【実施例】
【0064】
以下に製造例などを挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例などに何ら限定されるものではない。
【0065】
(製造例1−1:打錠用混合物の製造)
<被覆造粒工程>
酸化マグネシウムとして、酸化マグネシウム細粒STS(重質)(富田製薬株式会社製)を使用した。前記酸化マグネシウムは、平均粒子径(メジアン径(d50))約340μm、30メッシュ篩上の残存率が5%以下、200メッシュ篩通過率が10%以下であり、細粒タイプに分類される。
結合剤含有液として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製)を5質量%含む水溶液を調製した。
【0066】
前記酸化マグネシウム600gを流動層造粒装置(転動流動コーティング装置−MP−01、株式会社パウレック製)に入れ、前記結合剤含有液を下記条件で噴霧しながら被覆造粒加工し、顆粒を調製した。前記顆粒のメジアン径(d50)をレーザー回折・散乱式 粒子径・粒度分布測定装置 マイクロトラックMT3000II(日機装株式会社製)により測定したところ、360μmだった。
〔被覆造粒条件〕
・ 給気温度 : 80℃〜95℃
・ 排気温度 : 35℃〜40℃
・ 噴霧速度 : 6mL/分間
・ 合計噴霧時間 : 60分間
【0067】
前記顆粒における各成分の組成は、以下の通りである。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム 97.26質量%
・ ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.74質量%
合計 100.00質量%
【0068】
<打錠用混合物調製工程>
混合装置として、ボーレ コンテナミキサー(寿工業株式会社製)を用い、以下の混合条件で、下記組成及び配合量(混合物あたり)となるように混合し、打錠用混合物を得た。
〔混合条件〕
・ 温度 : 25℃
・ 混合 : ステアリン酸カルシウム以外の原料を20分間混合し、その混合物にステアリン酸カルシウムを添加後、更に3分間混合した。
〔組成〕
・ 被覆造粒工程で得られた顆粒 21.9質量%
(酸化マグネシウム 21.3質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.6質量%)
・ 貝カルシウム 64.8質量%
(未焼成カルシウム(ホタテ末)、株式会社エヌシーコーポレーション製)
・ デキストリン 8.0質量%
(パインデックス(登録商標)#100、松谷化学株式会社製)
・ セルロース 4.5質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0069】
なお、前記組成中、貝カルシウム及びデキストリンは、以下のようにして両者を用いて造粒した顆粒を用いた。
前記貝カルシウム445gと、前記デキストリン30gとを流動層造粒装置(転動流動コーティング装置−MP−01、株式会社パウレック製)に入れ、前記デキストリンを
10質量%含む水溶液を下記条件で噴霧しながら造粒加工し、顆粒を調製した。
〔造粒条件〕
・ 給気温度 : 65℃〜80℃
・ 排気温度 : 25℃〜30℃
・ 噴霧速度 : 8.5mL/分間
・ 合計噴霧時間 : 30分間
【0070】
(比較製造例1:打錠用混合物の製造)
<打錠用混合物調製工程>
混合装置として、ボーレ コンテナミキサー(寿工業株式会社製)を用い、以下の混合条件で、下記組成及び配合量(混合物あたり)となるように混合し、打錠用混合物を得た。
下記組成中、酸化マグネシウムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆造粒していない酸化マグネシウムを用いた。貝カルシウム及びデキストリンは、前記製造例1−1と同様にして、両者を用いて造粒した顆粒を用いた。
〔混合条件〕
・ 温度 : 25℃
・ 混合 : ステアリン酸カルシウム以外の原料を20分間混合し、その混合物にステアリン酸カルシウムを添加後、更に3分間混合した。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム 21.3質量%
(酸化マグネシウム細粒STS(重質)、富田製薬株式会社製)
・ 貝カルシウム 64.8質量%
(未焼成カルシウム(ホタテ末)、株式会社エヌシーコーポレーション製)
・ デキストリン 8.0質量%
(パインデックス(登録商標)#100、松谷化学株式会社製)
・ セルロース 5.1質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0071】
(試験例1−1:錠剤の製造)
前記製造例1−1、及び比較製造例1で製造した打錠用混合物を用い、以下のようにして打錠工程を行った。各打錠時間における打錠回数を表1に示す。
前記打錠工程では、打錠開始から120分間までは30分間ごとに、打錠開始120分間以降は15分間ごとに、排出後の錠剤の表面の状態を確認した。
<打錠工程>
ロータリー打錠機(HATA AP−12SS、株式会社畑鉄工所製)を用い、以下の条件で打錠加工し、錠剤を製造した。
〔打錠条件〕
・ 打錠用混合物の使用量 : 7kg
・ 杵立数 : 1本
・ 使用杵 : 硬質クロムメッキ処理がされた杵(標準的に使用されている杵)
・ 回転数 : 60rpm
・ 打錠圧 : 14kN
・ 剤形 : 直径8mm、曲率半径(R)6.5mm
