特許第6182041号(P6182041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182041
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】振動板およびオルゴール
(51)【国際特許分類】
   G10F 1/06 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   G10F1/06 P
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-211159(P2013-211159)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-75597(P2015-75597A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】田口 禎
【審査官】 冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−116753(JP,A)
【文献】 特開2006−003386(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0174725(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音階に対応する複数の振動弁と、
該複数の振動弁のうち、少なくとも一部の振動弁に固定されたウエイトと、
を有し、
前記ウエイトは、前記振動弁に固定された第1ウエイト部と、該第1ウエイト部の前記振動弁とは反対側の面に固定され、前記第1ウエイト部を構成する第1金属材料より硬度が低い第2金属材料からなる第2ウエイト部と、を備えていることを特徴とする振動板。
【請求項2】
前記振動弁を構成する材料および前記第1金属材料は、前記第2金属材料より融点が高く、
前記第1ウエイト部は、前記振動弁にハンダにより接合されていることを特徴とする請求項1に記載の振動板。
【請求項3】
前記第2ウエイト部は、前記第1ウエイト部にハンダにより接合されていることを特徴とする請求項2に記載の振動板。
【請求項4】
前記第2ウエイト部は、前記第2金属材料を溶融させて前記第1ウエイト部上で固化させてなることを特徴とする請求項2に記載の振動板。
【請求項5】
前記第1金属材料は、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデンまたは鉄を主成分とし、
前記第2金属材料は、錫またはビスマスを主成分とすることを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の振動板。
【請求項6】
前記第1金属材料は、前記第2金属材料より比重が大であることを特徴とする特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の振動板。
【請求項7】
前記第1金属材料は、ニッケル、銅、モリブデンまたは鉄を主成分とし、
前記第2金属材料は、錫を主成分とすることを特徴とする請求項6に記載の振動板。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の振動板と、前記振動弁を弾くピンを外周面に備えたドラムと、を有することを特徴とするオルゴール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動弁にウエイトが固定された振動板、および当該振動板を備えたオルゴールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オルゴールでは、良質で音量の豊かな低音域が要求される場合があるが、振動弁には、長さや幅に制限があるため、かかる要求に対応できない場合がある。そこで、振動弁にウエイトを固定して振動板の質量を増大させることがあり、このような場合、ニッパー等によってウエイトの一部を切削することにより、調律を行う。このため、ウエイトには、硬度が低くて比重の大きな鉛製のものが用いられている。
【0003】
環境問題の観点から鉛の使用が制限、禁止される機運があり、将来は、鉛製のウエイトが使用不能になることは明白である。そこで、鉛製のウエイトに代えて、他の金属材料によってウエイトを構成することが検討されているが、比重が大きくて、切削による調律が容易な金属材料は未だ見いだせていない。
【0004】
一方、鉛製のウエイトに代えて、タングステンを配合した6ナイロンからなるウエイトを用いることが提案されており、かかる複合材料は、比重が10〜13であり、ニッパー等による切削も可能である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−116753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の複合材料は、金属材料に比して価格が極めて高いという問題点がある。例えば、上記の複合材料は、鉛に比して価格が約100倍であり、銅に比して価格が約20倍である。