(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通信デュエット歌唱を行う各カラオケ装置をマスター側カラオケ装置とスレーブ側カラオケ装置とに区別し、マスター側カラオケ装置からスレーブ側カラオケ装置に向かって、カラオケ演奏信号とマスター側カラオケ装置での歌唱信号の混合信号を送信し、スレーブ側カラオケ装置からマスター側カラオケ装置に向かって、スレーブ側カラオケ装置での歌唱信号のみを送信することにより、各カラオケ装置における演奏同期を図って、快適な通信デュエット歌唱を行うことができるシステムが開発されている。
【0006】
このマスター/スレーブ方式では、マスター側カラオケ装置では、当該マスター側カラオケ装置において生成したカラオケ演奏信号を使用し、スレーブ側カラオケ装置では、当該スレーブ側カラオケ装置において生成するカラオケ演奏信号を使用せずに、受信した混合音声信号に含まれるカラオケ演奏信号を使用してカラオケ演奏音声を出力する。
【0007】
しかし、このようなマスター/スレーブ方式を採用した場合には、マスター側カラオケ装置では、カラオケ演奏音及び歌唱音声の音量を利用者の所望に合わせて調整することができるが、スレーブ側カラオケ装置では、マスター側カラオケ装置において調整されたカラオケ演奏音及び歌唱音声の音量を使用しているため、必ずしも利用者の所望に合致しているとは言えない場合がある。
【0008】
そして、スレーブ側カラオケ装置において、利用者の所望に合わせてマスター側カラオケ装置から受信した混合音声信号(カラオケ演奏信号及びマスター歌唱信号)とスレーブ歌唱信号の調整を行う操作をしている間に、マスター側カラオケ装置でカラオケ演奏音及び歌唱音声の音量バランスの調整操作を行ってしまうと、音量調整のバランスを保てない状態となってしまう。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、伝送路により通信可能に接続されたマスター側カラオケ装置とスレーブ側カラオケ装置とからなるカラオケシステムにおいて、各々のカラオケ装置において、所望する音量のカラオケ演奏音及び歌唱音声を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカラオケシステムは、上述した事情に鑑み提案されたもので、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のカラオケシステムは、伝送路により通信可能に接続されたマスター側カラオケ装置とスレーブ側カラオケ装置とからなるカラオケシステムであって、マスター側カラオケ装置及びスレーブ側カラオケ装置は、それぞれ以下の手段を備えていることを特徴とするものである。マスター側カラオケ装置は、カラオケ演奏信号出力手段と、マスター歌唱信号出力手段と、重畳信号受信手段と、デコード手段と、混合信号送信手段と、マスターミキシング手段と、を備えている。スレーブ側カラオケ装置は、スレーブ歌唱信号出力手段と、制御信号取得手段と、重畳信号送信手段と、混合信号受信手段と、スレーブミキシング手段と、を備えている。
【0011】
カラオケ演奏信号出力手段は、カラオケ演奏信号を出力するための手段である。マスター歌唱信号出力手段は、マスター歌唱信号を出力するための手段である。重畳信号受信手段は、スレーブ側カラオケ装置においてスレーブ歌唱信号に制御信号を重畳した重畳信号を、伝送路を介して、スレーブ側カラオケ装置から受信するための手段である。デコード手段は、重畳信号受信手段が受信した重畳信号をデコードして、スレーブ歌唱信号と制御信号とを出力するための手段である。混合信号送信手段は、カラオケ演奏信号出力手段が出力したカラオケ演奏信号と、マスター歌唱信号出力手段が出力したマスター歌唱信号とを、デコード手段がデコードした制御信号の制御値に基づいてミキシングして混合信号を生成し、伝送路を介して、混合信号をスレーブ側カラオケ装置に送信するための手段である。マスターミキシング手段は、カラオケ演奏信号出力手段が出力したカラオケ演奏信号と、マスター側歌唱信号出力手段が出力したマスター歌唱信号と、デコード手段が出力したスレーブ歌唱信号とを、それぞれ任意の音量レベルでミキシングして出力するための手段である。
