(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃焼検出手段を備えたバーナに燃料を供給するための燃料通路と、前記燃料通路に直列に複数設けられてそれぞれ前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁と、前記流量制御弁の駆動を制御するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記バーナを燃焼停止状態から燃焼状態へと移行させる時には前記流量制御弁の全てを開弁し、前記バーナを燃焼状態から燃焼停止状態へと移行させる時には、前記流量制御弁のうちの一流量制御弁以外の流量制御弁の開弁を維持すると共に前記一流量制御弁を閉弁して、前記一流量制御弁を閉弁したときに燃焼検出手段が燃焼の停止を検出しない場合に前記一流量制御弁が故障している故障状態であると判定する調理器であって、
前記一流量制御弁が、前記制御部による通電によって磁化される第1の磁性体と、弁体が付設された第2の磁性体とを備え、前記制御部によって吸着電流が通電されて前記第1の磁性体に前記第2の磁性体が吸着してその開弁状態を維持し、この開弁状態を維持した後に前記吸着電流の通電が遮断されて前記第2の磁性体が前記第1の磁性体から離脱して閉弁するように構成された調理器において、
前記制御部が、前記開弁状態を維持した後に前記吸着電流の通電を遮断する前に、前記一流量制御弁に前記吸着電流より小さい所定値に設定された離脱電流確認用電流を通電し、前記離脱電流確認用電流を通電してから所定時間内に燃焼検出手段が燃焼の停止を検出しない場合に前記一流量制御弁の離脱電流過小状態であると判定し、離脱電流過小状態用処置を実行することを特徴とする調理器。
音声メッセージを発する音声報知手段又は表示により報知を行う表示報知手段を備え、前記制御部が、前記離脱電流過小状態用処置として、音声報知手段又は表示報知手段により報知を行う、第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行することを特徴とする請求項1記載の調理器。
前記第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行した累積回数が所定の回数に達したときに、前記制御部が、前記流量制御弁の開弁を禁止する第2段階の離脱電流過小状態用処置を実行することを特徴とする請求項2記載の調理器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示される調理器のように、通電によって磁化される第1の磁性体と、弁体が付設された第2の磁性体とを備え、制御部によって吸着電流が通電されて第1の磁性体に第2の磁性体が吸着して開弁状態を維持し、開弁状態を維持した後に吸着電流の通電が遮断されて第2の磁性体が第1の磁性体から離脱して閉弁するように構成される流量制御弁(電磁安全弁)を備える調理器に対し、特許文献1に示される技術を適用することで、調理器のガス流路に直列に配設された二つの流量制御弁の故障をチェックすることが可能である。
【0007】
しかしながら、特許文献2に示される調理器のように、流量制御弁が、通電によって磁化される第1の磁性体と、弁体が付設された第2の磁性体とを備え、制御部によって吸着電流が通電されて第1の磁性体に第2の磁性体が吸着して開弁状態を維持し、開弁状態を維持した後に吸着電流の通電が遮断されて第2の磁性体が第1の磁性体から離脱して閉弁するように構成される電磁安全弁である場合、第1の磁性体に第2の磁性体が吸着することが繰り返されることに伴う第1の磁性体と第2の磁性体との間の当接面のなじみに起因する第1の磁性体と第2の磁性体との間の磁気抵抗の減少が生じ、流量制御弁(電磁安全弁)の離脱電流の減少が生じることがある。
【0008】
流量制御弁(電磁安全弁)の離脱電流の減少が生じた場合であっても、流量制御弁(電磁安全弁)への通電を完全に遮断して流量制御弁(電磁安全弁)への通電電流値をゼロにすれば、流量制御弁(電磁安全弁)を閉弁することができ、安全上の不都合は生じないが、制御部の万が一の故障等により、流量制御弁(電磁安全弁)を閉弁する時点において、流量制御弁(電磁安全弁)への通電電流値がゼロにならず漏れ電流などの微小電流が流量制御弁(電磁安全弁)に通電されたときに、この微小電流の値が上述のように減少した流量制御弁(電磁安全弁)の離脱電流より大きい場合には、特許文献1に示される技術によって、流量制御弁(電磁安全弁)の開弁故障が生じたものと判断されてしまうことになる。