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、切削等による調律が容易で、かつ、タングステンを配合した6ナイロンからなる複合材料でウエイト全体を構成した場合よりコストを低減することのできる振動板、および当該振動板を用いたオルゴールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る振動板は、音階に対応する複数の振動弁と、該複数の振動弁のうち、少なくとも一部の振動弁に固定されたウエイトと、を有し、前記ウエイトは、前記振動弁に固定された第1ウエイト部と、該第1ウエイト部の前記振動弁とは反対側の面に固定され、前記第1ウエイト部を構成する第1金属材料より硬度が低い第2金属材料からなる第2ウエイト部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、ウエイトは、振動弁に固定された第1ウエイト部と、第1ウエイト部に固定された第2ウエイト部とを備えており、第2ウエイト部を構成する第2金属材料は、第1ウエイト部を構成する第1金属材料より硬度が低い。このため、第2ウエイト部に対する切削による調律が容易である。このように本発明では、ウエイトを第1ウエイト部と第2ウエイト部との積層構造としているので、第2ウエイト部については、切削による調律が容易であることを条件に金属材料を選定すればよい。従って、第1ウエイト部および第2ウエイト部を比較的安価な金属材料で構成することができる。それ故、高価な複合材料でウエイト全体を構成した場合に比して、ウエイトのコストを低減することができる。
【0010】
本発明において、前記振動弁を構成する材料および前記第1金属材料は、前記第2金属材料より融点が高く、前記第1ウエイト部は、前記振動弁にハンダにより接合されていることが好ましい。かかる構成によれば、振動弁を構成する材料および第1金属材料の融点が高いので、高温ハンダによって強固に接合することができる。
【0011】
本発明において、前記第2ウエイト部は、前記第1ウエイト部にハンダにより接合されている構成を採用することができる。この場合でも、振動弁を構成する材料および第1金属材料の融点が高いので、第2ウエイト部を第1ウエイト部にハンダにより接合する際、振動弁や第1ウエイト部が溶融する等の不具合が発生しない。
【0012】
本発明において、前記第2ウエイト部は、前記第2金属材料を溶融させて前記第1ウエイト部上で固化させてなる構成を採用してもよい。
【0013】
本発明において、前記第1金属材料は、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデンまたは鉄を主成分とし、前記第2金属材料は、錫またはビスマスを主成分とする構成を採用することができる。本発明において、例えば「ニッケルを主成分とする」における、「主成分とする」とは、所定の金属と不可避金属のみから金属材料、および所定の金属の合金材料の双方を含む意味である。
【0014】
本発明において、前記第1金属材料は、前記第2金属材料より比重が大であることが好ましい。かかる構成によれば、十分な質量を有するウエイトを構成することができる。例えば、前記第1金属材料は、ニッケル、銅、モリブデンまたは鉄を主成分とし、前記第2金属材料は、錫を主成分とする構成を採用することができる。
【0015】
本発明を適用したオルゴールは、本発明を適用した振動板と、前記振動弁を弾くピンを外周面に備えたドラムと、を有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明において、ウエイトは、振動弁に固定された第1ウエイト部と、第1ウエイト部に固定された第2ウエイト部とを備えており、第2ウエイト部を構成する第2金属材料は、第1ウエイト部を構成する第1金属材料より硬度が低い。このため、第2ウエイト部に対する切削による調律が容易である。このように本発明では、ウエイトを第1ウエイト部と第2ウエイト部との積層構造としているので、第2ウエイト部については、切削による調律が容易であることを条件に金属材料を選定すればよい。従って、第1ウエイト部および第2ウエイト部を比較的安価な金属材料で構成することができる。それ故、高価な複合材料でウエイト全体を構成した場合に比して、ウエイトのコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した振動板の説明図である。
図2】本発明を適用した振動板の製造方法1を示す説明図である。
図3】本発明を適用した振動板の製造方法2を示す説明図である。
図4】本発明を適用した振動板の製造方法3を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(振動板およびオルゴールの基本構成)
図1は、本発明を適用した振動板の説明図であり、図1(a)、(b)は、振動板の斜視図、および振動板を用いたオルゴールの説明図である。
【0020】
図1(a)に示すように、振動板1は、音階に対応させて配列した複数の振動弁20を備えた金属板2と、振動弁20のうち低音域に配列された各振動弁21の先端部に固定されたウエイト3とを有しており、振動弁20のうち高音域に配列された各振動弁22にはウエイト3が設けられていない。ここで、振動弁20は、金属板2の端部を所定の幅寸法および所定の長さ寸法に切断した細幅の板状部からなり、低音側に対応する振動弁20から高音側に対応する振動弁20に向かって長さ寸法が短くなっている。但し、いずれの振動弁20も幅寸法および厚さ寸法は一定である。かかる振動弁20(金属板2)は、鉄系金属からなる。ウエイト3は、振動弁20の質量を高める機能を担っており、調律の際、ニッパー等を用いた切削によってウエイト3の一部を除去し、振動弁20の質量を調節する。本形態において、ウエイト3は、振動弁20が配列している方向からみたとき三角形の板状部であり、低音側に対応する振動弁20から高音側に対応する振動弁20に向かって高さ寸法(金属板2に対して垂直な方向の寸法)および長さ寸法(振動弁22が延在している方向の寸法)が小さくなっている。なお、金属板2には、振動板1をねじ110(図1(b)参照)により固定するための穴29が形成されている。
