特許第6181990号(P6181990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6181990
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】撮影用光学装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-127854(P2013-127854)
(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-1727(P2015-1727A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−257506(JP,A)
【文献】 特開2007−272210(JP,A)
【文献】 特開2012−211995(JP,A)
【文献】 特開2011−033955(JP,A)
【文献】 特開2012−008379(JP,A)
【文献】 特開2010−096802(JP,A)
【文献】 特開2009−288769(JP,A)
【文献】 特開2005−284212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュールと、前記レンズの光軸が傾くように前記カメラモジュールを揺動させて前記撮像素子上に結像される光学像の振れを補正するための振れ補正機構とを備え、
前記振れ補正機構は、前記カメラモジュールの反被写体側の端面に固定される可動部と、前記レンズの光軸方向において前記可動部よりも反被写体側に配置され前記可動部を揺動可能に保持する保持部と、前記カメラモジュールの揺動の支点となる支点部と、前記可動部と前記保持部とを繋ぐ板バネとを備え、
前記可動部および前記保持部の一方は、前記支点部を支点にして前記カメラモジュールを揺動させるための振れ補正用磁石と、軟磁性材料で形成され前記振れ補正用磁石が固定される磁性板とを備え、
前記可動部および前記保持部の他方は、前記振れ補正用磁石とともに前記支点部を支点にして前記カメラモジュールを揺動させるための4個の振れ補正用コイルと、4個の前記振れ補正用コイルが固定されるコイル保持部材とを備え、
前記光軸方向から見たときに、前記振れ補正機構の外周端は、前記カメラモジュールの外周面と略一致しており、
前記振れ補正用コイルは、前記光軸方向を巻回の軸方向として巻回されて形成されるとともに、4個の前記振れ補正用コイルは、前記コイル保持部材の、前記光軸方向に直交する方向の端面に固定され、
前記コイル保持部材の前記光軸方向の厚みは、前記振れ補正用コイルの前記光軸方向の厚み以下となっていることを特徴とする撮影用光学装置。
【請求項2】
前記支点部は、前記磁性板または前記コイル保持部材と一体で形成され前記光軸方向へ突出する支点突起を備えることを特徴とする請求項1記載の撮影用光学装置。
【請求項3】
前記可動部および前記保持部は、前記光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、
前記可動部は、前記光軸方向から見たときに前記可動部の四隅のそれぞれに配置される4個の前記振れ補正用磁石を備え、
前記保持部は、前記光軸方向から見たときに前記保持部の四隅のそれぞれに配置される4個の前記振れ補正用コイルを備え、
記振れ補正用コイルの表面は、絶縁性の被膜で覆われ、
前記板バネは、前記振れ補正用磁石の反被写体側の面に固定される可動側固定部と、前記振れ補正用コイルの被写体側の端面に固定される保持側固定部と、前記可動側固定部と前記保持側固定部とを繋ぐ腕部とを備え、
前記保持側固定部は、前記光軸方向から見たときに前記保持部の外形よりも外形が小さな略四角形の枠状に形成されるとともに、前記保持部の外周端に沿って配置され、
前記光軸方向から見たときの前記保持側固定部の四隅は、切り欠かれていることを特徴とする請求項1または2記載の撮影用光学装置。
【請求項4】
記振れ補正用磁石の一部は、前記振れ補正用コイルの内周側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の撮影用光学装置。
【請求項5】
前記磁性板には、軟磁性材料で形成され前記振れ補正用コイルの外周面の少なくとも一部を覆う壁部が形成または固定されていることを特徴とする請求項記載の撮影用光学装置。
【請求項6】
前記支点部は、前記磁性板に一体で形成され前記光軸方向へ突出する支点突起と、前記光軸方向に直交する平面状に形成され前記支点突起の先端が当接する当接面を有するとともに前記コイル保持部材に固定される突起当接部材とを備え、
前記コイル保持部材には、前記突起当接部材が固定される固定孔が前記光軸方向に貫通するように形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の撮影用光学装置。
【請求項7】
前記可動部および前記保持部は、前記光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、
前記板バネは、前記可動部に固定される2個の可動側固定部と、前記保持部に固定される2個の保持側固定部と、前記可動側固定部と前記保持側固定部とを繋ぐ腕部とを備え、
2個の前記可動側固定部のそれぞれは、前記光軸方向から見たときに前記可動部および前記保持部の四隅のうちの一方の対角線上のそれぞれに配置され、
2個の前記保持側固定部のそれぞれは、前記光軸方向から見たときに前記可動部および前記保持部の四隅のうちの他方の対角線上のそれぞれに配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の撮影用光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する撮影用光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュールと、カメラモジュールを揺動させることで、撮像素子上に結像される光学像の振れを補正する振れ補正装置とを備える撮影用光学装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の撮影用光学装置では、振れ補正装置は、内枠と中枠と外枠とを備えている。内枠の内側には、カメラモジュールが固定されている。内枠には、ピッチ軸方向の外側へ突出するピッチ支軸が形成されている。このピッチ支軸は、中枠に形成されるピッチ受け孔に挿通されており、内枠は、ピッチ支軸の軸方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように中枠に保持されている。中枠には、ヨー軸方向の外側へ突出するヨー支軸が形成されている。このヨー支軸は、外枠に形成されるヨー受け孔に挿通されており、中枠は、ヨー支軸の軸方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように外枠に保持されている。