【0009】
そして、開弁故障が生じたものと判断された場合は、流量制御弁(電磁安全弁)と直列に配設される他の流量制御弁を閉弁し、その時点以降の流量制御弁の開弁動作を禁止する等の安全処置が講じられることになり、使用者はその時点から調理器が使用できないという状態となってしまう。
【0010】
つまり、第1の磁性体に第2の磁性体が吸着することが繰り返されることに伴う第1の磁性体と第2の磁性体との間の当接面のなじみに起因する第1の磁性体と第2の磁性体との間の磁気抵抗の減少は、調理器の使用の繰り返しに伴って徐々に進行する事象であるにも関わらず、使用者はある時点から調理器が使用できないという不都合な状態が突然生じることになり、利便性が悪いものであった。
【0011】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、調理器のガス流路に配設された流量制御弁の故障をチェックすることが可能で、安全であり、しかも、流量制御弁が備える第1の磁性体と第2の磁性体との間の当接面のなじみ等に起因する第1の磁性体と第2の磁性体との間の磁気抵抗の減少が調理器の使用の繰り返しに伴って徐々に進行して流量制御弁の離脱電流が低下する場合にも、ある時点から調理器が使用できなくなるという不都合な状態が突然生じることがない、利便性の高い調理器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明による調理器は、燃焼検出手段を備えたバーナに燃料を供給するための燃料通路と、前記燃料通路に直列に複数設けられてそれぞれ前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁と、前記流量制御弁の駆動を制御するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記バーナを燃焼停止状態から燃焼状態へと移行させる時には前記流量制御弁の全てを開弁し、前記バーナを燃焼状態から燃焼停止状態へと移行させる時には、前記流量制御弁のうちの一流量制御弁以外の流量制御弁の開弁を維持すると共に前記一流量制御弁を閉弁して、前記一流量制御弁を閉弁したときに燃焼検出手段が燃焼の停止を検出しない場合に前記一流量制御弁が故障している故障状態であると判定する調理器であって、前記一流量制御弁が、前記制御部による通電によって磁化される第1の磁性体と、弁体が付設された第2の磁性体とを備え、前記制御部によって吸着電流が通電されて前記第1の磁性体に前記第2の磁性体が吸着してその開弁状態を維持し、この開弁状態を維持した後に前記吸着電流の通電が遮断されて前記第2の磁性体が前記第1の磁性体から離脱して閉弁するように構成され、請求項1の発明は、前記制御部が、前記開弁状態を維持した後に前記吸着電流の通電を遮断する前に、前記一流量制御弁に前記吸着電流より小さい所定値に設定された離脱電流確認用電流を通電し、前記離脱電流確認用電流を通電してから所定時間内に燃焼検出手段が燃焼の停止を検出しない場合に前記一流量制御弁の離脱電流過小状態であると判定し、離脱電流過小状態用処置を実行する点を特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、調理器のガス流路に配設された流量制御弁の故障をチェックすることが可能で、安全であり、しかも、流量制御弁が備える第1の磁性体と第2の磁性体との間の当接面のなじみに起因する第1の磁性体と第2の磁性体との間の磁気抵抗の減少が調理器の使用の繰り返しに伴って徐々に進行した場合にも、離脱電流過小状態用処置を実行するものの、ある時点から突然調理器が使用できないという不都合な状態が突然生じることがない、利便性の高い調理器とすることが可能となる。
【0014】
請求項2の調理器は、請求項1に記載の調理器において、音声メッセージを発する音声報知手段又は表示により報知を行う表示報知手段を備え、前記制御部が、前記離脱電流過小状態用処置として、音声報知手段又は表示報知手段により報知を行う、第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行する点を特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、調理器に音声メッセージを発する音声報知手段又は表示により報知を行う表示報知手段を備え、離脱電流過小状態用処置として、音声報知手段又は表示報知手段により報知を行う、第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行するものであるから、使用者は、音声報知手段又は表示報知手段による報知によって、調理器のメンテナンスを行うことができ、以降の調理器の使用を安定的に行うことが可能となり、さらに利便性が向上する。