【0012】
スレーブ歌唱信号出力手段は、スレーブ歌唱信号を出力するための手段である。制御信号取得手段は、制御値が規定された制御信号を取得するための手段である。重畳信号送信手段は、スレーブ歌唱信号出力手段が出力したスレーブ歌唱信号に、制御信号取得手段により取得した制御信号を重畳した重畳信号を、伝送路を介して、マスター側カラオケ装置に送信するための手段である。混合信号受信手段は、混合信号送信手段により送信された混合信号を、伝送路を介して受信するための手段である。スレーブミキシング手段は、スレーブ歌唱信号出力手段が出力したスレーブ歌唱信号と、混合信号受信手段が受信した混合信号とを、任意の音量レベルでミキシングして出力するための手段である。
【0013】
また、本発明のカラオケシステムは、上述した構成に加えて、スレーブ側カラオケ装置は、少なくとも3つの操作子を備えることが可能である。そして、第1の操作子の出力値に応じて、スレーブミキシング手段における混合信号の音量レベルを制御するとともに、制御信号の制御値を規定する。また、第2の操作子の出力値に応じて、制御信号の制御値を規定する。さらに、第3の操作子の出力値に応じて、スレーブミキシング手段におけるスレーブ歌唱信号の音量レベルを制御する。
【0014】
また、本発明のカラオケシステムは、上述した構成に加えて、マスター歌唱信号出力手段は、エフェクト処理済みのマスター歌唱信号を出力し、スレーブ歌唱信号出力手段は、エフェクト処理済みのスレーブ歌唱信号を出力することが可能である。
【0015】
上述した構成からなる本発明のカラオケシステムでは、伝送路により接続されたカラオケ装置において、カラオケ装置をマスター側カラオケ装置とスレーブ側カラオケ装置に区別する。そして、スレーブ側カラオケ装置では、自らのカラオケ演奏信号を使用せずに、伝送路を介して、マスター側カラオケ装置から送信されてくるマスター側カラオケ装置のカラオケ演奏信号を用いてカラオケ演奏を行う。すなわち、マスター側カラオケ装置では、カラオケ演奏信号とマスター歌唱信号とを重畳して混合信号を生成しているので、スレーブ側カラオケ装置において混合信号を再生することにより、マスター側カラオケ装置のカラオケ演奏信号とマスター歌唱信号を再生することができる。
【0016】
一方、スレーブ側カラオケ装置は、スレーブ歌唱信号に制御信号を重畳して重畳信号を生成し、伝送路を介して、マスター側カラオケ装置に送信する。マスター側カラオケ装置では、重畳信号をデコードすることにより、スレーブ歌唱信号を再生することができる。さらに、重畳信号からデコードした制御信号の制御値に基づいて、スレーブ側カラオケ装置に送信する混合信号を生成する。すなわち、マスター側カラオケ装置で生成する混合信号の音量は、スレーブ側カラオケ装置から送信されてくる制御信号の制御を受けて調整される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカラオケシステムでは、伝送路で接続されたカラオケ装置をマスター側カラオケ装置とスレーブ側カラオケ装置とに区別し、スレーブ側カラオケ装置では、マスター側カラオケ装置から送信されてくるカラオケ演奏信号を再生することによりカラオケ演奏を行う。このカラオケ演奏信号は、マスター歌唱信号と混合され混合信号となっている。そして、この混合信号の中のマスター歌唱信号の音量は、スレーブ側カラオケ装置から送信される制御信号の制御値に基づいて調整される。
【0018】
