【実施例】
【0014】
[第1実施例]
図1に示すエネルギマネジメントシステムSは、太陽光発電システム10と、分電盤(屋内分電盤)20と、蓄電システム40と、電力測定装置(測定装置)60と、集計管理装置(コントローラ)100とを備えている。
【0015】
この太陽光発電システム10は、戸建て住宅などの建物Hに配置されて、発電した電力を負荷(家電負荷)に供給したりするシステムである。
【0016】
まず、この建物Hについて説明すると、この建物Hは、系統電力から電力の供給を受けるための電力網としての系統電力網Eに接続されている。
【0017】
この系統電力網(系統電力)Eと建物Hに配線された主幹20aとが図示しない第1,第2電力量メータを介して繋がっており、主幹20aは
図2に示すように分電盤(屋内分電盤)20の主幹線20Aに繋がっている。
【0018】
第1電力量メータ(図示せず)は、系統電力網Eから建物Hへ流れる電力量を計測し、第2電力量メータ(図示せず)は、建物Hから系統電力網Eへ流れる電力量を計測する。すなわち、第1電力量メータは買電した電力量を積算し、第2電力量メータは売電した電力量を積算していく。
【0019】
分電盤20内には、主幹線20Aに流れる電流を検出するカレントトランスである電流センサ31が設けられている。この分電盤20の近傍には、
図1に示したように、電力測定装置60とシステムコントローラ200とが設置されている。
【0020】
また、分電盤20内には、
図2に示すように主幹線20Bが設けられており、この主幹線20Bには分岐幹20b…が繋がっている。
【0021】
分岐幹20b…は、建物Hの各部屋の天井裏に設けたジョイントボックス21…に繋がっており、このジョイントボックス21から複数の給電線(図示せず)が引き出されて部屋などに設けた各コンセント22…に繋がっている。各コンセント22に家電負荷(図示せず)を接続することにより、この家電負荷に電力が供給されることになる。
【0022】
太陽光発電システム10は、分散型の発電装置としての太陽光発電装置(発電手段)11と、PVパワーコンディショナ(発電用パワーコンディショナ)12とを備えている。
【0023】
この太陽光発電装置11は、自然エネルギである太陽光エネルギを直接電力に変換して発電を行う装置である。
【0024】
PVパワーコンディショナ12は、太陽光発電装置11が発電した直流電力を交流電力に変換して出力するものである。このPVパワーコンディショナ12は、
図3に示したように、DC/DCコンバータ12aと、インバータ12bと、歪み除去手段12cを有する。
【0025】
DC/DCコンバータ12aは、太陽光発電装置11からの直流電力の電圧を昇圧して、昇圧した直流電力を出力する。また、インバータ12bは、DC/DCコンバータ12aから出力される直流電力の直流電圧を商用電圧と同じ電圧で同じ周波数の電圧・周波数の交流電圧にして出力する。更に、歪み除去手段12cの出力側には給電線15,18が接続されている。この歪み除去手段12cは、インバータ12bから給電線15,18に出力される交流電圧の歪みを除去する。例えば、歪み除去手段12cにはローパスフィルタが用いられる。このローパスフィルタは、インバータ12bから出力される交流電力の交流電圧から歪みである高周波成分を除去する。
【0026】
また、PVパワーコンディショナ12は、給電線18によって蓄電池41に繋がっており、停電時にPVパワーコンディショナ12からの交流電力を蓄電池41に供給することができるようになっている。蓄電池41に交流電力を供給する替わりに、所定の部屋に設けた非常時用コンセント13を設け、停電時に非常時用コンセント13に給電線17を介して交流電力を供給するようにしてもよい。
【0027】
蓄電システム40は、蓄電池41と、PVパワーコンディショナ12から出力される交流電力を直流電力に変換して蓄電池41を充電したり蓄電池41の直流電力を交流電力に変換して出力したり、系統電力網Eの交流電力を直流電力に変換したりする蓄電パワーコンディショナ42と、システムコントローラ200とを備えている。
【0028】
