イオン液体、があげられる。
なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1〜16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6である。
【0030】
トリアルキルスルホニウムカチオン系イオン液体としては、
ジアルキル(ビニル)スルホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアルキル(ビニル)スルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアルキル(ビニル)スルホニウムジシアンアミド、ジアルキル(ビニル)スルホニウムチオシアネート、等のジアルキル(ビニル)スルホニウムカチオン含有イオン液体、
ジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムジシアンアミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムチオシアネート、等のジアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)スルホニウムカチオン含有イオン液体、
ジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムジシアンアミド、ジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムチオシアネート、等のジアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)スルホニウムカチオン含有イオン液体、があげられる。
なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1〜16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6である。
【0031】
第4級ホスホニウムカチオン系イオン液体としては、
トリアルキル(ビニル)ホスホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリアルキル(ビニル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリアルキル(ビニル)ホスホニウムジシアンアミド、トリアルキル(ビニル)ホスホニウムチオシアネート、等のトリアルキル(ビニル)ホスホニウムカチオン含有イオン液体、
トリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムジシアンアミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムチオシアネート、等のトリアルキル((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスホニウムカチオン含有イオン液体、
トリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムジシアンアミド、トリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムチオシアネート、等のトリアルキル((メタ)アクリロイルアミノアルキル)ホスホニウムカチオン含有イオン液体、があげられる。
なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1〜16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6である。
【0032】
また、第4級アンモニウムカチオン系イオン液体としては、
N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムトリフルオロアセテート、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムヘプタフルオロブチレート、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムペルフルオロブタンスルホネート、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムジシアンアミド、N,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムチオシアネート、等のN,N,N−トリアルキル−N−ビニルアンモニウムカチオン含有イオン液体、
N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムトリフルオロアセテート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムヘプタフルオロブチレート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムペルフルオロブタンスルホネート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムジシアンアミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムチオシアネート、等のN,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルオキシアルキルアンモニウムカチオン含有イオン液体、
N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムトリフルオロアセテート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムヘプタフルオロブチレート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムペルフルオロブタンスルホネート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムジシアンアミド、N,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムチオシアネート、等のN,N,N−トリアルキル−N−(メタ)アクリロイルアミノアルキルアンモニウムカチオン含有イオン液体、があげられる。
なお、前記アルキル置換基としては、炭素数1〜16のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6である。
【0033】
更に、前記反応性イオン液体としては、特に制限なく使用することができるが、下記一般式(1)、及び/又は、(2)で示される反応性イオン液体であることが、より好ましい。反応性イオン液体をモノマー単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーを帯電防止性粘着剤組成物に含有することにより、前記帯電防止性粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、帯電防止効果を発揮する前記反応性イオン液体を、ポリマー骨格中に組み込むことができるため、帯電防止成分のブリードアウトを抑制することができる。また、前記反応性イオン液体は、0〜150℃の範囲内のいずれかで液体(液状)であり、かつ、不揮発性の溶融塩で、透明性を有するため、得られる粘着剤層は、帯電防止性(高導電性)、耐熱性(熱的安定性)、透明性、及び低汚染性を満足でき、有用である。また、帯電防止剤成分が、液体の反応性イオン液体であるため、帯電防止性粘着剤組成物(溶液)とした際に、帯電防止性基材フィルム上に塗布すると、均一な塗膜の形成が容易であり、作業性にも優れる点でも、好ましい。
CH=C(R)COOZX (1)
CH=C(R)CONHZX (2)
【0034】
なお、前記式(1)及び(2)中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Xは、カチオン部、Yは、アニオンである。Zは、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。
【0035】
前記一般式(1)、及び/又は、(2)で示される反応性イオン液体を構成するカチオン部(X)としては、第4級アンモニウム基、イミダゾリウム基、ピリジニウム基、ピペリニジニウム基、ピロリジニウム基、ピロール基、第4級ホスホニウム基、トリアルキルスルホニウム基、ピラゾリウム基、グアニジウム基などが挙げられる。これらの中でも、特に、第4級アンモニウム基であることが、透明性に優れ、電子・光学用途に好ましい態様となる。また、第4級アンモニウム基は、分子内に重合性官能基以外の不飽和結合を有しておらず、紫外線(UV)硬化の際に、一般的なラジカル重合反応を阻害しにくく、硬化性が高いことが推測され、帯電防止層を形成するのに好適である。
【0036】
前記第4級アンモニウム基としては、具体的に、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリプロピルアンモニウム基、メチルジエチルアンモニウム基、エチルジメチルアンモニウム基、メチルジプロピルアンモニウム基、ジメチルベンジルアンモニウム基、ジエチルベンジルアンモニウム基、メチルジベンジルアンモニウム基、エチルジベンジルアンモニウム基等が挙げられるが、中でも特に、トリメチルアンモニウム基、メチルベンジルアンモニウム基が安価な工業材料を入手し易い点で、好ましい態様となる。