・ 錠剤質量 : 290mg
【0072】
【表1】
【0073】
打錠用混合物として前記比較製造例1で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図1Aから
図1Cに示す。
図1Aは、打錠開始から90分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図1Bは、打錠開始から120分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図1Cは、打錠開始から180分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図1Aから
図1Cの結果から、打錠開始から90分間後には、錠剤表面に、酸化マグネシウムと杵とが擦れることによる黒い擦れ跡が発生し、120分間後には、擦れ跡がはっきりとわかる状態となった。
また、打錠開始から90分間後に一旦打錠を停止して杵の表面の様子を確認したところ、杵の表面に磨耗が見られ、打錠開始から180分間後には、
図1Dに示されるように、杵の表面の中間部分がほとんど磨耗していた(
図1Dのリング状になっている部分)。
【0074】
打錠用混合物として前記製造例1−1で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図2Aから
図2Dに示す。
図2Aは、打錠開始から120分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図2Bは、打錠開始から180分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図2Cは、打錠開始から240分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図2Dは、打錠開始から360分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図2Aから
図2Dの結果から、前記製造例1−1で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠開始から360分間後でも錠剤表面に黒い擦れ跡は発生しなかった。
また、
図2Eに示されるように、打錠開始から360分間後でも杵の表面に磨耗は見られなかった。
なお、前記製造例1−1で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合では、準備した7kgの打錠用混合物の全てを打錠し終わったため、打錠開始から360分間後で確認を終了した。
【0075】
以上の結果から、酸化マグネシウムを結合剤で被覆造粒することにより、杵の磨耗を大幅に抑制できることが確認された。また、前記製造例1−1で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠可能な回数が、前記比較製造例1で得られた打錠用混合物を用いた場合の4倍以上であることも確認された。
【0076】
(製造例1−2:打錠用混合物の製造)
<被覆造粒工程>
前記製造例1−1において、被覆造粒条件を下記条件に変えた以外は、製造例1−1と同様にして酸化マグネシウムを被覆造粒加工し、顆粒を調製した。前記顆粒のメジアン径(d50)を前記製造例1−1と同様にして測定したところ、345μmだった。
〔被覆造粒条件〕
・ 給気温度 : 80℃〜95℃
・ 排気温度 : 35℃〜40℃
・ 噴霧速度 : 3mL/分間
・ 合計噴霧時間 : 40分間
【0077】
前記顆粒における各成分の組成は、以下の通りである。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム 99.07質量%
・ ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.93質量%
合計 100.00質量%
【0078】
<打錠用混合物調製工程>
前記製造例1−1において、組成及び配合量(混合物あたり)を下記組成及び配合量(混合物あたり)に変えた以外は、製造例1−1と同様にして打錠用混合物を得た。なお、下記組成中、貝カルシウム及びデキストリンは、製造例1−1の打錠用混合物と同様にして造粒した顆粒を用いた。
〔組成〕
・ 被覆造粒工程で得られた顆粒 21.5質量%
(酸化マグネシウム 21.3質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2質量%)
・ 貝カルシウム 64.8質量%
(未焼成カルシウム(ホタテ末)、株式会社エヌシーコーポレーション製)
・ デキストリン 8.0質量%
(パインデックス(登録商標)#100、松谷化学株式会社製)
・ セルロース 4.9質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0079】
(試験例1−2:錠剤の製造)
前記試験例1−1において、打錠用混合物を前記製造例1−2で製造した打錠用混合物に代え、打錠用混合物の使用量を4kgに変えた以外は、試験例1−1と同様にして打錠工程を行った。
また、前記打錠工程では、前記試験例1−1と同様にして、排出後の錠剤の表面の状態を確認した。
【0080】
打錠用混合物として前記製造例1−2で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図3Aから
図3Dに示す。