このように、マスター側カラオケ装置では、独自に、利用者の所望に合わせて、カラオケ演奏音や歌唱音声の音量調整を行うことができる。一方、スレーブ側カラオケ装置では、マスター側カラオケ装置に制御信号を送信することにより、マスター側カラオケ装置から送信されてくるカラオケ演奏信号とマスター歌唱信号とを混合した混合信号の音量調整を行うことができる。
【0019】
したがって、マスター側カラオケ装置及びスレーブ側カラオケ装置の双方において、それぞれ所望する音量のカラオケ演奏音及び歌唱音声を出力することができるので、双方のカラオケ装置の利用者は、カラオケの楽しさを十分に堪能することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明のカラオケシステムの実施形態について説明する。
図1〜
図4は本発明の実施形態に係るカラオケシステムを示すもので、
図1はカラオケシステムの概略構成を示すブロック図、
図2はマスター側カラオケ装置の主要構成を示すブロック図、
図3はスレーブ側カラオケ装置の主要構成を示すブロック図、
図4はスレーブ側カラオケ装置における操作子の音声出力制御を示す説明図である。
【0022】
<カラオケシステムの概要>
本発明の実施形態に係るカラオケシステム10は、
図1に示すように、伝送路(専用電話回線、汎用回線、インターネット等)200により接続された少なくとも2機のカラオケ装置(マスター側カラオケ装置10aとスレーブ側カラオケ装置10b)において、同一のカラオケ楽曲の演奏同期をとりながら、各カラオケ装置(マスター側カラオケ装置10aとスレーブ側カラオケ装置10b)において同時に歌唱を行う機能を有し、カラオケ装置のうちのいずれか1機をマスター側カラオケ装置10aとするとともに、その他のカラオケ装置をスレーブ側カラオケ装置10bとしたシステムである。
【0023】
以下の説明では、マスター側カラオケ装置10aとスレーブ側カラオケ装置10bとの間で、通信デュエット歌唱を行う場合を説明するが、3機以上のカラオケ装置の間で、同一のカラオケ楽曲の演奏同期をとりながら、各カラオケ装置において同時に歌唱を行う場合にも、本発明を適用することができる。
【0024】
この場合には、いずれか1機のカラオケ装置がマスター側カラオケ装置10aとなり、他のカラオケ装置がスレーブ側カラオケ装置10bとして機能する。マスター側カラオケ装置10a又はスレーブ側カラオケ装置10bのいずれとなるかは、通信デュエット歌唱の選曲予約の態様等により異なるため、各カラオケ装置は、マスター側カラオケ装置10a及びスレーブ側カラオケ装置10bの双方で必要となるすべての手段等を含んでいる。
【0025】
本発明の実施形態に係るカラオケシステムにおいて、マスター側カラオケ装置10aは、伝送路200を介して、通信デュエット歌唱を行う場合に、当該マスター側カラオケ装置10aにおいて生成したカラオケ演奏信号と、マイクロホン100から入力された歌唱音声信号とを混合した混合音声信号を、伝送路200を介して、スレーブ側カラオケ装置10bに送信する機能を有する。これに対して、スレーブ側カラオケ装置10bは、自らカラオケ演奏信号を生成するのではなく、マスター側カラオケ装置10aから受信した混合音声信号に含まれるカラオケ演奏信号を用いてカラオケ演奏音を再生する。スレーブ側カラオケ装置10bにおいてマイクロホン100から入力された歌唱音声信号は、伝送路200を介して、マスター側カラオケ装置10aに送信して再生される。
【0026】
なお、以下の説明において、プログラムとは、RAM等に記憶され、CPU等のハードウェアで実行されることにより、その機能を発揮するソフトウェアだけではなく、同等の機能を発揮することが可能な論理回路も含む概念である。
【0027】
<伝送路>
伝送路200は、専用電話回線、汎用回線(一般電話回線)、インターネット、光通信網、LAN及びこれらを組み合わせた通信回線等を使用することができる。使用する伝送路200は、カラオケ装置が設置された環境等に応じて、適宜選択することができるが、特に、混合音声信号やスレーブ歌唱信号の送受信を行う伝送路200は、可能な限りデータ伝送の遅延をなくすために、専用電話回線を用いることが好ましい。また、データ伝送の遅延が問題とならない場合には、インターネットのVPN機能等を用いて、データの送受信を行ってもよい。