【0003】
また、特許文献1に記載の撮影用光学装置では、振れ補正装置は、振れ補正用の永久磁石(振れ補正用磁石)と、振れ補正用のコイル(振れ補正用コイル)とを備えている。4個の振れ補正用コイルは、コイル基板に一体で形成されている。このコイル基板は、内枠の反被写体側の端面に固定されている。振れ補正用磁石は、平板状に形成されており、その厚み方向と光軸方向とが略一致するように外枠に固定されている。振れ補正用磁石は、コイル基板よりも反被写体側に配置されており、振れ補正用磁石とコイル基板とは、光軸方向で対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−78842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の撮影用光学装置では、内枠の反被写体側の端面にコイル基板が固定されている。また、この撮影用光学装置では、振れ補正用磁石は、コイル基板よりも反被写体側に配置されており、振れ補正用磁石とコイル基板とは、光軸方向で対向している。そのため、この撮影用光学装置では、カメラモジュールの外周側に振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが配置されている場合と比較して、光軸方向に直交する方向で装置を小型化することが可能である。
【0006】
しかしながら、この撮影用光学装置では、内枠に、ピッチ軸方向の外側へ突出するピッチ支軸が形成され、中枠に、ヨー軸方向の外側へ突出するヨー支軸が形成されている。また、この撮影用光学装置では、内側にカメラモジュールが固定される内枠の外周側に中枠が配置され、中枠の外周側にさらに外枠が配置されている。すなわち、この撮影用光学装置では、振れ補正装置を構成する内枠、中枠および外枠がカメラモジュールよりも外周側に配置されている。そのため、この撮影用光学装置では、光軸方向に直交する方向で装置をさらに小型化することは困難である。
【0007】
そこで、本発明の課題は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する撮影用光学装置において、光軸方向に直交する方向において、従来以上に装置を小型化することが可能な撮影用光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の撮影用光学装置は、レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュールと、レンズの光軸が傾くようにカメラモジュールを揺動させて撮像素子上に結像される光学像の振れを補正するための振れ補正機構とを備え、振れ補正機構は、カメラモジュールの反被写体側の端面に固定される可動部と、レンズの光軸方向において可動部よりも反被写体側に配置され可動部を揺動可能に保持する保持部と、カメラモジュールの揺動の支点となる支点部と、可動部と保持部とを繋ぐ板バネとを備え、可動部および保持部の一方は、支点部を支点にしてカメラモジュールを揺動させるための振れ補正用磁石と、軟磁性材料で形成され振れ補正用磁石が固定される磁性板とを備え、可動部および保持部の他方は、振れ補正用磁石とともに支点部を支点にしてカメラモジュールを揺動させるための4個の振れ補正用コイルと、4個の振れ補正用コイルが固定されるコイル保持部材とを備え、光軸方向から見たときに、振れ補正機構の外周端は、カメラモジュールの外周面と略一致しており、振れ補正用コイルは、光軸方向を巻回の軸方向として巻回されて形成されるとともに、4個の振れ補正用コイルは、コイル保持部材の、光軸方向に直交する方向の端面に固定され、コイル保持部材の光軸方向の厚みは、振れ補正用コイルの光軸方向の厚み以下となっていることを特徴とする。
【0009】
本発明の撮影用光学装置では、光軸方向から見たときに、振れ補正用磁石、振れ補正用コイル、磁性板、コイル保持部材、支点部および板バネを備える振れ補正機構の外周端がカメラモジュールの外周面と略一致している。すなわち、本発明の撮影用光学装置には、特許文献1に記載の撮影用光学装置のようにカメラモジュールの外周側へ突出するピッチ支軸やヨー支軸が形成されていない。また、本発明の撮影用光学装置では、光軸方向から見たときに、振れ補正機構の構成部品がカメラモジュールの外周面よりも外周側に配置されていない。そのため、本発明では、光軸方向に直交する方向において、従来以上に撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、振れ補正機構が、カメラモジュールの反被写体側の端面に固定される可動部、レンズの光軸方向において可動部よりも反被写体側に配置され可動部を揺動可能に保持する保持部、カメラモジュールの揺動の支点となる支点部、および、可動部と保持部とを繋ぐ板バネ等によって構成されているため、カメラモジュールの反被写体側の端面を境にして、カメラモジュールと振れ補正機構とを別ユニットとすることが可能になる。したがって、本発明では、カメラモジュールと振れ補正機構とのどちらか一方に不具合が生じた場合に、不具合が生じたカメラモジュールと振れ補正機構とのどちらか一方のみを交換すれば良い。その結果、本発明では、撮影用光学装置の製造時にカメラモジュールと振れ補正機構とのどちらか一方に不具合が生じた場合に、歩留りを高めることが可能になる。また、本発明では、撮影用光学装置が市場に出回った後にカメラモジュールと振れ補正機構とのどちらか一方に不具合が生じた場合に、装置の修理費用を低減することが可能になる。また、本発明では、振れ補正用コイルは、光軸方向を巻回の軸方向として巻回されて形成されるとともに、コイル保持部材の、光軸方向に直交する方向の端面に固定され、コイル保持部材の光軸方向の厚みは、振れ補正用コイルの光軸方向の厚み以下となっている。そのため、光軸方向において、コイル保持部材の厚みが振れ補正用コイルの厚みよりも厚くならない。したがって、振れ補正用コイルおよびコイル保持部材を有する可動部または保持部を光軸方向で小型化することが可能になる。その結果、光軸方向で振れ補正機構を小型化することが可能になり、光軸方向で撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【0011】