蓄電パワーコンディショナ42は、システムコントローラ200から出力される制御信号や電流センサ31,71(後述する)から出力される検出信号に基づいて、蓄電池41の直流電力を交流電力に変換して後述する給電線56から出力したり、給電線L2から出力したりする。システムコントローラ200は、説明の便宜上、
図2において省略してある。
【0029】
蓄電パワーコンディショナ42は、蓄電池41を内蔵した筐体43内に設けられている。
【0030】
太陽光発電装置11と、PVパワーコンディショナ12と、蓄電池41と、蓄電パワーコンディショナ42とが屋外に設けられている。また、分電盤(屋外分電盤)50が屋外に設けられている。この分電盤50には、
図2に示すように、切替開閉器51と、自立用分電盤152と、端子台153と、遮断器155とが設けられている。
【0031】
この切替開閉器51は、可動接点である切片51Aにより開閉接続される端子51a、51bを有する。そして、端子51bには、PVパワーコンディショナ12のインバータ12bの出力側が給電線15を介して接続されている。
【0032】
また、端子台153の一方の端子(図示せず)には、分電盤20の主幹線20Aに接続された給電線57が繋がっている。また、端子台153の一方の端子は連結線58により遮断器155の端子(図示せず)に繋がっている。この遮断器155の一方の端子は給電線59により分電盤20の主幹線20Bに繋がっている。
【0033】
切替開閉器51の端子51aが端子台153の他方の端子(図示せず)に給電線L1によって繋がっており、切替開閉器51の端子51bが給電線L2によって蓄電パワーコンディショナ42に繋がっている。また、遮断器155の他方の端子(図示せず)は給電線56により蓄電パワーコンディショナ42に繋がっている。
【0034】
切替開閉器51の切片51Aは、自立用分電盤152の主幹線152Aに繋がっており、主幹線152Aには分岐線152B,152Bが繋がっている。分岐線152B,152Bは屋内配線54,55により建物Hの所定の部屋(例えばリビングダイニングキッチン)のジョイントボックス23,23に繋がり、このジョイントボックス23,23と所定の部屋のコンセント24とが給電線により接続されている。
【0035】
これにより、太陽光発電装置11が発電していて、インバータ12bから交流電力が出力されている場合において、切替開閉器51の切片51Aが端子
51bに接続されると、太陽光発電装置11で発電された電力が所定の部屋のコンセント24に接続される家電負荷に供給されるようになっている。
【0036】
一方、蓄電パワーコンディショナ42から出力される交流電力は、給電線L2,切替開閉器51の端子51b,切片51A,自立用分電盤152の主幹線152A,分岐線152B,152B,屋内配線54,55及びジョイントボックス23,23を介して各コンセント24に供給できるようになっている。
【0037】
また、蓄電パワーコンディショナ42から出力される交流電力は、給電線56,遮断器155、給電線59を介して主幹線20Bに供給可能に設けられている。
【0038】
蓄電池41や蓄電パワーコンディショナ42が故障した場合、切替開閉器51の切片51Aを端子51aに切り替えることにより、系統電力網Eからの電力をジョイントボックス23,23の各コンセント24へ供給するようになっている。この切り替えは、手動で行うようになっている。
【0039】
給電線15の一部15Aは、分電盤20内に引き込まれ、この一部15Aにはカレントトランスである電流センサ70,71が設けられている。電流センサ70,71はPVパワーコンディショナ12から出力される電流を検出する。なお、電流センサ70,71が取り付けられる給電線15の一部15Aは一層のシースに覆われた線にされ、この部分に電流センサ70,71が取り付けられる。このため、電流センサ70,71は分電盤20内に設ける必要がある。他の電流センサ31も同様である。
【0040】
電流センサ70(第2電流センサ)はシステムコントローラ200用のセンサであり、電流センサ71(第1電流センサ)は電力測定装置60用のセンサである。
【0041】