図3Aは、打錠開始から90分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図3Bは、打錠開始から120分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図3Cは、打錠開始から150分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図3Dは、打錠開始から180分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図3Aから
図3Dの結果から、前記製造例1−2で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠開始から180分間後に僅かであるが錠剤表面に黒い擦れ跡が発生した。
また、
図3Eに示されるように、打錠開始から180分間後、杵の表面に僅かに磨耗が確認された。
【0081】
以上の結果から、酸化マグネシウムに対する結合剤の量を変えた前記製造例1−2でも、前記比較製造例1と比べて杵の磨耗を約2分の1に抑制できることが確認された。つまり、打錠可能な回数が、約2倍であることも確認された。
【0082】
(製造例1−3:打錠用混合物の製造)
<被覆造粒工程>
前記製造例1−1において、被覆造粒条件を下記条件に変えた以外は、製造例1−1と同様にして酸化マグネシウムを被覆造粒加工し、顆粒を調製した。前記顆粒のメジアン径(d50)を前記製造例1−1と同様にして測定したところ、350μmだった。
〔被覆造粒条件〕
・ 給気温度 : 80℃〜95℃
・ 排気温度 : 35℃〜40℃
・ 噴霧速度 : 4.5mL/分間
・ 合計噴霧時間 : 50分間
【0083】
前記顆粒における各成分の組成は、以下の通りである。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム 98.16質量%
・ ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1.84質量%
合計 100.00質量%
【0084】
<打錠用混合物調製工程>
前記製造例1−1において、組成及び配合量(混合物あたり)を下記組成及び配合量(混合物あたり)に変えた以外は、製造例1−1と同様にして打錠用混合物を得た。なお、下記組成中、貝カルシウム及びデキストリンは、製造例1−1の打錠用混合物と同様にして造粒した顆粒を用いた。
〔組成〕
・ 被覆造粒工程で得られた顆粒 21.7質量%
(酸化マグネシウム 21.3質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.4質量%)
・ 貝カルシウム 64.8質量%
(未焼成カルシウム(ホタテ末)、株式会社エヌシーコーポレーション製)
・ デキストリン 8.0質量%
(パインデックス(登録商標)#100、松谷化学株式会社製)
・ セルロース 4.7質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0085】
(試験例1−3:錠剤の製造)
前記試験例1−1において、打錠用混合物を前記製造例1−3で製造した打錠用混合物に代えた以外は、試験例1−1と同様にして打錠工程を行った。
また、前記打錠工程では、前記試験例1−1と同様にして、排出後の錠剤の表面の状態を確認した。
【0086】
打錠用混合物として前記製造例1−3で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図4Aから
図4Dに示す。
図4Aは、打錠開始から90分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図4Bは、打錠開始から180分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図4Cは、打錠開始から270分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図4Dは、打錠開始から360分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図4Aから
図4Dの結果から、前記製造例1−3で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠開始から360分間後でも錠剤表面に黒い擦れ跡は発生しなかった。
また、
図4Eに示されるように、打錠開始から360分間後でも杵の表面に磨耗は見られなかった。
なお、前記製造例1−3で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合では、準備した7kgの打錠用混合物の全てを打錠し終わったため、打錠開始から360分間後で確認を終了した。
【0087】
以上の結果から、酸化マグネシウムに対する結合剤の量を変えた場合でも、酸化マグネシウムを結合剤で被覆造粒することにより、杵の磨耗を大幅に抑制できることが確認された。また、前記製造例1−3で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠可能な回数が、前記比較製造例1で得られた打錠用混合物を用いた場合の4倍以上であることも確認された。
【0088】
(製造例1−4:打錠用混合物の製造)
<被覆造粒工程>