本発明において、支点部は、磁性板またはコイル保持部材と一体で形成され光軸方向へ突出する支点突起を備えることが好ましい。このように構成すると、磁性板またはコイル保持部材を用いて支点部の一部を構成することが可能になる。したがって、磁性板またはコイル保持部材に加えて、支点部の一部を構成するための部材を別途、設ける場合と比較して、振れ補正機構の構成を簡素化することが可能になり、その結果、振れ補正機構を小型化することが可能になる。
【0013】
本発明において、可動部および保持部は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、可動部は、光軸方向から見たときに可動部の四隅のそれぞれに配置される4個の振れ補正用磁石を備え、保持部は、光軸方向から見たときに保持部の四隅のそれぞれに配置される4個の振れ補正用コイルを備え、振れ補正用コイルの表面は、絶縁性の被膜で覆われ、板バネは、振れ補正用磁石の反被写体側の面に固定される可動側固定部と、振れ補正用コイルの被写体側の端面に固定される保持側固定部と、可動側固定部と保持側固定部とを繋ぐ腕部とを備え、保持側固定部は、光軸方向から見たときに保持部の外形よりも外形が小さな略四角形の枠状に形成されるとともに、保持部の外周端に沿って配置され、光軸方向から見たときの保持側固定部の四隅は、切り欠かれていることが好ましい。このように構成すると、保持部の外周端に沿って配置される保持側固定部が、光軸方向から見たときに保持部の外形よりも外形が小さな略四角形の枠状に形成され、また、光軸方向から見たときの保持側固定部の四隅が切り欠かれているため、支点部を支点とするカメラモジュールの揺動範囲を広げることが可能になる。
【0014】
本発明において、振れ補正用磁石の一部は、振れ補正用コイルの内周側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、光軸方向で振れ補正機構を小型化することが可能になり、その結果、光軸方向で撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【0015】
また、この場合には、磁性板には、軟磁性材料で形成され振れ補正用コイルの外周面の少なくとも一部を覆う壁部が形成または固定されていることが好ましい。このように構成すると、壁部を用いて効率の良い磁気回路を形成することが可能になる。したがって、振れ補正機構の駆動力を高めることが可能になる。
【0016】
本発明において、支点部は、磁性板に一体で形成され光軸方向へ突出する支点突起と、光軸方向に直交する平面状に形成され支点突起の先端が当接する当接面を有するとともにコイル保持部材に固定される突起当接部材とを備え、コイル保持部材には、突起当接部材が固定される固定孔が光軸方向に貫通するように形成されていることが好ましい。このように構成すると、可動部と保持部とを組み立てた後に、固定孔の中に支点突起の先端側を配置して可動部と保持部とを当接させた状態で、板バネによって可動部と保持部とを繋ぎ、その後、コイル保持部材の固定孔に突起当接部材を挿入して、突起当接部材によって支点突起を持ち上げてから固定孔に突起当接部材を固定することで、可動部と保持部との間にカメラモジュールを揺動させるためのスペースを確保して、振れ補正機構の組立を完了させることが可能になる。すなわち、このように構成すると、可動部と保持部とが当接している安定した状態で、板バネによって可動部と保持部とを繋いだ後に、可動部と保持部との間にカメラモジュールを揺動させるためのスペースを確保して、振れ補正機構の組立を完了させることが可能になる。したがって、可動部および保持部への板バネの取付作業が容易になり、その結果、振れ補正機構の組立が容易になる。
【0017】
本発明において、たとえば、可動部および保持部は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、板バネは、可動部に固定される2個の可動側固定部と、保持部に固定される2個の保持側固定部と、可動側固定部と保持側固定部とを繋ぐ腕部とを備え、2個の可動側固定部のそれぞれは、光軸方向から見たときに可動部および保持部の四隅のうちの一方の対角線上のそれぞれに配置され、2個の保持側固定部のそれぞれは、光軸方向から見たときに可動部および保持部の四隅のうちの他方の対角線上のそれぞれに配置されている。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する撮影用光学装置において、光軸方向に直交する方向において、従来以上に装置を小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置の側面図である。
図2図1に示す撮影用光学装置の分解斜視図である。
図3図2に示す振れ補正機構の構成を反被写体側から説明するための図である。
図4図2に示す磁性板を反被写体側から示す斜視図である。
図5図2に示す板バネの平面図である。
図6】本発明の他の実施の形態にかかる振れ補正機構を説明するための断面図である。
図7】(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる振れ補正機構を説明するための断面図であり、(B)は、(A)のE−E方向から振れ補正用磁石および磁性板等を示す図である。
図8】本発明の他の実施の形態にかかる振れ補正機構を説明するための部分断面図である。