システムコントローラ200は、電流センサ31,70が検出する検出信号や室内リモコン装置210からの操作信号などに基づいて蓄電パワーコンディショナ42を制御する。
【0042】
電力測定装置60は、電流センサ71が検出する検出信号に基づいて、太陽光発電システム10から出力される電力量を測定し、この測定した測定データが集計管理装置100へ無線で送信する。
【0043】
集計管理装置100は、送信されてきた測定データに基づいて太陽光発電システム10が発電している現時点の電力や積算した電力量などを図示しない表示装置に表示したりするものである。
【0044】
また、集計管理装置100は、ルータ101を介してインターネットなどの外部の通信網に繋がっており、外部のサーバ(図示せず)との間で、計測値などのデータの送受信などを行うことができるようになっている。
【0045】
この実施例のエネルギマネジメントシステムSでは、屋外に分電盤50を設置し、この分電盤50とPVパワーコンディショナ12とを繋げた給電線15の一部15Aを屋内に設けた分電盤20内に引き込み、その一部15Aに電流センサ70,71を設けたものであるから、分電盤20の近傍に設けたシステムコントローラ200及び電力測定装置60と電流センサ70,71との離間距離は短く、電流センサ71から電力測定装置60まで引き出す信号線の長さや、電流センサ70からシステムコントローラ200まで引き出す信号線の長さを短く(例えば1.5m以下に)設定することができる。
[動 作]
次に、上記のように構成されるエネルギマネジメントシステムSの動作について簡単に説明する。
【0046】
日中の場合、太陽光発電システム10の太陽光発電装置11によって発電された直流電力は、DC/DCコンバータ12aを介して昇圧されて、インバータ12bに入力される。このインバータ12bは、入力される直流電力を100Vの定電圧で定周波数(50Hz又は60Hz)の交流電力に変換して出力する。
【0047】
そして、このインバータ12bから出力される交流電力は歪み除去手段12cに入力される。この歪み除去手段12cは、入力される交流電力の交流電圧の歪みである高周波成分を除去して出力する。
【0048】
この歪み除去手段12cから出力される交流電力は、給電線15およびジョイントボックス23,23と所定の部屋のコンセント24を介して複数のコンセント24に供給され、コンセント24に接続されている家電負荷(図示せず)に供給される。
【0049】
一方、系統電力網Eからの交流電力は、給電線57,連結線58,給電線59を介して主幹線20Bに供給される。また、停電時等には蓄電パワーコンディショナ42が作動して自律運転する。この自律運転時に蓄電パワーコンディショナ42から出力される交流電力は、給電線56,遮断器155、給電線59を介して主幹線20Bに供給される。この主幹線20Bに供給された交流電力は、主幹線20Bの分岐幹20bからジョイントボックス21を介してコンセント22へ供給され、コンセント22に接続されている家電負荷(図示せず)に供給される。
【0050】
また、系統電力網Eから分電盤50の連結線58へ供給された電力は、遮断器155,給電線56を介して蓄電パワーコンディショナ42へ供給され、蓄電パワーコンディショナ42は余った電力を蓄電池41に充電したりする。この蓄電池41への充電は、システムコントローラ200が室内リモコン装置210の操作や電流センサ70の検出信号に基づいて行う。
【0051】
電力測定装置60は、電流センサ71が検出する電流からPVパワーコンディショナ12が出力する電力、すなわち太陽光発電装置11が発電する電力を測定し、この測定結果を集計管理装置100へ送信する。この集計管理装置100は、送信されたデータに基づいて太陽光発電システム10が発電している現時点の電力や積算した電力量などを、図示しない表示装置に表示させる。
【0052】
このように、分電盤50や蓄電池41を屋外に設けなければならない場合であっても、給電線15の一部15Aを分電盤20内に引き込み、その一部15Aに電流センサ71を設けたものであるから、電流センサ71から電力測定装置60まで引き出す信号線の長さを短く(例えば1.5m以下に)設定することができ、このため、電流センサ71が検出した検出信号を通信手段を設けなくても電力測定装置60へ入力することができ、太陽光発電システム10が発電している電力を表示装置に表示させることが可能となる。