前記製造例1−1において、結合剤含有液をヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製)を5質量%含む水溶液に代えた以外は、製造例1−1と同様にして酸化マグネシウムを被覆造粒加工し、顆粒を調製した。前記顆粒のメジアン径(d50)を前記製造例1−1と同様にして測定したところ、365μmだった。
【0089】
前記顆粒における各成分の組成は、以下の通りである。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム 97.26質量%
・ ヒドロキシプロピルセルロース 2.74質量%
合計 100.00質量%
【0090】
<打錠用混合物調製工程>
前記製造例1−1において、組成及び配合量(混合物あたり)を下記組成及び配合量(混合物あたり)に変えた以外は、製造例1−1と同様にして打錠用混合物を得た。なお、下記組成中、貝カルシウム及びデキストリンは、製造例1−1の打錠用混合物と同様にして造粒した顆粒を用いた。
〔組成〕
・ 被覆造粒工程で得られた顆粒 21.9質量%
(酸化マグネシウム 21.3質量%、ヒドロキシプロピルセルロース 0.6質量%)
・ 貝カルシウム 64.8質量%
(未焼成カルシウム(ホタテ末)、株式会社エヌシーコーポレーション製)
・ デキストリン 8.0質量%
(パインデックス(登録商標)#100、松谷化学株式会社製)
・ セルロース 4.5質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0091】
(試験例1−4:錠剤の製造)
前記試験例1−1において、打錠用混合物を前記製造例1−4で製造した打錠用混合物に代えた以外は、試験例1−1と同様にして打錠工程を行った。
また、前記打錠工程では、前記試験例1−1と同様にして、排出後の錠剤の表面の状態を確認した。
【0092】
打錠用混合物として前記製造例1−4で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図5Aから
図5Dに示す。
図5Aは、打錠開始から90分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図5Bは、打錠開始から180分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図5Cは、打錠開始から270分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図5Dは、打錠開始から360分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図5Aから
図5Dの結果から、打錠用混合物1−4を用いた場合には、打錠開始から360分間後でも錠剤表面に黒い擦れ跡は発生しなかった。
また、
図5Eに示されるように、打錠開始から360分間後でも杵の表面に磨耗は見られなかった。
なお、前記製造例1−4で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合では、準備した7kgの打錠用混合物の全てを打錠し終わったため、打錠開始から360分間後で確認を終了した。
【0093】
以上の結果から、酸化マグネシウムをヒドロキシプロピルセルロースで被覆造粒した場合でも、杵の磨耗を大幅に抑制できることが確認された。また、前記製造例1−4で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠可能な回数が、前記比較製造例1で得られた打錠用混合物を用いた場合の4倍以上であることも確認された。
【0094】
(
参考製造例1−5:打錠用混合物の製造)
<被覆造粒工程>
前記製造例1−1において、結合剤含有液を食品添加物プルラン(株式会社林原社製)を5質量%含む水溶液に代えた以外は、製造例1−1と同様にして酸化マグネシウムを被覆造粒加工し、顆粒を調製した。前記顆粒のメジアン径(d50)を前記製造例1−1と同様にして測定したところ、370μmだった。
【0095】
前記顆粒における各成分の組成は、以下の通りである。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム 97.26質量%
・ 食品添加物プルラン 2.74質量%
合計 100.00質量%
【0096】
<打錠用混合物調製工程>
前記製造例1−1において、組成及び配合量(混合物あたり)を下記組成及び配合量(混合物あたり)に変えた以外は、製造例1−1と同様にして打錠用混合物を得た。なお、下記組成中、貝カルシウム及びデキストリンは、製造例1−1の打錠用混合物と同様にして造粒した顆粒を用いた。
〔組成〕
・ 被覆造粒工程で得られた顆粒 21.9質量%
(酸化マグネシウム 21.3質量%、食品添加物プルラン 0.6質量%)
・ 貝カルシウム 64.8質量%
(未焼成カルシウム(ホタテ末)、株式会社エヌシーコーポレーション製)
・ デキストリン 8.0質量%
(パインデックス(登録商標)#100、松谷化学株式会社製)
・ セルロース 4.5質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0097】
(試験例1−5:錠剤の製造)
前記試験例1−1において、打錠用混合物を前記
参考製造例1−5で製造した打錠用混合物に代えた以外は、試験例1−1と同様にして打錠工程を行った。
また、前記打錠工程では、前記試験例1−1と同様にして、排出後の錠剤の表面の状態を確認した。
【0098】
打錠用混合物として前記