【0037】
また、前記一般式(1)、及び/又は、(2)で示される反応性イオン液体を構成するアニオン(部位)(Y)内、前記アニオンとしては、SCN、BF、PF、NO、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、(FSO、(CFSO、(CFSO、AsF、SbF、NbF、TaF、F(HF)、(CN)、CSO、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N、B(CN)、C(CN)、N(CN)、CHOSO、COSO、COSO、C13OSO、C17OSO、p−トルエンスルホネートアニオン、2−(2−メトキシエチル)エチルサルフェートアニオン、(CPFなどが挙げられ、特に、フッ素原子を含むアニオン成分(含フッ素系アニオン)は、低融点のイオン液体を得られ、帯電防止性に優れる点で好ましい。なお、アニオンとして、塩素イオン、臭素イオンなどは、腐食性を有する点で、使用しないことが好ましい。
【0038】
前記一般式(1)、及び/又は、(2)で示される反応性イオン液体を構成する前記カチオン(部位)とアニオン(部位)との組み合わせとして、特に好ましいのは、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸などである。
【0039】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位(全モノマー単位(成分):100質量%)中、前記反応性イオン液体は、0.1〜50質量%含有することが好ましく、1〜30質量%含有するものがより好ましく、3〜20質量%含有するものが特に好ましい。前記反応性イオン液体の配合割合が、前記範囲内にあると、優れた帯電防止性、透明性、耐熱性(熱的安定性)、及び、低汚染性を発揮できる観点から好ましい。
【0040】
前記反応性イオン液体の一般的な合成方法としては、目的とするイオン液体が得られれば、特に限定されないが、文献“イオン液体−開発の最前線と未来−”[(株)シーエムシー出版発行]、文献“Polymer,Vol.52,P.1469−1482(2011)” 、文献“最先端材料システムOne Point2 イオン液体”[(株)共立出版発行]に記載されているような、4級化・イオン交換法、直接4級化法、炭酸エステル4級化法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法などが用いられる。
【0041】
前記反応性イオン液体以外のその他の重合性を有するモノマー単位(成分)として、炭素数1〜20であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分(モノマー単位)として有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物から形成されることが好ましい。なお、前記「主成分」とは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー単位(成分)の内、最も構成割合の高いモノマーを意味する。
【0042】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー単位(成分)としては、粘着特性が得られることから、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いることがより好ましく、更に好ましくは、炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、1種または2種以上を使用することができる。
【0043】
前記炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーとしては、前記炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー単位(成分)として、50〜99質量%含有するものが好ましく、60〜98質量%含有するものがより好ましく、70〜97質量%が更に好ましい。前記モノマー単位(成分)が前記範囲内にあると、粘着剤組成物に適度な濡れ性と凝集力を得る観点から好ましい。
【0044】
本発明において、前記炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0045】
なかでも、本発明の帯電防止性粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合には、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適なものとしてあげられる。炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
【0046】
また、その他の重合性を有するモノマー単位(成分)として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0047】
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられるその他の重合性モノマーとしては、特に架橋の制御が容易に行えることからヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー)が好ましく用いられる。また、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外にも、更にその他のモノマー成分(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。これらモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0048】
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、粘着剤組成物の架橋などを制御しやすくなり、ひいては流動による濡れ性の改善と剥離における粘着力の低減とのバランスを制御しやすくなる。さらに、一般に架橋部位として作用しうる上述のカルボキシル基やスルホネート基などとは異なり、ヒドロキシル基は、反応性イオン液体、及び、帯電防止剤として添加(配合)することができるイオン性化合物(前記アルカリ金属塩及びイオン液体など)と適度な相互作用を有するため、帯電防止性の面においても、好適に用いることができる。前記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0049】
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを含む場合において、前記(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位(全モノマー単位(成分):100質量%)に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーが0〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、2〜30質量%であることがもっとも好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤組成物の濡れ性と凝集力のバランスを制御しやすくなるため、好ましい。
【0050】
更に、その他の共重合性モノマーの具体的な例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;
スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;
2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン等の(N−置換)アミド系モノマー;
N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;
N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;
N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン、N−ビニルピラゾール、N−ビニルイソオキサゾール、N−ビニルチアゾール、N−ビニルイソチアゾール、N−ビニルピリダジン等の窒素含有複素環系モノマー;
N−ビニルカルボン酸アミド類;
N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;
(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;
イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
ビニルトルエン、スチレン等の芳香族ビニル化合物;
エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィンまたはジエン類;
ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;
塩化ビニル;
ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有モノマー;
シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;
2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;
アクリロイルモルホリン;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル;
等が挙げられる。なお、これらの共重合性モノマーは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0051】
本発明において、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、前記(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位(全モノマー単位(成分))中0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましく、0〜10質量%であることが特に好ましい。前記その他の重合性モノマーを、前記範囲内で用いることにより、再剥離性を適宜調節することができる。
【0052】
本発明に用いられる粘着剤組成物に含有される(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)としては、10万〜500万が好ましく、より好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万、特に好ましくは30万〜100万であることが好ましい。重量平均分子量が、10万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し、例えば、被着体に対して、濡れが不十分となり、粘着力が不足する場合がある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
【0053】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下、更に好ましくは−40℃以下、特に好ましくは−50℃以下、最も好ましくは−60℃以下である(通常−100℃以上)。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく、例えば、被着体への濡れが不十分となり、粘着力が不足する場合がある。特にガラス転移温度を−60℃以下にすることで、被着体(偏光板など)への濡れ性と軽剥離性に優れる粘着剤組成物が得られ易くなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
【0054】
本発明において、(メタ)アクリル系ポリマーが共重合体の場合(たとえば、帯電防止剤組成物や粘着剤組成物などに含まれるもの)、そのガラス転移温度(Tg)は、以下の式(3)(Fox式)に基づいて計算された値である。
【0055】
1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+Wn/Tg (3)
[式(3)中、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Tg(i=1、2、・・・n)は、モノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)、W(i=1、2、・・・n)は、モノマーiの全モノマー成分中の質量分率を表す。]
【0056】
またモノマーiのガラス転移温度Tgiは、文献(例えばポリマーハンドブック、粘着ハンドブック等)、カタログ等に記載された公称値である。
【0057】
なお、本明細書において、「ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度」とは、「当該モノマーの単独重合体のガラス転移温度」を意味し、あるモノマー(「モノマーX」と称する場合がある)のみをモノマー成分として形成される重合体のガラス転移温度(Tg)を意味する。具体的には、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons,Inc,1989年)に数値が挙げられている。
なお、前記文献に記載されていない単独重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば、以下の測定方法により得られる値をいう。
すなわち、温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマーX100質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部及び重合溶媒として酢酸エチル200質量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33質量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。そして、この試験サンプルをアルミニウム製のオープンセルに約1〜2mg秤量し、温度変調DSC(商品名「Q−2000」、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、50ml/minの窒素雰囲気下で昇温速度5℃/minにて、ホモポリマーのReversing Heat Flow(比熱成分)挙動を得る。
JIS−K−7121を参考にして、得られたReversing Heat Flowの低温側のベースラインと高温側のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度をホモポリマーとしたときのガラス転移温度(Tg)とする。
【0058】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、放射線硬化重合などの公知の方法により重合できる。本実施形態の帯電防止性粘着シートを後述する表面保護用途に用いる場合、粘着シートの生産性の観点から、溶液重合、乳化重合を好適に用いることができる。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0059】
本発明における粘着剤層は、上記(メタ)アクリル系ポリマー等を含有する粘着剤組成物を架橋してなることが好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択および添加比率等を適宜調節して架橋することにより、より耐熱性に優れた粘着剤層(帯電防止性粘着シート)を得ることができる。
【0060】
本発明に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、オキサゾリン架橋剤、シリコーン架橋剤、シラン架橋剤、および金属キレート化合物などが用いられる。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物がより好ましく用いられ、特に好ましくはイソシアネート化合物(イソシアネート系架橋剤)である。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0061】
前記イソシアネ−ト化合物(イソシアネート系架橋剤)としては、たとえば、ブチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−トなどの低級脂肪族ポリイソシアネ−ト類、シクロペンチレンジイソシアネ−ト、シクロヘキシレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂環族イソシアネ−ト類、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−トなどの芳香族イソシアネ−ト類、トリメチロ−ルプロパン/トリレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名コロネ−トL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロ−ルプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名コロネ−トHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネ−ト付加物などがあげられる。あるいは、1分子中に少なくとも1つ以上のイソシアネート基と、1つ以上の不飽和結合を有する化合物、具体的には、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートなどもイソシアネート系架橋剤として使用することができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0062】
前記エポキシ化合物としては、たとえば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0063】