【0053】
すなわち、リフォームにより蓄電システム40を増築し、太陽光発電システム10が発電した電力を見えるようにする場合であって、分電盤50や蓄電池41を屋外に設けなければならないときでも、通信手段を設けなくても太陽光発電システム10が発電している電力を表示装置に表示させることが可能となる。
【0054】
夜間の場合、蓄電池41に充電した電力を蓄電パワーコンディショナ42によって交流電力に変換し、この交流電力を給電線56と給電線L2とから出力すれば、交流電力は分電盤50の遮断器155及び給電線59を介して分電盤20の主幹線20Bと、切替開閉器51を介して自立用分電盤152の主幹線152Aとに供給される。この主幹線20Bに供給される交流電力は、さらに分電盤20の分岐幹20bからジョイントボックス21を介してコンセント22へ供給され、各コンセント22に接続されている家電負荷(図示せず)に供給される。一方、主幹線152Aに供給される交流電力は、自立用分電盤152の分岐線152Bとからジョイントボックス23を介してコンセント24へ供給され、コンセント24に接続されている家電負荷(図示せず)に供給される。
【0055】
昼間において、停電が発生した場合、システムコントローラ200は、蓄電パワーコンディショナ42を制御して、蓄電池41の直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を給電線L2のみから出力させる。
【0056】
この給電線L2から出力される交流電力は、分電盤50の切替開閉器51,自立用分電盤152,屋内配線54,55及びジョイントボックス23を介して各コンセント24へ供給され、各コンセント24に接続された家電負荷(図示せず)に供給される。
【0057】
コンセント24は例えばリビングダイニングキッチンの部屋だけに設けられたものであり、そのコンセント24の数も必要最小限に設定されているので、コンセント24に接続されている家電負荷(図示せず)に蓄電パワーコンディショナ42から交流電力を例えば24時間供給することが可能となる。
【0058】
また、昼間に太陽光発電装置11が発電していて、PVパワーコンディショナ12の歪み除去手段12cから出力される交流電力が家電負荷に使用されていない場合や、家電負荷に使用される交流電力の量が少ない場合には、余剰電力が生じる。この余剰の交流電力は、歪み除去手段12cを介して給電線18に出力される。この余剰の交流電力は、給電線18を介して蓄電パワーコンディショナ42に入力され、蓄電パワーコンディショナ42により蓄電池41に充電される。この蓄電パワーコンディショナ42に入力される交流電力は、歪み除去手段12cを介して歪みである高周波成分が除去されているので、電力供給システムが自立運転モードになっても、太陽発電装置(太陽電池)11から蓄電池41に供給される電圧波形が安定している。このため、自立運転モードのときでも、PVパワーコンディショナ12の動作が停止されてしまうことなく、自然エネルギを利用した発電手段からの電力を発電用パワーコンディショナを介して家電負荷に確実に供給できる。例えば、家電負荷が蓄電池の場合には、昼間の余剰電力を蓄電池41に確実に充電できる。
【0059】
また、太陽光発電装置(太陽電池)11の自立運転時に、太陽光発電装置11からの出力電圧の振動が大きい場合でも、インバータ12bからは定電圧で定周波数の交流電圧が出力されることにより、蓄電池41に太陽光発電装置11に電力が充電されない事を防止できる。更に、既に設置している太陽光発電装置11からなる太陽電池システムに他の太陽光発電装置を更に追加設置した際にも、太陽光発電装置(太陽電池)11の自立運転時に、PVパワーコンディショナ12からの出力電圧のゼロクロス点の近辺の電圧振動が大きくなったり、出力電圧の振動が大きくなったりすることが無いので、蓄電池41に太陽光発電装置(太陽電池)11の電力が充電されない事を防止できる。
【0060】