参考製造例1−5で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図6Aから
図6Dに示す。
図6Aは、打錠開始から90分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図6Bは、打錠開始から180分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図6Cは、打錠開始から270分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図6Dは、打錠開始から360分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図6Aから
図6Dの結果から、打錠用混合物1−5を用いた場合には、打錠開始から270分間後に僅かであるが錠剤表面に黒い擦れ跡が発生した。
また、
図6Eに示されるように、打錠開始から360分間後、杵の表面に僅かに磨耗が確認された。
【0099】
以上の結果から、酸化マグネシウムをプルランで被覆造粒した場合でも、杵の磨耗を大幅に抑制できることが確認された。また、前記
参考製造例1−5で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠可能な回数が、前記比較製造例1で得られた打錠用混合物を用いた場合の3倍以上であることも確認された。
【0100】
(試験例:1−6)
<錠剤表面の元素分析>
日立卓上顕微鏡(TM3000、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)専用のエネルギー分散型元素分析装置(SwiftED3000)を用い、前記試験例1−1〜1−5で得られた錠剤の表面の元素分析を行った。
〔測定条件〕
倍率 : 30倍
観察条件 : 分析
加速電圧 : 15kV
【0101】
図7Aに比較製造例1で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤の表面の元素分析画像を示し、
図7B〜
図7Fに製造例1−1〜1−
4及び参考製造例1−5で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤の表面の元素分析画像を示す。
【0102】
また、上記元素分析から、錠剤の表面におけるマグネシウム及びカルシウムの元素量を求めた結果を表2に示す。
【表2】
【0103】
図7A〜
図7F、並びに表2の結果から明らかなように、製造例1−1〜1−
4及び参考製造例1−5で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤では、比較製造例1で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤と比べて、表面のマグネシウム含量が低減していることが明らかとなった。
【0104】
(製造例2:打錠用混合物の製造)
<被覆造粒工程>
前記製造例1−1と同様にして、前記製造例1−1と同じメジアン径及び組成の酸化マグネシウムの顆粒を調製した。
【0105】
<打錠用混合物調製工程>
前記製造例1−1において、組成及び配合量(混合物あたり)を下記組成及び配合量(混合物あたり)に変えた以外は、製造例1−1と同様にして打錠用混合物を得た。
〔組成〕
・ 被覆造粒工程で得られた顆粒 97.9質量%
(酸化マグネシウム 95.3質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.6質量%)
・ セルロース 1.3質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0106】
(比較製造例2:打錠用混合物の製造)
<打錠用混合物調製工程>
前記比較製造例1において、組成及び配合量(混合物あたり)を下記組成及び配合量(混合物あたり)に変えた以外は、比較製造例1−1と同様にして打錠用混合物を得た。
下記組成中、酸化マグネシウムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆造粒していない酸化マグネシウムを用いた。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム 95.3質量%
(酸化マグネシウム細粒STS(重質)、富田製薬株式会社製)
・ セルロース 3.9質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0107】
(試験例2−1:錠剤の製造)
前記試験例1−1において、打錠用混合物を前記製造例2、又は前記比較製造例2で製造した打錠用混合物に代え、以下の打錠条件に変えた以外は、試験例1−1と同様にして打錠工程を行った。
なお、前記打錠工程では、打錠開始から10分間ごとに、排出後の錠剤の表面の状態を確認した。
〔打錠条件〕
・ 打錠用混合物の使用量 : 3kg
・ 杵立数 : 1本
・ 使用杵 : 硬質クロムメッキ処理がされた杵(標準的に使用されている杵)
・ 回転数 : 40rpm
・ 打錠圧 : 14kN
・ 剤形 : 直径8mm、曲率半径(R)6.5mm
・ 錠剤質量 : 360mg
【0108】
打錠用混合物として前記比較製造例2で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図8Aから
図8Cに示す。