【0028】
<管理サーバ>
また、本発明の実施形態に係るカラオケシステムにおいて、カラオケ装置(マスター側カラオケ装置10aとスレーブ側カラオケ装置10b)は、伝送路200を介して管理サーバ300と接続されている。管理サーバ300は、会員情報の管理、カラオケ装置に対する楽曲データの配信、録音録画データの公開等を行うためのサーバである。なお、単独の管理サーバ300により、上述した複数の機能を実現するのではなく、各機能に特化したサーバを設け、各サーバにより各機能を実現してもよい。この際、仮想化技術により、1つのサーバに複数の機能を持たせることもできる。
【0029】
<カラオケ装置>
上述したように、カラオケ装置は、マスター側カラオケ装置10a及びスレーブ側カラオケ装置10bからなり、各カラオケ装置はカラオケ演奏を行うための基本的な構成を備えている。そして、通信デュエット歌唱の選曲予約の態様等により、マスター側カラオケ装置10aとして機能するか、あるいはスレーブ側カラオケ装置10bとして機能するかが決定される。
【0030】
カラオケ装置の基本的な構成とは、カラオケ演奏を行うための基本的な構成であり、図示しないが、カラオケ演奏を行う主要部であるカラオケ本体と、その付帯装置とからなる。カラオケ本体は、例えば、伝送路200を介してデータの送受信を行うための送受信手段、CPU等を備えてカラオケ本体を総合的に制御する中央制御手段、記憶手段であるROM及びRAM、大容量記憶手段であるHDD、選曲予約を管理する予約管理手段、カラオケ楽曲の再生を制御する音楽再生制御手段、マイクロホンからの音声入力信号をデジタル変換するA/Dコンバータ、ビデオカメラからのビデオ信号の入力を制御するビデオI/F等からなる。
【0031】
HDDには、例えば、楽曲データベース及び映像データベースが格納されている。楽曲データベースは、演奏制御データ(MIDI規格のデータ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成されたデータベースである。演奏制御データは、各楽曲の演奏を制御するためのデジタルデータであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベースは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0032】
付帯装置は、例えば、ビデオカメラ、スピーカ、マイクロホン、ミキシングアンプ、表示装置、カラオケリモコン装置等からなる。カラオケリモコン装置は、ユーザインタフェース機能を備えており、ルータを介して、カラオケ本体との間でデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置は、楽曲検索手段として機能するプログラム、楽曲索引データベース、種々のデータを記憶するためのデータ記憶部、データの入出力を行うための入出力表示部等を備えている。このカラオケリモコン装置に付帯するスイッチ類や、入出力表示部に表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等が行われる。
【0033】
<マスター側カラオケ装置>
マスター側カラオケ装置10aは、上述した基本的な構成要素とともに、
図2に示すように、カラオケ演奏信号出力手段A、マスター歌唱信号出力手段B、重畳信号受信手段C、デコード手段D、混合信号送信手段E、マスターミキシング手段Fを備えている。以下、上述した基本的な構成を含めて、本実施形態について詳細に説明する。なお、上述した基本的な構成の説明と、以下に示す具体的な構成の説明とでは、構成要素の機能の説明を容易なものとするため用語が異なっている場合があるが、これは説明のための便宜的な相違であり、本質的な相違ではない(スレーブ側カラオケ装置10bにおいても同様)。