【0016】
要するに、請求項2に記載の発明によれば、請求項1による効果に加えて、さらに利便性が高い調理器とすることが可能になる。
【0017】
請求項3に記載の発明による調理器は、請求項2に記載の調理器において、前記第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行した累積回数が所定の回数に達したときに、前記制御部が、前記流量制御弁の開弁を禁止する第2段階の離脱電流過小状態用処置を実行する点を特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、制御部の万が一の故障等により、流量制御弁(電磁安全弁)を閉弁する時点において、流量制御弁(電磁安全弁)への通電電流値がゼロにならず漏れ電流などの微小電流が流量制御弁(電磁安全弁)に通電される事態が生じたときにも、第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行した累積回数が所定の回数に達したときに、流量制御弁電磁安全弁)の開弁を禁止する第2段階の離脱電流過小状態用処置を実行することで、流量制御弁(電磁安全弁)の離脱電流が上記漏れ電流などの微小電流より大きい時点で、流量制御弁電磁安全弁)の開弁を禁止することが可能であり、一層安全な調理器とすることが可能となる。
【0019】
要するに、請求項3に記載の発明によれば、請求項2による効果に加えて、一層安全な調理器とすることが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明による調理器は、請求項3に記載の調理器において、前記制御部が、リセット指令手段によりリセット指令が指令されると前記累積回数を初期化するように構成されている点を特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、音声報知手段又は表示報知手段による報知に応じて、調理器のメンテナンスを行ったときに、メンテナンスの実行者によって、リセット指令手段によりリセット指令を指令することができ、累積回数を初期化することが可能であり、メンテナンスの時点以降に、第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行した累積回数が所定の回数に達する前に、不用意に流量制御弁電磁安全弁)の開弁を禁止する第2段階の離脱電流過小状態用処置を実行することが回避され、一層利便性が高い調理器とすることが可能となる。
【0022】
要するに、請求項4に記載の発明によれば、請求項3による効果に加えて、一層利便性が高い調理器とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、ある時点から調理器が使用できないという不都合な状態が突然生じることがない、利便性の高い調理器とすることが可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1による効果に加えて、さらに利便性が高い調理器とすることが可能になる。
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2による効果に加えて、一層安全な調理器とすることが可能となる。
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項3による効果に加えて、一層利便性が高い調理器とすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0026】
調理器としてのガスこんろ1は、
図1に示すように、上方に開口する箱状をした筐体10と、筐体10の上方への開口を閉塞しガスこんろ1の天面部となるガラス製のトッププレート11と、で外殻が構成される。
【0027】
トッププレート11にはこんろバーナ25を備えた加熱部2が複数設けてある。
図1に示す実施形態では、加熱部2として、標準バーナ2a、小バーナ2b、高火力バーナ2cの計三個のこんろバーナ25が設けてある。
図1中の符号21は五徳を示す。
【0028】