前記メラミン系樹脂としては、ヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。また、前記アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU(相互薬工社製)、商品名TAZM(相互薬工社製)、商品名TAZO(相互薬工社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
前記金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0065】
本発明の粘着剤組成物に用いられる架橋剤の含有量(使用量)は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し、0.01〜20質量部含有されていることが好ましく、0.5〜15質量部含有されていることがより好ましく、0.5〜10質量部含有されていることがさらに好ましい。含有量が0.01質量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が20質量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、例えば、被着体への濡れが不十分となって、粘着力が不足する場合がある。
【0066】
ここに開示される粘着剤組成物には、さらに、上述したいずれかの架橋反応をより効果的に進行させるための架橋触媒を含有させることができる。かかる架橋触媒として、例えば、スズ系触媒(特にジラウリン酸ジオクチルスズ)を好ましく用いることができる。架橋触媒(例えば、ジラウリン酸ジオクチルスズ等のスズ系触媒)の含有量(使用量)は、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、おおよそ0.001〜1質量部とすることができる。
【0067】
ここに開示される粘着剤組成物には、更に、ケト−エノール互変異性を生じる化合物を含有させることができる。例えば、架橋剤を含む粘着剤組成物または架橋剤を配合して使用され得る粘着剤組成物において、前記ケト−エノール互変異性を生じる化合物を含む態様を好ましく採用することができる。これにより、架橋剤配合後における粘着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、該組成物のポットライフを延長する効果が実現され得る。前記架橋剤として少なくともイソシアネート化合物を使用する場合には、ケト−エノール互変異性を生じる化合物を含有させることが特に有意義である。この技術は、例えば、前記粘着剤組成物が有機溶剤溶液または無溶剤の形態である場合に好ましく適用され得る。
【0068】
前記ケト−エノール互変異性を生じる化合物としては、各種のβ−ジカルボニル化合物を用いることができる。具体例としては、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert−ブチル等のアセト酢酸エステル類;プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸tert−ブチル等のプロピオニル酢酸エステル類;イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸tert−ブチル等のイソブチリル酢酸エステル類;マロン酸メチル、マロン酸エチル等のマロン酸エステル類;等が挙げられる。なかでも好適な化合物として、アセチルアセトンおよびアセト酢酸エステル類が挙げられる。かかるケト−エノール互変異性を生じる化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0069】
前記ケト−エノール互変異性を生じる化合物の含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば0.1〜20質量部とすることができ、通常は0.5〜15質量部(例えば1〜10質量部)とすることが適当である。前記化合物の量が少なすぎると、十分な使用効果が発揮され難くなる場合がある。一方、前記化合物を必要以上に多く使用すると粘着剤層に残留し凝集力を低下させる場合がある。
【0070】
また、本発明において、架橋剤として、放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーを添加することができる。かかる場合には、放射線などを照射することにより粘着剤組成物を架橋させる。一分子中に放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーとしては、たとえば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基などの放射線の照射で架橋処理(硬化)することができる1種または2種以上の放射線反応性基を2個以上有する多官能モノマー成分があげられる。また、前記多官能モノマーとしては、一般的には放射線反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0071】
前記多官能モノマーの具体例としては、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどがあげられる。
【0072】
前記多官能モノマーの配合量(使用量)は、架橋すべき(メタ)アクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートの使用用途によって適宜選択される。アクリル系粘着剤の凝集力により十分な耐熱性を得るには、一般的には、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.1〜30質量部で配合するのが好ましい。また柔軟性、接着性の点から(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、10質量部以下で配合するのがより好ましい。
【0073】
放射線としては、たとえば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線などがあげられるが、制御性および取り扱い性の良さ、コストの点から紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。なお、放射線として紫外線を用いる場合にはアクリル粘着剤に、以下に示す光重合開始剤を添加することができる。
【0074】
前記光重合開始剤としては、放射線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。
【0075】
前記光ラジカル重合開始剤として、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾインなどのベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0076】
また、前記光カチオン重合開始剤として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0077】
前記光重合開始剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し、通常0.1〜10質量部配合し、0.2〜7質量部の範囲で配合するのが好ましい。前記範囲内にあると、重合反応を制御しやすく、適度な分子量を得る観点から、好ましい。
【0078】
さらにアミン類などの光開始重合助剤を併用することも可能である。前記光開始助剤としては、たとえば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。重合開始助剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し、0.05〜10質量部配合するのが好ましく、0.1〜7質量部の範囲で配合するのがより好ましい。前記範囲内にあると、重合反応を制御しやすく、適度な分子量を得る観点から、好ましい。
【0079】
上述のように任意成分とする光重合開始剤を添加した場合において、前記粘着剤組成物を、被着体(被保護体)上に直接塗工するか、あるいはセパレーター等の所定の被塗布体に塗工した後に、または、帯電防止性基材フィルム(単に、「基材フィルム」という場合がある。)上の片面に塗工した後、光照射することにより粘着剤層を得ることができる。通常は、波長300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cmである紫外線を、光量200〜4000mJ/cm程度照射して光重合させることにより粘着剤層が得られる。
【0080】
さらに前記粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、導電剤(帯電防止剤)、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。特に、前記導電剤(帯電防止剤)としては、例えば、アルカリ金属塩やイオン液体(前記反応性イオン液体も含む)などのイオン性化合物を使用することが、好ましい態様である。
【0081】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を帯電防止性基材フィルム上に形成してなるものであるが、その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を帯電防止性基材フィルム上に転写することも可能である。