【0021】
図1(b)に示すように、振動板1は、オルゴール100で使用される際、ウエイト3を下向きにして、ねじ110によってフレーム120に固定される。また、オルゴール100では、振動板1と隣り合う位置にドラム130が配置されており、ドラム130の外周面には振動弁20を弾く複数のピン131が設けられている。従って、ドラム130を回転させれば、所定の振動弁20が弾かれるので、楽曲が演奏される。
【0022】
(ウエイト3の構成)
再び図1(a)において、本形態において、ウエイト3は、振動弁20の一方面に固定された第1ウエイト部31と、第1ウエイト部31の振動弁20側とは反対側の面に固定された第2ウエイト部32とを備えている。
【0023】
ここで、第2ウエイト部32は、ニッパー等を用いた切削が可能であることが求められることから、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料としては、第1ウエイト部31を構成する第1金属材料より硬度が低い材料が用いられている。
【0024】
本形態では、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料として、各種金属材料のうち、ビッカース硬度が20Hv以下の金属材料が用いられている。例えば、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料としては、錫を主成分とする金属材料、あるいはビスマスを主成分とする金属材料が用いられている。
【0025】
また、本形態では、第1ウエイト部31を鉄系金属からなる振動弁20にハンダにより接合するという観点から、第1金属材料(第1ウエイト部31)には、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料より融点が高い金属材料が用いられている。例えば、第1ウエイト部31を構成する第1金属材料としては、ニッケルを主成分とする金属材料、銅を主成分とする金属材料、亜鉛を主成分とする金属材料、モリブデンを主成分とする金属材料、あるいは鉄を主成分とする金属材料が用いられている。このため、振動弁20を構成する材料および第1金属材料は、第2金属材料より融点が高い。本形態において、振動弁20を構成する材料および第1金属材料の融点は、400℃以上である。従って、第1ウエイト部31を振動弁20に鉛フリーの高温ハンダによって強固に接合することができる。
【0026】
また、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料(錫を主成分とする金属材料、あるいはビスマスを主成分とする金属材料)は、融点が300℃以下である。従って、本形態では、第1ウエイト部31に第2ウエイト部32を積層する際、低融点ハンダを用いることができ、それ故、第1ウエイト部31に第2ウエイト部32を低融点ハンダにより接合する際、第1ウエイト部31や、振動弁20が溶融するという不具合が発生しない。
【0027】
また、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料(錫を主成分とする金属材料、あるいはビスマスを主成分とする金属材料)の融点が低いことから、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料を溶融した状態で第1ウエイト部31の上に載せ、その後、第1ウエイト部31の上で第2金属材料を固化させて、第2ウエイト部32を形成するという方法を採用することもできる。
【0028】
(製造方法1)
図2は、本発明を適用した振動板1の製造方法1を示す説明図である。本形態の振動板1を製造するにあたっては、まず、図2(a)に示すように、複数の振動弁20を備えた金属板2を製造した後、図2(b)に示すように、振動弁20のうち低音域に配列された各振動弁21の先端部に対して、第1ウエイト部31を構成するための三角錐台形状の第1金属ブロック310を鉛フリーの高温ハンダ(Sn−Ag−Cu系)を用いて接合する。第1金属ブロック310は、振動弁20毎に分割されていないブロック状であり、ニッケルを主成分とする金属材料、銅を主成分とする金属材料、亜鉛を主成分とする金属材料、モリブデンを主成分とする金属材料、あるいは鉄を主成分とする金属材料からなる。
【0029】
次に、図2(c)に示すように、第1金属ブロック310の振動弁20側とは反対側の面に、第2ウエイト部32を構成する三角錐形状の第2金属ブロック320を鉛フリーの低温ハンダ(Sn−Bi系)を用いて接合する。第2金属ブロック320は、振動弁20毎に分割されていないブロック状であり、錫を主成分とする金属材料、あるいはビスマスを主成分とする金属材料からなる。なお、溶融した第2金属材料を第1ウエイト部31の上で固化させて、第2ウエイト部32を形成してもよい。
【0030】
次に、図1(a)に示すように、カッターによって第1金属ブロック310および第2金属ブロック320を各振動弁20毎に分割する。その結果、複数の振動弁20の各々に独立したウエイト3が設けられ、かかるウエイト3は、第1ウエイト部31と第2ウエイト部32との積層構造を有している。
【0031】
次に、調律工程では、低音域に配列された各振動弁21毎の振動特性を評価し、必要に応じて、第2ウエイト部32をニッパー等で切削し、振動弁21毎にウエイト3の質量を調節する。