蓄電池41や蓄電パワーコンディショナ42が故障した場合、切替開閉器51の切片51Aを端子51aに切り替える。これにより、系統電力網Eからの電力が給電線57,分電盤50の端子台153, 給電線L1,切替開閉器51の端子51a及び切片51A,自立用分電盤152の主幹線152Aを介してジョイントボックス23,23の各コンセント24へ供給される。すなわち、所定の部屋に系統電力を供給することができる。
[第2実施例]
図4は、第2実施例のエネルギマネジメントシステムの構成を示したものである。この第2実施例では、自然エネルギを利用した交流発電装置(発電手段)80で発電した交流電力をPVパワーコンディショ
ナ(発電用パワーコンディショナ)12Aで定電圧で定周波数の交流電力に変換するようにした例を示したものである。この交流発電装置80としては、風力を利用した小規模の風力発電装置や、水力を利用した小規模の水力発電装置等がある。
【0061】
PVパワーコンディショナ12Aは、AC/DCコンバータ81,DC/DCコンバータ12a,インバータ12b、歪み除去手段12cを有する。
【0062】
このAC/DCコンバータ81は、交流発電装置80から入力される交流電力を直流電力に変換して、DC/DCコンバータ12aに入力する。このDC/DCコンバータ12aは、入力される直流電力の電圧を昇圧して、昇圧した電圧の直流電力をインバータ12bに入力する。このインバータ12bは、入力される直流電力を定電圧で定周波数の交流電力に変換して、変換した交流電力を歪み除去手段12cに入力する。この歪み除去手段12cは、入力される交流電力の交流電圧から歪みである高周波成分を除去して出力する。
【0063】
この歪み除去手段12cから出力される交流電力は、給電線15や給電線18に出力されて、実施例1と同様に家電負荷に供給される。
[第3実施例]
図5は、第3実施例のエネルギマネジメントシステムSの構成を示す。この第3実施例では、PVパワーコンディショナ(発電用パワーコンディショナ)12Bのインバータ12bから出力される交流電圧の歪みを除去する歪み抑制手段12dを上述した実施例の歪み除去手段12cに代えて有する。
【0064】
この歪み抑制手段12dは、インバータ12bから出力される交流電力の電圧波形の歪を検出する歪み検出回路300と、歪み検出回路300で検出された歪みに基づいてインバータ12bを制御する制御回路310を有する。
【0065】
この歪み検出回路300は、電圧波形検出回路301と、基準波形生成回路302と、比較回路303を有する。この電圧波形検出回路301は、インバータ12bから出力される交流電力の交流電圧の波形を検出する。基準波形生成回路302は、系統電力網Eの交流電圧に同期した基準となる正弦波の基準波形を生成する。比較回路303は、基準波形生成回路302が生成した基準波形と電圧波形検出回路301が検出した検出電圧波形とを比較することにより、インバータ12bから出力される電圧波形の歪みを検出して、この歪み電圧を歪み検出信号として出力する。この歪み検出信号は制御回路310に入力される。
【0066】
制御回路310は、入力される歪み検出信号から、歪検出回路300が検出した歪電圧が設定されている設定電圧である
図6の閾値Vkを越えないようにインバータ12bを制御する。尚、閾値Vkは任意に設定変更できるようになっている。
【0067】
次に、歪検出回路300や制御回路310の動作について説明する。
【0068】
電圧波形検出回路301は、インバータ12bから出力される交流電力の交流電圧波形を検出する。一方、基準波形生成回路302は、系統電力網Eの交流電圧に同期した基準となる交流電圧の基準波形(正弦波波形)を生成する。
【0069】
比較回路303は、電圧波形検出回路301が検出した交流電圧波形と、基準波形生成回路302が生成した基準波形とを比較していく。例えば、
図6の電圧波形検出回路301が検出した交流電圧波形を
図7のVhaとし、
図6の基準波形生成回路302が生成した基準波形を
図7のVfとすると、基準波形Vfと交流電圧波形Vhaとの差が最大となる最大電圧差Vsを歪電圧として検出する。
【0070】