図9】本発明の他の実施の形態にかかる板バネの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(撮影用光学装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置1の側面図である。図2は、図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。図3は、図2に示す振れ補正機構4の構成を反被写体側から説明するための図である。図4は、図2に示す磁性板16を反被写体側から示す斜視図である。図5は、図2に示す板バネ12の平面図である。以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0022】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、オートフォーカス機能と振れ補正機能とを備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、撮影用光学装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
【0023】
撮影用光学装置1は、レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール3と、レンズの光軸Lが傾くようにカメラモジュール3を揺動させて撮像素子上に結像される光学像の振れを補正するための振れ補正機構4とを備えている。本形態では、カメラモジュール3と振れ補正機構4とがそれぞれユニット化されており、ユニット化されたカメラモジュール3と振れ補正機構4とを組み合わせることで、撮影用光学装置1が構成されている。
【0024】
なお、本形態では、上下方向は、カメラモジュール3が揺動していないときのカメラモジュール3の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、カメラモジュール3の下端側に撮像素子が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0025】
カメラモジュール3は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態のカメラモジュール3は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、カメラモジュール3の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。このカメラモジュール3は、撮像素子上に光学像を結像させるためのレンズと、このレンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体と、板バネ等のバネ部材を介して可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体と、保持体に対して可動体を光軸方向へ駆動するためのレンズ駆動機構とを備えている。また、カメラジュール3は、撮像素子等が実装される基板6を備えている。カメラモジュール3からは、フレキシブルプリント基板(FPC)7が引き出されている。
【0026】
レンズ駆動機構は、たとえば、可動体の外周面に固定されるレンズ駆動用コイルと、保持体に固定されレンズ駆動用コイルの外周面に対向配置されるレンズ駆動用磁石とを備えるボイスコイルモータである。基板6は、略正方形の板状に形成されている。この基板6は、保持体の下面に固定されており、カメラモジュール3の下端面を構成している。カメラモジュール3では、レンズ駆動機構を構成するレンズ駆動用コイルに電流が供給されると、可動体とともにレンズが光軸方向へ移動する。なお、レンズ駆動機構は、レンズ駆動用コイルおよびレンズ駆動用磁石に代えて、レンズを光軸方向へ移動させるための圧電素子を備えていても良いし、形状記憶合金を備えていても良い。
【0027】
振れ補正機構4は、カメラモジュール3の下端面に固定される可動部10と、可動部10を揺動可能に保持する保持部11と、可動部10と保持部11とを繋ぐ板バネ12とを備えている。また、振れ補正機構4は、カメラモジュール3の揺動の支点となる支点部13を備えている。この振れ補正機構4は、光軸方向においてカメラモジュール3と重なるように配置されている。また、振れ補正機構4は、カメラモジュール3の下側(すなわち、反被写体側)に配置されている。
【0028】
可動部10は、支点部13を支点にしてカメラモジュール3を揺動させるための振れ補正用磁石15と、軟磁性材料で形成され振れ補正用磁石15が固定される磁性板16とを備えている。本形態の可動部10は、4個の振れ補正用磁石15と、1枚の磁性板16とを備えている。
【0029】
磁性板16は、略正方形の平板状に形成されている。この磁性板16は、その厚み方向と光軸方向とが略一致するように、基板6の下面に固定されている。具体的には、FPC7を構成する後述のモジュール接続部7aを介して基板6の下面に固定されている。磁性板16の中心には、支点部13を構成する支点突起17が下方向へ突出するように形成されている。すなわち、支点部13は、磁性板16と一体で形成される支点突起17を備えている。支点突起17は、磁性板16の中心部が下方向へ押し出されることで形成されており(すなわち、絞り加工によって形成されており)、全体として略円筒状に形成されている。また、支点突起17の下端側は、略半球状に形成されている。支点突起17は、光軸Lが通過する位置に形成されている。
【0030】
振れ補正用磁石15は、略正方形の平板状に形成されている。振れ補正用磁石15は、その厚み方向が光軸方向と略一致するように磁性板16の下面に固定されている。また、4個の振れ補正用磁石15は、磁性板16の四隅の角部のそれぞれと、4個の振れ補正用磁石15のそれぞれの角部とが略一致するように磁性板16の下面に固定されている。そのため、可動部10は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、4個の振れ補正用磁石15は、光軸方向から見たときに可動部10の四隅のそれぞれに配置されている。振れ補正用磁石15は、上面の磁極と下面の磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。
【0031】
保持部11は、可動部10よりも下側に配置されている。この保持部11は、振れ補正用磁石15とともに支点部13を支点にしてカメラモジュール3を揺動させるための振れ補正用コイル18と、振れ補正用コイル18が固定されるコイル保持部材19とを備えている。本形態の保持部11は、4個の振れ補正用コイル18と、1個のコイル保持部材19とを備えている。なお、図3では、4個の振れ補正用コイル18のうちの2個の振れ補正用コイル18およびコイル保持部材19の図示を省略している。