ガスこんろ1内にはグリルバーナを備えたグリル庫が設けてあり、グリル庫の前開口は、ガスこんろ1の前面に設けたグリル扉12によって開閉自在に閉塞される。
【0029】
また、各加熱部2には、被加熱物検知手段22が設けてある。被加熱物検知手段22は、五徳21に被加熱物が載置された状態にあるか否か、即ち、各こんろバーナ25上に被加熱物が配置された状態にあるか否かを検知するものである。
【0030】
ガスこんろ1の前面部を構成する前面パネル13には、各加熱部2を操作するためのつまみダイヤル装置からなる操作部14がそれぞれ設けてある。
【0031】
各操作部14は手動で操作されて対応するこんろバーナ25の点火及び消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けて制御部Hが各こんろバーナ25の点消火の切り替えや火力調節を行う。
【0032】
前面パネル13の各操作部14の下側には対応するこんろバーナ25の調理の設定を指令するための設定手段を構成する設定入力パネル15が設けてあり、この設定入力パネル15を操作することで、こんろバーナ25毎に、調理タイマーモード、湯沸しモード、炊飯モード等の自動調理モードを設定できるようになっている。
【0033】
また、前面パネル13における向かって左側の部位には、グリルバーナの点火及び消火の切り替えや火力調整を指令するための設定入力パネル16が設けてある。
【0034】
上記設定入力パネル15、16によるモード設定なしの状態で調理を行う場合、前面に設けた電源スイッチ17をONにした後、操作部14または設定入力パネル16を押し操作して制御部Hに点火の指令を送る。この指令を受けると制御部Hは、後述するガス供給路26の元電磁弁27を開き、且つ任意のこんろバーナ25又はグリルバーナに対応する流量制御弁3を所定開度で開くと共に点火プラグ24をスパークさせ、こんろバーナ25又はグリルバーナを点火する。これにより、こんろバーナ25の炎により対応する五徳21上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナの炎によりグリル庫内の肉や魚を焼くことができる。
【0035】
調理器には、マイクロコンピュータからなる制御部Hが設けられる。制御部Hには、各バーナ(こんろバーナ25、グリルバーナ)に設けてある燃焼検出手段51としての熱電対23(
図2参照)の起電力が入力され、制御部Hは入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、設定入力パネル15、16又は/及びトッププレート11に設けてある表示部に備える燃焼ランプ(それぞれのバーナに対応する燃焼ランプ)を点灯させる。
【0036】
各こんろバーナ25及びグリルバーナには、燃料を供給するための燃料通路が接続されるもので、本実施形態では燃料通路として、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路26からそれぞれ分岐する分岐路26aが接続されている。
【0037】
また、前記燃料通路を通過する燃料の量を制御すると共に、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁3と、前記流量制御弁3を駆動する駆動手段が設けられる。本実施形態では駆動手段として、燃料ガスの供給量の調節を行うためステッピングモータ30が設けられ、このステッピングモータ30により駆動されて後述するスライド閉子34の開度位置の微調整がなされる。なお、駆動手段はステッピングモータ30ではないモータでもよく、特に限定されない。また、スライド閉子34の開度位置を検出する位置検出手段4が設けられ、これらについては後で詳述する。更に、各分岐路26aに通電により開弁が保持され、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁(但し上記流量制御弁3とは異なる)としての元電磁弁27が設けられる。このように、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁は、上記流量制御弁3と元電磁弁27とが直列に設けられており、更に別の流量制御弁が直列に設けられてもよい。
【0038】
元電磁弁27と、流量制御弁3を駆動するステッピングモータ30とは、制御部Hにより制御が行われ、位置検出手段4における検出情報は制御部Hに読み込み処理される。また、流量制御弁3は、対応するこんろバーナ25が使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように閉止される。