【0082】
また、前記帯電防止性基材フィルム上に粘着剤層を形成する方法は、特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物(溶液)を帯電防止性基材フィルム上に塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して、粘着剤層を帯電防止性基材フィルム上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物(溶液)を帯電防止性基材フィルム上に塗布して帯電防止性粘着シートを作製する際には、帯電防止性基材フィルム上に均一に塗布できるよう、粘着剤組成物中に重合溶剤以外の1種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0083】
また、本発明の粘着シートを製造する際の粘着剤層の形成方法としては、粘着テープ類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
【0084】
本発明の粘着シートは、通常、前記粘着剤層の厚みが3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度、更に好ましくは10〜30μm程度となるように作製する。粘着剤層の厚みが、前記範囲内にあると、適度な再剥離性と粘着性のバランスを得やすいため、好ましい。
【0085】
本発明の粘着シート(表面保護フィルム)には必要に応じて、粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。
【0086】
前記セパレーターを構成する材料としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0087】
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度、更に好ましくは15〜50μm程度である。前記範囲内にあると、粘着剤層への貼り合せ作業性と粘着剤層からの剥離作業性に優れるため、好ましい。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
【0088】
<帯電防止性基材フィルム>
本発明の粘着シートを構成する帯電防止性基材フィルムとしては、公知のものを使用でき、特に制限されないが、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に、可とう性を有するプラスチックフィルムであることが好ましい。前記帯電防止性基材フィルムが、可とう性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
【0089】
前記プラスチックフィルムとしては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば、特に限定されるものでなく、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
【0090】
また、前記帯電防止性基材フィルムには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理をすることもできる。
【0091】
前記帯電防止性基材フィルムとしては、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理を施されたものであることが好ましく、前記帯電防止性基材フィルムとしては、基材層の少なくとも片面に帯電防止層を有するものであることがより好ましく、前記帯電防止層が、金属膜、導電性フィラー、電子伝導性ポリマー、及び、イオン伝導性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含有する層であることが、更に好ましい。
【0092】
特に、本発明の粘着シートを表面保護用途のフィルムとして用いる場合は、剥離した際の表面保護フィルム自身の帯電が、より有効に抑えられ、かつ、被着体(被保護体)への帯電防止能において、より優れたものが得られるため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性表面保護フィルムとして非常に有用となる。
【0093】
まず、前記基材層の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法としては、帯電防止剤(導電剤)と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や、導電性ポリマー(電子伝導性ポリマー)、イオン伝導性ポリマー、導電性物質(導電性フィラー、金属など)を含有する導電性樹脂を塗布する方法や、導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法(金属膜など)などが挙げられる。
【0094】
前記帯電防止剤(導電剤)としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤、アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤、さらには、前記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン伝導性基を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン伝導性ポリマー(たとえば、反応性イオン液体をモノマー単位として含むポリマー)があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0095】
前記カチオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどの4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0096】
前記アニオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0097】
前記両性イオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、カルボベタイングラフト共重合があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0098】
前記ノニオン型の帯電防止剤として、たとえば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルとポリエステルとポリアミドからなる共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0099】
前記導電性ポリマー(電子伝導性ポリマーなど)としては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(略称PEDOT)、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS)などが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。特にポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS)が、帯電防止性と透明性の点で好ましい。
【0100】
前記イオン伝導性ポリマーとして、例えば、反応性イオン液体をモノマー単位として含むポリマーが挙げられ、具体的には、反応性イオン液体とヒドロキシル基含有モノマーとの共重合体、反応性イオン液体とカルボキシル基含有モノマーとの共重合体、反応性イオン液体と窒素含有複素環系モノマーとの共重合体、反応性イオン液体と(N−置換)アミド系モノマーとの共重合体、反応性イオン液体と炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、反応性イオン液体とポリエチレングリコール(メタ)アクリレートとの共重合体、などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。基材層に塗布する場合、架橋剤を必要に応じて含有することができ、例えば、上記粘着剤層で使用可能な架橋剤を使用でき、具体的には、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、オキサゾリン架橋剤、シリコーン架橋剤、シラン架橋剤、および金属キレート化合物や、放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーなどが用いられる。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物がより好ましく用いられ、特に好ましくはイソシアネート化合物(イソシアネート系架橋剤)である。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0101】
前記導電性物質(導電性フィラー、金属など)としては、たとえば、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、およびそれらの合金または混合物が挙げられる。