【0032】
振れ補正用コイル18は、上下方向を巻回の軸方向として巻回された空芯コイルである。この振れ補正用コイル18は、上下方向に扁平な略正方形の筒状に形成されている。振れ補正用コイル18の表面は、絶縁性の被膜で覆われている。本形態では、振れ補正用磁石15、磁性板16および振れ補正用コイル18等によって、カメラモジュール3を揺動させる揺動機構が構成されている。
【0033】
コイル保持部材19は、樹脂等の非磁性材料で形成されている。また、コイル保持部材19は、略正方形の平板からその四隅が略正方形状に切り欠かれることで形成されている。すなわち、コイル保持部材19は、略十字形状に形成されている。このコイル保持部材19は、その厚み方向と光軸方向とが略一致するように配置されている。コイル保持部材19の光軸方向の厚みは、振れ補正用コイル18の光軸方向の厚みと等しくなっている。コイル保持部材19の上面の中心には、支点突起17の先端(下端)が当接している。本形態では、支点突起17とコイル保持部材19の上面とによって、支点部13が構成されている。
【0034】
コイル保持部材19の四隅の切欠き部のそれぞれには、4個の振れ補正用コイル18のそれぞれが固定されている。すなわち、4個の振れ補正用コイル18は、コイル保持部材19の、光軸方向に直交する方向の端面に固定されている。また、4個の振れ補正用コイル18は、その上端面とコイル保持部材19の上面とが略一致し、その下端面とコイル保持部材19の下面とが略一致するようにコイル保持部材19に固定されている。そのため、4個の振れ補正用コイル18が固定されたコイル保持部材19は、略正方形の平板状に形成されている。すなわち、保持部11は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる平板状に形成されており、4個の振れ補正用コイル18は、光軸方向から見たときに保持部11の四隅のそれぞれに配置されている。本形態では、光軸方向から見たときの可動部10の大きさと保持部11の大きさとが等しくなっており、光軸方向から見たときに、可動部10の外周端と保持部11の外周端とが重なっている。
【0035】
4個の振れ補正用磁石15のそれぞれの下面と、4個の振れ補正用コイル18のそれぞれの上端面とは、所定の隙間を介して対向している。すなわち、振れ補正用磁石15と振れ補正用コイル18とは光軸方向で対向している。また、本形態では、光軸方向から見たときの振れ補正用磁石15の大きさと振れ補正用コイル18の大きさとが等しくなっており、光軸方向から見たときに、振れ補正用磁石15の外周端と振れ補正用コイル18の外周端とが一致している(図3参照)。
【0036】
板バネ12は、薄板状に形成されており、その厚み方向と光軸方向とが略一致するように配置されている。この板バネ12は、4個の振れ補正用磁石15の下面に固定される1個の可動側固定部12aと、4個の振れ補正用コイル18の上端面に固定される1個の保持側固定部12bと、可動側固定部12aと保持側固定部12bとを繋ぐ4個の腕部12cとを備えている。すなわち、板バネ12は、光軸方向において、振れ補正用磁石15と保持部11との間に配置されている。
【0037】
可動側固定部12aは、円環状に形成されている。保持側固定部12bは、略四角形の枠状(環状)に形成されている。具体的には、保持側固定部12bは、略正方形の枠状に形成されている。この保持側固定部12bは、可動側固定部12aよりも外周側に配置されている。すなわち、可動側固定部12aは、保持側固定部12bの内側に配置されている。本形態では、保持側固定部12bは、光軸方向から見たときに保持部11の外形よりも外形が小さな略正方形の枠状に形成されている。腕部12cは、略円弧状に形成されている。具体的には、腕部12cは、略1/4円弧状に形成されている。この腕部12cは、光軸方向に直交する方向において、可動側固定部12aと保持側固定部12bとの間に配置されている。
【0038】
保持側固定部12bは、4個の振れ補正用コイル18のそれぞれに固定される4個のコイル固定部12dと、4個のコイル固定部12dを繋ぐ4個の連結部12eとから構成されている。4個のコイル固定部12dのそれぞれは、保持側固定部12bの四隅のそれぞれに配置されており、板バネ12の四隅のそれぞれを構成している。連結部12eは、前後方向または左右方向に平行な直線状に形成されている。前後方向に平行な連結部12eは、保持側固定部12bの周方向において前後方向で隣り合うコイル固定部12d同士を繋ぎ、左右方向に平行な連結部12eは、保持側固定部12bの周方向において左右方向で隣り合うコイル固定部12d同士を繋いでいる。
【0039】
腕部12cは、可動側固定部12aとコイル固定部12dとを繋いでおり、コイル固定部12dと腕部12cとの接続部12fは、板バネ12の四隅に配置されている。また、上述のように、腕部12cは、略1/4円弧状に形成されており、可動側固定部12aと腕部12cとの接続部12gは、板バネ12の四隅に配置されている。接続部12fと接続部12gとは、可動側固定部12aの周方向で隣り合うように配置されている。また、コイル固定部12dは、光軸方向から見たときの形状が略六角形状となるように形成されており、保持側固定部12bの四隅には、切欠き部12hが形成されている。
【0040】
板バネ12は、光軸方向から見たときに、可動部10および保持部11の四隅と板バネ12の四隅とが略一致するように配置されている。すなわち、保持側固定部12bは、光軸方向から見たときに、保持部11の外周端に沿って配置されている。また、光軸方向から見たときに、4個のコイル固定部12dのそれぞれは、可動部10および保持部11の四隅のそれぞれに配置されている。また、図3に示すように、板バネ12は、光軸方向から見たときに、可動部10および保持部11の中心と板バネ12の中心とが一致するように配置されている。すなわち、板バネ12は、光軸方向から見たときに、可動部10および保持部11の中心と可動側固定部12aの中心とが一致し、かつ、可動部10および保持部11の中心と保持側固定部12bの中心とが一致するように配置されている。上述のように、保持側固定部12bは、光軸方向から見たときに保持部11の外形よりも外形が小さな略正方形の枠状に形成されているため、光軸方向から見たときに、左右方向における保持側固定部12bの両端のそれぞれと可動部10および保持部11の両端のそれぞれとの間には隙間が形成され、前後方向における保持側固定部12bの両端のそれぞれと可動部10および保持部11の両端のそれぞれとの間には隙間が形成されている。