【0039】
流量制御弁3について説明する。
図3に示すように、流量制御弁3の本体31内には空洞31aが形成され、空洞31aの内面の一部に本体31外に連通するガス入口32が形成されると共に該ガス入口32とは別の箇所にガス出口33が形成され、空洞31aは燃料通路の一部となる。空洞31aには、スライド閉子34と流量チップ35と付勢部材36とが設けられる。また元電磁弁27は、ガス入口32を開放したり閉塞したりするものである。
【0040】
スライド閉子34は、連通用孔34aが貫通形成されて、空洞31aのガス出口33の周囲の内面(出口近傍面という)に当接しこの面に沿ってスライド自在となるように設けられる。スライド閉子34がスライドすることで、空洞31aのガス出口33が連通用孔34aに連通したりスライド閉子34により閉塞されたりする。
【0041】
流量チップ35は板状をしたもので、その板面の面積は少なくともスライド閉子34の連通用孔34aよりも大きく、また、板面に略垂直に貫通する複数の流量制御孔(図示せず)が穿設されている。流量チップ35は、スライド閉子34の出口近傍面に当接する面と反対側の面に当接し、コイルばね等からなる付勢部材36によって付勢される。付勢部材36は、流量チップ35のスライド閉子34に当接する面と反対側の面と、空洞31aの出口近傍面と対向する面と、の間に圧縮された状態で配設され、スライド閉子34を出口近傍面に圧接させている。スライド閉子34には、空洞31aの出口近傍面に沿ってスライドする方向の一端部にスピンドル37が接続される。
【0042】
スピンドル37は、空洞31aの側壁の一部に穿設されたスピンドル挿通孔を介して空洞31aの内外に挿通されるもので、形状は特に限定されないが、本実施形態では概ね棒状をしたものである。そして、棒状をしたスピンドル37の長手方向の一端は空洞31aの内側に位置してスライド閉子34が接続され、他端は空洞31aの外側に位置して雌ねじ部37aが形成される。またスピンドル37は、スピンドル挿通孔を通して長手方向にスライド自在となり、スピンドル挿通孔とスピンドル37外面との間には隙間を閉塞するグリースが充填されてシールがなされる。
【0043】
また、スピンドル37が空洞31a(流量制御弁3の本体31)に対して相対的に長手方向廻りに回転しないように回り止め手段が設けられる。例えば、図示しないが、スピンドル挿通孔を円形以外の例えば矩形等の形状に形成し、スピンドル37のスピンドル挿通孔に挿通される部分の断面形状をスピンドル挿通孔と同様の形状に形成して、回り止め手段を構成してもよい。
【0044】
空洞31aの外側には、スピンドル37及びスライド閉子34をスライドさせるステッピングモータ30が、流量制御弁3に対して位置が固定された状態で設けられる。ステッピングモータ30の出力軸は、その先端部の外面に雄ねじ部30aが形成され、この雄ねじ部30aがスピンドル37の雌ねじ部37aに螺入されている。なお、スピンドル37の他端部の外面に雄ねじ部30aが形成されると共に、出力軸の先端部に雌ねじ部37aが形成されてもよい。
【0045】
ステッピングモータ30の出力軸が回転するとその雄ねじ部30aが回転するが、回り止め手段によりスピンドル37の回り止めがなされているため雌ねじ部37aは出力軸と共に回転せず、螺合位置が変化することでスピンドル37の長手方向へのスライド及びスライド閉子34のスライドがなされる。また、スライド閉子34がスライドした際に流量チップ35がスライド方向に動かないようにするためのスライド阻止手段(図示せず)が設けられる。スライド阻止手段は、例えばスライド閉子34と流量チップ35との摺動面に潤滑材を塗布したり、流量チップ35を流量制御弁3の本体31に連結したりすることで構成される。
【0046】
スライド閉子34のスライドにより連通用孔34aとガス出口33とが連通した状態においては、連通用孔34aと流量チップ35の流量制御孔との連通面積に応じて、空洞31aからガス出口33外へと流出するガスの流量が制御される。
図3に示すスライド閉子34の位置が、前記ガスの流量が最大となる位置(ガス流量最大位置)であり、スライド閉子34がスピンドル37側へスライドすることで、連通用孔34aと流量制御孔との連通面積が小さくなってガスの流量が減少し、連通用孔34aとガス出口33とが連通しない位置(閉塞位置)になると燃料通路が遮断されガスの流量が零になる。
【0047】