【0102】
前記帯電防止性樹脂および導電性樹脂に用いられる樹脂成分(帯電防止剤組成物)としては、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシなどの汎用樹脂が用いられる。なお、高分子型帯電防止剤の場合には、樹脂成分を含有させなくてもよい。また、樹脂成分には、架橋剤を必要に応じて含有することができ、例えば、上記粘着剤層で使用可能な架橋剤を使用できる。
【0103】
また、前記樹脂成分(帯電防止剤組成物)には、更に、ケト−エノール互変異性を生じる化合物を含有させることができる。前記化合物を含有することにより、架橋剤配合後における帯電防止剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、前記帯電防止剤組成物のポットライフを延長する効果が実現され得る。
【0104】
さらに、前記帯電防止剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合開始剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0105】
帯電防止層の形成方法としては、たとえば、前記帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を、有機溶剤もしくは水などの溶媒で希釈し、この塗液を基材層(プラスチックフィルム)に塗布、乾燥することで形成される。また、必要に応じて硬化処理(熱処理、紫外線処理など)を行う手法を好ましく採用することができる。
【0106】
前記帯電防止層の形成に用いる有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸2−ヒドロキシエチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の脂肪族または脂環族アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;等から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0107】
前記帯電防止層の形成における塗布方法については公知の塗布方法が適宜用いられ、具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロ一ルブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸およびカーテンコート法が挙げられる。
【0108】
前記帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を含有する層の厚みとしては通常0.002〜5μm、好ましくは0.01〜1μm程度である。
【0109】
導電性物質の蒸着あるいはメッキの方法としては、たとえば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法などが挙げられる。
【0110】
前記導電性物質を含有する層の厚みとしては、通常2〜1000nmであり、好ましくは5〜500nmである。
【0111】
また、練り込み型帯電防止剤を練り込む方法としては、前記帯電防止剤が、前記帯電防止性基材フィルム(基材フィルム)に用いられる樹脂(たとえば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムの原料)に均一に混合できる方法であれば特に限定されず、たとえば、加熱ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸混練機などが用いられる。前記帯電防止剤の配合量(使用量)としては、前記基材フィルムの総重量に対して、20質量%以下、好ましくは0.05〜10質量%の範囲で用いられる。前記範囲内にあると、前記基材フィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0112】
本発明の粘着シートを構成する帯電防止性基材フィルムの厚み(帯電防止層と基材層から構成される場合は、両層の合計厚み)は、通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm程度である。前記基材フィルムの厚みが、前記範囲内にあると、被着体への貼り合せ作業性と、被着体からの剥離作業性に優れるため、好ましい。
【0113】
本発明の帯電防止性粘着シートは、優れた帯電防止性を有する粘着剤層を有するため、表面保護用途や電子部品製造・出荷工程の用途で使用することができる。前記用途においては、ゴミやホコリなどの付着、静電気による電子部品の破壊を生じる恐れがあるため、これらを抑制することができ、有用である。
【0114】
本発明の帯電防止性粘着シートは、光学フィルムに貼付して帯電防止性粘着シート付き光学フィルムとして使用することができる。前記光学フィルムに、前記帯電防止性粘着シートを貼付することにより、光学フィルムの表面を保護することができ、有用である。特に、前記帯電防止性粘着シートは、静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いることができるため、帯電が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野において、帯電防止用として、非常に有用となる。
【実施例】
【0115】
以下、本発明に関連するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り、質量基準である。
【0116】
<反応性イオン液体(DMAEA−TFSI)の調製>
1Lの三つ口フラスコに2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム・クロリドの79%水溶液(興人社製 DMAEA−Q)100部を撹拌しながら、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド114部をイオン交換水80部に希釈したものを60℃加熱下で加えた。2時間後、二層分離した下層の油層部分を取り出し、イオン交換水で3回洗浄した後、減圧下で残存の微量水分を除去し、2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DMAEA−TFSI)を得た。
【0117】
<反応性イオン液体(DMAPAA−TFSI)の調製>
1Lの三つ口フラスコに(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム・クロリドの75%水溶液(興人社製 DMAPAA−Q)100部を撹拌しながら、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド116部をイオン交換水80部に希釈したものを60℃加熱下で加えた。2時間後、二層分離した下層の油層部分を取り出し、イオン交換水で3回洗浄した後、減圧下で残存の微量水分を除去し、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DMAPAA−TFSI)を得た。
【0118】
<粘着剤層用の(メタ)アクリル系ポリマー(A)の調製>
酢酸エチル233部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)85部、DMAEA−TFSI10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)5部を攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに投入した。そして、60℃にて窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を投入し、60℃で4時間反応させ、続いて70℃で3時間反応させた。
【0119】
<粘着剤層用の(メタ)アクリル系ポリマー(B)の調製>
酢酸エチル233部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)85重量、DMAPAA−TFSI 10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)5部を攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに投入した。そして、60℃にて窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を投入し、60℃で4時間反応させ、続いて70℃で3時間反応させた。
【0120】
<帯電防止層用の(メタ)アクリル系ポリマー(C)(イオン伝導性ポリマー)の調製>