【0034】
マスター側カラオケ装置10aは、
図2に示すように、カラオケ本体部20と、伝送データ送受信部30に大別することができる。カラオケ本体部20は、音源部40、エフェクタ50、ミキサ60、エンコーダ70、デコーダ80を主要な構成要素としている。エフェクタ50には、マイクロホン100から歌唱音声信号(マスター歌唱信号)が入力され、ミキサ60でミキシングされた音声信号(カラオケ演奏信号、マスター歌唱信号、スレーブ歌唱信号)は、アンプ110に出力される。
【0035】
ミキサ60は、カラオケ演奏信号の出力音量を調整するためのカラオケ演奏音量調整ボリューム60a、マスター歌唱信号の出力音量を調整するためのマスター歌唱音量調整ボリューム60b、スレーブ歌唱信号の出力音量を調整するためのスレーブ歌唱音量調整ボリューム60cを備えている。
【0036】
マスター歌唱音声の出力信号線と伝送データ送受信部30との間の信号線には、送信するマスター歌唱信号の出力調整を行うためのボリューム90が配設されており、デコーダ80の機能により、スレーブ側カラオケ装置10bから送信されてきた重畳信号から分離した制御信号の制御値に基づいて、送信するマスター歌唱信号の出力調整を行う。エンコーダ70には、出力調整を行うためのボリューム120が接続されているが、このエンコーダ70は、マスター側カラオケ装置10aでは使用されない。
【0037】
伝送データ送受信部30は、スレーブ側カラオケ装置10bに、伝送路200を介して、カラオケ演奏信号とマスター歌唱信号とを混合した混合信号を送信するとともに、スレーブ側カラオケ装置10bから、スレーブ歌唱信号と制御信号とを重畳した重畳信号を受信するための部分である。
【0038】
スレーブ側カラオケ装置10bから受信した制御信号により出力調整されたマスター歌唱信号とカラオケ演奏信号の混合信号は、伝送路200を介して、スレーブ側カラオケ装置10bに送信される。また、スレーブ側カラオケ装置10bから、伝送路200を介して受信した重畳信号は、カラオケ本体部20のデコーダ80へ入力される。
【0039】
<カラオケ演奏信号出力手段>
カラオケ演奏信号出力手段Aは、カラオケ演奏信号を出力するための電子機器からなり、
図2に示す例では、音源部40がカラオケ演奏信号出力手段Aに相当する。
【0040】
<マスター歌唱信号出力手段>
マスター歌唱信号出力手段Bは、マスター歌唱信号を出力するための電子機器からなり、
図2に示す例では、エフェクタ50がマスター歌唱信号出力手段Bに相当する。このように、マスター歌唱信号出力手段Bは、エフェクト処理済みのマスター歌唱信号を出力することができる。
【0041】
<重畳信号受信手段>
重畳信号受信手段Cは、スレーブ側カラオケ装置10bにおいてスレーブ歌唱信号に制御信号を重畳した重畳信号を、伝送路200を介して、スレーブ側カラオケ装置10bから受信するための電子機器からなる。
図2に示す例では、伝送データ送受信部30において、スレーブ側カラオケ装置10bから受信した重畳信号をカラオケ本体部10へ伝送するための回路部が重畳信号受信手段Cに相当する。
【0042】
<デコード手段>
デコード手段Dは、重畳信号受信手段Cが受信した重畳信号をデコードして、スレーブ歌唱信号と制御信号とを出力するための電子回路からなり、
図2に示す例では、デコーダ80がデコード手段Dに相当する。
【0043】
<混合信号送信手段>
混合信号送信手段Eは、カラオケ演奏信号出力手段Aが出力したカラオケ演奏信号と、マスター歌唱信号出力手段Bから出力され、デコード手段Dがデコードした制御信号の制御値に基づいて出力調整されたマスター歌唱信号とをミキシングして、混合信号を生成し、伝送路200を介して、混合信号をスレーブ側カラオケ装置10bに送信するための電子回路からなり、