制御回路310は、基準波形Vfと交流電圧波形Vhaとの差の増減変化を検出して、最大電圧差Vsが予め設定した設定電圧(閾値)Vkを超えないように、インバータ12bの出力電圧を制御する。
【0071】
これにより、インバータ12bから出力される交流電力の交流電圧は、最大電圧差Vs
が閾値Vkを超えるような歪みが生ずることなく、コンセント24に接続される家電負荷や蓄電パワーコンディショナ42に供給される。従って、系統電力網Eとの連系を図る特定の回路を必要とせずに自然エネルギを利用した発電装置で発電される電力を利用できると共に、自然エネルギを利用した発電装置で発電される電力を負荷に安定して連続的に供給できる。
[第4実施例]
図7は第4実施例のエネルギマネジメントシステムSの構成を示す。この第4実施例は、PVパワーコンディショナ(発電用パワーコンディショナ)12Cを示したもので、第3実施例のインバータ12bから出力される交流電力を第1実施例の歪み除去手段12cを介して給電線15,18に出力させるようにしたものである。この歪み除去手段12cの作用は第1実施例と同様であるので、その説明は省略する。
【0072】
この第3実施例において制御回路310は、基準波形Vfと交流電圧波形Vhaとの差の増減変化を検出して、最大電圧差Vsが予め設定した設定電圧(閾値)Vkを超えないように、インバータ12bの出力電圧を制御する。この際、インバータ12bの出力電圧に高周波成分が含まれている場合、本実施例におけるように高周波成分が歪み除去手段12cで除去されるので、インバータ12bから出力される交流電力をより安定的に連続して家電負荷や蓄電パワーコンディショナ42に供給できる。
[第5実施例]
図8は第5実施例のエネルギマネジメントシステムSの構成を示す。この第5実施例は、蓄電池45と蓄電パワーコンディショナ47を増築したものである。尚、この第5実施例では、
図9に示したシステムコントローラ200が蓄電池41の筐体43内に設けられるが、
図8においては、説明の便宜上、システムコントローラ200の図示を省略してある。また、第5実施例において、蓄電池45と蓄電パワーコンディショナ47以外の構成は第1実施例と同じなのでその説明は省略する。
(その他)
上記実施例は、いずれも太陽光発電システム10を備えたエネルギマネジメントシステムSについて説明したが、これに限らず、例えば風力発電システムを備えたエネルギマネジメントシステムであってもよい。
【0073】
また、エネルギマネジメントシステムSは、電力測定装置60用の電流センサ71と、システムコントローラ200用の電流センサ70とを別々に設けているが、電力測定装置60用の電流センサ71が検出する検出信号に基づいて蓄電パワーコンディショナ42やPVパワーコンディショナ12を制御するようにしてもよい。
【0074】
上記実施例では、いずれも給電線15の一部15Aを分電盤20内に引き込んでいるが、必ずしも分電盤20内に引き込むことなく、給電線15の一部15Aを屋内に引き込むだけでもよい。この場合、その一部15Aに電流センサ70,71を設け、この電流センサ70,71の近傍に電力測定装置60を配置すればよいので、電力測定装置60を分電盤20の近傍に配置する必要がなくなり、このため、給電線15の一部15Aを所望の位置に引き込むことができ、電力測定装置60を所望の位置に配置することができる。
【0075】
上記実施例では、いずれも分電盤50内に切替開閉器51と自立用分電盤152と端子台153と遮断器155とを設けているが、
図10に示すように、切替開閉器51と自立用分電盤152を屋内に設けてもよく、また、端子台153及び遮断器155も屋内に設けてもよい。この場合、屋外に設ける分電盤50は不要となる。
【0076】
また、第5実施例に示すように蓄電池45(
図8参照)と蓄電パワーコンディショナ47を増築した場合も、
図10に示すように、切替開閉器51と自立用分電盤152を屋内に設けてもよく、また、端子台153及び遮断器155も屋内に設けてもよい。この場合には屋外に設ける分電盤50は不要となる。
【0077】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。