【0032】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の振動板1において、ウエイト3は、振動弁20に固定された第1ウエイト部31と、第1ウエイト部31に固定された第2ウエイト部32とを備えており、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料は、第1ウエイト部31を構成する第1金属材料より硬度が低い。このため、第2ウエイト部32に対する切削による調律が容易である。このように本形態では、ウエイト3を第1ウエイト部31と第2ウエイト部32との積層構造としているので、第2ウエイト部32については、切削による調律が容易であることを条件に金属材料を選定すればよい。従って、第1ウエイト部31および第2ウエイト部32を比較的安価な金属材料で構成することができる。それ故、高価な複合材料でウエイト3全体を構成した場合に比して、ウエイト3のコストを低減することができる。
【0033】
また、本形態において、第1ウエイト部31を構成する第1金属材料は、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデンまたは鉄を主成分とし、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料は、錫またはビスマスを主成分としている。このため、振動弁20を構成する鉄系金属材料および第1金属材料は、第2金属材料より融点が高いので、第1ウエイト部31を振動弁20に高温ハンダによって強固に接合することができる。また、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料の融点が低いので、第2ウエイト部32を第1ウエイト部31にハンダにより接合する際、低温ハンダを用いることができる。このため、第2ウエイト部32を第1ウエイト部31にハンダにより接合する際、振動弁20や第1ウエイト部31が溶融する等の不具合が発生しない。また、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料の融点が低いので、第2金属材料を溶融させて第1ウエイト部31上で固化させて第2ウエイト部32を構成することもできる。
【0034】
また、上記の材料の組み合わせのうち、第1ウエイト部31を構成する第1金属材料については、ニッケル、銅、モリブデンまたは鉄を主成分とし、第2ウエイト部32を構成する第2金属材料については、錫を主成分としている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、第1金属材料は、第2金属材料より比重が大きいので、十分な質量を有するウエイト3を構成することができる。
【0035】
(別の製造方法)
図3は、本発明を適用した振動板1の製造方法2を示す説明図である。図3に示す製造方法では、まず、図3(a)に示すように、複数の振動弁20を備えた金属板2を製造する一方、第1ウエイト部31を構成する第1金属ブロック310の一方面に、第2ウエイト部32を構成する第2金属ブロック320を低温ハンダ等を用いて接合し、積層体300を形成する。その際、溶融した第2金属材料を第1ウエイト部31上で固化させて第2ウエイト部32を構成し、積層体300を得てもよい。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、第1金属ブロック310において第2金属ブロック320が接合されている側とは反対側の面を、振動弁20のうち低音域に配列された各振動弁21の先端部に対して固定する。その際、金属粉が充填された接着剤のように弾性変形しない接着剤や、低温ハンダ等を用いる。
【0037】
次に、図1(a)に示すように、カッターによって第1金属ブロック310および第2金属ブロック320を各振動弁20毎に分割する。その結果、複数の振動弁20の各々に独立したウエイト3が設けられ、かかるウエイト3は、第1ウエイト部31と第2ウエイト部32との積層構造を有している。
【0038】
次に、調律工程では、振動弁20毎の振動特性を評価し、必要に応じて、第2ウエイト部32をニッパー等で切削し、振動弁20毎にウエイト3の質量を調節する。
【0039】
(さらに別の製造方法)
図4は、本発明を適用した振動板1の製造方法3を示す説明図である。図2および図3に示す製造方法では、複数の振動弁20を備えた金属板2に対して第1金属ブロック310および第2金属ブロック320を固定したが、図4に示すように、複数の振動弁20が形成されていない金属板2に対して第1金属ブロック310および第2金属ブロック320を固定してもよい。この場合、図1(a)に示すように、カッターによって金属板2を切断して振動弁20を形成すると同時に、カッターによって第1金属ブロック310および第2金属ブロック320を切断して振動弁20毎にウエイト3を形成する。
【0040】
(他の実施の形態)
上記実施の形態において、ウエイト3は、第1ウエイト部31と第2ウエイト部32との2層構造であったが、少なくとも第1ウエイト部31と第2ウエイト部32とを有していればよい。例えば、第1ウエイト部31と第2ウエイト部32との間にさらに別のウエイト(あるいは接合用の部材)が存在する構成や、第1ウエイト部31と第2ウエイト部32との積層構造が複数積層された構成等、ウエイト3が2層以上のウエイト部からなる構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 振動板
2 金属板
3 ウエイト
20 振動弁
31 第1ウエイト部
32 第2ウエイト部
100 オルゴール
130 ドラム
131 ピン
300 積層体
310 第1金属ブロック
320 第2金属ブロック
図1
図2
図3
図4