【0041】
円環状に形成される可動側固定部12aは、板バネ12の四隅において、振れ補正用磁石15の下面に固定されている。また、光軸方向から見たときに、4個の接続部12f、12gのそれぞれは、4個の振れ補正用磁石15および振れ補正用コイル18のそれぞれと重なっている(図3参照)。本形態では、腕部12cが撓むことで、保持部11に対するカメラモジュール3および可動部10の揺動が可能になる。なお、板バネ12は、支点突起17の下端とコイル保持部材19の上面とを確実に当接させるための与圧が発生するように(すなわち、カメラモジュール3を下方向へ付勢する付勢力が発生するように)、撓んだ状態で固定されている。
【0042】
上述のように、光軸方向から見たときの可動部10の大きさと保持部11の大きさとが等しくなっており、光軸方向から見たときに、可動部10の外周端と保持部11の外周端とが重なっている。また、板バネ12の保持側固定部12bは、光軸方向から見たときに保持部11の外形よりも外形が小さくなっている。そのため、振れ補正機構4は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。本形態では、光軸方向から見たときの振れ補正機構4の大きさとカメラモジュール3の大きさとが略等しくなっており、光軸方向から見たときに、カメラモジュール3の外周面と振れ補正機構4の外周端とが略一致している。具体的には、本形態では、光軸方向から見たときの振れ補正機構4の大きさとカメラモジュール3の大きさとが等しくなっており、光軸方向から見たときに、カメラモジュール3の外周面と振れ補正機構4の外周端とが一致している。
【0043】
FPC7は、カメラモジュール3の下端面を構成する基板6の下面と可動部10の上端面を構成する磁性板16の上面との間に配置されるモジュール接続部7aと、保持部11の下端面に固定される保持側固定部7bと、モジュール接続部7aと保持側固定部7bとを繋ぐ接続部7cとを備えている。接続部7cは、モジュール接続部7aと保持側固定部7bとが光軸方向で重なるように折り曲げられている。具体的には、FPC7は、基板6と可動部10との間から左右方向の一方側へ引き出された後、180°折り返されて、左右方向の他方側へ引き回されており、接続部7cは、左右方向の一方側で、180°に折り返されている。
【0044】
モジュール接続部7aは、略正方形状に形成されており、基板6および磁性板16に固定されている。モジュール接続部7aには、基板6が電気的に接続されている。保持側固定部7bは、略正方形状に形成されている。保持側固定部7bには、振れ補正用コイル18が電気的に接続されている。図2に示すように、接続部7cの幅(前後方向の幅)は、モジュール接続部7aの幅(前後方向の幅)および保持側固定部7bの幅(前後方向の幅)よりも狭くなっている。具体的には、モジュール接続部7aと保持側固定部7bとは2個の接続部7cによって繋がれており、2個の接続部7cの幅の総和は、モジュール接続部7aの幅および保持側固定部7bの幅よりも狭くなっている。なお、本形態では、モジュール接続部7aの幅と保持側固定部7bの幅とが等しくなっている。
【0045】
撮影用光学装置1では、所定の位置に実装されるジャイロスコープでカメラモジュール3の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープでの検出結果に基づいて、振れ補正用コイル18に電流が供給される。振れ補正用コイル18に電流が供給されると、支点部13を中心に、カメラモジュール3が光軸Lを傾けるように揺動して、振れが補正される。
【0046】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、光軸方向から見たときに、板バネ12、支点部13、振れ補正用磁石15、磁性板16、振れ補正用コイル18およびコイル保持部材19を備える振れ補正機構4の外周端と、カメラモジュール3の外周面とが略一致している。すなわち、本形態では、上述の特許文献1に記載の撮影用光学装置のようにカメラモジュール3の外周側へ突出するピッチ支軸やヨー支軸が振れ補正機構4に形成されていない。また、本形態では、光軸方向から見たときに、振れ補正機構4の構成部品がカメラモジュール3の外周面よりも外周側に配置されていない。したがって、本形態では、光軸方向に直交する前後左右方向において、従来以上に撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0047】
本形態では、カメラモジュール3と振れ補正機構4とがそれぞれユニット化されており、ユニット化されたカメラモジュール3と振れ補正機構4とを組み合わせることで、撮影用光学装置1が構成されている。そのため、本形態では、カメラモジュール3と振れ補正機構4とのどちらか一方に不具合が生じた場合には、不具合が生じたカメラモジュール3と振れ補正機構4とのどちらか一方のみを交換すれば良い。したがって、本形態では、撮影用光学装置1の製造時にカメラモジュール3と振れ補正機構4とのどちらか一方に不具合が生じた場合には、歩留りを高めることが可能になる。また、撮影用光学装置1が市場に出回った後にカメラモジュール3と振れ補正機構4とのどちらか一方に不具合が生じた場合には、撮影用光学装置1の修理費用を低減することが可能になる。また、本形態では、ユニット化されたカメラモジュール3と振れ補正機構4とを組み合わせることで、撮影用光学装置1が構成されているため、様々なカメラモジュール3に振れ補正機構4を組み合わせて撮影用光学装置1を構成することが可能になる。
【0048】
本形態では、支点部13を構成する支点突起17が磁性板16と一体で形成されている。そのため、本形態では、磁性板16に加えて、支点突起17に相当する部材が別途、設けられている場合と比較して、振れ補正機構4の構成を簡素化することが可能になり、その結果、振れ補正機構4を小型化することが可能になる。
【0049】