また、スピンドル37の位置検出手段4が設けられ、位置検出手段4によりスピンドル37の位置及びスライド閉子34の位置が検出されることで、連通用孔34aとガス出口33との連通の有無・連通用孔34aと流量制御孔との連通面積が分かり、ガスの流量が間接的に検出可能となる。本実施形態では、スピンドル37に設けられる位置検出用ブラシ41と、流量制御弁3の本体31に固定される位置検出部42と、で位置検出手段4が構成される。
【0048】
電源スイッチ17の操作と制御部Hへの電源の供給との関係について
図4に基づいて説明する。
図4の電源回路において、本実施形態では電源部Bに電池を用いている。またスイッチS1はタクトスイッチにて構成され、使用者が電源スイッチ17を押し操作(以下「電源入操作」という)している間だけスイッチS1がONとなり、押し操作をやめるとスイッチS1がOFFとなる。
【0049】
ダイオードD1のカソードは制御部Hの電源供給端子Vdに接続され、制御部HのGND端子が電源部Bの負極に接続され、電源部Bの正極から、トランジスタTR1のエミッタ−コレクタ、ダイオードD1、制御部Hの電源供給端子Vd、GND端子、電源部Bの負極に至る電源供給回路が形成される。また制御部Hは、V1及びV2の二つの入力端子と、Vcontの出力端子と、を備えている。
【0050】
電源入操作によりTR3にベース電流が流れTR3がONしTR3のコレクタ電流が流れると、TR1にベース電流が流れTR1がONして制御部Hに電源が供給される。一旦制御部Hに電源が供給されると、制御部HはVcontからHigh信号を出力しTR5にベース電流が供給される。電源入操作完了に伴い電源スイッチ17の押し操作をやめるとスイッチS1はOFFしTR3にはベース電流が流れなくなりTR3はOFFするが、TR5にベース電流が供給されることによりTR5がONしTR5のコレクタ電流が流れTR1のベース電流が供給されるから、TR1のコレクタ電流が流れ続けることにより、制御部Hへの電源の供給は継続する。
【0051】
TR4は制御部Hへの電源供給状態における電源スイッチ17の押し操作を検出するためのトランジスタである。制御部Hへの電源供給状態において電源スイッチ17が押し操作されると、スイッチS1がONしTR4にベース電流が供給されてTR4がONし、TR4がONすることにより制御部Hの入力V1は、HighからLowに変化する。また、電源スイッチ17が押し操作を終了すると、スイッチS1がOFFしTR4のベース電流が遮断されてTR4がOFFしTR4がOFFすることにより制御部Hの入力V1は、LowからHighに変化する。
【0052】
ガスこんろ1の使用中に、前面に設けた電源スイッチ17が操作されたときには、制御部Hが制御部Hへの通電状態において入力V1の立下り(HighからLowへの変化)を検出し、電源がONの状態でスイッチS1がONしたので電源をOFFする操作がなされたと判断し、電源OFF処理を実行する。
【0053】
電源OFF処理の一つ目は、電源OFF時にモータを駆動して燃料通路を閉止する流量制御弁閉止処理である。
【0054】
電源OFF処理の二つ目は、制御部Hにおける内部情報を制御部Hに備える不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納する処理である。制御部Hにおける内部情報には、ガスこんろ1の累積使用回数、および、こんろバーナ25やグリルバーナの累積使用時間、および、後述するメンテナンス報知の累積回数が含まれる。ガスこんろ1の累積使用回数、および、こんろバーナ25やグリルバーナの累積使用時間、および、後述するメンテナンス報知の累積回数を不揮発性メモリに格納することで、電池の交換時に制御部Hへの電源が遮断されても、ガスこんろ1の累積使用回数、および、こんろバーナ25やグリルバーナの累積使用時間、および、後述するメンテナンス報知の累積回数についての情報を制御部Hに保持することができ、保持した情報はガスこんろ1の累積使用回数やこんろバーナ25やグリルバーナの累積使用時間が所定値以上になったときに使用者にメンテナンスを促がす表示などの報知を行うことに使用できる。
【0055】
また、後述するメンテナンス報知の累積回数が所定値以上になったときに、ガスこんろやグリルバーナへの点火を禁止する。
【0056】
電源OFF処理の三つ目は、制御部Hへの通電を停止する処理であり、制御部Hは、電源スイッチ17が操作されたときに制御部Hへの通電を停止するための処理をつぎのように実行する。
【0057】