図2に示す例では、マスター歌唱信号の信号線及びマスター歌唱信号の出力調整を行うためのボリューム90と、伝送データ送受信部30の混合信号の信号線を含む回路部が混合信号送信手段Eに相当する。
【0044】
<マスターミキシング手段>
マスターミキシング手段Fは、カラオケ演奏信号出力手段Aが出力したカラオケ演奏信号と、マスター側歌唱信号出力手段Bが出力したマスター歌唱信号と、デコード手段Dが出力したスレーブ歌唱信号とを、それぞれ任意の音量レベルでミキシングして出力するための電子回路からなり、
図2に示す例では、ミキサ60がマスターミキシング手段Fに相当する。
【0045】
<スレーブ側カラオケ装置>
スレーブ側カラオケ装置10bは、上述した基本的な構成要素とともに、
図3に示すように、スレーブ歌唱信号出力手段Gと、制御信号取得手段Hと、重畳信号送信手段Iと、混合信号受信手段Jと、スレーブミキシング手段Kを備えている。スレーブ側カラオケ装置10bの構成はマスター側カラオケ装置10aとほぼ同様であり、
図3に示すように、カラオケ本体部20と、伝送データ送受信部30に大別することができる。カラオケ本体部20は、音源部40、エフェクタ50、ミキサ160、エンコーダ70、デコーダ80を主要な構成要素としている。エフェクタ50には、マイクロホン100から歌唱音声信号(スレーブ歌唱信号)が入力され、ミキサ160でミキシングされた音声信号(カラオケ演奏信号とマスター歌唱信号との混合信号、スレーブ歌唱信号)は、アンプ110に出力される。
【0046】
ミキサ160は、カラオケ演奏信号の出力音量を調整するためのカラオケ演奏音量調整ボリューム160a、スレーブ歌唱信号の出力音量を調整するためのスレーブ歌唱音量調整ボリューム160b、混合信号(カラオケ演奏信号及びマスター歌唱信号)の出力音量を調整するための混合音量調整ボリューム160cを備えている。なお、スレーブ側カラオケ装置10bでは、自機の音源からのカラオケ演奏信号を用いないため、カラオケ演奏音量調整ボリューム160aは使用しない(オープンとなっている)。同様の理由で、
図3においては、音源部40とエンコーダ70、及び音源部40とミキサ160との間は接続状態となっていない。この際、音源部40の電源をオフとしてカラオケ演奏信号の出力をカットしてもよいし、音源部40の電源はオンのままで、カラオケ演奏信号の出力のみをカットしてもよい。
【0047】
<操作子>
本実施形態のスレーブ側カラオケ装置10bは、スレーブミキシング手段Kにおける混合信号の音量レベルを制御するとともに、制御信号の制御値を規定するための第1の操作子と、制御信号の制御値を規定するための第2の操作子と、スレーブミキシング手段Kにおけるスレーブ歌唱信号の音量レベルを制御するための第3の操作子を備えている。これらの操作子は、例えば、カラオケリモコン装置の入出力画面(タッチパネル)に表示される。そして、利用者が入出力画面(タッチパネル)に表示された各操作子をタップしたりドラッグ・アンド・ドロップしたりすることにより、各操作子を操作することができる。
【0048】
第1の操作子は、
図4に示すように、混合音量調整ボリューム160c及びエンコーダ70に接続されたボリューム120を制御し、スレーブミキシング手段Kにおける混合信号の音量レベルを制御するとともに、制御信号の制御値を規定する。
図4に示す例では、操作子1のレベルが0.6倍になるような操作を行うと、混合音量調整ボリューム160cのレベルが0.6倍になるとともに、ボリューム120のレベルが1.67倍になる。これにより、スレーブ歌唱信号及びマスター歌唱信号の音量レベルを変化させることなく、カラオケ演奏信号の音量レベルのみを変化させることができる。
【0049】
第2の操作子は、
図4に示すように、エンコーダ70に接続されたボリューム120を制御し、制御信号の制御値を規定する。