メチルエチルケトン400部、DMAEA−TFSI95部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5部を攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに投入した。そして、70℃にて窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、熱重合開始剤として重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を投入し、70℃で4時間反応させ、続いて80℃で4時間反応させた。その後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を投入し、80℃で1時間反応させ、更に、70℃で重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を投入し4時間反応させ、続いて80℃で4時間反応させた。
【0121】
<粘着剤層用の(メタ)アクリル系ポリマー(D)の調整>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)200部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)8部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部、および酢酸エチル312部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、(メタ)アクリル系ポリマー(D)溶液(40質量%)を調製した。(メタ)アクリル系ポリマー(D)溶液のFox式から算出したガラス転移温度(Tg)は−68℃、重量平均分子量55万であった。
【0122】
(帯電防止樹脂組成物溶液(1)の調製)
バインダとしてのアクリル系ポリマー(バインダポリマー(F))をトルエン中に5%含む溶液(バインダ溶液(E))を用意した。
上記バインダ溶液(E)の作製は以下のようにして行った。すなわち、反応器にトルエン25部を装入し、反応器内の温度を105℃まで上げた後、メチルメタクリレート(MMA)30部、n−ブチルアクリレート(BA)10部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)5部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部を混合した溶液を上記反応器に、2時間かけて連続的に滴下した。滴下完了後、反応器内の温度を110〜115℃に調整し、同温度に3時間保維持して共重合反応を行った。3時間経過後、トルエン4部とAIBN0.1部との混合液を反応器に滴下し、同温度に1時間保持した。その後、反応器内の温度を90℃まで冷却し、トルエンを投入して希釈することにより、不揮発分含量(NV)5%に調整した。容量150mLのビーカーに、2部のバインダ溶液(E)(0.1部のバインダポリマー(F)を含む。)と、40部のエチレングリコールモノエチルエーテルとを入れて攪拌混合した。さらにこのビーカーに、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホネート(PSS)とを含むNV4.0%の導電性ポリマー水溶液(C1)を1.2部と、エチレングリコールモノメチルエーテル55部と、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン系レベリング剤(BYK Chemie社製、商品名「BYK−300」、NV52%)0.05部と、メラミン系架橋剤とを加え、約20分間攪拌して十分に混合した。このようにして、100部のバインダポリマー(F)(ベース樹脂)に対して導電性ポリマー50部および滑剤30部を含み(いずれも固形分基準)、さらにメラミン系架橋剤を含むNV0.18%の帯電防止樹脂組成物溶液(1)を調製した。
【0123】
<帯電防止処理フィルム(帯電防止性基材フィルム)の作製>
上記帯電防止樹脂組成物溶液(1)を、基材層であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ38μm)上にマイヤーバーを用いて塗布し、130℃で1分間乾燥することにより溶剤を除去して帯電防止層(厚さ0.03μm)を形成し、帯電防止処理フィルム(1)を作製した。
【0124】
(実施例1)
(粘着剤組成物の調製)
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)溶液(30質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈した溶液500部(ポリマー100部)に、架橋剤としてコロネートL(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物の固形分75質量%酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン工業社製)5.3部、架橋触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)3.0部を加えて、25℃下で約5分間混合攪拌を行って、アクリル粘着剤溶液(1)を調製した。
【0125】
(粘着シートの作製)
上記アクリル粘着剤溶液(1)を、上記帯電防止処理フィルム(1)の帯電防止処理(帯電防止層側)面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレーター)のシリコーン処理面を貼合せて粘着シート(1)を作製した。
【0126】
(実施例2)
<粘着剤組成物の調製>
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)溶液(30質量%)に代えて、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)溶液(30質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系粘着剤溶液(2)を調製した。
【0127】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シート(2)を作製した。
【0128】
(実施例3)
(粘着シートの作製)
上記帯電防止処理フィルム(1)に代えて、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シート(3)を作製した。
【0129】
(実施例4)
(粘着シートの作製)
上記帯電防止処理フィルム(1)に代えて、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして粘着シート(4)を作製した。
【0130】
(実施例5)
(帯電防止樹脂組成物溶液(2)の調製)
上記(メタ)アクリル系ポリマー(C)溶液(20質量%)をメチルエチルケトンで4.2質量%に希釈した溶液2381部(ポリマー100部)に、架橋剤としてコロネートL(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物の固形分75質量%酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン工業社製)4.0部、架橋触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)3.0重量部を加えて、25℃下で約5分間混合攪拌を行って帯電防止樹脂組成物溶液(2)を調製した。
【0131】
(帯電防止処理フィルムの作製)
上記帯電防止樹脂組成物溶液(1)に代えて、上記帯電防止樹脂組成物溶液(2)を用い、帯電防止層を厚さ0.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、帯電防止処理フィルム(2)を作製した。
【0132】
(粘着シートの作製)
上記帯電防止処理フィルム(1)に代えて、上記帯電防止処理フィルム(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シート(5)を作製した。
【0133】
(実施例6)
(粘着シートの作製)
上記帯電防止処理フィルム(1)に代えて、上記帯電防止処理フィルム(2)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして粘着シート(6)を作製した。
【0134】
(比較例1)
<粘着剤組成物の調製>
上記(メタ)アクリル系ポリマー(D)溶液(40質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈した溶液500部(ポリマー100部)に、架橋剤としてコロネートL(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物の固形分75質量%酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン工業社製)5.3部、架橋触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)3.0重量部を加えて、25℃下で約5分間混合攪拌を行ってアクリル粘着剤溶液(3)を調製した。
【0135】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤(1)に代えて、上記帯アクリル系粘着剤溶液(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シート(7)を作製した。
【0136】
(比較例2)
<粘着剤組成物の調製>