一旦制御部Hへの電源の供給が開始された後は、前述のように、VcontからHigh信号を出力しTR5にベース電流が供給されることによりTR5がONしTR5のコレクタ電流が流れTR1のベース電流が供給され、TR1のコレクタ電流が流れ続けることにより、制御部Hへの電源の供給は継続されているが、制御部Hが制御部Hへの通電状態において入力V1の立下り(HighからLowへの変化)を検出した後に、入力V1の立上り(LowからHighへの変化)を検出した時には、スイッチS1がONの後にOFFした、すなわち、使用者は電源スイッチ17による電源OFF操作を終了したと判断し、VcontをHighからLowに変化させる。
【0058】
ただし、前述の制御部Hにおける内部情報を制御部Hに備える不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納する処理、または、流量制御弁閉止処理が完了していない場合は、前述の制御部Hにおける内部情報を制御部Hに備える不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納する処理、および、流量制御弁閉止処理の両方共に完了してからVcontをHighからLowに変化させる。
【0059】
流量制御弁閉止処理の完了により全ての流量制御弁3が全閉となる上、電源OFF時には通電により開弁が保持されていた元電磁弁27が閉弁することで、全てのバーナへのガス供給流路が元電磁弁27およびそれぞれのバーナ用の流量制御弁3により2重に燃料通路が遮断され、安全である。
【0060】
VcontをHighからLowに変化させることにより、前述のTR5によりTR1のベース電流の供給が停止するからTR1はOFFし制御部Hへの通電が停止する。
【0061】
上記のように、前記燃料通路における燃料の通過を阻止する閉止機能を有する流量制御弁は、前記燃料通路に直列に複数(本実施形態では元電磁弁27及び流量制御弁3の二つ)設けられているが、この流量制御弁が同時に故障すると安全性が損なわれる。
【0062】
そこで本実施形態においては、バーナを燃焼状態から燃焼停止状態へと移行させる時には、元電磁弁27及び流量制御弁3の複数のうちの一元電磁弁27が故障しているか否かを判定する元電磁弁27用のチェックモードを実行する。
【0063】
元電磁弁27用のチェックモードでは、バーナを燃焼状態から燃焼停止状態へと移行させる時には、流量制御弁3の開弁を維持すると共に、元電磁弁27を閉弁して、元電磁弁27を閉弁したときに熱電対23(
図2参照)の起電力が消火検出用の値(例えば2.5mV)以下に低下しない、つまり、燃焼検出手段51が燃焼の停止を検出しない場合に元電磁弁27が故障している故障状態であると判定するものである。
【0064】
本実施形態においては、元電磁弁27が、制御部Hによる通電によって磁化される第1の磁性体27aと、弁体27cが付設された第2の磁性体27bとを備え、制御部Hによって吸着電流KI(本実施形態では1mA)が通電されて第1の磁性体27aに第2の磁性体27bが吸着して元電磁弁27の開弁状態を維持し、元電磁弁27の開弁状態を維持した後に吸着電流KIの通電が遮断されて第2の磁性体27bが第1の磁性体27aから離脱して閉弁するように構成されているものであるが、第1の磁性体27aと、弁体27cが付設された第2の磁性体27bとのなじみに起因して、元電磁弁27を閉止するときに、制御部Hから元電磁弁27への通電が完全に停止しても、元電磁弁27の磁気回路を構成する磁気回路における残留磁束などの影響によって、元電磁弁27の離脱電流の減少が生じた場合には、元電磁弁27を閉止できないおそれがあり、安全性が損なわれることが考えられる。
【0065】
そこで本発明においては、制御部Hが、開弁状態を維持した後に吸着電流KIの通電を遮断する前に、元電磁弁27に吸着電流KI(本実施形態では1mA)より小さい所定値(本実施形態では0.1mA)に設定された離脱電流確認用電流RIを通電し、離脱電流確認用電流RIを通電してから所定時間(本実施形態では15秒)内に燃焼検出手段51が燃焼の停止を検出しない場合に元電磁弁27の離脱電流過小状態であると判定し、離脱電流過小状態用処置を実行する。
【0066】
本実施形態では、制御部Hが、音声メッセージを発する音声報知手段8a(
図3参照。)により音声報知を行うと共に、表示報知手段8b(
図3参照。)による報知を行う第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行する。なお、音声報知手段8aまたは表示報知手段8b何れか一方のみにより報知を行う構成としてもよい。