図4に示す例では、操作子2のレベルが0.5倍になるような操作を行うと、ボリューム120のレベルが0.5倍になる。これにより、スレーブ歌唱信号及びカラオケ演奏信号の音量レベルを変化させることなく、マスター歌唱信号の音量レベルのみを変化させることができる。
【0050】
第3の操作子は、
図4に示すように、スレーブ歌唱音量調整ボリューム160bを制御し、スレーブミキシング手段Kにおけるスレーブ歌唱信号の音量レベルを制御する。
図4に示す例では、操作子3のレベルが0.5倍になるような操作を行うと、スレーブ歌唱音量調整ボリューム160bのレベルが0.5倍になる。これにより、マスター歌唱信号及びカラオケ演奏信号の音量レベルを変化させることなく、スレーブ歌唱信号の音量レベルのみを変化させることができる。
【0051】
スレーブ歌唱音声の出力信号線とエンコーダ70との間には、スレーブ歌唱信号の出力調整を行うためのボリューム90が配設されているが、スレーブ側カラオケ装置10bにおいて出力調整は行わず、例えば、出力が最大となるように固定される。エンコーダ70には、制御信号を取得するためのボリューム120が接続されている。このボリューム120で設定された制御値に基づいた制御信号は、エンコーダ70においてスレーブ歌唱信号と重畳され、伝送データ送受信部30に入力される。なお、スレーブ側カラオケ装置10bでは、デコーダ80は使用されない。
【0052】
伝送データ送受信部30は、マスター側カラオケ装置10aに、伝送路200を介して、スレーブ歌唱信号と制御信号とを混合した重畳信号を送信するとともに、マスター側カラオケ装置10aから、カラオケ演奏信号とマスター歌唱信号とを重畳した混合信号を受信するための部分である。
【0053】
スレーブ歌唱信号と制御信号とを混合した重畳信号は、伝送路200を介して、マスター側カラオケ装置10aに送信される。また、マスター側カラオケ装置10aから、伝送路200を介して受信した混合信号は、カラオケ本体部20のミキサ160へ入力される。
【0054】
<スレーブ歌唱信号出力手段>
スレーブ歌唱信号出力手段Gは、スレーブ歌唱信号を出力するための電子回路からなり、
図3に示す例では、エフェクタ50がスレーブ歌唱信号出力手段Gに相当する。このように、スレーブ歌唱信号出力手段Gは、エフェクト処理済みのスレーブ歌唱信号を出力することができる。
【0055】
<制御信号取得手段>
制御信号取得手段Hは、制御値を規定する制御信号を取得するための電子回路からなり、
図3に示す例では、エンコーダ70に接続されたボリューム120が制御信号取得手段Hに相当する。また、本実施形態では、第2の操作子によりボリューム120を制御し、エンコーダ70でスレーブ歌唱信号に重畳する制御信号の制御値を規定する。
【0056】
<重畳信号送信手段>
重畳信号送信手段Iは、スレーブ歌唱信号出力手段Gが出力したスレーブ歌唱信号に、制御信号取得手段Hにより取得した制御信号を重畳した重畳信号を、伝送路200を介して、マスター側カラオケ装置10aに送信するための電子回路からなり、
図3に示す例では、スレーブ歌唱信号の信号線及びエンコーダ70と、伝送データ送受信部30の重畳信号の信号線を含む回路が重畳信号送信手段Iに相当する。
【0057】
<混合信号受信手段>
混合信号受信手段Jは、混合信号送信手段Eにより送信された混合信号を、伝送路200を介して受信するための電子回路からなり、
図3に示す例では、伝送データ送受信部30の信号線を含む回路部が混合信号受信手段Jに相当する。
【0058】
<スレーブミキシング手段>
スレーブミキシング手段Kは、スレーブ歌唱信号出力手段Gが出力したスレーブ歌唱信号と、混合信号受信手段Jが受信した混合信号とを、任意の音量レベルでミキシングして出力するための電子回路からなり、
図3に示す例では、ミキサ160がスレーブミキシング手段Kに相当する。
【0059】
<他の実施形態>
本発明のシステム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。