上記(メタ)アクリル系ポリマー(D)溶液(40質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈した溶液500部(アクリル系ポリマー(A)100部)に、帯電防止剤であるリチウム塩のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム0.06部、及び、ポリエーテル鎖を有するシリコーン化合物(表1中の「ポリエーテル化合物」、信越化学工業社製、KF6004)0.5部、架橋剤としてコロネートL(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物の固形分75質量%酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン工業社製)3.3部、架橋触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)3.0部を加えて、25℃下で約5分間混合攪拌を行ってアクリル系粘着剤溶液(4)を調製した。
【0137】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤(1)に代えて、上記帯アクリル系粘着剤溶液(3)を用い、粘着剤層の厚さを15μmとし、上記帯電防止処理フィルム(1)に代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ38μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シート(8)を作製した。
【0138】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
【0139】
サンプル濃度:0.2質量%(テトラヒドロフラン(THF)溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
【0140】
<溶剤不溶性分率(ゲル分率)の測定>
溶剤不溶成分率は、粘着剤組成物を、0.1gサンプリングして精秤(浸漬前の質量)し、これを約50mlの酢酸エチル中に室温(20〜25℃)で1週間浸漬したのち、溶剤(酢酸エチル)不溶分を取り出し、前記溶剤不溶分を130℃で2時間乾燥した後、秤量(浸漬・乾燥後の質量)して、溶剤不溶成分率算出式「溶剤不溶成分率(質量%)=[(浸漬・乾燥後の質量)/(浸漬前の質量)]×100」を用いて、算出した。
なお、溶剤不溶性分率(ゲル分率)としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。前記範囲内であると、粘着剤層の凝集力が高く、低汚染性が良好である。測定結果を表1に示す。
【0141】
<低速剥離試験:180°ピール(引き剥がし)粘着力>
各実施例および比較例に係る粘着シートを幅25mm、長さ100mmのサイズにカットし、剥離ライナーを剥離した後、トリアセチルセルロース偏光板(日東電工社製、SEG1425DU、幅:70mm、長さ:100mm)の表面に、ハンドローラーで圧着した後、0.25MPa、0.3m/minの圧着条件でラミネートし、評価サンプル(帯電防止性粘着シート付き光学フィルム)を作製した。
【0142】
上記ラミネート後、23℃×50%RHの環境下に30分間放置した後、トリアセチルセルロース偏光板の反対面を両面粘着テープでアクリル板に固定し、万能引張試験機にて、前記粘着シートの片方の端部を、引張速度0.3m/min(低速剥離)、剥離角度が180°で剥離した時の粘着力を測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下でおこなった。低速剥離時の粘着力としては、粘着テープの浮きや剥がれを抑制する観点から、0.07N/25mm以上であるものを良好とし、0.07N/25mm未満であるものを不良とした。測定結果を表2に示す。
【0143】
<高速剥離試験:180°ピール(引き剥がし)粘着力>
各実施例および比較例に係る粘着シートを幅25mm、長さ100mmのサイズにカットし、剥離ライナーを剥離した後、トリアセチルセルロース偏光板(日東電工社製、SEG1425DU、幅:70mm、長さ:100mm)の表面に、ハンドローラーで圧着した後、0.25MPa、0.3m/minの圧着条件でラミネートし、評価サンプル(帯電防止性粘着シート付き光学フィルム)を作製した。
【0144】
上記ラミネート後、23℃×50%RHの環境下に30分間放置した後、に示すようにトリアセチルセルロース偏光板の反対面を両面粘着テープでアクリル板に固定し、万能引張試験機にて粘着シートの片方の端部を、引張速度30m/min(高速剥離)、剥離角度が180°で剥離した時の粘着力を測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下でおこなった。高速剥離時の粘着力が6.0N/25mm未満であるものを良好とし、6.0N/25mm以上であるものを不良とした。測定結果を表2に示す。
【0145】
<表面抵抗率の測定(常態)>
各実施例および比較例に係る粘着シートを23℃×50%RHの環境下に2時間放置した後、セパレーターを剥離し、粘着剤表面の表面抵抗率を表面抵抗率測定装置(三菱化学社製、ハイレスタUP MCP−HT450型)にて測定した。印加電圧は100V、印加時間は30秒にて行った。なお、表面抵抗率は1012以下であることが好ましく、1011以下であることがより好ましい。前記範囲内であれば、静電気による集塵や電子部品の静電気障害の防止が可能となり有用である。測定結果を表2に示す。
【0146】
<飽和帯電圧の測定>
各実施例および比較例に係る粘着シートを幅30mm、長さ30mmのサイズにカットし、23℃×50%RHの環境下に一日放置した後、セパレーターを剥離して、粘着剤面の飽和帯電圧をスタティックオネストメーター(シシド静電気社製、スタティックオネストメーター H−0110)にて測定した(JIS−L1094法)。測定は、10kVの電圧を印加し、23℃×50%RHの環境下で行った。なお、飽和帯電圧としては、絶対値が1.0kV以下であることが好ましく、0.6kV以下であることがより好ましい。前記範囲内であれば、静電気による集塵や電子部品の静電気障害の防止が可能となり有用である。測定結果を表2に示す。
【0147】
<汚染性の評価>
各実施例および比較例に係る粘着シートを幅20mm、長さ50mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離して、トリアセチルセルロース偏光板(日東電工社製、SEG1425DU)に貼付した後に、23℃×50%RHの環境下に1週間放置した。その後、粘着シートを剥離し、被着体表面の汚染を目視観察した。汚染が視認されなかった場合は○、汚染が視認された場合は×とした。測定結果を表2に示す。
【0148】
【表1】
【0149】
上記表1中の略語は、以下の化合物を示す。表1中の部数は、固形分を示す。
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
DMAEA−TFSI:2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
DMAPAA−TFSI:(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
C/L(コロネートL):トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(架橋剤)
PEDOT/PSS:ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(導電性ポリマー)
【0150】
【表2】
【0151】
表2の結果により、全実施例において、表面抵抗率が1012以下であり、飽和帯電圧も絶対値が1.0kV以下であり、高速及び低速剥離においても、粘着特性を満足し、更に、低汚染性も満足しており、再剥離用の粘着シート(粘着剤層)として有用であることが確認できた。
【0152】
一方、比較例1においては、反応性イオン液体をモノマー単位として含有しない(メタ)アクリル系ポリマーを使用して粘着剤層を形成したため、表面抵抗率、及び、飽和帯電圧が所望の範囲を満足することができず、帯電防止性に劣ることが確認された。また、比較例2においては、粘着剤層を形成する際に、反応性イオン液体をモノマー単位として含有しない(メタ)アクリル系ポリマーを使用する代わりに、帯電防止剤として、リチウム塩とポリエーテル化合物を含有する粘着剤組成物を使用したため、帯電防止性は得られたが、低速剥離時の粘着力が極めて低く、実用性に乏しく、また、帯電防止剤成分がブリードアウトして、汚染が認められた。したがって、比較例ではいずれも、帯電防止性(表面抵抗率、飽和帯電圧)、粘着特性、低汚染性の全てを満足するものが得られないことが確認された。
【0153】
以上の結果をまとめると、帯電防止性基材フィルムの帯電防止処理面上に反応性(重合性)イオン液体を含有する(メタ)アクリル系ポリマーからなる粘着剤層を設けた帯電防止性粘着シートは、いずれの評価結果も良好であり、従来にない効果を得られることが確認された。
【符号の説明】
【0154】
10 帯電防止性粘着シート(粘着シート)
11 セパレーター
12 粘着剤層
13 帯電防止層
14 基材層
15 帯電防止性基材フィルム
図1