【0067】
また、上記第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行した累積回数が所定の回数(本実施形態では3回)に達したときには、制御部Hが、元電磁弁27および流量制御弁3の開弁を禁止する第2段階の離脱電流過小状態用処置を実行する。なお、第2段階の離脱電流過小状態用処置として、元電磁弁27または流量制御弁3の何れか一方の開弁を禁止するように構成してもよい。」
【0068】
なお、本実施形態では、第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行した累積回数が所定の回数(本実施形態では3回)に達するまで、或いは、第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行した累積回数が所定の回数(本実施形態では3回)に達した後に、メンテナンスを行うサービス万によって、図示しないリセット指令手段によりリセット指令が指令されると、制御部Hは、上記累積回数をゼロに初期化する。
【0069】
上述の元電磁弁27の離脱電流過小状態の判定について、
図5のフローチャートを参照しながら、以下に説明を加える。なお、以下の説明において、上述の元電磁弁27の離脱電流過小状態の判定及び第1段階の離脱電流過小状態用処置を実行及び第2段階の離脱電流過小状態用処置を総称して、メンテナンス報知制御と呼ぶ。
【0070】
メンテナンス報知制御(サブルーチン)においては、
図5に示すように、バーナの燃焼中、つまり元電磁弁27及び流量制御弁3の開弁中に、操作部14または電源スイッチ17の操作による消火指令の有無がチェックされる(S001)。操作部14または電源スイッチ17の操作による消火指令がない場合は、目音ルーチンにリターンし、操作部14または電源スイッチ17の操作による消火指令があった場合、元電磁弁27の開弁保持用の電流を通常の保持用の電流である1mAから離脱電流確認用電流RIとしての保持電流0.1mAに変更すると共にタイマーのカウントを開始する(S002)。
【0071】
そして、タイマのカウントを開始してから15秒が経過したかどうかがチェックされ(S003)、タイマのカウントを開始してから15秒が経過した時点で、熱電対23によって炎が検出されているかどうかがチェックされる(S004)。
【0072】
熱電対23によって炎が検出されていない場合は、メインルーチンにリターンし、熱電対23によって炎が検出されてる場合は、元電磁弁27の開弁保持用の電流を遮断して(S005)、タイマのカウントを開始してから30秒が経過したかどうかがチェックされ(S006)、タイマのカウントを開始してから30秒が経過した時点で、熱電対23によって炎が検出されているかどうかがチェックされる(S007)。
【0073】
S007において、熱電対23によって炎が検出されている場合は、元電磁弁27の開弁故障であると判断して、元電磁弁開弁故障エラーである旨の報知を行う(S008)と共に、電磁弁の開弁を禁止する(S012)。
【0074】
S007において、熱電対23によって炎が検出されていない場合は、元電磁弁27の開弁故障ではなく、元電磁弁27の離脱電流が01mA以下に低下している、元電磁弁27の離脱電流過小状態であると判定し、第1段階の離脱電流過小状態用処置としてメンテナンスを促す報知を行う(S009)。
【0075】
そして、第1段階の離脱電流過小状態用処置としてメンテナンスを促す報知を行った累積回数が3回以上であるかどうかがチェックされ(S010)、第1段階の離脱電流過小状態用処置としてメンテナンスを促す報知を行った累積回数が3回未満の場合、メインルーチンにリターンし、第1段階の離脱電流過小状態用処置としてメンテナンスを促す報知を行った累積回数が3回以上の場合、元電磁弁27の開弁を禁止する第2段階の離脱電流過小状態用処置を実行(S012)してメインルーチンにリターンする。
【0076】
なお、
図5には図示されないが、第1段階の離脱電流過小状態用処置としてメンテナンスを促す報知を行った累積回数は、図示しないリセット指令手段によりリセット指令が指令されるとゼロに初期化され、第2段階の離脱電流過小状態用処置の実行による元電磁弁27の開弁禁止状態は、図示しないリセット指令手段によりリセット指令が指令されるまで維持されることになる。
【0077】
なお、調理器の燃料としてはガスに限定されず、石油系燃料をはじめとする他の燃料であってもよく、燃料の種類は特に限定されない。