図8Aは、打錠開始から30分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図8Bは、打錠開始から60分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図8Cは、打錠開始から90分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図8Aから
図8Cの結果から、打錠開始から60分間後には、錠剤表面に、酸化マグネシウムと杵とが擦れることによる黒い擦れ跡が発生し、90分間後には、擦れ跡がはっきりとわかる状態となった。
また、打錠開始から60分間後に一旦打錠を停止して杵の表面の様子を確認したところ、杵の表面に磨耗が見られ、打錠開始から90分間後には、
図8Dに示されるように、杵の表面の中間部分がほとんど磨耗していた(
図8Dのリング状になっている部分)。
【0109】
打錠用混合物として前記製造例2で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図9Aから
図9Dに示す。
図9Aは、打錠開始から60分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図9Bは、打錠開始から120分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図9Cは、打錠開始から180分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図9Dは、打錠開始から210分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図9Aから
図9Dの結果から、前記製造例2で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠開始から210分間後でも錠剤表面に黒い擦れ跡は発生しなかった。
また、
図9Eに示されるように、打錠開始から210分間後でも杵の表面に磨耗は見られなかった。
なお、前記製造例2で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合では、準備した2kgの打錠用混合物の全てを打錠し終わったため、打錠開始から210分間後で確認を終了した。
【0110】
以上の結果から、打錠混合物中の酸化マグネシウムの含有量を多くした場合でも、酸化マグネシウムを結合剤で被覆造粒することにより、杵の磨耗を大幅に抑制できることが確認された。前記製造例2で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠可能な回数が、前記比較製造例2で得られた打錠用混合物を用いた場合の3倍以上であることも確認された。
【0111】
(試験例2−2)
<錠剤表面の元素分析>
前記試験例2−1で得られた錠剤について、前記試験例1−6と同様にして、錠剤の表面の元素分析を行った。
【0112】
図10Aに比較製造例2で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤の表面の元素分析画像を示し、
図10Bに製造例2で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤の表面の元素分析画像を示す。
【0113】
また、上記元素分析から、錠剤の表面におけるマグネシウムの元素量を求めた結果を表3に示す。
【表3】
【0114】
図10A及び
図10B、並びに表3の結果から明らかなように、製造例2で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤では、比較製造例2と比べて表面中のマグネシウム含量が低減していることが明らかとなった。
【0115】
(製造例3:打錠用混合物の製造)
<被覆造粒工程>
前記製造例1−1において、酸化マグネシウムを酸化マグネシウム(重質)(富田製薬株式会社製;平均粒子径(メジアン径(d50))約3μm;粉末タイプ)に代え、被覆造粒条件における合計噴霧時間を80分間に変えた以外は、製造例1−1と同様にして被覆造粒加工し、酸化マグネシウムの顆粒を調製した。前記顆粒のメジアン径(d50)を前記製造例1−1と同様にして測定したところ、約15μmだった。
【0116】
前記顆粒における各成分の組成は、以下の通りである。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム(重質) 96.80質量%
・ ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.20質量%
合計 100.00質量%
【0117】
<打錠用混合物調製工程>
前記製造例1−1において、組成及び配合量(混合物あたり)を下記組成及び配合量(混合物あたり)に変えた以外は、製造例1−1と同様にして打錠用混合物を得た。なお、下記組成中、貝カルシウム及びデキストリンは、製造例1−1の打錠用混合物と同様にして造粒した顆粒を用いた。
〔組成〕
・ 被覆造粒工程で得られた顆粒 22.0質量%
(酸化マグネシウム(重質) 21.3質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.7質量%)
・ 貝カルシウム 64.8質量%
(未焼成カルシウム(ホタテ末)、株式会社エヌシーコーポレーション製)
・ デキストリン 8.0質量%
(パインデックス(登録商標)#100、松谷化学株式会社製)