本形態では、コイル保持部材19の光軸方向の厚みは、振れ補正用コイル18の光軸方向の厚みと等しくなっている。すなわち、本形態では、コイル保持部材19の光軸方向の厚みが振れ補正用コイル18の光軸方向の厚み以上となっていない。したがって、本形態では、保持部11を光軸方向で小型化することが可能になる。すなわち、本形態では、振れ補正機構4を光軸方向で小型化することが可能になり、その結果、撮影用光学装置1を光軸方向で小型化することが可能になる。
【0050】
本形態では、光軸方向から見たときに、左右方向における保持側固定部12bの両端のそれぞれと保持部11の両端のそれぞれとの間には隙間が形成され、前後方向における保持側固定部12bの両端のそれぞれと保持部11の両端のそれぞれとの間には隙間が形成されている。また、本形態では、保持側固定部12bの四隅に切欠き部12hが形成されている。そのため、本形態では、左右方向における保持側固定部12bの両端のそれぞれと保持部11の両端のそれぞれとの間には隙間が形成されていない場合、前後方向における保持側固定部12bの両端のそれぞれと保持部11の両端のそれぞれとの間には隙間が形成されていない場合、あるいは、保持側固定部12bの四隅に切欠き部12hが形成されていない場合と比較して、支点部13を支点とするカメラモジュール3の揺動範囲を広げることが可能になる。
【0051】
本形態では、基板6の下面と磁性板16の上面との間に配置されるモジュール接続部7aと、保持部11の下端面に固定される保持側固定部7bとが光軸方向で重なるように、接続部7cが180°に折り返されているが、接続部7cの幅が、モジュール接続部7aの幅および保持側固定部7bの幅よりも狭くなっている。そのため、本形態では、接続部7cの剛性を弱めることが可能になる。したがって、本形態では、カメラモジュール3の揺動動作に与える接続部7cの影響を低減することが可能になり、その結果、カメラモジュール3を適切に揺動させることが可能になる。
【0052】
(振れ補正機構の変形例1)
図6は、本発明の他の実施の形態にかかる振れ補正機構4を説明するための断面図である。図7(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる振れ補正機構4を説明するための断面図であり、図7(B)は、図7(A)のE−E方向から振れ補正用磁石15および磁性板16等を示す図である。
【0053】
上述した形態では、振れ補正用磁石15の下面と、振れ補正用コイル18の上端面とが所定の隙間を介して対向している。この他にもたとえば、図6に示すように、振れ補正用磁石15の下端側の一部が振れ補正用コイル18の内周側に配置されても良い。この場合には、上述した形態よりも、振れ補正用磁石15は小さく形成され、振れ補正用コイル18はその内径が大きくなるように大きく形成される。この場合には、振れ補正機構4を光軸方向で小型化することが可能になり、その結果、撮影用光学装置1を光軸方向で小型化することが可能になる。
【0054】
また、振れ補正用磁石15の一部が振れ補正用コイル18の内周側に配置される場合には、図7に示すように、磁性板16の下面に、軟磁性材料で形成され振れ補正用コイル18の外周面の少なくとも一部を覆う壁部25が固定されていることが好ましい。図7に示す例では、壁部25は、略L形状に形成されており、前後左右方向の内側から振れ補正用コイル18の外周面の上端側を覆っている。また、図7に示す例では、カメラモジュール3が揺動したときのコイル保持部材19と壁部25との干渉を防止するため、コイル保持部材19は、上述した形態よりも薄く形成されている。この場合には、壁部25を用いて効率の良い磁気回路を形成することが可能になるため、振れ補正機構4の駆動力を高めることが可能になる。
【0055】
なお、振れ補正用コイル18の外周面の全周を覆う壁部25の設置スペースを確保することができるのであれば、四角筒状に形成される壁部25によって振れ補正用コイル18の外周面の全周が覆われていることが好ましい。また、図7に示す例では、磁性板16と別体で形成された壁部25が磁性板16に固定されているが、壁部25は磁性板16と一体で形成されても良い。さらに、図6図7では、上述した形態と同一の構成については、同一の符号を付している。また、図6図7では、板バネ12の図示を省略している。
【0056】
(振れ補正機構の変形例2)
図8は、本発明の他の実施の形態にかかる振れ補正機構4を説明するための部分断面図である。
【0057】
上述した形態では、支点突起17とコイル保持部材19の上面とによって、支点部13が構成されている。この他にもたとえば、図8に示すように、支点部13は、支点突起17と、円柱状や四角柱状等の柱状に形成される突起当接部材30とによって構成されても良い。この場合には、コイル保持部材19に、光軸方向に貫通する固定孔19aが形成されるとともに、FPC7の保持側固定部7bに、光軸方向に貫通する固定孔7dが形成され、突起当接部材30は、固定孔19a、7dに固定される。突起当接部材30の上端面は、支点突起17の先端(すなわち、下端)が当接する当接面30aとなっている。また、突起当接部材30は、樹脂またはゴムによって形成されている。
【0058】
この場合には、振れ補正機構4を組み立てる際に、まず、磁性板16に固定された振れ補正用磁石15に板バネ12の可動側固定部12aを固定するか、あるいは、コイル保持部材19に固定された振れ補正用コイル18に保持側固定部12bを固定する。その後、図8(B)に示すように、固定孔19aの中に支点突起17の下端側を配置し、磁性板16に固定された振れ補正用磁石15とコイル保持部材19に固定された振れ補正用コイル18とを板バネ12を介して当接させた状態で、振れ補正用コイル18に保持側固定部12bを固定するか、あるいは、振れ補正用磁石15に板バネ12の可動側固定部12aを固定して、可動部10と保持部11とを繋ぐ。その後、図8(A)に示すように、固定孔19a、7dに下側から突起当接部材30を挿入し、突起当接部材30によって支点突起17を持ち上げてから、固定孔19a、7dに突起当接部材30を固定する。すると、可動部10と保持部11との間にカメラモジュール3を揺動させるためのスペースが確保され、振れ補正機構4の組立が完了する。
【0059】