・ セルロース 4.4質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0118】
(比較製造例3:打錠用混合物の製造)
<打錠用混合物調製工程>
前記比較製造例1において、組成及び配合量(混合物あたり)を下記組成及び配合量(混合物あたり)に変えた以外は、比較製造例1−1と同様にして打錠用混合物を得た。
下記組成中、酸化マグネシウムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースで被覆造粒していない酸化マグネシウムを用いた。
〔組成〕
・ 酸化マグネシウム(重質) 21.3質量%
(酸化マグネシウム(重質)、富田製薬株式会社製)
・ 貝カルシウム 64.8質量%
(未焼成カルシウム(ホタテ末)、株式会社エヌシーコーポレーション製)
・ デキストリン 8.0質量%
(パインデックス(登録商標)#100、松谷化学株式会社製)
・ セルロース 5.1質量%
(セオラスUF−F711、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・ ステアリン酸カルシウム(滑沢剤、堺化学工業株式会社製) 0.8質量%
合計 100.0質量%
【0119】
(試験例3−1:錠剤の製造)
前記試験例1−1において、打錠用混合物を前記製造例3、又は前記比較製造例3で製造した打錠用混合物に代え、以下の打錠条件に変えた以外は、試験例1−1と同様にして打錠工程を行った。
なお、前記打錠工程では、打錠開始から10分間ごとに、排出後の錠剤の表面の状態を確認した。
〔打錠条件〕
・ 打錠用混合物の使用量 : 2kg
・ 杵立数 : 1本
・ 使用杵 : 硬質クロムメッキ処理がされた杵(標準的に使用されている杵)
・ 回転数 : 60rpm
・ 打錠圧 : 14kN
・ 剤形 : 直径8mm、曲率半径(R)6.5mm
・ 錠剤質量 : 290mg
【0120】
打錠用混合物として前記比較製造例3で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図11Aから
図11Cに示す。
図11Aは、打錠開始から30分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図11Bは、打錠開始から60分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図11Cは、打錠開始から90分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図11Aから
図11Cの結果から、打錠開始から30分間後には、錠剤表面に、酸化マグネシウムと杵とが擦れることによる黒い擦れ跡が発生し、60分間後には、擦れ跡がはっきりとわかる状態となった。
また、打錠開始から60分間後に一旦打錠を停止して杵の表面の様子を確認したところ、杵の表面に磨耗が見られ、打錠開始から90分間後には、
図11Dに示されるように、杵の表面の中間部分がほとんど磨耗していた(
図11Dのリング状になっている部分)。
【0121】
打錠用混合物として前記製造例3で得られた打錠用混合物を用いて打錠を行った場合の錠剤の表面の様子を
図12Aから
図12Dに示す。
図12Aは、打錠開始から30分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図12Bは、打錠開始から60分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図12Cは、打錠開始から70分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図であり、
図12Dは、打錠開始から90分間後に排出された錠剤の表面の様子を示す図である。
図12Aから
図12Dの結果から、前記製造例3で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠開始から70分間後に僅かであるが錠剤表面に黒い擦れ跡が発生した。
また、
図12Eに示されるように、打錠開始から90分間後、杵の表面に磨耗が確認された。
【0122】
以上の結果から、粉末タイプの酸化マグネシウムを原料とした場合でも、酸化マグネシウムを結合剤で被覆造粒することにより、杵の磨耗を抑制できることが確認された。また、前記製造例3で得られた打錠用混合物を用いた場合には、打錠可能な回数が、前記比較製造例3で得られた打錠用混合物を用いた場合の2倍以上であることも確認された。
【0123】
(試験例3−2)
<錠剤表面の元素分析>
前記試験例3−1で得られた錠剤について、前記試験例1−6と同様にして、錠剤の表面の元素分析を行った。
【0124】
図13Aに比較製造例3で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤の表面の元素分析画像を示し、
図13Bに製造例3で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤の表面の元素分析画像を示す。
【0125】
また、上記元素分析から、錠剤の表面におけるマグネシウム及びカルシウムの元素量を求めた結果を表4に示す。
【表4】
【0126】
図13A及び
図13B、並びに表4の結果から明らかなように、製造例3で得られた打錠用混合物を用いて製造された錠剤では、比較製造例3と比べて表面中のマグネシウム含量が低減していることが明らかとなった。