この場合には、振れ補正用磁石15と振れ補正用コイル18とが当接している安定した状態で、板バネ12によって可動部10と保持部11とを繋いだ後に、可動部10と保持部11との間にカメラモジュール3を揺動させるためのスペースを確保して、振れ補正機構4の組立を完了させることが可能になる。したがって、可動部10および保持部11への板バネ12の取付作業が容易になり、その結果、振れ補正機構4の組立が容易になる。なお、図8では、上述した形態と同一の構成については、同一の符号を付している。
【0060】
(板バネの変形例)
図9は、本発明の他の実施の形態にかかる板バネ42の平面図である。
【0061】
上述した形態では、振れ補正機構4は、4個の振れ補正用磁石15の下面に固定される1個の可動側固定部12aと、4個の振れ補正用コイル18の上端面に固定される1個の保持側固定部12bと、可動側固定部12aと保持側固定部12bとを繋ぐ4個の腕部12cとから構成される板バネ12を備えている。この他にもたとえば、振れ補正機構4は、板バネ12に代えて、図9に示すように、4個の振れ補正用磁石15のうちの2個の振れ補正用磁石15のそれぞれに固定される2個の可動側固定部42aと、4個の振れ補正用コイル18のうちの2個の振れ補正用コイル18のそれぞれに固定される2個の保持側固定部42bと、可動側固定部42aと保持側固定部42bとを繋ぐ4個の腕部42cとを備える板バネ42を備えていても良い。
【0062】
この場合には、光軸方向から見たときに、2個の可動側固定部42aのそれぞれは、振れ補正機構4の四隅のうちの一方の対角線上のそれぞれに配置され、2個の保持側固定部42bのそれぞれは、振れ補正機構4の四隅のうちの他方の対角線上のそれぞれに配置されている。
【0063】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0064】
上述した形態では、支点突起17は、磁性板16と一体で形成されている。この他にもたとえば、磁性板16と別体で形成された支点突起17が磁性板16に固定されても良い。また、上述した形態では、下方向へ突出する支点突起17が磁性板16に形成されているが、支点突起17に代えて、上方向へ突出する支点突起がコイル保持部材19に形成されても良い。この場合には、コイル保持部材19に形成される支点突起の上端が磁性板16の下面に当接する。すなわち、この場合には、コイル保持部材19に形成される支点突起と磁性板16の下面とによって、支点部13が構成される。また、支点部13は、支点突起17に代えて、球形に形成される支点部材を備えていても良い。この場合には、たとえば、磁性板16やコイル保持部材19に前後左右方向への支点部材のずれを防止するための保持部が形成される。
【0065】
上述した形態では、板バネ12の可動側固定部12aは、振れ補正用磁石15の下面に固定されている。この他にもたとえば、可動側固定部12aは、磁性板16の下面に固定されても良い。また、上述した形態では、板バネ12の保持側固定部12bは、振れ補正用コイル18の上端面に固定されているが、保持側固定部12bは、コイル保持部材19の上面に固定されても良い。
【0066】
上述した形態では、保持側固定部12bを構成する4個のコイル固定部12dは連結部12eによって繋がれているが、4個のコイル固定部12dは繋がれていなくても良い。また、上述した形態では、板バネ12は、4個の腕部12cを備えているが、板バネ12が備える腕部12cの数は、2個または3個であっても良いし、5個以上であっても良い。
【0067】
上述した形態では、可動部10は、振れ補正用磁石15と磁性板16とを備え、保持部11は、振れ補正用コイル18とコイル保持部材19とを備えている。この他にもたとえば、振れ補正用コイル18とコイル保持部材19とによってカメラモジュール3の下端面に固定される可動部が構成され、この可動部を揺動可能に保持する保持部が振れ補正用磁石15と磁性板16とによって構成されても良い。この場合には、モジュール接続部7aを介して基板6の下面に振れ補正用コイル18およびコイル保持部材19が固定される。また、振れ補正用コイル18の下端面に対向する振れ補正用磁石15が磁性板16の上面に固定される。
【0068】
上述した形態では、コイル保持部材19の光軸方向の厚みは、振れ補正用コイル18の光軸方向の厚みと等しくなっているが、コイル保持部材19の光軸方向の厚みは、振れ補正用コイル18の光軸方向の厚みより薄くても良い。また、上述した形態では、振れ補正用コイル18は、空芯コイルであるが、振れ補正用コイル18は、たとえば、微細な銅配線からなるコイル部がプリント基板上に形成されることによって構成されたFPコイルであっても良い。また、上述した形態では、撮影用光学装置1は、オートフォーカス機能を備えているが、撮影用光学装置1は、オートフォーカス機能を備えていなくても良い。
【0069】
上述した形態では、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状がその他の多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が円形状や楕円形状となるように形成されても良い。
【0070】
同様に、カメラモジュール3は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、カメラモジュール3は、光軸方向から見たときの形状がその他の多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が円形状や楕円形状となるように形成されても良い。この場合には、光軸方向から見たときに、振れ補正機構4の外周端とカメラモジュール3の外周面とが略一致するように、カメラモジュール3の形状に合わせて、振れ補正機構4が形成される。
【符号の説明】
【0071】
1 撮影用光学装置
3 カメラモジュール
4 振れ補正機構
10 可動部
11 保持部
12、42 板バネ
12a、42a 可動側固定部
12b、42b 保持側固定部
12c、42c 腕部
13 支点部
15 振れ補正用磁石
16 磁性板
17 支点突起
18 振れ補正用コイル
19 コイル保持部材
19a 固定孔
25 壁部
30 突起当接部材
30a 当接面
L 光軸
Z 光軸方向
Z1 被写体側
Z2 反被写体側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9